フシ穴の眼 〜スポーツ疾風怒濤編〜

      Hope Lights Our Way / 希望の道を、つなごう。

カテゴリ: 人気階級で旋風を巻き起こすのだ!

五輪ムードは盛り上がりに欠けるものの、開幕するとその話題で持ちきりでしょう。
7月23日の開会式、最終ランナーは誰なのでしょうか?ちょっと気になります。


この開会式に先立ち21日から女子のソフトボールとサッカーなどの競技がスタート!

24日からは柔道も始まり、金メダルラッシュの幕開けです。
image
あと107日と7時間11分33秒です。

その前に、世界に向けて格好の露払いを中谷正義がつとめます。

相手は、ボクシングファンなら誰もが知る、ワシル・ロマチェンコ。

396勝1敗というアマチュア戦績は嘘っぱちですが、史上最高のアマチュアの1人であることに異論はありません。

そして、プロでもフェザーからジュニアライト級では、PFPキングに相応しいパフォーマンスを見せました。

しかし、ライト級に上げてからは肩の故障が慢性化したことを差し引いても、体格差に苦しむシーンが目立ち始めます。

ホルヘ・リナレス戦ではダウンを喫し、テオフィモ・ロペス戦でついに王座から陥落。

プロ初黒星のオルランド・サリドも含めて、ロマチェンコが苦手とするキラー像を集約するとタフで根性の塊で、体格に恵まれた帝拳プロモートの日本人に行き着きます。

「それ」が起きたとしても、もはや番狂わせではありません。
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

中谷正義とワシル・ロマチェンコの試合が内定しました。

会場はこれから詰めていくようですが、日程は6月26日か7月10日の土曜日が予定されています。
スクリーンショット 2020-12-13 17.06.55

日本人が人気階級で評価の高いグレートと拳を交えることは、まずあり得ないことです。
 
欧米の人気階級…ヘビー級とミドル級、ウェルター級が鉄板です。

スター選手が進出することでジュニアミドルや、スーパーミドル、ライトヘビーでもメガファイトが繰り広げられることがありますが、スター選手の〝起点〟はウェルターとミドルです。
 
日本人がこの人気階級と絡むことができない理由は、①ミドル級が事実上の上限階級である日本には、スーパーミドル級以上の人材がそもそも存在しない、②ウェルター級とミドル級は日本の層が薄いだけでなく、欧米の支配力が強くコストとリスクが大き過ぎる、という2点でしょう。

①の背景から、ヘビー級はもちろんスーパーミドル級以上で世界のトップシーンに日本人が立つことは歴史上一度も叶っていません。

②については、日本にもランキングが存在する階級ですが、コストの問題から極めて稀なチャンスが巡って来ても、アウエーに出向くしかありません。

番狂わせで王者に就いたアルゼンチンのホルヘ・カストロのような、コスパの良いベルトホルダーならなんとか日本に引っ張り込むことはできましたが「竹原慎二」は様々な幸運が重なったレアケース、というか後にも先にも一度きりの奇跡です。

この人気階級が必然的に内包する「コストとリスク」をカネの力で一気に氷解させたのが村田諒太です。

しかし、村田にカネが集中した理由は「五輪のミドル級金メダル」というプロで世界王者になるよりも遥かに困難なハードルをクリアしたからこそ。「村田」は「竹原」よりも遥かに奇跡度が高く、不世出かもしれません(そうあって欲しくはありませんが)。



横道に逸れそうなので、本道にハンドルを切ります。

中谷正義が世界のトップに激しくチャージしているライト級です。

 欧米基準では文字通り軽量級のライト級を「人気階級」と断言することは出来ません。

しかし、人気階級への導火線であることは間違いなく、スターダムの頂点に駆け上がるかもしれないタレントも、ときに現れます。

そして今が、その「とき」です。テオフィモ・ロペスやライアン・ガルシアは、人気階級に上げてマニー・パッキャオやカネロ・アルバレス のようなForbes Fighterになる可能性を秘めています。

また、人気階級への導火線・ライト級には、下の階級の実力者も集まって来ます。

リング誌PFPに現役最長の254週間連続でリストアップされているワシル・ロマチェンコ、メイウェザープロモーションズで最も色鮮やかな絵札のガーボンタ・デービスも注目度の低い下の階級からジャンプアップしてきました。

ライト級は、常に人気階級ではありません。しかし、今現在は間違いなく人気階級です。

中谷はその真っ只中で、人気No.1スターに悪戦苦闘の悪夢を見させ、最大のホープを地獄の底に叩き落としました。

とはいえ、 パクス・メキシカーナ、ヒスパニックの時代、米国のスター・システムに日本人が乗ることは「パッキャオの曲芸」を演じることができるなら可能ですが、そうでないならありえません。

いくら楽観的な私でも、中谷がウェルター級のトップ戦線で大番狂わせを何度も起こしてForbes Fighterに登り詰める、なんて近未来は想像できません。

しかし、米国のスター・システムが丁寧に敷いてきた線路を走る貴賓列車を脱線させることは出来ます、何としてもひっくり返して欲しいですねぇ。

 
その前に立ち塞がるのが、線路も温室も関係ないロマチェンコです。

このお話では「人気階級で爪痕を残した日本人」を振り返りつつ〝アジアの鉄人〟と〝ウクライナのハイテク〟の戦力分析と試合展開を予想してゆきます。
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

IMG_5323
桜は八分咲き。来月から取り壊しが決まった「電通築地ビル」(設計・丹下健三/1967年竣工)

春が来ました。

というか、正確には「夏」が来ます。

ESPNが「中谷正義とワシル・ロマチェンコの試合を今「夏」のESPNの目玉カードとして計画している」と報じました。

すでに、ロマチェンコが自身のSNSで中谷戦について触れるなど、明らかに交渉中でした。

ESPNが「ESPNで」と言ってるのですから、もう決まりでしょう。

決まってないのは「夏のいつか?」「会場はどこになるのか?」だけです。

ファンとしては、完全統一王者テオフィモ・ロペスとリング誌を含めた5つのベルトを賭けた再戦が「第1希望」でした。

しかし、ロマチェンコです!「滑り止め」どころか「第2希望」と表現するのも憚られるビッグネームです。

オッズや専門家予想はまだ出ていませんが「ロマチェンコ」と「テオフィモ2」なら、前者の方が厳しい戦いになると展望されるでしょう。

中谷がロマチェンコとテオフィモを撃破する、と信じています。

それでも、敵は巨大です。

万一、ロマチェンコをストップするようなことがあれば「米国を揺るがす」という意味では、日本ボクシング史上最大の快挙です。

棄権に追い込む〝ロマチェンコ勝ち〟を中谷が逆に決めたら、メディアは大喜びでしょう。

日本人ボクサーが戦った相手では歴史上、ミゲール・コット(亀海喜寛)に次ぐビッグネームです。

これまでにも、ロベルト・デュランやアレクシス・アルゲリョが日本人と拳を交えましたが、当時の彼らのキャリアはずっと先の盛夏を控えた〝春先〟でした。

その意味では、初戦のテオフィモもそうです。テオフィモはまだ夏を迎えていませんが。

そして、コットと同じように、ウクライナのハイテクも夏が過ぎた黄昏ファイターである可能性大です。

ESPNは「ロマチェンコは慢性の肩の故障から100%完治した」としていますが、100%完治するなら慢性じゃありません。

もちろん、ロマチェンコが肩に不安を抱えて中谷戦に臨むのは絶対にダメ。完璧な状態でリングに上がってもらわないと困ります。

Lomachenko-Nakatani will be an interesting clash of styles. Nakatani will have a 6-inch height and reach advantage over Lomachenko, who is one of the sport's best technical fighters.

「ロマチェンコvs中谷」は両者のスタイルを考えると非常に面白い激突になるだろう。身長・リーチともに182㎝の中谷は、現役屈指のテクニシャンであるロマチェンコ(170㎝/166㎝)のフレームを圧倒している。


「テオフィモ1」では中谷を過小評価しまくってたESPNも、ようやくその実力に気づいたようです。

世界最大のスポーツメディアにしては気づくのが遅すぎですが、気づかないよりはマシです。

間違いなく、interesting clash になります。そして、世界が驚くでしょう。

中谷は体格だけでなく、リングの上でも小さなウクライナ人をきっと圧倒します。
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

日本人ボクサーによる「大番狂わせ」と「偉大な勝利」を振り返って来ました。

プロボクサーの評価には毎年選出されるFighter Of The Yearのように後世に残るレガシーもあれば、PFPのように評価の基準や期間が相当に曖昧で形として残りにくいものもあります。

リングの外で決められることは、全てが虚飾です。大きな意味はありません。

その意味ではBWAAのFighter Of The Year、シュガー・レイ・ロビンソン杯ですら、リングの中で繰り広げられるスペクタクルを比べるとチンケなものです。

ましてやPFPとなると…。もはや、これは蜃気楼です。

「去年2月17日のリング誌のPFP3位は誰?」。こんな問題に答えられる人がいたとしたら、それはボクシング博士ではなく、バカです、ただのアホ。

それよりもまともな問題「トーマス・ハーンズやシェーン・モズリー、フェリックス・トリニダードはPFP1位になったことがあるか?」ですら、自信を持って答えられる人がどれだけいるでしょうか?

どこのメディアのPFPなのか?というだけでなく、月替わり日替わりで順位が変わるPFPなど誰も記憶に残せません。

かつてリング誌が毎年企画していたBest Fighter Pollは、Fighter Of The YearよりもPFP的な角度から切り込んだ〝ザ・ベストテン〟でしたが、残念ながら2017年をもって30年以上の歴史を閉じてしまいました。

毎年、10傑が選出・発表されるので日替わりの軽薄さはありません。

リング誌の経営難から残念ながらリストラされたこの企画、存在しない2018年からの3年を独断と偏見で決めちゃいます。

私の独断と偏見をあらわにしちゃうと、日本人の軽量級ボクサーが過半を占めてしまいそうですが、PFPの傾向を改めてご確認。

PFPは、実力に見合った注目と報酬を得られなかったシュガー・レイ・ロビンソンの代名詞です。

ヘビー級に注目が偏る中で、素晴らしいパフォーマンスを見せたロビンソンへの〝救済措置〟がPFPだったといっても差し支えありません。

そんな歴史的背景があったにもかかわらず、ロビンソンにとっては皮肉なことに、現代のウェルター級とミドル級は実力に見合った(実力以上?)大きな注目と巨額の報酬を獲得できる豪奢なクラスになっています。

畢竟、PFPとはヘビー級に厳しく、中量級と軽量級に贔屓目な評価になります。「強きを挫き弱気を助ける」。その思想を突き詰めたのがPFPです。

WOWOWの「タイソン特集」で村田諒太が語っていた言葉が真実です。

「ボクシングは、結局ヘビー級なんですよ」。

その、絶対的な真理に対する不条理な理屈がPFPの正体です。だから、実態なんてそもそもあるわけがないのです。

「こっから見たらカネロが一番強く見えるぞ」「確かに、この角度なら井上が2位かも?」。

このブログを見ていただければ一目瞭然ですが、私はPFPみたいな蜃気楼が大好きです。

ただ、ここ数年はPFPを「権威」のように誤解させる報道や、PFPが選手の格や報酬まで決めると錯覚しているゴミムシさんが散見されるようになったことには戸惑っています。

PFPに権威なんてあるかーーーーッ!

だから Mythcal Rankingと言われてるのに。

蜃気楼に実体などない!

「リング誌のPFPは権威がある」なんてのたまう人は、だいたいがリング誌を見たこともないでしょう。

蜃気楼を「重要文化財」と思い込むのと同じ愚行なのです。

逆にいうとヘビー級でランクされてるボクサーの実力は相当なもんということです。



実は、オンライン飲み会と並行して書いてるアクロバットな状況ですが 、これってラストオーダーも何もないですね、今更。つまらない、もう離脱。

Best Fighter Pollの最終年となってしまった2017年のランキングを振り返ります。〜2018年4月号から。
IMG_5200
1980年に1位:ロベルト・デュランでキックオフしたBest Fighter Pollは、PFP理念の「弱者救済」をしっかり実行。

ジェフ・チャンドラーやアントニオ・エスパラゴサ、オルランド・カニザレス、リカルド・ロペスら〝報われない日陰の実力者〟を拾い上げただけでなく、張正九やカオサイ・ギャラクシー、ユーリ・アルバチャコフ、ポンサクレック・ウォンジョンカム、シーサケット・ソールンビサイというアジアの選手もランキングしてくれました。

一方で、40年弱の歴史でヘビー級はマイク・タイソン、イベンダー・ホリフィールド、バスター・ダグラス、レノックス・ルイス、ウラジミール・クリチコの5人だけ(ロイ・ジョーンズを入れるなら6人)。最強階級に厳しい姿勢が浮き彫りになっています。

一方で、ウェルターとミドルの〝ロビンソン救済〟で世に広まったPFPでしたが、37年間続いたBest Fighter Pollのトップを見渡すと、過半を上回る20回もウェルター〜ミドルのボクサーが占めました。

ロビンソンが、この〝惨状〟を見たら「メイパックが最大興行?????ふざけるなよ!」と頭を抱えそうです。

「中谷正義・応援歌」のお話でしたが、完全に違う話になってますね。。。。

まー、でもBest Fighter PollとかPFP とかはロマチェンコを語るときのキーワードです。まだまだ続いて、初夏の大仕事まで、声が枯れるまでエールを送ります!
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

ロベルト・デュランと戦った小林弘やガッツ石松は偉大です。

ウィルフレド・ゴメスとアレクシス、アルゲリョ、エウセビオ・ペドラサと拳を交えたロイヤル小林も偉大です。

もし、彼らが存在していなければ、日本ボクシング史の風景は、なんとも味気ないものになっていたところでした。

しかし、ボクシングもスポーツ、トドのつまりは勝負事です。

モハメド・アリやフロイド・メイウェザーと拳を交えた日本人がいたら、ボクシングファンとしてはそれだけでもゾクゾクすることですが、やっぱり勝負事なんです。

ボクシング界屈指のスターに駆け上がろうとしているテオフィモ・ロペスを悪戦苦闘させ、悔し涙まで流させた中谷正義は素晴らしい!の一言です。

しかし、あの試合で勝つか負けるかではボクサーとして天地の差があったことは誰もが認めるでしょう。

もし、あと一押しして勝っていたら…中谷は全く違う値札を付けたボクサーになっていたはずです。

フェリックス・ベルデホと戦う必要もなかったかもしれません。

もちろん、中谷正義のライト級征服の道は最短距離では進めなかったものの、まだ頂点を狙う位置に踏みとどまっています。

そして、日本で梅雨が明ける頃にはワシル・ロマチェンコとの大勝負が現実味を増しています。

トドのつまりは勝負事なんです。

ロマチェンコ戦で勝つか負けるかは中谷のキャリアの分岐点です。テオフィモとの初戦以上に、勝つか負けるかでは大違いの試合です。

オッズと予想は、中谷のキャリアで最悪に圧倒的不利の数字と記事が並ぶでしょう。

それでも、この試合は勝つしかありません。

というわけで、日本プロボクシング史上で偉大な勝利ベスト10。時系列で並べました。

アマチュアと階級難易度は除外するので、桜井孝雄や村田諒太、竹原慎二の試合は対象外です。
スクリーンショット 2021-02-16 1.04.12
独断と偏見で作っておきながらですが、オンタイムで見たのは「井岡弘樹vs柳明佑」以降です。

異論反論だらけですかね?

ます、ファイテング原田が一人で三つも入ってるのは違和感があるかもしれません。

しかし、3試合全てがUndisputed Championで、その内容も「19歳で初戴冠、日本に8年ぶりの世界タイトルをもたらす」 「史上初のフライ・バンタム二階級制覇」「黄金のバンタムを二度打ち砕いて世界評価をコンクリート」。

原田の「アジア最高」 の牙城は、マニー・パッキャオがオスカー・デラホーヤを倒してようやく崩れたという、途轍もなく堅牢な要塞でした。

「日本最高」も、いつか誰かが更新してくれることを願っていますが…。

井岡弘樹と平仲明信も異論はあるでしょうが「殿堂」選手からタイトルを奪った殊勲を評価しました。

山中慎介はアンセルノ・モレノを破って日本人初のリング誌PFPの扉をコジ開けたことへの賞賛、拍手喝采です。
IMG_4485 (1)
具志堅用高は、ボクサーとして最後の国民的英雄で、私をボクシングに誘ってくれたスーパースターでした。しかし、このランキングでは…ゴメンなさい。リング誌のディケイドPFPに評価されるなど実力には何の疑問もありませんが「誰に勝ったか?」となると…。


そう考えると、このリストでは井上尚弥が一番違和感があるかもしれません。

例えば「2団体時代の渡辺二郎の方が上」という見方もありですが、対立王者を初見で斬り落とした鮮やかさを評価しました。

長谷川穂積のフェルナンド・モンティエル戦がトラウマ的にのしかかっていた私にとっては、悪霊を振り払ってくれた圧勝劇でした。個人的な思いが強いです。

具志堅は「誰に勝ったか?」の物差しで〝落選〟で、同じく誰にも勝ってない井上は〝当選〟っておかしくないか?というかもしれませんが、こんなの独断と偏見です。

あのグラズゴーの大勝負。長谷川vsモンティエルに似た、気味が悪い符号がいくつもありましたが、全部気のせいでした。まさしく、悪霊を幻滅してくれました。
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

「初夏にワシル・ロマチェンコ戦」。

中谷正義にビッグファイトの扉が開かれつつあります。

テオフィモ・ロペスを苦しめ、フェリックス・ベルデホを攻め落とした31歳の日本人が米国で刻んだ星勘定は1勝1敗。中谷目線で見ると、どちらも悪戦苦闘しました。

それでもテオフィモとベルデホ相手に見せた勝負根性から、ライト級ウォーズの惑星の一つと数えられるポジションを掴み獲りました。

負けたらトップ戦線離脱に直結するベルデホ戦のオッズは、プエルトリカンが1.36倍、中谷2倍。予想以上に拮抗した掛け率から透けて見えたのは、中谷の高評価以上にベルデホへの不信感でした。

リング誌は「27歳のプエルトリカンは非常に難しい相手を迎える」と書いた通りに、UPSET OF THE YEARにこの試合を選びませんでした(受賞はテオフィモvsロマチェンコ)。
2020-award-upset-1-770x481
今夜はUPSET OF THE YEARで名前を残した日本人を振り返ります。

出色は60年代に三度もUPSET OF THE YEARに登場したファイティング原田

矢尾板貞夫の突然の引退で〝ピンチヒッター〟の白羽の矢が立ったのは、まだ19歳の原田。 

1962年10月10日、蔵前国技館、世界フライ級王者ポーン・キングピッチを11ラウンドKOに砕いた試合は、8年ぶりに日本に世界タイトルをもたらした大快挙でした。
スクリーンショット 2021-02-14 22.37.54
1965年5月18日、愛知県体育館で「黄金のバンタム」から世界バンタム級王座をもぎ取った試合は今なお、日本ボクシング史上最高の勝利。

そして、敗者の側に回ってしまったのは1968年2月27日、日本武道館でライオネル・ローズを迎えた一戦でした。

WBA世界ジュニアライト級王者・小林弘も1971年7月29日、アルフレド・マルカノに足元をすくわれて敗者としてUPSET OF THE YEARに名前を刻んでしまいます。

1980年8月2日、デトロイトのジョー・ルイス・アリーナで小林が奪われたWBAジュニアライト級のベルトをサムエル・セラノから強奪したのが上原康恒。トーマス・ハーンズvsピピノ・クエバスをセミファイナルに押しやっての堂々メインイベンターでした。

ファイティング原田の60年代から各ディケイドでUPSET OF THE YEARを賑わせてきた日本人の名前は90年代、00年代と消えてしまいます。

しかし、2011年4月9日に石田順裕が大仕事をやってのけました。舞台はMGMグランドガーデンアリーナ、相手は米国最強ホープのジェームズ・カークランド。

昨年10月にはNHK「逆転人生」で世紀の大番狂わせが紹介されるなど、21世紀のシンデレラストーリーの誕生でした。

そして、2018年4月15日、横浜アリーナ。比嘉大吾は体重計の上でタイトルを失った挙句、クリストファー・ロサレスに9ラウンドでストップ負けを喫してしまいます。




▷▷▷「中谷vsロマチェンコ」は6〜7月にセットされる見通しです。

日本人がのUPSET OF THE YEARを飾る試合を、ゆっくり追いかけてゆきます。
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

ボブ・アラムがワシル・ロマチェンコの復帰戦に中谷正義を計画していることを明らかにしました。

時期は「二人の前戦で負傷した怪我(ロマチェンコは右肩/中谷は右眼窩底骨折)が完治して、試合の準備が整う初夏」で、会場は「ロマチェンコが無観客のThe Bubbleを敬遠しており、有観客で開催できる大会場」と、すでに調整が進んでいる模様です。

「7月上旬の土曜日、テキサス州の大会場」が最もありうるスケジュールでしょうか。
スクリーンショット 2021-02-14 15.12.27

現在、トップランクが抱える135pounderはテオフィモ・ロペスを筆頭に8人。

ロマチェンコの対戦相手候補は自身とロペス、中谷に粉砕されたフェリックス・ベルデホを除いた5人に絞られます。

ローマン・アンドリーフレイモンド・ムラタリャジョセフ・アドルノエリック・ピエンテ、そして中谷。

31歳の日本人以外は無敗です。

元WBOインターコンチ王者(現王者は中谷)のアンドリーフはロシアを主戦場とする34歳。トップランクとは契約関係が弱く、地元プロモーターの看板選手だけに〝落選〟。

Dangerの異名を持つ11戦全勝9KOのムラタリャは、8回戦の経験が1試合しかない24歳。ハイテクの復帰戦にはあまりにも役不足。

14勝12KO1分と強打のアドルノは強豪との対戦がないばかりか、前戦で咬ませ犬のヘクター・ガルシアに大苦戦(スプリットドロー)。やはり、円熟のウクライナ人が相手をするボクサーではありません。

ピエンテに至っては今日プロ5戦目(5勝0KO)に勝利したばかりの21歳。ロマチェンコと同じリングに上がる意味も資格もありません。

…これはどう考えても、中谷しかいません。

テオフィモを悪戦苦闘させ、ベルデホの希望を摘み取った日本人。


試合決定なら「ビッグネーム相手」という観点では、亀海喜寛vsミゲール・コットに次ぐ大勝負です。

亀海と対戦時のコットは超ビッグネームとはいえ、カネロ・アルバレスに敗れて2年近いブランクを作っていた36歳で、「どう散るか?」を模索していた黄昏時でした。

ロマチェンコもライト級で閉塞感を漂わせていますがまだ32歳、リング誌PFPでも堂々7位に入るトップ選手。あのときのコットとは違います。

亀海が大金星を逃したことまで考慮すると、もしロマチェンコの牙城を崩すようなことがあれば…最も世界を揺るがせた日本人ボクサー決定です。

ライト級で対戦相手のフレームを持て余す傾向が強いロマチェンコにとって、身長182㎝/リーチ180㎝の中谷はキャリア最大の脅威。

中谷の驚異の打たれ強さと、不屈の根性もウクライナのハイテクを機能不全に陥らせる可能性は十分です。 
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

日本の中谷正義がフェリックス・デルベホを9ラウンド1分45秒でノックアウト。

空位のWBOインターコンチネンタル・ライト級タイトルがステイクされていましたが、全くどうでもいい話です。

この試合は、同じトップランク傘下のテオフィモ・ロペスとの出世争いに大きく遅れをとったデルベホにとって、絶対に負けられない崖っ淵の戦いでした。

テオフィモが大苦戦した中谷を鮮やかに粉砕すれば、来年前半にもカリブのスター対決が実現するはずでしたが…。
200px-MasayoshiNakatani
「バターのように滑らかなテクニック」&「天から降りてきた虹の才能」vs「頑強極まる鋼鉄の顎」&「不撓不屈の精神力」が激突したとき、砕け落ちたのは前者でした。


一方で、もう一度躓くようなことがあれば、多くのメディアが書き立てているように「トップランクはベルデホのスター路線を解除する」ことになります。

プエルトリコのダイアモンドにとって、敗北は〝ボクサーとしての死〟を意味する大一番でした。

オッズはアバウト1−2と「やや不利」 とはいえ、ほとんどの予想は「スピードとテクニックで上回り、初黒星から4連勝と立て直してきたベルデホの中差判定勝ち」。

中谷にとっては引退、1年5ヶ月のブランクから帝拳移籍の第1戦。ベルデホと比べたら敗北の重みは大きくありません。

それでも、勝利への飽くなき執念を見せたのは中谷でした。

トップランクの青写真、米国ファンの台本にはプエルトリコのダイアモンドがロペスを泣崩れさせた〝一発屋〟の日本人を鮮やかにストップして、もう一人のカリブの人気者との決戦に向かうはずでした。

しかし、台本通りに物語が進んだのは6ラウンドまで、
nakatani-verdejo-official-scorecards


「集中力が持続しない」「スタミナに不安がある」…ベルデホに指摘される短所は「打たれ弱さ」以外は、ボクシングに全身全霊を賭けていない、単純に厳しい規律をもって練習していないという自業自得の帰結に見えてきます。

アマチュア時代から米国のプロモーターが争奪戦を繰り広げたのは、プエルトリカンという血統書だけではありません。

今日の中谷戦でも非凡な才能は随所に見せました。

Top Rank, the promoters for Verdejo, are going to need to make a decision on whether it’s worth it to keep him with their stable or cut their losses and given up on the idea of turning him into a star. It’s obviously not going to happen. 

トップランクはベルデホのスター路線を継続するのか、それともここで諦めるのかという決断を迫られている。ベルデホがスターになるーーそれはもはや叶うことがないことが明らかになったが。


確かに、負け方は悪過ぎました。逆転負けを喰らうにも、あまりにも淡白でした。もっと足掻かなきゃいけないんです。

それでも、実は「絶対に負けられない戦い」なんて無いんです。 

ロベルト・デュランはメガファイトを途中で投げ出し、マニー・パッキャオは世界戦で体重超過を犯しました。二人ともボクサーとしては最低の試合をキャリアに刻んでしまいました。

しかし、石の拳のノーマスは何故か今では伝説(偉業)扱い、未来のパックマンの汚点は誰もが忘れています。

これからベルデホが復活して、世界王者に就くことは絶対に無いとは誰も言えません。

今日の中谷が序盤で喫した2度のダウンのように、ベルデホの絶望的に見える二つの黒星も劇的なキャリアを演出する舞台効果になるかも知れません。

リングの上では何だって起きます。どんなことでも起こせるんです。
スクリーンショット 2020-12-14 0.22.38
↑CompuBoxって見にくいんですよね、色使いとか字体が。なるべく、ESPNやリング誌の見やすく加工されたものを引っ張ってますが、見当たらないので。


I'd like to see Stevenson wait for Lomachenko.(ESPN:キャメロン・ウルフ記者)

ボブ・アラムがこの興行で描いた絵面は「シャクール・スティーブンソンのライト級への助走」でした。

米国で最も贅が集まるウェルターのカードをテレンス・クロフォード1枚しか持たないトップランクにとって、有力なタレントを抱えるライト級は最後の生命線です。

テオフィモ・ロペスをスーパースター候補にスタンバイさせることに成功した今、その周りにいかに〝絵札〟を並べるかがプロモーターの大仕事です。

「史上最高のテクニシャン」ワシル・ロマチェンコと、「ロマに五輪で敗れた雪辱の物語を持つ」ベルデホ、そして「ネクスト・メイウェザー」シャクール。

そんなロペスを核にしたライト級ウォーズのシナリオを、中谷がビリビリに引き裂いたのです。

すでに中谷はロペスに対する〝ジョーカー性〟を発揮しています。トップランクは、ロペスvs中谷2を簡単に用意する気はないでしょう。

タイソン・フューリーというロペス以上のエースを持つとはいえ、契約関係は脆弱。ロペスが中谷に負けてしまうと、トップランクの手元に残るカードはウェルター級なのに不人気クロフォードの一枚だけ。

トップランクにとってロペスが日本人に負けることは悪夢です。

「ロペス2」を望むメディアやファンを無視して、中谷に厳しいマッチメイクを突きつけてくるかも知れません。ここは、帝拳には絶対に遠回りはさせて欲しくないです、妥協しないで、次はロペス!です。

世界戦ではないことから、今日のスポーツニュースでもほとんど触れられていませんが「ボクシングのメッカは米国」という点で、中谷は井上尚弥はもちろん、村田諒太も凌ぐ、鮮明な狼煙を打ち上げました。

来年、中谷がマジソン・スクエア・ガーデンのアリーナのリングでメインを張り、FOXがPPVで全米生中継する。これ、もはや夢とか、あと1試合勝てばという段階を越えています。

ロペス人気に乗っかる形とはいえ、ロマチェンコもホルヘ・リナレス戦でしか上がれなかったMSGのアリーナです。

「ロマvsリナ」はチケットの売れ行きが芳しくなく上階席封鎖。

ロペス父やファンから「人気がないならおとなしくシアター(5000人キャパ)でひっそりやってろ」と揶揄されたのを歯がゆく思ってましたが、今度は傲慢なロペス父をアリーナでしっかり号泣させてやりましょう!
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

↑このページのトップヘ