フシ穴の眼 〜スポーツ疾風怒濤編〜

      Hope Lights Our Way / 希望の道を、つなごう。

カテゴリ: 茶番劇は茶番劇

ボクシング興行のベスト2は、ネバダ州アスレティック・コミッションの統括によって、わずか2年のスパンで立て続けに挙行されました。

第1位は2015年の「フロイド・メイウェザーvsマニー・パッキャオ」。第2位は2017年の「メイウェザーvsコナー・マクレガー」です。

マクレガーのボクシングデビュー戦となった後者は、現在に続く茶番劇ブームの先駆けになったサーカス。

そして、前者ですら全盛期の最強ボクサーの激突ではありませんでした。

世界最高峰の戦いが最も売れたわけではない、のです。ボクシングの世界の闇深さを象徴しています。

さて、2023年にも実現すると言われている「タイソン・フューリーvsフランシス・ガヌー」もまた、メイウェザーが仕掛けた茶番劇の延長上にあるサーカスの一種なのでしょうか?

「メイウェザーvsマクレガー」と「フューリーvsガヌー」に相違点はどこにあるのでしょうか?
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「2017年」ではメイウェザーは引退したプロボクサーで、マクレガーはピークを過ぎたMMA選手でした。

しかし、ボクサーとボクシングデビューのMMA選手という構図は同じでも、フューリーvsガヌーは全盛期の最強ヘビー級という点で大きく異なります。

もちろん、熟練したプロボクサーと素人のボクシングマッチですから、競技レベルは全く期待できないという点は変わりません。

フューリーはUFCルールでの戦いも示唆していますが、リップサービス、完全な冗談でしょう。ガヌーと総合ルールで戦う危険度は、現役のままボクシングのトップレベルで戦う比ではありません。

それでは「パリスのお願い」で引退した意味がありません。

では、世界2大格闘技の最強ファイターによる茶番劇は「メイウェザーvsマクレガー」を凌駕する、巨額のマネーを生み出すメガファイトになるのでしょうか?

あるいは「メイウェザーvsパッキャオ」も上回り、ボクシング史上最大の興行に躍り出るのでしょうか?
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「フューリーvsガヌー」が決定すると、3カ国4大都市で巨額の資金を投資して開催された「メイウェザーvsマクレガー」を凌ぐプロモーショナルツアーが展開されるはずです。

また、「フューリーvsガヌー」には、2017年当時はおとなしかったサウジアラビアやUAEドバイも招致合戦に名乗りを挙げるでしょう。

一方で「メイウェザーvsマクレガー」があれほどの大興行になったのは「メイウェザーとマクレガーだから」という決定的な理由も無視できません。

人の耳目を集めることに関しては天才的な二人が、プロモーショナルツアーがキックオフする2年以上も前から前景気を煽っていたのです。
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「ボクシングルールでメイウェザーに勝てる」と最初に矢を放ったのはマクレガー。2015年の「メイウェザーvsパッキャオ」直後のことでした。

そこから両者は丁々発止のやり取りを繰り広げ、プロモーショナルツアーではプロレスラー顔負けのトラッシュトークの応酬。

欧米のメディアはほぼ例外なく「The Farce Bout(茶番劇)」「Bogus(インチキ、偽物)」と非難、ニューヨークタイムスも「FLEECE OF THE CENTURY(世紀の詐欺)」と断じ、リング誌も「DARK COMEDY(悪い冗談)」と斬り捨てましたが、これこそがメイウェザーのやり方です。

軽蔑や嫌悪感、あるいは憎悪…。「見たい」と思わせるのは強烈な負の感情です。人間とは神よりも悪魔を見たい、そう思う動物なのです。
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この「仕掛け」を、良い意味でも悪い意味でも空気を読まないフューリーと、実直なガヌーにできるか?その答えは先週土曜日に同じリングに立った二人の遠慮がちなやり取りを見れば、明白です。

フューリーとガヌーは最強のファイターですが、最強のビジネスマンではありません。

個人的には、ガヌーよりもオレクサンダー・ウシク戦が見たいのですが…。 
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【Q】ボクシングとexhibition、プロレスの間に線を引くとしたら、どこになるでしょうか?

【A】どこに線を引くのかは、誰が線を引くかによって決まります。



先日のディリアン・ホワイト戦で、かねてから公言していた引退に心変わりはないとあらためて強調したタイソン・フューリー。

しかし、33歳のジプシーキングはWWEプロレスや、UFCヘビー級王者フランシス・ガヌーとの対戦には前向きな発言を繰り返しました。

ガヌーとは公式戦のボクシングマッチも視野に入れていることから「真剣勝負」からの引退ではありません。

フューリーの「引退」は、ヘビー級のトップボクサーとしてメジャータイトルを争う「真剣勝負」の舞台からは身を引くということでしょう。

この引退宣言は、デオンティ・ワイルダーとの第3戦を見て、夫の身体を心配する奥様パリスさんの意向を受け入れた形です。

とはいえ、そのパリスさんは「WWE参戦はあるんじゃないか。最初はここ(ロンドン)ではなく、サウジアラビアかドバイかもしれない」と、ホワイト戦の後には笑って話していました。

さて、ボクシングとexhibition、プロレスの間に線を引くとしたら、どうなるでしょうか?

「真剣勝負」という物差しなら、ネバダ州アスレティック・コミッションから承認されたフロイド・メイウェザーvsコナー・マクレガーは公式戦で真剣勝負、フューリーとガヌーらとのボクシングマッチも真剣勝負になる可能性大です。

「真剣勝負」を物差しとするなら「ボクシングとexhibition」と「プロレス」の間に線が引かれることになります。

しかし、パリスさんの物差しなら?

彼女なら「ボクシング」と「exhibitionとプロレス」の間に線を引くはずです。

夫の健康を心配するパリスさんの物差しは「真剣勝負」ではなく「危険度」です。あるいは、意地悪な見方をすると、夫がより簡単により大きな金儲けが出来る商売に乗り換えることを歓迎しているのかもしれません。
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スポーツファンとしては、奥さんが笑って肯定するプロレスやエキシビションよりも、顔面蒼白になって目を塞いだワイルダー戦のような「本物の戦い」(カネロ・アルバレス)の方が見たいものです。

フューリーの引退と〝茶番劇路線〟への転向を受けて、カネロは「私はプロボクサーであることに誇りを持っている。オファーはいくつもあるが茶番劇に付き合うつもりは一切ない」と、自身のスタンスを明らかにしています。

カネロやマニー・パッキャオが言い放ったように「茶番劇によってカネは稼げても尊敬はされない」のは事実です。

フューリーは「もう十分に尊敬された」と満足しているのでしょう。

33歳の現代最強と目されるヘビー級ボクサーが、ライバル不在というわけでもないのに最強を証明せずに引退するーーー個人的には残念です。

しかし、当たり前ですが、全てはフューリーが決断することで、自由です。

自分がフューリーだとして、心配してくれる愛する奥様がいて、より安全により継続的により多くの金儲けが出来る仕事がある…どんなに好きでも、ボクシングにとどまる理由を探す方が難しいかもしれません。

SDGsの観点からも、ボクシングなんて職業はクレージーです。



さて、では…。

「フューリーvsガヌー」は「メイウェザーvsマクレガー」から連なる茶番劇と同列に語られるものでしょうか?

「フューガヌ」は、カネロが唾棄するように尊敬されないのでしょうか?

「メイマク」を凌駕する超弩級のメガイベントになるでしょうか? 
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八っつぁん(八百屋の長兵衛)「何が八百長かって?そりゃあ、真剣勝負は危ねぇからなぁ」。

熊さん(マックス・ベア)「本気の真剣勝負なんてやってたら、俺のような強打者はリングの上で何度も不幸な事故を起こしちまう。ところで八っつぁん、何でも賭けの対象にする英国のブックメーカーが、オッズを出さない競技は八百長かい?」。

八っつぁん「それを基準にしたらプロレスや大相撲は全部八百長になっちまう。ドラマの中の喧嘩だって、エゲレスのブックなんたら?は掛け率なんて出さないだろ?ショーや伝統芸能に、そんな狭量持ち込まねぇでもらいたいね」。

熊さん「じゃあ、最近はやりのエキシビションは?英国のブックメーカーがオッズを出してるのを見ましたぜ」。

八っつぁん「あれは広い意味では八百長。あらかじめ試合の流れや、注意点が両者の間で含まれてんだから。タイソンとロイ・ジョーンズなんてその典型」。

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熊さん「じゃあ、フロイド・メイウェザーとコナー・マクレガーは?」

八っつぁん「あれは引退ボクサーと現役格闘家の真剣勝負だったけど、ネバダ州アスレティックコミッションがボクシングの試合として公認した時点で、誰にでも最初から勝敗がわかってたじゃねぇか。メイが自分の9.5ラウンド以内(10ラウンド1分30秒以内)に賭けてたってのはよくねぇな」。

熊さん「RIZINは八百長かい?」

八っつぁん「あらかじめ勝敗を決めていない、というのが基準なら八百長じゃねぇな。ただ、運営側がいろんな仕込みを試合の前段階から行ってるのは公平な真剣勝負とは言えねぇ」。

熊さん「昔のK1の魔裟斗や今の那須川天心のような独自ルールの中で最強を誇るのが公平な真剣勝負じゃねぇって言うなら、カネロ・アルバレスをテッペンに添えるボクシングも同じじゃねぇのかい?」。

八っつぁん「そいつは一理も二理もあるねぇ。ただ、カネロの場合はしっかり公表されているから、その点は違う。RIZINはルールそのものが歪んでいるのが問題、カネロはルールを歪めたから問題、そこは大きな違いだってぇこと。一番悪質なのは昔WOWOWで放送してたリングス。100%八百長なのに完全に騙しにかかってたからねぇ」。

熊さん「プロレスは虚々実々でも、リングスはやり方が姑息でしたなぁ。ただ、日本ではボクシング以外のプロ格闘技はほとんどがプロレス起源?」。

八っつぁん「プロレスは力道山が作ったようなもんだから、最初から大相撲と太いパイプがあった。ショーであるプロレスと、星のやり取りが当たり前に行なわれている大相撲、その遺伝子をしっかり引いてるんだから、PRIDEやRIZINやらに何色の血が流れているのかは、ちょっと考えたら誰にでもわかるってもんさ」。

熊さん「PRIDEやRIZINは八百長かい?プロレスと違って、真剣勝負が基本じゃねえのか?」

八っつぁん「試合の勝敗は決めないのが真剣勝負ってならそうかもしれねぇけど、そもそも八百長って言葉が嫌いだな。スポーツなのか?それともショーなのか?その二択で考えるのがわかりやすいかもしれねぇ」。

熊さん「リングスはショー。だったらPRIDEやRIZINはどっちになるんでぃ?多くのファンはPRIDEもRIZINも社会的に認知されていないだけで、真剣勝負のスポーツだと思ってるんじゃねぇか?だから、今回みたいな八百長騒動が起こるわけで」

八っつぁん「五輪種目を目指すとスポーツであることを真正面から主張していたリングスは、ショーではなく八百長でいいか、あれは論外。八百長騒動はRIZINを真剣勝負だと勘違いしている人がいるから起きた、というのは正解。PRIDEやRIZINは二択を選ばない立場に甘えてきたけど、これからはどちらかの旗を挙げなきゃいけない。執行猶予の期間はもうお終い」。

熊さん「ショーの旗を挙げちゃったら、プロレスと区別がつかねぇな。スポーツの旗を挙げたらどうなるんでぃ?」。

八っつぁん「スポーツの旗を挙げたらどうなるか?じゃなくて、どうしたらスポーツの旗を挙げられるか、だな。ショーじゃねぇか?と揶揄されたUFCがどうやってスポーツとして認知されたかを見たらよくわかる。誰もが納得する階級とチャンピオンシップ制度を敷いて、それを支える薬物検査や違反者への罰則などのインフラを整備すること。必ず比較されるボクシング以上に厳格な統治と統括を示すこと、じゃねぇか」。

熊さん「UFCはスポーツとして認められることを目指して一貫してたねぇ。ただ、あれはなかなかできるこっちゃねえぜ。日本で同じことができるかい?」

八っつぁん「アメリカじゃスポーツは州のアスレティックコミッションが受け入れて、ボクシングもMMAも統括してるからねぇ。日本でMMAを社会的に認めてもらうには複数の段階を踏まなきゃならねぇ」。

熊さん「それにしても今回の八百長騒動は、RIZIN的な格闘技路線にとって衝撃でしたなぁ」。

八っつぁん「これからはショーかスポーツか?その二択を避けては、ファンの支持を得られない。見る側も一般の新聞やニュースが取り上げないことにどういう意味と背景があるのか、単に歴史がないからではないことを考えるべき時期に来ちまってる。〝社会的に認知されていないけど神童〟なんて怪しさしかねぇ」。

熊さん「日本ボクシングの最大興行はファイティング原田や村田諒太の試合だったけど、非ボクシングなんてボブ・サップvs曙だからねぇ」。

八っつぁん「それを言われちまうと、世界のボクシングも史上2番目の興行がメイウェザーvsマクレガーだから、耳が痛ぇな」。

熊さん「う〜ん、しかも1位が悪夢のようなパッキャオvsメイウェザー…」。
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アマンダ・セラノは史上最多の7階級制覇(ジュニアバンタム〜ジュニアウェルター級)を達成した女子ボクサー。

ESPNでPFP2位に評価されるなど傑出した存在ですが、ファイトマネーは5万ドル前後と低迷。女子格闘技でより注目が集まるMMAにも参戦するなど、33歳のプエルトリカンは一生懸命の存在証明を続けています。

米国史上初の五輪2連覇を果たしたクラレッサ・シールズですら「ゲンナディ・ゴロフキン相手でもチャンスがある。キース・サーマンなら楽勝」と必死のアピール、やはりMMAにも挑戦しています。

女子ボクサーは売れない。そんな偏見が業界には沁みついています。

彼女たちは、自分で自分のチケットを売り、少ない報酬に甘んじてきました。

アマンダの姉、シンディもプロボクサーでしたが、妹が自分と同じ道に進もうとすることには猛反対しました。

それまで50ドルが最高だったシンディのファイトマネーはWBCジュニアライト級王座への挑戦者決定戦で、一気に跳ね上がります。それでも、それは2500ドルに過ぎませんでした。

アマンダは2009年にプロ転向。ボクシングに全身全霊を捧げて、女子では史上唯一の7階級制覇を達成します。

She committed herself to a sport without the potential of much fame or attention because it was what she loved -- something she was exceptional at. 

アマンダが、名声を得たり注目を浴びる可能性のない悲しいスポーツに人生を賭けた理由は、ボクシングが大好きで、自分の才能を最高に発揮できるからでした。

その才能をどんなに爆発させても、PFPランキングが上がるだけ、専門家から「史上最高の女子ボクサー」と絶賛されるだけで、一般的には全く無名のまま。

この先、何をどうしたって、女子ボクサーに華やかな未来はない。

そう諦めかけていたときに出会ったのが、ジェイク・ポールでした。
 
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アマンダは今年9月、ジェイク・ポールとナキサ・ビダリアンが共同で設立したMost Valuable Promotionsと選手契約を締結します。

ルウ・ディベラとも契約していたものの、それは非常にゆるやかで拘束力の弱いものでした。つまり、何も保証されないFA同然だったのです。Most Valuable Promotionsとの契約に、何の障害もありませんでした。

ポールはプロデュースにかけては天才です。

スマホも持たないアマンダにインスタグラムに投稿すべき内容を提案し、プロのカメラマンにインスタ映えする写真を数多く撮影させました。

Twitterでの表現方法を伝授し、彼女のイメージに沿ったプロフィールを掘り下げ、頻繁に更新することを薦めます。

効果はてきめんに現れました。

レストランで食事をしていると若い20代のグループから「大ファンです。グッドラック!」と声をかけられ、アマンダが食事を終わるのを〝出待ち〟してサインと写真をリクエストするファンもいました。

7階級制覇しても、そんなことはまずなかったというのに。
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"First and foremost, I hope it just puts [women's boxers] on a different pedestal of respect and gets them paid better,"

ジェイクは「女子ボクサーの地位は低すぎる。来年には7figure(7桁=100万ドル)のファイトマネーが得られる試合をアマンダに提供したい」と語り、PFP1位のケイティ・テイラーとのスーパーファイトの実現に積極的な姿勢を示しました。

「女子ボクシングとアマンダに欠けているのは物語だけだ。ケイティ・テイラー戦ではそれが完璧に補完される。世間が注目する物語を作り上げて、過小評価されている女子ボクシングに生命を吹き込みたい」。

ボクサーとしてのジェイクはフェイクかもしれません。しかし、その知名度と資産を使って女子ボクシングの地位向上を目指すというなら、それはフェイクではなく偉大な挑戦です。
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プロスポーツは、アスリートが「もっと上手くなりたい」(大谷翔平)と研鑽し、観戦する側が「レベルの高い試合が見たい」と渇望する、その二つの上昇気流によって発展し続けてきました。

ボクシングやテニス、サッカー、野球など長く豊穣な歴史を紡いできた競技では、伝説たちが「ハイレベルの真剣勝負」を繰り広げることで、偉大な記録と鮮烈な印象を刻んできました。

そんなレジェンドたちがexhibitionの形で、大きなイベントを盛り上げ、競技に恩返しするのは最高のファンサービスです。

テニスでよく見られるexhibitionはその典型で、野球ではモルツ球団による「サントリードリームマッチ」も多くのファンを楽しませてきました。

第一線を退いたレジェンドは「もっと上手くなりたい」と研鑽する必要はありません。見る側も「レベルが高い試合が見たい」をそこに求めてはいません。

かつて「もっと上手くなりたい」と奮闘努力したレジェンドが、今なお偉大な片鱗を見せてくれたり、微笑ましいミスをしながら、「ハイレベルな真剣勝負」の露払いをつとめるのです。

そこでは「ハイレベルな真剣勝負」では切り離せない、どちらが勝つのか?という興味関心はありません。

しかし、プロボクシングから火がついた格闘技では〝exhibition〟が「ハイレベルな真剣勝負」を凌駕する注目を集めてしまう異常事態が続いています。
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全ては「フロイド・メイウェザーvsコナー・マクレガー」の商業的大成功から始まりました。

「ハイレベルの真剣勝負が見たい」というファンの渇望が、こと格闘技になると一気に希釈されてしまうのです。

「最も優れた選手が最も大きな報酬を得る」という当たり前が通用しない世界が、ボクシングです。

PFPキングの座に2年間も君臨したローマン・ゴンザレスの最高報酬は60万ドル、PFP評価で上位評価を受けていたノニト・ドネアや井上尚弥も世界市場では商品価値は低く、ほとんど無名です。

高度な技術や実力よりも、人気階級であること、メキシカンや米国人であること、肌の色や人種が優先的に商品評価につながるのがボクシングの世界です。

日本でも、商業的成功という観点からは、21世紀のボクシングで最も大きな果実をもぎ取ったのは亀田興毅であり、村田諒太でも井上でもありません。

さらに日本格闘技史上で商業的に最も大きな成功を収めたのが「ボブ・サップvs曙」であることも考えると、ボクシングも含めた格闘技には「ハイレベルな真剣勝負」よりも「野次馬心理を刺激する下劣なマッチメイク」の方が磁力が強いという性格を帯びていると言えるでしょう。

テニスや野球、サッカーのexhibitionでは素人のYouTuberに需要は全くありません。しかし、格闘技では、有名人なら誰にでも需要があるように見えてしまいます。

亀田興毅は12月16日に開催した3150ファイトクラブで「お笑い芸人の木下隆行vsプロレスラー・丸藤正道」「〝少年革命家〟のYouTuberゆたぼん」と「力石政法vsロリ・ガスカ」のプロボクサー対決をミックスさせた興行を打ち、多くのメディアが取り上げました。

世界でも「今年のFighter Of The Yearはカネロではなく、ジェイク・ポール」という声がESPNでもあがるなど、「野次馬心理を刺激する下劣な茶番劇」が「ハイレベルな世界戦」を駆逐する現象が常態化しています。

アブネル・マレスらが「YouTuberが100万ドル以上も稼ぐのはおかしい」と非難した声には賛否両論が沸き起こりました。

プロである以上、人気が全てです。

異邦人のゲンナディ・ゴロフキンやワシル・ロマチェンコが その実力に比例しない報酬に甘んじているその延長上にYouTuberが存在している、とも考えられます。

畢竟、ボクシング界には元々腐った種が撒かれ、腐った芽が息吹いていたのです。

そこに咲いたアダ花の中の一輪がYouTuber だっただけのことなのかもしれません。
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日本ハムファイターズの新監督に新庄剛志が内定したと報道されています。

監督まで客寄せパンダを起用するのか、という批判は少数派で「プロなんだから魅せる監督を起用するのも間違いではない」「チャラチャラしてたようでも野球に対して真摯に向き合っていた」と概ね好評です。

虎キチとしては新庄は結構微妙な選手でしたが、プロ野球選手の中でも傑出した素質を持っていたことは明らかでした。

Jリーグが発足、全国的な人気を巻き起こしていたときに引退騒動を起こし、会見で「Jリーガーになりたい」と発言しましたが、まさにあれが新庄です。
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日本人野手として初めてメジャーに挑戦したのは、2001年のイチローと新庄でした。

「打者にとってはメジャーの球場の方が有利」。常識的には日本よりも広いメジャーの球場は、打者にとって不利です。

しかし、新庄は「日本だとファールでアウトになるところを(ファールゾーンが狭い)こっちではスタンドに入ってくれる」と、なるほどなことを言うのでした。

確かに、特に甲子園のファールゾーンは広いです。

今シーズン、大谷翔平がホームスチールを決めましたが、私がホームスチールを見たのはオールスターで新庄が決めて以来でした。

大谷が相手の隙を突いたダブルスチールだったのに対して、新庄は完全にマークされる中での単独スチールでした。

そもそも、ホームスチールを警戒される選手なんてありえません。

YouTuberをはじめ、引退選手のボクシングを茶番と断罪している私ですが、監督やコーチなどベンチでチームを指揮する仕事で、何の実績もない新庄の監督就任も茶番か?となると、これはもう茶番とは真逆のプロとして正攻法の起用だと思います。

間違いなく、選手よりも監督が目立ってしまうことも全然よろしいことでしょう。

日本のプロ野球にも、また一つ楽しみが増えました。
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なんだかなあ。


「ファン・マヌエル・マルケスvsミゲール・コット」や「アブネル・マレスvsホルヘ・アルセ」も決定だそうです。

伝説のグレートが蘇るテニスのexhibitionや、野球のサントリードリームマッチのような試みは、両手を挙げて大歓迎です。

いずれも、テニスや野球のファンが楽しむ上質な余興です。

そして、最高水準で争われる現役選手たちの真剣勝負とは一線を画したもので、その大前提をわきまえたイベントです。

ところが…。

前者の方が後者よりも注目度が高いとか、報酬が大きいとか、そんな倒錯が起きるなら、そのスポーツは死んでいます。  
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前日計量で2ポンドの体重超過、10万ドルをポンと払ったフリオ・セサール・チャベスJr.

あれを「ボクシングの公式戦」と見てしまうと嫌悪感を抑えられませんが、「プロレス」と見立てると面白いとは思いました。

▶︎▶︎▶︎チャベスJr.が2ポンドなんてケチなオーバーじゃなく10ポンド超過、それを見たアンデウソン・シウバが「この体重差では戦えない」と対戦拒否。

しかし、ジュニアが体重計の上に札束を重ねて行きます。10万ドル束を一つ、二つ…。

シウバは渋い表情のまま首を振り続けます。「カネの問題じゃない。10ポンドも重い相手と戦えるか!」。

それでも、ジュニアはニヤニヤ笑いながら札束を重ねて行きまあす。

会場を去ろうとしていたシウバですが、ジュニアがゆっくり体重計に乗せる札束に魅入ってしまいます。

20束、200万ドルを積んだところで、ジュニアは「こででネタ切れ。残念だけど試合は不成立」と札束を回収しようとすると、シウバが「やる!ぶちのめしてやる!それを仕舞うな!今、俺に寄こせ!」と駆け寄って、そのまま試合成立。

なんて、パフォーマンスを披露したら、私のような否定派のボクシングファンも「プロレスだな!だったら見るか」となります。▶︎▶︎▶︎


しかし、どうやらジュニアは茶番劇に真剣だったようです。

「チャベスJr.敗れる!」のニュースが届いて「何がどうなったらシウバに負けるんだ?」と、茶番劇を見ました。

試合は、まさかの指導権を握ったシウバがノーガードでジュニアを「ウスノロ、打って来い」と挑発、ジュニアをボクシングで攻め立てて行きます。

7ラウンドにジュニアは右目上をカット。敗色濃厚になりました。最終8ラウンドには血だるまになったチャベスは「ドローかと思った。納得できない」とスプリットデジションに不満を見せましたが、見苦しいにもほどがあります。

茶番劇のボクシングマッチに出るだけでも眉をしかめてしまいますが、まさかそこで負けるなんて…。

"I don't believe it," Silva said. "Canelo come talk to me. I'm so happy."
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番狂わせを起こしたシウバが「信じられない」と喜んだのは、試合結果ではなく、カネロ・アルバレスから「まさか勝つとは思わなかった。尊敬する」と祝福を受けたからでした。

「信じられない、カネロが俺に話しかけてくれたんだ!最高の気分だ!」。

シウバ、ボクシングは1勝1敗でこれが3戦目でしたが、進化してます。ちゃんとしたジャブを打てます。ルイス・ネリよりも基本はできてます。

といっても、世界ランカーの実力には程遠い、素人です。

しかし、それにしても、茶番劇ですから結果も真剣に受け取る必要はないとはいえ、まさか負けるなんて。

茶番劇で体重超過→茶番劇で罰金→茶番劇でプロ3戦目の相手に敗北。これ以上に恥ずかしいことが他にあるでしょうか?



これがプロレスなら、ジュニアがヘタレキャラを徹底するべきです。

次回も体重超過、相手は女子MMA選手、ボクシングで圧倒されて、組み伏せようと暴挙に出るも、絞めあげられてタップ。


しかし、今日のジュニア、真面目な話、クラレッサ・シールズには100%負けます。

シウバの次戦にはYouTuberやマイク・タイソン、あるいはチャベス父との対戦も早速噂されていますが…。

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「フロイド・メイウェザーvs那須川天心」で、マネーが計量したのかどうか定かではありません。贅肉がたるんだ肉体は147ポンドよりも重く見えました。

ヘビー級のマイク・タイソンと、exhibitionとはいえ戦ったロイ・ジョーンズJr. 。

そもそも茶番劇にまともな計量など、どうでもいいことです。

多くのケースで「減量」とは「より弱い相手を求めて自分も弱体化する」行為ですが、アスリートとして守らなければならないルールです。

一方で、茶番劇は茶番劇です。守らなければいけない最低限の〝お約束〟はあっても「減量」はそこから外れます。そもそも茶番劇の舞台に上がる人は、アスリートではありません。

茶番劇の計量など、とって付けたパフォーマンスに過ぎないのです。こういう書き方をすると誤解を招くかもしれませんが、茶番劇はプロレスです。

「対戦相手が体重超過したから、試合は受けない」なんてこともありえません。そもそもが茶番劇なのですから。
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日本時間明日6月20日に、元UFCミドル級王者のアンデウソン・シウバとボクシングマッチを行う予定だったフリオ・セサール・チャベスJr.が契約体重を2ポンドオーバーする184ポンドを計測、ファイトマネーから10万ドルが罰金として差し引かれることになりました。

もう、何といってよいのやら、わかりません。

これがまともなボクシングの試合なら「何度目だ?ジュニアは最低。リングに上がる資格なし。永久追放」と軽蔑するところですが、今回は茶番劇です。

チャベスJr.はこれまでにもドーピングや飲酒運転、体重超過を繰り返してきた、甘やかされて育った35歳。

テキサス州が規定の薬物検査を実施しなかったり、なぜかリングのサイズがルールを逸脱して小さかったり、前日計量の体重超過で試合の契約体重が変更されたり…メキシコの伝説「チャベス」の名前に対する忖度が見え隠れする〝事件〟が数え切れないほど頻発していました。

「七光りに甘えるバカ息子も悪いけど、甘やかす周囲も悪い」ということです。

最近の体重超過ではダニエル・ジェイコブス戦(スーパーミドル級:2019年12月)で、168ポンドのリミットを4.7ポンドも上回り、100万ドルの罰金をかせられています。

これまで、ボクシングと関係のない飲酒運転などの犯罪で徴収されたものまで含めるとチャベスJr.は1000万ドル以上の罰金を支払い続けてきました。日本円で約11億円です。

度重なるドーピングと体重超過から、ネバダ州をはじめ米国の有力州のコミッションがチャベスJr.のライセンスを永久停止。

米国に居場所を失ったチャベスJr.の今回の試合はメキシコ開催となっていましたが、これからのチャベスJr.はexhibition fighterとして生きていくのかもしれません。

ボクシングファンからすると、もうそっち側にいってくれ、という思いですが、すでにそっち側ですね、多分。
 
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【ロイター】パブロ・ピカソの「窓辺に座る女」が、ニューヨークでクリスティーズ・オークションに掛けられ、1億0340万ドル(約113億円)で落札された。予想落札価格の5500万ドルを大きく上回った。

ピカソの愛人マリーテレーズを描いたもので、クリスティーズの担当者は「特に1932年のマリーテレーズの肖像画に対する評価は非常に強まっていた」と高額で落札された背景を語った。

ピカソの作品が1億ドルを上回ったのは、これで5つ目。カリフォルニア州のオンライン参加者が落札したという。
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誰が描いたかによって、作品の芸術性が変わる。そんなバカな話はありません。

ボテボテの内野ゴロでも大谷翔平のバットから放たれた打球ならホームラン、無名の新人選手が場外ホームランをかっ飛ばしてもそれは認められない、というようなことです。

なんて偉そうに言っても、評価するのは、所詮は人間です。 

同じことをしても、好きな人がするのと、気にくわない人がするのでは180度受け止め方が違うのも、人間だもの、です…。

世界評価がまだ定まっていない「もしかしたら強豪」のウーゴ・ルイスに亀田興毅が完勝すると「ウーゴは過大評価」、世界評価が穴王者に転落したウーゴに長谷川穂積がシーソーゲームで辛勝すると「感動の3階級制覇」。

何年もまともな相手から勝利をもぎとることができず、誰の目のもロートルの31歳のアレクサンデル・ムニョスに興毅が完勝すると「老ムニョス」「 素直に歓迎されない」でも、井上尚弥が死闘を演じた8年以上も強豪には勝てないでいた36歳のドネアは「全盛期以上の動きだった」。

もう無茶苦茶です。

ボクシングの世界も、ついにアートの世界に突入しました。 

ボクシングで、5年以上も実戦から離れた今のフロイド・メイウェザーより強いボクサーはいくらでもいるでしょう。

ましてや、ローガン・ポールなんて村田諒太とならミスマッチです。

しかし「メイウェザーvsローガン」は〝ピカソ〟なんです、脳みそ腐ってる米国では。 まー、日本も偉そうなこと言えませんが。

誰が描いたかによって、作品の芸術性が変わる。そんなバカな話はありません。

誰が描いたか?なんて関係ない。

それを、二つの拳で証明してくれたのがマニー・パッキャオでした。

エリートアマやメキシカン、高校◉冠の日本人、 そんな〝誰が描いたか〟が支配する不条理なリングで、ピカソを引き裂いたのがパッキャオです。

そして、「亀田」は圧倒的な実力がなかったがゆえに、メイウェザーのような狡猾なセルフマーケティングとは無縁の、軽率で浅はかなパフォーマンスに踊り、踊らされました。彼らはまさに逆パッキャオであり、逆メイウェザーでした。


それでも「亀田」が現代ボクシングでは考えられない認知度と、あらゆるスポーツを見渡しても卓越した視聴率を稼いだ事実、商業的には大成功者、商業的には正しかったのです。

ここでは、リングの中でのレガシーは一切考慮しません。

そうだとしたら…。彼らは誰に謝罪する必要があるのでしょうか? どうして「しくじり先生」になるのでしょうか?

もちろん、メイウェザーが証明した、人気とは「超嫌悪>>>>>好感>>嫌悪>>>>>>>>無関心」という不等式を、彼らが頭脳的に応用したわけではありません。

信じられないほどの低脳ですが「亀田」はあのやり方でスポーツヒーローになれると真剣に考えていたのです。

しかし、想像を絶するバカだからといって、あそこまで忌み嫌われてしまうのは如何なのものでしょうか?

自分の生活でそんな一家がいたら、距離を置いて積極的に関わらない、無視するだけです。

有名人の不倫も基本同じですが、無視することができない人の方が不気味に映ります。

想像を絶するバカをよってたかって叩きのめす…。それは、むしろ絶対にやってはいけないことです。
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