日本ラグビー協会は昨日「W杯日本大会の経済波及効果が6464億円の史上最高だった」とまとめるレポートを発表しました。
空前の盛り上がりを後押ししたのは、24万2000人の海外から来た観戦者によるインバウンド効果で、3482億円と全体の53.8%を支えました。
そして、見逃せないのが「にわかファン」の貢献で、国内観戦者の75%を占めたといいます。
協会による「にわか」の定義は「過去にラグビー観戦歴がない、または数回ある程度」。
①日本代表の応援がメイン(30%)②元々スポーツ好き(17%)③W杯を堪能(7%)④SNSで話題を拡散(17%)⑤周囲の影響を受けて観戦(29%)、この5タイプから一つを選ぶアンケートで分類しています。
多くの人が①〜⑤まで複数当てはまるでしょう。私も全部当てはまりますが、観戦のきっかけは⑤でした。
このパンデミック下での足並み揃える日本人の良い意味での〝右向け右〟意識が、にわかファンを呼び込み大きな成功をもたらしました。
収支決算は収入・支出ともに676億円。収支同じというのは、いただけません…役所か!?
まあ、今は〝役所〟なんですが。
最大の柱はチケット収入で389億円。平均単価は2万1175円。協賛くじ収益金100億円がこれに続きます。
多くのメガイベントで収入の柱となるのはテレビ放映権料ですが、今回はNHK、民放全部ひっくるめてわずか20億円。
このおカネは全て国際統括団体・ワールドラグビーの収入になります。
単純比較はできませんが、この金額は東京2020で600億円、女子サッカーW杯の30億円も下回ります。
6464億円の経済効果をもたらしたスポーツイベントにしては、驚くほどの少額です。
それにしても…。PPVという〝反則技〟とはいえ、メイパックの約500億円というのは正気の沙汰ではありません。
ラグビーW杯は結果として史上空前の大成功を収めましたが、日本代表の活躍がなくても一定の関心が見込める五輪や男子サッカーW杯と比べると、ステージがいくつも下の発展途上イベントということでしょう。
自国開催という特需を差し引いても、3年後の2023年フランス大会で各地のファンゾーンやスポーツバー、自宅テレビ前でどこまで盛り上がるのかは非常に怪しいものがあります。
それでも、私が学生時代だった20世紀のイビツで超ドメスティックな人気とは違う「真実の世界」を目撃したのですから、観戦ラグビーが大きな一歩を記したのは間違いありません。
それにしても、こんな言い方良くはありませんが、ラグビーW杯が去年で良かった、です。