カテゴリ: ザ・ベスト10

Forever Young


2021年12月21日、その日本人はまたしても中華人民共和国で戦っていた。

彼は、約15億人の人口を抱える中国で最も有名な外国人ボクサーだ。

それはすなわち、地球上で最も有名な日本人ボクサーというとらえ方も出来るかもしれない。


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すでに内定済みの、中国で2度目の公式試合の練習とプロモーションも兼ねて用意された14オンスのグローブで行われるボクシングルールによるexhibitionのリングに上がった当時33歳の日本人は、すぐに不穏な空気を感じ取った。

事前にボクシングルールと聞かされていたが、内実はその男のネームバリューを利用しようと企んだ対戦相手のユーチューバーが視聴者数稼ぎを目当てに企画した〝詐欺〟に巻き込まれたのだった。

浅ましく卑劣なユーチューバーは日本人をボディスラムで頭からキャンバスに叩きつけるなどの危険行為を繰り返した。

日本ボクシングコミッション(JBC)はJBCルール第24条に抵触したとして、木村翔に戒告処分を出した。

これを受けて木村は中国・武漢で行ったスパーリングマッチについて謝罪と説明を行った。

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 リング誌から。



木村が中国に大きなインパクトを与えたのは2017年7月28日のことだから、もう8年も前になる。

当時WBOアジアパシフィック・フライ級王者だった木村は7月11日にクワンタイ・シッモーセンと初防衛戦を行う予定だったが、急遽舞い込んだWBO王者・鄒市明(ゾウ・シミン)からのオファーを選択する。

シミンは北京2008、ロンドン2012で金メダルを獲得した中国の国民的英雄。プロ入りに際してもトップランクがプロモート、トレーナーはフレディ・ローチと世界最高のチーム体制を組んだ。

軽量級ではまずお目にかかることが出来ないスターに上海で挑戦しないか?そのオファーを断る理由は、日本でも全く無名の存在だった木村には一つもなかった。

この興行はトップランクとローチを切り捨てて、プロモートからコーナーまでゾウ・シミンを中心にオール中国で立ち上げた初めの一歩。

中国の人気リアリティ番組「パパ、どこに行くの?」に4歳の息子と出演しているゾウは、リングを超えた英雄だ。

そんなゾウ・シミンを上海で倒すとどうなるか?誰にでもわかることだ。


Kimura (15-1-2, 8 KOs), whose job delivering beer crates didn't pay him enough to buy a good pair of ring shoes. But Kimura didn't need new shoes.

ビール配達が仕事の木村は新しいリングシューズを買うカネにも困っていた。

しかし、2度も五輪を制したプロの世界チャンピオンから圧倒的な勝利を収めるのには、シューズを新調する必要はなかった。

With his back on the canvas, Zou, 36, waved "no mas" to the crowd and referee, who ended it at 2:28 of the 11th. The gesture also might have been his goodbye to the sport.


木村の勝利は「完全敵地」「圧倒的不利の予想」を、文句のつけようがない形で跳ね返した偉大な勝利でした。

この勝利は、平仲明信と亀田和毅をスキップして「1981年の三原正以来」とされている。平仲はプエルトリカンの強豪王者エドウェン・ロサリオに対して「圧倒的不利予想」だったが、リングがセットされたのは中立国(アンチ・プエルトリコという点で平仲に追い風?)メキシコの闘牛場。

和毅に至っては穴王者のナミビア人(パウルス・アンブンダ)に対して明白に有利と見られ、さらに舞台は中立国のフィリピン。強豪相手でもアウエーでもなかった。



JBCの戒告を受けて開いた会見で、木村が語った言葉を最後に記しておく。

「今回、相手の反則行為は許しがたい事です。しかし、ゾウシミン戦以降、日本人である私に対して、私のことを知り、そして、応援してくれる中国にいる多くの方々を愛する気持ちは変わりません」。

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“Boxing definitely did a turn..it went from this side to that side and this shit has no loyalty so why would I care, I move accordingly BOXING IS DEAD.


「ボクシングはこっち(スポーツ)からあっち(茶番劇)へ完全に変わったんだ。もともとスポーツとしてのボクシングに愛着なんて持っていないから、俺もあっちへ動くだけだ。(もう何十年も前から言われてることだけど)ボクシングは死んじまったんだ」。



先週、ガーボンタ・デービスは「ボクシングは死んでいる」と吐き捨てました。
マイナースポーツに転落して久しい米国ボクシングですが、ついに落ちるところまで落ちたということです。

認定団体によるデタラメランキングと、そこから量産される〝世界チャンピオン〟が跋扈する倒錯のリング。

ボクシングの市場価値はWWEやUFCにとっくの昔に抜き去られてしまいました。

WWEのようなて徹底したエンタメ性もない、UFCのようなスポーツライクな取り組みともかけ離れたボクシングが、コンバットスポーツの中で存在感がどんどん軽薄になっている状況は誰も食い止めることができません。

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コロナ禍で落ち込んだ競技人口は徐々に回復しているとはいえ、日本以外の多くの国では総合格闘技のファイターがボクシングライセンスを持つことも珍しくなくなりました。

その日本でも、ボクシングの放送はテレビからネット配信へのシフトを完了してしまいました。

マニアが見る趣味への道をまっしぐらです。

プロボクサーの人口は全世界でも3万人弱。この中で専業で食っていけるのは1%、300人にも届かないでしょう。


日本では、競技人口の減少やジムの経営難などに直面するプロボクシング業界を応援しようと、自民党の国会議員でつくる議員連盟が作られるような時代になってしまいました。

自民党に同情されるスポーツにまで落ちぶれたのです。

JBCの有効ライセンスを持つ1281人のプロボクサーのうち、ファイトマネーだけで生活を成り立たせている選手が何人いるでしょうか?

世界の「1%」よりは高い数字だと思いますが、「6回戦になれば生活できた」という1970年代までの「本物の黄金時代」は遠い昔の出来事です。


もちろん、スポーツを好きになる理由は「メジャーだから」「選手たちが大金持ちだから」ではありません。

あらゆる格闘技の中で攻撃に使える面積が極端に狭い、猫の額ほどもない左右のナックルパートのみ。攻撃できるのはベルトラインより上の正面だけ、背面や後頭部への打撃は反則です。

ボクシングは、驚くほど限定的な格闘技です。

もともとは、現在のMMAに近い、いやMMAよりも自由な攻撃が許されていましたが、徐々に反則項目を増やして、1867年に制定されたクイーンズベリー・ルールによって今につながる近代ボクシングが始まりました。

攻撃が限定されるボクシングは、最も弱い格闘技です。

かつて、ロンダ・ラウジーがフロイド・メイウェザーに対戦を迫ったとき、専門家やオッズはラウジーの圧勝と予想しました。女子にも惨敗するほど、ボクシングは弱いのです。

護身術として学ぶならボクシングより有効な格闘技はいくらでもありますが、反則項目を増やしてきたボクシングが他格闘技との比較においての強さを求めていないのは明らかです。

攻撃の手段をどんどん削り落としてきたボクシングは、トドのつまりは最も研ぎ澄まされた格闘技です。

そんな研ぎ澄まされた技術が尊敬されない、奇抜なマッチメイクで人目を惹く茶番劇がもてはやされる〝あっち〟側がメインストリームになるとしたら、これほど悲しいことはありません。

それでも、日本はまだマシです。日本ランキングはデタラメではありません。チャンピオンも粗製濫造されません。ほぼ全てのメディアとファンがボクシングをスポーツだと認めています。



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ここで着ドン。










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コロナショックで2万人を割り込んでいたプロボクサーの競技人口は徐々に回復、2025年10月3日現在、2万7905人まで盛り返しました。

今回は「世界」の現在と2022年1月22日、そしてボクシング大国四カ国を17階級を見渡してみます。

アルゼンチンとタイも800人近い競技人口を持っていますが、1000人の大台を超えるのはメキシコ、米国、日本、英国の四カ国のみ。

20世紀まで最も大きな競技人口を抱えていた米国はメキシコに完全に逆転され、その差はどんどん開くばかり。

今日現在の米国のプロボクサー人口は3408人。メキシコは4254人となっています。

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そして、米国で生まれ米国で育ちながらもメキシコの血筋を全面に出しているデビッド・ベナビデスのような多くのファイターを「メキシコ」とカウントすると米墨の差はもっと大きく広がります。

コロナ禍から再び競技人口を取り戻しているプロボクシングですが、ボクシングと総合格闘技、二つのライセンスを持つファイターも増えています。

さらに、最も大きなマーケットを形成する米国で真っ当な公式戦よりも、茶番劇が大きな注目とカネを集めている悲しい現実は、このスポーツの未来を永遠に奪ってしまうかもしれません。


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かつて、ジュニアライト級やジュニアウエルター級、ジュニアミドル級は水増し階級の一つに過ぎず、欧米ではほとんど注目されることがありませんでした。

それは日本にとって悪いことではなく、体格の良いボクサーの世界アタックへの道を広げてくれたのです。

特にジュニアミドル級は、輪島功一がUndisputed championとして切り拓き、2団体分裂後も特にWBAにおいて馴染み深いクラスであり続けできました。

WBAのストラップは輪島からホセ・デュラン、ミゲル・アンヘル・カステリーニ、エディ・ガソとリレーされて工藤政志の拳に渡ります。

レスリング出身という異色の経歴を持つ工藤が4度目の防衛戦で迎えたのは世界選手権ライトウエルター級金メダリストのアユブ・カルレ。

1979年10月24日、故郷の秋田県立体育館。不利の予想通りに15ラウンド、ボクシングのレッスンを受けることになり、王座陥落。

しかし、工藤は「カルレと戦えて光栄だった」と清々しく勝者を讃えました。

カルレは確かな技術をベースにした堅実なボクシングて勝利を重ね、5度目の防衛戦へ。



なんと、工藤がリスペクトしてやまなかった王者カルレが圧倒的不利の予想を立てられてしまいます。

それもそのはず、その挑戦者はシュガー・レイ・レナード。

トーマス・ハーンズとの大一番を控えたスーパースターが調整試合に選んだのが、カルレでした。

試合はレナードが手こずりながらも、9ラウンドでウガンダ人を仕留めます。

ウエルター級とジュニアミドル級の2階級制覇を達成したレナードですが、カルレが安定王者に君臨する水増し階級には用はないとばかりにタイトルを返上。

〝レナードの後釜〟として空位のWBAジュニアミドル級を争ったのが三原正とロッキー・フラットでした。

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1981年11月7日、ニューヨーク州ロチェスターのWar Memorial Auditoriumで快挙が達成されます。

「三原正がニューヨーク・ロチェスターでロッキー・フラットを判定で破ってWBAジュにミドル級王者に」。

海外でのタイトル奪取は三原が史上5人目、のべ6人目でした。

私がボクシングに興味を持ったばかりの頃、高校の図書室でリング誌を貪り読む前の中学校時代。三原の快挙は新聞のスポーツ欄で知った記憶があります。

ニューヨーク、ロチェスター、ロッキー・フラット…目に飛び込んできた全てのカタカナがカッコ良く見えました。

その当時は分かりませんでしたが、この試合を裁いた主審は、なんとなんとアーサー・マーカンテ。

高校に入ってリング誌を好きなだけ読める環境が整うと、バックナンバーでロッキー・フラットがRocky Flat ではなくFratto であったことが判明。全く意味もなく拍子抜けしたのを覚えています。

三原は初防衛戦でデイビー・ムーアに全くいいところなく6ラウンドKO負け、東京でタイトルを手放してしまいます。

それでも、復帰戦から連勝街道に乗った三原に、WBCジュニアミドル級王者トーマス・ハーンズへの挑戦試合が内定しますが、持病の腰痛のため引退。

ーーー工藤が子供扱いされたカルレがレナードの調整試合…三原を破壊したムーアがロベルト・デュランにタコ殴りされてKO負け…中量級の頂点がどれほど高いのか、それを考えると、日本のボクシングファンはため息をつくしかありませんでした。


【三原正のニューヨーク州ロチェスター】

・価値 ★★★★★
・衝撃度 ★★★★★



ーーーと、こんな感じで独断と偏見で、時系列を無視して敵地に乗り込む麗しきファイターを紹介してゆきます。

ご紹介させていただくのは「広く敵地で番狂せを起こしたファイターですが「敵地でタイトル奪取」したのべ6人は以下の通り。当然、この方々はふれないわけにはいきません。

①西城正三
②柴田国明
③柴田国明
④大熊正二
⑤上原康恒
⑥三原正





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日本のプロボクサーは幸運です。

特に、軽量級では王者として防衛する場合はもちろん、王者に挑戦するときでさえホーム開催となるのがデフォルトです。

営利団体でしかない認定団体が跋扈するタイトルマッチでは、どこでやればより大きな認定料を稼げるか?という力学だけが作用します。

日本で好き勝手出来てコスパが良く、コネクションも構築されている軽量級では、敵地に乗り込むのは極めてレアケースです。

それどころか、井上尚弥や西岡のように、日本開催の方がはるかに大きな興行となるにも関わらず「ラスベガスから招かれた」かのような奇怪な劣情のロジックを弄して海外に渡ることがありますが、これもまた特異なケース。

ビジネス的にもコンディション的にも、日本開催が良いに決まっていますが、さまざまな事情が絡んで敵地に向かわざるを得ないケースもあります。

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軽量級だけではなく、中量級でも敵地で貴重な勝利をあげた、triumph、大勝利の系譜を辿ってゆきます。

また、アルファベット団体のストラップにこだわらず、ノンタイトルであっても価値が高い、あるいは十分な衝撃を与えたという勝利も取り上げてゆきます。


あのファイターを忘れるな!なんて思いつく人はどしどしご意見寄せてください。
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2020年代のBest Fighters Rankingで、オレクサンデル・ウシク、テレンス・クロフォード、カネロ・アルバレスの3強を追っている井上尚弥ですが、ディケイドはまだ半分弱残されており、バム・ロドリゲスやデビッド・ベナビデス、シャクール・スティーブンソンらに押し出されてしまう可能性大。

もし、来年の日本人決戦に敗れるようなことがあるとトップ5からもはじき出されそうです。

さらに厳しいランキングになる21世紀の最初の四半世紀(2021〜2025年)を見ると、すでにエントリーは締め切られ、日本人からは井上だけがノミネート。

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今回は、独自ランキングではなく、ESPNの「トップファイター:今世紀の25人」から一気に。

①フロイド・メイウェザー
②マニー・パッキャオ

▶︎このワンツーは誰も異論がないのでは?


③バーナード・ホプキンス
④オレクサンデル・ウシク

▶︎ここはどうでしょうか?3位はウシク?それともエイリアン?


⑤カネロ・アルバレス
⑥アンドレ・ウォード
⑦テレンス・クロフォード

▶︎さて、難しいとこです。このランキングは先週の「カネロvsクロフォード」の1週間前にアップされたもの。カネロとクロフォードの入れ替えはあり?なし?


⑧ファン・マヌエル・マルケス
⑨ロイ・ジョーンズJr.
⑩井上尚弥

▶︎弱い相手に豪快に勝つことで評価されたロイと井上ですが、対戦相手の質はさすがにロイが上回るか。


⑪ゲンナジー・ゴロフキン
▶︎PFP1位に1年以上君臨したGGGがこの位置ですか。勝てなかったのはカネロだけ(2敗1分)ですが、あれはねぇ…。


⑫ジョー・カルザゲ
⑬エリック・モラレス

▶︎カルザゲとモラレス。英国とメキシコで大人気を博したスターがここにランクイン。


⑭ワシル・ロマチェンコ
⑮オスカー・デラホーヤ
⑯ローマン・ゴンサレス

▶︎PFP1位トリオが並びました。異邦人と人気階級から離れた悲哀を味わい尽くしたロマとチョコラティト。そして、超人気者のゴールデンボーイのポジションはもう少し下では?


⑰タイソン・フューリー
▶︎その技術力が高く評価されて、生粋のヘビー級で最高位の評価を受けたフューリー。そのフューリーを技術で翻弄したウシクの凄みがあらためて浮かび上がります。


⑱ミゲール・コット
マルコ・アントニオ・バレラ

▶︎パッキャオのレガシーに欠かせない2人。どちらのファイターもマニアなファンからライトのファンまで幅広い支持を集めた人気者でした。


⑳ビタリ・クリチコ
㉑ケイティ・テイラー
㉒ウラジミル・クリチコ
㉓クラレッサ・シールズ

▶︎クリチコ兄弟、もっと上じゃないですか?女子もカウントするなら、この2人は納得してですが、やはりもっと上では?


㉔ウィンキー・ライト
㉕ティモシー・ブラッドリーJr.

▶︎ライトがここ?もっと上じゃないか。そして、ブラッドリーがなぜ???きっと何かの間違いです。




この25人を見渡して、あらためて驚くのはパッキャオの対戦相手の質の高さ。

25人中7人!と拳を交えて、のべ14試合で10勝3敗1分!なぜかランキングされているティモシーも入れちゃってますが…。

そして、井上尚弥。ディケイド(10年)でベスト5の座も危ういにもかかわらず、四半世紀(25年)では10位。これは、ディケイドをまたがって活躍したため。

活躍濃度を西暦の10年に圧縮させるのが、高い評価を得るのに一番効果的です。その意味では井上は2010年代の実績をカウントされないため、損してます。

1年区切りのFighter Of The Year でも後半に活躍する方が有利です。

まあ、そんなこといってもメイウェザーやパッキャオは全く関係ない次元で活躍してるわけですが…。




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当代きっての人気者カネロ・アルバレスに、死神の如く人気のないテレンス・クロフォードが土を付ける。

米国ボクシングの墓場として、今日のアレジアント・スタジアムほどふさわしい場所、試合結果はありません。

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ボクシング界の常識ですが、テレンス・クロフォードの評価が一番高いのは「今」です。

そして、ここからズルズルと滑り落ちていくのがデフォルト。

マニー・パッキャオやフロイド・メイウェザーのように、そのスリップを最小限に食い止められるのか?



Great Of All Time(史上最高)は冗談にして、現代最高のファイターでしょうか?

例えば「21世紀」という切り取り方では?

あるいは「2020年代」というディケイドでは?

さらに絞って、2025年9月14日現在というピンポイントでは?

ーーーさて、クロフォードは現代最高のボクサーでしょうか?

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文句は言わさん!

またまた新シリーズのスタートです。

テーマは最も価値のあるトロフィーは何か!?

映画アカデミー賞のオスカーや、音楽グラミー賞のグラミー(蓄音機グラモフォンの形してるやつ)も、長がったらしい台詞を並べて頂く貴重なトロフィーらしいのですが、完全に人が決めただけの賞なので、今一つ魅力を感じません。

やはり、スポーツの勝利の証が格別です。

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【10位】ワールド・ベースボール・クラシック

ティファニー(TIFFANY & CO.)製で、素材はスターリングシルバー。そこに24金のアクセントをあしらわれています。高さ約60cmで、重さ約11kg。

MLBワールドシリーズの優勝トロフィーもティファニーがデザイン。

米国のナショナルパスタイム(国民的娯楽)野球のトロフィーは、ティファニーがやっぱりしっくりきます。

ティファニーは新興国アメリカの宝飾店、高価とはいえない銀細工…ヨーロッパのビッグブランドから見ると格落ちでしたが、オードリー・ヘップバーンが愛用、「ティファニーで朝食を」(1961年)で世界的に認知されました。

それでも、ヘップバーンと聞いて、真っ先に頭に浮かぶブランドはジバンシーですが…。



【第9位】World Boxing Super Series(WBSS)

用意もしていない高額の賞金をチラつかせて、マイナー階級の不人気選手を騙した悪名高きWBSS。

不手際連続の詐欺集団の用意したトロフィーが高価な貴金属を素材にしているとは思えません。そして、人気階級のヘビー級には手出しできないのに、何故か「モハメド・アリ杯」。

安価な樹脂製でしょうか?

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まあ、それでも悪い意味の背景を多く抱えるトロフィーは、それはそれなりに見てみたい気がするのは私だけでしょうか?



【第8位】サッカーW杯

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2位以下を圧倒的に引き離して地球規模の人気スポーツであるサッカーのW杯トロフィーは、一般的に最も価値があるトロフィーでしょう。

ピッチをイメージした緑色の孔雀石(マラカイト)装飾入りの18金でできており、高さ36cm、重さ4970g(11ポンド)。

フランスの専門誌「フランス・フットボール」が創設した年間最優秀選手に贈られるバロンドールも、地球上で最も競争率の高いMVPトロフィーです。



【第7位】ウィンブルドン

世界で最も価値があるかどうかはともかく、最も気品の高いトロフィーです。

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トロフィーを手にするケンブリッジ公爵夫人キャサリン妃は、この大会のパトロンでもあります。

初めて知った爵位を持つ人物が「あしゅら男爵」だった私にとって、英国王室やらウィンブルドンを闊歩する本物の「爵」どもは、憧れとも違う、もはや異次元、違う惑星の住人です。


【第6位】ロンズデール・ベルト

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ロンズデール卿も貴族でありますが、なんか胡散臭い気がしてならないのはボクシングに関わっているからです。

英国ボクシング管理委員会(BBBofC)が認定する最高位のチャンピオンベルト。運営側のトップを全面に出す偶像崇拝、狂信的な新興宗教や独裁国家か?

WBCベルトもスライマン会長の小さな肖像写真をベルト部分にあしらっていますが、これはバックル部分にドーンと打ち出し、その名称もロンズデールベルト。

しかし、ここまで振り切っちゃうと、逆に清々しかも?





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定点観測したいところですが、いつものことながら酔っぱらいの思いつき企画、前回は去年の3月24日、今回は4月21日、約ひと月遅れですが、ご容赦あれ。

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コロナ禍で2万人を割り込むまで激減した競技人口は、2万7000人以上まで盛り返しています。

ただし、BoxRecがより広く多くの国から情報を集め、より深くデビュー戦の決まったライセンス取得者(キャリア・ゼロ)のボクサーまで拾い上げていることも〝人口増加〟の一因です。

階級別の「競技人口」だけを見ると、ヘビー級は1547人で、井上尚弥が主戦場としているジュニアフェザー級の1401人と大きな差はありませんが、これをもって「ヘビー級とジュニアフェザー級の〝層〟の厚さは変わらない」と受け止めてはいけません。

ヘビー級のトップ10が英国人5人、オーストラリア人2人、ウクライナとドイツ、アルメニアが一人ずつという構成に対して、ジュニアフェザー級はメキシコ3人、日本とフィリピン2名ずつ、オーストラリアとウズベキスタン、ナミビアが一人ずつ。

欧米の富裕国が支える階級は関心も大きく、報酬が高く、専業率が高いのは当然です。

日本勢がタイトル独占のバンタム級はその日本が6名、メキシコとプエルトリコ、米国、タンザニアが1名ずつ。

ウエルター級は米国4名、日本と英国、南ア、ドミニカ、フランス、ウズベキスタンが1人ずつ。

米国市場で傑出した人気を誇るカネロ・アルバレスのスーパーミドル級はメキシコ、米国、プエルトリコ、フランスが2名ずつ、クロアチアとグァテマラが1人ずつ。

最軽量のストロー級は日本が4名、フィリピン2名、中国、タイ、南ア、プエルトリコが1人ずつ。

米国や英国など富裕国でも優れた軽量級ファイターは存在しますが、ナショナル・ランキングや州のランキングは貧弱で階級によっては無いものもあります。

欧米の富裕国が軽量級に興味がないのは当然です。

これ、逆もまた然りではありません。

つまり、日本では世界でいう重量級、スーパーミドル級から上のナショナル・ランキングは存在しませんが、けしてマイナーとは言えません。

日本のボクシングファンは世界(欧米)で人気のある階級、選手に敏感なアンテナを張っています。

ウエルター級はフライ級の3倍超の競技人口ですが、日本のファンはタイトル奪取の難易度とその偉業度が3倍では済まないこともよく知っています。

ヘビー級やミドル級、ウエルター級のスター選手はもちろん、欧米で脚光を集めるとライトヘビー級やクルーザー級にも積極的に興味を持つのが、オールラウンダーな日本のボクシングファンの特徴です。

しかし、欧米ではそんなことは全くありません。米国のカジュアルなファンがストロー級のオスカー・コラーゾや、「誰も見たことがない」(ESPN)ジュニアフェザー級の井上尚弥の興味があるかと言えば、ありえません。

そもそも、軽量級への偏見も強く関心が低い上に、井上や井岡ら日本の優れたファイターの試合は実質無料放送でもウイークデイの明け方にオンエア。「コアなマニア以外は誰も見ない」のは当然です。

井上のT -モバイル・アリーナのチケット販売状況は相変わらず重く、心配です。どんどん値下げして、最後はなんとか人を入れるかもしれませんが、上階席開放はもうあり得ません。PPV無しでゲート収入が売上のほとんどですから、とんでもない赤字興行になりそうです。



しかし、ボクシングファンの姿勢としてどちらがこのスポーツを真から楽しめるか、となると軽量級への偏見がない日本のボクシングファンであることは間違いありません。

YouTuberボクサーや、他のスポーツなら永久追放もののルール無視のライアン・ガルシア、ルールを守れないばかりか生粋の犯罪者ガーボンタ・デービスらが挑戦的なマッチメイクから逃げ続けても人気を保っている欧米の現状にはうんざりします。






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タイム誌の「世界で最も影響力のある100人」に日本人から真田広之、YOSHIKI(いずれもICONS部門)、奈良美智(ARTIST部門)の3人が選ばれました。

大谷翔平と大坂なおみが2021年のICONS部門で、宮崎駿が2005年と2024年に選ばれるなど、日本人の選出も珍しくありませんが「米国が認知した」というモノサシの一つです。

https://fushiananome.blog.jp/archives/27426880.html

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マイナー競技のボクシングでも、日本人がヘビー級を制して大きなセンセーションを巻き起こせば、タイムの表紙を飾ることができるでしょうか…それでもダメか?


TIME100は2004年からスタート、まだ四半世紀を過ぎたばかりの新しいもので、ボクサーから選ばれたのはマニー・パッキャオだけ。

そのパッキャオにしても、ボクサーと政治家の合わせ技一本での選出。

ボクシングの人気と社会的ステイタスが凋落し続け、完全マイナースポーツというかもはやまともなスポーツとして見られているのかどうかも怪しい状況では仕方がありません。

1970年代までならモハメド・アリが何度も選ばれてるのでしょう…。

大谷翔平も受賞したあらゆるスポーツを対象にした〝スポーツのアカデミー賞〟ESPY賞でも、ボクサーは一人も選ばれたことがありません。

その最大の原因はこの賞が1993年から始まった、やはり比較的新しい賞でボクシングがマイナースポーツに没落したからという時代背景です。

「TIME100」でも「ESPY」でもオレクサンデル・ウシクが選ばれても良いと思うのですが、一般のスポーツファンは誰も知らないだけでなく、政治色が強くなりすぎるのがマイナスなのかもしれません。
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