フシ穴の眼 〜スポーツ疾風怒濤編〜

      Hope Lights Our Way / 希望の道を、つなごう。

カテゴリ: ザ・ベスト10

古い話になりますが、今月9日にESPNの解説者〝パッキャオにしか負けなかった男〟ティモシー・ブラッドリーJr.が、現在の階級レベルをランクづけしました。

その順位は①ウェルター、②ヘビー、③ライトヘビー、④ライト、⑤ジュニアウェルター、⑥ジュニアバンタム、⑦スーパーミドル、⑧ジュニアフェザー、⑨ジュニアミドル、⑩ミドル、⑪フェザー、⑫バンタム、⑬ジュニアライト、⑭フライ、⑮クルーザー、 ⑯ジュニアフライ、⑰ストロー。

「ジュニアライトとクルーザーはもっと上だろ」というような異論反論が集まるのは、PFPなどこの手の妄想ランキングでは楽しい議論の始まりです。

正解などあるわけがないのですから。

そして、お盆の今夜から噴出させるのは私の全17階級格付けランキング。

ブラッドリーの〝現在〟ランキングへの反論ではなく〝All time〟ランキングです。

「そんなランキング、出来っこ無い」なんて云う勿れ。PFPなど妄想ランキングはすべからく、本来は出来っこないものです。ただ、妄想は正解を求めるものではありません。

PFPランキングの別名はmythcal ranking。そして、Let's debate!が定番の掛け声です。

妄想に正解はありませんが、不可能もありません。

今回のオールタイム17階級ランキングのモノサシにするのは、歴代ベスト3ボクサーの比較とします。

歴史のあるオリジナル8が有利で、ジュニア階級は不利、という時間的な問題がありますが、そこは無視します。

また、複数階級制覇が当たり前の21世紀のボクサーを当て込めるのは、独断と偏見で一つの階級に絞り込みます。

ロイ・ジョーンズJr.の階級を、どれにするのか?

ローマン・ゴンサレスはストローかジュニアフライかフライか?

結構、難しい独断と偏見になりそうですが、始まりはじまり〜。

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井上尚弥。

6月7日の「ドネア2」の勝利。メディアは大々的に報道しませんでしたが、Lineal Champion の座に就きました。

ヘビー級以外のLineal Champion、しかもバンタム級のLineal Championにどれほどの意味があるのか?と問われると言葉に詰まりますが、1987年のベルナルド・ピニャンゴ以来、17階級で最長の35年間も空位だったバンタム級の玉座にモンスターが着席したのです。

日本人としてはファイティング原田以来、なんと54年ぶりの快挙になります。

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現在、17階級でLineal Championを頂いているのはヘビー級(タイソン・フューリー)、クルーザー級(ジェイ・オペタイア)、ライトヘビー級(アルツール・ベテルビエフ)、スーパーミドル級(カネロ・アルバレス)、ジュニアミドル級(ジャーメル・チャーロ)、ジュニアウェルター級(ジョシュ・テイラー)、ライト級(デビン・ヘイニー)、ジュニアライト級(シャクール・スティーブンソン)、バンタム級(井上)、ジュニアバンタム級(ファン・フランシスコ・エストラーダ)の10階級。※黒字はUndisputed champion。

空位の7階級はミドル級(2021年にカネロが返上)、ウェルター級(2016年にマニー・パッキャオが引退宣言)、フェザー級(2005年にパッキャオが返上)、ジュニアフェザー級(ギレルモ・リゴンドーが2019年6月から当該階級で試合を行っていないため2022年7月に剥奪)、フライ級(ローマン・ゴンサレスが2016年に返上)、ジュニアフライ級(2011年にジョバンニ・セグラが返上)、ストロー級(1999年にリカルド・ロペスが返上)。

井上が35年の空白を埋めたために、現在の最長空位階級は23年間のストロー級になります。

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現在、IBF、WBA、WBCと主要団体のタイトルを3/4まで統一した井上がコレクションを完成させるためのピースは残り一つ。

WBO王者ポール・バトラーとの試合決定なら、勝利はまず動かないでしょう。

凡庸な英国王者をキャンバスに沈めると、1984年にWBAジュニアバンタム級王者・渡辺二郎が、WBC王者パヤオ・プーンタラトを破って以来の38年ぶりのUndisputed championになります。

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前置きが長くなりました。

「カネロ〜クロフォード〜井上」の対戦相手の質からの比較検証です。

カネロは、人気階級の問答無用のスーパースター。

クロフォードは堂々の人気クラスであるウェルター級最強候補の最右翼目ですが、その実力に見合った人気は全くありません。

そして、井上に至ってはクロフォードとも比較できないカジュアルなボクシングファンには全く無名、米国では大会場でメインを張る需要はゼロという、人気という尺度を当てる以前の問題です。

人気の階級格差を取っ払って「階級に貴賎はない」という立場で考えるのがPFPですが、この企画もそれに則っています。

さて、井上の対戦相手の質は…。

【殿堂・年間最高選手賞クラス】では、ノニト・ドネアがいます。30代後半の劣化版とはいえ、フィリピーノフラッシュとの2度の対戦はともにタイトルホルダーでした。

このクラスの対戦相手が一人もいないクロフォードとは違いますが、タイトルホルダーでPFP1位のゲンナジー・ゴロフキン(初戦)と引き分け、WBCミドル級王者のミゲール・コットに勝利しているカネロには及びません。

井上が拳を交えた【現役PFPファイター】は、クロフォードと同じく一人もいません。

しかし「元PFPファイター」までハードルを一気に低くすると、やはりドネアが2007年から12年までの6年間PFPに名前を刻んでいました。

クロフォードは「元」すらいません。

【未来の世界王者】に目を移すと、井上は田口良一(リング誌/WBA&IBFフライ)と、ドネア(WBCバンタム)と二人いますが、クロフォードはリッキー・バーンズ(WBAジュニアウェルター)だけで、そのバーンズはジュリアス・インドンゴに封じられた絶対穴王者でした。

「階級に貴賎はない」という原理原則に立つと、井上とクロフォードの比較はナンセンス。対戦相手の質で両者には決定的な差があります。

ただ、カネロの実績は井上とクロフォードとは一味も二味も違います。もちろん、対戦相手の質が高く見えるのは「オーダーメイドで相手を選んでいるから」なのですが…。

リング誌のPFPランキングで、カネロは1位から5位まで急落しましたが、これは妥当だったのでしょうか?ライトヘビー級の無敗の強豪王者ドミトリー・ビボルに挑戦、敗れたとはいえ判定まで持ち込んだ結果は、井上やクロフォードの最近の対戦相手とは比較にならない健闘ぶりにも思えてきます。

「階級無視」「レガシー(偉業をクリアした実績) 」という観点で、カネロの挑戦は井上にもクロフォードとも次元が違うようにも思えるのですが…妄想ランキングにケチをつけるのもおかしな話なんですが…。
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現代ボクシングシーンで頭抜けた人気者、メキシコ時代の象徴、カネロ・アルバレス。

この32歳のスーパースターについては、まず表層的な数字から眺めてゆきます。

まだ32歳ですが、プロ戦績は61戦57勝39KO2敗2分。

デビュー5戦目の引き分けを除くと、勝てなかったのはフロイド・メイウェザーとドミトリー・ビボルに明白な判定負け、ゲンナジー・ゴロフキンとの初戦でのスプリットドローの3試合だけ。

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3試合とも明白な敗北に見えましたが、ジャッジペーパー上ではクロスゲーム、カネロに都合の良いスコアリングは世界中のボクシングファンを呆れ果てさせました。

ジャッジの採点はカネロの責任ではありませんが、ミドル級=160ポンド=進出時にゴロフキンを回避し続けただけでなく、ジュニアミドルより1ポンド重いだけの155ポンドのキャッチウェイト乱発、ドーピングに対する意識の低さ、スーパースターのエゴ丸出しの行為は、多くのファンの嫌悪感を煽りました。

それでも、対戦相手の質を見ると「殿堂や年間最高選手賞クラス」の対戦相手はシェーン・モズリー、ミゲール・コット、ゴロフキン、セルゲイ・コバレフと4人もいます。

初戦のゴロフキンを全盛期と見ることには否定的な意見もあるでしょうが、当時のゴロフキンはリング誌PFP1位評価だったことを忘れてはなりません。

今はなきリング誌の年間PFP表彰、Best Fighter PollでもPFPベルトがGGGに贈呈されました。

メイウェザーに喫した敗北も相手の格を考えると、評価を下がるものではなく、あの12ラウンドで受けた授業がカネロのディフェンス技術をさらに向上させたことは、エディ・レイノソの言葉を借りるまでもなく疑いようがありません。

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もちろん「全盛期の強打者は選ばない」という有名な姿勢は徹底しています。

それでも、ジュニアミドルからライトヘビーまでの21ポンドに渡る4階級制覇、スーパーミドル級で圧倒的な強さを見せてのタイトル完全統一は、一定の評価をせざるを得ません。

また、現役PFPではなかったものの、モズリーは元1位、コットとコバレフも最高位2位の強豪でした。

ただ、カネロは圧倒的Aサイド。劣化ビッグネームを好きに選べる立場です。オーダーメイドの対戦相手の質をどう評価するのかは、非常に難しいものがあります。

特に今回のように、人気階級の超弩級人気選手カネロと、人気階級の不人気選手クロフォード、不人気階級ながら母国日本での支持・支援の厚い井上尚弥と比較するのは厄介です。



さて、いよいよ3人目、米国進出は惨敗してもリング上では無敵のモンスターが登場します。
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誰に勝ったのか。

それは、もちろん「誰」だけではなく「いつ」も重要な要素です。

例えば「モハメド・アリに勝つ」のは60年代なのか、70年代なのか、それとも80年代なのかで大きく変わってきます。

例えば、実力評価と人気の乖離が大きいマイク・タイソンの場合、対戦相手の質、その最上位「殿堂や年間最高選手賞レベル」を見ると…ラリー・ホームズ、マイケル・スピンクスの2人だけ。しかも2人とも完全劣化バージョン。

タイソンの現役全盛期は多くのメディアがPFPキングと認めましたが、現在では「存命ボクサーPFPランキング」で10位に数えられることもなく、80年代や90年代の10年PFPでも勝ったホームズやスピンクスの後塵を拝しています。

弱い相手に圧勝することが大の得意だった一方で、強い相手を前にするとパニック障害を起こしてしまいました。

「レーザー・ラドックよりは強い」というのがタイソンの正体です。

そんなタイソンほどではないものの、ロイ・ジョーンズJr.も現役時代のPFP評価と、後世の評価で掌を返された〝被害者〟でした。

では、井上やカネロ、クロフォードの対戦相手の質はどうなのでしょうか?

パッキャオ型なのか?タイソン型なのか?

カネロとクロフォードは層の厚い人気階級、井上は層の薄い不人気階級ですが、PFPと同様に対戦相手の質に階級差別は一切持ち込みません。


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まずは、人気階級としては目も当てられない不人気に喘ぐクロフォードから。

殿堂、年間最高選手賞クラスの強豪との手合わせは一人もありません。

現役PFPファイターとの対戦もゼロ。

それでも無理やりめぼしい相手を探してみると、ライト級ではリッキー・バーンズとユリオルキス・ガンボア。どちらも劣化バージョンでしたが、ガンボアにグラつかされるシーンもありました。

Undisputed champion になったジュニアウェルター級では、ビクトル・ポストルとジュリアス・インドンゴ。どちらも悪い選手ではありませんが、殿堂入りは論外、PFPの末席を汚すこともできない平凡なアルファベット王者でした。

ウェルター級ではアミール・カーンとケル・ブルック、ショーン・ポーターの3人。カーンとプルックは、ミドル級で破壊された完全劣化版。

ポーターはクロフォード戦が引退試合になったように、思うように動かない肉体を自覚していました。

あらためて見直すと、トップランクという〝鳥籠〟に閉じ込められた不幸はあるものの、対戦相手の質が高いとは口が裂けても言えません。

クロフォードの現状評価は「弱い相手には滅法強いが、強い相手とはまだ戦っていない」。

「弱い相手への勝ちっぷりを見ると、強い相手にも十分通用するのではないか?」という、タイソンと同じイフに支えられているのが現状のクロフォード評価、つまり今が評価のピークかもしれません。

アマチュアでは勝負所でことごとく敗退。プロに入ってから叩き上げでのし上がってきたクロフォードには、自分の処遇を妥当だとは感じていません。

このパンデミックを「メディアと国家の陰謀」と決めつけていた悲しいほど暗愚で低脳な男は、自分に人気がないことも「巨大組織の陰謀」と思い込んでいるかもしれません。

表層的な数字では、プロ38戦全勝29KO無敗。

ライト級、ジュニアウェルター級(完全統一)、ウェルター級の3階級制覇。

層が厚く米国での人気が高いクラスでの3階級制覇ですが、これを持ち出すとPFPも意味がなくなり、このシリーズでバンタム級の井上尚弥と比較することができなくなるので、この側面は評価対象外です。

Bud(大輪の花を咲かせる若芽)も、今年9月で35歳。

本当に強い相手を迎えるにふさわしい時間は限られています。

このままではキャリア末期のポーターか、ライト級バージョンの劣化ガンボアが最強の相手、新芽のまま朽ちるかもしれません。



次は、大物。カネロ・アルバレスです。
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現在、専門家評価の高いファイターのトップ3、井上尚弥とカネロ・アルバレス、テレンス・クロフォード。


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瞬間的妄想評価のPFPランキングでは日本のモンスターが頭一つ抜け出し、カネロが急落していますが、年度別に表彰されるFighter of the yearではカネロが大きくリードしています。

最上位のFighter of the year、全米ボクシング記者協会(BWAA)が定めるSugar Ray Robinson Awardに選出されているのは2019、21年と2度輝いているカネロと、2014年のクロフォード。

格落ちのリング誌 Fighter of the yearでは、カネロがやはり2019、21年で受賞、こにらの2014年はクロフォードではなくセルゲイ・コバレフでした。

井上は、残念ながらBWAAとリング誌ともにFighter of the yearの受賞経験がまだありません。

さらに、近年トレンド化している Undisputed champion の点でもクロフォードがジュニアウェルター級、カネロがスーパーミドル級でタイトルコレクションをコンプリートしています。

一方の井上はバンタム級に王手をかけた状態とはいえ、最後のピースWBOを持つポール・バトラーとの交渉がこじれるようだと、完全統一にこだわらずにジュニアフェザー級へあげるかもしれません。

正直、井上にとってバトラー戦は、勝って証明するものは何もなく、最後のベルトをピックアップするだけの意味しかありません。

とはいえ、年内にバトラーを大方の予想通りに破壊すると、日本人ではファイティング原田以来、54年ぶりののバンタム級Undisputed championに就きます。

今年のFighter of the yearは、上半期の結果ではジュニアミドル級を完全統一したジャーメル・チャーロ、カネロを止めたドミトリー・ビボル、井上ら群雄割拠。

下半期、オレクサンダー・ウシクがアンソニー・ジョシュアを鮮烈に返り討ち、ゲンナジー・ゴロフキンがカネロを初めてノックアウト…そんな衝撃が走ると、Fighter of the yearレースはさらに混迷の度合いを深めてしまいそうです。

井上がFighter of the yearを掴むには、バトラーを撃破してバンタム級完全統一を果たすのが、最低条件になります。

ーーーここまで、3人の表層的な実績を振り返りました。

いよいよ本題、誰に勝ったのか?を見てゆきましょう。


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ボクサーの評価は数字で測られることはありません。

ボクシング史上、最も印象的な数字を残したのは49勝無敗43KO、KO率87.76%をマークしたロッキー・マルシアノです。

しかし、完全オリジナル8の50年代に活躍したマルシアノよりも、数字的には大きく劣る60年代から80年代に56勝5敗37KO、KO率60.66%のモハメド・アリの方が高く評価されています。

また、27戦全勝27KOのパーフェクトレコードを記録したエドウィン・バレロと、103勝16敗70KOのロベルト・デュランを並べて語る人はいません。

ボクシングにおける評価は「誰に勝ったのか?」が全て、と言い切っても差し支えないのです。

では、現在最も評価の高い3人のファイター、井上尚弥とテレンス・クロフォード、カネロ・アルバレスは誰に勝ってきたのか?

4-Belt eraにおいて対戦相手のクオリティが最も高いと評価されているファイターの1人がマニー・パッキャオです。

パックマンのキャリアを例に取ると…。

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【殿堂・年間最高選手賞クラス】

[全盛期]マルコ・アントニオ・バレラ、エリック・モラレス、ファン・マヌエル・マルケス、リッキー・ハットン。

[劣化版]オスカー・デラホーヤ、ミゲール・コット、シェーン・モズリー。

【現役PFPファイター】

バレラ、モラレス、マルケス、ティモシー・ブラッドリー。

【数字】

戦績:62勝39KO8敗2分。

▶︎8階級制覇。

▶︎Lineal title 4階級制覇(フライ/フェザー/ジュニアウェルター/ウェルター)

▶︎4つのディケイド(90年代/00年代/2010年代/2020年代)で世界王者。

▶︎は史上唯一無二。


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チェリーピッカーと揶揄されることがあるのに、意外とえげつないのがメイウェザー

【殿堂・年間最高選手賞クラス】

[全盛期]アーツロ・ガッティ、ハットン、マルケス、カネロ。

[劣化版]デラホーヤ、モズリー、コット、パッキャオ

【現役PFPファイター】ハットン、マルケス、カネロ、パッキャオ。

【数字】

戦績:50戦全勝27KO無敗。

▶︎無敗のまま5階級制覇。


*****

この2人との比較はさすがに無理がありますが、参考までに。

井上尚弥らの場合は低基準の評価「現役世界王者」「未来の世界王者」などもセットし、詳細に3人を比較してゆきます。
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日本ボクシング界の悲願。

連休明けのお昼休み、いきなりの突発企画です。

ずらずらッと書き連ねると…。

まず思い浮かぶのは、このブログでも別シリーズで継続中の①「世界ヘビー級チャンピオン」への夢です。

力道山やアントニオ猪木ら〝異業種〟までも巻き込んだ悲願。

悲願というには、これまでの挑戦で希望を抱くに値するような成果は何も挙げられていません。

世界との距離がどれほどあるのか、どの方向にどの角度で夢を打ち上げればそこに届くのか、それすらわかっていません。

悲願や夢と呼ぶには厚かましい、白昼夢、妄想の域を出ていないのが現状です。

「世界ヘビー級チャンピオン」と同じベクトルには②
「世界ウェルター級チャンピオン」があります。

ストロー級からヘビー級まで全17階級。日本人が世界王者に名前を刻んだ最重量はミドル級ですが、それよりも2階級も軽いウェルター級には未だに世界王者を輩出出来ていません。

米国でヘビー級に並んで、ときにはヘビー級を凌ぐ人気を集めてきたウェルター級に世界王者を送り込むことは、西岡利晃や井上尚弥が勘違いしてしまった嘘ラスベガスとは違う本物ラスベガスへの道への第一歩になります。

もちろん、本物ラスベガスへの道は村田諒太が力強くチャージ、白昼夢や妄想の殻は打ち破ってくれました。

それでも、米国の人気階級で大きな爪痕を残す〝ラスベガス〟はまだ悲願であり、夢のままです。

4-Belt era=同一団体内王者乱立時代=で世界王者の価値が暴落することで、蔓延しているのか安易な③「複数階級制覇」。

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この数字で表現できる偉業は、将来、「5」「6」と記録のテープを伸ばす日本人を見ることができるでしょう。

誰が一番強いのかが混迷してしまった4-Belt eraで、多くのメディアが定期的に発表するようになったのがPFPであり、メディアやファンが待望したのが統一王者です。

迷走する4-Belt eraで、実体のない妄想に過ぎないPFPと、実体である統一王者は羅針盤の一つになり得ます。

究極のPFPと究極の統一王者。つまり④「PFP1位」とリング誌も含めた4団体統一王者(⑤「Undisputed champion」)。前者はすでに井上尚弥が頂上を極め、後者についても王手をかけています。

PFPの究極をさらに研ぎ澄ますと、誰も異論を挟まない満票でのPFP1位がありますが、この次元までいくと、もはや十人十色の妄想とはかけ離れてしまいます。もちろん、そこが最終地点です。

そして、世界から日本に視点を戻して、⑥「日本史上最大興行の奪還」も、長らくプロ格闘技のフロントランナーをつとめているボクシング界の悲願でしょう。

このターゲットは先月、東京ドームをフルハウスにした「那須川天心vs武尊」です。

ボクシング関係者の「白井義男は後楽園球場で何度も試合している」「ファイティング原田は地上波生放送で今では考えられない視聴率を何度も叩き出した」という指摘は理解できますが、少なくとも同じ世代では負けてるのです。

そして、ここからは箱根駅伝の原晋・青山学院大学が語る⑦「ライバルは野球やサッカー」と語っているような偉大な野望です。

日本人のヘビー級やウェルター級、欧米の人気階級でアルファベットタイトルを拾うだけでなく、そこで覇権を争う、さらには覇権を打ち立てることです。

村田諒太の道をさらに奥深く突き進むことです。

米国や英国の巨大スタジアムで、現地でも大きな話題を巻き起こし、日本時間の日曜日未明にロンドン・ウェンブリースタジアムや、ラスベガスのT-Mobileアリーナから届けられる日本人ボクサーの大勝負を固唾を飲んで見守る、そんな舞台の実現です。

そこまで辿り着けば、井上信者が妄想する国民栄誉賞も取り沙汰されるかもしれません。

現状の井上は素晴らしい軽量級ボクサーですが、米国視点ではマイナースポーツの中でも特に人気のない階級のアジア人に過ぎません。日本で得る収入の10分の1の価値、需要すら無いのです。

「ボクシングの軽量級にも〝ラスベガス〟がある」という何の根拠もない幻覚は、井上尚弥の挑戦が惨敗に終わったことで打ち砕かれました。

しかし、アジアに目を向けると、間違いなく日本人アスリートの席が、たとえボクシング軽量級でも、いいえ、ボクシング軽量級だからこそ大きなポテンシャルがあります。

上海やマカオ、バンコク、シンガポールで、日本人と中国人、タイ人らのライバルが激突、欧米で不遇の軽量級ボクサーもそこを目指すような⑧「アジアのメガファイト」を創造するのは、解読不能の難問ではありません。

そして、視点を再び米国に向けて、⑨「モダーン部門での殿堂入り」です。

現在、引退後5年から3年に短縮されている殿堂入りの資格発生。枠は広がっています。

それでも、これまでに殿堂入りを果たしたボクサーはファイティング原田と、大場政夫、具志堅用高の3人だけ。

モダーン部門では原田だけで、大場と具志堅はオールドタイマーという時間のネジレが生じています。

もちろん、より名誉が高いのはモダーン部門で、資格発生即殿堂入りのFirst ballotは超一流の証明です。

原田は、詳しい説明は別にしますが、事実上の一発殿堂。

現状の日本人で原田に次ぐ2人目に最も近いのは、間違いなく井上です。

一発かどうかはわかりませんが、殿堂入りにふさわしい実績を積み重ねてきました。

ただ、門戸は広がってるとはいえ、長谷川穂積や西岡、内山高志、山中慎介らでも歯牙にもかけてもらえないのが現実です。

所詮は欧米基準ですが、バンタム級を完全統一、ジュニアフェザー級も完全統一の、4-Belt eraで史上初のUndisputed title 2階級制覇ならダニエル・サラゴサやアーツロ・カッティよりも間違いなく上のはずですが…。

最後の10番目は「PFP1位はサッカーならバロンドール」という素っ頓狂な見当違いを糺すべく、日本人初の⑩ 「Fighter of the year」、それもリング誌など瑣末のメディアではない全米ボクシング記者協会(BWAA)のFighter of the year、シュガー・レイ・ロビンソン賞を夢見ます。

世界的なメジャースポーツ、サッカーとボクシングでは価値が全く違うとはいえ「サッカーならバロンドール」という言葉はおバカな勘違いではありません!



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ESPNがRanking 10 must-see fights on the boxing scheduleを発表しました。

1位はカネロ・アルバレスとゲンナジー・ゴロフキンの第3戦(9月17日)。 

2位はオレクサンダー・ウシクとアンソニー・ジョシュアの再戦(8月20日)、3位は女子のクラレッサ・シールズvsサバンナ・マーシャル(9月10日)。

4位:ジェイク・ポールvsハシム・ラクマン、5位:ライアン・ガルシアvsハビエル・フォルツナ、6位:アンディ・ルイスJr.vsルイス・オルティス、7位:テオフィモ・ロペスvsペドロ・カンパ、8位:ダニー・ガルシアvsホセ・ベナビデスJr.、一つ飛んで10位がデレク・チゾラvsクブラト・プーレフ。

そして、9位にランクされたのが井岡一翔vsドニー・ニエテス(7月13日)。



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he 115-pound division is full of class: Juan Francisco Estrada, Roman "Chocolatito" Gonzalez and Jesse "Bam" Rodriguez lead the way, and Ioka gets a chance to show off his own ability in his fifth title defense.

If Ioka looks good, it stokes up interest in a possible showdown with Japanese rival Naoya Inoue, the brilliant unified bantamweight champion currently riding high in the pound-for-pound rankings.

Nietes, 40, a former world champion, is seven years older and could get blown away in a masterclass from Ioka.

115ポンドは充実した階級だ。ファン・フランシスコ・エストラーダ、ローマン〝チョコラティト〟ゴンサレス、ジェシー〝バム〟ロドリゲスがトップ戦線を引っ張り、井岡は5度目の防衛戦で実力を見せつける機会に恵まれた。

井岡が素晴らしい出来栄えを見せれば、ライバルのバンタム級王者でPFPランキング上位に乗り込んだ井上尚弥との対戦可能性が膨らむだろう。

元王者のニエテスは井岡より7つも年上の40歳、井岡の卓越した技術の前にあっけなく粉砕されるかもしれない。


試合は「ニエテスがどんな状態にあるのか」が焦点です。

ニエテスが2018年12月の初戦から2年以上のブランクを作って、昨年は2試合をこなしたもののパッとしない内容で1勝1分。著しい経年劣化を見せているなら、ESPNの見立て通りにワンサイドゲームになるでしょうが、あれだけの名選手です。

井岡戦となれば、気合の入り方が練習から試合まで全く違うでしょう。とはいえ、そんな情熱を握りつぶしてしまうのが加齢による衰えなのですが…。
 
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長谷川陣営が「オーラがある」と戦慄したフェルナンド・モンティエルを「2ラウンドKO」の予告通りになぎ倒したのがノニト・ドネアでした。

ドネアとモンティエルは何度もスパーリングをしており、ドネアには「どう転んでも負けるわけがない」という自信満々。

一方のモンティエルは本人だけでなく陣営も緊張感で表情が強張ったまま試合開始ゴングを迎えてしまいます。



【まさかそこが終着駅だったとは…】


ノニト・ドネアは2001年2月にバンタム級4回戦でプロデビュー。

2007年7月、IBFフライ級王者ビック・ダルチニアン戦で大番狂わせを起こすまでの18試合でフライ級で戦ったのはわずか3試合。フィリピンの閃光は自分の適正階級に迷いながらキャリアを積み重ねていきます。 

フライ級王者としてはモルティー・ムザラネとの〝原石〟対決、ジュニアバンタム級では先に上がっていたダルチニアンとの再戦がメディアとファンから熱望されますが実現ならず。

バンタム級はモンティエルを破壊、当時無敗のフライ〜ジュニアバンタム2階級制覇王者オマール・ナルバエスに「勝とうとしない相手ほど楽な相手はいないが、もうナルバエスとは関わりたくない」という圧勝で初黒星を付けて「ライト級まで7階級制覇してPFPファイターになる」という公約を果たすべくジュニアフェザー級へ。

2012年にはジュニアフェザー級で4戦全勝、この年の業績が認められて全米ボクシング記者協会(BWAA)からFighter of the yearが贈られます。

しかし、ウィルフレド・バスケスを圧倒できず、ジェフリー・マブセラにトドメを刺せず、、西岡利晃に終盤まで粘られるドネアの姿に「衰えた」と断言する専門家も少なくありませんでした。

そして2013年、ギレルモ・リゴンドーに完敗。

そして、2014年にはニコラス・ウォータースに破壊されてしまいます。

世界戦ではジュニアフェザー級で6勝2敗、フェザー級で1勝2敗。

4階級制覇したドネアにとっての階級の壁。それがジュニアフェザー級であったことは、バンタム級に逃げるように出戻ったことからも明らかでした。


プロ22年で42勝29KO7敗。

誰に勝ったのか?では、殿堂クラスのファイターには、ついに勝つことができませんでした。

しかし、PFPファイターのビック・ダルチニアンを大番狂わせに撃沈し、ホルヘ・アルセ、ライアン・バーネットというビッグネームをねじ伏せ、無敗の2階級制覇王者オマール・ナルバエスにも初黒星を擦りつけました。

キャリア2戦目で喫した敗北を除くと、負けたのはリゴンドー、ウォータース、ヘスス・マグダレノ、カール・フランプトン、そして井上尚弥に2敗。

リゴンドー は歴史に残るテクニシャン。フランプトンはBWAAとリング誌のFighter of the yearをW受賞経験者。井上はPFPキング。ウォータースとマグダレノも穴王者ではありませんでした。

21世紀が幕開けた年にデビューしたドネアは、この世紀のジュニアフェザー級以下の超軽量級シーンのフロントランナーであり続けましたのです。

そして、その殻を破壊する、あと一歩まで迫ったこと、バンタムに出戻ったもののそこで再び輝いたことをボクシングマニアはずっと記憶しているでしょう。
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ファイティング原田を超える日本史上最高のボクサー。

そう語られる選手は間歇的にわいてきました。

具志堅用高、辰吉丈一郎、西岡利晃、井上尚弥…。長谷川穂積もそんな〝日本史上最高ボクサー〟の一人でした。

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【そもそもバンタム級でも誰に勝ったのか?】


長谷川穂積は1999年11月プロデビューからの5戦は3勝2敗でしたが、2003年5月にジェス・マーカをSDで競り落として東洋太平洋、2005年4月にウィラポン・ナコンルンプロモーションを破ってWBCバンタム級のストラップを獲得。

WBC御用達のランカーを次々と倒して10連続防衛を果たすも、当時はネット社会も成熟「強い相手には勝っていない」という批判がつきまとっていました。

日本王者サーシャ・バクティンとの試合を「面白い試合にならない」と回避、防衛を重ねて自信を深める中で山下正人会長が「サーシャとやろ!やったらええんやろ」と 苛立つこともありました。

また、山下会長は「WBCには恩義がある」という余計なことまで口にすることが多く、長谷川がどこまで強いのかは誰にもわかりませんでした。

リング誌はマニー・パッキャオに憧れる長谷川を「ジャパニーズ・パッキャオ」と紹介、Best Fighters in the World(年間PFP100傑)で最高位12位に付ける一方で、ルシアン・ブテらとともに「本当に強いのかわからない未知の強豪」にも数えられるなど、旬の強豪との対戦が欠落していたのです。

JBCが特例で認めた他団体王者との対戦は、誰に聞いても階級最弱王者と太鼓判が押されたWBOのフェルナンド・モンティエル。

2010年4月30日、モンティエルは前年に〝普通の防衛戦〟も内定していた〝いつもの雑魚〟の一人で「長谷川の楽勝」とも見られていましたが、武道館は異様な緊張感に包まれていました。

そして、リング上では福田トレーナーが「こいつは強い」とオーラに気圧され、試合中のインタビューでも長谷川本人が「過去最強」と認めてしまいます。

世界王者と複数階級制覇のハードルが劇的に下がった4-Belt Eraでなければ、間違っても3階級制覇などありえなかったモンティエルとの試合は、「3ラウンドまでは長谷川がスピードで圧倒していた」というジョー小泉は幻覚を見ていたのか、拮抗したフェイント合戦が展開。

第4ラウンド、残り10秒の拍子木をゴングと勘違いしたという長谷川はモンティエルの右ストレートから左フックのフェイントにはまってロープに後退。最弱王者のフォローに長谷川は顎を跳ね上げられ防戦一方、ここでローレンス・コールが試合を止めました。

当時のバンタム級は派手な勝利を重ねる長谷川が最強と目されていましたが、WBAのアンセルモ・モレノを推す声も少なくなく、IBFのヨニー・ペレスも地味ながらタフな実力派とみられ、WBO王者をヨレヨレで守っていたモンティエルは最弱とみられていたのは当然です。

そして、長谷川を上回る〝隠れ最強〟の評価を集めていたのが、バンタム転向を表明していたWBAジュニアバンタム級暫定王者のノニト・ドネアでした。

長谷川は再起戦でいきなりWBCフェザー級王者決定戦に出場、ファン・カルロス・ブルゴスを下して2階級制覇。しかし、「おいしい相手」と自信満々でジョニー・ゴンザレスを迎えた初防衛戦では4ラウンドで粉砕されてしまいます。実際のオッズも3−1と、西岡利晃にも逆転KO負けを喰らい、とにかく勝負弱くザルディフェンスのジョニゴンになら勝てると期待されていました。

この頃には、リング誌が「過大評価の典型」「グラスジョー」と長谷川の株は暴落。

その後、3階級制覇を狙って穴王者とみられていたIBFジュニアフェザー級王者キコ・マルチネスに挑戦するも7ラウンドで破壊されてしまいます。

ジョニゴン、キコよりも穴王者…そんなのいないと思われましたが、いたのです。亀田興毅に完敗しているWBAジュニアフェザー級王者ウーゴ・ルイスとのボーナスマッチで一進一退の攻防の末に9ラウンドストップ勝ち。〝感動の〟3階級制覇を果たしました。

バンタム級で10度防衛した長谷川でしたが、フェザーとジュニアフェザーでは一度も防衛できず。

ジャパニーズパッキャオと何だったのか?

階級の壁に残酷なまでに跳ね返されただけでなく、そもそもバンタム級でも強かったのでしょうか?

少なくとも…日本の多くのファンが信じていたバンタム最強が、全くの幻想だったことは間違いありません。
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