フシ穴の眼 〜スポーツ疾風怒濤編〜

      Hope Lights Our Way / 希望の道を、つなごう。

カテゴリ: 採点について考える

   
Saturday 7, May 2022
T-Mobile Arena, Las Vegas, Nevada, USA  
Light Heavy Contest, 12 Rounds

WBA World Light Heavy Title

commission:Nevada Athletic Commission
promoter:Eddie Hearn (Matchroom Boxing)
matchmaker:Kevin Rooney Jr
media:DAZN  

私の勝手なスコアでは、8ラウンド終了時点で79-73でロシア人王者。

残りの4ラウンド全てを取られても、ビボルが115-113でリードを守りきって防衛成功というスコアです。

ESPNの実況判定でも79-73でしたが、「公式ジャッジはわからない」と、ビボルが見た目の通りに判定勝ちを収められるかどうかに自信が持てないようでした。 

PUNCHESALVAREZBIVOL
Total landed84152
Total thrown495710
Percent17%21%
Jabs landed1046
Jabs thrown229418
Percent4%11%
Power landed74106
Power thrown266292
Percent28%36%

CompuBoxでは、いぶし銀のロシア人が手数・精度ともにメキシコのスーパースターを大きく上回りました。

さて、ESPNもリング誌も「実際の試合の内容とは違う」と呆れ果てた公式ジャッジのスコアカードです。

結果は三者一致3-0のユナニマス・デジション。しかも、12のラウンド全てで完全一致した〝パーフェクト・ユナニマス〟でした。
canelo-bivol-official-scorecards

普通、パーフェクト・ユナニマスは「誰が見てもこうなる」というラウンド内容であるケースがほとんどです。

確かに、今回はESPNやBoxingScene.comなどが完全一致の118-110(ラウンド10-2)と採点しましたが、異様に映ってしまうのは「115-113」で完全一致だからです。

あの試合が「誰が見ても115-113」でしょうか?

115-113とはラウンドで7-5、最小1ラウンド差のロースコアです。

今回も、ジャッジについてはネバダ州アスレティック・コミッション(NSAC)もWBAも非常に神経質になっていました。

それが、また〝事故判定〟につながりかねないスコアを出してしまいました。

前半4ラウンドがカネロのフルマーク…どこをどう見たらそうなるのでしょうか?

そして、このおぞましい採点がなされたのが左ジャブを溺愛するラスベガスだったという事実まで考えると「115-113」はありえないスコアです。

カネロ陣営がジャッジを買収している…カネロ戦の利益に大きく依存しているNSACがジャッジに含みを持たせている、高額の承認料が見込めるカネロに王座を守ってもらいたいWBAが何らかの根回ししている…。

そんなことは考えられません。

では、なぜ、こんなジャッジが世界中のファンが見守る中で繰り返されるのか?

カネロのホーム(ラスベガス)で行われる試合では、ジャッジ席には異常な空気に包まれ正常な判断が出来なくなる、冗談ではなくそれしか考えられません。

別の見方をすると、異常な空気の中でも正常な判断ができるプロのジャッジがいない、ということです。

すでに何度も触れていますが、デイブ・モレッティのような半世紀近くもジャッジ席に巣食う老人は要らないのです。定年制は今すぐにでも導入すべきです。

厳格な資格試験と更新制度、研修制度の充実が急務ですが、世界的な統括団体がないのですからそんな制度・体制を足並み揃えて進めるなんて不可能です。

それでも、おかしな採点が生み出される原因を理解しておくことは重要です。

無理やり10−9に振り分けなくても良いのに、イーブンをつけたがらない10−10恐怖症。暗愚なジャッジが全体を見渡すことのできないリングサイドの〝壺底〟から判定する、ポジションの問題。資格制度や更新制度がザルの試験体制…。

それにしても、ビボルが勝ったから良かったものの、2つのラウンドが引っくり返っていたら、またラスベガス事故が起きていたところでした…いえいえ、勝ったから良いという問題ではありません。
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▶︎2013年9月14日:MGMグランドガーデンアリーナ WBA/WBCジュニアミドル級戦  ©カネロvsフロイド・メイウェザー

【疑惑の人】CJロス

誰が見てもメイウェザーが7ラウンドは取っていた試合でしたが、114−114のドローと採点。

他のジャッジ2人は117-111、116-112でメイウェザーはマジョリティーデジションで勝利するも、ネバダ州アスレティック・コミッション(NSAC)が聴聞会を開く異例の事態に。

ロスは2012年6月9日のマニー・パッキャオvsティモシー・ブラッドリー初戦でも115-113とスコア、WBOが誤審を認めていた前科持ちでした。

ロスはメイウェザーvsカネロ戦を最後に「ジャッジの世界から身を引く」と自ら引退。





▶︎2014年7月12日:MGMグランドガーデンアリーナ 155ポンド契約12回戦 カネロvsエリスランディ・ララ

【疑惑の人】レビー・マルチネス

ララがゲームをコントロールしたかに見えましたが、2人のジャッジは1ラウンド差の115-113、113-115。しかし、マルチネスは117−111(6ラウンド差)というありえない大差でカネロを支持。




 
▶︎2017年9月16日:T-Mobileアリーナ リング誌/WBA/WBC/IBFミドル級戦 カネロvsゲンナジー・ゴロフキン

【疑惑の人】アンダレイ・バード

TripleGが優勢に進めた内容でした展開でしたが、ジャッジは三者三様のドロー。ただ1人カネロを支持したバードのスコアはまさかの118-110。

バードの目にはTripleGが取ったのはわずか2ラウンド、残りの10ラウンドをカネロが制したと映ったのです。微妙なラウンドを全部カネロに振るとか、そんな次元の話ではありません。常軌を逸しています。




明後日のメガファイトでNSACが指名した3人のジャッジはティム・チーサムデイブ・モレッティスティーブ・ワイスフェルド

3人ともアルバレスの世界戦をジャッジした経験者。

ビボルをマネジメントするバディン・コルニロフは、判定が大きくカネロに寄せられることを心配していないか?と問われ、「この場所(ラスベガス)のカネロの試合でどんな判定があったのかは知っている。それでも我々はジャッジを全面的に信頼して戦う」。
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3. チュウヤ 2022年03月19日 17:40 182.165.202.163
 
あの展開にも関わらずジャッジ2人が1Rを矢吹につけていたらしいです
KOで終わったので関係なかったですが、もし判定になっていたらすっきりしない結果になっていたかもしれませんね・・・



試合が始まる前に亀田興毅は「テレビで見るのと生で見るのは違いますから」と語り、試合中は長谷川穂積が「生で見て、近くでパンチの音とか聞くのと、ここ(少し離れた解説者席)で見るのは違いますから」と、採点の齟齬が生まれる原因について説明しました。

二人の元3階級制覇王者は「オフィシャルが正しい」という大前提に立っていますが、これが大間違いです。

「マニー・パッキャオvsティモシー・ブラッドリー①」や「村田諒太vsアッサン・エンダム①」を明らかな誤審、盗まれた判定とリング誌などメディアはもちろんWBOとWBAまでが断じた根拠は「ジャッジよりもビデオが正しい」という立場からでした。

そんなもん、当たり前です。 

日本で信じられている「テレビ画面と審判席で見るのは違う。審判席の方が正確に試合が見れる」なんて定説は、「経験者が語るのが正しくて、未経験者の見立ては間違い」という馬鹿戯言以上に、愚かな思い込みです。



最初に「寺地vs矢吹」をスコアしたJBCのジャッジが十分な研修プログラムを習得し、実践経験を重ねた「プロ」だと信じて、話を進めます。

まず、ジャッジがどこから見ているか?「平面」で見てみましょう↓。
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四角いリングの三辺に3人しかジャッジがいない。誰にでもわかる理屈です。野球でいうと一塁側にしか線審がいないようなもんです。

初戦と二人のジャッジが同じです。青が矢吹、赤が寺地のスコアです。


▼今日のスコアリング▼
18 Kazunobu Asao 20
19 Hisatoshi Miyazaki 19
19 Masahiro Noda 19
 +++++++++
▼初戦のスコアリング▼
88 Yoshikazu Furuta  83
86 Hisatoshi Miyazaki 85
87 Masahiro Noda  84


この数字だけ見ると、初戦で寺地のジャブではなく、矢吹の攻勢を評価した採点基準を継承している「一貫性」があるように見えますが、試合を見た人はよくわかっているはずです。

今日の再戦、寺地が第1ラウンドからプレスをかけて先に手を出し、矢吹は交代するだけでした。「攻勢を評価する」姿勢だったなら、今日は矢吹に振れなかったはずです。

実は、二人のジャッジには一貫性はありません。

そして、上の「平面」図でジャッジ3人の目から最も遠い、コミッション席側でロープ際の攻防になると、3人ともに「見えない有効打」が簡単に生まれてしまいます。

次に、実際のジャッジの目線から試合がどう見えているのか、を考えます。座っている位置から死角が生じるのは当然ですが、さらにリングの中には〝障害物〟があります。

そうです、レフェリー(主審)です。

 ※以下の写真はリング誌2012年11月号にジョー・コルテスが寄稿した「A Νew Perspective」から。
IMG_6904 (1)
死角①

主審の次に一番近くで見ているジャッジでも、いいえ、だからこそこの角度・視界が当たり前に生じてしまいます。

この視界のジャッジが「有効打が打ち込まれたかどうか」を判断する手がかりは…あってはいけないことですが、観客の声援だけです。

そして、死角の攻防を観客の反応で判断してしまうことが何度も重なると、無意識のうちに観客の声でスコアが揺らぐ癖がついてしまいまうことが、様々な実験検証から明らかになっています。

さらに、さらに。

たとえレフェリーが障害物にならなくても、リングを見上げる位置では↓こんな↓死角も当たり前に生まれます。
IMG_6907
死角②

このあと、どちらかのボクサーの目尻から出血していたら、あなたはそれがパンチかヘッドバット、どちらが原因なのかを判断して採点できないはずですが、ラウンドが終われば採点しなければなりません。

客席やコーナー、リングアナウンサーから「ナイス、アッパー!」という声が耳に入ったら?あるいは「バッティング!」なら?あるいは、その両方が錯綜していたら?


この「ジャッジの死角問題」に、1979年から2012年まで33年間、レフェリーとジャッジを務めたコルテスが提案したのが、テニスの試合で使われているような「チェア席」です。
IMG_6906
ここから見ると死角①はこう↓見えます↓。完全に見えるとは言えませんが、死角①よりは全然マシです。
IMG_6905
そして、死角②は↓こう↓です。この視界なら出血がパンチか頭か、一目瞭然です。
IMG_6908
しかし、コルテス案は闇に葬られます。

ネバダ州アスレティックコミッション(NSAC)は「死角を100%解消することにならないだけでなく、チェア席から見ると新たな死角も生み出してしまうからナンセンス」と一蹴。

しかし、そんな反論に理があるなんて、誰も信じません。 

もちろん、NSACも「死角」については誰よりも真剣に考えています。

ただ、それは「チェア席が障害物となる一番大切な高額席の死角」でした。

本来なら数千ドル、メガファイトなら数万ドルで売れる多くの席の価値が暴落してしまうのですから、NSACはもちろん、プロモーターもテレビ局も、当事者のボクサーまでもが否定的な意見を口にするのは当然でした。

ビッグファイトならたった1試合だけで数万ドル、メイウェザーやパッキャオのメガファイトなら数十万〜数百万ドルが失われるという試算です。ましてや「メイウェザーvsパッキャオ」であんなのを設置したら…。

NSACにとっては、毎試合チェア席が常設されてしまうと、年間損失はそれこそ天文学的数字になってしまいます。

いかにも銭ゲバ米国らしい話で、同じ理由からWBCのオープンスコアリングも大きな試合ではまず採用されません。

公開採点はそもそもあるまじきシステムで、JBCは採用すべきではありません。
STBX
アマチュアボクシングでは「公正」を掲げて早くからコンピュータによるシステムが導入されていますが、それを作り、使うの人間が馬鹿だと全部無駄です。




前置きが長くなりました。

ここまでは「ジャッジが十分な研修プログラムを習得し、実践経験を重ねた〝プロ〟」だとしても、非常に難しい問題が山積している、という話でした。

しかし、ボクシング界に横たわっている問題は、ジャッジを四辺に配置したり、死角を無くせば解決するような生易しいものではありません。

リング誌やESPNなど多くのメディアは、もうずっと昔にその答えに辿り着いています。

「おかしな判定が生まれる最大の原因はジャッジの質の低さ」の一点なのです。

「判断できない微妙なラウンドを無理やり10−9にスコアして、それが積み重なってわけのわからない結果になる馬鹿ジャッジ」。「死角だらけの攻防に歓声でスコアする〝目隠ししても同じ〟馬鹿ジャッジ」。「そもそも速くて高度なパンチ交換を見切れない高齢な、あるいはそもそも未熟な本当ならライセンス返上すべきな馬鹿ジャッジ」。
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野球やサッカーのトップリーグなら研修制度やライセンス更新試験などでふるい落とされるはずの無能なジャッジが、世界最高水準と言われるNSACですら厚かましく仕事を続けているのが、このスポーツの実態です。


このテーマもどこかで書きかけがあったはずですが、何にしても永遠に続きます。何しろ、これからも格好の材料になる試合がいくつも見られることでしょうから。
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ESPNのPFPランキングをご紹介。

7位に付けていたジュニアウェルター級完全統一王者ジョシュ・テイラーが、伏兵ジャック・カテラルに試合を中継したESPNがSDの判定に疑義を突きつけるほどの大苦戦を強いられました。

リング誌の〝密室〟とは違い、会議と投票制のESPNは選考過程も明らかにしてくれることがあります。

今回はテイラーを「格下げ」するのか、それとも「ランクアウト(圏外)に追放するのかで意見が分かれました。

完全統一王者(Undisputed Champion)が圏外追放なら、4団体時代では史上初の珍事でしたが、投票結果は二つ順位を下げて9位に踏みとどまりました。

テイラーのダウンで、ファン・フランシスコ・エストラーダが8位、ワシル・ロマチェンコが7位に浮上。
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1. CANELO ALVAREZ     Previous ranking: No. 1

RECORD: 56-1-2, 38 KOs
DIVISION: Super middleweight (undisputed champion)
LAST FIGHT: W (TKO11) Caleb Plant, Nov. 6
NEXT FIGHT: May 7 vs. Dmitry Bivol


2. TERENCE CRAWFORD     Previous ranking: No. 2

RECORD: 38-0, 29 KOs
DIVISION: Welterweight (champion)
LAST FIGHT: W (TKO10) Shawn Porter, Nov. 20
NEXT FIGHT: TBA


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3. NAOYA INOUE
   Previous ranking: No. 3

RECORD: 21-0, 18 KOs
DIVISION: Bantamweight (unified champion)
LAST FIGHT: W (KO8) Aran Dipaen, Dec. 14
NEXT FIGHT: TBD


4. OLEKSANDR USYK     Previous ranking: No. 4

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RECORD: 19-0, 13 KOs
DIVISION: Heavyweight (unified champion)
LAST FIGHT: W (UD12) Anthony Joshua, Sept. 25
NEXT FIGHT: TBA vs. Anthony Joshua

5. TYSON FURY     Previous ranking: No. 5

RECORD: 31-0-1, 22 KOs
DIVISION: Heavyweight (champion)
LAST FIGHT: W (KO11) Deontay Wilder, Oct. 9
NEXT FIGHT: April 23 vs. Dillian Whyte


6. ERROL SPENCE JR.     Previous ranking: No. 6

RECORD: 27-0, 21 KOs
DIVISION: Welterweight (unified champion)
LAST FIGHT: W (UD12) Danny Garcia, Dec. 5, 2020
NEXT FIGHT: April 16 vs. Yordenis Ugas


7. VASILIY LOMACHENKO     Previous ranking: No. 8
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 RECORD: 16-2, 11 KOs

DIVISION: Lightweight
LAST FIGHT: W (UD12) Richard Commey, Dec. 11
NEXT FIGHT: TBA


8. JUAN FRANCISCO ESTRADA     Previous ranking: No. 9

RECORD: 42-3, 28 KOs
DIVISION: Junior bantamweight (unified champion)
LAST FIGHT: W (SD12) Roman "Chocolatito" Gonzalez, March 13
NEXT FIGHT: TBA


9. JOSH TAYLOR     Previous ranking: No. 7

RECORD: 19-0, 13 KOs
DIVISION: Junior welterweight (undisputed champion)
LAST FIGHT: W (SD12) Jack Catterall, Feb. 26
NEXT FIGHT: TBA


10. GERVONTA DAVIS     Previous ranking: 10

RECORD: 26-0, 24 KOs
DIVISION: Lightweight (titlist)
LAST FIGHT: W (UD12) Isaac Cruz, Dec. 5
NEXT FIGHT: TBA



Winning isn't everything.「勝ちゃあいいってもんじゃない」。その理屈で、ランクダウンしたテイラー。

勝ってランクダウンは、記憶にありません。

となると、思い出すのが2019年11月の井上尚弥vsノニト・ドネア。 こっちも勝利はしたものの予想外の苦戦。それでも井上はランクアップしました。


専門家予想は「ドネアは何ラウンドまで立っていられるか?」。オッズは井上1/25(1.04倍)、ドネア15倍の掛け率も見られ、ミスマッチも超えて、数字上のドネアは咬ませ犬。

そして、今回の「テイラーvsカテラル」は、ミスマッチではありませんでした。

たまアリの激闘は、井上の勝利こそ明白だったものの〝咬ませ犬〟に噛まれてしまった試合でした。 

私は「井上のPFPランキングは下がる」と確信しましたが、リング誌では上がりました。

PFPに、評価基準や整合性を求めるなんて、SF映画に「こんなのありえない」とケチをつけるよりも馬鹿げたことですが、よく考えると妄想だから何でもあり、なんです。

評価基準が無い、んじゃなくて評価基準は無限にあるわけです。

妄想なんだから整合性が無いのが当たり前です。

明確な評価基準や整合性があったらPFPじゃありません。

いろんな価値観が入り乱れるから、PFPは面白いのです。
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冬のオリンピックでジャッジやルールの問題が目立って噴出するのは、今に始まったことではありません。

採点競技が多い大会の宿命です。

試合以前の選手選考でも「瀬古利彦」のソウル1988や、有森裕子のバルセロナ1992などのマラソン、最近でも、2枠の東海地区代表に東海大会で準優勝した聖隷クリストファー高校が選ばれなかったことが大きな波紋を巻き起こしました。

選考や不可解な採点への不満は、その基準が明確でないことだけでなく、主催者や有力選手への忖度が透けて見えたときに爆発します。

ボクシングにおけるカネロ・アルバレスの〝ラスベガス判定〟や〝タイの秤〟に、球技で目につく〝中東の笛〟。

北京の平野歩夢の採点や、高梨沙羅の失格はジャッジの能力不足や、検査方法がブレブレだったことから混乱を招きましたが、スピードスケートショートトラックなどでは〝中華採点〟だという非難が沸き起こっています。

ラスベガスのジャッジがカネロに買収されているとは思えませんし、〝中東の笛〟〝中華採点〟などの地元判定に明白な力が作用しているとは、状況証拠もない段階では考えたくありません。

どんな環境でも公正な判断を下すのがプロのジャッジですが、地元選手への大声援に代表される会場の空気を完全に遮断するのは非常に難しい作業です。

議論を呼ぶスコアが出てしまうのは採点競技の宿命、ボクシングでは採点だけでなくレフェリーストップのタイミングで異論反論が巻き起こることも珍しくありません。
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「平野歩夢の2回目」では、米国メディアが怒りもにじませた異議を爆発させたのに対して、日本の解説陣とメディアの反応は非常に穏やかなもので、「あの採点にも一理ある」というような説明までなされました。

第三国である米国があれほど強い声を上げてるんだから、当事国なら日本はもっと抗議の姿勢を明白にすべきだった、韓国のように、という意見もあります。

個人的には日本の性善説を大前提とした良い意味での寛容さ、悪い意味での曖昧さは嫌いではありません。

マニー・パッキャオは「判定になればあとは神の思し召し。どんな結果であろうと受け入れる」と語り、村田諒太はアッサン・エンダム第1戦で性善説に依拠した「そのスコアもありうる」という潔さを見せました。

パッキャオや村田の姿勢は素晴らしいと思います。

しかし、アジア的な寛容や曖昧が当たり前にまかり通るルールや採点基準、検査体制を野放しにして良いわけがありません。

まずありき、なのは公正明確なルールと採点基準、検査体制です。

平野の言葉が問題解決の道筋を正確に示してくれています。

「スノーボードは幅広くて、色んなスタイルあるからこその魅力、自由さが1つのかっこ良さとしてあるが、それはそれとして切り分けるべき」

「競技の部分では競技の高さ、グラブ、そういうものを(誰がジャッジしても同じように)計れるように整えていくべき。ジャッジの評価は、そういう意味でまだまだちゃんとしていない」。

「選手が最大のリスクを抱えてやっているものに対して、もっと明確でわかりやすい評価基準でジャッジするべき。他の競技のように新しいもの(ビデオやAIなど)の導入も考えていい。大会と大会ではないものきりわけた上で、しっかりするべき時代になってきたんだと思う」。

「競技が終わった瞬間に誰の目にも勝者がわかるのが常識」だという、スポーツの原点を「採点競技だから仕方がない」と諦めてはいけません。

競技を終えたフィギュア選手やボクサー、チームが、心配な顔でスコアが読み上げられたり、出場校発表の知らせを待って、結果が出た瞬間に喜びを爆発させたり、落胆に沈む、なんて不条理な光景はスポーツではありません。

〝採点競技〟でも競技が終わった瞬間に、選手も観客も勝者が誰なのかが確信できなければなりません。そうでなければ、どうしたらそこに辿り着けるのか、どうしたら近づけるのかを追求しなければなりません。
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スノーボード 男子ハーフパイプ決勝。

平昌五輪銀メダルの平野歩夢が1440を3度飛ぶ史上最高難易度の構成を成功、スノーボード日本史上初の金メダルの大偉業を成し遂げました。
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平野は縦3回転・横4回転の超大技「トリプルコーク1440」を五輪史上初めて成功。

競技後のインタビューで平野は「最後の最後で出しきれて、2本目の点数が納得していなかったので、そういう怒りが自分の気持ちの中で、最後の力になったのかなと」とコメントしました。

今大会でショーン・ホワイトが引退とあって、特に米国の報道はスーパースターの話題で持ちきりでしたが、決勝2本目の平野のスコアが2位だったことに批判が巻き起こっています。

「23歳の日本人は2本目、ハーフパイプで最も難しいトリックであるトリプルコークを含む、最高のパフォーマンスを見せたにもかかわらず、豪州のスコット・ジェームズに次ぐ2位のスコアしか与えられなかった。明らかな誤審。ジャッジは何を見ていたのか?」とESPNのコメンテーターやソーシャルメディアの怒りは沸騰、Twitterでは#robbedや#triplegateがトレンドとなりました。

平昌で銅メダル、Xゲームでも5度メダルを獲得しているアリエル・ゴールドもThat is quite possibly the worst judging I’ve ever seen (こんな酷い採点は見たことがない)と非難。

それでも平野は3本目にさらに素晴らしいパフォーマンスを披露、ジャッジをねじ伏せて96.00点をスコア、金メダルを獲得しました。

採点競技に議論を呼ぶスコアは付き物とはいえ…。平野が〝逆転〟したから良かったものの、問題は根深いです。
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繰り返しになりますが、カリフォルニアやニューヨークはもちろん、左ジャブを偏愛するネバダ州でも同じようなスコアリングになったと思います。
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命がけの矢吹正道と、焦りが先走った寺地拳四朗の名勝負でした。

2人とも、今何をしなければならないのかを、正確に実行しました。
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結果も展開も知れ渡っている試合ですが、世界評価も高く、具志堅用高の連続防衛記録更新という悪い意味ではなく非常に保守的でドメスティックな目標を掲げていた寺地拳四朗のキャリア初黒星。

階級最強の呼び声高いWBCジュニアフライ級王者、寺地拳四朗は、これが9度目の防衛戦。リング誌やESPNでもPFP入りが取りざたされる、プライムタイムの29歳。

完全ホームの京都で迎え撃つは、矢吹正道。日本レベルでは強豪ですが、その技術は世界レベルには無いと見られ、試合は「寺地がどう勝つか」が焦点でした。

「最初の4ラウンドでジャッジ2人が矢吹のフルマーク」の公開採点で、寺地が作戦変更せざるをえなかった、寺地永も「悪くてドローと見ていた」という言葉には少し違和感を覚えました。

この4ラウンド、寺地の左ジャブが矢吹をコントロールしていたとは到底見えません。「日本人ジャッジだからジャブを評価しなかった」なんて意見はあきらかにおかしい。

1、2ラウンドは浜田剛史と飯田覚士も一致していたように矢吹です。寺地はバランスを崩す場面が多く、メカニクスは最初から狂ってました。カリフォルニアやニューヨークならもちろん、ラスベガスでも寺地に振れません。

3−4ラウンドは、寺地が左ジャブから立て直しを図りますが、バランスとリズムは狂ったまま。バランスとリズムが欠落してるのは矢吹も同じですが、それが矢吹らしさ。逆に寺地はらしくない。

4ラウンド終了の公開採点は38-38のドローが1人、40-36で矢吹のフルマークが2人。全然、ありうる採点です。

第5ラウンドも寺地のリズムは戻りませんが、強引に手数を増やし、矢吹にオーバーペースの疲れも見えますが懸命に打ち合います。寺地サイドからは取られたと計算しなければないませんが、10-10にスコアすべきラウンド。

第6〜8ラウンド。あの滑らかな寺地のメカ二クスがここまで狂ったままとは。矢吹は懸命に突進するも、空振りが目立ち、これぞ「単なる突進」。右目周りの腫れが目立ちます。

矢吹のエネルギータンクにはもう何も残っていません。試合の趨勢は決まりました。

しかし、8ラウンド終了時点の公開採点は74-78、73-79、75-77。「残り4ラウンドを全てピックアップして三者三様のドロー」(浜田)という厳しいスコアです。

迎えた9ラウンド「倒さなければ勝てない」状況に追い込まれた寺地は当然のスパート。ガス欠の矢吹はボディを叩かれ、完全にグロッキー。ヘッドバットで寺地の猛攻を遮断する矢吹。寺地の顔面は流血で真っ赤に染まります。

「寺地の流血はパンチによるもの」とアナウンスされますが、本当にそうか?(すみません、その後オフィシャルが出てるでしょうがフォローしていません)。

「10−8でもいい」(浜田)という、この試合初めての決定的な3分間でした。

第10ラウンドも寺地がフィニッシュを狙いに、猛攻。弱々しく反撃する矢吹。「ここで返さないと止められますから」(浜田)。

打ち疲れた寺地の顔面に矢吹の必死の左右がヒット。交代してロープを背負う王者に、挑戦者が襲いかかります。

もう限界、一滴のエネルギーも残っていない、そんな状況でも相手が怯んだり、弱気な表情を見せてくれると、体の奥底に隠されていたもう一つのエネルギーのダムが解放されるのです。

「マラソンとボクシングはよく似ている」と語ったのは中山竹通でしたが、まさにそのとおりです。私たちは、この二つのスポーツで、そんなシーンを何度見てきたことでしょうか。

9ラウンドまでのスコアカードは、88-83/86-85/87-84。そして、主審が試合を止めたときの時計は2分59秒。

一番近くで見ていた主審の判断を尊重すべきですが、11ラウンドがあると別の展開があったかもしれません。

矢吹の根性がスリリングなシーソーゲームを演出してくれました。

寺地拳四朗にだって、こんな夜もあります。やれることは全部やりました、さすがです。

矢吹の勝利者インタビュー、最高でした。

「拳四朗を応援してた人には申し訳ない。でも、ときが来たらまた戦います。そのときは両方応援してください」。

こう試合に水を差す意見かもしれませんが、WBCの公開採点は即刻やめるべきです。米国でもその弊害を指摘して、大きな試合ではほとんど採用されません。

この話もリング誌の特集などで取り上げてますが、百害あって一利なし。「あとから採点を書き換えてる」と批判されたWBCが採用した見苦しいシステムですが、逆効果です。というか、もう信用など取り戻せません。
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昨日、いただいたホタテ。ソテーにしていただきます。


寺地が目指したのは、具志堅用高の13連続防衛更新でした。山中慎介や井上尚弥も公言したこともある、最後の国民的ヒーローのボクサーが刻んだ不滅の大記録。

寺地同じ8度防衛の頃の具志堅は堂々たる国民的ヒーローに登り詰め、首相官邸に招かれるなど、王貞治とともに日本スポーツ界を代表する顔でした。

一方の寺地は、テレビ放映もないまま9度目の防衛戦に失敗。

約40年の時間的隔たりがあるとはいえ、同じスポーツとは思えない格差です。
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これは、具志堅と井上や井岡一翔と比較しても、同じ構図です。人気も報酬もこの40年で、ボクシングは地に堕ちました。

「ファイトウィークになってようやく複数立ち上がるオッズ」「リングサイド席がまさかの300ドル」 「観客数発表なし」「ネバダ州アスレティック・コミッションからのファイトマネー発表なし」「米国大手メディアでの報道はなし」…それでも井上の報酬はいつもキレのいい「100万ドル」で「このまま防衛回数を増やしていけば天文学的数字になる」そうです。

もちろん、対戦相手の報酬は発表されません。

「西岡利晃のラスベガス」 も全く同じ、井上は西岡のデジャブです。西岡も全く同じ100万ドルでした。

もう、いい加減にやめましょう。

トップランクと業務提携にあるはずのESPN が「井上なんて全く無名」と書き捨てたのは、放映権料交渉の牽制球でしょう。味方にディスられる、あんな屈辱はありません。

売り出すつもりがない、トップランクとは手を切るべきです。

日本市場の旨味を嗅ぎつけたドン・キングは、大金を用意して競争入札に参加しました。キングですらリスクを冒したんです。

「さいたま」の再現があれば、トップランクと帝拳、大橋との共同興行になるんでしょう。馬鹿らしいにもほどがあります。

井上が米国でPPVメインに乗るとか、1000万ドルファイターになるとか、そんなことがありえないのは過去のバンタム級と、現在のバンタム級(最大のライバル、カシメロのキャリア最高報酬は7万5000ドル、それも1回きり)を見れば、どんな敬虔な信者でも目を覚ますでしょう。

日本の誰も得しません。

もう、いい加減にやめましょう。 
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不可解なスコアカードが生まれる最も大きな原因は、どのラウンドも無理矢理に「10-9」で振り分ける悪しき慣習が定着してしまったからです。

「バルデスvsコンセイサン」で117-110と採点してしまったステファン・ブレアも、二つの過ちを犯してしまったと反省、まず最初に挙げたのが「not to score 10-10 in 2 rounds I felt there was not a clear winner, (明白な差が無いと感じたにもかかわらず2つのラウンドで10−10を付けなかった)」ということでした。

世界中のどのコミッションでも「各ラウンドは独立した単位で判定する」のが基準です。

各ラウンドをバラで考える、というそれ自体が試合の全体像から離れてしまう採点につながるようにも思えますが、すぐに改定されるとは思えないここには触れないでおきましょう。

議論を呼ぶ判定の原因は「ジャッジに10-10を付ける勇気が無い」「10-9の幅が大き過ぎる」という2点に集約されます。

今回の「バルデスvsコンセイサン」は、その典型でした。

ざっくりいうと「明白に5ラウンドを抑えたコンセイサンを、微妙な7ラウンドを拾ったバルデスが上回った」展開です。

そして「各ラウンドは独立した単位(試合)として採点する」とするなら、ドロー試合と同程度の割合で10-10のスコアが出現するはずです。

しかし、そうはなっていません。ドローのラウンドは滅多に見ることができません。

ホセ・スライマン会長(当時)は「微妙なラウンドを振り分けるのがジャッジの仕事。10−10の乱発は実際の試合とは異なる結果を導いてしまう」と今聞くと「はぁ?」という声明を出しました。

安易に10−10、10−9を付けるのは、どちらもおかしな結果を招きます。

現在、ジャッジに「10−10」を付けることを逡巡させているのは、一度このスコアリングをしてしまうと以降のラウンドでより接近した内容になると10−10とつけざるをえない、結果10−10だらけのスコアになる危険を孕んでいるということです。

それが、早いラウンド、例えば1ラウンドで付ける勇気のあるジャッジは、ほとんどいません。

しかし、全く互角だと判断したら何ラウンド目であろうが10−10を付けるべきなのです。10−10だらけのスコア、それが試合の実態を反映しているのなら結構なことです。

例え、それで120−120のドローになったとしても。

「安易に10−10を付ける」のと「安易に10−9を付ける」のは、ジャッジが無能さを映す鏡のようなもので、同根です。

暗愚なホセ・スライマンが「10−9」を奨励したのは「シュガー・レイ・レナードvsロベルト・デュラン第1戦」(1980年7月20日)の採点を受けたものでした。
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この試合の採点は、Raymond Baldeyrou 144-146/Harry Gibbs 144-145/Angelo Poletti 147-148 。2点差が1人、1点差が2人のペーパー上は接戦でした。

デュラン勝利は妥当でしたが、人気者がタイトルを失ったことに納得できない(というポーズを人気者に訴求する)スライマンは「10−10のスコアが多すぎた」と、それぞれ5ラウンド、4ラウンド、そして10ラウンドをイーブンとしたジャッジを批判。

この試合が一つの契機となり、10−9スコアが支配的になります。

本来なら10−10とすべきラウンドが、無能なジャッジが頭の中でサイコロを転がすようにどちらかに振ってしまうようになりました。

そして、無能なジャッジが最も恐れるのは、自分の無能さがばれることです。明らかな「Aサイドにポイントを振れば無難」と考えるのは、無能として自然な思考回路です。

こうした〝10−9支配〟は「ボクシングは10−9を付けなければ ならない」と勘違いしているファンも生み出している有様です。

「浅いラウンドで10−10は付けられない」なんて言うのは「俺、無能」と表明してるのと同じです。 
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左がステファン・ブレアのスコア。

9月10日(金)の夜、アリゾナ州トゥーソンで行われた「オスカー・バルデスvsロブソン・コンセイサン」のジャッジの一人が謝罪する内容が書かれた、WBCからのメールを友人が転送してくれました。

バルデスの試合前検査で減量促進剤であるフェンテルミンの陽性反応が出たというニュースは8月31日に発表され、その後、多くの議論がなされました。

普通に考えると、このイベントからメインのカードを外すか、あるいは30歳のメキシカンのWBOジュニアライト級王座を剥奪し、挑戦者のコンセイサンが勝利した場合は新王者誕生となる…そんな当たり前の裁定が下されると思われました。

The “show must go on”

しかし「ショーは続けなければならない」という考えが試合を決行、バルデスは王者として完全Bサイドのブラジル人との防衛戦を行いました。

挑戦者が前半の大量リードを守って判定をものにしたように見えた試合は115-112、115-112、117-110のユナニマスデジション、王者の防衛を支持したのです。

リング誌は115−112でバルデス、ESPNは114−113でコンセイサンなどクロスゲームであったことは間違いありません。

個人的には明白にコンセイサンと見ました。私の目にそう映ったのは明白に取ったラウンドがコンセイサンの方が明らかに多い、という印象からだったのかもしれません。微妙なラウンドを全て王者に振り、不可解な減点も上乗せすると115-112の「1ラウンド差」のスコアはありです。

しかし、バルデスの117−110勝利と採点したステファン・ブレアは、試合中に夢でも見ていたのでしょう。誰がどう見てもコンセイサンが3ラウンドしか取っていないわけがありません。

以下は、2003年からWBCの試合を審査しているブレアの謝罪と弁解です。

▶︎9月21日に行われた「バルデス対コンセイサン」の採点に関して、公開書簡を書くことにした。

私は30年以上、アマチュアとプロの両方でリングオフィシャルとしてボクシングに携わってきた。日本、タイ、韓国、中国、ロシア、メキシコ、アメリカなど、世界各国で60以上のタイトルマッチをジャッジやレフリーとして裁いてきた。

これまでに200試合以上のジャッジ、500試合以上のレフリーを経験してきたが、今回のような論争を引き起こしたことは一度もない。

私は試合を見直し、徹底的に分析した。

その結果、私が採点した117-110というスコアは正確ではなかったと認めます。

この試合では接戦のラウンドがいくつかありましたが、私は2つのミスを犯しました。

1)明確な勝者がいないと感じた2ラウンドで10-10を採点しなかったこと。2)接戦のラウンドでチャンピオンに有利な採点をしてしまったこと。

バルデスを応援する観客の声が非常に大きかったことに引っ張られてしまったのかもしれません。

私の席からは序盤の攻防を見るには視界が狭く、コンセイサンのパンチが死角になっていた。そして、バルデスがパンチを打ったときとは逆に、観客は静まっていた。

また、バルデスが私の左隣の赤コーナーにいたため、カメラマンが押し寄せてきて何度も接触した。

左隣のカメラマンと右隣のカメラマンに挟まれ、彼らがチャンピオン・コーナーに走るときに、ぶつかったり、足を踏まれたりした。

もちろん、どんな状況下でも、自分の仕事を100%遂行できると思っていたが、それができなかったのかもしれない。

このような理由が複合的に組み合わさって、私は最初の4ラウンドのうち3ラウンドをバルデスに与えました。

あらためてビデオで試合を採点し直すと、115-112、あるいは114-113でバルデスという結果だった。

私は、NABF/WBCリングオフィシャル委員会と連絡を取り、徹底したトレーニングと研修プログラムを受けることを決めた。

このプロセスを完了するまで、私はいかなるチャンピオンシップのジャッジも受けません。

私はボクシングに深い愛情と知識、そして敬意を持つ高潔な人間。ただ、誰にでも過ちがあることを理解して欲しい。

悪い夜を過ごし、注目される試合で不必要な論争を引き起こしてしまったことを謝りたい。

 


ブレアがすぐに過ちを認めて謝罪したことは、評価しなければなりません。

そして、このブログでも繰り返して指摘、今回もブレアが犯したミスの最初に挙げた「1)明確な勝者がいないと感じた2ラウンドで10-10を採点しなかったこと。」は、重大な問題です。

これを機会に「10−10」を付ける勇気を持つジャッジが増えてくれると良いのですが、難しいでしょう。

馬鹿みたいに「10−9」に振り分けてると、今回のように「明白に5ラウンド取ったのに、微妙な7ラウンドを拾われて負ける」というあってはいけない採点が生まれてしまいます。

コンセイサンもWBCに訴え、多くのメディアも「WBCは再戦を命じるべき」と報道しています。

 The “show must go on”

 
それでも「Aサイドのショウは決行しなければならない」のでしょう。

トップランクがBサイドの役割を当てて契約したのは、コンセイサンもわかっていたはずです。

オスカル・バルデスは「ポイント計算をして接戦を引き寄せることが出来る相手ではない」のです。

公正な採点が行われると思ってたとしたら、カネロと戦ったゴロフキン並みのお花畑です。

もう一歩危険を冒してでも、決定的な場面を作らなければなりませんでした。

「そんな馬鹿なことがあるか!」と怒る常識人もいるでしょうが、これがプロボクシングです。 

パッキャオの後を継ぐ、電光石火のBサイド、メキセキューショナーの出現をお祈りして…今夜はおやすみなさいませ。
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