カテゴリ: 人気階級で旋風を巻き起こすのだ!

Saturday 14, June 2025

Madison Square Garden Theater, New York, New York, USA
commission:New York State Athletic Commission
promoter:Eddie Hearn (Matchroom Boxing)
matchmaker:Kevin Rooney Jr
 view on DAZN 

IBFライト級挑戦者決定戦



日本ライト級王者にとって、簡単な試合にはならないことは誰もがわかっていました。

しかし、それにしても、ルイスにとってここまで簡単な試合になるとは。


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最初から両者の力量差は明らか。

ルイスの左リード、上下の内分けは見事でした。

第3ラウンドに2度のダウンを奪われると、5ラウンドで一方的になったところで主審が試合を止めました。

キューバの俊才が「三代のことは何も知らなかったが、素晴らしい戦士だった。何度倒されても、私のパンチを恐れずに向かってきた。彼のことを尊敬する」と語ったコメントが全てです。

人気階級の壁が分厚く高いのは承知の上ですが、それにしても29歳のキューバ人は強すぎました。

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Thursday 19, June 2025
  

Ota-City General Gymnasium, Tokyo, Japan

commission:Japan Boxing Commission
promoter:Hideyuki Ohashi (Ohashi Promotions)

view on JAPAN Lemino/USA ESPN+ 

WBOウエルター級12回戦





いよいよ、あと5日に迫った佐々木の世界アタック。

1952年のJBC設立から73年。ウエルター級に挑戦した日本人は、佐々木でやっと5人目。

日本に王者を引っ張り込んでの挑戦となると、これが3度目。1989年12月(WBA王者マーク・ブリーランドvs尾崎富士雄)以来の約35年6ヶ月ぶり。35年に1度地球に接近する彗星、エケクルスのようなものです。

八王子の佐々木が、世界の人気階級ど真ん中を射抜いて、スターに輝けるか?

ウィリアム・ヒルの掛け率は王者が1/4(1.25倍)、挑戦者3/1(4倍)。驚くほど接近したオッズです。

ESPNでは2位と7位(1位はジャロン・エニス)、リング誌では1位と6位(王者はエニス)。世界評価ではけして大きく劣るわけではありませんが、人気階級となるとアジアと世界の差は歴然、この順位が日本人に大きく贔屓した数字であることは誰にでもわかる事実です。

BoxRecでは佐々木が3位でノーマンが4位(1位エニス/2位デビン・ヘイニー)。地域タイトルのレベルを同等に見るPFP的な評価では、実績で佐々木がノーマンを上回るという理屈もありですが…。

いずれにせよ、Mission Impossible。

19日の木曜日。私たちは、佐々木が「日本人、近寄るべからず」の結界を破る瞬間を目にすることが出来るのか?


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今日は築地でお祭り。天気が悪いのが残念。

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本文とは関係ありません。


Saturday 14, June 2025

Madison Square Garden Theater, New York, New York, USA
commission:New York State Athletic Commission
promoter:Eddie Hearn (Matchroom Boxing)
matchmaker:Kevin Rooney Jr
 view on DAZN 

IBFライト級挑戦者決定戦



前日計量は三代が134.6ポンド、クルスがリミットいっぱい135ポンド。


ワシル・ロマチェンコの引退で正規王者に昇格したレイモンド・ムラタラへの挑戦権に王手をかけた大勝負です。

ライト級は人気階級への玄関口。ガーボンタ・デービスやシャクール・スティーブンソンが徘徊、今回はマディソン・スクエア・ガーデンのシアターですが勝てばアリーナでメインの夢も膨らみます。

オッズはクルスの勝利が1/14(1.07倍)、三代13/2(7.5倍)と30歳の日本人が圧倒的不利。

しかし、29歳のキューバ人が東京五輪金メダリスト、世界選手権で3連覇と途轍もないアマチュア実績をひっさげていることを考えると、大きく三代に寄った掛け率に映ります。

タイトルマッチではありませんが、三代の手が挙げられると日本ボクシング史上に輝く大番狂せ、今年のUpset Of The Year の最有力候補になります。


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Wednesday 28, May 2025
  
Yokohama Buntai, Yokohama, Kanagawa
commission:Japan Boxing Commission
promoter:Hideyuki Ohashi (Ohashi Promotions)
view on DAZN /view on Lemino

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https://fushiananome.blog.jp/archives/36616790.html


◾️WBOバンタム級12回戦

©︎武居由樹 vs ユッタポン・トンデイ



◾️IBFジュニアライト級王者決定12回戦

力石政法 vs エドアルド・ヌニェス




それにしても、ボクシングの世界タイトルマッチって年に何回行われてるのでしょうか?月2回なんてレベルじゃありません。

先週土曜日に亀田和毅と重岡銀次郎、そして水曜日に武井芳樹と力石政法。切り取り方にもよりますが、この5日間で4試合です。

これを「世界タイトル」と考えるからややこしくなるだけで、「WBOタイトル」「IBFタイトル」と割り切った表現することで、少しは現実に近づけるでしょう。

ESPNなど一部メディアは、なるべくこの表現をとっています。

さて、試合の興味は武居(1/14=1.07倍)、ユッタポン(13/2=7.5倍)とオッズも予想も大きく開いたバンタム級ではなく、人気階級への導火線・ジュニアライト級の力石です。

2017年のデビューから8年、地域タイトルを丁寧にピックアップ、伝説の名字を名乗る30歳の力石はプロ3戦目の黒星から14連勝中(16勝11KO1敗)。

空位のIBFタイトルを争うのは27歳のメキシカン、ヌニェス。27勝1敗、27の勝利は全てKO。唯一の黒星も7年前の6回戦と、力石と同じようにこの1敗を取り上げて何かを語るのは無意味です。

オッズはアウエーに乗り込んでくるヌニェスが1/2(1.5倍)でフェイバリット。ホームで迎え撃つ力石が13/8(2.63倍)のアンダードッグ。

昨年3月、イタリアはラツィオ・コッレフェッロで最終回の大逆転でWBCシルバーを強奪した力石に、2年連続の番狂せをお見せいただくとしましょうか。




https://fushiananome.blog.jp/archives/35346318.html





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「すみだボクシング祭2025」に参加した佐々木尽が「(6月19日にWBOウエルター級王者ブライアン・ノーマンに勝って、WBC王座に挑戦するマニー・パッキャオも勝てば)できれば、おいしい」と、生きる伝説との対戦に意欲を見せました。


そして、6月14日に三代大訓がマディソン・スクエア・ガーデンのHuluシアターでアンディ・クルスとIBFライト級タイトル挑戦者決定戦を争うことも決定しました。

いずれの試合も絶望的に不利と見られる日本人が勝てば超をいくつ付けて良いのかわからない大判狂わせ。

佐々木尽が勝てば、人気階級ど真ん中をぶち抜くだけでなく日本人初のウエルター級王者。

生ける伝説・パッキャオはもちろん、階級最強ジャロン・エニスら人気と実力で軽量級ではあり得ない大物と対戦する夢が広がります。

三代が勝てばガッツ石松、畑山隆則、小堀佑介に続く史上4人目のライト級王者。それ以前に、世界選手権で三つ、五輪で一つの金メダルを獲ったクルスに勝てば、世界のボクシング界を震撼させることになります。

ノーマンは「高額のファイトマネーが日本行きの決め手になった」と口にしていますが、本音は「敵地でも負ける相手ではない」という見立てでしょう。

ニューヨークで待ち構えるクルスも三代を知っていたかどうか、非常に怪しい。

この2試合で最も起こりうるのは、残念無念を通り越した、なぜ人気階級の壁が分厚く高いのかを残酷なまでに思い知らされる、見るに耐えない凄惨な結末です。

ノーマンやクルスにとって、人気階級に迷い込んだランキングだけが高い日本人はボーナス試合、強敵との対戦に備えた調整試合でしょう。

今回の試合で、佐々木と三代が信じられない覚醒を見せるとは思えません。

もし、相手の絶不調や、完璧な相性、全ての風が追い風になる「万が一」が起きたとしても短い春になるでしょう。

それでも、短い春でも、人気階級で日本人が咲かせた花を見てみたいのです。

奇跡を見てみたいのです。

そして、心のどこかで佐々木と三代が想像を絶するレベルで覚醒して、夢の続きを現実にする光景を見てみたい、そう願っているのです。




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When Goliath Loses

大番狂せが起きるとき。


〝女子格闘技のパッキャオ〟ホリー・ホルムがボクシングのリングに帰ってきます。

ジェイク・ポールのMost Valuable Promotions と契約。

ニューメキシコ州アルバカーキ出身の43歳、戦うために生まれてきたホルムは、6月28日に行われるジェイクとフリオ・セサール・チャベスJr.のメガファイトのアンダーカードに登場します。

ボクシングとMMAで数々の世界タイトルを獲得、印象的なファイトをいくつも繰り広げてきたホルムですが「キャリア最高の試合は?」という注文に、誰もが同じ答えを口に出来る奇特なファイターです。




さて、ニューヨークタイムスが「格闘技界の最大番狂せ」として、「ジャック・デンプシーvsジーン・タニー」「マイク・タイソンvsバスター・ダグラス」脇役に推しやった「ロンダ・ラウジーvsホリー・ホルム」。


ラウジーにはボクシング転向の噂もあり、没落一方の米国ボクシングの救世主になると大きな期待がかけられていた、そんなタイミングでもありました。

米国ボクシング市場よりも悲惨な販売不振で倒産寸前に陥っていたリング誌も、創刊以来初めてボクシング関係者以外、しかも女性を単独カバーに起用する入れ込み用でしたが…。

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来月の東京でも大番狂せが期待される大勝負があります。


Thursday 19, June 2025
  
Ota-City General Gymnasium, Tokyo
commission:Japan Boxing Commission
promoter:Hideyuki Ohashi (Ohashi Promotions)
media:view on USA ESPN+ 


WBO World Welter 12rounds

©︎ Brian Norman Jr. vs Jin Sasaki



さあ、日本のボクシング史が変わる大勝負。

6月19日、人気階級のど真ん中に佐々木尽が斬り込みます!

オッズを蹴散らせ!大番狂せを巻き起こせ!



 
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専用アリーナを持たないプロボクシングは、実に多種多様な会場を〝間借り〟する形で行われてきました。

それもまた、ボクシングの脇役的魅力になっています。

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一般的なのはアリーナやコンサートホール。

後楽園ホールに有明アリーナ、横浜アリーナ、MGMグランドガーデン・アリーナ、T-モバイル・アリーナ、マディソン・スクエア・ガーデン…。

そして、屋内アリーナに収まらないメガファイトは野球やサッカー、アメフトのスタジアムにリングを特設しています。

マニー・パッキャオはカウボーイズ・スタジアム(AT&Tスタジアム)、カネロ・アルバレスはカウボーイにミニッツメイド・パーク、アンソニー・ジョシュアはウィンブリー・スタジアムやトットナム・ホットスパー・スタジアムでメガファイトを繰り広げました。

ミゲール・コットもヤンキースタジアムの特設リングで戦っていますが、ライトスタンドとアリーナ席だけを使って残りは封鎖。試合当日は雨にもたたられ、いろんな意味でコットのホーム、マディソン・スクエア・ガーデンで良かった。

屋根のある東京ドームや大阪ドームはアリーナかスタジアムか、形状的には微妙なところです。ボクシングの興行ではスタンド席とアリーナ席がセットされますが、普段はスタジアムとして利用されているので「スタジアム」です。

闘牛場なんてのも、よくありました。平仲明信がWBAジュニアウェルター級王者エドウィン・ロサリオを92秒で破壊した大番狂せが、メキシコシティーのエル・トレオ闘牛場でした。

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パンデミックの最中では、MGMグランドの会議室を完全防疫したTHE BUBBLE のリングに井上尚弥も登場。リングが置けるスペースがあれば宴会場でも会議室でも会場にしてしまうボクシングの機動性は、他のスポーツではまずお目にかかれません。




前置きが長くなりました。

プロデビュー戦をなんとニューヨーク・タイムズスクエアのリングに上がった堤麗斗の次戦の舞台がやはりニューヨークのルイ・アームストロング・スタジアムに決まりました。

テニスの全米オープンが開催される由緒あるスタジアム。

センターコートは黒人テニスプレイヤーのパイオニアの名前を冠した、一回り大きなアーサー・アッシュ・スタジアム(収容2万3000人)ですが、「アームストロング」も1万4000人を飲み込む巨大なテニスコートです。

テニスに興味がなくても、ボクシングファンならマイク・タイソンの左肩に彫られたタトゥーの人物といえば見たこと、聞いたことがあるでしょう。

ちなみに右肩は毛沢東、左の腹にチェ・ゲバラ。






リングの大きさと構造がよく似た「テニスコート」は、ボクシングの会場に転用しやすいのでしょう。

1980年代のボクシングを知っている人は、当時のメガファイトの定番・シーザースパレスのテニスコートと駐車場に特設された屋外リングが真っ先に思い浮かぶでしょう。

現在、最も有名なのは西岡利晃がノニト・ドネアに玉砕、亀海喜寛がミゲール・コットに挑んだカリフォルニア州カーソンのホームデポ・センター(現ディグニティ・ヘルス・スポーツ・パーク)です。

また、ジョージ・カンボソスは全豪オープンのセンターコート、ロッド・レーバー・アリーナでデビン・ヘイニーとの再戦を戦っています。


それにしても、堤麗斗。デビュー2試合がニューヨーク。第1戦がまさかまさかのタイムズスクエア、2戦目がルイ・アームストロング・スタジアム。

日本で後楽園ホールや有明アリーナで試合をして辺りを見渡すと、何か物足りない気がしてしまいそうです。

ジャズの巨星ルイ・アームストロングの名前を頂くスタジアム。歴代PFPの上位に挙げられることが多い偉大なボクサー、ヘンリー・アームストロングとは関係ありません。


それにしても「アームストロング」です、アームストロング。

「ルイ」は音楽界の巨星。「知らない」と思ってる人でも歌ってるとこを見れば、世界中の誰もが知っているグレートです。

ボクシングファンにとっては、オリジナル8、全ての王者がUndisputed championだった時代に3階級制覇、4階級目のミドル級はドローで届かなかった「ヘンリー」の「3/8(4/8?)」は、団体と階級が増殖した現代のマニー・パッキャオの「8/17」とは比較にならない偉業です。

「ランス」・アームストロングは、アスリートとして世界で最も有名で最も大きな成功を収めた「アームストロング」です。そして、「アームストロング」を超えて、歴史上で最も大きな醜聞を巻き起こしたアスリートでもあります。

さらに、音楽やスポーツの枠を超えて世界で最も有名なのは、人類で初めて月に降り立った「ニール」・アームストロングかもしれません。

そして、直近ならシカゴ・カブスのPCA、ピート・クロウ=アームストロング。まだ何も成し遂げていない23歳のPCAが特別な期待感を漂わせているのは「アームストロング」という名前だけがその理由であるのは疑う余地もありません(個人の感想です)。

俺も欧米で生まれ変わって名前を選べるなら「アームストロング」がいいな。

堤麗斗は「アームストロング」ではありませんが、彼らのような偉大なキャリアを二つの拳で築き上げてくださいませ。ド派手な会場でデビューしたことをファンが忘れてしまうような、ド派手な活躍を期待しています。



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Saturday 11, February 1978
  
Hilton Hotel, Las Vegas, Nevada
promoter:Bob Arum (Top Rank),
Mel Greb,
 Ash Resnick



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Saturday 1, October 2011
  
MGM Grand, Marquee Ballroom, Las Vegas, Nevada
promoter:Bob Arum,
         Fernando Beltran,
       Akihiko Honda

WBCジュニアフェザー級12回戦

©︎西岡利晃
vs
ラファエル・マルケス



***********


Sunday 4, May 2025
  
T-Mobile Arena, Las Vegas, Nevada, USA
promoterBob Arum (Top Rank)
USA ESPN, USA ESPN+

Undisputed title ジュニアフェザー級12回戦



米国ネバダ州ラスベガス。そのリングに上がった日本人ボクサーの数は、数え切れません。

しかし、世界タイトルマッチとなると龍反町、西岡利晃、井上尚弥の3人だけ。いずれも怪老ボブ・アラムがプロモートしたものでした。

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The Bubble。いま思い出しても悲しい記憶しかありません。


井上についてはコロナ禍の2020年10月31日にMGMグランドの会議室〝The Bubble〟(vsジェイソン・モロニー)、2021年6月19日にバージンホテル(vsマイケル・ダスマリナス)と保持するWBA /IBFバンタム級タイトルをかけて戦っていますが、やはりアラムのプロモートでした。

私は1978年の龍反町を知りません。

のちに活字や動画で、当時30歳の反町の偉大な挑戦を知りました。

盟友・輪島功一が当時はマイナークラスのジュニアミドル級で大活躍、日本列島を熱狂させていた一方で、反町は〝ひっそり〟とラスベガスのヒルトンホテル特設リングでウエルター級の名王者カルロス〝King〟パロミノと7ラウンド2分3秒も拳を交錯させ続けたのでした。

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1970年代、日本のプロボクシングはラスベガスへの特別な憧れは存在していませんでした。

プロボクサーの夢は「世界チャンピオンになること」で、敵地でタイトル奪取、防衛は名誉なことと評価される土壌はあっても、ラスベガスだけを不自然に憧憬することはありませんでした。

世界タイトルではないものの、1990年代に辰吉丈一郎はザ・アラジンで2試合、ミラージュで1試合、計3試合でラスベガスのメインイベンターをつとめました。

網膜剥離の規定や世論、日本で試合することに対してさまざまなハードルに囲まれた辰吉にとって、ラスベガス進出は苦渋の決断でしかありませんでした。

辰吉は「いつかシーザースパレスで戦うのが夢」などという、的外れな幻覚は見ていませんでした。

もちろん、人気者の辰吉が西海岸で興行を打つことは、外貨が落とされ、アジアコミュニティーのボクシング熱を刺激することが期待され、現地では歓迎されますが、持ち出しだけが膨らむ難しい商売でした。

「日本でやった方が遥かに注目され、ファイトマネーもずっと高額になる」のは、西岡や井上のケースと全く同じですが、辰吉は仕方なくラスベガスへ向かったのです。

辰吉の1990年代に何が起きて、ボクシング界にラスベガスへの特別な憧れが生み出されてしまったのか?

すでに1980年代から人気スポーツの多様化に推される形で、ボクシングの社会的ステイタスが低下する中で、団体と階級がいたずらに増殖、ボクシングは外からも中からも崩れていきます。

そして、野茂英雄や中田英寿らによって世界最高峰で戦うことこそが、世界的なアスリートの姿であり、米国や欧州の本場で評価される報道がカッコいいというモデルが確立してしまうと、日本が最高峰であり本場であるボクシング軽量級は行き場を見失ってしまいます。

日本が最高峰であり、本場。つまり、米国にも欧州にも軽量級への需要は悲劇的に低いにもかかわらず、彼らは暴走してしまいます。

西岡とその陣営は「MGMブランド」に拘泥し、井上は「T -モバイル・アリーナ」へ押し売り的に売り込みました。正確には、押し売りが自分でカネを払って商品を届けるという、なにがしたいのかよくわからないマッチポンプです。

その結果、西岡は「パッキャオやタイソンが戦ったMGM」の宴会場でWBCから引退勧告が出ているマルケスと、井上は「ラスベガスの最高舞台」でマニアでも知らないメキシカンと、一次価格からどんどん値下げされるチケット、上階席封鎖の会場で戦うことになりました。

もちろん、二人の試合は米国から強烈なリクエストがあっての開催という触れ込みでしたが、実態は自分でカネを払う不可解な押し売りでした。

井上を、大谷翔平と並べて語りたがる大橋秀行や信者も愚か極まります。

ボクシングはメジャースポーツではありません。野球はメジャースポーツとして、米国に大きな需要が出来上がっているマーケットです。

もちろん、再びメジャースポーツになる夢に向かうことは素晴らしい挑戦ですが、その場所は小さな一歩を重ねていくことでしか辿り着けないほど遠くに行ってしまいました。

いきなり身の丈に合わない大舞台を目指して、嘘を重ねるのは逆に遠回りです。サステナビリティの「サ」もない、突発的・その場しのぎでしかありません。

米国に大きな需要がないなら、すでに需要があるアジアで大きなムーブメントを起こして上海やマカオ、バンコク、シンガポール、オーストラリアで興行を開催、ラスベガスや米国から招致されるような流れが、時間はかかりますが、未来につながるはずです。

最初はTモバなど用意してくれないでしょうが、それでもUFCのように成功を重ねていけばTモバでPPVなんて大興行もありえるでしょう。

想定以上の人気となればチケットは「パックメイ」のように値上がり、逆・井上現象もあるでしょう。

もちろん、軽量級の州ランキングすら存在しない米国で成功するのは至難の業です。

このブログでもたびたび紹介している米国BOXING NEWS 24は井上を批判していますが、貴重なメディアです。明らかに興味を示してくれているのですから。

一番腹立たしいのは、高額の放映権料をむしり取りながら無視するESPNです。

世界的に注目度が高い試合が集中するシンコ・デ・マヨで、優先順位が極端に低いのはわかりますが、やっつけのポスターを1枚作っただけで実質的なプロモーションは一切なし。

それなのに、メディアとしてもプロモーターとしてもライバルのDAZNとリング誌、エディ・ハーンとフランク・ウォーレンが企画した「クリス・ユーバンクJr. vs コナー・ベン」の茶番劇を大騒ぎで扱うESPN…。

ちなみに、西岡のMGM、井上のTモバ、二人はともにキャリア最高のファイトマネーを手にするというのですが…。

もうこれ以上、優秀な日本のボクサーをピエロにしてはいけません。




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日本人を寄せ付けない結界が張り巡らされたウエルター級は、世界王者を73年間もの間、一人も産み落とせていません。

…というよりも、73年間で4人しかチャンスが与えられなかったという方が、この結界の正体がわかりやすいでしょう。


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 フジテレビ、残念ながら何も変わらなかった…。


日本人が踏み込んだストロー級からミドル級までの13階級で、ウエルター級と並んで高く分厚い壁が聳えているのがミドル級です。

しかし、ミドル級は竹原慎二、渕上誠、保住正孝、石田順裕、村田諒太が挑戦、竹原と村田がアルファベットタイトルを手中に入れています。

ミドル級で五輪・金、世界選手権・銀の不世出の実績を引っさげて電通やフジテレビなど大企業のスポンサードを得集め、このクラスで4勝を挙げた村田は別格です。

まれに「竹原の方が村田より上」という意見が聞かれますが、村田が圧倒した地域王者レベルに、アジアで限界を見せていた竹原では到底太刀打ちできなかったでしょう。

竹原が偉大であることに何ら異論はありませんが、あれは竹原自身が「俺はここまでバカにされてるのか」と怒りを抑えられなかった、あの日あの時のビール腹を揺らし「タケハラは変な夢を見てはいけない」と心身とも緩みまくったホルへ・カストロだから勝てたのです。

そうです、挑戦機会が極めて少なく、レベルが高いウエルター級は「あの日あの時のカストロ」も「日本人としては突然変異・村田」のような奇跡に恵まれていないだけ、と見ることもできるでしょう。

ブライアン・ノーマンがカストロのようにナメきった調整で日本に乗り込んでくれるかそうかは、わかりません。佐々木尽が世界アタックの大勝負で覚醒することはないと決めつけるのは、現段階では誰もできません。

さて、日本人を拒み続けるウエルターの牙城に挑んで散った4人のファイターたちの物語です。

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1976年10月27日、金沢市の実践倫理会館でWBA王者ホセ・クエバスに挑戦したのは、辻元章次

ヤングライオンの異名を持つクエバスはこれが初防衛戦。序盤から積極的に打撃戦に応じる28歳の辻本でしたが、王者は冷静に対応、18歳とは思えない落ち着きぶりが不気味でした。

クエバスは3ヶ月前に階級最強と目されたアンヘル・エスパダを大番狂せで2ラウンドKOに沈めているものの、パンチャーズ・チャンスをモノにしたと見られていました。

クエバスが4年間も王座に君臨し連続11度も防衛、しかもそのうち10度がノックアウトという脅威の記録を打ち立てる名王者になるとは誰も予想できていませんでしたが、この初防衛戦でその一端を見せていました。

第5ラウンドまでのスコアは三者三様のドロー(辻本から見て23−24/24−24/25-24=当時は5点法)。運命の第6ラウンドを迎える前のインタバルで米倉健司会長の「左のガードを上げもっと足を使え」という指示に辻本は「下がると余計に打たれる、懐に入った方がいいんじゃないですか」と言葉を返しています。

エディ・タウンゼントと周到に練ってきた戦術も動いて空振りを誘い、強打の王者を焦らせ疲れさせることでした。

辻本本人も「(フットワークを使って相手を空転、カウンターを決めていく)自分のボクシングに徹し切れば負ける気がしない」と、自信を見せていたのに、どうして本来ならBプランのはずの打撃戦を初回から選択したのでしょうか?

あれが、王者陣営を撹乱させるためのブラフであったとは考えられません。

クエバスは初来日でしたが、トレーナーのルペ・サンチェスはジョー・メデルやロドルフォ・マルチネスら冷徹なメキシカンを日本に連れてきていました。

そして、クエバスもまたメキシカンらしくない静かなファイターでした。まだ18歳だというのに。

KOされた辻本はグローブとシューズを脱がされても立ち上がることができずに、長々とキャンバスに横たわったまま。深いダメージを物語っていました。

ようやくフラフラと立ち上がった辻本は、青コーナーのロープにもたれかかって男泣きに暮れます。敗者に寄り添うエディが声を張り上げました。

「章次、恥ずかしいないですよ!いい試合やったですよ!」。

エディは、愛弟子が誰に負けたのかをわかっていたはずです。

そして、リングサイドで試合の一部始終を見ていた極東ジムの小高伊和夫会長もわかっていました。「クエバスはもっともっと強くなる」。



このメキシコの超強豪王者が圧倒的不利の予想を立てられ、その予想を上回る惨劇に見舞われてタイトルを失ったとき、一切泣き言を口にしなかったサンチェスが「体重だけでなくリーチなどの体格も階級制にしないといけない」と嘆くことになるのです。

あのクエバスが何も出来ずに転がされる驚異の世界…その幕開けはもう少し後のことでした。つまり、この時代のウエルター級はまだ飛び抜けた黄金階級ではなかったのです。

その意味では、辻本と彼に続いてウエルター級に挑んだ龍反町は〝時代〟を味方に付けていたのですが、とにかく相手が悪すぎました。

辻本はクエバス、龍はカルロス・パロミノ。

日本人にとってウエルター級はレベルが高く、挑戦機会が極端に少ないだけでなく、巡り合わせも最悪でした。

反町隆史の名前の由来にもなった龍反町。1970年代のリングはまだ、メジャーの香りが十分に残っていました。

さて、次は1978年2月11日のネバダ州ラスベガス、ヒルトンホテル。WBCウエルター級タイトルマッチ。

もちろん、メインイベントです。


もし、辻元がクエバスに勝っていたなら、龍がパロミノに勝っていたならーーーウエルター級に結界など張られることはありませんでした。

しかし、そんなことよりもずっとずっと遥かにスペクタクルな光景が日本のボクシングファンに待ち構えていたはずです。

辻元vsトーマス・ハーンズ、龍vsウィルフレド・ベニテス…そんな幻覚を夢想するたびに、やはりこのクラスが特別すぎることを思い知らされるのですが…。






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アイドル人気を集めていたフェザー級の福田健吾が映画「ウエルター」に主演すると知った後楽園ホールのお行儀の悪いボクシングファンは「フェザー級のくせに、嘘つくな〜。正直に『フェザー』にタイトル変更しろ!」と、予想通りのヤジを福田に浴びせました。

日本のボクシングファンは「ウエルター級」が、どういうクラスなのかを、よく知っているのです。

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ウエルター級は、オリジナル8の一つ、他の7階級とともに日本ボクシング界とは最も付き合いの長いクラスです。

しかし、1952年のJBC設立以来、世界王者はたったの一人も生み出せないまま73年もの歳月が過ぎ去ってしまいました。

同じオリジナル8のフライ級は23人、日本人にとって最も重いミドル級でも2人がストラップをつかんでいますが、ウエルター級はミドル級よりも2クラスも軽いというのにゼロ。

1986年に新設されたストロー級は39年の歴史で15人も王者を輩出していますから、ストロー級ペースならウエルター級も30人くらい王者を送り出していてもよいはずというのに、ゼロなのです。

ウエルター級には、日本人を寄せ付けない結界が張られているのでしょう。

しかも、結界は二重に張り巡らされています。

まず最初に、ライト級〜ジュニアウエルター級〜ウエルター級〜ジュニアミドル級〜ミドル級の日本人にとっての重量級クラスは、日本のコントロールが効かない欧米の人気階級であることです。

逆に、欧米の不人気階級、軽量級は日本が好き勝手できるわけです。

その結果、タイトル獲得の手前、挑戦することすら超難関という事実が突きつけられています。

73年間でウエルター級に挑戦した日本人は辻本章次、龍反町、尾崎富士雄、佐々木基樹のわずか4人に過ぎません。結果は、尾崎が2試合戦っているので、5戦5敗。

しかし、この4人全員が王座奪取に成功していたとしても、たったの4人しかウエルター級王者は誕生していないのです。

そして、欧米の人気階級ウエルターは体格的に小さいフロイド・メイウェザーやマニー・パッキャオが主戦場にしたように、報酬も注目度も高いことからタレントを引き寄せる磁力が強烈で、当然競技レベルも跳ね上がります。

人気階級であるがゆえに、日本に回ってくるチャンスが極端に少なく、レベルも非常に高いーーー日本人にとってはただでさえ壁が高い階級、下手な鉄砲しか持ち合わせていないというのに、撃つ回数も極端に制限される…下手な鉄砲を5発しか打てなかったのですから、全部外れても何の不思議もありません。

しかも、5試合のうち2試合はアウエー。

これが軽量級のように、地元日本で月に何度も世界戦が開催されるなら「下手な鉄砲、数撃ちゃ当たる」と期待できるのですが、そうもいかないのが人気階級、ウエルター級なのです。


辻元章次(1976年10月27日vsWBA王者ホセ・クエバス)、龍反町(1978年2月11日vsWBC王者カルロス・パロミノ)、尾崎富士雄(1988年2月5日vsWBA王者マーロン・スターリング/1989年12月10日vsWBA王者マーク・ブリーランド)、佐々木基樹(2009年10月3日vsWBA王者ビチェスラフ・センチェンコ)…高く分厚い、世界の壁に挑んだ4人の戦いを振り返ります。



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