カテゴリ: ザ・ベスト10

2016年にモハメド・アリが天国に旅立ったとき、リング誌は特別増刊号を発行。

通常号には1年間喪に服すかのようにアリのポスターを中綴じ、その年の11月号では「THE GREATEST LIVING FIGHTERS〜WITH ALI's PASSING,WHO's THE BEST?」(アリ亡き今、存命の最高ファイターは誰だ?)を特集しました。

アリの死はCNNが大きな特集番組をいくつも流した後も、48時間ぶっ通しで追いかけるなど、誰がどう見ても〝国葬〟。

私はモハメド・アリをリアルタイムで見ていない、初めて見たのはレオン・スピンクスとの第1戦、あれでアリの偉大さを知れと言う方が無理な試合でした。

私は当時まだ小学生。どんだけすごいのか楽しみにしてたのに「アリなんて全然大したことない」というのが第一印象でした。

そこが〝最底辺〟。今の今に至るまで、アリの情報を知るたびに私の中のアリは天井知らずのGreatになってゆくのでした。

さて、すでにこのブログでも紹介済みでしょうが、THE GREATEST LIVING FIGHTERS TOP10。

2016年から2023年現在までの7年で10人のうち、3人が天国に旅立ってしまいました。



10位は世界ヘビー級王者、ラリーホームズ。ヘビー級タイトルを丸7年、20連続防衛したグレートです。

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アリのスパーリングパートナーからの大出世、それゆえに「アリのコピー」と揶揄され、そしてロッキー・マルシアノの世界王者の無敗記録「48」に迫る大記録を目前にしながら、史上初めてヘビー級王者がライトヘビー級王者(マイケル・スピンクス)に敗れるという屈辱にまみれてしまいます。

「世界ヘビー級王者はヘビー級のコンテンダー以外に負けてはいけない」。その義務を果たせなかったのでした。



9位は、私のアイドル、マニー・パッキャオ。史上最多の8階級制覇を、驚くべき番狂せを交えながら成し遂げたアジアの大砲。

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ライト(軽量)級未満のクラスにほとんど関心が払われることがない欧米で、フライ級王者からジュニアミドル級王者までノシ上がったパックマン。

予定調和のボクシング界でテレビ局とプロモーターが大切に書いた台本を破りまくった、歴史上最も空気が読めないファイターでした。



8位はジェイク・ラモッタ。1922年にイタリア人の父とユダヤ人の母のあいだに生まれる…Prize -Fighter (拳闘職人)になるしかない環境で、その通りの道を突っ走ったレイジング・ブルです。

シュガー・レイ・ロビンソンとの激闘を知るボクシングファンが、いまどれだけいるでしょうか?

それを知らない私たちにとって、ラモッタとは「レイジング・ブル」。傑作揃いのボクシング映画の中でも最高評価を集める名作です。

2017年9月19日、フロリダ州マイアミの病院で肺炎の合併症により死去。95歳。



7位はフロイド・メイウェザー。1996年アトランタ五輪フェザー級で銅メダル。米国ボクシングの凋落が色濃くなった時代で、フェザー級銅メダルをプロデビューの対価に換金すると、わずか2500ドルという現実に打ちのめされます。

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「俺はレナードの後継者だ」というプリティーボーイの声は虚しく響くだけ。専門家評価だけが高く、20年前のレナードには注目も報酬も遠く及ばない日々が続きます。

ボブ・アラムと喧嘩別れ、マネーとしてリング外で下劣な言動を繰り返しボクシングファンから嫌われることで注目を集め、試合内容はさっぱり面白く無くなったのも関わらず、「メイが負けるところを見たい」という興味を引き出しました。

「セルフプロデュースの天才」(フォーブス誌)とは、つまりマネーは彼の仮面に過ぎないということです。



6位はフリオ・セサール・チャベス

メキシコの時代のフロントランナーにして、今なお最も評価が高い伝説。

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「メキシカンスタイル?そんなものはない。チャベス・スタイルをそう呼ぶなら、そうだ」。

顎と両拳が鋼鉄製のアステカ戦士は、どんな強敵相手にも真っ向勝負。プエルトリコのエドウィン・ロサリオとヘクター・カマチョに圧勝し、グレグ・ホーゲンも公開処刑。

そして、メルドリック・テイラーとの「残り2秒のストップ勝利」。

カネロ・アルバレスが何階級制覇しようが、Undisputed championになろうが、JCスーパースターを超えることは出来ないでしょう。



5位はマーベラス・マービン・ハグラー

認定団体の確執が今以上に深かった時代のミドル級Undisputed Champion。

ヘビー級が輝きを失った1980年代、ハグラーこそが強さの象徴でした。

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スポーツ・イラストレイテッド誌にならってNumber誌が創刊、米国のボクシングシーンが積極的に紹介された時代、日本でも多くのボクシングファンがハグラーを中心とするミドル級ウォーズの絢爛豪華を仰ぎ見たものでした。

2021年3月13日、66歳で逝去。ハグラーがもうこの世にいないなんて、今でも信じられません。



4位はイベンダー・ホリフィールド

クルーザー級とヘビー級の最難関の2階級で、いずれもUndisputed Champion。

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自分よりも大きく重いヘビー級の強豪に立ち向かう姿は、日本のボクシングファンにも大きな感動を呼び、WOWOWエキサイトマッチ全盛期の〝顔〟でした。

ロスアンゼルス1984ライトヘビー(178ポンド)級の銅メダリスト、リオデジャネイロ2016で聖火リレー、米国ボクシング界に愛された最後の五輪メダリストでした。




3位はパーネル・ウイテカ

ロスアンゼルス1984ライト級の金メダリスト。

軽量級ゆえに、そして玄人受けするテクニシャンというメインストリームになりにくい才能でしたが、こうしたケースで登場するのが素人ファンを惑わす〝弱者の言い訳〟PFP。

フリオ・セサール・チャベスとの「史上初のPFP1位vs2位対決」は完勝に見えましたが、まさかのマジョリティードローに。

このとき、世界中のボクシングファンは「米国ボクシングは黒人の時代が終わり、メキシコの時代がすでに始まっている」という事実をあらためて思い知らされるのでした。

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リングの中ではどんな強打者も空転させたスイートピーでしたが…。2019年7月14日、バージニア州バージニアビーチの交差点で自動車にはねられて亡くなってしまいます。55歳。



位はロベルト・デュラン

他のメディアで同じランキングを作成すると、その多くでトップに立つであろう石の拳です。

ライト級のUndisputed championから、フロッグジャンプでウエルター級のシュガー・レイ・レナードに挑戦したとき、誰もが惨敗を予想しましたが…。

Four Kingsの総当たり戦で勝利したのは、このレナード戦だけでしたが、あのハグラーがクロスレンジでの打撃戦を嫌い、ハーンズに対してはこれ以上ない負けっぷり。

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そして、32歳で24歳のWBAジュニアミドル級王者デイビー・ムーアを破壊、37歳でハーンズのジョーカーだったアイラン・バークレーを競り落としてWBCミドル級王者に。

ボクシングファンがデュランを嫌いになるのは不可能でした。



1位は…こうなるともうシュガー・レイ・レナードしか残ってません。

「ボクシング=ヘビー級」という絶対不変の等式を崩して、ウエルター級に栄華をもたらした張本人。米国ボクシング界最後の輝き、Four Kingsのラウンドロビンを最後に制したスーパースター。

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その偉業は、実質5年のブランクからいきなりのリング復帰でハグラーをSDで下した1987年4月6日の大番狂せまで。

最後の試合は、それから10年後の1997年3月1日のヘクター・カマチョ戦(5ラウンドTKO負け)。

この10年間の5試合はいずれもメガファイトだったとはいえ、一つ残らず余計なものでした。

それでも「ファイターのレガシーに引き算」はありません。THE GREATEST LIVING FIGHTERSはレナード、納得です。





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この特集に大多数のファンは賛同しましたが、露骨に拒否反応を示したのがマイク・タイソンの信者たち。

今も昔も「こんなランキングはおかしい!タイソンは強い相手に弱かったんじゃない。全盛期のタイソンなら強い相手にも勝っていた!リング誌は間違ってる!」という屁理屈を捏ねくり回し、騒ぎ出すのが彼らですが、この手のランキングは十人十色の妄想です。

つまり「俺はタイソンが最強だと思うから、俺の中ではタイソンが1位。リング誌や専門家が何を言おうがどうでもええわ」という姿勢が、まさに正しいのです。

しかし、信者という奴らの脳みそではそれが出来ないんですよねぇ…。
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日本経済新聞の土曜版「NIKKEIプラス1」は9月2日、「もう一度読みたい あの名雑誌」をランキング。

1位は「ぴあ」。1972年創刊。映画やコンサートなどエンタメ系の情報をきめ細かく掲載。インタビュー記事や特集記事も充実していた。インターネット時代になって、ニーズが薄れ、2011年に廃刊。

2位は「宝島」、3位は「ロードショー」、4位に「FOCUS」、5位「Hot-Dog PRESS」、6位「週刊朝日」、7位は「主婦の友」、8位は「FMfan」と「ダカーポ」、10位に「BIG tomorrow」。

…だそうです。

というわけで、俺の「もう一度読みたい あの名雑誌」。
 

【第1位】LIFE


ふふふ、リング誌ではないのだよ!

ライフじゃ。 

"To see Life; to see the world"〜ライフ(人生)を見よう。世界を見よう。

想像力を麻痺させるくだらない動画とは違う、真実の一瞬を捉えた1枚の写真のなんと麗しいことか!それを思い知らされたのが、LIFEでしたが、私が興味を持った頃は週刊から月刊に移行、没落期でした。
 
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今更もう流行ることなどない、グラフ雑誌の巨人です。
 
大学図書館でバックナンバーを漁って見たベトナム戦争や、マリリン・モンロー。そして、モハメド・アリ。

それは、文字通り、アメリカの真実の1枚、世界の1ページでした。

紆余曲折を経て、2000年に完全廃刊。

古本屋などで見かけると買おうと思うのですが、アリの特集などは高い、高すぎる…。 



【第2位】The Ring Magazine 

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高校時代にのめり込み、以来40年近くも読み続けてきた生涯の愛読誌。

少し前に、リング誌がポストに入っている夢を見ました。「そんなわけがない。これは夢だ」と変な気分になりながら、ビニールの包装を破ろうとするのですが、なぜか破れない…そんな夢でした。

なんだかんだ、リング誌ロスに苛まれています。 

1922年創刊。2023年廃刊。 



【第3位】F(エフ)

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生まれて初めてファンクラブなるものに入会したのが、横浜フリューゲルス。

そのオフィシャルマガジンが「F」でした。

阪神タイガースよりも熱烈に応援していました。
 
フリューゲルス消滅。

私のJリーグとの向き合い方が大きく変わってしまった出来事でした。

 
 
④ESPN Magazine

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周りに知ってる人がほとんどいない、知ってる人には「そんなの読んでるの?」と言われてしまう、大判サイズの変態雑誌。

私、結構、好きでした、とにかくでかいESPNマガジン。

1999年創刊。2019年廃刊。


 
⑤ボクシング・マガジン

リング誌と同じ2022年にグッバイとなった、日本ボクシング界のリーディングマガジン。

1956年創刊、2022年廃刊。

 
 
⑥朝日ジャーナル 

高校時代、なぜだか人気があった雑誌。 

立花隆や筑紫哲也、なんだか人気があったジャーナリストが関わっていた雑誌。

インテリっぽく見られたい人たちが手にしたがる雑誌のイメージがあって、私はほとんど興味がなく、ちゃんと読んだこともありませんでしたが、今となっては愛着まではいかなくても郷愁は深い雑誌です。

1952年創刊。1992年廃刊。



⑦週刊ファイト

ヤクザとプロレスに特化?した、新大阪新聞社の輪転機から生み出された、恐るべきプロレス専門タブロイド紙。

インテリとは一線を画した、血と暴力とギミックに溢れたプロレス専門夕刊紙でした。

1967年創刊。2006年廃刊。 



⑧KOマガジンやボクシング・イラストレイテッド

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リング誌に続いて創刊された米国のボクシング専門誌。

泥舟リング誌に吸収されるという訳のわからない身売りの果てに、両誌とも廃刊。



⑨英国ボクシング・マンスリー

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週刊ボクシングニューズ誌よりも英国ラブなボクシング専門誌。

これも人気はなかったですが、個人的には嫌いじゃなかったです。

1989年創刊。2020年廃刊。

 

⑩アサヒグラフや毎日グラフ

LIFEを追いかけて創刊したのでしょうが、時代に置いてけぼりを喰らいました。 

私は嫌いじゃないんですが …世の中に見放されてしまいました。




******このデッドリストに「ボクシング・ビート」や「英国ボクシングニューズ誌」「スポーツ・イラストレイテッド誌」などの名前が加わることがありませんように。アーメン。 
 
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1. 山田 

新潟からは佐渡乳業のソフトクリームをエントリー。

http://sadonyugyo.com/milk-shop.html

濃厚だが油っこくないフレッシュなソフトクリーム!

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「ソフトクリームW杯だかPFPだかは、牧場で搾りたてを提供するやつは反則」としましたが、山田さんイチオシの佐渡乳業が有楽町上陸!です。

これは、やはりソフトクリーム業界の中でも評価が高いモノということか?

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他のアンテナショップと比較できるミルクがなくて、カマンベール1本というのが少し残念!

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見てください、この柔らかいフォルム。エッジは鋭くはありませんが、ソフトクリームらしい滑らかなラインを描いています。

見た目通りの滑らかさ、そして舌の上で転がり溶ける味わいに、喉越し。チーズ感が濃厚でかなり美味しい。

ただ、この美味しさは、アンダースロー投手に初対戦のメジャーリーガーが戸惑っているだけなのかもしれません。

カマンベール、全然アリですが、これ一本でいくには有楽町・交通会館の激戦区は厳しいか。

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アンテナショップは、ワインのつまみに良さげなおつまみも充実。

ただ、私が狙ってたバターは無し。

ミルクソフトクリームとバター、エースと4番を出さないのは本気を出してないということか?
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最初から分かりきっていたことですが、この手の話に正答などあるはずもなく、すぐに大きな問題に突き当たります。

①あらゆるスポーツで最もディープなサッカーをどう扱うのか?

②競技人口に大きな差がある男女を公平に扱うのか?

③達成難易度など言い出したら障害者スポーツの中にこそNo.1が潜んでいるのではないか?

大谷翔平とダルビッシュ有、吉田正尚は比較できそうです。

しかし、大谷と大坂なおみは「事実」と「数字」だけでは優劣のつけようがありません。さらにいうと錦織圭と大坂なおみの優劣は、もはや万人に納得できる形でつけることはできません。

これが、恣意的でしかあり得ない「最も感動したアスリート」となると…。思いつくままに挙げるので、ヌケ・モレがあるかもしれません、その場合はまたどこかで補填します(そんなんばっかりです)。

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①野茂英雄…日本人が通用するわけがない怪物ランドへの扉を大きく開いてくれた。野茂の前に道はなかった、野茂の後に道ができた。キャンドルスティックパークの初勝利には泣きました。


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②イチロー…野茂の〝野手〟バージョン。より壁が厚いと思われた打者のフィールドで傑出した成績を、継続的に叩き出しました。「全ては技術の問題」という姿勢は、多くの日本人アスリートの見本になりました。



③村田諒太…日本人には無縁と思われた世界の人気階級で夢を実現させ、夢の続きも見せてくれました。大谷翔平が鬼神の活躍を見せるよりも、村田がカネロ・アルバレスをKOする方が感動したでしょうが…。

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④辰吉丈一郎…天才から浪花節へ。長嶋茂雄は「野球は人生」と例えましたが、「ボクシングが人生」を例えではなく、リアルに全うするであろう言語道断の傑物。大谷も漫画、辰吉も漫画。

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⑤瀬古利彦…モスクワ五輪のボイコットからロス五輪。日本のスポーツシーンを代表する準・国民的英雄。その期待の大きさは柔道・山下泰裕の比ではなく、もしロスで金メダルを取っていれば「高橋尚子と田村亮子」のように、山下に国民栄誉賞は渡っていなかったでしょう。


⑥高橋尚子…バンコクアジア大会からシドニー五輪まで。日本のスポーツシーンでフロントランナーに立った唯一無二の女性アスリート。


⑦江川卓…実際に見たのは読売入りしてから。そのときですでに「高校時代の方が速かった」とまことしやかに言われていること衝撃を受けました。実際に打席に立って見てみたいと思い焦がれた投手です。


⑧浜田剛史…ストイックな姿勢とそれを体現化した風貌と話ぶり、そして失神するまで戦うことをやめない勝負根性。ボクシングで最も軽蔑されるのがクイッター(勝負を諦めるボクサー)なら、浜田こそ最も尊敬を受けるに相応しい。


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⑨落合博満…技術を言葉に還元してみせた〝翻訳者〟。進化を続ける野球の世界で、今なお技術的に信奉されているポパイ。


⑩松井秀喜…読売の主砲を挙げるのは忸怩たる思いですが、松井は別枠。野球に取り組む厳しい姿勢と、それなのに周囲を遠ざけない人柄。

NYヤンキースから移籍後も、NYの野球ファンにどれだけ愛されているかを体感したときは感動しました。NYの松井愛は、少なくともヤンキースが再び世界一になるまでは熱く語り継がれてしまうでしょう。

ヤンキースファンにとっては喜ばしいことではありませんが、松井ラバーとしては、ヤンキースは永遠に世界一にならないで欲しい…。



話がそれましたが、恣意的でない最強アスリートを決定する旅はまだまだ続きます。
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時代やカテゴリーを超えた格付けは、そもそもが不可能です。

「投手のレベルが違う。強力な中継ぎ、抑え投手なんて私の時代にはいなかった。村上君の方が大変な時代」(王貞治)なんて謙遜には「さすが世界の王」と平伏するしかありません。

しかし「21世紀」という縛りなら 、時代の問題はある程度はある程度考えなくても良いかもしれません。

しかし、異なるスポーツの優劣となると、どうしようもありません。

サッカーW杯のベスト16と、WBC優勝はどっちが上か?あるいは、ラグビーW杯の優勝では?

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 あるいはイチローを特徴づける「安打数」は、あらゆる打者が目指しているものなのか?四球を好まず(アムさんから指摘いただいたように「敬遠」は多いのですが、トータルの四球は少ない)、高い打率とは不似合いな出塁率。

ボール球に手を出して凡退しながらチームで王様気取り…イチローがマリナーズのチームワークを乱してしまうのは、当然のことでした。

まあ、当時はイチローが「自分のことしか考えていない」と批判される記事を読むたびに「こんな日本人が現れたか」とニヤニヤしていましたが。

もちろん、打率でなく安打数へのこだわりこそがイチローのイチローたる所以です。

打率にこだわると守りの意識が強くなり挙げ句の果てはライバルの動向を見て出場・不出場をするという、ファンからしたら「何それ?」という世界に突入してしまいます。

一方で、安打数を意識すると、攻撃的にしかなりません。イチローが全試合、全イニング出場で首位打者を取り続けたスタイルは、2位との差が大きく離れていたからというだけではありません。競り合っていても同じことをしたでしょう。

偉大さにも程があります。

守りに入った競技者など、ファンは見たくもありません。

しかし、「262」を達成するには「強打者でない」という裏付けも必要です。最多安打は、大谷翔平やアーロン・ジャッジには関係のないタイトルです。

ドーパーであったことはさておき、史上最強の打者バリー・ボンズもこのタイトルとは無縁でした。

米国のヘイターが「イチローは所詮、象ではない」と言ったのは、そういうことです。


もちろん「【21世紀の日本人アスリート】純粋に評価して誰がNo.1なのか?【尺度は恣意的なものが入り込まない事実と数字だけ】」の中では、単純な不世出度だけでない見方をしてゆきます。
 
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【21世紀の日本人アスリート】純粋に評価して誰がNo.1なのか?【尺度は恣意的なものが入り込まない事実と数字だけ】

またまた、正答など絶対に無いテーマに暗愚に安直にアプローチします。

海外メディアの露出が多いとか、ESPY賞を獲ったとかは参考レベルでしか評価しない。「事実」と「数字」だけを取り上げてNo.1を決定してゆきます。

事実と数字から達成難易度、不世出度を探っていきますが、大谷翔平の場合は打者・投手は分けて評価。合わせ技一本は無し(それを認めるとこの企画はやる意味がなくなります)。

まずは独断と偏見で第一次ノミネート。

思いつきで10人並べたので、他にも忘れられたグレートが隠れているはずです。教えてくれ!

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いろんな意味で「シアトルの伝説」。

[1]イチロー(ベストシーズン2004年)

MLB首位打者2回(2001年.350/2004年.362)。史上最多安打262。ア・リーグMVP(2001年)。国民栄誉賞(拒否)。スポーツ・イラストレイテッド、ESPNマガジンなどで表紙を飾る。



[2]澤穂希(2011年)

W杯優勝。FIFA最優秀選手賞。国民栄誉賞(団体)。



[3]伊調馨(2016年)

レスリング五輪4連覇。国民栄誉賞。



[4]羽生結弦(2018年)

フィギュアスケート五輪2連覇。国民栄誉賞。




[5]村田諒太(2012年)

五輪金メダリスト。ボクシング・ミドル級というスペシャルなクラスでの快挙。



[6]大坂なおみ(2021年)

全米OP(2018年/20年)、全豪OP(2019年/21年)優勝。世界ランキング1位。ESPY賞。タイム誌の表紙に。



[7]井上尚弥(2022年)

ファイティング原田以来のバンタム級でのUndisputed Championに。4団体17階級時代では日本初。TBRB・リング誌でPFP1位。ボクシング専門誌リング・マガジン(2022年で廃刊)を単独カバー。



[8]大谷翔平(2023年)

説明不要のユニコーン。ESPY賞。スポーツ・イラストレイテッド誌、タイム誌などを単独カバー。



[9]村上宗隆 (2022年)

王貞治のシーズン最多本塁打55を日本人で更新、しかも三冠王獲得。



[10]サムライブルー (2022年)

選手層・レベルが頭抜けて高いサッカーW杯でドイツ、スペインを撃破してベスト16進出。 
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前回は10年前、リング誌2013年6月号のジュニアフェザー級ランキングを振り返りました。

今回は5年前、2018年6月号です。この号では多くの連載企画が廃止、ページ数も半減、月間体制崩壊とリング誌の経営難は明らかでした。

さて、この号のジュニアフェザー級では岩佐亮佑が8位にランクイン。そして、10年前もトップ10でクルーズしていた亀田和毅も10位に踏ん張っています。

和毅は、4−Belt eraでなければ世界王者になれたかどうか極めて怪しいボクサーですが、その実力が安定して世界基準にあること、バンタム級時代を含めてトップ戦線に長く止まっている規律の高さは賞賛すべきでしょう。


1位はノニト・ドネアにレッスンを施したギレルモ・リゴンドー。オフィシャルは116-111/115−112/114−113でしたが、多くのメディアやファンは118−110(ドネアが取ったのはダウンを奪った10ラウンドだけ)と、キューバの天才がボクシングIQの差を見せつけた試合でした。

そのリゴンドーも大阪で天笠尚にダウンを奪われるなど劣化の綻びを見せ、ワシル・ロマチェンコとのエリート決戦では惨敗。坂道を転がり落ちてゆきます。

ロマチェンコ戦はボクシングマニア垂涎のマッチアップでしたが、キューバ人とウクライナ人のジュニアライト級、舞台はマディソン・スクエア・ガーデン(MSG)のシアターが精一杯、一般的なボクシングファンの興味を刺激することは出来ませんでした。

2位はドネアにスピード勝ちしたジェシー・マグダレノ、3位にレイ・バルガス、4位にダニー・ローマン、5位にディエゴ・マラドーナ。 

7位のアイザック・ドグボエも評価の高いファイターでした。エマヌエル・ナバレッテに大番狂せで敗れるのは、この年の12月8日。後出しの結果論では何とでも言えます。当時は〝ノーランカー〟のメキシカンはノーチャンスと見られていました。 

この5年前でも、井上尚弥が乗り込めば相当に面白いカードが組めそうです。井上が生まれるのが、あと5年早ければ…。 

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この号は本来ならゲンナジー・ゴロフキンとカネロ・アルバレスとのメガファイトを特集するはずでしたが、カネロのドーピングで試合が暗礁に乗り上げたことで、急遽差し替えに。

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すでに決まっていた表紙は、急遽「ロマチェンコvsホルヘ・リナレス」に差し替えられました。

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内容もライト級に焦点を当てた記事に変更。

ロマチェンコとリナレスの勝敗・展開予想に加えて、「MADISON SQUARE GARDEN'S LEGACY OF 135- POUND TITLE FIGHTS〜 MSGを彩ったライト級のタイトルファイト」「STEPPING UP〜ジュニアライト級はライト級へのジャンピングボード」などの記事も。

「STEPPING UP」。マイキー・ガルシアが口にしたように、スターを目指すなら「フェザー級やジュニアライト級は長居してはいけないクラス」です。

米国市場の目線を考えるのに一番わかりやすいのは、ライト級が文字通り「軽量級」ということです。

人気者のメキシカンが絡むなどのレアケースを除くとジュニアライト級以下、つまり「軽量級よりもさらに軽い階級」は大きな関心が払われることがない「そんな階級に存在意味があるの?」という純粋に疑問視されてしまうゾーンです。

ジュニアフェザー以下ともなると「ミゼットボクシング」という言葉が普通に使われるように「小さいのによく頑張ってる」という同情まで入って来ますが、積極的に興味を持たれることはまずありません。

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この常識に風穴を開けたのがオスカー・デラホーヤであり、フロイド・メイウェザーでした。

また、マニー・パッキャオに至っては、フレディ・ローチですら知らないフライ級の世界王者でした。

しかし、デラホーヤは「五輪金メダル」の「メキシコ系」で、人気が盛り上がったのは「ライト級」から。

メイウェザーは「下劣な行為を繰り返すマネー」に変身してから人気(不人気・嫌悪)を沸騰させましたが、それは注目度が跳ね上がる「ウエルター級」になってからのことでした。

パッキャオがジュニアライト級で注目されたのは、人気(有名なメキシカン)と実力(PFPファイター)を兼ね備えた「ライバルが3人も揃って包囲網」を形成してくれたという幸運が全て。

いずれにしても、デラホーヤやメイウェザー、パッキャオがこじ開けたジュニアライト級の風穴は彼らが通り抜けるとすぐに閉じられてしまう、特別な通行手形が必要な狭き門で、彼らもそこがゴールとは考えていませんでした。

彼らにとってジュニアライト級は〝最も不遇な時代〟で、もっと先へ行くための踏み台だったのです。

しかし、それは欧米の話。日本では欧米の人気階級にタレントがいない、いてもチャンスがないこともあって軽量級がスタンダードに人気があります。

「世界」を見据えたとき、現実的なターゲットになるのはジュニアライト級が最重量というのが日本の実情です。

世界的な傾向と比べると、日本ではジュニアライト級がヘビー級、フライ級やバンタム級がウエルター級やミドル級の位置付けでしょうか。

となると、ジュニアフェザー級はカネロが主戦場にし、英国でも伝統的に人気があるスーパーミドル級です。ファンのイメージとしては「結構、重い方」になるでしょう。

 
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なんと言いますか、本当は来月25日の軽量級史上最大のメガファイトに絞った話をしたいのですが…。

これは、日本のメディアも同じであちこちに必死でアンテナを張ってるでしょう。

しかし、情報量はあまりにも少なく、フルトンについてはここでも情報提供を呼びかけましたが、この選手の注目度の低さは寒気がするほどです。

さて、フルトン情報がないので10年前、5年前のジュニアフェザー級シーンを、リング誌ランキングから振り返ってみます。

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まずは10年前。リンス誌2013年6月号です。

表紙と大きくページを割いた特集は「フロイド・メイウェザーvsロバート・ゲレーロ」のメガファイト。そういえば、メイはゲレーロ相手でも決定的な場面を作れず、メディアやファンを欲求不満に陥れていました。

この頃は、ページ数減・月刊体制崩壊前のリング誌ですが、すでに記事のクオリティは誰が見ても落ちてしまっています。

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それでも、4ページのカラーグラビア「CARD GIRL OF THE MONTH(月間最高リングガール)」もまだ健在。当時はほとんどのカードガールがfavorite boxerにマニー・パッキャオを挙げていました。

さて、2013年6月号のジュニアフェザー級ランキングです。

この年は4月13日にWBA王者ギレルモ・リゴンドーとWBO王者ノニト・ドネアが最強決定戦で激突、フィリピーノ・フラッシュが眼窩底骨折を負わされる完敗を喫してしまいますが、この号には反映されていません。

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8位に長谷川穂積、9位に亀田和毅の名前も。

そして、4位にはアレクサンデル・バクティン(サーシャ・バクティン)が入っています。

サーシャはこの2013年3月にロシアでヨフリ・エレラを4ラウンドKOした試合を最後に、31戦全勝12KO、無敗のままリングを去りました。

引退の表向きの理由は「健康に不安」ということでしたが、ロシアも軽量級の需要が全くない国、日本で一旗挙げるしか無かったのですが…。

ロシア人ではなく日本人なら複数階級制覇して、山中慎介や内山高志に先んじてリング誌PFPに名前を刻んでいたかもしれません。

それにしても、10年前のジュニアフェザーはなかなか歯応えのあるメンツが揃っています。

人気者のアブネル・マレスとカール・フランプトンも上位に。一つ下のバンタム級ではレオ・サンタクルスも控えていました。

書くだけ虚しい話ですが、井上が後10年早く生まれていたら…。 
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ジュニアフェザー級のまともなコンテンダー(アルファベット団体の我田引水ランキングとは違う)に数えられるライース・アリームとサム・グッドマンがIBFタイトル挑戦権を賭けて激突。

グッドマンがSDで生き残りました。

過大評価臭しかしない無敗対決は、ある意味「想定通り」の結末。後半盛り返されても打つ手のないアリームの無策、50%のKO率ですら信じ難いグッドマンの非力。

両者とも世界基準のボクサーですが、王者に相応しいかといえば、穴王者になるのが精一杯でしょう。

この試合前のジュニアフェザー級トップ10(リング誌)は以下のメンツ。

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無敗をキープしているのは1位のスティーブン・フルトンと、今日の無敗対決を制した10位のグッドマン。

グッドマンは順位を大きく上げ、ランク外だったESPNでもトップ10に入るのは確実。アリームは層の薄さに助けられランクアウトはないでしょうが、トップ戦線からは大きく後退してしまいました。

WBCとWBOのタイトルホルダー、フルトンは7月25日の井上尚弥との大一番で勝っても負けてもフェザー級への昇級が既定路線。

残るWBAとIBFのピースを握るマーロン・タパレスは(フルトンに勝利した)井上とのUndisputed championshipを熱望、WBAもこのメガファイトを優先するパーミッションを与えています。

ただ、いつでも不気味な行動をとるのがIBF。グッドマンとの指名試合を指示する可能性もあり、もしタパレス陣営がこれを拒否して井上戦を選択すると、タイトルを剥奪する流れになっても誰も驚かないでしょう。

日本のファンからすると、井上には2本のネギを背負った鴨タパレスを狩って2試合で完全統一してくれるのが理想ですが…。
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なんだか以前にもやった記憶がある企画で、自家撞着しちゃいそうですが、そんなの気にしてられません。

思いついたら書き殴るのだ。

ここでいう「ボクシング」は五輪を頂点とするアマチュアに、プロ、さらに指導者やプロモーターなどリングという宇宙を全て網羅した「ボクシング」です。

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セオドアはナシ。

例えば、モハメド・アリについてはアマとプロで頂点を極めたことは評価しても、アメリカの歴史・社会に与えた強烈なインパクトはカウントしません。

ホワイトハウスにリングをあつらえたセオドア・ルーズベルト大統領や、監獄でボクシングに勤しんだネルソン・マンデラのような大政治家も評価しません。つまり、ビタリ・クリチコはキーウ市長としての評価は全くカウントされません。

フィリピン上院議員のマニー・パッキャオも同様です。

ティモシー・ブラッドリーなら「アマで全米代表の一歩手前」「プロではパッキャオ以外には負けなかった」「ESPNのわかりやすい解説者」の3つの顔をそれぞれ評価します。

評価されるのは、とにかく「リング」に関わる業績だけです。

もちろん、重視されるのはアマチュアとプロの「実績」。それから指導者やプロモーターなどの「実績」。

前回はオスカー・デラホーヤが圧勝した気がしますが、GBPの没落ぶりが酷いから原点はしません。この評価は、足し算だけです。

だったら今回もデラホーヤの圧勝で終わりじゃないか!と思われるかもしれませんが、酔っ払いが歌う鼻歌のようなブログです、さてさて自家撞着の始まり始まり、と行きますかな。

と、書いて、そういえば浜田剛史は「太く短いプロ実績」と「解説者」「帝拳プロモーション代表」という状況にあるわけですな、と改めて気づきました。

意外と器用な方かもしれません。 
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