フシ穴の眼 〜スポーツ疾風怒濤編〜

      Hope Lights Our Way / 希望の道を、つなごう。

カテゴリ: 村田がカネロを倒す!

どんなボクサーにも欠点はあります。

complete fighterなど、歴史上ただの1人も存在しません。

モハメド,アリにもフロイド・メイウェザーにもマニー・パッキャオにも天敵と呼べるジョーカーのスタイルが存在しました。

アリの場合は自身を上回る身体能力も持つケン・ノートン、メイウェザーはチェスファイトに乗らないホセ・ルイス・カスティージョやマルコス・マイダナ、パッキャオは高い危機管理能力を持つ稀代のカウンターパンチャー、ファン・マヌエル・マルケス。

アリとパッキャオは勝ち越している、メイウェザーは辛勝しているとはいえ、彼らにも明らかにジョーカーは存在しました。
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今のカネロ・アルバレス がcomplete fighterに見える理由。それは、まだジョーカーを引いていないという一点に尽きます。

カネロの唯一の敗北はメイウェザー。肉体的なダメージはほとんどないあの試合は、タッチボクシングの授業料と考えると、安いものでした。
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カネロは、捉え所のないエリスランディ・ララにも空転しました(科学的なボクシングが大好きな〝ラスベガス判定〟が「単なる突進」を評価した画期的な試合)。

しかし、メイウェザー戦は8年前でキャッチウェイトを強いられていました。ララ戦からも7年が経っています。

この7〜8年でカネロは劇的な進化を遂げた。。。そう言っても否定できる人はどこにもいません。
 

ただし、カネロのキャリア全般を通して、今なお一貫して回避しているスタイルがあります。

ビッグパンチャーです。

ジュニアウェルター級時代はチャーロ兄弟を避け、ミドル級に上げてからもゲンナディ・ゴロフキンとの決戦を先延ばしました。

野球でもテニスでもボクシングでも、あらゆるスポーツにおいて最も厄介な相手はパワープレーヤーです。

パンチャーとの戦いにおいては「一発をもらわないこと」に意識が傾きます。伸び伸びと自分のボクシングをすることは出来ません。当たり前です。

ノニト・ドネアや井上尚弥相手に「リラックスする」とか「相打ち狙い」のボクシングなんてあり得ません。

カネロは、用意された相手を粉砕して地域タイトルを集め、衰えたビッグネームを食い、体重超過やキャッチウェイトを繰り返しながら自信と実力を蓄積してきました。

2015年のジェームス・カークランドはビッグバンチャーではないことは、誰も異論ありませんね。

セルゲイ・コバレフにしても、私生活の乱れと経年による劣化版で、リバウンド制限の保険までかけた試合でした。

ボクシングが巧い相手との豊富な対戦経験。それが、カネロの防御技術に飛躍的な向上をもたらしているのは間違いありません。

そして、温室の中に敷かれた線路を走る高級列車は、キャッチウェイトなどで弱らせた生贄を轢き続けてきました。
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しかし、カネロはcomplete fighterではありません。ジョーカーを引いてないだけで、陣営がそこに近寄らないように細心の注意を払って来ました。

どう考えても、心身ともに頑健なビッグバンチャーは、必ずカネロのジョーカーになるでしょう。
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村田諒太の次戦がゲンナディ・ゴロフキン、そして年末にカネロ・アルバレス。そんな連続メインディッシュな話が、ボクシング180年の歴史であったでしょうか?

。。。。。まだ、何も決まってないんですけどね。

ただ、何事にも準備は大切です。

まずは、一部メディアでPFPキングに推されている赤毛のメキシカンからです。
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カネロで特徴的なことは、身長173㎝/リーチ179㎝のミドル〜スーパーミドル級としては極端に小さなフレームです。

リング誌のスーパーミドル級ランキングの上位選手を見渡すと、1位:デビッド・ベナビデス(187㎝/196㎝)、2位:ケイレブ・プラント(185㎝/188㎝)、3位:カラム・スミス(191㎝/198㎝)、4位:アンソニー・ディレル(188㎝/189㎝)、5位:ビリー・ジョー・サンダース(180㎝/)…カネロの小さな骨格は異様なほど際立っています。

単純な身長・リーチでは、井上尚弥(165㎝/171㎝)らのバンタム級の方がまだしっくりくるほどです。

もちろん、ボクシングは身長・リーチでクラス分けされていません。

体重です。身長やリーチの差を跳ね返す〝ダビデ〟はボクシング界では珍しくありません。

しかし、それにしても〝ゴリアテ〟揃いのスーパーミドル級のカネロはあまりにも異質です。

ダビデに必須の戦力はスピードです。そこに、フロイド・メイウェザーの完璧な防御や、マニー・パッキャオの波状攻撃が上乗せされると、大抵のゴリアテは倒壊します。

いずれにしても卓越したスピードを大前提に、高度で独創的な攻防技術でゴリアテとの正面衝突を避けるのが必勝のメソッドです。

しかし、カネロは違います。ゴリアテ相手に、一見パワーボクシングを仕掛けているように見えます。

もちろん、実態はそうではありません。

メイともパックとも違うスタイルです。

あえて近似したサンプルに挙げるとしたら、マイク・タイソンでしょうか。

しかし、タイソンがバックステップを踏めない欠陥品だったのに対して、カネロは下がったとしても優位に試合を進めることが出来る万能型です。

「現時点でフリオ・セサール・チャベスを凌ぐメキシコ史上最高ボクサー」「現在生きているボクサーでもPFPキング」という声まで聞こえて来る30歳のメキシカンは、完全無欠のファイターなのでしょうか?

ボクシング大国、メキシコでは偏執的なまでに打撃戦が好まれ、拳の戦争を回避するボクサーには容赦無いブーングが浴びせられます。

たとえ異邦人でも、打撃戦から一歩も引かないパッキャオのような恐れを知らないファイターが、かの国では支持されるのです。

それがメキシカンスタイルです。

メキシコ史上最高の人気者カネロですら、ゲンナディ・ゴロフキンとの初戦で引いて戦ったことには会場でもメキシコメディアでも批判が集まりました。

メキシカンはある意味、十字架を背負っています。

リカルド・ロペスのような美しいボクシングは好まれません。

メキシコの人気者、グレートは誰もが地獄の一丁目で喧嘩ファイトを繰り広げてきたスラッガーたちでした。

カネロもメキシコのスラッガーの系譜に名前を連ねるファイターに見えます。

しかし、データはそうではありません。
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名だたるメキシコのグレートと比較してもカネロの防御技術は図抜けています。

これは2年前のデータですから、今はその〝防御率〟は更に研ぎ澄まされています。

本来は両立しないはずの「精密で高度な防御技術を操る強打のファイター」。理想のファイター像にカネロが接近しているのは間違いありません。

誰がカネロに勝てるのか?

もしかしたら、その段階はとっくに過ぎて「誰がカネロといい勝負ができるのか?」のステージに突入しているのかもしれません。



マービン・ハグラーやシュガー・レイ・レナードはカネロを粉砕したでしょうか?

アンドレ・ウォードならメイウェザーがキャッチウェイトでやった授業を、スーパーミドルでカネロにほどこすことができるでしょうか?

「誰が168ポンドでカネロに勝てるのか?」。

…仮想対決に続きます。
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やっぱり巨大スタジアムでのボクシングの試合は素晴らしい。

ハードロック・スタジアムの作り、雰囲気は最高でした。できれば太陽と風が感じられる日中にやってほしかったです。なにしろフロリダですから。


カネロ・アルバレスは今年あと3試合を戦う予定です。

5月8日にビリー・ジョー・サンダース戦が発表されました。シンコ・デ・マヨの期間です。

すでに立ち上がっているオッズは1/6(1.67倍)–4倍。

当然、メキシコに近い西海岸やラスベガス、テキサスが会場になります。

ラスベガスのアレジアント・スタジアム(ラスベガス・レイダースの本拠地)と、テキサス州アーリントンのAT&T スタジアム(マニー・パッキャオやエロール・スペンスJr.らが戦っているダラス・カウボーイズの本拠地)が有力候補と報じられていますが、いずれも巨大スタジアム。

いいですね〜、どでかいスタジアムでのメガファイト。

そして、ビリーをビリビリに引き裂いたあとは9月にケイレブ・プラントか、それともミドル級からゲンナディ・ゴロフキンやジャーモル・チャーロを引っ張り上げるという噂もあります。

〝第4戦〟は東京も視野に入れているといいますから、そうなると相手は一人です。

「村田諒太vsGGG」の交渉がどのレベルまで進んでいるのか不明ですが、カネロとGGGからコクられたら、GGGに「ごめんなさい」するしかありません。

もし、カネロがサンダースとプラントを撃破すると、完全統一王者として来日することになります。

「村田にスーパーミドルの王座に挑戦する資格があるのか?」なんて野暮は、プロボクシングの世界で言っちゃいけません。

面白くなってきました。 
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Saturday 27, February 2021
Hard Rock Stadium, Miami, Florida, USA  

Super Middle Contest, 12 Rounds
Ring magazine World Super Middle Title
World Boxing Council World Super Middle Title
World Boxing Association Super World Super Middle Title


前日計量は両者とも167.6ポンド、リミットを0.4ポンド下回る体重で一発クリア。

1/50(1.02倍)と14/1(15倍)。数日前から動きません。

オッズと専門家予想では勝敗は全く興味の外、完全なミスマッチです。

それでもカネロ陣営や共同プロモートしたエディ・ハーンに批判が集まらないのは「今年は4試合する」と30歳のスーパースターが明言しているからです。

ファンもメディアも「4試合するなら、前菜を食べても構わない」ということです。

もっとわかりやすく言えば、ミスター・ロボットは、カネロが無傷に近い状態で残りの試合をこなせるように用意されたサンドバッグです。
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https://www.youtube.com/watch?v=V2GVQTtMvL8&feature=emb_logo

左後方にはリング誌、WBC、WBAの大型ベルトが並び、広告塔はヘネシー、テカテビール。

ハードロックスタジアムのフィールドにカネロのために作られた特設リングの上で、29歳のトルコ人は不撓不屈の精神でカネロに立ち向かうでしょう。根性は見せるはずです。

多くの戦前予想が溢れていますが、トルコ人の勝利を推すものは見当たりません。

2017年5月にイルディリムと対戦(12ラウンド判定負け)したアントニオ・マルコ・ペリバンの予想が最も的確に聞こえます。

「フィジカルが強くブルドーザーのように前進してくるイルディリムは、カネロにとって難しいパズルではない。序盤はあしらって、徐々に削っていく展開だろう。単調で防御技術も拙いイルディリムは、カネロのボディと角度をつけたアッパーから逃れる術を持たない。試合が7ラウンドを越えるとは思えない」。

肉体は頑健でもパンチは軽い、ボクシング技術は世界基準にない、手も足も遅い…ミスター・ロボットに組み込まれた戦力のどこをどう探しても、カネロに対抗できる部品は一つも見当たりません。 

カネロが偵察に使う時間は1ラウンドで十分でしょう。カネロがアクセルを踏み込めば、そこで試合が終わりそうです。4ラウンドでストップを予想します。
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Saturday 27, February 2021
Hard Rock Stadium, Miami, Florida, USA  

Super Middle Contest, 12 Rounds
Ringmagazine 
Super Middle Title
World Boxing Council World Super Middle Title
World Boxing Association Super World Super Middle Title


昨年12月19日、アラモドームで苦戦も予想されたカラム・スミスを一方的な判定で下してからわずか71日、カネロが日本時間28日(日)にリングに戻ってきます。

対戦相手はイスタンブールの〝ミスター・ロボット〟 イルディリム。

29歳のトルコ人は2019年2月23日(アンソニー・ディレル戦=負傷判定負け)以来、2年と4日ぶりのリング。BoxRecではinactive、引退扱いです。

スーパースターが登場するリングはいつだってメガファイトですが、これほど冷めた目で見られるメガファイトは記憶にありません。

プライムタイムど真ん中のPFPキングに、世界基準での勝利は一つも無いローカルファイターが挑む…オッズは悲惨なことになっています。
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ウィルアムヒルではカネロ勝利が1/50(1.02倍) 、イルディリム14倍。カネロ1/200(1.005倍)なんて数字も叩かれています。 

リング誌などは、トルコが舞台になったシリーズも制作された「ミッション・インポシブル」にひっかけて報じていますが、トム・クルーズがミッション・インポシブルを完遂するのは映画の世界、リングの上ではありません。

イルディリムのトレーナーはティモシー・ブラッドリーやアブネル・マレスを研磨したホエル・ディアス。

「チャンスは誰にだってある。カネロは現代最高のボクサーと言われているが、アブニも多くの可能性を秘めている。リングの上ではなんだって起きるんだ。アンディ・ルイスJr.がアンソニー・ジョシュアをノックアウトするなんて誰が予想したか?二つの拳をスイングしあうリングの上ではなんでも起きるし、起こせるんだ」(ディアス)。

イルディリムは「試合前にあまり大げさなことは口にしたくない。準備はできている。1日2回のハードワークを通じて素晴らしいコンディションを作ることができた。自分とトルコのために戦う」。

トルコのボクサーと聞いて記憶に新しいのは〝ミニ・タイソン〟セルチュク・アイディン史上初の世界王者の期待を乗せて進撃しましたが、夢は叶わず。

もし、イルディリムが大番狂わせを起こすようなら、ルイスJr.どころかバスター・ダグラス級の衝撃です。
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先日、ミゲール・ベルチェルトを攻め落としたオスカル・バルデスはチーム・カネロの先鋒。今週はエースの登場です。=画像は「俺が負けると信じてた人たちはもう何も言えない、黙ってなさい」の〝シー〟ポーズをご機嫌で決める陣営。

「バルデスvsベルチェルト」は専門家予想でこそ超大番狂わせでしたが、戦後の記事でアップセットの記述が控えめだったように番狂わせとは捉えにくい試合でした。

カネロを支えるエディ・レイノソは「イルディリムは我慢強いファイター。ディレル戦も勝っていたのに不運な判定に泣かされた。土曜日の夜に我々の前に立ちふさがるのは、鋼鉄の根性で向かってくるファイターだ。ただ、ハートはカネロの方が上だ。いくつかの作戦を用意している」と静かに語るだけ、油断は微塵も感じられません。

舞台はマイアミ、ハードロック・スタジアム。NFLマイアミ・ドルフィンズの本拠地です。

アメフト時でキャパ7万5000人、フロリダ州の収容制限はどうなっているのか不明ですが、ラスベガスなどのカジノではない巨大スタジアムでのイベントには胸が躍ります。

といっても、それはよほど酷いマッチメイクでなければ…の話です。 

さすがに、番狂わせは無いでしょう。カネロの前半ストップ。それしか予想できません。 
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Steven Butler vs Jose de Jesus Macias
   
Friday 29, January 2021 Cuernavaca, Morelos, Mexico  

Middle Contest, 10 Rounds
vacant World Boxing Council Francophone Middle Title
vacant NABA Middle Title
vacant NABF Middle Title
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2019年12月23日、横浜アリーナで村田諒太に破壊されたスティーブン・バトラー。 

あれから1年と1ヶ月。〝BANG BANG〟 バトラーがリングに帰ってきます。

村田戦まではIBFフェデレーション、IBOインターナショナル、WBCフランコフォン(フランス語圏)・インターナショナルと地域タイトルをコレクション、カナダを代表するホープ。

今、まだ25歳。

メキシコはモレロス州クエルナバカでこれからゴングが打ち鳴らされるホセ・マシアス戦でも空位の地域タイトルが3つもステイクされます。

29歳のマシアスはグアダラハラ出身のメキシカンながら、ここ10戦中5戦をカナダのリングに上がり、今回のチャンスをつかみました。

強打のバトラーは28勝24KO2敗1分、マシアスは27勝13KO10敗3分。

試合は punchinggrace.com で配信されますが、日本で生観戦は難しそうです。

バトラーを共同プロモートするゴールデンボーイ・プロモーションズのマッチメーカー、ロバート・ディアスは「村田戦から多くを学んだバトラーは世界再挑戦への準備が出来ている」。

カーソン・ジョーンズやビタリ・コピレンコといった〝ミドル級のリトマス紙〟に勝利しているバトラーですが、村田戦で露呈したようにディフェンスと耐久力・装甲に致命的な欠陥を抱えています。

とはいえ、二流の証明書を何枚も発行しているマシアスに敗れることは許されません。
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WBAミドル級スーパーチャンピオン村田諒太の特殊性は「日本人であること」に集約されます。

とはいえ、五輪金メダルは桜井孝雄、世界ミドル級王者は竹原慎二といずれも日本人史上2人目に〝過ぎません〟。

しかし、五輪金メダルは欧米で人気のミドル級で獲得したことが、桜井のバンタム級とは全く違う価値を持つことに異論がある人は皆無でしょう。

アマチュアボクシングへの関心が低い日本でも「ミドル級で五輪金メダル」が何を意味するのかは、米国ボクシングを強烈に憧れた人なら簡単に理解出来るはずです。

モハメド・アリやジョージ・フォアマン、シュガー・レイ・レナード、オスカー・デラホーヤ、アンドレ・ウォード…。

人気階級で金メダルを獲った彼らが特別であることを私たちは知っていましたが、そんな才能が貧弱なこの国に授けられるとは夢にも思って見ませんでした。

村田諒太は「特別な日本人」でした。
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もちろん、プロでミドル級のタイトルを獲るのも五輪ほどではないものの、至難であることは変わりません。

最初に、この高嶺に咲く花を捥ぎ取ったのは竹原慎二でした。

1995年12月19日、後楽園ホール。

WBA王者ホルヘ・カストロは、日本ではいつもの如く「アルゼンチンの怪物」と紹介されていましたが、世界的にはchump(穴王者)。

昨年、カムバックした45歳のセルヒオ・マルチネスが2010年にケリー・パブリックを大番狂わせで破ってWBCとWBO、そして何よりもLineal Champion の座を奪取したとき「アルゼンチン人としてはカルロス・モンソン以来の世界ミドル級王者」と報じられました。

日本のボクシングファンからしたら「カストロを忘れるな!」と言いたいところですが、カストロはアルファベット団体の王者として紹介されるにとどまっていました。

しかし、モンソンもカストロも、マルチネスもアンダードッグながら番狂わせで王座に就いたことは奇妙に共通しており、カストロは強豪王者とはお世辞にも言えないものの、けして侮れないタフガイでした。

何よりも、穴王者でもミドル級です。マービン・ハグラーを中心にトーマス・ハーンズやロベルト・デュラン、シュガー・レイ・レナードが総当たりの決闘を繰り広げた、あのミドル級です。

世界中のボクシングファンを熱狂させてから、まだ10年も経っていなかった、ミドル級です。

いつも日本人を贔屓してくれるボクマガの展望は「無責任なようだが、いちかばちかの打ち合いに持ち込む以外、道はない」と、もはや予想を放棄したかのようでした。

当時のミドル級はIBFがのちの〝エイリアン〟バーナード・ホプキンス、WBCがスピード自慢のクインシー・テイラー。

「アジアでなんとかNo.1」だった竹原が世界王者になるには「あの日あのときのカストロ」以外はありえませんでした。

翻って、村田です。4団体時代となり世界王者や世界ランカーは一気に希釈されましたが、強打の日本人が世界基準にあることは明白です。

前年度にESPNの年間最高KO賞に輝いたアッサン・エンダムや、WBSSスーパーミドル級でも戦ったロブ・ブラントらと、アジア基準の竹原が互角に戦えるとは考えられません。

もちろん、日本中のボクシングファンの度肝を抜いて日本人初のミドル級王者となった竹原の偉業が霞むことはありません。階級難易度を考慮するなら、日本歴代PFP10傑にも数えられるでしょう。

ただ、アルファベット団体の挑戦者相手ならオッズも予想も圧倒的有利と推される村田とは、ステージの違うボクサーです。

村田諒太は「特別な日本人」なのです。



さて、今夜はちょっといつもと体裁の違う表をご覧ください。いつもと違う場所、違うタブレットで時間つぶししてます。

今日「1月12日の世界の階級別プロボクサー人口最新版」です。
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ある基準で色分けしました。意味のあるものじゃないし、まず当たらないと思いますが、思いついた方はかなり鋭いボクヲタです。

※ブリッジャーはお遊びで入れたので無視してください。

くだらない問題で失礼。

この表でお分かりでしょう。

左端は「Population(競技人口の順番)」、その右隣が「Weight(重さの順番)」。

一番右端が、「重さ」と「競技人口」の順位を差し引きした「Gap(乖離)」です。
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ちょっとシラフじゃないので「こいつ、何言ってるのかわからん」という人に欠落しているのは「gentleness(優しさ)」じゃ。

今更、答えを滔々と説明するのもまどろっこしいですが、黄色グループは「重さ」と「競技人口」が一致しているクラスです。

これを「Gap」の順番に並べ替えると、こうなります。
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なんと、1位はウェルターではありません。そして「最も層が厚い」という常套句でくくられるミドル級は重さで5位、競技人口で6位で「−1」。

この数字からは「最も層が厚い」とは到底言えませんが、このブログでずっと引っ張ってますが、やはり文句なしに「ミドル級は最も層が厚い」のです。

だったら、この数字は何なんだ?!ってはなしですね。


超軽量級でくくられるストローからジュニアフェザーの6階級は、バンタムまでは「重さ」の順番と「競技人口」が一致していますが、ジュニアフェザーは「重さ」は11番目にもかかわらず、「競技人口」は10位、そのギャップは「+2」と堂々の緑色グループです。

この表から、何が読み取れるでしょうか?

ミドルも含めた重量級5クラスの競技人口が「ウェルターを挟んだ3階級のどれよりも少ない」という事実は「ライトヘビーやクルーザーは、ジュニアウェルターやジュニアミドルよりもレベルが低い」ということにはつながりません。

「ヘビー級の競技人口はフェザー級よりも少ない」というのは一面的な事実ですが「フェザー級の方が競争が厳しい」と考える人は世界中に1人もいないでしょう。

大学入試の競争率のようなものです。重要なのは「分母の大きさ」ではありません。

そして、ボクシングのようなチャンピオンシップ制度を敷いた競争では「誰がトップにいるのか?」が全てです。

この表をみるまでもなく、超軽量級、特にストロー級はレベルが低いと決め付けたくなりますが、それは大間違いです。

このブログの読者の方は「競技人口が分厚い=階級攻略難易度が高い」という等式が成立するほど、ボクシングの世界は浅くない、ということはお分かりだと思います。

「ローマン・ゴンザレスとアンディ・ルイスJr.のどちらが優れたボクサーか?」。

この問いを「階級が違うから何とも言えない」なんて綺麗事の言葉で濁す奴は、もうここに来なくてもよろしい。


ああ、そして。

「村田諒太は『特別な日本人』なのです。」なんてことを書いた私が、やっぱり「フシ穴」だったと悔恨する日が早く訪れますように。



もうすぐ日付が変わります。そうなると「1月12日の世界の階級別プロボクサー人口最新版」がウソになるので、このへんで。

おやすみなさいませ。。。。

そして、ようやく待ち人来たり。わしは家に帰れるのであろうか。。。。 
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WBA暫定ミドル級王者クリス・ユーバンクJr.が、欧州の有力プロモーター、ザウアランドと契約しました。

2017年からスーパーミドル級を主戦場にリングに上がってきたユーバンクJr.は、2019年12月7日ニューヨーク・バークレイズセンターでジャーモル・チャーロvsデニス・ホーガンをメインにセットしたビッグイベント(Showtime が全米生中継したこのイベントでは岩佐亮佑がマーロン・タパレスを11ラウンドでストップ)でミドル級復帰(vsマットコロボフ=2ラウンドTKO勝利)。

スーパーミドル級を人気階級に押し上げたスター選手を父に持つユーバンクは、村田諒太よりも3つ若い31歳ながら31戦29勝22KO2敗。

ビリー・ジョー・サンダースに惜敗、ジョージ・グローブスにも判定負けを喫していますが、ゲイリー・オサリバン、アルトゥール・アブラハム、アブ二・イルディリム、ジェームズ・デゲール、そしてコロボフと強豪、ビッグネームとの対戦が豊富。

 I want all the champions – Murata, Charlo, Andrade, Golovkin – put me in the ring with any of them. I only want to fight the best. 

「王者との対戦を希望する。村田、チャーロ、アンドラーデ、ゴロフキン、誰でもいいから王者と対決したい。とにかく王者と戦いたいんだ」と村田の名前も出しています。

ユーバンクの持つWBA暫定の上位タイトルに就く村田との一戦は、最も自然なマッチアップです。
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ただ、コロナ抜きに考えても英国では堂々のスター選手、簡単に日本に引っ張り込める相手ではありません。

かつて、村田が世界初挑戦のターゲットにしたビリー・ジョーとの交渉が難航、最終的に決裂したようにこのクラスで名前のある選手との対戦は一筋縄ではいきません。

ただ、今回は「村田の方が上」の立ち場。暫定王者のユーバンクをアウエイの飛行機に乗せるハードルは低いはずです。

もちろん、団体統一戦に自由がきくスーパー王者の立場を手に入れた村田にとって、ユーバンクとのWBA防衛戦にこだわる必要はありません。

カネロとミドル級で対戦することが絶望的になった今、ミドル級の完全統一に乗り出すのは最も現実的なオプションです。
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カネロという巨星が去ったミドル級。

トップ選手共通の目標は喪失したものの、注目の人気階級であることは変わりません。

劣化の色彩を濃くしているゴロフキンを誰が〝介錯〟するのか、それとも今なおこの階級を支配するパワーを持っているのか?


そして、村田は誰を選ぶのか。 
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カネロ・アルバレスがWBAミドル級タイトルを返上していたことが明らかになりました。

先月のカラム・スミス戦でスーパーミドル級のリング誌とWBAスーパー、空位のWBCのタイトルを奪取、文句無しの4階級制覇を果たしたカネロはこのクラスでの完全統一を目指すと語っており、返上は時間の問題と見られていました。

カネロはリング誌/WBCのミドル級タイトルも保持していますが、この玉座も返上する方針です。

カネロがミドル級で最後にリングに上がったのは2019年5月4日、1年7ヶ月もこのクラスで戦っていません。

ボクシングシーンで飛び抜けたスターパワーを持つカネロと対戦を希望するファイターは数え切れません。
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東京ドームでカネロを倒すーー日本ボクシング史上最大の夢は潰えたのでしょうか?


今回の返上で、ミドル級での対戦を熱望していた村田諒太やゲンナディ・ゴロフキン、エロール・スペンスJr.らは、引き続きカネロ戦を目指すならスーパーミドルへ転級しなければなりません。

現在、WBAミドル級はセカンド王者が村田、暫定王者にクリス・ユーバンクJr.を承認しています。この二人の統一戦がセットされ、勝者が晴れて王者を名乗ることになります。

しかし、承認団体がやることです。何でもありです。

腐敗承認団体の母体、WBAは第5位に45歳のセルヒオ・マルチネスをランクしていますが、リング誌もESPNも批判することはありません。この程度のことで騒いでいたら、ボクシングメディアは不正ランキング専属記者を何人も雇わなくてはならなくなります。

WBAは、この元Lineal Championのランキングをさらに上げて、村田vsユーバンクの勝者に当てがうと噂されています。

あるいは、村田vsユーバンクの勝者をスーパー王者に承認して、マルチネスと用意された対戦相手とでセカンド王者を争わせる…。アルファベット承認団体のタイトルマッチでは、何が起きても驚くことはありません。

昨年の今頃は、村田vsカネロ戦が交渉のテーブルに乗ってました。

しかし、このパンデミックで「モハメド・アリのように世界で戦いたい」というカネロの希望の大前提になるゲート収入は期待できなくなり、東京ドーム決戦は暗礁に乗り上げてしまいました。

村田も「WBAの王座を返上してスーパーミドル転向」を宣言するのが、一番格好良いとは思いますが…リスクが大き過ぎます。
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クリスマス・イブです。

私には何の関係もないクリスマス・イブです。

今年もあと1週間。

本来なら五輪イヤーだった2020年。
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こうしてランチをいただいたり、仕事終わりにお酒を浴びたりするお店がとんでもない苦境に立たされてしまい、個人的にも春先からの仕事の多くが消滅して、優秀なアルバイト学生の雇用が立ち行かなくなったり、己のあまりの無力さを思い知らされ、胸の痛む一年になってしまいました。


ESPNのPFPが更新されました。今月は14人のパネリストが投票。
カラム・スミスを圧倒した2位のカネロ・アルバレスが、1位テレンス・クロフォードを競り落とすかどうかが焦点でしたが、首位交代劇は起きませんでした。

カネロに1位票を投じたエリック・ラスキンは「他のパネリストの評価も拮抗しているはず。147ポンドに上げてから強豪と対戦していないクロフォードをカネロが抜くのは時間の問題」と見ています。
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カネロがこれくらいの幼児の頃ならワシでも叩きのめせるのですが…。


クロフォード、カネロ、井上尚弥、エロール・スペンスJr.、テオフィモ・ロペスの1〜5位は変動無し。

6位には前月8位のタイソン・フューリーが、試合がなかったもののポップアップ。

ちなみにリング誌では、フューリーはランク外ですが、PFPに数えるべきです。

この大巨人の割り込みで前月6位以下のファイターが一つずつランクを下げワシル・ロマチェンコ7位、オレクサンダー・ウシク8位、ファン・フランシスコ・エストラーダ9位、ゲンナディ・ゴロフキン10位。

また、ゴロフキンと同じ得票を集めたガーボンタ・デービスが10位タイでPFPファイターの仲間入り。

合議制のリング誌と違い、記名投票制のESPNは選考過程に透明性があります。

今回、10傑には数えられなかったものの、得票されたのはパッキャオ、ベテルビエフ、ジョシュ・テイラー、マイキー、シャクールの5人。

日本の井岡一翔や田中恒成は、今月の得票はありませんでした。試合がなかったから仕方がないところですが、ジプシー・キングは順位を上げています。

また、井上の1位票はベルナルド,ピラッティ記者の一票。かつて、井上を強力にプッシュしてくれていたスティーブ・キム記者は今月も投票に参加しなかったようです。

1位票はクロフォードとカネロが6票ずつで分け合い、井上とスペンスが1票ずつという結果でした。

二強時代というか…満票が当たり前だったパックメイの時代は遠くなりにけり、ですが、来年の今頃はカネロが満票を得てるのでしょうか?

カネロを叩きのめしてくれる誰かは、現れないのでしょうか?
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