カテゴリ:リング誌から > USAのボクシング

1950年代。

オリジナル8の時代です。

4団体17階級時代の現在、年に何度も組まれる世界タイトルマッチは日本人が勝利する予想、期待が当たり前のケースがほとんどです。

しかし、50年代は世界タイトルに挑戦すること自体が困難でした。

さらに、安易に複数階級を渡り歩く現代とは違い、強豪王者が一つの階級に君臨することがデフォルトの時代です。

タイトル返上はもちろん、計量オーバーで秤の上でタイトルを失う、そんなことなど考えられなかった時代です。

この時代のトップファイターをリング誌90周年特集号のディケイドPFPから振り返ります。

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ロッキー・マルシアノが4位というのが、まさしくこれぞ後世の評価。

1位からシュガー・レイ・ロビンソン、アーチー・ムーア、キッド・ギャビラン、マルシアノ、パスカル・ペレス、サンディ・サドラー、ジーン・フルマー、カーメン・バシリオ、ジョー・ブラウン、ハロルド・ジョンソン。

ロビンソンは日本でも具志堅用高が教科書にするなど〝業界〟では有名な存在でしたが、一般のスポーツファンを熱狂させるには至っていなかったはずです。

衛星放送でのスポーツ観戦を切り開いたモハメド・アリの時代の前夜だったというよりも、日本人が世界のプロボクシングの構造や世界ヘビー級チャンピオンの偉大さを理解しきっていなかったのかもしれません。

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一方で、日本以上に米国との関係が密接なフィリピンではロッキー・マルシアノを招いて交流を深めるなど、ボクシング熱のマグマはこの時代から煮えたぎっていました。

日本でも業界内では、東洋フェザー級王者の金子繁治がマルシアノのスタイルを映画ニュースなどで繰り返し見ながら勉強していたようです。

この時代は「地球上に8人しかいない世界チャンピオン」に白井義男が駆け上がったことで、ボクシングファンが生まれ、プロボクサー志望者が溢れたことが容易に想像できます。

観戦スポーツが大相撲と六大学野球しかなかった時代に、白井が後楽園スタジアムでアメリカ人世界王者ダド・マリノから世界フライ級タイトルを奪った大事件は、どれほどの衝撃だったことか。

そして、その白井からタイトルを奪ったパスカル・ペレスの評価の、今なおなんと高いことか。ペレスの名前は、当時も多くのスポーツファンの記憶に焼き付いていたはずです。

1950年代のロッキー・マルシアノは日本でも一定の知名度はあったと思われますが、もしかしたらペレスの方が有名だったかもしれません。
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日本がアメリカのリングで大人気を博すスーパースターを最初に知覚したのは、誰(いつ)だったのでしょうか。

野球のベーブ・ルースやボクシングのジャック・デンプシーら1920年代、大正時代のスーパースターが熱心なファンの間に〝察知〟されていたことはわかっています。

しかし、多くのスポーツファンがアメリカのボクシングを、知覚したのは白井義男が世界王者になった1952年以降のことでしょう。

1952年から2023年までの70年余り。

日本が知覚したスーパースターたちと、その熱度を測ってゆきます。
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Fighter of the Year Prediction


海の向こうでは大谷翔平の本塁打王と、直近3年で2度目のMVPが確実視されています。日本スポーツシーンに刻まれる、もしかしたら史上最高の偉業です。

さて、ボクシング界のMVPといえば…そうです、Fighter of the Year です。

本日、ジャーメル・チャーロが予想を裏切ることなく、カネロに完敗。Fighter of the Yearレースから振り落とされたところで、改めてFighter of the Year -Winnerを予想。

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◎(本命)テレンス・クロフォード

➕:ジュニアウェルター級に続いてウエルター級でもUndisputed Championに。ウエルター級の完全統一と、完全統一王座の2階級制覇は、1990年代半ばからの四半世紀にわたる4団体時代で初めての偉業。

➖:今年、1試合しか戦っていないこと。年内にエロール・スペンスJr.と再戦して鮮やかに返り討ちにしたとしても、評価の大きな上積みは期待できない。敗北はもちろん、拙戦をしてしまうとFighter of the Yearの大本命の座が揺らぐ可能性も。



⚫️(脱落)ジャーメル・チャーロ。
→本日(10月1日)脱落

➕:今週末にカネロ・アルバレスとのメガファイトに勝利すると、クロフォードに次ぐ2階級でのUndisputed Championに。米国史上最大の商品価値持つカネロに勝つ意味は計り知れません。
→結果は善戦・健闘とは程遠い内容で完敗。

➖:クロフォードと同じ今年1試合しか戦っていないこと。2012年にノニト・ドネアが最も権威があるFighter of the YearであるSugar Ray Robinson Awardを受賞したとき「年間4試合の世界戦に全勝」も受賞理由の一つに挙げられました。

戦うチャンピオンが評価されるのは当然です。



◯(対抗)井上尚弥

➕:交渉が順調に進んでいると言われるマーロン・タパレスとのジュニアフェザー級タイトル完全統一戦が実現すると、昨年12月のバンタム級に続き2階級でUndisputed Championに。

ライバルが年間1試合で終わりそうな気配の中、2試合を戦い122ポンドのタイトル・コレクションのコンプリートがほぼ確実。

➖:世界的なインパクトという点で大きく劣る「日本で行った」「超軽量級の2試合」がどこまで評価されるのか?階級に貴賎がないとするなら、井上のFighter of the Yearはほぼ確実なのだが…。



△(短穴)寺地拳四朗。

➕:BoxRecのPFPで13位まで上昇、リング誌やESPNも「PFP目前」と評価するジュニアフライ級最強王者。

昨年は井上と共にFighter of the Yearにノミネートされるなど、専門家評価は抜群だが、今年もノミネートが精一杯か。来年の階級完全統一に期待。

➖:アンソニー・オラスクアガ、ヘッキー・ブドラーという新旧強豪の撃破は印象的だが、ライバルたちが2階級でのUndisputed Championという金看板を掲げているのと比べると訴求度は弱い。



☆(大穴)張志磊

➕:チャーロ、井上と同じく「あと1試合」を年内にこなせば可能性があるのがヘビー級の張志磊。

その1試合が世界タイトルマッチになると、相手はWBC王者タイソン・フューリーか、Lineal/Ring/WBA/IBF/WBO王者オレクサンデル・ウシク。勝利前提でFighter of the Yearに激しくチャージします。

➖:非常に危険なヘビー級であることを証明した今、王者にとってはすぐに戦いたい相手ではありません。政治色が強烈な階級だけに、40歳の中国人に美味しい話は回って来ない。

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クロフォード以外の候補者は「次の試合で勝てば」という条件付きでしたが、大方の予想どおりジャーメル・チャーロがカネロ・アルバレスに完敗。Fighter of the Year戦線から脱落。

これで、対抗馬は完全統一王座の2階級制覇に王手をかけている、井上尚弥だけになりました。

Fighter of the Yearをアジアにもたらしたのはマニー・パッキャオとノニト・ドネアの2人だけ、ジュニアフェザー以下ではドネアだけという、アジア無縁のボクシング界最高賞だけに、井上が獲得すると日本初というだけでなくアジア視点でも快挙です。

12月16日に、WBO王者ジェシー・ロドリゲスと、IBF王者サニー・エドワーズというフライ級の団体統一戦が行われますが、この勝者がFighter of the Yearに選ばれることは無いとは思いますが、バム・ロドリゲスはロートル狩りしただけの昨年もノミネートされているだけに、勝者がノミネートされる可能性は大いにあります。

来年、寺地がこの勝者を印象的な形で破壊しると、色々面白くなりそうです。
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スーパーミドル級のUndisputed Championship。

王者カネロに挑戦するのは、ジュニアミドル級のUndisputed Championジャーメル・チャーロ。

「兄と歩んできたキャリアはカネロを追いかける旅だった。ついにカネロを捕まえた。カネロが強いのは分かってる。だからこそ、ずっと彼を追いかけてきたんだ」(ジャーメル)。

I can do,English.

「俺はずっとここ(スターダムの頂点)にたってきた。英語だって喋れるようになったけど、まあボクシングがとにかく上達したな」(カネロ)。

試合直前のオッズはカネロの勝利が2/9(1.22倍)、チャーロ10/3(4.33倍)。

チャーロ、落ち着いた表情です。カネロ、リング内と同じく、遅い足取りで入場。

注目の第1ラウンド、ゴング!

ジャーメル、おとなしい。初体験のメガファイトに飲まれたか。文字通り浮き足立ってる。

多くの専門家の「序盤はチャーロがポイントを取る」という予想は外れました。

WHのインプレーはカネロの1/20(1.05倍)、チャーロ8/1(9倍)。大きく広がりました。

前半6ラウンド終了。ポイントはカネロのフルマークか。インプレーは1/40と10/1に。

第7ラウンド、カネロの右フック、右アッパーでチャーロがダウン。効いてます。

1/100、14/1。カネロ勝利は1.01倍に。10ラウンド終了時でカネロに賭けても1/200。そのまんまの展開です。

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最終回は1/5000で迎えます。

チャーロは差し違える勝負を仕掛けることもできず、12ラウンドを終えてしまいました。

119−108/118−109*2。


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Saturday 30, September 2023
  
T-Mobile Arena, Las Vegas, Nevada, USA
commission:Nevada Athletic Commission
promoter:Saul Alvarez, Tom Brown,
Sampson Lewkowicz, Eddy Reynoso
matchmaker:Tom Brown
media: Panama Telemetro Channel 13,
USA Showtime PPV


WOWOWでカバーしてくれると期待していたオレクサンデル・グボジアクの復帰第3戦は、第2ラウンドで36歳のウクライナ人がKO勝利を収めた模様。



配信始まりました。

©︎イライジャ・ガルシアvsアルマンド・レセンディスのWBAインターコンチネンタル・ミドル級タイトルマッチ10回戦の第2ラウンドから。

WBAの何も約束されていない、いい加減極まる「WBAミドル級挑戦者決定戦」。This is WBA. です。

20歳のガルシアが8ラウンドに右フックでダウンを奪うと、追撃に抵抗できないレセンディスを見た主審トニー・ウィークスが試合をストップ。




WBCウエルター級暫定王者決定戦は、ヨルデニウス・ウガスvsマリオ・バルガス

ウガスの勝利が4/9(1.44倍)、バルガスが7/4(2.75倍)。

エロール・スペンスJr.敗れたウガス、ガーボンタ・デービスとキース・サーマンに連敗したバルガス。ともにキーファイトを落とした土俵際ファイター。

第2ラウンドに28歳のバリオスの左ジャブがカウンターになって37歳のキューバ人がダウン。ダメージはほとんど見られませんが、自動的に2ポイント消失。

ナチュラルのウエルター級ウガスがプレッシャーをかけて、バリオスが左を起点に迎撃する展開。スコアリングが難しいラウンドが続きます。

後半、ウガスの動きが鈍り、バリオスがリード。

10ラウンド前、11ラウンド前にウガスの腫れた右目にドクターチェックが入ります。最終回の前にもドクターチェック。嫌な予感が走りますが続行。

最終回、バリオスの左フックでウガスがこの試合2度目のダウン。消耗したキューバ人はなんとか立ち上がって判定まで逃げ込みますが、判定は明らか。

マイルドアップセット。バルガスがテクニカルなボクシングを披露する予想外の内容でした。

117−108/118−107*2。

ジュニアウェルター級に続いて2階級制覇のバルガスですが、いつまで王座に就いていられるか?




WBCダイアモンド・ジュニアミドル級王者決定戦で激突するのはヘスス・アレハンドロ・ラモスJr.とエリクソン・ルービン

新旧ホープ対決のオッズはラモス1/4(1.25倍)、ルービン7/2(4.5倍)。

ラモスがどこでルービンを仕留めるのか、それが焦点の試合ですが…。

ルービン、まだ2敗しかしていない28歳ですが、いずれも痛烈な敗北。慎重になるのはわかりますが、怯えているようにすら見えてしまいます。

1発当てれば変わるかもしれませんが、2敗で思い知らされた自分の脆さへの恐怖が抑えきれないのかもしれません。

ルービン、勝負をかけられないままジリ貧か。第9ラウンドから、ようやくルービンが前に出て手数も増やします。スピードと攻撃力はあるんだから。

「判定はわからない」(WOWOW解説陣)…いや、わかるでしょ、いくらなんでも。

豪快なKOが期待されたラモスへのブーイング。

え????

これはコントロバーシャル必至です。1人のジャッジは117−111????

敗者ラモスの弁、潔くて好感。
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「俺のことを全盛期の強い相手と戦ってないと非難する奴がいるけど、ジャーメル・チャーロは誰と戦ったんだ?まさかブライアン・カスターニョか?」。

「チャーロは168ポンドで戦ったことがないだけじゃない。俺のレベルのファイターとは一度も戦ったことがない」。

「もう長い間、世界で最も注目される大きな試合で戦ってきた。そして、その度に感じるよ。誰もが俺が負けるところを見たいんだと」。

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今なお、カネロ・アルバレスを突き動かしているモチベーションがあるとしたら「俺が負けるのを楽しみにしている奴らの思い通りにさせてたまるか」という反骨もその一つかもしれません。

現在のオッズはカネロ勝利が1/4(1.25倍)、チャーロ3/1(4倍)。
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前日計量まであと6時間を切りました。

注目は154ポンド級王者ジャーメル・チャーロが、168ポンド一杯の体を作ってくるのか?それともリミットを大きく下回るウエイトで秤に乗るのか?

ヘビー級以外のクラスの軽量で、どういう戦略で挑むのかを想像してワクワクできる試合は、まずありません。
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カネロ・アルバレスvsジャーメル・チャーロ

スーパーミドル級(168ポンド)とジュニアミドル級(154ポンド)、4団体時代初の完全統一王者同士の激突です。

14ポンドの体重差に加えて、大舞台での経験値から4−1でカネロ有利と見られています。

 

一方、二人は33歳の同い年ながら心身の消耗度の違いから、番狂せを支持する声も聞こえてきます。

カネロは2005年10月、15歳でデビューしてから丸18年、63戦59勝39KO2敗2分のキャリアを積み重ねてきました。

 地域タイトルをコレクションしながら、人気はあるけど実力は無いマシュー・ハットンとのWBCジュニアミドル級王者決定戦の舞台が用意された2011年3月の時点ですでにスーパースター。

それから12年以上も、カネロが上がるリングは一つ残らず世界中のボクシングファンが注目するメガファイト。 

昨年、ドミトリー・ビボルにフロイド・メイウェザー戦以来9年ぶりの黒星を喫すると、ゲンナディ・ゴロフキン、ジョン・ライダーとKO勝利濃厚と見られた試合を判定まで粘られました。

「まだ33歳でも、カネロはピークを過ぎた」という見方は当然です。ただし、ライトヘビー級でも通用するパワーと打たれ強さは、ジュニアミドル級のジャーメルにとって大きな壁になるはず。

そして、そのチャーロ。カネロより2年遅い2007年12月のプロデビュー。37戦35勝19KO1敗1分 というキャリアでメガファイトと呼べる規模の試合は一度も経験していません。ラスベガスの中心、T -Mobileアリーナのリングに上がるのはこれが初めて。

2020年から、コロナ禍の影響もあったとはいえ年間1試合ペースというのも、気になります。

それでも、初戦でSDと大苦戦したブライアン・カスターニョを10ラウンドKOで 仕留めるなど、今がが全盛期。

パワーがどこまで通用するのかは未知数ですが、鈍重なパワーヒッターカネロにとってチャーロはアミール・カーン並みに速く、カーンよりも捕まえるのに時間がかかると考えるのが自然です。

カネロがビボルに大番狂せを喰らってから、精彩を欠いていることは本人も認めているように事実でしょう。その一因が、メガファイトを繰り広げてきた精神的な消耗にあるのは間違いありません。問題は肉体も劣化に蝕まれているのかどうか、です。

「旬のパンチャーから逃げてきた」と非難されるカネロが、ジュニアミドル級時代に〝逃げていた〟のがチャーロ兄弟。

そして、カネロには「ビボルへの雪辱」「最強のアルツール・ベテルビエフへの挑戦」という、成し遂げるべきRedemption (贖罪)が残されています。もし、ジャーメルに敗れると贖罪の試合が3試合に増えるというよりも、そのレガシーに大きな傷がついてしまいます。

メキシコの熱狂的なサポーターは「カネロこそメキシコ史上最高ファイター」と、今も信じて疑いませんが、物足りない相手しかいないスーパーミドル級でしか最強を証明していないカネロの評価が後世、大きく下降するのは目に見えています。

このままだとカネロは「ベストファイトはケイレブ・プラント戦」で、晩年のメイウェザーに負け、ライトヘビー級の番手のビボルに完敗、生涯プロテクトされ続けたメキシカンアイドルで終わってしまうでしょう。 
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Fighter of the Year Prediction


海の向こうでは大谷翔平の本塁打王と、直近3年で2度目のMVPが確実視されています。日本スポーツシーンに刻まれる、もしかしたら史上最高の偉業です。

さて、ボクシング界のMVPといえば…そうです、Fighter of the Year です。

今夜は少し気の早いFighter of the Year -Winnerを予想。

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◎(本命)テレンス・クロフォード

➕:ジュニアウェルター級に続いてウエルター級でもUndisputed Championに。ウエルター級の完全統一と、完全統一王座の2階級制覇は、1990年代半ばからの四半世紀にわたる4団体時代で初めての偉業。

➖:今年、1試合しか戦っていないこと。年内にエロール・スペンスJr.と再戦して鮮やかに返り討ちにしたとしても、評価の大きな上積みは期待できない。敗北はもちろん、拙戦をしてしまうとFighter of the Yearの大本命の座が揺らぐ可能性も。



◯(対抗)ジャーメル・チャーロ。

➕:今週末にカネロ・アルバレスとのメガファイトに勝利すると、クロフォードに次ぐ2階級でのUndisputed Championに。米国史上最大の商品価値持つカネロに勝つ意味は計り知れません。

➖:クロフォードと同じ今年1試合しか戦っていないこと。2012年にノニト・ドネアが最も権威があるFighter of the YearであるSugar Ray Robinson Awardを受賞したとき「年間4試合の世界戦に全勝」も受賞理由の一つに挙げられました。

戦うチャンピオンが評価されるのは当然です。



◯(対抗)井上尚弥

➕:交渉が順調に進んでいると言われるマーロン・タパレスとのジュニアフェザー級タイトル完全統一戦が実現すると、昨年12月のバンタム級に続き2階級でUndisputed Championに。

ライバルが年間1試合で終わりそうな気配の中、2試合を戦い122ポンドのタイトル・コレクションのコンプリートがほぼ確実。

➖:世界的なインパクトという点で大きく劣る「日本で行った超軽量級の2試合」がどこまで評価されるか?階級に貴賎がないとするなら、井上のFighter of the Yearはほぼ確実なのだが…。



△(短穴)寺地拳四朗。

➕:BoxRecのPFPで13位まで上昇、リング誌やESPNも「PFP目前」と評価するジュニアフライ級最強王者。

昨年は井上と共にFighter of the Yearにノミネートされるなど、専門家評価は抜群だが、今年もノミネートが精一杯か。来年の階級完全統一に期待。

➖:アンソニー・オラスクアガ、ヘッキー・ブドラーという新旧強豪の撃破は印象的だが、ライバルたちが2階級でのUndisputed Championという金看板を掲げているのと比べると訴求度は弱い。



☆(大穴)張志磊

➕:チャーロ、井上と同じく「あと1試合」を年内にこなせば可能性があるのがヘビー級の張志磊。

その1試合が世界タイトルマッチになると、相手はWBC王者タイソン・フューリーか、Lineal/Ring/WBA/IBF/WBO王者オレクサンデル・ウシク。勝利前提でFighter of the Yearに激しくチャージします。

➖:非常に危険なヘビー級であることを証明した今、王者にとってはすぐに戦いたい相手ではありません。政治色が強烈な階級だけに、40歳の中国人に美味しい話は回って来ない。

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現時点で、クロフォード以外の候補者は「次の試合で勝てば」という条件付き。ウエルター級史上最も地味な35歳のUndisputed Championが大本命です。

対抗馬は完全統一王座の2階級制覇に王手をかけている、チャーロと井上。

チャーロはカネロ相手に明らかなアンダードッグなのに対して、井上はタパレスを何ラウンドで仕留めるか?。

最も起こりうるのはチャーロが敗北、井上快勝。そう考えると「◯(対抗)」の一番手は井上でも良かったのですが、何しろこのアワードをアジアにもたらしたのはマニー・パッキャオとノニト・ドネアだけ、ジュニアフェザー以下ではドネアだけという、アジア無縁のボクシング界最高賞だけに、ついつい弱気になってしまいますが…。
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1952年5月19日、白井義男が世界フライ級王者(もちろんUndisputed champion)になってから71年もの歳月が流れましたが、いまだに一人のFighter Of The Year も生み出すことが出来ていません。

Fighter Of The Year はボクシングを扱う多くのメディアが制定していますが、トロフィーなどを用意する、つまり賞としての体をなしているのは、リング誌などに限定されます。



多くの人がFighter Of The Year2022をドミトリー・ビボルと考えていますが、十人十色です。

リング誌のFighter Of The Year に選ばれると、例のリング誌ベルトにFighter Of The Year と印字して贈呈されていますが、昨年プリントバージョンが廃刊に追い込まれてからはどうなっているのでしょうか?

昨年は寺地拳四朗がリング誌で
Fighter Of The Yearにノミネートされ、今年はリング誌はもちろん全米ボクシング記者協会でも井上尚弥がFighter Of The Year、中谷潤人がKO Of The Year にノミネートされる可能性は高いと見られます。

現時点でのFighter Of The Year大本命はクロフォードですが、テレンス・クロフォードとエロール・スペンスJr.の再戦が年内に行われ、クロフォードが負けるかブサイクな試合をすると、マーロン・タパレスに完勝することを大前提に井上が賞レースのトップに躍り出ます。


残るライバルはジャーメル・チャーロ。今月30日にカネロ・アルバレスに敗れて、Undisputed title2階級制覇を阻まれると、井上でほぼ決定です。

PFPが全ての階級に広く開放されているのに対して、Fighter Of The Yearは欧米の人気階級に偏っている事実は否めません。

Fighter Of The YearのAward winners、その受賞者たちの系譜を振り返ります。
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