カテゴリ: 世界最強の女

日本は5位が確定した第9回女子サッカーW杯。

4強が出揃い、ニュージーランドの山は、なでしこが破壊したスペインと、なでしこが押し切られたスウェーデンが激突。

オーストラリアの山は、米国がKOされて〝優勝候補〟のイングランドと大番狂せを続けてここまで辿り着いた地元オーストラリア。

スクリーンショット 2023-08-13 11.21.25
 
英国ウィリアム・ヒルの優勝オッズ、トップドッグはなんとスペインの13/8(2.63倍)。イングランドは2番手の15/8(2.88倍)。

スウェーデンは9/2(5.5倍)で、オーストラリアの4/1(5倍)に抑えられ得て最下位評価。

個人的には大勝したスペインよりも、なでしこの欠点を曝け出させたスウェーデンに勝利して欲しいのですが…。 
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

さて、世界最大のスポーツサイト、ESPNです。

◾️For the 450 minutes or so that Japan graced the massive stage that is the FIFA Women's World Cup, few would argue they have not been one of the most exciting sides at the tournament.
Barring an hour or so in Friday's quarterfinal against Sweden, where they were uncharacteristically hesitant, lacklustre and even passive. 


FIFA女子ワールドカップという大舞台を戦った約450分間、日本代表は、この大会で最もエキサイティングなチームの一つと言い切って異論を唱える人はほとんどいないだろう。

金曜日の準々決勝スウェーデン戦では、最初の1時間、彼女たちは珍しく躊躇し、精彩を欠き、消極的でさえあった。◾️


◾️Unfortunately for Nadeshiko, those 60 minutes were ultimately pivotal as it was the period where the Swedes would establish a two-goal lead that proved crucial in a 2-1 victory that saw them advance to the last four -- despite a stirring rally from the Japanese.

なでしこにとって残念なことは、この60分間が最終的に勝負を決する極めて重要な時間となったことだ。スウェーデン代表が2点のリードを築き、2対1で勝利してベスト4進出を決めることは最初の60分間でほぼ決まってしまっていた。 

◾️Even before the tournament kicked off, there were queries over where Japan genuinely ranked among the other title contenders. Any doubts fast evaporated with each dominant win they racked up in the group stage and then the round of 16.

But perhaps they exceeded expectations and finishing as quarterfinalists is roughly where they are at right now. 

トーナメントが始まる前から、日本が他の優勝候補の中で実際に何位に位置するのかという疑問がつきまとっていた。 しかし、グループステージ、そしてラウンド16で圧倒的な勝利を収めるたびに、どんな疑念もすぐに消え去った。

おそらく彼女たちは多くの過小評価を根底からひっくり返した。準々決勝進出者としてのフィニッシュは現時点で正確な順位だろう(世界5−8位)。 ◾️

◾️It is worth noting that Japan's squad at this World Cup has an average age of just 24.9 years. By no means were they a vastly experienced outfit perfectly primed for a charge at the trophy.

From their entire 23-player roster, only captain Saki Kumagai - at 32 - is a major doubt when the next Women's World Cup rolls around in four years' time.

Yui Hasegawa, who almost singlehandedly led Nadeshiko's comeback attempt against the Swedes, should be in her prime come 2027 at the age of 30. The same could be the case for her central midfield partner Fuka Nagano, two years her junior.

Breakout stars Hinata Miyazawa and Jun Endo are both still 23, while Fujino was a fixture in coach Futoshi Ikeda's starting XI at just the age of 19. 

驚くべきは、今回のワールドカップの日本代表チームの平均年齢がわずか24.9歳だったといことだ。 決して、彼らはタイトル獲得に向けて完璧に準備された経験豊富な軍団ではなかったのだ。

23人の全選手リストの中で、4年後の女子ワールドカップで大きな疑問となるのは、32歳のキャプテン熊谷紗希だけ。他の選手は伸び代しかない。 

スウェーデン戦でなでしこの逆襲をほぼ一人で切り開いた長谷川唯は、2027年に30歳で全盛期を迎えている。セントラルミッドフィールドのパートナーである2歳年下の長野風花も間違いなく、そうだろう。

ブレイクスターの宮澤ひなたと、遠藤純はまだ23歳、藤野あおばに至っては若干19歳で池田太の先発構想に定着した。

今回、痛恨の準々決勝敗退をもたらしたとしても、日本人にとっての未来は非常に明るいと見る以外に何が予想できるというのか。◾️


南半球で、若い才能が爆発させた21日間。

来年のパリ五輪、4年後のバンコク大会ではほとんどの選手が全盛期で迎えます。

もちろん、今回のメンバーから入れ替えもあるでしょう。

もし、そのとき長谷川唯が怪我や不調ではないにも関わらず中心選手でなくなっているとしたら、それは決勝戦が終わるまで世界を震撼させ続けるなでしこジャパンが完成しているということです。

それは究極の贅沢ですが、常識的に考えて長谷川のパスに追いつける攻撃陣がきっちり揃っているはずです。
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

その小さな女の子は小学校に入学すると、兄の影響で戸田南FCスポーツ少年団でサッカーを始めた。



「小さいから」。いつも、そう言われた。

「小さいから」。その続きまで聞こえるように言う人は少なかったが、何が言いたいのかはよくわかっていた。

「小さいから、きっとダメ」。


同年代の子供たちと比べても体は一際小さかったが、練習が終わったあと毎晩2〜3時間もボールを蹴り続け、正確なキックを磨き抜いた。

戸木南ボンバーズを経て、小学6年生のとき、2009年に日テレ・ベレーザの下部組織メニーナの入団テストを受ける。



当時、1m35㎝しかなかった華奢な体格を目の前にしたクラブ側は合格させるか迷った。

「クラブは中学生から高校生までが同じチーム。体格差が大き過ぎる」「小さいから…」。

なんと、まだ12歳の小さな女の子は「大きい相手は怖くないし、私は出来る」と面接官を睨み返して来た。


しかし、体の小ささという不安は、すぐに現実となってしまう。練習や試合で年上の大きな相手に体をぶつけられると、枯れ葉のように吹っ飛ばされて、簡単に倒れた。

指導者たちは「単純な技術だけなら上だけど、体格で潰されてしまう」と諦めかけていたが、本人はどこまでも往生際が悪かった。

「相手と当たらない、最悪でも相手が強い体勢では当たらないポジションがどこにあるのか、相手が次にどう動くのか、それをいつも考えていた」という彼女は短期間で驚くべき成長を見せる。

当たりに来た相手が軽々とかわされる、当てられても大きな相手の方が倒れる。

自分よりも大きく強い相手と渡り合い、恐るべき予測能力でボールを奪うスタイルは中学生で完成されていた。

U -18に選抜されると、メニーナ4連覇の原動力になった。

2013年には、飛び級でなでしこリーグに参戦、日テレ・ベレーザを3連覇させる。

2014 FIFA U-20女子ワールドカップ出場を逃したことで、本来の年齢カテゴリーであるU -17女子ワールドカップに出場、チームを優勝に導き、世界的な注目を集めるようになる。

国内リーグにやり残したことがなくなった彼女は、2021年、24歳でACミラン・フェミニーレに移籍。ACミランの誰もが、彼女の小さな体格を不安視していなかった。

イタリアでわずか9試合で3ゴールを蹴り込んだ小さな日本人は、英国からも熱視線を集めていた。

半年で英国ウェストハム・ユナイテッドに移籍。マンチェスター・シティ戦で出色の活躍を見せると、Man Cityの首脳陣が動く。


「あの小さな日本人がどうして倒されないのか、ぶつけられても大きな相手の方が倒れる理由がわかるか?彼女には相手の動きを正確に予測する能力があるんだ」。

「ウェストハムとの契約はいつまでだ?Hasegawaを買え!」。 

昨年9月にはマンチェスター・シティと3年契約を結ぶ。

マンチェスター・シティは公式サイトで、SMALL AND MIGHTY(体は小さいけど、とにかく強い)と紹介した。


「小さいから」は、いつのまにか「小さいけど」に変わっていた。


「小さいから」…もうそんなことを口にする者は、世界中に一人もいなくなった。

https://www.mancity.com/players/yui-hasegawa
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

さて、今日は嗜好を変えて新華社通信(中国)。

日本人が中国や韓国チームを応援するのは極めて稀ですが、相手の見方は違います。

政府間レベルでの確執を一般市民レベルに持ち込むことがどれほど頭が悪くて、愚かなことか、過去や現在、そしておそらく本当に残念ながら未来でも引き起こされている戦争からも明らかです。

高校時代に殴り合うほど仲良くしていた韓国や北朝鮮系の学校に通う同級生たちの何人かは、彼らは出場したくても出場できない夏の甲子園予選の応援に来てくれました。

娘の一人が上海に短期留学、現地で病気になってしまったとき、ホームステイ先のご夫妻がすぐに、どこの大学病院に入院させるかを知らせてくれて、そこの先生の診断結果も本当に丁寧に報告してくれました。

その間も「大切な娘さんをお預かりしたのに申し訳ない」と何度も謝ってくれて、逆に私が恐縮してしまいました。幸い、大したことはなかったのですが、普段病気なんてしないくせに、あんな優しい中国人夫妻を心配させるな!と思ったものです。

彼らにとって、日本は最強のライバルですが、小さな島国なのに先陣切って欧米に挑戦し続けるスポーツ、漫画やアニメで世界中の若者の心を鷲掴みにするカルチャーに日本人の想像を絶するリスペクトを捧げてくれています。



前置きが長くなりました。


新華社通信は戦前から「日本は優勝経験もあり若手世代で大きな成果を残しているから、2度目があっても驚かない」と、日本のメディアよりもはるかに熱い視線を送ってくれていました。

「欧米はアジアを軽視しすぎる」とも。欧米どころか、母国でも期待されていなかったことを考えると耳が痛いです。

スウェーデン戦前に、新華社通信がなでしこに送った熱いエールです。


◾️日本女足在本届比赛中的表现,尤其是对阵欧洲强队的表现,也将给止步小组赛的中国女足以启迪,包括在技术培养、球员使用和战术设计等诸多方面。

今大会における日本女子サッカーチームの眼を見張るパフォーマンス、特に欧州の強豪チームとの対戦成績は、技術トレーニング、選手起用法、戦術など多くの面で、グループステージで敗退した中国女子サッカーチームにも大きな刺激を与え、勇気をもたらしてくれた。◾️



「長谷川唯や長野風花、宮澤はるなのようなプレーヤーが中国にも生まれるかとなると、悲観的になるかもしれないが彼女たちは同じアジア人である。彼女たちの輝きは中国だけでなく、韓国や北朝鮮など東アジアの女子サッカーに大きなインパクトを与えてくれた。明日、中国の長谷川唯が出現するのは無理でも10年後、5年後なら全く不思議ではない」。

そして、スウェーデン戦に向けては「スピードと連携で上回る日本が有利」としながらも、「日本を恐れて引いて戦ったノルウェーとは違う」「日本は相手がどんな戦い方で来ても対応できると思ってるかもしれないが、日本にも欠点がある。セットプレーと防空力だ。ノルウェー戦でも圧倒的な差を見せつけたが、失点シーンはあまりにもあっけなかった」。



◾️穆绍维奇或许将是决定本场比赛的关键因素,这位瑞典门将在淘汰美国队的比赛中曾神奇地做出了11次扑救,令美国队员都感到难以置信。

スウェーデンは、破竹の勢いで勝ち上がってきた日本を必要以上に恐れていない。 世界ランキング3位の北欧の巨人は、世界1位の米国チームに勝利、チームの士気は沸騰している。◾️



◾️而日本队的身体先天劣势,也将成为瑞典队的主要攻击点。挪威人在上一场比赛中证明了这一点,她们的头球证明了日本队的防空能力依然是全队最脆弱的一环。这种身体劣势,在比赛的最后阶段,或许会影响整场比赛的结果。

日本がフィジカルで劣ることも、スウェーデンの付け入る隙になる。 ノルウェー人はヘディングシュートで、日本の防空力が非常に脆弱であることを完全な形で証明した。 この体力的な不利が目立つ展開になると、勝敗に影響を与える可能性がある。◾️


「自信を持つのは大切だが、自分たちが完全無欠だと考えてはいけない。過信してはいけない。小さなアジア人が大きな欧米人に勝つには、フィジカルで正面衝突するのは絶対に回避しなければならない」。





▶︎まさに岡目八目です。それだけ真剣に見てくれているということです。

中国が孤軍奮闘しているなでしこを、同じアジア人として熱烈に応援してくれていることがヒシヒシと伝わってきます。

もし、5年後の中国に長谷川唯や宮澤ひなた、長野風花らが出現したら、とんでもない脅威になるでしょう。 
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

“Of course, we have come here to win the world’s top prize,” Japan midfielder Yui Hasegawa said ahead of the World Cup. “For the future of women’s soccer, results are important. We have a lot of responsibilities, and I want to focus on the results.”

大会前、CNNのインタビューに答えた長谷川唯は「優勝するためにここに来た。日本の女子サッカーの未来にとって結果が最も大切。私たちには勝つ義務がある。結果にこだわって戦っていく」と話しましたが、誰もそれを本気にしていませんでした。

日本では男子サッカーは野球に並ぶメジャースポーツですが、女子サッカーは国内リーグも含めて試行錯誤が続いています。
 
彼女たちには常に逆風が吹き付け、欧米の代表チームだけでなく、欧米のメディアやファンからは信じられないことに、過小評価と戦ってきました。

FIFAの放映権料が跳ね上がったことも理由の一つですが、大会直前までどこのテレビ局も放映に手を挙げなかったのは彼女たちが期待されていないことの裏返し。

快進撃の予兆はありました。世界を肌感覚で知る海外リーグに所属する選手が増えていたのです。

英国マンチェスター・シティで活躍する長谷川は大会屈指のMFと見られていました。ただ、長谷川を起点とした攻撃に見合うだけのFW陣が日本には無いと見られていたのです。さらに近年は、守備の脆さも目立っていました。

なでしこは、その考えが全くの間違いであったことをグループリーグ初戦で思い知らせます。「このチームはFWのタレントと守備にも優れている」(CNN)。

7月22日(土)のザンビア戦から、8月11日(金)までの22日間。なでしこが見せてくれたのは、世界最強チームの夢でした。

「長谷川を封じ込めてフィジカルを全面に出して戦う」。対なでしこの戦略を聞かれたペーター・イエルハルドソン監督は答えました。「それをみんなやろうとしてどこの国も出来ていないが?」と聞かれると「スペインはスピードに戸惑っていたが、単純なスピード勝負にも持ち込まない」。

スウェーデンの戦いぶりは見事でした。

史上最強のなでしこが繰り広げた22日間のShock The World、世界がどう報じたのかを振り返ります。
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

キックオフ直前のオッズは、なでしこの11/12(1.92倍) に対してスウェーデンは24/9(3.67倍)。

明白になでしこ有利でしたが、スウェーデンのフィジカルに押され気味になると、数字はどんどん接近。

前半32分にスウェーデンが先制点を挙げると、オッズは逆転。なでしこ17/2(9.5倍)、スウエーデン7/20(1.35倍)と大きく開いてしまいます。

今大会で初めて先制点を許したというよりも、戦い方が悪い。当たりの強さ、フィジカルで勝負に来てるスウェーデンに守りの時間が増えました。 

スクリーンショット 2023-08-11 17.20.39

ただ、スウェーデンはよく研究してます。

前半を0−1でハーフタイム。池田太がこの状況を想定していないはずがありません。後半どんなモデルチェンジをして逆襲するのか?

後半6分、PKを与えてしまい0−2。厳しい展開になりましたが、時間はまだたっぷりあります。

なでしこのオッズは35/1(36倍)、スウェーデン1/33(1.03倍)と数字上は絶望的に。

2点取られた、なでしこは前がかりにならなきゃいけないのに、それも出来ない、防戦一方。

後半20分、スウェーデンの攻勢が続きます。

なでしこ40/1(41倍)、スウェーデン1/40(1.025倍)に。

後半32分植木がペナルティエリアで倒されPKを得ますが、その植木がPK失敗。痛い。ここで1点差にするのとしないでは全く違う。

オッズは50/1(51倍)、1/50(1.02倍)。

 スクリーンショット 2023-08-11 18.13.58

途中出場の林のシュートで1点差に。オッズは28/1(29倍)と1/8(1.13倍)と一気に縮まりました。

ここに来てようやく、なでしこの時間帯に。 

スクリーンショット 2023-08-11 18.27.55
 
あのPKが入っていれば、あのFKが決まっていたら…そんなこと言い出すとキリがありません。

大会最強と目された日本を、フィジカル勝負に持ち込んだスウェーデンが強かった。

ただ、こんなに課題が明確に浮き彫りになる試合も滅多にありません。

「日本は世界の進歩に乗り遅れている」なんて、もう誰にも言わせません。 
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

スウェーデンのペーター・イエルハルドソン監督は日本に最大限の尊敬を表現しています。

「日本は私たち(ヨーロッパ)が今まで見たことがないチームだ」 「2年前の東京五輪では3−1で勝利したが、最後まで諦めない日本は厄介な相手で点数ほど差のある内容ではなかった」。 「(8強の中で日本はボールポゼッションが一番低いと聞かれて)慰めにもならんよ。それはスペイン戦の数字が影響しているだけだろう。そのスペイン戦はどうだった?攻めまくられてなんとか凌いだ試合だったか?」。

「世界1位のアメリカの次は、今大会最強の日本が相手。ノックアウトステージに楽な戦いはない。(アメリカ戦に続いて明白にアンダードッグと指摘されて)オッズや専門家の予想は気にしないし、そもそも意味がない。大会前に日本がどんなチームかなんて、誰も理解できていなかったじゃないか」。




This Japan team is super adaptable and can beat opponents with whatever they give them.


ESPNのケイトリン・マレーも「日本のような万能型のチームは見たことがない」と語り、「試合展開によってボール支配率が変わる日本は途轍もない順応力を持っている。つまりどんな相手も倒せるということ」と最大級の評価。

マレーは「正直、日本はノーマークだった。宮澤ひなたは過去の代表戦で4ゴールしか決めていないのに、W杯ですでに5ゴール。狂気の沙汰だ」。

サム・マースデンは「池田太と長谷川唯はイタリアと南アフリカ戦(でのスウェーデンの守備)を見てほくそ笑んでるかもしれない。日本の攻撃陣が沈黙するとは考えにくい。ここまでの知性溢れる戦い方から、その綻びを日本が見つけることが出来ないことも考えにくい。2−1で日本の勝利」。

得点が入りにくいサッカーは大番狂せが簡単に起きるスポーツです。

オッズは刻々変化して日本の勝利は23/20(2.15倍)から11/10(2.1倍) 。スウェーデンは23/10(3.3倍)から9/4(3.25倍)と日本有利の基調は変わらず。しかし、大番狂せと呼べる差はありません。

イエルハルドソン監督はこうも言っています。

「私たちは私たちの戦い方を貫くだけ。ロングボールとクロスを上げてゴール前の高さで勝負する。私たちは、なんでも出来る日本代表とは違う。自分たちのサッカーをして負けたなら、それは仕方がない。2試合連続で番狂せを起こせるなんて、最高のモチベーションだよ」。

スウェーデン、強そうです。 一番怖いやつです。


16時10分からNHK総合で地上波生中継です! 
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

誰一人として、彼女たちのことを信じていませんでした。


前回大会の監督、高倉麻子は「急激に進歩した世界の中で、日本は取り残された」と、人ごとのように嘆きました。

英国BBCも米国のCNNも「アメリカ代表が3連覇、アレックス・モーガンが偉大なレガシーをコンクリートする大会」と決めつけていました。


「なでしこに勝ち目はない」「グループリーグを突破できたら上出来」…母国でも彼女たちを信じてくれる人はほとんどいませんでした。

どこの放送局も放映権料の支払いに二の足を踏んだのは、それが高騰しただけではありませんでした。

「サッカーW杯は公共性がある」と、NHKが手を差し伸べたとき。彼女たちは「ありがとう。絶対、後悔はさせません」と誓ったはずです。


_130686981_microsoftteams-image-20.png
スクリーンショット 2023-08-08 23.07.12

ボクシング、特に軽量級のオッズは石のように固まったままのことが珍しくありませんが、さすがメジャースポーツです。ほぼ全てのブッカーがオッズを叩いているのはもちろん、目まぐるしく変化しています。


次戦、世界3位のスウェーデンとのオッズは明白に有利。優勝オッズは26倍から6倍に。得点王争いは宮澤ひなたが単独トップ。

開幕前に誰がこんな〝非常事態〟を予想したでしょうか?

全ては、2年前に池田太が女子フル代表の監督に就任したときから始まっていました。


昨年の男子、サムライブルーも素晴らしいチームでしたが、PFP的な見方をすると、今大会のなでしこは日本史上最強チームに思えてきます。




凱旋帰国の暁には、民放のインタビューに答える前に、ちょっとだけエスプリを効かせてあげましょう。

「(インタビューの)放映権料、高いですよ」。
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

世界ランクは日本が11位。スウェーデンが3位。

1位のアメリカと2位のドイツがすでに敗退した今大会、現存する最高位がスウェーデンです。

ところが、ついにウィリアム・ヒルの掛け率でも下剋上の数字が叩かれています。

日本の勝利は23/20(2.15倍) 。対するスウェーデンは23/10(3.3倍)。

ファーストゴール・スコアラー(最初にゴールを決める)のは田中美南、植木理子が13/2(7.5倍)で一番人気。2番手が宮澤ひなたの15/2(8.5倍)。

ハットトリックは田中美と宮澤が125/1(126倍)。続いて植木の175/1(176倍)。

最も起こりうるスコアは日本が1−0で勝利11/2(6.5倍)。ここまで全ての試合で3点以上取ってきたなでしこですが、スウェーデン相手では大量点は見込めないと見られています。

さて、どんな試合になりますやら。



 
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

優勝候補筆頭の米国代表がラウンド16でまさかの敗退。

90分間と延長30分、押し気味に試合を進めながらもPK戦に持ち込まれ競り落とされた〝史上最強チーム〟は、オッズ上は番狂せを喰らったことになります。

しかし、グループステージからの戦いぶり、そしてスウェーデン戦を見れば、監督・コーチも含めたこのスター軍団は連携と決定力が欠如、チームとしての体をなしていなかったことは明らかです。

ペナルティエリアまで侵入しながら得点できなかったとき、自分を叱るように叫んでいるだけの選手の姿に衝撃を受けました。

同じようなシーンで、なでしこたちは、すぐにバス交換した味方と、ベンチに視線をやって、プレーを再確認、反省しながら微笑み合うのとは全く対照的でした。

野球ならまだしも、サッカーで連携と規律を失えば、個々の力がどんなに強烈でもどうしようもありません。

そして、今週金曜日になでしこと激突するスウェーデンもまた、連携と規律に優れたチームです。

なでしこが七色の攻撃パターンを持つのに対して、スウェーデンはクロスとロングボールから高さというストロングを打ち出す頑なの一撃を持っています。

「ノルウェーの上位互換」というのはナメた表現に聞こえますが、その通りです。

そうです「上位」互換です。

この大会でなでしこが刀傷を負ったのは、ノルウェーの高さに斬りつけられた一つだけですが、あのパターンに持ち込まれると体格で劣るなでしこにはどうしようもありません。

そして、そのノルウェーはオウンゴールで日本に先制され主導権を奪われましたが、ファイブバックの鋼鉄のカーテンを敷いて日本の波状攻撃に備えていました。

「大会前なら強豪のノルウェーがあんな守備陣形を取るわけがない。なでしこはここまで恐れられてるのかと感心する一方で、よく研究されていた」(安藤梢)。

ノルウェー戦は日本にとって、vsスウェーデンに向けての格好のテストマッチでしたが、それはスウェーデンにとっても全く同じことでした。

いいえ、なでしこにとって成功体験となってしまったノルウェー戦は、スウェーデンにとって同じスタイルの隣国の敗北から多くのものを学習できるこれ以上ない教材になっているはずです。

「今日の勝利は明日の悪手」と言い切ったのは羽生善治。

「スウェーデンの高さに頼る攻撃はワンパターン」という意見もありますが、ノルウェーもそうでした。なでしこは、あれほど警戒していたそれに、すでに切りつけられているのです。

「1万通りの蹴りを1回ずつ練習した相手は怖くないが、たった一つの蹴りを1万回練習してきた相手ほど恐ろしいものはない」。そう語ったのはブルース・リー。


真冬の南半球の金曜日。なでしこの前に立ち塞がるのは、残念ながら空中分解したアメリカではありません。

ノルウェーの敗北を目の当たりにし、同じ蹴りを1万回練習してきた規律と信念が貫徹された北欧のチームです。
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

↑このページのトップヘ