カテゴリ: ラグビーW杯

アルゼンチン。

重くて、難しい相手でした。

スクラムでは負けないのに、個々の突破力は勝負になりませんでした。

もはや、奇跡に期待する段階は終わりました。実力でブチ破るしかない壁まで辿り着いたのです。

格上が油断してくれない、格下が研究して番狂せを狙ってくる、そんな難しい段階に入りました。

ここからです。

この壁を突き破れば、頂上が見えてきます。
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大学時代、ラグビー部の友だちもいましたがラグビーには興味がありませんでした。長距離走シーズンと重なるとはいえ、応援も2〜3回しか行ってないはず。

今では想像もできないかも知れませんが、大学ラグビー、正確には関東の対抗戦グループが学生スポーツの中でも別格の人気だったことへの嫉妬や不満があったのかも知れません。

現在、大学駅伝、正確には関東学連のローカル大会、箱根駅伝は学生スポーツの中でも別格の人気を誇っていますが、当時のラグビーとの共通点は「世界では全く通用しない」という一点でした。

そんな「関東ローカルで盛り上がるけど、世界では惨敗続き」のラグビーが「W杯で優勝を狙う」と宣言するほどまでに強くなりました。

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W杯ムード一色!丸の内はラグビー好きがとにかく多い!(個人の感想です)


そんな大学時代は決して距離が近かったわけではないラグビー部友だちですが、その中の1人から日本開催の2019年大会の観戦に声をかけられ、一緒に観に行ってからW杯のたびに会うように。

彼らの多くが丸の内で働いているというのも、有楽町・銀座エリアを根城とする私と落ち合うのに都合が良いのもありました。

丸の内を舞台にラグビーW杯を宣伝するCMがありますが、あそこは日本で最もラグビー熱が高いエリアかも知れません。

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日本代表が強くなった要因は、高い目標に向かって、想像を絶する厳しい練習に打ち克ってきたからです。

そして、他の世界選手権では考えられない多数の外国人選手を迎え入れた〝多国籍軍〟という点も見逃せません。

①出生地がその国、②両親、祖父母のうち一人がその国出身、③その国で3年以上、継続して居住。または通算10年以上にわたり居住、という条件を一つ満たせばその国の代表選手になれるのです。

半数近くが外国人という布陣に「これが日本代表か?」という違和感を覚える人もいるでしょうが「国って何?」という問題を考える良いケーススタディに思えます。

その国の代表になるには、「国境・領土」「文化」「名前」とは切り離せないものなのか?

規律と和と大和魂に全身全霊を捧げる覚悟のある外国人でも、やはり外国人なのか?その逆パターンの日本人もときにはいるではないか?

ブレイブ・ブロッサムズの勇士たちは、1人残らず純粋な日本代表です。

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話を元に戻して、勝負のアルゼンチン戦です。

〝順当に〟負ければ一次リーグ敗退。

ここ3大会で必ず巻き起こした大番狂せを、ここで見せればノックアウトステージ進出ですが、強くなったがゆえに日本代表が非常に難しい段階に入ったのは間違いありません。

大番狂せは過小評価されたチームが起こすもの。ブレイブ・ブロッサムズは〝見下される季節〟を通り越しました。

前回大会でベスト8に入ったチームは、ファンからそれ以上を期待されています。上に行けば行くほど、壁は分厚く高くなる、それはどんなことでも共通しています。

サッカーW杯では自国開催のアドバンテージがあったとはいえ2002年で到達していたベスト16が、20年も経った今なお突破できない大きな壁となって立ち塞がっています。

それでも、規律と和と大和魂を体の芯に貫いた純粋日本代表の多国籍軍は、完全格上のアルゼンチンを撃沈してくれるはずです。

オッズは日本代表の勝利が15/4(4.75倍)、アルゼンチン2/9(1.22倍)。

明白なアンダードッグですが、とりあえず、ブレイブ・ブロッサムズが今大会最初の大番狂せを起こします。
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今日、早めに仕事を切り上げ、草野球場を物色に多摩川を徘徊しました。

それにしても、東京側と川崎側の両河川敷にある野球場は、とんでもない数です。

日本はもちろん、世界一でしょう。

とはいえ、ミシシッピ川あたりが多摩川の何倍もの河川敷を擁しているなんてことがあるかもしれませんが、米国では河川敷野球や河川敷ゴルフとか聞いたことも見たこともありません。

そんなとこでやらなくても、土地はいくらでもある、ということかもしれません。

さて、多摩川は河川敷野球場だらけです。

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夏の日差しと風の中、芝生の匂いを吸い込みながら早歩き。

暑い。けど、気持ち良い。

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マウンドからホームベースまで、三段階でプレートが埋め込まれています。

チョークで書くスタイルのスコアボードも、たまりません。

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そして、↓これはまた別の野球場。

分かりにくいでしょうが、背の高いトウモロコシの茎のような草がフェンスのように外野に弧を描いています。

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レフトポールから見るとよく分かります。

「フィールド・オブ・ドリームス」の〝あれ〟みたいです。

シューレス・ジョーがクラシックなホワイトソックスのユニフォームを着て、現れそうです。

夏のしっかりした陽射しと、芝生の匂いを運んでくれる微風が気持ちいい。

そして、多摩川河川敷には草野球場だけでなく、草サッカー場もありますが、ラグビー場まであるのです。

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ラグビー。体育の授業でやったことはあっても、草ラグビーはありません。

そういえば、あと80日ほどでフランスW杯が開幕します。 

フランスから、とんでもないニュースが 届くのを期待したいですね。
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野球とサッカーはどっちか偉いか?なんていうゲスな話を始めます。

さて。今夜、サムライブルーがクロアチアを撃破すると、日本スポーツ史上最大の快挙と考えても差し支えないのでしょうか?

日本スポーツ史上ではベスト8どころか、世界大会の金メダリストや、ボクシングの世界チャンピオンなど、世界一のアスリート、チームを数えきれないほど輩出して来ました。

もし、サムライブルーがクロアチアに勝っても、たかだかベスト8に過ぎません。

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しかし…。

地球的広がる競技人口とプロリーグ、他のスポーツを圧倒する人気と熱量を勘案すると「サッカーはこの惑星で最もレベルが高いスポーツ」という事実は受け入れるしかありません。

ベスト16ごときに入っだだけで、ニュース速報が流れて、号外まで出るスポーツなど他に存在しません。

元野球少年としては忸怩たる思いですが、厳然たる事実の前には、認めるしかないのです。

ボクシング等とは、全く次元の違う「世界」です。

「地球」というモノサシでは、クリケットも大きな人気、競技人口を抱えていますが、ここではもちろん「日本」という視点を優先・重視します。

「日本」の視点も人それぞれで、私もW杯優勝よりも日本人がカネロ・アルバレスやタイソン・フューリーを失神ノックアウトする方が興奮しそうですが、ここでは「日本(の総意)」として考えます。

日本人から見て、どのスポーツで何を成し遂げるのが一番凄いのか?ということです。


まずは、野球との比較です。

実質的な世界大会が存在しない野球と、世界大会が完全に確立されているサッカー、WBCとW杯では比較対象になりません。

代表チームとしての比較ができないからといって、個人の比較になると大谷翔平と同じ天秤に乗せることができるとしたらリオネル・メッシでも物足りません。

それでも、無理ヤリ独断と偏見で評価すると…まずは米国メディアも「比較対象がいないのに評価のしようがない」と匙を投げたユニコーンから。


■大谷翔平

【世界的な注目度・競技人口】日本視点の補正が入って85

【歴史的インパクト】100
 ※ユニコーン偉業のため測定不能。

【日本的難易度】100
 ※ユニコーン偉業のため測定不能。

…やっぱりこの人を出すのはやめれば良かった。



■サッカーW杯ベスト8

【世界的な注目度・競技人口】100

【歴史的インパクト】75
※世界スポーツ史となると4年に一度8チームが出現する恒例行事で、日本的にも、もっと先目指す未来が必ずやって来ますから、75でも点 数が高いかもしれません。

【日本的難易度】75
※日本がサッカー大国になった未来でも、GLで 足元をすくわれる大会もあるでしょう。それどころか、イタリアのように本大会出場どんな 大国にとっても、ベスト8の前には落とし穴が 口を開けています。



■ボクシング 世界ヘビー級完全統一王者

【世界的な注目度・競技人口】25

【歴史的インパクト】日本視点の補正で75

【日本的難易度】100


もちろん、これはスポーツの成熟度合いです。

今夜、クロアチアを撃破したらまた号外が出るのでしょうが、例えばブラジルがベスト8進出で大騒ぎになるわけありません。

日本もベスト8進出くらいでは号外など出ない、そんな時代が必ず来るはずです。

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サッカーは地球的に圧倒的に人気のあるスポーツで、日本はサッカー後進国でした。

今でも、ドイツやスペインに勝つと大番狂せです。

それでも、わずか一週間余りの短期間で二度も番狂せを起こした日本代表の実力が過小評価されていたのは間違いありません。

間違いなく前に進んでいます。

ドーハの悲劇も、ロストフの14秒も、サッカーとは何なのかを識るのに最高に素晴らしい教材でした。

クロアチア戦のオッズは3.90倍(クロアチアは2倍)。勝ってもマイルドアップセットです。

勝たなければなりません。

サムライが口にしたのですから、ベスト8には絶対に上がらなければなりません。

武士に二言はない!

キックオフまであと4時間半!…長いな…。
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日本ラグビー協会は昨日「W杯日本大会の経済波及効果が6464億円の史上最高だった」とまとめるレポートを発表しました。

空前の盛り上がりを後押ししたのは、24万2000人の海外から来た観戦者によるインバウンド効果で、3482億円と全体の53.8%を支えました。

そして、見逃せないのが「にわかファン」の貢献で、国内観戦者の75%を占めたといいます。

協会による「にわか」の定義は「過去にラグビー観戦歴がない、または数回ある程度」。

①日本代表の応援がメイン(30%)②元々スポーツ好き(17%)③W杯を堪能(7%)④SNSで話題を拡散(17%)⑤周囲の影響を受けて観戦(29%)、この5タイプから一つを選ぶアンケートで分類しています。

多くの人が①〜⑤まで複数当てはまるでしょう。私も全部当てはまりますが、観戦のきっかけは⑤でした。

このパンデミック下での足並み揃える日本人の良い意味での〝右向け右〟意識が、にわかファンを呼び込み大きな成功をもたらしました。
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収支決算は収入・支出ともに676億円。収支同じというのは、いただけません…役所か!?

まあ、今は〝役所〟なんですが。

最大の柱はチケット収入で389億円。平均単価は2万1175円。協賛くじ収益金100億円がこれに続きます。

多くのメガイベントで収入の柱となるのはテレビ放映権料ですが、今回はNHK、民放全部ひっくるめてわずか20億円。

このおカネは全て国際統括団体・ワールドラグビーの収入になります。

単純比較はできませんが、この金額は東京2020で600億円、女子サッカーW杯の30億円も下回ります。

6464億円の経済効果をもたらしたスポーツイベントにしては、驚くほどの少額です。

それにしても…。PPVという〝反則技〟とはいえ、メイパックの約500億円というのは正気の沙汰ではありません。

ラグビーW杯は結果として史上空前の大成功を収めましたが、日本代表の活躍がなくても一定の関心が見込める五輪や男子サッカーW杯と比べると、ステージがいくつも下の発展途上イベントということでしょう。

自国開催という特需を差し引いても、3年後の2023年フランス大会で各地のファンゾーンやスポーツバー、自宅テレビ前でどこまで盛り上がるのかは非常に怪しいものがあります。

それでも、私が学生時代だった20世紀のイビツで超ドメスティックな人気とは違う「真実の世界」を目撃したのですから、観戦ラグビーが大きな一歩を記したのは間違いありません。

それにしても、こんな言い方良くはありませんが、ラグビーW杯が去年で良かった、です。
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イングランド有利と見られていた決勝戦。

南アフリカが序盤から主導権を握り、後半の2トライで完勝! 

ヘビー級の大男がぶつかりひしめくガリバーの世界で、軽量級のファフ・デクラークのなんという格好良さよ!
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クリスピークリームドーナツで買った期間限定「キャラメルラグビーカスタード」を頬張りながら子供達とテレビ観戦しました。結局、チケットは入手できず。

いやー、10月から1ヶ月。楽しい時間でした。 

桜の戦士も素晴らしい感動をありがとう!!! 
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いよいよあと10日に迫りました。

現時点で、リング誌とESPNで、勝敗予想などのこの試合に関する記事は見当たりませんが、今がプライムタイムの井上尚弥が圧倒的に有利であることは間違いありません。

そして、36歳のノニト・ドネアがキャリア最後のページをめくろうとしているのも間違いありません。

直近10試合を振り返っても、26歳の井上は全勝9KOで内容的にも全く不安要素を露呈していません。

一方のドネアは7勝5KO3敗。前戦のステフォン・ヤングは左フック一閃で全てを清算しましたが、それまでの展開は被弾も目立ち、もたついた印象は拭えませんでした。

欧米で関心の低いバンタム級だけにオッズは井上1/10(1.1倍)、ドネア11/2(6.5倍)のスタートから微動だにしないままですが、井上勝利は鉄板です。
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今夜のテーマはズバリ、井上に死角はあるのか?

どんなに完璧に見えても、欠点のないボクサーなど存在しません。井上にも魔法のガウンで隠された欠点がいくつもあるはずです。

もちろん、現時点のドネアに「そこ」を突ける能力があるのかどうかは、また別問題ですが。


①クロスレンジの戦いに不安はないか?

「井上はインファイトが苦手」。

そう囁かれた時期もあり、本人も意識していたことはリカルド・ロドリゲス戦で「クロスレンジでも上手く戦えた」と手応えを語ったように明らかです。

とはいえ、それは世界水準の実力が怪しいリカルドだったからです。

しかし、もう一人のロドリゲス、世界レベルのマニー・ロドリゲスに対しても最後はクロスレンジのパンチの交換で綺麗に倒して見せました。

ただ、2ラウンドのあのシーン。マニーの方が力みかえって大振りになっていました。あれだけモーションが大きいと誰に取ってもオーダーメイドです。

それでも、1ラウンドはコンパクトな攻めで井上をロープに追い詰めたマニーが、あそこまで雑になってしまった最大の原因は2ラウンドから井上がプレッシャーを強めたからに他なりません。

モンスターの 圧 に予想以上に気の弱さを露呈したマニーと同じように、ドネアもパニックに陥るのでしょうか?

クロスレンジで巧みにスイッチするドネアの左はリードであるとは限らない、変幻自在の妖剣です。

そんなこと、井上は百も承知でしょう。

ヤング戦でも、あれほど不細工な展開にはまっていたのに最後の左だけは絶妙の居合いで斬り捨てて見せました。

しかし、井上とヤングではステージが何段階も違います。

ドネアの左は要注意、それは当たり前です。しかし、自慢の妖剣が錆び付いているのもまた事実です。あの左が炸裂する前に、もっと劇的に試合が終わる可能性の方が何倍も高いでしょう。

マニーとの第1ラウンド、井上はどれだけ余裕を持ってロープまで下がったのか?

ドネアのプレッシャーが、過大評価のプエルトリコ人よりも分厚いことは間違いありません。

井上が「最初は固かった」と振り返ったマニー戦と同じように、立ち上がりの動きが悪いようならドネアが主導権を握る可能性もあります。

それでも、今のドネアの左は序盤ではヒットしないでしょう。


②ドネアのタフネスは井上を追い詰めるか?

井上のキャリアの中で今のドネアが最強かどうかは極めて怪しいですが、最強打者であることは疑いようがありません。

そして、やはり間違いなく打たれ強さも過去最高の相手でしょう。2階級上のフェザー級トップ戦線で戦ったドネアにとって井上のパワーは単純な脅威にはなりません。

「ニコラス・ウォータースのパワーとフィジカルを想定していれば大きく裏切られることはない」というドネアの考えに大きなズレはないでしょう。

ただ、井上の際立つところはタイミングです。ファン・カルロス・パヤノを失神させた「戦慄のジャブクロス」(英国ボクシングニューズ誌)も、マニーを砕いた「出所を隠したパンチ」(リング誌)もパワーに依存したフィニッシュブローではありませんでした。

しかし、やはり、ドネアは彼らとは違います。

井上にとってドネアが大きな重戦車に感じるようなら好き放題のパフォーマンスは出来ないでしょう。

…でも。その展開になったとしても、フェザー級で戦った装甲を井上に一枚一枚削り落とされたドネアが終盤ストップされるシーンが目に浮かびます。


③井上の顎は何で出来ているのか?

そのキャリアを一度も深刻なトラブルに見舞われずに終えるボクサーもいます。エドウィン・バレロのように。

しかし、バレロが打たれ弱い、防御に大きな欠陥があったことは、顎を突き出して口を開けたまま攻撃する癖を見れば明らかです。

爆発的に見えたパンチ力も、世界的には凡庸なアントニオ・デマルコが「決定的なダメージはなかったけど、8ラウンド終了の採点を聞いて(逆転は難しいと)棄権した。今思えば、最後まで戦えたのは明らかだったから連続KOは止めておくべきだったかも」というように。

井上は今なお、絞った段階から約10kgも減量。そして、あの顎の細さ。「フェザー級の世界ランカー相手にスパーリングでも打たれ強さを証明」なんて話は眉唾以下です。

井上の顎の素材は、マービン・ハグラーやフリオ・セサール・チャベス、エリック・モラレスのような鋼鉄ではないでしょう。

井上がその顎を撃ち抜かれたとき。

トーマス・ハーンズやドナルド・カリーのように、クリーンヒット1発だけで雪崩を打って楼閣が崩れることは十分に想像できます。

実際に、今の井上は「打たれ強い」と言われていたハーンズやカリーよりも説得力は脆弱です。

井上が「打たれ強い」とする根拠がもしあるとしたら、それは「一度も叩かれてない」から、それだけです。


 
④井上にBプランはあるか? 

井上はデビッド・カルモナ戦などで、試合中に拳を負傷したことで戦略を転換、Bプランで戦いました。

しかし、それは追い詰められての作戦変更ではありません。「狩り方」を変更しただけです。

互角の勝負。井上にギリギリの土俵際で、別の土俵に相手を引きずり込むモハメド・アリやシュガー・レイ・レナードのような芸当が出来るとは思えません。

それでもフロイド・メイウェザーがシェーン・モズリーに一撃を喰らってから一気に盛り返したように、マニー・パッキャオがアントニオ・マルガリートのボディにくの字になりながら完璧なアウトボクシングでそのラウンドを支配したような、引き出しがあるかどうか?

これまでの対戦相手の質があまりにも低いだけに、その不安は常につきまといます。しかも、今回のドネアは7年以上前に西岡利晃と対戦したときに「明らかに劣化している」(リング誌) 「いつものドネアではなかった」( ESPN)と下り坂だったボクサーです。

今回も、本当の引き出しを見せないまま終わる可能性が高いかもしれません。 



⑤ Styls makes Fight  井上にとってドネアはナンバー(相性の悪いジョーカー)か?

スポーツはレベルが上がれば上がるほど、勝敗の分かれ目は微妙な要素が支配します。中でも相性はシュガー・レイ・ロビンソンやアリ、パッキャオですらナンバーを持っていました。

もはや、誰も信じないでしょうがレナードにとってハーンズも100%明らかにナンバーでした。

しかし、そのカードはめくられるまで誰もわかりません。パッキャオに対するファン・マヌエル・マルケスがナンバーであることに気づくのに、メディアもファンもどれだけの時間がかかったことか。

海外ではまだ大きく取り上げられていない(おそらくこのままチラッと特集される程度でしょう)まま、試合当日を迎えてしまいますが、ボクシングマニアの多くは「井上にとって好戦的なドネアはオーダーメイド」と考えられています。

もし、ドネアがスタイルが井上のジョーカー札を持っているとしたら…考えたくありませんが、試合は誰も予想できない展開で進むでしょう。



▶︎▶︎▶︎もし①〜⑤の不安要素が全て現実となって11月7日のリングに噴き出してしまうと、井上は早いラウンドで崩れ落ちるでしょう。

しかし「常識的」にはその可能性よりも劣化が進行するドネアの危険信号が当日のリングで赤ランプを点滅させてレフェリーが止めるーーそれが最も可能性の高いエンディングです。

ただ、私たちボクシングファンは「常識的」という言葉は使い慣れていません。「常識的」という言葉があまりにもあっけなく粉砕される光景を、今まで何度目撃してきたでしょうか。

何もかも仕組まれたリングでも、ゴングが鳴るとリングの外では何も出来ません。

リングの中で起きない出来事など何もありません。

それは奇しくもドネアの偉大な先輩が、世界中のメディアとボクシングファンに実践をもって思い知らせた残酷なルールです。

In the Ring…Anything Happen

リングの中で起きないことなどなど、何一つない。

日本のボクシングファンが心配すべきは井上の実力ではありません。「常識的に」考えると敗北はありえません。 

In the Ring…Anything Happen…それだけ、です。

井上の対戦相手で「1発だけは気をつけろ!」なんて危険な相手は、これまで一人もいませんでした。

それを起こすことが出来る拳を持っている歴戦の強者が、井上尚弥という堅牢なダムに蟻の一穴を開ける武器を自分が持っていることを識っているドネアが「たまアリ」のリングに上がるのです。

会場に行けない私が言うのもなんですが、当日は不思議な雰囲気に包まれるはずです。

井上の「敵」であるはずのドネアの入場に2万人は歓声と拍手で迎えるでしょう。当たり前です。この国ではボクシングとは軽量級です。

その軽量級で、シュガー・レイ・ロビンソン賞=年間最高選手を(パッキャオ例外で)アジアに初めてもたらし、PFPで3位まで極めたドネアは、日本のボクシングファンの希望でした。

サッカーファンがブラジル代表を、ラグビーファンがオールブラックスを迎えるような、純粋なリスペクトの声をドネアに届けるでしょう。

それが異様な空気を醸成するのは、間違いありません。

そして、アンダーカードでは拓真も大勝負を打ちます。

彼らの職業はボクサーです、ピュギリストです。

本来なら、兄弟でも叩きのめす世界です。

クリチコ兄弟の「兄弟だからごめんね」なんて言い訳は、実は優しい日本人にしか通用しません。ただ、個人的にはその理屈は通用します。

リング誌やESPNは「彼らは世界一を決めるためにそのスポーツを選んだアスリート。家族の愛情をリングに持ち込むなら、どうしてこのスポーツを選んだんだ?」という苛立ちを理解するには、私がこのスポーツに耽溺した30年なんて時間は短すぎます。

それに嫌悪感を覚えるとしたら、もしかしたらそれはあなたがこのスポーツを、本当に愛していないのかもしれません。

私も、そうです、このスポーツがどうしようもなく嫌いになることが、今まで何度もありました。

なんだろう、私は大学で公式戦は1試合しか戦ってません。どう表現していいかわかりませんが、野球と陸上しかできない私が、やっぱり最も感動したのはボクシングで…。

これ書いてるのは、横浜国際から自転車で河川敷、ラグビーって純粋な感動でいいですよね、あの熱狂は野球やサッカーでは作れない。 

こんなの不謹慎ですが、ラグビーW杯で導入された脳震盪の選手へのサポート体制、素晴らしいです。

それでも、ボクシングと同根です。ラグビーも「脳震盪」前提のスポーツです。今大会では深刻な事故はなかったのでしょうか?

このブログでも何度も問いかけさせていただいています。

脳震盪が当たり前に起きるスポーツは禁止にするか、ルールの大幅変更をすべきでしょうか?

ラグビーと違い、ボクシングをはじめとした打撃系格闘技は、故意に脳震盪を狙うから禁止すべきなのでしょうか?
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あれだけ盛り上がっていた有楽町のファンゾーンが、閑散としていました。

確かに、南アフリカに完敗してブレイブ・ブロッサムズの偉大な挑戦は終わりました。

しかーし!あれだけの感動を与えてくれた桜の戦士たちが跳ね返された、分厚く高い壁の向こう側を見ないなんて、そんなもったいない話はありません!
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もちろん、私が力の限り声援を送るのは南アフリカです!

残り試合は3位決定戦(東京スタジアム)以外は全て横浜国際で行われます。

横浜フリューゲルスの応援に何度も通ったスタジアムも、もう何年もご無沙汰です。

自宅からも遠くないので、チケットが手に入るなら「南アフリカvsウェールズ」観に行くつもりです。

あの勇敢な桜を散らした世界4強、怪物たちの正体を、この目で見届けたいと思います。 
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日本:ブレイブ・ブロッサムズvs南アフリカ:スプリングボクス
 
多くの代表チームに愛称が付いているのも新鮮です、ラグビー。オールブラックスしか知らなかった多くの人が、沢山の愛称を覚えたはずです。
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サッカーでもセレソン(ブラジル)、アズーリ(イタリア)は有名ですが、他の国では一般的じゃない気がします。

今回出場の20チームで広く知られた愛称がないのは、アイルランドとスコットランドの二つだけ。 その二国とベアーズ(ロシア)、マヌ・サモア(サモア)を撃破して4戦全勝でグループリーグを突破したブレイブ・ブロッサムズ。

前回2015年大会で大番狂わせを起こして破ったスプリングボクス(南アフリカ)と、4強をかけて激突!

試合前のオッズは日本9/2(5.5倍)、南アフリカ2/11(1.19倍)。 

これはノニト・ドネア11/2(6.5倍)、井上尚弥1/10(1.1倍)とよく似た数字です。そう考えると、完全に負け犬扱いです。

大事な一戦です。

「今回は奇跡は起きず」なんて絶対言わせちゃいけません! 

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厳しい現実ですね。

決勝トーナメントを勝ち抜く力、ノックアウト方式で絶対に負けられない強豪に勝つにはあと一歩足りませんでした。 

それでも素晴らしい戦いぶりでした。前大会以上に日本中を熱狂させてくれました。

ありがとう!!!ブレイブ・ブロッサムズ!!!!! 
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いつもはボクシングのオッズを引き出すだけのウィリアムヒルさん。

今日は、もちろんラグビーです。 

決勝トーナメント進出の8カ国が決まりました。オッズも出揃いました。

優勝オッズはニュージーランド5/4(2.25倍)。イングランド4/1(5倍)、南アフリカ10/3(4.33倍) 、ウェールズ8/1(9倍)、アイルランド16/1(17倍)、オーストラリア20/1(21倍)、フランス33/1(34倍)。

そして日本は…25/1(26倍)!なぬーーー!!!一次リーグで叩きのめしたアイルランドよりも下ではないか!!! 

ここまでの4試合を見て日本が〝楕円形のパッキャオ〟だとまだ気付かないのかーーーッ!!!!

愚か者どもよ!!!!! 目にモノ見せたるからなッ!!!!!!!

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