フシ穴の眼 〜スポーツ疾風怒濤編〜

      Hope Lights Our Way / 希望の道を、つなごう。

カテゴリ: ヘビー級が動くが如くボクシングは動く

Saturday 2, July 2022
  
Wembley Arena, Wembley, London, United Kingdom
commission:British Boxing Board of Control
promoter:Frank Warren
matchmaker:Steve Furness

media:United Kingdom BT Sport 


10 rounds – heavyweights

ジョー・ジョイスの持つWBCシルバー、WBOインターナショナルのヘビー級タイトルを賭けたタイトルマッチ。

36歳の英国人は二つ年下のドイツ人クリスチャン・ハンマーを問題とせず3ラウンドにダウンを奪うと、4ラウンドにはさらに3度のダウンを追加されてゲームセット。

フィニッシュブローは左のボディアッパー。

'Juggernaut'(圧倒的なパワー)と渾名されるジョイスはこれで14戦全勝13KO。

ダニエル・デュボアを逆転KOでストップするなど強豪相手にも勝利を重ねてきたジョイスは「オレクサンダー・ウシクとアンソニー・ジョシュアの勝者、あるいはタイソン・フューリーとの世界戦」を熱望しましたが、硬直気味のヘビー級シーンで〝順番〟がいつ回ってくるかは不透明です。






12 rounds – junior featherweights

元WBOバンタム級、IBFジュニアバンタム級王者のゾラニ・テテ のジュニアフェザー級転向の2戦目の相手はIBFインターナショナル、Commonwealth =British Empire=(英連邦)チャンピオンのジェイソン・カニングハムが相手。

上記二つの地域タイトルに加えて空位のWBOインターナショナルもステイクされるベルト祭りです。

長身サウスポー同士の対決はテテが主導権を握って進み、4ラウンドに34歳の南ア人が左の長距離弾を炸裂させ、34歳の英国人を痛烈に沈めます。

なんとか立ち上がったカニングハムに襲いかかったテテはふたたび左で強烈なダウンを追加。主審のハワード・フォスターはノーカウントで試合を止めました。
 


世界のトップ戦線で戦い続けてきたテテと、欧州レベルでくすぶっているカニングハムでは格が違いました。

この勝利でジュニアフェザー級のタイトルショットがロックオンされたテテ。

サウスポーのあの長いジャブに、ジュニアフェザーでもパワーと絶妙の当て勘が健在のテテ、これは厄介です。

超非力なスティーブン・フルトンはテテから逃げ切れるでしょうか?あるいは、ムロジョン・アフマダリエフでも無傷で試合を支配するのは難しいでしょう。

個人的には、同じく階級上げてもパワーが落ちないジョンリール・カシメロとの再戦が見たい。このマッチメイクは簡単でしょう。気の早い予想ですが、中盤までにカシメロが返り討ちにするでしょう。

井上尚弥の参戦が確実視されているクラスだけに、プロモーターのフランク・ウォーレンとしては将来的な日本でのビッグファイトを見据えているはずです。

ファイトマネーが跳ね上がる王者としての来日を目論んでいるはずですが、どうなりますやら…。
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WBA/WBC/IBF/IBOヘビー級王者オレクサンダー・ウシクvs アンソニー ・ジョシュアの再戦が8月2日、サウジアラビアのジェッダで行われます。

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初戦は、ロンドンのトッテナムスタジアムに6万人以上の大観衆を集めたメガファイト。

前日計量は、三団体王者AJが240ポンド(108.86㎏)、元クルーザー級の完全統一王者ウシクがキャリア最重量の221ポンド1/4(100.35㎏)でした。

モハメド・アリと全く同じフレーム(身長191㎝/リーチ198㎝)のオレクサンダー・ウシクは、220ポンド前後でリングに上がっていたアリよりもずっと軽い200ポンド以下のクルーザー級で戦っていました。

198㎝/208㎝/240ポンドのアンソニー・ジョシュアとの体格差は歴然としています。

他の階級では身長・リーチ差があっても、計量では同じ体重です。つまり身長・リーチがあると体が薄く、それらがないと身体が分厚いというトレードオフの関係があり、試合を決定づけるのは両者のスタイルです。

しかし、そんな公正平等の正義が完全に無視された世界がヘビー級です。

「優れたライトヘビー級は、凡庸なヘビー級に駆逐される」。そんな格言は他の階級には存在しません。

軽量級から中量級で複数階級制覇がバーゲンセール状態なのに対して、ヘビー級を絡めた階級制覇が滅多に見ることが出来ないことには理由があるのです。

初戦のオッズはジョシュア勝利が2/5(1.4倍)、ウシク9/4(3.25倍)と、体格差とヘビー級での経験値から、〝スーパーヘビー級〟のジョシュアがクルーザー級のウシクを圧倒すると見られていました。

今回の再戦は、ウィリアム・ヒルでウシク1/2(3倍)、ジョシュア19/10(2.9倍)と、ほとんどイーブン。

個人的には、両者万全の状態でリングに上がって、ウシクのストップ勝ちもあると見ていますが、英国のブッカーだけでなく、ほとんどのオッズがジョシュア寄りです。

初戦を完勝したウシクの母国ウクライナがロシアの侵略を受け、心身共に万全の状態ではないことも反映されたと言う点も考えられますが、やはり圧倒的なサイズの違いを、再戦でも引き摺っているのでしょう。

手と脚のスピードに乗って変幻自在の角度とタイミングで多彩なパンチを打ち込むウシクは、誰もが尊敬するボクサーです。

一方で、母国の期待を一身に背負い、大きな重圧と戦い続けるジョシュアの気持ちもよくわかります。

初戦でウシクの出方を慎重に構え、ウクライナ人の機動力にリズムを与えてしまった姿からは、村田諒太を思い出してしまいました。

ヘビー級のメガファイト、主役のタイソン・フューリーの動向が気になるところですが「パッキャオvsメイウェザー」超えが確実視される「フューリーvsジョシュア」を見たいとするなら、ジョシュアに勝ってもらいたいところです。

ただ、個人的には「フューリーvsウシク」、究極の「ダビデとゴリアテ」が見たいですねぇ。
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但馬ミツロ(1994年11月4日 生まれ27歳 )は、在日ブラジル人のヘビー級プロボクサーである。本名は但馬 ブランドン ミツロ。階級はヘビー級。

3150ファイトクラブ所属。

4月29日、先週金曜日に8回戦でプロデビュー。1ラウンド56秒TKOで勝利しました。
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ヘビー級で井上尚弥が持つ4戦目の日本王座最速記録を更新してから、1階級下のクルーザー級で世界挑戦を狙うといいます。

現在、日本ヘビー級にはランカーが一人もいません。当然、王座は空位。
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ライトヘビー級も同じくランカーも王者もいません。

JBCが発表した最新3月のランキングを見れば、一目瞭然。ヘビー級とライトヘビー級は無理やり作られたもので、日本ランキングはミドル級が上限というが現実です。

いいえ、そのミドル級もランカーは3人しかいませんから「ミドル級が上限」ですら怪しいのが日本ボクシングの骨格です。

27歳という年齢と、デビュー戦の271ポンド1/4(123.03㎏)というタイソン・フューリーばりの重量。本気でクルーザー級(200ポンド)で世界を獲る気があるのかどうか、よくわかりません。

ただ、実力や可能性を素面で語るには、まだ始まったばかりです。

「ヘビー級は特別。ファイトマネー100億円の夢がある」(亀田興毅会長)というクラスだけに、今の時点で「村田諒太は論外、石田順裕や藤本京太郎と戦っても簡単にストップされる」というのはあまりにも大人げがありません。

もちろん、現時点の実力は、遅いにも程がある。技術がないにも程がある。おそらくスタミナはゼロ、そして何よりも、非力にも程かある。

しかし、日本から世界ヘビー級王者を生み出すには「屍をいくつ重ねるか」という話です。

レベルの高い国内リーグがあるなら、野茂英雄やイチロー、松井秀喜、さらには大谷翔平のような本物のモンスターを世界に送り込むことも出来るでしょう。

しかし、ミドル級ですらまともな〝国内リーグ〟が存在しないボクシングにおいて、最上級のヘビーなんて、下手な鉄砲を乱射し続けしかありません。

現実には、超ド下手な鉄砲を思い出したように散発的に打ってるに過ぎないのですが…散発的ですらないですね…。

但馬もそんな悲しい鉄砲玉の一つです。

8月14日にはエディオンアリーナ大阪で、日本ヘビー級王者決定戦が準備されているそうです。どこからランカーを連れてくるのかわかりませんが、瑣末なことに目くじらをたてる次元の話ではありません。

デビュー2戦目での日本タイトル獲得となると井上の4戦目よりも2試合も早い新記録です。

それにどれほどの価値があるのかはわかりませんが、〝屍〟の一人が残した爪痕になるはずで、いつか「その日」が来たときに但馬らの挑戦にも光が当てられることでしょう。
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Saturday 23, April 2022
Wembley Stadium
Wembley, London, United Kingdom  

Heavy Contest, 12 Rounds
for Fury’s Ring magazine/World Boxing Council World Heavy Title 
 
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ヘビー級最強と目され、PFPランキングでもTransnational Boxing Rankings Board とESPNで共に6位にランキングされるリング誌/リネラル/WBC王者タイソン・フューリーと、WBC暫定王者ディリアン・ホワイトのBattle Of Britain(英国決戦)。

ウィリアム・ヒルのオッズはジプシーキング2/9(1.22倍)、ボディ・スナッチャー7/2(4.5倍)。

マイナースポーツのボクシングでは珍しく、WHをはじめこの試合を大きく特集するブックメーカーも多く、注目度の高さをうかがわせています。
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ずらりと並んだ掛け率、壮観です。

前日計量はフューリーが264.8ポンド(120.1kg)、ホワイトが253.25ポンド(114.9kg)。

ヘビー級らしく、試合によってウェイトの振れが大きい両者ですが、王者はデオンティ・ワイルダーとの第3戦(277ポンド)12.2ポンドも絞ってきました。

攻撃型トレーナーのシュガー・ヒルと何を企んでいるのか?

軽めに仕上げたとはいえ、フューリーは身長206㎝/リーチ216㎝、ホワイトは193㎝/198㎝。

他の階級ならフレームの差は、どちらのスタイルが距離を支配するかの問題ですが、体重無差別のヘビー級の場合は「ウエイトやフレームの差」は「階級の違い」と考えて差し支えありません。

「ナジーム・ハメドの評価は体格で劣ってることを加味するとさらに高いものになる」、という考え方は大間違いなのです。

また、フレームこそ見劣りしたものの、体重はヘビー級の平均以上だったマイク・タイソンも決して恵まれていないとは言えません。

その意味で、ウシクのパフォーマンスは出色でした。

今回のホワイトにも、ウシクのような完璧なパフォーマンスが求められますが、無理そうです。

「ホワイトは最も過小評価されているヘビー級。試合は面白い展開になる」と言っているのは、フューリー。普通に考えると、試合の興味はどのラウンドでジプシーキングが仕留めるのか?だけに絞られます。
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WBCはこの試合の勝者に「ユニオンジャック・ベルト」なるものを用意しました。

ウェンブリースタジアムには9万4000人が集まる見込みといいます。

今朝のWBOバンタム級暫定王者決定戦は、不覚にも見られず。明日こそは5時に起きてWOWOW見るぞ…。

英国や欧州の試合は、朝が早すぎるのがネックです。
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米国ボクシングがメジャースポーツとしての〝威厳〟を保っていたのは、70年代までとされています。

ボクシングのステイタスは、それ以前の50年代をピークに下り坂に入っていました。
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50年代。世界王者は世界に8人しか存在しない時代です。

ヘビー級では白人のロッキー・マルシアノが国民的英雄として活躍、シュガー・レイ・ロビンソンのパフォーマンスにボクシングファンがメロメロにされた時代です。

世界王者の価値が高かっただけではありません。

50年代、米国ではテレビの時代の幕開けでもありました。

小さなリングで2人が拳を交わすボクシングは、画面が小さく、画像も荒くても、少ないカメラ台数で試合展開がよく伝わる、最もテレビ向きのコンテンツでした。

60年代から70年代、ボクシングのステイタスは地盤沈下の一方だったにもかかわらず、表面的には活況を呈しているように見えました。
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しかし、それはモハメド・アリという1人のボクサーの一挙手一投足に世界中が酔っていたから、だけでした。

70年代に扉が開いた衛星放送によるスポーツ世界生中継も、地球で最も有名なアスリート、アリの二つの拳によってでした。

そのアリがいなくなるのです。

ボクシングってこんなにショボいスポーツだったのか。

アリが引退してしまうと、全てがバレれてしまう。そんな危機感が、米国ボクシング界に沈殿していました。

アリの穴なんて、埋めることなどできるわけがない。

80年代以降もボクシングの没落に歯止めはかからず、ボクサーが最後にスポーツマン・オブ・ザ・イヤーに選ばれたのは1981年のシュガー・レイ・レナード。

それから、40年以上もボクサーは米国スポーツのヒーローから遠ざかったままです。

80年代は暗くて長いトンネルの入り口になる、そのはずでしたが…。

確かに、ボクシングの社会的地位は下降が止まらず、ニッチスポーツに成り果てますが、摩訶不思議な現象が引き起こされます。

80年代以降、ヘビー級に勝った男が7人も登場するのです。
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ボクシングとはヘビー級でした。

飛び抜けて人気があって、飛び抜けて報酬が高いクラス。それがヘビー級です。

ライトヘビー級やクルーザー級のファイターがヘビー級に憧れるのは当然でしたが、彼らの中でも選ばれし者しか挑戦は許されず、その選ばれし者ですら無残な結果に終わるのがほとんどでした。

他のクラスでは、複数階級制覇が散歩のついでのように行われるというのに、ヘビー級がらみの複数階級制覇は今なお難攻不落の狭き門です。

ストロー級からジュニアフライ級、フライ級で圧倒的なパフォーマンスを見せたローマン・ゴンザレス、ジュニアフライ級からジュニアバンタム級、バンタム級とクラスを上げながらパンチャーの性格を色濃くした井上尚弥。

彼らのような存在はヘビー級では考えられません。

人気、実力、報酬、あらゆる面でヘビー級は別格であり続けました。
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それはボクシング限定ではありません。あらゆるスポーツの中で、モハメド・アリがいた時代まで世界ヘビー級チャンピオンは別格だったのです。

アリがリングから去った80年代、世界ヘビー級チャンピオンはあらゆるスポーツの中で別格ではなくなります。

それどころか、ボクシングという狭いスポーツの中ですら、必ずしも特別な存在ではなくなってしまうのです。

私がアメリカとボクシングに惹き寄せられた、あの80年代、ヘビー級に何が起きたのか?

ヘビー級に勝った男たち、もう一つの7人に迫ります。
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ヘビー級が動くが如く、ボクシングは動く。

ボクシングは、まずヘビー級ありき、のスポーツです。

ブリッジャー級を含めると全部で18階級。

ヘビー級以外の17階級は、人間が決めたポンドという度量衡によって意味なく細分化されていますが、ヘビー級には人間が干渉する隙はありません。

本当なら、ボクシングはヘビー級だけの1階級で良いのです。

百歩譲って「ヘビー級」と「その他16(17?)階級」で十分なのです。

つまり、極限すると、ボクシングには二つの種目があります。

「ヘビー級」と「それ以外」です。
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これまで、下のクラスで王者になった、つまり下のクラスで完成されながらも、ヘビー級も制したボクサーは、史上7人しかいません。

最初に断っておかなければならないのは、彼らは下のクラスでは超強豪のグレートでした。

この7人はボブ・フィッツモンズ(ミドル級)、マイケル・スピンクス(ライトヘビー級)、イベンダー・ホリフィールド(クルーザー級)、マイケル・モーラー(ライトヘビー級)、ロイ・ジョーンズJr.(ミドル級・ライトヘビー級)、デビッド・ヘイ(クルーザー級)、オレクサンダー・ウシク(クルーザー級)。

オリジナル8ですらまだ形を成していなかった19世紀末、ミドル級からヘビー級、ライトヘビー級の順で3階級制覇したフィッツモンズは別格。

「当時はレベルが低かった」というひねくれ者は「だったら人気のヘビー級に誰もが挑戦してフィッツモンズ以外の成功者もたくさん出ていたはず」という反駁にどう答えるのでしょうか?

1985年9月21日、Lineal/IBF/リング誌世界ヘビー級王者ラリー・ホームズを15回判で競り落とした元ライトヘビー級の完全統一王者マイケル・スピンクスは科学的なトレーニングで増量に成功。

このとき、スピンクスを指導したマッキー・シルストーンは女優リンダ・ハミルトンや、MLBのオジー・スミス、NFLのペイトン・マニング、テニスのセリーナ・ウィリアムズらスターの肉体改造を指導してきました。

Linealとリング誌のタイトルを持つ正統で最強の世界ヘビー級王者と考えられていたホームズ。ロッキー・マルシアノの49戦全勝の金字塔にあと1にまで迫り(48勝34KO)、WBCを16度、IBFを3度と絶対王政を敷いていました。

しかし、輝かしい通算記録は、キャリアの終幕が近づいている信号です。
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ボクシングほど数字や記録が意味を持たないスポーツはありません。レオ・ガメスやエイドリアン・ブローナーの4階級制覇、オマール・ナルバエスの2階級で2桁防衛は失笑とセットで語られます。

ボクサーとしては最高評価を集めるマニー・パッキャオでも、アントニオ・マルガリート相手の8階級制覇は非難の的でした(日本のメディアはなぜか大絶賛、そしてなぜか「6階級制覇」)。

特に試合数の少ない現代のボクサーは、綺麗な数字を並べるのが大の得意です。もちろん、数字はスポーツを楽しむエッセンスの一つですが、評価の本質は「誰に勝ったのか?」に尽きます。

もっと詳しく言うと「いつの誰に勝ったのか?」です。

完全劣化版のモハメド・アリやロベルト・デュランに勝っても評価されません。全盛期の彼らに勝てば、これはとんでも無いことですが。

その意味では、まともな相手の全盛期に勝っているホリフィールドとウシクの存在は際立っています。

ホリフィールドは当時最強と目されていたリディック・ボウとマイク・タイソンから勝利。ウシクはアンソニー・ジョシュアを番狂わせ。

とはいえ、ボウとタイソンは歴史的評価は低く、ジョシュアに至ってはすでに過大評価の烙印が押された状況でした。

体調不良のホリフィールドに勝ってフォアマンの引き立て役になったモーラー、「空き巣」と揶揄されるロイ、ウラジミール・クリチコには完敗のヘイ…。

井上尚弥やカネロ・アルバレスらが〝上〟の階級でも暴威を振るうのに対して、〝下〟の階級からヘビー級を制覇した彼らは悪戦苦闘だけが目立ちます。

よく考えると当たり前です。

彼らは、ヘビー級という全く別の種目に挑戦したですから。
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【BBC】バイデン米大統領は22日、ホワイトハウスで演説し、ロシアがウクライナ東部の親ロシア派支配地域を独立国家として承認し派兵を決めたことを「侵攻の始まりだ」と非難。

「ロシアが大規模軍事攻撃を準備していると考えている」と述べ、親ロ派地域を越えて侵攻することを警戒。

ロシアへの経済制裁の第1弾を発動、侵攻を進めるなら段階的に制裁を強化する方針を示した。


NATO事務総長「さらに深刻な事態に陥る恐れ」と警告している。

一方で、ロシアのプーチン大統領は、派兵に向けた議会手続きを終えて記者会見し「すぐに軍を送るとは一言もいっていない」と語り、ウクライナや欧米の対応を見て最終決定する駆け引きに応じる構えを見せた。
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現在のボクシングシーンで最も大きな存在感を示している国はどこか?

「メキシコ」も正解。「米国」も正解。「英国」も正解。「日本」も正解。「フィリピン」でも正解です。

では「現在のボクシングシーンで最も大きな存在感を示している国はどこか?」をさらに絞り込んで「勢いが加速している国はどこか?」となると、答えは一つしかありません。
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「ウクライナ」です。

ウクライナは1991年、ソビエト連邦の崩壊に伴いソビエト最高会議の元から独立しました。


首都はキエフ、市長はビタリ・クリチコ。総人口4300万人。

BoxRec(2月23日現在) によると、ウクライナの現役プロボクサーは380人。総人口と同様、日本(1008人)の4割にも満ちません。

日本は井上尚弥や井岡一翔のPFPファイターに、ミドル級の五輪金メダリスト村田諒太らを擁する世界屈指のボクシング大国です。

一方、ウクライナのトップファイターはワシル・ロマチェンコにオレクサンダー・ウシク、セルゲイ・デレンビャンチェンコ、アルテム・ダラキアン…、人口を考えるとその幅広い階級をカバーする充実ぶりには〝大国〟日本が霞むほどです。

1991年に国家として立ち上がって、わずか30年あまり。

その短い時間でビタリとウラジミールのクリチコ兄弟、ビクター・ポストル、オレクサンダー・グボジーク、ウラジミール・シドレンコ、ビチェスラフ・センチェンコらを輩出して来たのです。

ボクシングだけでなく、陸上棒高跳びのセルゲイ・ブブカ、サッカーのアンドリー・シェフチェンコ、テニスのアンドリー・メドベージェフ、女優のミラ・ジョヴォヴィッチら幅広いジャンルに傑出した才能を送り込んできました。

貧弱な歴史と競技人口と考慮すると、ウクライナの傑出度は異常なまでに際立っています。

プーチンは否定しているものの、米国は「キエフ侵攻もありうる」と示唆しています。

もちろん、クリチコ兄弟はキエフにとどまっているでしょう。彼らのキャリア最強の敵と戦うために。

ロマチェンコやウシクの政治思想はわかりませんが、この侵略をどう見ているのでしょうか。

今後の展開によっては政治的にはもちろん、経済的にも日本に影響が及ぶかもしれません。

連日、ニュースでも大きく取り上げられています。それでも極東の島国からは「対岸の火事」です。

私もクリチコ兄弟やロマチェンコらの存在がなければ、モンゴル帝国の侵略で滅びた中世の欧州で一大帝国を形成したキエフ大公国、蜂蜜酒やボルシチ、今はIT大国という歴史や教科書的な知識にとどまる〝遠い国〟でした。

昨年、横浜でたまたま通りがかったウクライナ料理の店に入り「ロマチェンコもこういうのを食べてるのかな」と想像しながら、ワインやいろんな種類がある豚肉料理やパンを楽しみました。

私にとっても、対岸の火事、所詮は8000キロ以上離れた東欧の国の出来事です。

ただ、全く知らない国じゃありません。

悲しいニュースはこれ以上、聞きたくありません。 
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「北尾光司はジョージ・フォアマン。マイク・タイソンにも勝てる」。

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世界を驚かすには、フライ級やバンタム級の軽量級では話にならない。

その「世界」とやらが米国や欧州なら、その通りでしょう。

しかし、地球に住んでいるのは奴らだけではありません。私たちのアジアや、アフリカ、南米…もし「人の命が平等」だというのなら、欧米など地球の少数派です。

しかし、悲しい哉。

「人の命は平等」ではありません。地球は欧米を回転軸に回る歪な惑星です。

だったら、地球の回転をアジアから、日本から逆に回してやろうじゃないか!そんな燃えたぎる野望を持つのは政治や経済はもちろん、スポーツでも同じです。

スポーツでいうと「MLBで本塁打王」「サッカーでバロンドール」かもしれませんが、それ以上のロマンを「ボクシングで世界ヘビー級チャンピオン」に感じるのは、私がボクシングファンだからというだけではないでしょう。


1988年に廃業した元横綱双羽黒のもとには、プロレスを筆頭に格闘技のオファーが殺到しまし。

重量級への夢を募らせていた相模原ヨネクラボクシングジムの佐藤太治会長も、そんな野望を燃やす1人でした。

相模原ヨネクラは身長の高い若者を優遇して募集するなど、野望に向かって懸命な取り組みを進めていました。

「私は信じています。北尾さんはきっとヘビー級ボクサーになることを決断し、あのタイソンを倒してくれますよ」。

相撲界からプロレスに転向して成功した例は力道山や天龍源一郎ら、その例は少なくありません。

しかし、ボクシングになると世界王者はもちろん、日本王者ですら2人しかいないのが現実です。

幕下力士だった前溝隆男は1962年に、三段目の赤坂義昭も1967年に共に日本ミドル級王者になっています。

しかし、日本人としては大きな力士もボクシングのトレーニングを重ねると肉体は絞られて、ミドル級まで圧縮されてしまうのでした。

それでも、北尾は身長199㎝の巨体。

「タイソンの左フックは北尾さんには届かない。マイナス面は体重とスタミナだけ。走り込んで体を絞っても北尾さんならスーパーヘビー。スタミナさえつければヘビー級で十分通用する。北尾さんは和製ジョージ・フォアマン」(佐藤会長)。



結局、北尾は一度もボクシンググローブをはめることなく、人生を迷走してゆきます。

もし、北尾が心を入れ替えて、全身全霊をボクシングに傾倒していたなら…?

あまりにも虚しい、ビッグイフです。
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【BBC】ロシアはウクライナとの国境に10万人以上の部隊を集結させている。13万人規模に増えているという西側当局の情報もある。ロシアはさらに、友好国のベラルーシと合同軍事演習を開始しているほか、来週にはアゾフ海と黒海でも演習を予定している。

西側諸国は侵攻の可能性があると警戒を強めると同時に、緊張緩和に向けた外交努力が続けられているーーー。
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元ヘビー級のリネラルチャンピオン、ウラジミール・クリチコは「母国を守る。もし、ロシアが攻めてくるなら私は戦うしかない。愛する母国が蹂躙されるのを黙って見ていられるほど私は鈍感ではない」と、ウクライナの領土防衛軍に合流しました。


ロシアはここ数週間で、ウクライナ国境近くに10万人以上の軍隊を集結。

モスクワのプーチンは「侵攻する計画はない」と語っていますが、「モスクワは拳を振り上げながら『殴る気はない』と言ってるようなもの」(ウラジミール)。

ウラジミールと、キエフ市長でやはり元ヘビー級チャンピオンの兄ビタリは、首都キエフの領土防衛軍の募集センターのオープニングに出席しました。

「今日、私がここに来たのは、私の街と家、家族、隣人、娘への愛を貫くため。率先してこの領土防衛に参加します。母国が脅威にさらされているのに立ち向かわない理由はどこにもない」(ウラジミール)。

ビタリは「ロシアとの外交的解決が最優先。戦争はしたくない。ただ、ロシアが国境を越えるなら、私たちは武器を手に取り、国を守るしかない」。

ボクシングファンなら誰もが知っているように、クリチコ兄弟は、ドイツでキャリアの一部を過ごしました。
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防護服とマスクをしてても誰がビタリか?は簡単にわかります。

先週、ビタリ市長は武器供給を拒否しているドイツを非難するデモ行進に参加「武器ではなくヘルメットを送ってきたドイツは理解できない」と語りました。

一方で、温和なウラジミールは「ドイツほどウクライナに投資してくれた国はない。感謝しかない。しかし、私にはヘルメットも必要だが、武器もそれ以上に必要だ」と、ドイツにより積極的な軍事支援を求めています。



… クリチコ兄弟。米国では正当に評価されたとはいえませんが「史上最強はモハメド・アリ。見て分からない人はボクシングが分かっていない」「一番欲しいベルトはリング誌」と、米国への尊敬を隠しませんでした。

私にとって、クリチコ兄弟はボクシングを考える格好の教材でした。

いつの時代も基本的に、その他階級ではフライ級は112ポンド、ウェルター級は147ポンド、ミドル級は160ポンドでした。「ファイティング原田vs井上尚弥」は体重計の上では、全く公平な試合になります。

しかし、ヘビー級は違います。

クルーザー級にも満たない180ポンド台で戦っていたジャック・デンプシーと、270ポンドを超えるタイソン・フューリーでは、そもそも階級が違うじゃないか!という話になります。

しかし、ウラジミールは語ってくれるのです。

「デンプシーやアリは自分よりも大きく重い相手とも平気で戦っていた。ヘビー級だけ時代が新しいほど大きくなるから最近の大きな選手が強い、と考えるのは軽率。そもそも、ヘビー級とは、どの時代でも階級を無視したクラスなんだから」。

「アリがクリチコ兄弟に勝てるのか?」「ボクシングとは何なのか?」「ヘビー級とは何なのか?」という永遠の問題に、ある答えを示してくれました。

彼らが日本人なら、国民的英雄として偉大な指導者や、たとえ政治家になっても戦争とは無縁のスポーツのアンバサダーとして平和に、安全に、その才能を発揮してくれたはずです。

こんなことを言っても、虚しいだけです。 


とりあえず、プーチン!

お前、まさかクリチコ兄弟に勝てると思ってないだろうな? 冗談はそのへんにしとけよ!
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