カテゴリ: ヘビー級が動くが如くボクシングは動く

イタウマ・ショックを最も深刻に受け止めたのは、プロモーターのフランク・ウォーレンでしょう。

クイーンズベリー・プロモーションズを率いる74歳は、3人の英国人ボクサーを例に「ファイターにとって敗北よりもどう立ち上がるかが重要だ」と語りました。

その3人は、イタウマと同様に圧倒的有利と考えられた試合でまさかのKO負けを喫して、無敗のレコードに傷を負ったデビッド・ヘイ、アミール・カーン、ダニエル・デュボア。

10戦全勝10KOのヘイは、カール・トンプソンに5ラウンドKO負け。五輪銀メダリストのカーンは18戦全勝の快進撃を、全く無名のブレイディス・プレスコットにKO負け。デュボアも14戦全勝14KOの無敗レコードを、アンダードッグのジョー・ジョイスに10ラウンドKOで止められました。

キャリアを通じて試合数が少ないプロボクサーにとって大切なのは無敗ではなく、誰に勝ったのか?とはいえ、ヘイもカーンもデュボアも、デュボアも伏兵に足元をすくわれただけでなく、一世一代の大勝負には惨敗を喫してしまいました。

単なる打たれ弱さだけでなく、精神的の強靭さも欠けていたのがこの3人。

ウォーレンの「この3人のように立ち直れ」という励ましは、イタウマの限界を如実に映し出しているようにも思えます。


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ロベイシ・ラミレスはデビュー戦で〝出落ち〟さらに、明白に有利と見られたラファエル・エスピノサに2連敗。

期待通りの結果を残せなかったキューバのトレインは、トップランクから放出されてしまいました。それでもラミレスはWBOフェザー級のタイトルを獲得、期待通りあはやされとはいかなかったものの、想定内の最低ラインはクリアしたのではないでしょうか?




イタウマはラミレスと比較するとアマチュア実績が貧弱でしたが、ヘビー級という特別なクラスも付加されて期待値は大きく膨らんでいました。

いまからちょうど40年前の1986年、イタウマがイメージをオーバーラップされてきたマイク・タイソンもまた、タイトル初挑戦のリングに上がりました。


【1986年11月22日 ネバダ州ラスベガス ヒルトンホテル】
◾️WBCヘビー級12回戦◾️

©︎トレバー・バービック 32歳 36戦31勝4敗1分
身長188cm/リーチ198㎝ 体重218½ポンド(99.11kg

マイク・タイソン 20歳 27戦全勝
身長178cm/リーチ180㎝ 体重221¼ポンド(100.36kg



【2026年8月29日 ロンドン・グリニッジ O2アリーナ】

 ◾️IBFヘビー級タイトル決定戦12回戦◾️

フィリップ・フルゴビッチ 34歳 21戦20勝1敗

身長198cm/リーチ208㎝ 体重241¾(109.66kg

モーセス・イタウマ 21歳 14戦全勝
身長194cm/リーチ201㎝ 体重236¼ポンド(107.16kg


両者のタイトル初挑戦は「ヘビー級としては異例の若さ」「体格で対戦相手に劣る」という点で共通していますが、ボクシングにおいて最も重要なファクターである体重でタイソンがより重かったのに対して、イタウマは軽かったことが特筆されます。

さらに、タイソンが10ラウンド判定の長丁場を3試合経験していたのに対して、イタウマの最長経験は6ラウンドと、スタミナへのテストが完了しているかどうかも異なりました。

そして、なによりも全く違う結果になりました。

タイソンはもちろん、イタウマも過大評価でした。イタウマもタイソンも自分よりも大きく重い相手との対戦が少ないまま、その相手を前にしたときにキャリア初の敗北を痛烈なKOで喫してしまいます。

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しかし、その瞬間までタイソンはダウンを奪ったラウンド以外は全て落とし、逆にイタウマは全てのラウンドでリードしていました(オフィシャルは80−71*2/79−72で全24ラウンドのスコアで1ラウンドだけ落としていました)。

また、タイソンははるかに重く大きなバスター・ダグラスのパンチを浴び続け、最後はヘビー級の強烈なコンビネーションをまともに食らって沈みながらも、その顎がガラスではなく鋼鉄製だったことを見せましたが、イタウマはスタミナだけでなく非常に脆弱な装甲も露呈してしまいました。

英国のボクシングファンや、一部の日本のファンは「一番強いのはオレクサンデル・ウシクではなくイタウマ」と信じてましたが、そもそも21歳の若者には40年前のタイソン以上に不安材料が山積していたのです。

史上最も有名で最も愚かなトレーナー(ケビン・ルーニー)によってバックステップを踏めないという致命的な欠陥を改善できないまま、自分を恐れてくれる相手にだけ圧勝してきたタイソンが、そうではない強豪には一度も勝てないままキャリアを閉じたように、出鱈目なペース配分しかできないばかりか、パワーもスタミナもヘビー級のトップ基準から乖離したイタウマもまた旬の強豪には敗北を重ねていくでしょう。

いや…「強い相手に一度も勝っていない」「凶悪犯罪者」と指摘されたタイソンは「ボクシング界への貢献度は巨大」によって一発殿堂を果たしましたが、イタウマにその未来が訪れることは想像できません。





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Aサイドでもきちんと相手を選びながらもコケずにキャリアを進めている選手というものはやはり凄まじいものがあります

➡︎ おっしゃる通りです!


最近では、あのロベイシ・ラミレスがデビュー戦で躓くなんて、まさか誰も想像できませんでした。

「スターシステム」が基本のプロボクシングの世界では、タイソンが「フォアマン方式」と一部で揶揄されていたように雑魚相手に自信をつけさせるキャリア養成は1960年代には確立していました。

米国でもアマエリートへの注目度が増していた1960年代、五輪の金メダルが大きな価値を持っていたのはいうまでもなく、まだボクシングがメジャースポーツだった古き良き時代です。

「Aサイドできちんと相手を選びながらコケずにキャリアを進めた」ジョージ・フォアマンやオスカー・デラホーヤマイク・タイソンは凄まじい才能でした。

旬の強豪、同世代のライバルにKO負けの敗北を重ね、咬ませ犬や格下にしか勝てなかったタイソンでも、リングを超えて世界的にセンセーションを巻き起こしたという点では、歴代PFP評価などで後塵を排するマイケル・スピンクスやイベンダー・ホリフィールド、レノックス・ルイスらよりもかるかに大きなレガシーを残しました。

その意味では、ボクシングの社会的ステイタスが下落している現代で、五輪金から英国のスポーツセレブとなったアンソニー・ジョシュアも〝成功例〟に数えて良いでしょう。

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オスカー・デラホーヤも典型的なフォアマン・システムでプロキャリアをスタート、温室から路地栽培への移行で苦戦と敗北に悩みましたが、間違いなく〝成功例〟です。

アマチュア・プロ・プロモーターというボクシングの3ステージを俯瞰すると、モハメド・アリやシュガー・レイ・レナードでも大きな成功を収めることが出来なかったプロモーターとしてもしっかりと爪痕を残したデラホーヤは〝歴史上最も成功したボクサー〟と考えて良いかもしれません。

昨日の「イタウマ・ショック」は現時点で、ロベイシの線路に乗せた途端に脱線よりはマシでしたが、強い相手には滅法弱いタイソンのレベルですらなかったということです。

もちろん、この蹉跌を糧にヘビー級を平定する〝大復活際〟の可能性もゼロではありませんが、これからの相手は「イタウマのパンチはたいしたことがない」「頑張って粘れば勝手にフラフラになる」と自信と希望を持って向かってきます。

そこを乗り越えることができるか?

今の時点で「ヘビー級のエドガー・ベルランガだった」というのは可哀想ですが、再戦条項があるはずのフルゴビッチにリベンジするのが再評価を促す特効薬です。

まあ、おそらく陣営は雑魚相手に復帰戦を選ぶでしょう。



ちなみに、シャカセツで恐縮ですが、このスターシステムを軽量級というカースト最底辺から人気階級へと熱く激しく逆流して、スターダムの頂点を狩った前代未聞の驚天動地がマニー・パッキャオでした。


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Saturday, 29 August 2026 - O2 Arena
Greenwich, London, United Kingdom

commission:British Boxing Board of Control
promoter:Frank Warren (Queensberry Promotions)
matchmaker:Lee Eaton (Queensberry Promotions),
Daniel Francis (Vote Boxing)

view on DAZN PPV 


vacant IBF World Heavy(空位のIBFヘビー級王座)を地元の強打者モーゼス・イタウマと、クロアチアのEl Animal(野獣)フィリップ・フルゴビッチが争いました。

ウィリアム・ヒルの見立ては21歳のイタウマが1/6(1.67倍)、34歳のクロアチア人が4/1(5倍)でアンダードッグでしたが、番狂せの結果に。

21世紀になってから、米国ボクシングの覇権は完全に崩壊。ビタリ&ウラジミルとオレクサンデル・ウシクによる〝ウクライナの軛〟はあったものの、大きな興行に欠かせないスターの座はレノックス・ルイス、アンソニー・ジョシュア、タイソン・フューリーと英国が輩出してきました。

ジョシュアは36歳、フューリーは37歳とヘビー級ではもう一花咲かせることのできる年齢で、この二人の激突にはまだ大きな商業的価値はあるものの、二人ともウシクに2連敗するなど傷モノです。

イタウマはヘビー級としてはかなり若い21歳で無敗(14戦全勝12KO)ですが、スターの座に就くのに早すぎることはありません。ジョシュアvsフューリーの勝者とのトーチのリレー、ウシクをキャリア初の敗北に追い込んでウクライナの軛を断ち切ることができたなら、英国にとって最高の物語となります。

ベストコンディションのフルコビッチは嫌な相手ですが、ここで頓挫するようなら、最高の物語は最初の1ページ目をめくられることもなく、別の物語を用意しなければなりません。



ーーーと前回、書きました。

もともと、雑魚専キャリアのイタウマ、私もその実力評価は後ろ倒ししてきましたが、今回の結果はストップ負けは予想の範囲内、フィニッシュされた9ラウンドまでの内容は第2ラウンドにダウンを奪うなど合格点。

ただ、フルコビッチが精神的にはもちろん、肉体的にもタフであったことを差し引いても、イタウマのパワーはまともなヘビー級相手なら決して決定的なものではないことまでも曝け出してしまいました。

イタウマは雑魚専キャリアで豪快なKOを量産してきた点でよく比較されるタイソンと類似していたものの、スタミナが全く試されていない点ではタイソンとは少し違いました。

タイソンも試合が長引くとパターンを読まれて、雑魚相手でも判定までもつれ込んでいましたが、イタウマが経験した最長ラウンドはプロ3戦目と4回戦のかませ犬に粘られた6R判定勝ち。

対戦相手の質で大きく上回り、ねちっこく戦うフルコビッチに序盤で大きなダメージを与えなければ、Bプランを持たないタイソン型のイタウマがスタミナ切れでTKO負けを喫したのは、リング誌などが報じたようなhuge upset ではなく想定内でした。

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「ウシクに勝てる」と鼻息が荒かった英国のファンは「あのスタミナと決定力の無さでは、ウシクには惨敗しか思い浮かばない」「ダニエル・デュボアには序盤でKOされそう」と早くも手のひら返し。

「魔法のガウンを剥ぎ取られた」という常套句を使うには、わずか15戦というキャリアは質量共にあまりにも貧弱。正確に表現するなら「魔法のガウンを羽織る前にKOされた」ということでした。

イタウマはアマ・プロ通じて初めての敗北。アマキャリアは無敗といってもジュニア大会での成績がメインというプロ同様にハリボテ。

コーナーのタオル投入は良いタイミングでした。








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Saturday, 29 August 2026 - O2 Arena
Greenwich, London, United Kingdom

commission:British Boxing Board of Control
promoter:Frank Warren (Queensberry Promotions)
matchmaker:Lee Eaton (Queensberry Promotions),
Daniel Francis (Vote Boxing)

view on DAZN PPV 


vacant IBF World Heavy(空位のIBFヘビー級王座)を争うのは地元の強打者モーゼス・イタウマと、クロアチアのEl Animal(野獣)フィリップ・フルゴビッチ。

ウィリアム・ヒルの見立ては21歳のイタウマが1/6(1.67倍)、34歳のクロアチア人が4/1(5倍)でアンダードッグ。

21世紀になってから、米国ボクシングの覇権は完全に崩壊。ビタリ&ウラジミルとオレクサンデル・ウシクによる〝ウクライナの軛〟はあったものの、大きな興行に欠かせないスターの座はレノックス・ルイス、アンソニー・ジョシュア、タイソン・フューリーと英国が輩出してきました。

ジョシュアは36歳、フューリーは37歳とヘビー級ではもう一花咲かせることのできる年齢で、この二人の激突にはまだ大きな商業的価値はあるものの、二人ともウシクに2連敗するなど傷モノです。

無傷の21歳、イタウマは絶妙のタイミング、スターの座に就くのに早すぎることはありません。ジョシュアvsフューリーの勝者とのトーチのリレー、ウシクをキャリア初の敗北に追い込んでウクライナの軛を断ち切ることができたなら、英国にとって最高の物語となります。

ベストコンディションのフルコビッチは嫌な相手ですが、ここで頓挫するようなら、最高の物語は最初の1ページ目をめくられることもなく、別の物語を用意しなければなりません。








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フェザー級からジュニアライト級、ライト級、ジュニアウエルター級の4階級でアルファベット団体のタイトルをコレクションしたシャクール・スティーブンソンがズッファ・ボクシングとの複数試合契約を結びました。

コナー・ベン、ジェイ・オペタイア、リチャード・ヒッチンズ、エドガー・ベルランガらに続く大物の完全ズッファ入りです。

ディフェンス最優先のスタイルから人気がないシャクールとの契約更新には、トップランクもマッチルームも前向きに考えずズッファに流れ着いた格好ですが、実力は折り紙つき。

CompuBoxではプラス・マイナス(着弾率から被弾率を引いた数値)で唯一の20台(23.0)をマーク、被弾率は脅威の20.4%。打たせずに打たせる〝逆メキシカンスタイル〟。

対戦相手はまもなく発表されるでしょうが、ズッファは水増し階級を認めていないため、ウエルター級でのビッグファイト、デビン・ヘイニーやライアン・ガルシアとの激突が噂されています。

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サウジの機関誌ザ・リングもズッファにならって8階級制に改善されるのでしょうか?


ズッファが認めていない水増し階級とバンタム級未満で無類の強さを見せる日本では、JBCやジムが容認することはないでしょう。もちろん、彼らが標榜する「有害無益なアルファベット団体を駆逐する」のが実現したなら、受け入れざるを得ませんが、そうなると日本人王者は激減してしまいます。


堤麗斗は2戦連続となるサウジアラビアでの試合。今回はジェッダ・スーパードームが舞台。


それでも、ズッファをサポートするサウジアラビア総合娯楽庁やその機関誌The RING magazineの寵愛を受けている堤麗斗はデビューから今月25日開催のサウジアラビア・ジェッダスーパードームでの試合まで5試合全てをサウジ*リング誌の興行で戦っており、所属する志成ジムの柔軟なスタンスからも「日本人1号」になるかもしれません。





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「井上尚弥vs中谷潤人」は興行規模の面で、今年最高の試合の一つでしたが、最も特筆すべきは〝One Of The〜(〜のひとつ)〟ではなく「THE 今年最高レベルのマッチアップ」ということでした。

来年1月に、井上がバム・ロドリゲスと激突するなら、このカードも来年の最高レベル試合が確定。井上は2試合連続で世界最高レベルの試合を戦うことになります。

しかし、世界的な注目度となると中谷戦の米国での配信は土壇場までどこも手を挙げず。

なんとかDAZNが救済的に引き受けるも、もちろんPPV課金は無し・放映権料も「どこも配信してくれないよりはまし」、体裁的にも「どこも配信しない屈辱は免れた」という点からも買い手の言い値、つまり格安で、一部少数のコアなマニアを除くと日本限定の盛り上がりでした。



さて、世界的な注目度で軽量級とは比較にならないヘビー級、それもタイソン・フューリーvsアンソニー・ジョシュアという超ビッグネームの対戦交渉がすでに完了、両者とも契約書にサインしたと言われています。

開催時期は今年後半、開催場所はロンドン、それ以外はまだ何の発表もありませんから、噂の段階です。

そして、統括するのはもちろん英国ボクシング管理委員会(BBBofC)。主催はフューリーを傘下に収めるフランク・ウォーレン(クイーンズベリー)と、ジョシュアのエディ・ハーン(マッチルーム)の共同プロモート…のはずなのですが…。


さて、ジョシュアはハーンのプロモートで7月25日にリヤドでクリスチャン・プレンガと調整試合を行います。

ここでコケなければ(心配ですねぇ、なにしろ番狂せメーカーのジョシュアです)年内に世界中のボクシングファンが待ち望んだ「Battle Of Britain」のドリームマッチが行われるということですが…日本時間の6月7日に英国で初開催されたズッファ・ボクシングの興行の会見でダナ・ホワイトが「この試合はズッファがプロモートする」と電撃発表したのです。

“Have they announced where that fight is?" he said. "I know where it is. Watch what happens over the next 30 days.”

「(ハーンやウォーレンが)試合会場を発表したか?俺は知ってるぜ(だって自分がプロモートしてるんだから)。まあ、これから30日ほどの間で、目にモノを見せてやるよ」。



試合日程は不明でも、会場は英国しか考えられず。となると、ウィンブリー・スタジアムしかあり得ませんが…会場もエッフェル塔広場前とかサプライズなのでしょうか???


「Battle Of Britain」の契約書は全て公開されているわけがありませんが、この対戦交渉は「ダナ・ホワイトは一切関与しない形で進められる」という大前提の条件が付けられていると知られていました。

しかし、フューリーとジョシュアを完全な契約で縛ることができているのなら、こんな条文は不要のはずです。

ホワイトの言い分が事実なら、ハーンとウォーレンが進めていた契約とは全く別の契約をズッファが締結、2人の英国人ファイターがサインしたことになります。

フューリーもジョシュアも、井上尚弥らジム子飼いの日本のボクサーとは全く違う、つまり圧倒的に選手側に主導権のある内容でプロモーターと契約を結んでいます。

フューリーは今年4月にアルスランベク・マクムトフに大差判定勝ちを収めていますが、2024年12月にオレクサンデル・ウシクとの再戦で敗れてから引退宣言を繰り返しており、この間にクイーンズベリーとの契約が見直されているのは当然予想できます。

また、ジョシュアもマッチルームと〝永久契約〟を結んだと伝えられたことがありましたが、「強い相手としか戦わない」と同様に、そんな契約に何らかの効力があるはずもなく、昨年12月のジェイク・ポールとのメガファイトもポールのMVPプロモーションが独占プロモートしました。

フューリーもジョシュアも拘束力の低い、非常に緩やかな契約、フリーエージェントに近い立場にあるのかもしれません。

英国初開催したズッファについてBBBofCは「素晴らしいプロモーター、新しい仲間を迎えた」と大歓迎で、ビッグネームが登場しないイベントとしては高額な認定料をズッファ・ボクシングが支払ったと予想できます。

サウジアラビア肝入りのズッファ・ボクシングには、現在のボクシング界でトップ2のハーンとウォーレンの連合軍でも資金面で全く太刀打ちできません。UFC単体でも、ボクシングのトップ10プロモーターが束になっても全く話にならないのが現実です。

フューリーvsジョシュアが最も大きな興行になるのは英国ロンドンです。統括はBBBofCに決定、その統括団体からもお墨付きをもらいました。

資金面でも英国でのコネクション面でも、ズッファを遮る大きな障害は見当たりません。

報道面ではサウジアラビアのボクシング専門広報誌であるリング誌が先行、ズッファのスポークスマンをつとめています。

ホワイトの「俺がプロモーター」発言に対して、ハーンもウォーレンも完全否定するも、外堀は埋められています。


フューリーが「俺はカネでは動かない!ウォーレンとの義理人情を貫くぜ!」と宣言、ジョシュアも「ハーンとの友情は不滅だ。札束で崩れるような関係じゃない!」と、長官とホワイトに唾を吐きかけるとか…それくらいしか大逆転の構図が見えてこない気がします。




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まさかまさかのウシク大苦戦…。

このまま判定だと…ウシク、11ラウンドでTKO勝利。判定だとやばいと理解して、一気に仕留めにかかったのはさすがですが、キャリア最低の試合。

「油断はしない。バーホーベンを過小評価するなんて絶対あり得ない」と何度も繰り返していた39歳のウクライナ人でしたが、明らかにフットワークが重かった…。


これで、バムの各メディアのPFPが一つ繰り上がる可能性が出て来ました。



それにしても、日本のメディアは今年の世界最大イベントで勝利した晝田瑞希の完勝をもっと取り上げて良いのでは?
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「ビリー・ジョー・サンダースは良いボクサーだ。でも、同じことをしている私と比べたらどうだい?もし、私が彼と同じミドル級なら住む家も乗る車も何もかもが違っていたよ」(元ジュニアバンタム級:カリド・ヤファイ)


「私たちがやってることはウエルター級やミドル級と同じこと。しかし、報酬と注目は全く違う。PFPよりもファイトマネーと名誉が欲しい」(元フライ級/ジュニアバンタム級:ファン・フランシスコ・エストラーダ)。


「(恥ずかしい試合をしたと非難を浴びて)ボクシングファンは(日本でやった井上尚弥との試合なんて)誰も見ていない。一部のカルトなファンや専門家に何を言われても全く気にならない。おい、バンタム級で50万ドルも稼いだファイターがイギリスの歴史で一人でもいたか?」(元バンタム級:ポール・バトラー)。


PFPと人気・注目度の間に大きな乖離があることは、トップを回遊するローマン・ゴンサレスとまだランクにも入っていなかったカネロ・アルバレスのファイトマネー格差が100倍以上という記事でも話題になりました。

軽量級と人気階級では全く扱いが違うのです。

また、人気階級でもテレンス・クロフォードへの注目度は「(中量級人気を創造した)シュガー・レイ・レナード以来、ウエルター級市場で最低」。「カネロがスタジアムに集める観客の方が、クロフォードのPPVより多い」という有様でした。


井上尚弥の1位復帰でも注目度の高いPFPですが、このMythcal Ranking をもっとも持て囃しているのは日本や、張正九や柳明佑、文成吉らが立て続けにPFPランキングを賑わした頃の韓国など、軽量級が中心の国々です。

PFPが軽量級に寛容であるのは「すべての階級を平等に見る」という、この概念からすると当然です。

さらに、PFPが広く知られるきっかけとなったのは、ヘビー級(ロッキー・マルシアノ)の陰で人気に劣るシュガー・レイ・ロビンソン(当時は定期的に発表されるランキングは存在せず、PFPとはロビンソンを指すものでした)の実力をしっかり評価しようというメディアや専門家、マニアによってという歴史的〝出自〟を鑑みてもヘビー級が冷遇されるのは仕方がないことでした。

そこに横たわっているのは「ヘビー級は見て見ぬふりをする」という屈折した視線です。

つまり「ヘビー級が最強で最高であることを知っているが、それを言い出すと他の階級の存在価値が揺らぐ」という思考回路は、PFPで最も評価されるべきは「減量階級からヘビー級を制圧した者」に帰結します。

PFPランキングの歴史は1990年にリング誌が始めた月刊ランキングをスタートとすると、この35年で最も長く1位に君臨したのはロイ・ジョーンズJr.です。そして、オレクサンデル・ウシクも通算で3年近くも1位の座に滞在しました。

この二人が評価された源泉は「減量階級の王者からのヘビー級制覇」です。そして、共通するのがヘビー級では圧倒的な存在ではないという事実。

PFPが「あらゆる階級を平等に見る」スタンスを崩さなければ、同じ2階級制覇で明白な強さを見せつけている矢吹正道の方が、ヘビー級で接戦を繰り返すウシクよりも上という見方もできますが、現実にはそんな比較論は聞いたことがありません。

それを言い出すと、ウシクを上回るボクサーはいくらでもいます。

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そして、リング誌が気になる記事をアップしました。

クルーザー級を制したデビッド・べナビデスに「トゥルキ・アルラシク長官が、2027年中にウシクとの対戦を求めている」というのです。

日本時間3日に行われたヒルベルト・ラミレスとの試合後は「次戦でヘビー級はない。その話はしたくない」と、ヘビー級進出に質問が飛ぶとあからさまな不快感を示しました。

しかし、父親のべナビデスSr.は「この話で持ちきりだな。今年9月にウシクと対戦することはないが、来年ならどんなことでもありうる。デビッドとも話し合うよ」と完全に乗り気です。

カネロの衰退が明らかな現在の北米市場で最も人気のあるべナビデスは、9月に次戦が内定済み。ここで、対戦が有力視されるライバル王者のジャイ・オペタイアか、ライトヘビー級最強と目されるPFPファイターのドミトリー・ビボルに勝つとPFPランクはさらに上昇。

KO負けが想像できないオペタイアやビボルをスペクタクルな形で沈めると、今年のFighter Of The Yearの最有力候補。

来年はウシクも40歳、最近は「引退」を度々口にしているウクライナ人が、今まだ20代のべナビデスの軍門に降るようなことがあると、PFPは彼を中心にしばらく回ることになってしまいます。

1994 11月号
 ⬆︎1994年5月号のPFPランキング。マイケル・モーラーがイベンダー・ホリフィールドを破って「史上初のサウスポー」「史上二人目のライトヘビー級王者からのヘビー級制覇」を成し遂げましたが、PFP入りは保留、Undisputed でなかったこと、ヘビー級転向からタイトル獲得まで4年12試合と時間がかかり下の階級の残像が薄かったせいなのかは不明ですが、リング誌の評価は珍しく正鵠を射ていました

しかし、このときもカニサレス(バンタム級)、ロペス(ストロー級)、チキータ(ジュニアフライ級)、カルバハル(ジュニアフライ級)、マッキニー(ジュニアフェザー級)…ジュニアフェザー以下で5人がPFPを占めてました。モーラーにも1枠くらいあげてよ…モーラーはいらないでしょうけど。


個人的には、PFPはヘビー級も受け入れるべきだと思います。そして、下の階級の王者(今ではほぼクルーザー級に限定)が2階級制覇に成功した場合に無条件でPFP評価するのはどうかと考えます。









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Saturday 11, April 2026
  
Tottenham Hotspur Stadium, Tottenham, London
commission:British Boxing Board of Control
promoter:Spencer Brown (Goldstar)
matchmaker:Steve Furness
view on Netflix


◾️ヘビー級12回戦◾️


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フューリーは267.9lポンド= 121.52kg、直近の試合(2024年12月:オレクサンデル・ウシク戦)から13.1ポンド = 5.9kg も軽く仕上げてきました。

マフムドクは264.9ポンド = 120.2kg、昨年10月のデビッド・アレン戦から4ポンド重い4.0lb = 1.8144kgで秤を下りました。

マフムドフはいつも通り、フューリーも前回のウシクとの再戦が重かっただけで〝いつも通り〟の範囲内。

WHのオッズはフューリーが2/9(1.22倍)、マフムドフ7/2(4.5倍)。


なんだか、私だけではなく、あちこちのボクシングファンが番狂せの予感に震えています。生で見たいのはやまやま、でも夜明け前の3時…。

転勤のバタバタの中で…体が持ちません。。。。結果を見ないで、後から追っかけます。


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