カテゴリ: がんばれニッポン!

1992年5月11日、私は後楽園ホールのリングサイド席にいました。

メインイベントは東洋太平洋ライト級タイトルマッチ。

王者の大友巌はこれが6度目の防衛戦。5度連続防衛しているとはいえ、その内容は2勝3分。2つの勝利は一つがKOでしたが、もう一つはスプリットデジション。

けして安定した政権とは言えませんでしたが、6度目の防衛戦が絶望的な目で見られてたのは全く別の理由からでした。

IMG_3371

大友の前に立ち塞がった挑戦者が、グッシー・ナザロフだったからです。

試合後、ジムの大川寛会長が「3回までという(大友との)約束だったが、これが最後と思ってラストまでやらせた」と公言したように、大友は王者にもかかわらず、陣営までが序盤で粉砕されると覚悟したリングでした。

当時、大友の戦績は22勝19KO4敗5分。まだ28歳の若さでしたが、典型的な激闘型ファイターで肉体的ダメージの蓄積が深かっただけでなく、ライト級という世界戦を組むのが非常に難しいクラスであったこともモチベーションをキープするのに苦労したはずです。

当時はすでに4団体時代でしたが、JBCが認めていたのはWBAとWBCの2団体のみ。

ライト級タイトル挑戦には、今以上にカネもコネも莫大なコストがかかる時代でした。

当時、すでに「ボクシング人気は落ちた」と嘆かれていました。1970年代までの「世界王者>>>プロ野球のトップ選手」という絶対の不等式はもはや絶対ではなくなり「6回戦でも食うだけなら食っていける」なんて時代からファイトマネーの保証は据え置かれたまま…世界王者になっても読売ジャイアンツのレギュラー選手よりもはるかに無名…。

それでも、全体市場は沈下一方でも、辰吉丈一郎や畑山隆則、亀田興毅、長谷川穂積、西岡利晃、井岡一翔、井上尚弥と間歇的にヒーローが生まれてきました。

また、ボクシングファンに支持される世界とは無縁でも大友巌のような後楽園ホールのヒーローたちは水道橋にマニアックな熱気をもたらしてくれました。

そして…。後楽園ホールのヒーローたちはいつの間にか絶滅してしまいます。

後楽園ホールを熱くした拳を、大友巌から縦横無尽に辿っていきます。


このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

11月24日、トヨタアリーナ東京。

中谷潤人のleftovers(残飯)の一つ、空位となったWBCバンタム級のストラップを争うのが井上拓真と那須川天心。

井上と井岡と亀田、父と子の物語を紡いで来たのは彼らだけではありません。

キックボクシングからボクシングへ。

日本ではMMAが根付いていないこともあり、プロ格闘技の中でもボクシングの地位は抜きん出ています。つまり、天心はボクシング転向からここまで、頑迷な〝長年のボクシングファン〟の多くから懐疑的な視線で見られ続けてきたということです。

もちろん、天心が勝ってきた世界ランカーは認定団体のデタラメランキングから産み落とされた雑魚、ジェイソン・モロニーも元〝穴〟王者に過ぎません。

ただ、それは井上尚弥も含めたほぼ全ての現代ファイターの共通項。今回、天心が戦う拓真の相手も質が低い相手が目立ちます。

フロイド・メイウェザーとの茶番劇まで含めて、天心と弘幸の2人が最も挑戦的な Patrilinealität でしょう。

那須川親子にとって、この試合が大きな節目となるのは間違いありません。

そして、この試合を熱望した、実績的には格上の拓真と尚弥もまた絶対に負けられない戦いになります。

スクリーンショット 2025-08-30 13.45.06

日本での戦前予想は拮抗していますが、英国skybetなど海外のオッズは天心の勝利が1/6(1.67倍)、拓真4/1(5倍)と、明白に元キックボクサーを支持しています。

完全劣化版41歳バージョンのリボリオ・ソリスのスローモーション・ボクシングに手こずった拓真が、天心のスピードと機動力についていけるとは考えられません。

天心から見ても、ここまで非力な相手はキャリア初、怖さはゼロでしょう。

天心27歳、拓真29歳。年齢的には大きな隔たりはありませんが、キャリア7戦の天心は発展途上、20勝2敗の拓真は戦績こそ悪くないものの、完全に底を晒しています。

オッズの通り、天心に完敗すると、「井上尚弥の弟」という重い十字架に押しつぶされるかもしれません。…引退でしょう。

一方の天心はそこまで追い込まれてはいません。

その心理面が吉と出るのか、凶と出るのか?


個人的には、天心の終盤ストップ勝ちを予想します。






このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

1. 山田 2025年09月27日 12:53

ワタシの記憶が確かなら、ドネア対モンティエルの時に
「勝った方俺とヤレ!」
と、言っていたような…


▶︎▶︎▶︎亀田興毅ならそう聞かれたら、そう答えていたでしょうし、聞かれてないわけないから、そう言ったでしょうが、私は逆に記憶がありません。

ただ「ドネアvsモンティエル」(2011年2月19日)が行われたラスベガスのマンダレイベイ・イベンツセンターのリングサイドに亀田興毅の姿はありませんでした。

そして、当時の報道を振り返ってもWBA(セカンド)王者の興毅との対戦を期待するメディアは確認できず、多くの人が実力的にはもちろん、興毅本人が対戦に積極的であるはずがないと決めつけていました。

IMG_3255
IMG_5605

興毅の3階級制覇はボクシング・ビート、ボクシング・マガジン、いずれの専門誌でも表紙を飾ることなく、小さな扱い。それどころか、記事の内容は非常に批判的でした。


ちなみに、日本のボクシングファンの間でも大きな話題となったこの試合、戦前は日本では「互角」と見られていましたが、米国では「ドネアのKO勝ち。問題はいつ倒すか」。

日本のファンの心情には「The Real 長谷川穂積からタイトルを強奪したモンティエルが強いに決まっている」という応援の気持ちが強かったのです。

2人はかつてのスパーリングパートナーでしたが、その内容はドネアがパワーで圧倒していたと伝えられ、この試合でも「2ラウンドKO」を予告する余裕ぶりだったことを報道する日本メディアはほとんどなかったはずです。

そして、日本では注目の試合でしたが、米国では誰も興味を持たない「外国人の軽量級対決」。WOWOWなどのメディアはモンティエルを「人気者」と表現していましたが、メキシカンとはいえモンティエルは全く人気がありません。

この試合でもドネアの生贄役で、メキシコ人は「弱いメキシカンが屠られるのを見たくない」という気持ち。

さらには、そもそもの注目度が低く、上階席は封鎖。当日のリングサイド席は100ドル台まで投げ売りされました。HBOの放送枠も二線級扱い。

日本の3000人レベルのアリーナでやれば、間違いなくフルハウスになってリングサイドが5万円でも完売したはずです。

そして、ボブ・アラムは「ドネアは不良債権」と名指しで非難、両者の関係は冷え切り、ゴールデンボーイ・プロモーションズへの移籍騒動に発展するのでした。

それでも、この試合はPFPファイター同士の対決。

勝利したドネアのランクを3位に引き上げたリング誌は「モンティエルごときに勝っただけで3位はない。同じ2ラウンドKOでも、ポール・ウィリアムスをもっと衝撃的に轟沈させたセルヒオ・マルチネスの方が上」とマニアや他のメディアから非難されるとドネアの評価を下げました。

コーナーに戻った長谷川穂積を「強い、過去最強や」と驚かせたモンティエルでしたが、ドネアからは予告KOが宣言できるほど「フェイントにすぐ引っかかるし、なによりもスピードがない」相手でした。

そんなモンティエルでも3階級制覇できるのが、4-Belt Eraという時代です。

IMG_3256

ちなみにーーー。

話はさかのぼって「亀田興毅vsアレクサンデル・ムニョス」のWBAセカンド王者決定戦(2010年12月26日)が行われた、さいたまスーパーアリーナ。

リングサイドにはドネアが座っていました。

目の前で見た興毅のボクシングについては関心を示さなかったドネアでしたが、大会場の熱気には「いつかぜひ、ここでやってみたい。私の試合でもこんなに盛り上がってくれるだろうか?」と感動していました。

その夢は、8年後と11年後、2度も実現するのですが、それはまた別の話…。

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

Koki Kameda should've faced?

亀田興毅は誰と戦うべきだったのか?

…日本ではメディアもファンも優しい人ばかりなので、こんなことを言い出すのはレアケースですが、海外では普通に突っ付かれてしまいます。

フロイド・メイウェザーなんてダースで突き詰められていました。

IMG_0233 (1)

メイウェザーは強豪から逃げるな!「品性下劣な卑怯者なのに負けない」マネーはファンだけでなくメディアまで踊らされてしまいました。

全く面白くない試合なのに驚くべきPPVの数字と、ラスベガスに大きな恩恵をもたらし、巨万の富を手に入れたメイウェザー。

全てを計算づくで演じていたメイウェザーと、何も考えずにテレビに踊らされ、ファンの非難轟々に戸惑い狼狽える亀田とは、ボクシングのレベルは言うに及ばず、ヒールとしての自覚、矜持が全く異なりました。



さて、亀田興毅の3階級。

それは、軽量級で好き勝手している日本のボクシング界でもどうしようもない劣悪なものだったのでしょうか?

亀田がアルファベットのストラップを手にしたジュニアフライ級、フライ級、バンタム級は、認定団体の忖度と亀田側の思惑によって強豪を回避しながら作られた〝日本初〟だったのでしょうか?

では、亀田が戦うべき王者、強豪とは誰のことを指すのでしょうか?

※2013年までJBCが認可していなかったIBFとWBOの王者、強豪との対戦は基本的に想定しません。



【WBAジュニアフライ級】

2006年8月2日:vsファン・ランダエタ(決定戦/12R判定)
〜2007年1月18日:減量苦により返上。


ストロー級でWBAの地域タイトル、世界タイトルの実績があるランダエタがWBA決定戦に出場することには何の不自然さもありません。

また、ボクシングは「誰に勝ったのか」が全て。「決定戦だから評価できない」なんて理屈はありません。

とはいえ、ランダエタに議論を呼ぶ判定で勝ち獲ったタイトルをランダエタとの再戦で一度防衛しただけのジュニアフライ級での実績はゼロ評価するしかありません。

主要4団体ならどのタイトルにも価値がある、とか狂言・妄言を撒き散らさなければ、このタイトルには何の意味もありません。

強打のWBC王者ブライアン・ビロリア(2005年9月10日〜2006年8月10日)に勝利を収めていたなら、海外のマニア評価は急騰していたでしょうが、最初のタイトル挑戦で危険を排除するのは、大手ジムのホープにとっては常識です。

帝拳や大橋でも同じことに手を染めており、そこに決定的な差は認められません。





【WBCフライ級】

興毅が減量苦からジュニアフライ級のストラップを放擲した直後、軽量級シーンに超新星が誕生します。

2007年7月7日、ノニト・ドネアが多くのメディアでPFPに数えられていた階級最強王者のIBF /IBO王者のビック・ダルチニアンを〝後の先〟の左フック一閃、大番狂せに沈めたのです。

小さなレイジングブルは、世界戦と6度の防衛戦の7試合を全勝6KO。KOを逃した唯一の相手はドネアの兄グレンでしたが、試合は一方的で負傷判定に持ち込まれたもので、実質オールノクアウト。

誰もが「兄弟揃って可哀想に」とドネアの惨敗が決めつけられた試合でしたが…。

もし、興毅が「日本は住みにくいわ!(IBFに挑戦することで)JBCライセンスが剥奪されても階級最強のダルチニアンに挑戦する!」と勇躍、米国に乗り込んでいたならーーーボクシングファンは「見直した!」と拍手喝采したでしょうが、結果は無惨極まるものにしかならなかったでしょう。



IMG_2755

ボクシングの社会的地位が没落した21世紀に30%以上の視聴率を叩き出した亀田は「社会現象」と表現しても差し支えない存在でした。

2009年11月29日:vs内藤大助(12R判定)
〜 2010年3月27日:vsポンサクレック・ウォンジョンカム(12R判定)


3階級制覇の興毅が唯一、王者から奪ったストラップがWBCフライ級でした。この試合は、日本列島を刺激する国民的関心事となり、視聴率は42.1%。国民栄誉賞も検討された具志堅用高にコンマで迫りました。

もし、興毅が品性下劣で低俗・低脳でないベビーフェイスなら、ボクシング界で唯一の国民栄誉賞に選ばれていたでしょう。

初防衛戦は32歳のポンサクレック。23歳の興毅が圧倒的に有利と見られ、リング誌は「勝てばPFP入りも」と評価していました。しかし、結果は全盛期を過ぎたタイ人に完敗。ポンサクレックがPFPに。

IMG_7043


【WBAバンタム級】
2010年12月26日:vsアレクサンデル・ムニョス(決定戦/12R判定)
〜 2013年12月6日(返上)


ムニョスとの一戦は、PFPファイターのアンセルモ・モレノがスーパー王者に昇格したことによってセットされた決定戦。

日本では嫌悪感むき出しでも「3階級制覇」でしたが、海外の多くのメディアは同一団体・同一階級に複数の世界王者が存在することを認めていないため、これは真っ当な王者ではなくセカンドタイトル扱い。

ジュニアフライ級のランダエタと同じように、ムニョスもWBA事情を抱えるファイターで、亀田にタイトルホルダーになって欲しいWBAとしては当然の措置。


IMG_5606
IMG_5607
 帝拳や大橋が同じことをしても絶賛するのに、悪意しかない記事…。


ただ、勝利者インタビューで「自分では3階級制覇とは思ってへん。バンタム級最強は誰?モレノでしょう。来年、WBC /WBO王者フェルナンド・モンティエルはドネアに負けるやろ。モレノとドネア、PFPファイターの2人を倒せば文句ないやろ!?」とぶち上げてたら、ボクシングファンは「見直した!」と拍手喝采していたでしょうが、そっちを選択するとモレノに玩具にされ、ドネアに木っ端微塵に破壊される未来しか待っていませんでした。

その代わりに、彼が大見栄を切ったのは「5階級制覇したら文句ないんやろ!」でした。

ーーー4-Belt Eraにおける数字には何の意味もないのです。興毅がマークした階級最強を倒さない3階級制覇、実質的には一つの階級でもNo.1になっていないのですから、0階級制覇です。

アルファベット団体のガラクタベルトを3つ集めただけのコレクター、それが亀田興毅でした。チャンピオンを「世界一強い男」と定義するなら、彼はその座に一度も就いていません。

彼はチャンピオンではなく、認定団体から愛され、ファンから唾棄された、ガラクタ集めが趣味の頭の悪いコレクターでした。




そしてーーーー。

井岡一翔の4階級にも〝瑕疵〟があるのか?

井上尚弥の〝5〟階級は「最強」を回避せずに到達したのか?

彼らは誰を避けて、誰を選んできたのか?…まだまだ続きます。




このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

非常に興味深いカードが発表されました。

バンタム級は井上尚弥が焼け野原にしたあと、中谷潤人が席巻、短期間に二度もの〝大規模火災〟に見舞われて、その土壌は無惨に痩せ細ってしまいます。

「しっかり蕾を付けて大きな花を咲かす」と語った那須川天心ですが、こんな土壌で大輪の花など咲くはずもなく、どんな花が咲こうが徒花です。

とはいえ「井上」の名と血をひく拓真と、日本ボクシング史上最強の侵略者、天心の激突です。

この試合をバンタム級の頂上決戦と考えるボクシングファンは1人もいませんが、それでも非常に興味深いマッチアップです。

さらに面白いのが勝敗予想。

「井上」に対して真吾トレーナーや拓真まで信心するファンを中心に日本では拓真有利の声が強含みなのに対して、海外ブッカーは天心を明白に支持しています。

天心の勝利が1/6(1.16倍)、拓真は4/1(5倍)。

6-1レベルの差はないと思いますが、どちらが負けるとショッキングか?となると、日本でも多くの人は「天心」と答えるでしょう。

私も天心が有利と見ます。オッズを無視しても、拓真が明白に勝つようなことがあれば大番狂せの感覚です。

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

2025/9/25  18:21 のコメント

ドシロウト

亀田に懐疑的なマニアは試合前に既に激昂してたんでしょうが、素人はダウンまで彼の弱さに気が付いてはいませんでした。

少なくとも世間全体の完全なアンチ化は試合開始までなかったと思います。

世間はストーリー性を好みます。

対戦者が出稼ぎのバイトや鎖に繋がれた犬でも金で世界ランキング一位に付けて、井上みたいにスカッと倒せる相手を用意できれば、少なくともドキュメンタリー番組「ZONE」や「バースデイ」から続く酩酊感のまま世間全体は推移したでしょうね。

コラボキャンペーン弁当を試合の次の日に打ち切ったローソンは当日まである程度の強さは信じていたんでしょう。

とにかく亀田に落ち度があるとしたら弱かったことだけでした。


IMG_6758
⬆︎リング誌さん、KOKIではなくDAIKIです。私たちが同じ犬種で同じ大きさ、同じ毛色だと区別がつかないように、外国人の目からは大毅も興毅も一緒に見えるのかも?


ベネズエラ大使館のへの励ましと、TBSへの抗議の電話殺到からも明らかなように、あの試合から亀田へのバッシングが社会現象と呼んでも差し支えないほどにエスカレートしました。

そして、多くの人が興毅が用意された生贄のランダエタに圧勝すると考えていました。


「とにかく亀田に落ち度があるとしたら弱かったことだけでした」ーーーその通りです。

そして、強ければ…間違いなく賛否両論が巻き起こっていたでしょう。

「悪いのはボクシングの構造だ」「プロだから強ければいい」ーーー江川や桑田がそうであったように。

下劣な言動を繰り返したフロイド・メイウェザーが、もし弱ければ、ボクサーとしても評価されず、セルフマーケティングの天才でなければ、とんでもない注目を集めることもなかったでしょう。

しかし、残念ながら、亀田は4団体時代の〝世界基準〟でも弱かった…。悲しいかな、弱かった。

メイウェザーのように周到なセルフマーケティングによって下劣な言動を繰り返していたのではなく、あまりにも知能の低い彼らはヒールではなくヒーローになれると思っていたフシまであるのですから、呆れ果てるしかありません。

試合前の下劣なトラッシュトーク、リングに上がると情けないボクシングしか出来ない、非力なのにグラスジョーという興毅はまさにピエロでしたが、そう見てくれる人はいませんでした。

亀田騒動とは、悲劇でも喜劇でもない、見るに耐えない弱いものイジメでした。

下劣だからといっていじめても良いーーーそんなわけがあるはずもないのに、JBCまでもがイジメに加担しました(その代償はあまりにも大きかったのですが)。




そして、亀田興毅が日本中を敵に回すことになった2006年から5年後に、同じ大阪から井岡一翔がプロデビューするのです。






このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

2006年8月2日の夜半過ぎから1週間ほど、ベネズエラ大使館の電話はひっきりなしに鳴り続けていた。

こういう事態が起きると、何かしら抗議の電話であるケースがほとんどだが、そうではなかった。

なんと、全ての電話が励ましと応援だった。

一方、TBSには翌日までのわずか半日ほどの間に5万件以上の電話がかかってきたが、こちらはほぼ全てが抗議の内容だった。

スクリーンショット 2025-09-22 20.28.28

2006年8月2日、横浜アリーナでWBAジュニアフライ級王者決定戦が行われて、TBSが生中継した。

オープニング・ラウンド。27歳のベネズエラ人が、まだ19歳の亀田興毅から痛烈なダウンを奪ったが、試合は判定までもつれ込んだ。

多くの人はファン・ランダエタが勝ったと見たが、オフィシャルはスプリット・デジションで亀田家の長男を支持していた。

115-113/114-113/112-115。3人のジャッジのスコアを合計すると141-141のイーブン。試合内容から大きく乖離した判定ではなかった。

多くの人が亀田の負けと思い込んだのは、初回のダウンの印象が強烈だったから、それだけの理由ではない。

TBSに煽られる形で、世間の感情を逆撫でする言動を繰り返していた亀田一家への賛否は、試合前には「否」が圧倒的多数派に膨れ上がっていたのだ。

そして、元ストロー級王者との王者決定戦。

JBCがまだIBFとWBOを認可していなかった2006年8月2日の〝世界情勢〟はWBAがロベルト・バスケスの返上で空位。WBC王者が当時無敗のブライアン・ビロリア

〝ハワイアン・パンチ〟ビロリアは軽量級の世界で「大きなカネが動く」と海外でも名前が広まっていた亀田との対戦を熱望していたが、同年8月10日の2度目の防衛戦(vsオマール・ニーニョ)に敗れて御破算に。

WBAもWBCも軽量級としては破格の認定料が期待できる興毅を王者に取り込もうとしていたが、空位の王座と安全な対戦相手を先んじて決定戦を用意したWBAが〝勝利〟。

この政治的な一連の動きはボクシングファンの反感を買い、さらに試合前に来日したWBAのヒルベルト・メンドサJr.会長は亀田史郎を謁見、ミニチュアベルトを贈呈したことで「亀田がボクシングを冒涜している」という空気が決定的になった。

そして、初回ダウンの末の判定。

ニュースも新聞も「疑惑の判定」と騒ぎ立て、口の悪いファンは「亀田がジャッジを買収した」とまで中傷した。

Boxing is not a sport, it's a show.

ボクシングはスポーツではなく、サーカスと同じ興行。


世界的な統括団体が存在せず、営利だけ追求する認定団体が跋扈、〝世界タイトルマッチ〟はローカル・コミッションが統括、ローカル・ルールが適用される。

研修も免許の更新もないジャッジが物議を醸し出すのは亀田に限った話ではない。

WBAが用意した3人のジャッジが無意識のうちに忖度した可能性はあるが、亀田がジャッジを買収することはあり得ない。

メンドサ会長が父親に特製のミニチュアベルトを渡して予祝したことも、亀田側が働きかけたのではなく、逆だ。メンドサ会長から亀田に擦り寄ったのだ。

かつて、辰吉丈一郎はシリモンコン・ナコントンパークビューを大番狂せで下したリング上で「スライマン会長のおかげ。何度も何度もチャンスをくれた」と公然と口にし、長谷川穂積の所属するジムの会長は「WBCには恩義がある」とやはりテレビカメラの前で語っている。

こんなスポーツは他にはない。

「亀田がボクシングを冒涜している」…とんでもない理屈だ。

冒涜も何もボクシング界は亀田以前から腐っていて、亀田を絶好のカネヅルと見るや認定団体の方からすり寄ってきたのだ。

TBSに利用され、WBAの歓待を公然と受け入れた亀田家にも非はあるが、一番悪いのはTBSと腐ったボクシング界。

そこに目を向けないから、ボクシングはどんどん堕落してしまった。

亀田家は知能が低く、TBSに踊らされた挙句にハシゴを外された。ファンもメディアもJBCまでもが亀田を糾弾した。

江川卓や桑田真澄…日本中から非難轟々の弓矢を射られたヒールはこれまでにもいたが、亀田が最も憎まれたヒールだろう。

ヒール…本来は憎まれても強いのがヒールの定義。弱いヒールはヒールではない。

亀田は憎まれたが、けして強くはなかった。

その意味で、亀田はヒールにすらなれなかった。


IMG_2610

さて、待ち人来たるで、ここで失礼。

続きます。













このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

A Tale of The Three Patrilinealität〜三つの家族の物語


いつかどこかで書きかけだった亀田と井岡と井上の三つの父子の物語ですが、ちゃちゃっと探しても見つからないので、あらためてーーー「三家物語〜A Tale of The Three Families 」の始まりです。

史上初の3階級制覇を果たした亀田興毅。

史上初の4階級制覇を果たした井岡一翔。

史上初のFighter Of The Year を獲得した井上尚弥。

そして、日本中から唾棄されながらも一枚岩の結束を見せ続ける亀田家、日本中から愛されながら不動の信頼関係を築き上げた井上家に対して、マッチメイクへの不満から父と袂を分かった井岡一翔。

この3つのPatrilinealitätは、カジュアルなボクシングファンが抱くようなステレオタイプなイメージで語ることはできません。

※Patrilinealität:父が自らの夢、果たせなかった夢を、子供(たち)に託する、父系の大河ロマンのこと。←「Patrilinealitätの意味を説明しなさい」なんてテストに出ても良い子はこのまんま書いてはダメですよ。





父・史郎は興毅、大毅、和毅の「3人とも世界王者にする。3人でないと意味がない」と激白、2000年からTBSが亀田一家の過激な言動を強調する形で特集番組を制作、賛否両論(当時は「賛」の方が多かった)を巻き起こしました。


2003年、大阪のグリーンツダジムから亀田興毅がデビュー。大きな注目を集めたのは言うまでもありません。

TBSの〝亀田特番〟への注目度はさらに跳ね上がり、世間では一家の下品な言動への反発が少しずつ増えてゆきました。



やはり、中学1年のときからグリーンツダでボクシングを始めた井岡一翔は、大阪の興國高校から東京農業大学に進み、2008年の北京五輪を目指します。

しかし、全日本選手権で林田太郎に敗れ、北京への夢は絶たれてしまいます。

大学を中退、大阪に戻ると、2009年に井岡ボクシングジム(現・匠ボクシングシム)からプロデビュー。

ファイティング原田、柴田国明に続く史上3年目の2階級制覇を達成した叔父・井岡弘樹の血を引くことから、早くから「サラブレッド」と注目されていました。




IMG_4984
IMG_4991

2012年、ロンドン五輪出場をかけた予選会を兼ねたアジア選手権で準優勝に終わり、五輪の夢が絶たれた井上尚弥は、井岡弘樹の現役時代にライバルと注目された大橋秀行の大橋ボクシングジムからプロデビュー。

「井岡一翔が持つプロ7戦目での最速世界王者の記録を更新する」と宣言。その後のインタビューなどで「デビュー当時のボクシング界が嫌いだった」と吐露し、「勝てる相手を選ぶ」「井上家では簡単に世界チャンピオンになりたいと言う言葉を発せられなかった」と、明らかに亀田一家に向けた嫌悪感を隠すことなく口にしました。





父と子のリングに賭けた物語、始まり始まり。





このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

井上尚弥vsムロジョン・アフマダリエフから1週間。

スクリーンショット 2025-07-27 17.02.29

井上と陣営の発言だけでなく、キャリアを通して初めて見せた慎重な〝倒さないで勝つ〟ボクシングは、少なくとも彼らの認識の中で30歳のウズベキスタン人が過去最強の相手であったことは疑いようがありません。

デタラメランキングが当たり前の4Belt-eraでは、穴王者と雑魚挑戦者が溢れています。

しかし、アフマダリエフはオリジナル8の時代ならランク外でも、2団体時代でも堂々の世界ランカーだったかもしれない強さを持っています。

それでも…「負傷が完治しないままの試合だった」「相手を舐め切っていた」「多くの人が勝っていたと支持した議論を呼ぶ判定」という言い訳を全て受け入れたとしても、あのマーロン・タパレスとクロスゲームをしてしった弱さも抱えていました。

現代の4Belt-eraですら、将来、MJが強豪王者、安定王者に君臨するとは考えられません。

もちろん、スティーブン・フルトンのように上のクラスでアルファベットのストラップをピックアップする可能性がないとは言えませんが、フルトン同様に「強い!」というよりも「相手が弱すぎ」という4Belt-eraならではの戴冠劇なら、という注釈が付きます。

現時点で、キャリア最強の相手がフルトンかアフマダリエフ…この2人が今後、殿堂入りのキャリアを残したり、PFPランキングに数えられるとは敬虔な井上信者ですら想像だにできないでしょう。

どちらがそこまで逆襲出来るかとなると、強豪相手に番狂せを起こせるのはMJの方だと思いますが、あくまで「どちらかといえば」。常識的に考えると、どちらもダメです。

もし、ガーボンタ・デービスに勝ったとしても、PFPに数えられることがレアなことから分かるように「弱い相手に豪快に勝っているだけ」というのがタンクの評価。

PFPファイターのシャクール・スティーブンソンを倒せば、もう誰も「パッとしない対戦相手だらけ」とは言わないでしょうが…。

井上のキャリアを振り返ったとき、スクーターとMJが最強だったとなると、歴代のFighter of the yearの栄誉に輝いたグレートの中で、対戦相手の質は史上最低だったと言われてしまっても何の不思議もありません。

もちろん、これは高いレベルでの話。

井上が2020年代においてオレクサンデル・ウシクやテレンス・クロフォード、カネロ・アルバレスに続く、ディケイド4位のポジションに付け、上位3人と引退年が重ならない限り、日本人2人目となる近代部門での一発殿堂もほぼ確実。

バム・ロドリゲスやデビッド・ベナビデス、あるいは中谷潤人ら若い勢力が井上のレガシーを上回ったとしても、2020年代のトップ10からこぼれ落ちることはないはずです。

来年、PFPファイター中谷との対戦がほぼ内定していることは非常に大きなポイント。

とはいえ、あの才能が一度も冒険の海に乗り出すことなく、リカルド・ロペスのように自分の小さな港湾から外海に出ないままキャリアを終えるとしたら、やはり残念です。



このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

日本人ボクサーのディフェンス能力は高い?それとも低い?

またまた、何を基準に語るのかわからない、答えのないお話です。

BoxRecのカテゴリーに「OPPONENTS TOTAL CONNECT PERCENTAGE LOWEST」というのがあります。対戦相手のパンチ的中率が最も低い…なんて訳していても分かりにくいので、簡単にいうと「被弾率」です。

もちろん、これは低ければ低いほどいい。

スクリーンショット 2025-09-20 15.22.39

どの試合、どの期間を切り取るかで順位は全く変わってきますが、1位はドミトリー・ビボル。シャクール・スティーブンソンよりも上というのは意外な気もします。

相手の攻撃を空転させるのではなく、職人技のブロックが基本のビボルはディフェンスマスター映えはしませんが、相手のパンチを一番よく殺しているということです。

ブライアン・カスターニョがランキングされているのはさらに意外。

井岡一翔と寺地拳四朗が19.3%で同率4位というのも、2人の直近の敗戦を生々しく目撃した日本のボクシングファンには意外かも。

井上尚弥(20.5%)とムロジョン・アフマダリエフ(20.6%)が並んで9位と10位。

スクリーンショット 2025-09-20 15.46.48

14.2%のビボルと16.7%のシャクールは別格にして3位以下は横一線、そんな感じでしょうか。

ちなみに、井上のアフマダリエフ戦での被打率はシャクール並みの16.5%ですが、ジャブを「23ヒット/320:10.0%」に抑えたのが効いており、パワーパンチは146発中39発をもらって被弾率は26.7%に跳ね上がります。

IMG_3226

ジャッジペーパーはフルマークでも文句のない内容でしたが、被弾は目立ちました。

それでも「皆さん、ありがとうございました!アウトボクシングもいけるでしょ!誰が衰えたって?」の呼びかけに納得できたのは、連打を許さなかったから。

見事に黄信号(赤信号)を渡り切ったアウトボクシングでした。

それにしても、ビボルの14%台は出色に見えますが、アルツール・ベテルビエフ戦は被弾することが少なくありませんでした。

中谷潤人が他のカテゴリーでもほとんど顔を出していないのもまた、意外です。数字で見えてこないステルスですなあ。







このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

↑このページのトップヘ