カテゴリ: ザ・ベスト10

現実では対戦相手に恵まれない井上尚弥ですが、仮想対決なら話は別です。

モンスターが歴代グレート12人の刺客を迎え撃つリング誌の記事も、後半の6人へ突入します。

不吉なことをいうと、マイク・タイソンやロイ・ジョーンズJr.が典型ですが、多団体多階級時代で、対戦相手の質に疑問を呈されたファイターは後世の評価が大きく下がる傾向が…。

タイソンの場合は勢いのある時期にヘビー級のレベルが史上最低という不運もありました。ロイにしてもバーナード・ホプキンスとジェームス・トニーに勝利していますが、印象的な勝ち方が出来ませんでした。



さて、バンタム級史上最強を語るとき、避けては通れないグレートがエデル・ジョフレです。

〝黄金のバンタム〟が活躍していた1960年代はオリジナル8の時代。地球上に世界チャンピオンが8人しかいなかった時代です。

PFP10傑の枠よりも王者が少ないのですから、PFPなどという幻覚など付け入る隙などあろうはずがありません。

ジョフレはリング誌が後年ランキングした1960年代PFPでモハメド・アリを抑えて1位に選ばれましたが、井上は後世の2020年代PFPでどれくらいの評価を受けているでしょうか?

2020年代はまだ前半、折り返し前。ここまでカネロ・アルバレス、テレンス・クロフォード、オレクサンデル・ウシクに次いで4位は確保しているように見えますが…。




INOUE vs. EDER JOFRE: Bantamweight


Eric Bottjer: 井上尚弥はバンタム級史上最強かもしれない。ただし、エデル・ジョフレと戦うとしたら、井上も相当な危険を覚悟しなければならない。

バンタム級最強を「ジョフレに決まってる」という意見には同意できないが、多数決で支持されているブラジルの奇跡(あれほど完成度の高いファイターがブラジルで生まれたのは奇跡)は、技術的にも非常に高いものを持っていた。

勝敗はコインを投げるようなもの。ジョフレの技術が井上のパワーを空転させる都予想する。



Roberto Diaz: ジョフレの左フックは芸術的。そしてコンディショニングも非常にうまい。

ものすごい試合になる。ジョフレの攻撃を井上が捌きながら12ラウンド判定をものにする。



Joe Rotonda:控えめに言ってジョフレはブラジル史上最高ファイターで、同じことがバンタム級でも言える。決してスピードとパワーが世界最高であったわけではないが、とにかく効果的なパンチをつなぐ名人だった。

井上も同じタイプのファイターで、二人が戦えばリーチでわずかに優る井上が終盤でジョフレをストップすると見る。




◾️井上の2−1。


このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

井上尚弥と歴代グレートの仮装対決、12番勝負。

ジェフ・フェネック、ウィルフレド・ゴメス、マルコ・アントニオ・バレラ、エリック・モラレスとの激闘を潜り抜けて、第5戦はの相手はマニー・パッキャオ!




INOUE vs. MANNY PACQUIAO: Junior featherweight

軽量級に関心を示すことがまずない米欧のボクシングファンにとって、マルコ・アントニオ・バレラとエリック・モラレスは全く特別で稀有な存在だ。

そして、彼らとファン・マヌエル・マルケスを向こうに回して総当たり戦を展開し、勝ち抜けただけでなく、人気階級へと駆け上がったのがマニー・パッキャオ。

「パッキャオがフライ級王者になったときからチェックしてた」。それは、米欧のボクシングマニアが口にする定番の嘘だ。

パッキャオvs井上。ジュニアフェザー級での激突は、アジア最高決定戦である。

Eric Bottjer: 50−50ファイト。強豪王者と誰もが認めたリーロ・レジャバを嵐のように飲み込んだパッキャオに、強豪との対戦経験ゼロでも苦戦したこともない井上。運が良い方が勝つ。

Roberto Diaz: スピードの対決。互いにフラッシュダウンをマークしながらも、決定的な一撃は与えられず。12ラウンド引き分け。

Joe Rotonda: 多くの意味でこんな危険な戦いはない。井上は全盛期のマイク・タイソンに似ている。開始ゴングがなる前に精神的に負けてるような弱い相手を圧倒してきた。パッキャオは全く違う。激戦の末にパッキャオが判定で井上を下す。

◾️井上の0勝1敗1分、
Bottjerはどちらともいえない。




INOUE vs. FIGHTING HARADA: Bantamweight

史上初めて、フライ級とバンタム級を2階級制覇したのがファイティング原田。当時、すでに伝説的な強さを見せていたエデル・ジョフレに2戦2勝。WBCフェザー級王者ジョニー・ファメションに敵地で不可解な判定負けを喫していなければ、あの時代に3階級制覇。

井上に勝利するにはジョフレ戦と同じような出色のパフォーマンスが求められる。

Eric Bottjer: 
恐るべき対決。井上が勝つだろうが、15ラウンド判定にもつれ込む。

Roberto Diaz: なんという日本人対決!原田のラッシュと井上の正確なブローの対決。9ラウンドで井上がストップ勝ち。

Joe Rotonda: 両者にとって非常に難しい試合になる。原田が無尽蔵のスタミナで井上を攻め続けることができたら、判定勝利をものにするだろう。しかし、井上は強烈なカウンターで原田を倒す。井上のTKO勝ち。

◾️井上の3−0
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

「ファイティング原田1965」と「井上尚弥2024」日本最高ファイターはどっちだ?!

今回はちょっと脇道それて、リング誌デジタル版7月号から「井上尚弥 vs 歴代グレート」。レポーターはお馴染みのアンソン・ウェインライト。


The Japanese superstar is now one of his country’s biggest sporting idols, as evidenced by the 40,000 people who recently flocked to the Tokyo Dome to watch him get off the canvas (that wasn’t in the script) before taking apart the very capable Luis Nery in six rounds.

日本のスーパースター井上尚弥は、この国で最も大きな関心を集めるスポーツ界のアイドルの一人になった。その証拠にルイス・ネリにダウンを奪われながら6ラウンドで粉砕した最近の試合は東京ドームで行われ、4万人の大観衆を集めた。

However, for all of Inoue’s accolades, he has never been in with a Hall of Famer in their prime.

We decided to enlist the services of reputed matchmakers Eric Bottjer, Robert Diaz and Joe Rotonda to discuss mythical matchups with 12 current or future Hall of Famers and see how they feel Inoue would have done against them.

We’ll never know for certain, but it’s fun to debate. Here’s how they thought the matches would play out.

井上は最高級の専門家評価を受けているにも関わらず、殿堂クラスのファイターとは一度も対戦していない。

そこで私たちは、高名なマッチメーカーであるEric Bottjer、Robert Diaz 、Joe Rotonda の三人に依頼してすでに殿堂入りしている選手や、将来殿堂入りが見込まれる現役選手と井上の仮想対決をマッチメークしてもらった。

実際に戦うことが叶わないのだから、全ては幻想だが、議論するのは実に楽しい。

さて、どんな試合になったのか?以下にご紹介していこう。


inoue-vs-greats-title-770x474

INOUE vs. JEFF FENECH: Junior featherweight


バンタム級、ジュニアフェザー級、フェザー級でタイトルを獲った戦闘マシーンは、ジュニアライト級でもあのアズマー・ネルソンを相手に優位に戦った(判定負け)。

ジェフ・フェネックと井上尚弥、激突するのはジュニアフェザー級。とんでもない戦争になるのは間違いない。

Eric Bottjer: ジェフは大好きなファイターだが、井上とは相性が悪い。フェネックは井上を乱打戦に誘い込もうとするが、井上のスピードとパワーにペースダウン、終盤にストップされてしまう。


Roberto Diaz: フェネックはとにかく強くて、攻撃的で、打たれ強い。しかし、スピードで井上に劣る。徐々に削られ、10ラウンドで主審が試合を止める。


Joe Rotonda: 実に興味深い対戦だ。フェネックは典型的なプレッシャーファイターで、相手の心をへし折るまで攻撃の手を緩めない。激しい撃ち合いに勝つのは井上。フェネックを中盤あたりでストップする。

◾️井上の3−0。




INOUE vs. WILFREDO GOMEZ: Junior featherweight


ウィルフレド・ゴメスはフェザー級、ジュニアライト級でも王者になったが、彼が最もスペシャルだったのはジュニアフェザー級。

17連続防衛の全てをKOで終わらせ、この階級ではついに負けなかった。122ポンドの歴史上、ゴメスが最高というのは誰もが認めるところ。

井上との対戦は、一つのミスが命取りになるヒリヒリする展開になるだろう。

Eric Bottjer: アマチュア、プロを通じてこれほど優れて、しかもパンチもあるファイターは存在しない。ゴメスの勝ち。

Roberto Diaz: 井上とゴメスは互いのパワーに敬意を払いながら試合は進む。井上が我慢強くポイントを拾って判定勝ちを収める。

Joe Rotonda: スタイル的に井上にとって厳しい戦いになる。ゴメスのパワーは途轍もない。先に強打を当てた方が勝つ、そんな試合になるだろうが、それはゴメス。

◾️井上の1−2。




INOUE vs. MARCO ANTONIO BARRERA: Junior featherweight

マルコ・アントニオ・バレラはジュニアバンタム級とバンタム級では世界挑戦ができず、ジュニアフェザー級で世界王者となった。

122ポンドのバレラはとにかく攻撃的で、残酷なボディパンチャーだった。そう、井上と同じように。

Eric Bottjer: 凄まじい試合になるだろう。勝つのは井上。

Roberto Diaz: バレラは一番好きなファイター。過小評価されているが、ジャブを使ってアウトボクシングも出来る万能型。井上との戦いはとんでもない大勝負になる。10ラウンド、激しい打撃戦に失速した井上を見たコーナーからタオルが舞う。

Joe Rotonda: 井上のスピードがバレラに決定打を許さない。判定で井上。


◾️井上の2−1。




INOUE vs. ERIK MORALES: Junior featherweight

ジュニアウエルター級でも世界基準の強さを見せつけたエリック・モラレスは、自分が何者なのかを最初に世界に示したのがジュニアフェザー級だった。

井上との試合はお互い一歩も引かない、大変な戦いになるだろう。

Eric Bottjer: モラレスはバレラとはまた違う形で井上を混乱させるだろう。それでも122ポンドなら井上に分がある。

Roberto Diaz: Styles make fights。なんでもできるモラレスは、パッキャオとの初戦のように井上にペースを握らせずに判定勝利を収める。

Joe Rotonda: この試合が激戦にならないなんて不可能。KO必至。モラレスの爆発力と、長いリーチが井上の接近を許さない。モラレスの判定勝ち。


◾️井上の1−2


このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

先日のIBFフェザー級タイトルマッチ。

階級最強の呼び声もあったルイス・アルベルト・ロペスが、楽勝と思われたアンジェロ・レオに10ラウンドKO負け。

大番狂せだけでなく、頑健な王者にテンカウントを聞かせたワンパンチKOが印象的でした。

今年のKO of The Year にはアンソニー・ジョシュアがフランシス・ガヌーをワンサイドでKOした試合を推す声もありますが、どうなんでしょうか?



タイソン・フューリーのせいでガヌーの実力は全く未知数でしたが、「経験を積んで基本を身につければもっと強くなれる」(ジョシュア)という、言い換えると「やはりど素人」であることが明らかになってしまいました。

さて、BOXINGSCENEが2000年〜2023年までのワンパンチKOベストテンをアップしています。


⑩2018年10月7日 井上尚弥vsファン・カルロス・パヤノ

⑨2022年4月22日 ハシム・ラクマンvsレノックス・ルイス

⑧2016年5月7日   カネロ・アルバレスvsアミール・カーン

⑦2022年3月12日 リー・ウッドvsマイケル・コンラン

⑥2005年11月4日 アラン・グリーンvsジェイドン・コドリントン

⑤2010年11月20日  セルヒオ・マルチネスvsポール・ウィリアムス

④2009年5月2日    マニー・パッキャオvsリッキー・ハットン

③2004年5月15日  アントニオ・ターバーvsロイ・ジョーンズJr.

②2001年11月17日 レノックス・ルイスvsハシム・ラクマン

①2012年12月8日   ファン・マヌエル・マルケスvsマニー・パッキャオ


米欧にしか視界がないベストテンです。井上vsパヤノが10位に入ってなければ、米欧100%。





******そこで「階級の格差なんてない」「世界戦はみんな同じ」というPFPのポリシーを遵守して、KOシーンの戦慄度だけを基準に、俺の独断と偏見で戦慄KOをプラスします。


ノニト・ドネアがフェルナンド・モンティエルを破壊した「後の先」(2011年2月19日)は、正確にはワンパンチKOではありませんが、日本のボクシングファンにとってはベスト3クラスの衝撃度でした。



今となれば、おかしな話ですが、日本ではこの試合が50:50に近い大勝負と受けとめられていました。

現実には、ドネアが2ラウンドKOの予告通りに凡庸なメキシカンを破壊した、スペードとパワーとテクニックであまりにも力量差のありすぎる一戦で、世界的にもモンティエルに勝ち目はないと見られていました。

フェルナンド・モンティエルが長谷川穂積に圧勝しているだけに、日本のメディアは海外メディアの本当の温度感を伝えにくかったのかもしれません。








山中慎介の、これぞ「神の左」のトマス・ロハス戦(2012年11月4日)も衝撃的でした。

ロハスは山中にKO負けしたあと、1歳年下のジョニー・ゴンザレスに勝利して地域タイトルを獲るなど健闘しました。

山中はデビューからずっと後楽園ホールで戦い、聖地の人気者でした。最後に後楽園ホールのリングに上がったのは岩佐亮佑との日本タイトルマッチか?

それにしても、山中、現役時代と今では発散する殺気が極端に違います。

これが人気階級なら間違いなくベストテンに数えられているのでしょうが…。







中谷潤人の「左ループ」(2023年5月20日:アンドリュー・モロニー戦)も凄まじかった。

パッキャオvsハットン、マルチネスvsウィリアムスを彷彿させる一撃でしたが、削って倒して削って倒しての末、死に体のアンドリューを最終回に仕留めたものでした。

まあ、それでも中谷のセンスがしっかり詰まった試合でした。






そして、この手のベストテンでデオンティ・ワイルダーを外すなら、何かその理由を語る注釈が必要でしょう。BOXINGSCENE、片手落ちです。

ここで紹介するのは、2019年5月18日に行われたワイルダーより32ポンド(14.5kg)も重いドミニク・ブリージール戦。

大きな体重差のある相手をコロコロ倒していたワイルダーも、オレクサンデル・ウシクと同様にリアルPFPキングです。他の階級ではこんな芸当は誰もできません。

それを言い出すとPFPランキングはヘビー級だらけになってしまい「非ヘビー級の言い訳」として誕生したPFPの存在意義が失われてしまいます。

「相手に関係なく一番強い自分を追求する」ヘビー級を見ると「より弱い相手を求めて自分も弱体化する、そのギリギリのバランスを計る減量」に身を投じる他の階級とは、やはり別物として考えるべきなのでしょう。


このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

ESPNが今年下半期の注目試合をアップ。



▶︎1位は日本のボクシングファンも納得、文句なしで「アルツール・ベテルビエフ vsドミトリー・ビボル」のライトヘビー級Undisputed championship(10月12日:ESPN+PPV)。


〝ロシア人対決〟はカネロ・アルバレスやタイソン・フューリー、アンソニー・ジョシュアのような商業的に大きな成功が見込める試合ではありませんが、世界中のボクシングファンが認める究極の対決。

両者とも無敗。ベテルビエフはruthless 100 percent knockout machine無慈悲な100%KOマシン)、ビボルはボクシングIQの高いslick and clever boxer(被弾率が低いクレバーなボクサー)。

33歳のビボルは今がまさにプライムタイム。39歳のベテルビエフの怪我がどこまで回復しているのか、コンディションが気になるところです。

ウィリアム・ヒルのオッズは両者ともに10/11(1.91倍)。



▶︎2位は「オレクサンデル・ウシクvs タイソン・フューリー」のヘビー級、やはりウシクの持つタイトルを賭けたUndisputed championship(12月21日:DAZN PPV)。

fury-usyk-teaser

ウシク8/15(1.53倍)、フューリー6/4(2.5倍)。

フューリーの出来次第でクロスゲームになるか、明白な返り討ちになるか。フューリーが圧勝したら、頑迷なリング誌でもPFPにリストアップするのか?



▶︎3位もヘビー級。「アンソニー・ジョシュアvsダニエル・デュボア」(9月21日:DAZN PPV)。ウシクの返上でデュボアが暫定から正規のIBF王者に格上げされてたんですね。

しかし、この10年の「リング外でのタイトル移動・変更」がなんと多いことか。

20世紀初頭までの「王者に勝った者だけが王者」というリネラル王者の〝掟〟もどうかと思いますが、王者に勝たなくても王者、リングに上がらなくても格上げ、というのは、今更ですがスポーツとは呼べません。



▶︎4位は女子ジュニアウエルター級Undisputed championship「ケイティ・テイラー vs アマンダ・セラノ第2戦」(11月15日:Netflix)。

aug-2022-cover-308x432-1

35歳のセラノは女子最多の7階級制覇王者(男子はマニー・パッキャオの8階級制覇)。ケイティ・テイラーはライト級とジュニアウエルター級で完全統一を果たしたアイルランドの英雄。

2022年4月の初戦は女子で史上初のマディソン・スクエア・ガーデンのメインを務め、世界的な注目を集めました。

そして、今回の舞台はテキサス州ダラスのAT&Tスタジアム(カウボーイズ・スタジアム)。マイク・タイソンとジェイク・ポールの茶番劇が予定通り行われるとセミファイナル。



▶︎5位は「カネロ・アルバレスvs エドガー・ベルランガ」(9月14日:Amazonプライムビデオ PPV)。

berlangaGettyImages-1289245219-770x868

デビュー以来、16試合連続1ラウンドKOで話題を呼んだベルランガの世界初挑戦が、カネロ!

偽物と笑われながらも目立った甲斐がありました。

井上尚弥とTJドヘニーもそうですが、まともなボクシングファンでこの試合を結果はともあれ「カネロにとって時間の無駄」と思わない人はいません。
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

〝 I think it could be next year. If everything plays out the way it should, maybe sometime next year. 〟〜私は【それ】が来年実現すると思っている。全てがうまく運べば来年、どこかのタイミングで【それ】が起きるだろう。(ルディ・エルナンデス)

next-monster-title-770x577


【それ】とは井上尚弥vs中谷潤人。

ルディの言うように「全てがうまく運べば」、ジュニアフェザー級とバンタム級の完全統一王者の無敗対決を見ることが出来るということです。

全盛期のPFPファイター対決。滅多に拝める試合じゃありません。

日本人同士の世界戦は基本的にタブーとされてきました。

そこには、ジムやテレビ局の壁が立ち塞がり、対戦交渉を始めることすら簡単なことではありません。

ましてや、全盛期のスター選手同士となると…。

また、ファンの間ですら「世界タイトルを日本人で争うのは勿体無い」という、意味不明な意見が持ち上がります。

大勝負をやって、より大きなスターが残る。そうしないことこそが勿体無いというのに。


そんな高く分厚い壁を乗り越えた英断の大勝負を振り返ります。

日本人同士の世界戦となると、サンプルが少なく「注目度」「重要度」からの独断と偏見のザ・ベストテン。…いや、ベストテンではなく時系列で並べた10試合、クロニクルにした9試合+1試合です。



◾️1964年10月29日@蔵前国技館:ファイティング原田 vs 青木勝利(ノンタイトル10回戦)

【注目度】⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎

【重要度】⭐︎⭐︎

IMG_1246

東京オリンピックが閉幕したばかりというのに、このビッグファイトは大きな注目を集めていました。

原田、青木、海老原博幸。三羽ガラスの中で最も才能が認められていたのがメガトンパンチの青木、そしてカミソリパンチの海老原。

それでも、無尽蔵のスタミナと不屈の闘志でパンチをつなげる原田は、高度成長期の日本人の姿をオーバーラップさせ、最も大きな人気を巻き起こしました。

新人王戦で海老原に判定勝ちしている原田は、青木にも完勝(3ラウンドKO)。





◾️1967年12月14日@両国国技館:WBA /WBCジュニアライト級©︎沼田義明 vs 小林弘

【注目度】⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎

【重要度】⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎

史上初の日本人同士の世界タイトルマッチ。

当時はWBAからWBCが分離独立した最中、12ラウンドKOで沼田からUndisputed championの座を奪った小林でしたが、翌年1月にWBCがタイトル剥奪。

当たり前ですが、この頃はUndisputed championなどという言葉はほとんど見ることができません。

世界王者はUndisputed champion、当たり前が当たり前だった古き良き時代です。

プロボクシングの世界戦が国民的関心事だった時代、赤穂浪士討ち入りの日とも重なった史上初の日本人対決がどれほどの熱狂を巻き起こしたのか、もはや想像することすら出来ません。




◾️1970年12月3日@日大講堂(両国国技館):WBAジュニアライト級王者©︎小林弘 vs WBAフェザー級王者・西城正三(ノンタイトル10回戦)

【注目度】⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎

【重要度】⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎

史上初の現役世界王者同士の対決。

またしても、小林弘です。

そして、対戦相手は日本人初の海外での世界王座奪取に成功した〝シンデレラボーイ〟西城正三。シンデレラボーイは今なら文句無しの流行語大賞。

この衝撃的なタイトル奪取で、西城は第1回日本プロスポーツ大賞に選ばれましたが、今なら国民栄誉賞を受賞していたはずです。





◾️1972年3月4日@日大講堂:WBAフライ級©︎大場政夫 vs 花形進
【注目度】⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎

【重要度】⭐︎⭐︎⭐︎

1勝1敗で迎えたライバル同士のラバーマッチでしたが、世界タイトルを2防衛している大場と、2度の挑戦を失敗している花形。

大場の圧勝で完全決着すると思われましたが…。一進一退の末のMDは試合内容をそのまま反映したスコアでした。




◾️1973年4月20日@大阪府立体育館:WBCジュニアミドル級©️輪島功一 vs 龍反町

【注目度】⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎

【重要度】⭐︎⭐︎⭐︎

top2

炎の男です。

王貞治の〝世界記録〟に「あんなの世界じゃない」と難癖をつけた男です。

圧倒的不利と予想された柳済斗との再戦は、逸見政孝を「あの試合を実況できたことが人生で一番印象深い」と感慨させ、翌日に起きた銀行強盗立て籠もり事件で、警官が「お前も昨日の輪島の試合を見ただろう!輪島を見習って人生をやり直せ!」と説得したのはまさに伝説。

この試合の3年前に行われた龍反町との一戦は、史上3度目の日本人対決の世界戦。

世界戦が国民的行事だった時代でしたが、その内容は世紀の大凡戦。親友同士の両者は互いに牽制し合ってもどかし過ぎる展開のまま判定に。炎の男の燃えない試合でした。




◾️1994年12月4日@名古屋市総合体育館レインボーホール:WBCバンタム級©︎薬師寺保栄 vs 暫定王者・辰吉丈一郎

【注目度】⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎

【重要度】⭐︎⭐︎

IMG_1066

戦前の盛り上がり方は「ボクシング黄金時代の60年代を彷彿させた」というほどの盛り上がり。

その熱狂に巻き込まれたのは圧倒的有利と見られた辰吉の方でした。予備検診での異常な左手の握力の低さは「辰吉ならではのパフォーマンス」と思われましたが、実際には骨折していたのです。

そのほかの検診結果も思わしくありませんでしたが、それを差し引いても「勝つのは辰吉。薬師寺とはモノが違う」(大橋秀行)というのが大方の見方でしたが…。

潔く敗北を認めた辰吉は「彼は強かった。今までで一番。何よりも気迫が感じられた」と語り、引退も示唆しましたが、あれから30年経った今も、辰吉丈一郎は現役です。




◾️2000年10月11日@横浜アリーナ:WBA世界ライト級©︎畑山隆則 vs 坂本博之

【注目度】⭐︎⭐︎⭐︎

【重要度】⭐︎⭐︎⭐︎


Styles Make Fights.〜ボクシングの勝敗は相性で決まる。

ボクシングの世界で最も有名なマキシムです。

この試合も、戦前から大きな盛り上がりを見せました。

坂本が仕留めきれなかったセルベルト・セラノから5度のダウンを奪って8ラウンドKO、2階級制覇に成功した畑山は勝利者インタビューのマイクで「次は坂本選手とやります!」と宣言すると、フルハウスの横浜アリーナが沸騰。

セラノと畑山、どちらが勝っても次戦は坂本。これは事前の契約書に盛り込まれていた既定路線でしたが、このときは関係者以外、知る由もありません。

畑山のパフォーマンスは出色でした。

戦前予想では「衰えの見える坂本は畑山の出入りの速いボクシングに対応できない」と見られていましたが、オープニングラウンドから畑山は足を止めての打撃戦に応じます。

相手の土俵へ向かって勇猛果敢に嬉々として乗り込んでゆく、それが畑山隆則というファイターでした。





◾️2012年6月20日@大阪府立体育館第一競技場(現エディオンアリーナ):WBCストロー級©︎井岡一翔 vs WBA同級©︎八重樫東

【注目度】⭐︎⭐︎

【重要度】⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎

IMG_2252

史上初の団体統一を賭けた日本人対決。

両者ともに日本レベルではエリートアマですが、井岡は9勝6KO無敗の23歳。一方の八重樫はエリートの面影は希薄化、叩き上げの匂いを立ち昇らせる15勝8KO2敗の29歳になっていました。

井岡がアマチュア時代に何度かスパーリング、この試合前には「あの頃よりももっと強くなっているのはわかっていた」(八重樫)という通りに、この試合の勝利でリング誌のPFP企画でも10位代に突入します。

エリートとしての面目躍如を果たした井岡に対して、八重樫はこの試合で下降線を辿ることを拒みます。

ボクシングファンから最も尊敬される「激闘王」という目には見えないタイトルを掴み獲って、井岡が対戦を避け、井上が衰えを待ったローマン・ゴンサレスと真っ向から撃ち合い、キャリアのクライマックスを見せつけてくれました。





◾️2009年11月29日@さいたまスーパーアリーナ:WBCフライ級©︎内藤大助 vs 亀田興毅

【注目度】⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎

【重要度】⭐︎⭐︎⭐︎

IMG_2755


完全マイナースポーツに没落した21世紀のボクシングで、1970年代の具志堅用高並みの視聴率をキープしたのが亀田一家という現象でした。

彼らがやったことは、日本ボクシング界にとってはなんの目新しさもない常套手段でしたが、彼らは悪目立ち過ぎました。

そのあまりにも低脳な言動もボクシングファンの反発を招き、アンチを増殖させ、日本スポーツ史上最高のヒールになりますが、それは彼ら自身が意図したことではありませんでした。

父親の行き過ぎた言動を興毅が涙ながらに謝罪したように、フロイド・メイウェザーがやってのけたような周到なセルフマーケティングなどとは程遠い、TBSをはじめとしたメディアに踊らされた彼らはある意味で被害者でした。

また、亀田一家を上回る狂気の軍団、JBCとの裁判でも明らかなように彼らの〝悪行三昧〟は捏造されて報道されていました。

亀田一家は、JBCを中心とする日本ボクシング界に突如現れた害虫ではありません。やってることは帝拳も大橋も全く同じです。彼らは害虫の巣窟の中に現れた、特別騒々しい虫ケラたちでした。

もちろん、彼らが虫ケラ並みの脳みそしか持てなかったことで集中砲火を浴びてしまうのは自己責任といえばそれまでなのですが…。







◾️2025年12月31日@東京ドーム:Undisputed Jr.Feather weight ©︎井上尚弥 vsUndisputed Bantam weight ©︎中谷潤人

日経夕刊0630

「日本最高のクオリティーペーパー日本経済新聞が取り上げた!」と大喜びしたのは、権威があるらしいリング誌。この2年後に、権威があるはずのリング誌は慢性的な販売不振から廃刊してしまいます、権威があるはずなのに…。

【注目度】⭐︎⭐︎

【重要度】⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎



…さて、次は気の早すぎる戦前予想です。

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

BOXINGSCENEから、私見も交えて。


 ※この動画は昨年5月のring tv.com、アンドリュー・モロニー戦を控えたインタビュー。


〝 I think it could be next year. If everything plays out the way it should, maybe sometime next year. 〟〜私は【それ】が来年実現すると思っている。全てがうまく運べば来年、どこかのタイミングで【それ】が起きるだろう。


ルディが口にする【それ】とは、自身が指導する中谷潤人と井上尚弥のメガファイトのこと。

ジムとテレビ局が〝敵対〟してきたこのスポーツでは、世界タイトルを賭けた日本人対決はまず実現しません。

また、実現しても王者側が実力的に圧倒的格上で、勝敗への興味はほとんど失われてしまいます。

つまり、多くの日本人対決は勝者にとっても大きなレガシーの積み上げにならない試合でした。

しかし「井上vs中谷」となると話が変わります。

二人はPFPファイターながら、文句なしの強豪といえる相手との対戦がゼロ。どちらにとっても、飛び抜けて最も重要な試合になります。

デビューは井上が19歳(2012年10月:フライ級)。30ヶ月遅れて中谷は17歳(2015年4月:ストロー級)。

最初に世界タイトルを獲ったのは井上がわずか6戦目の20歳(2014年4月:WBCジュニアフライ級)。

中谷が21戦目の22歳(2020年11月:WBOフライ級)で、そのとき井上はすでに3階級目のバンタム級統一戦線の真っ只中。

井上はエリートに用意された「最短記録」のレールを突っ走ってきた典型的なオーソドックスのウサギ。

一方の中谷は最初のタイトルまで21試合〝も〟かかったサウスポーのカメ。

キャリアの数字をなぞるだけなら全く対照的なウサギとカメ、共通点は全戦全勝無敗くらいですが、その内容、中身を見ると二人は酷似しています。

井上はウサギ、エリートに付き物の脆さが全くありません。そして、中谷はカメに付き物のはずの挫折や敗北を知りません。

モンスターとネクストモンスターはやはり、モンスター。

ウサギの皮を被ったモンスターか、カメの皮を被ったモンスターか、被り物が違うだけで中身は同じです。

ルディは井上を非常に高く評価していることでも知られています。

「考えただけでゾクゾクしてくる。潤人を除くと井上は私が最も好きなファイターの一人だ。井上はリングに上がると相手をノックアウトすることしか考えていない。そこが他のファイターとの違いだ」。

そこ、です。意義なし。

ポール・バトラー戦はある意味で感動的な試合でした。

井上でなければあの試合は100%、判定になっていました。どんな偉大なファイターでも、あそこまで逃げ回るチキンを無理やり仕留めようとはしません。

ノニト・ドネアは、やはりチキンスタイルで勝負をしてこないオマール・ナルバレスとの試合を「どんなに簡単な試合でも、それは結果論。試合になると相手も必死、こっちも必死。試合での恐怖は練習とは比較にならない。しかし、ナルバエスとの12ラウンドは練習よりも簡単だった」と完封勝利を収めたにも関わらず、落胆したように語りました。

そして「ナルバエスを人間としては尊敬している」と、ボクサーとしてはそうではないと示唆しました。

ドネアが深追いしなかった理由は「ナルバエスというチキンにそこまで必死になる価値はない」ということよりも「楽に勝てるならそうさせてもらう」ということだったのでしょう。そして、深追いにはリスクも伴います。

「リスクを排除して最もエコノミックに勝利を追求する」というのがプロフェッショナルであるのなら、ドネアはプロです。

そして、その定義の乗せれば、井上はプロフェッショナルとは呼べません。

もちろん「ファンが期待しているのはKO。当然、それを見せたい」(井上)というのもプロフェッショナルです。

しかし、私には井上のリスクを考えないKOへのこだわりは、そんな論理的な話ではないように思えます。彼は自分がKOしたいから、あの鬼の攻撃スタイルに行き着いたように見えます。

ルディの「リングに上がると相手をノックアウトすることしか考えていない」というのは「リングに上がると相手をノックアウトすることしか考えられない」、もはやKO中毒の域にはまりこんでいるようにさえ思えてきます。

決して一発強打のパンチャーとは言えないルイス・ネリに井上が痛烈にダウンを奪われたのは、絶対に避けなければならないクロスレンジ。

井上が注意力マックスのはずの初回で死角が多くなる危険な距離に身を置いたのは「クロスレンジは苦手じゃない」という驕りもあったかもしれませんが、攻撃への過剰な意識、KOへの執着からでしょう。

逆に、一発のパンチがないネリが一発で相手を倒すにはあれしかありませんでした。そして、井上も「近い距離で同時打ち、あれを狙ってたでしょうね」とわかっていたのに。

井上尚弥。まあ、見てて面白すぎるファイターです。

一方の中谷は、中毒性や執着性のある井上とは違い、ドネア側に軸足を置く冷徹なプロフェッショナル。




さて「日本人対決Best10」を振り返り、少し気の早い「ゾクゾクする来年実現の【それ】」の勝敗予想に進みましょうか。




このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

ファイティング原田の1965年と、井上尚弥の2024年。

この59年でプロボクシングを取り巻く環境は激変しました。

選手の安全、健康のための取り組みが進んだ良い面もありますが、ほぼ全ての変化は悪い方に流れ込んでしまい続けています。

世界タイトルの価値はもはや比較するべきでないレベルで、現代の王者たちが可哀想で不憫です。

かつて地球上に8人しかいなかった世界王者は、今や専門家でも何人いるかを把握している人はいない時代になってしまい、その価値は完全に瓦解してしまっています。


IMG_1255


原田の時代も10階級時代、当時のメディアからも「階級を増やすことは王者の価値を貶めるだけ」と警鐘が鳴らされていましたが、階級だけでなくまさか認定団体まで増殖する異常事態に突入するとは…。

白井義男の時代の8階級から、10階級の原田。しかし、原田の時代は〝オリジナル8のまま〟だったことも見過ごせません。

つまり8から10に増えたのはジュニアライト級とジュニアウエルター級の二つ。

フライ級、バンタム級、フェザー級の3階級は水増しされず、オリジナル8のままだったのです。そして、いうまでもなくNBAの1団体。そのランキングも現在のデタラメランキングと比べるとはるかに清冽なものでした。

さらに、社会的ステイタスも世界王者でなかった矢尾板貞雄が「ボクシングというジャンルを超えて日本中に知られた存在だった」(前田衷)のです。

メジャーリーグも欧州サッカーリーグも夢ですらなかった時代に、世界が見える唯一のプロスポーツがボクシングだったのです。

そこに横たわっているのは、現代のプロボクサーには全く責任のない時代の悲哀、不運です。


「1965」と「2024」を語るとき、これが野球やサッカーなら全く真逆の構図で語られるというのに。

「1965」に野球でも世界最高峰への道が整備されていたなら、王貞治はそこを目指したでしょう。

王どころか、もし清原和博や桑田真澄が野茂英雄のあとに生まれていたなら、彼らは読売という矮小なチームに執着することなく、当たり前に友情を育み、健全なライバル関係を築き上げることができたでしょう。

そして、彼らが大谷翔平のあとに生まれていたなら桑田はもちろん、清原も二刀流を目指していたのかもしれません。

彼らはパイオニアではなく、先人の足跡をなぞり、既成概念の中で先人に追いつき追い越そうとするフォロワーでした。

そして、現在のプロボクシング界にはまだ既成概念を変換させるパイオニアは生まれていません。

井上尚弥も井岡一翔も中谷潤人も寺地拳四朗も、先人の作った道を走り、その道をさらに延長させようとしているフォロワーの域を出ません。

もし、この広義の意味で王貞治と大谷翔平を比較したなら、王はユニコーンの後塵を拝します。

同じように、広義の見方で原田と井上を比べるなら、井上は原田の道の途上なのか、それとも原田の到達点を超えてその道を延伸させているのかを議論するにとどまります。

原田の道とは違う道。

全く新しい道は、米欧の人気階級でスター選手を倒しまくることです。

アンソニー・ジョシュアやタイソン・フューリーを失神ノックアウトする日本人が現れたなら、全盛期のフロイド・メイウェザーやマニー・パッキャオを攻め落とす日本人がいたなら…。

それなら、原田や井上と同列に語るべきではありません。



しかし、ここでは狭義のお話しで「1965の原田」と「2024の井上」を対決させるのです。

それには、まず広義をおさらいして確認する必要があると考えたので、さらに前置きが長くなりました。




このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

1. さんちょう 2024年08月10日 18:36
フェザーもどんどん統一戦やって尚弥が来る頃には盛り上がっていて欲しい。
もし尚弥がフェザーでも完全統一すればもう原田さん越えでいいと思います。

 
FullSizeRender

日本プロボクシング史上最高のボクサーは誰か?

今これを多数決で決めると、1位は井上尚弥。2位以下は中谷潤人や井岡一翔、寺地拳四朗、山中慎介、長谷川穂積、西岡利晃、内山高志、具志堅用高、辰吉丈一郎、田中恒成らで争われ、ファイティング原田はトップ10にも数えられないかもしれません。

海外のボクシング関係者、例えば〝身内〟のボブ・アラムも「井上はパッキャオクラス」と断言している一方で、フレディ・ローチはバンタム級時代の井上について「エデル・ジョフレやファイティング原田の域にはまだ達していない」と評しました。

リング誌や英国ボクシングニューズ誌など、海外メディアで日本のプロボクシングが語られるとき「ファイティング原田」はデフォルトで登場する金字塔にも関わらず、日本国内での評価はどうしてここまで低いのでしょうか?

日本のボクシングファンの多くは「オリジナル8」を識りません。

それどころか、ボクシングの階級がわずかな体重幅で細分化されている理由を「それだけ体重の壁が分厚いから」と信じている人も少なくありません。

また、4つも存在する認定団体についても「最近のWBCは迷走している」「WBAはめちゃくちゃ」という批判はあっても、それらを統括団体だと勘違いしてしまっている人もいます。

また、各団体のランキングが対立王者を除外した上に我田引水のデタラメランキングを作成していることにも考えが至らず「指名挑戦者は強い」と信じている人までいます。

「名誉の殿堂」や「Fighter Of The Year」よりもPFPの方が名誉が格が上と思い込んでいる人も多くいそうです。それどころか、殿堂や年間最優秀選手賞の存在よりもPFPを先に知ってしまった本末転倒な「自称・長年のボクシングファン」も溢れています。

これは、メディアや帝拳、大橋秀行のような運営側の意図的なミスリードが最大の原因ですが、それを鵜呑みにして騙されるファンの知識レベルではなく社会的常識レベルの低さも問題です。

リング誌を一度も読んだことがないばかりか、見たことすらないにも関わらず「リング誌には権威がある」と、したり顔で言い切ってしまう暗愚な人々が徘徊しているのです。

他のスポーツなら、考えられません。



そして、もしかしたら日本人の「忘れる」能力に長けた諸行無常の心の構えも、なんらかの影響を及ぼしているかもしれません。

原爆を二発落としたアメリカを許すどころか、何のわだかまりもなく受け入れ、歓迎している国が日本です。

これが他の国なら、アメリカとのゲリラ戦が80年戦争にもつれ込んでいても不思議ではありませんが、そうはなりませんでした。


野球やボクシング、米国が本場で気軽にできるスポーツが戦後も大きく発展したのは米国への「恨み」を、日本人に潜在していた米国への「憧れ」が大きく凌駕したからに他なりません。

これは、間違いなく最も素晴らしい日本人の特徴という側面も持つのですが…。



前置きが長くなりました。


このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

ストロー級からジュニアフライ級、フライ級、ジュニアバンタム級と取りこぼしなく4階級のストラップをピックアップしたパイオニアはレオ・ガメスでした。

ガメスに続いてローマン・ゴンサレス、ドニー・ニエテス、井岡一翔がストロー級(105ポンド)からジュニアバンタム級(115ポンド)までの4階級制覇に成功。
 
わずか10ポンドを4つに細切れさせたことで成立する4階級制覇は、同じ4階級制覇でもミドル級(160ポンド)からクルーザー級(200ポンド)までの体重スパンの10分の1。

小さな体重スパン、競技人口の少なさ、専業ボクサーが少ないという軽量級の背景を考えるまでもなく、ストロー級からジュニアバンタム級が最も簡単な4階級制覇と言い切って差し支えありません。

それでも、PFPにはキングに2年間も君臨したロマゴンに、井岡、ニエテスも10傑入りするなど、いずれも評価が高いボクサーたちです。

また、井岡に続いて田中恒成もストロー級からジュニアバンタム級までに4階級制覇に成功。29歳の恒成には5階級制覇の可能性も時間も十分に残されています。


IMG_2216


ストロー級を起点にしない4階級制覇になると、ジュニアフライ級からフライ級をスキップしてジュニアフェザー級までを制圧した井上尚弥、フライ級からジュニアバンタム級をスキップしてフェザー級まで抑えたノニト・ドネアが登場。

井上はフェザー級、ドネアは〝忘れ物〟のジュニアバンタム級にも興味を示しています。

※日本ではドネアを「5階級制覇」としているメディアが多いのですが、世界的には暫定王座は認められていません。

さらに、バンタム級起点ではレオ・サンタクルス、ジュニアフェザー級からではエリック・モラレスも顔を覗かせてきます。


さて「軽量級4階級制覇」の格付けは、スキップ階級を飲み込んでいる井上とドネアがAAAでトップ2。

ジュニアフェザー級からライト級をスキップしてジュニアウエルター級を獲っているモラレスは「軽量級」の枠を飛び出したので、今回は資格なし。

井上とドネアに肉薄するのが、ジュニアバンタムで輝きに翳りが出てきたもののフライ級までの実績十分のチョコラティトでAA。

先頭グループから離れてニエテスと井岡。

その後続にアルセ、恒成、ガメスか。


このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

↑このページのトップヘ