カテゴリ: 採点について考える

Monday, 20 July 2026 - Kokugikan

U-NEXT BOXING.6
commission:Japan Boxing Commission

promoter:Akihiko Honda (Teiken Promotions)

https://boxrec.com/en/box-pro/853769



▶︎WBAバンタム級王者決定戦
増田陸vs比嘉大吾。
増田の勝利が1/5(1.2倍)、比嘉9/2(5.5倍)。


▶︎WBOジュニアバンタム級王者決定戦
寺地拳四朗vsイスラエル・ゴンサレス
実績で上回る34歳の拳四朗が3/10(1.3倍)、バム・ロドリゲスやチョコラティトら超強豪との対戦経験がある29歳のメキシカン3/1(4倍)。


 ▶︎WBCジュニアフライ級王者・岩田翔吉vsエリック・バディージョ。
王者が1/2(1.5倍)、新王者誕生15/8(2.88倍)。






3試合とも番狂せがあるかもと思っていましたが、結果は大方の予想通り。

しかし、最も予想もオッズも明白に増田を支持していた〝日本で好き勝手できる〟バンタム級(軽量級は全て好き勝手できますが…)が議論を呼ぶ判定になったことは、ある意味で〝番狂せ〟だったかもしれません。

比嘉のトレーナー、野木丈司があからさまに採点に不満を示し、ファンの中には〝日本で好き勝手できる〟ではなく〝帝拳が好き勝手できる〟とみた人も少なくなかったようです。

試合はSD、2人のジャッジが117−111で増田、残る1人が115−113で比嘉。

正式ルール(10ポイントマスト)から離れてバカジャッジが事実上ルール化している「10−9マスト」が117−111という「増田が9ラウンドを取った」というスコアになってしまいました。

海外では散見される「10−10」がなぜ日本ではほぼ皆無なのか?議論を呼ぶ判定があった試合を「どっちかに振らなければなりませんからね」なんてどうして専門家や解説者が平気で吐き出してるのか???

議論を呼ぶ判定に、何らかの逃げ道が必要だからか?

もし、海外の趨勢に逆らって「10−9マスト」をルール化するのであれば、JBCはルールブックを書き換えるべきです。


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日本で唯一のボクシング専門月刊誌、ボクシング・ビート。昨年あたりまで定期購読していたのですが、契約期間が切れてそのまま、今は毎月購入しています。

3年購読で20%OFFとなるので、ちょっと損な買い方ですが、なんだかめんどくさくてそのままに。。。

さて、最新7月号の記事「解説者が明かす『採点の難しさ』」について。

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この記事のサブタイトルは「〝この回イーブン〟も許容すべきではー!?」。

驚いたのは、記事の登場した浜田剛史、長谷川穂積、八重樫東、谷口将孝の四氏が「いまの時代は振り分け採点」(長谷川)、「現在はラウンドマスト」(八重樫)、「10−9.8でも10−9にしなければならないから蓋を開けると意外な大差がついてしまう」(谷口)、「迷ったラウンドを10−10とつけられない」(浜田)と、「10−9マストシステム」と勘違いしているんじゃないかという発言が相次いでいることです。

まず、JBCルールでは「互角の場合は10−10」と明記されています。

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採点方法

リングサイドに座った3人のジャッジがラウンドごとに10点満点の減点法で優劣を採点しますが、試合が判定になった場合はこれを集計して ジャッジの2人以上が支持したボクサーが勝者となります。4回戦は40点満点、12回戦は120点満点です。
各ラウンドの採点はですが、互角の場合は10対10、一方が勝っている場合は10対9、一度のダウンやこれに近いグロッギー状態(パンチを受 けてふらふら)のときは10対8、2度のダウンやKO寸前の場合は10対7、3度のダウンは10-6となります。それ以上の差が開いた場合はレフェリーが試合を止めるの で、10対5という採点はありません。
また、10ポイント・マスト・システムというルールがありますが、これは勝っている方に必ず10点を付け、9対9、9対8などという採点はし ないということです。反則による減点は合計点から引きます。

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このブログでも何度も紹介していますが、海外のコミッションを含めて、ほぼ全ての国で採用されているのが10ポイント・マスト・システムであって、ラウンド・マストではありません。

リング誌などのメディアも批判しているように、10−10をつけずに「迷ったラウンド」まで無理やり10−9にしてしまうのがダメ採点。海外でも10−10は珍しいスコアですが、ないわけではありませんが、日本では全く見られません。

「各ラウンドは独立した単位で採点する」のですから、試合の引き分けと同じ頻度で10−10が出現しても良いのに、日本では全く出現せず、おかしな結果を垂れ流してきました。

もしこれが、ファンだけでなく関係者も含めた怠慢な勘違いだとすると「10−10をつけるべき」という海外の意見以前の、もう何だかなぁ…な呆れ果てた問題となります…。




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 今回のW杯で楽しみは、はっきりと「優勝」を口にしたサムライブルーたちの戦いっぷりです。

オランダに食らいついて引き分けに持ち込むのが精一杯の彼らが〝ソレ〟を口にするのですから、身の程知らずというか「あとで後悔するぞ」な発言です。

今までベスト16が最高の日本が、一気に4つもステージを駆け上がろうというのですから。

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前置きが長くなりました。

サムライブルーの活躍、正確にいうと勝ち方だけでなく、敗れることも含めた戦いっぷりがとにかく楽しみです。

そして、ピッチから離れたところでは本田圭佑の解説。

大会参加国の特徴や、選手のキャラクターを詳細に知っているわけではありません。勉強不足の解説者は、普通なら視聴者から嫌悪されるはずですが、本田さんは「ファンダイクって何歳?身長は?」とアナウンサーに躊躇なく聞いてきます。

そして、非常に早い段階から「11番、めっちゃウザい」と的確でわかりやすく指摘。11番がガクポだとわかると「(警戒するのは)1にガクポ、2にガクポ、3にガクポ」とやはり非常にわかりやすく表現。

選手経験者に求められるのは、最低限の知識から豊富なデータを暗記していることではなく、短い時間で戦況を把握する知見と、それをわかりやすく伝える話術です。

最低限の知識や豊富なデータを暗記しているのは、解説の横についたアナウンサーがフォローすれば良いこと。

井上尚弥はラスベガスで戦うラモン・カルデナスとの試合を「今度こそアウエーになるかも」と予想しましたが、米国で全く関心の払われない軽量級、エリック・モラレスじゃあるまいしマニアの間でもほとんど無名のカルデナスに多くのファンがついているわけがありません。

そんなボクヲタなら誰でも知っている常識さえ知らなかった井上ですが「ワンツーだけで世界は獲れる」と言い放ち、基本中の基本であるワンツーについて、「ワンを打たないワンツー」(ワンは打たないがフェイントによってワンの効果を相手に与えている)のように多彩で奥行きがあることをリングの上でわかりやすく説明して見せます。



「日本代表が強くなった理由」を聞かれた本田さんは「これはもう一択ですよ。ネットの普及」と断言。「どんなプレーでも無料で簡単に見られるようになった。要するにコモディティ化した。ヨーロッパのサッカーに毎日触れられる。僕が子供のときでさえTSUTAYAに行って、お金払って借りないとそのプレーに触れられなかった」と、やはりわかりやすく説明してくれました。

「ネットの普及」は、野球でもトレバー・バウアーやダルビッシュ有がボールの握りからリリースポイント、回転数までYouTubeで公開していることで、特に投手が大きな恩恵を受けています。



そして、ユニークな「さん付け」。

 「(久保さんと)東京でばったり会って、話している時、『本田さん、マジで“久保さん”やめてほしいっす』ってなって。そういうふうに言ってくれる人には、呼び捨てで言うのはいいけど、みんながそういう人じゃないからね。オレはまず、一律で、自分と一緒に長い間代表でやっていなかった人には、“さん”をつけるようにはしている。ビジネスの世界では当たり前の話。ビジネスでは、それでお互い違和感は持ってない。サッカー界はちょっと遅れてんのよね。体育会系が過ぎる、というか」 。

本田さんは、14歳年下のMF久保建英に対しては、本人の希望があったため「タケ」と呼ぶが、その他の後輩選手などには基本的に「さん付け」を徹底しています。

もちろん、ビジネスであっても他社との会合で同席した〝自分と一緒に長い間やっている人〟を呼び捨てにしたりすることはなく、誰に対してもさん付けです。〝ビジネスに倣っている〟というなら、本田さんの「さん付け」の理由は成立しません。

とはいえ、そこが本田さんの面白いところです。


本日のチュニジア戦も、どうぞよろしくお願い致します。



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「絶対に無理」。

ほとんどの人がそう信じ込んでいた「絶対に無理」が、現実となって目の前に突きつけられることがあります。

そんな「絶対に無理」にもさまざまな類型があります。

通勤の移動中に書き切れるか?先にお断り。乱文乱筆、失礼します。

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「MLB史上初・10登板 20本塁打 10盗塁」…あのとき、私たちは大谷翔平が「絶対に無理」のはずの偉業をやってのけた!と浅はかにも感動してしまっていました。


真っ先に思い浮かぶのは「大谷翔平」型です。

野茂英雄やイチローのケースもこの類型でした。大谷や野茂の「絶対に無理」の根拠は【前例がない】でした。

野茂の場合は【(日本人として)前例がない】でしたが、多くの人は村上雅則という前例について深く考えることはありませんでした。イチローは【(日本人打者として)前例がない】でしたが、「MLBで通用する日本投手を異次元のレベルで打ち込んでいた」ことを考えると、あの鮮烈なデビューは予測の範囲内でした。

それは、メディアやファンの怠慢でもあり、村上と野茂の間の30年間で「巨人の星」の大リーグボールや「侍ジャイアンツ」のラスボスがMLBの最強打者というフィクション、MLBで通用しなかった外国人が日本で大活躍するノンフィクションを何度も刷り込まれてしまい思考停止に陥っていたからでもありました。

そして、大谷はこの類型を【(人類として)前例がない】の最上級にまで昇華させた点で唯一無二の存在、まさにユニコーンでした。あれは「あらためて考えてもやはり無理、ユニコーンなんて後にも先にもあの一匹だけ」という、思考をやり直す後出しジャンケンですら負ける種類の衝撃でした。だからこそ、野球に馴染みのない欧州のメディアですら「大谷やってのけたことがどれほどすごいかというと…」と説明したくなるのです。


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二つ目は【異業種からの転向】だから「絶対に無理」「ジャンボ尾崎」型です。

最も多くの【異業種からの転向】は、身体能力・フィジカルがより高いレベルで求められるスポーツからゴルフへという〝天下り〟が日本でも世界でも最も多くのサンプルが見られています。もちろん、スポーツの中でゴルフが最も過酷にメンタルが求められるという点では〝天上がり〟と見なせます。

甲子園優勝投手から西鉄ライオンズ入りしたジャンボ尾崎、女子スポーツで屈指のハイレベルだったソフトボールの実業団(大和紡績)でエースで4番だった岡本綾子は圧倒的な身体能力・フィジカルと、鋼のメンタルを併せ持っていたからこそ、プロゴルファーとして大輪の花を咲かせることができたのです。

格闘技でもムエタイやキックボクシング、空手などからのボクシング転向・成功例は数え切れません。

ただ、ジャンボも岡本も20代前半という若さで転向したことも見逃せません。2人ともプロ野球やソフトボールで長い成功キャリアを収めてから転向したわけではありませんでした。格闘技での成功例も、かなり早い段階からボクシングに転向しているケースがほとんどです。

そして、この「ジャンボ尾崎型」にプロゴルファーからプロ野球選手、プロボクサーからキックボクサーという〝逆流〟での成功例はほとんどありません。それは、一旦馴化した環境よりもより強い身体能力・フィジカルが求められる世界に飛び込むことがいかに難しいかという証左です。

私たちが昨日、ギザのピラミッド前で見たリコ・バーホーベンは「ジャンボ尾崎」型で、クリチコ兄弟や那須川天心、武居由樹らと同じ類型でした。

しかし、天心らが経験(試合)と時間をかけてボクシングに順応、段階を踏んでトップ戦線に辿り着いたのに対して、このオランダ人は12年前に全敗のまま引退するボクサーと1試合しただけの実戦経験でいきなり頂上にアタック、しかも37歳という高齢だったことでも異例でした。

ただし、現時点ではオレクサンデル・ウシクにとっての〝スフィンクス・ジンクス〟が引き起こされた最大の原因はバーホーベンの実力ではなく、ウシクの油断や劣化にあったと考えるのが妥当です。その意味で、バーホーベンは2人目のフランシス・ガヌーと推測できます。

もちろん、これは推測。ボクシングへの意欲を燃えたぎらせているリコが〝ガヌー〟なのかどうかの判定は、次の試合まで待たねばなりません。


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そして、マイナースポーツながら【前例がない】【異業種からの転向】を高次元で結晶させたのがマニー・パッキャオです。

野球からゴルフは身体能力・フィジカル面では〝天下り〟でもメンタルでは〝天上がり〟でしたが、ボクシングの軽量級は人気階級と比較して競技レベルでも注目度(=精神的重圧)でも、あらゆる側面で明らかに劣るのが絶対的な事実です。

ボクシングという同じくくくりでも、世界的な注目度や舞台が全く違うことは井上尚弥とデビッド・べナビデスのT−モバイルアリーナを見れば、井上信者ですら現実を受け入れざるを得ません。

軽量級の井上がTモバで無理やりメインを張ることはあっても、まともなやり方でフルハウスにすることはあり得ません。また、カジュアルなボクシングファンは関心がありませんからPPVも付きません。

パッキャオがやってのけたことは、あらゆる意味での〝天上がり〟。「絶対に無理」と思われた下剋上でした。



さて、リコ・バーホーベンが出題した問いには、どんな正解が用意されているのでしょうか?

大谷翔平やマニー・パッキャオの「まさか!ありえない!」なのか?

それとも、「やっぱり、そうか…普通に考えたらそうだよな」なのか?






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10ラウンドまでのスコアは2人のジャッジが95−95のイーブン、残る1人が96−94でリコ・バーホーベンを支持していました。

運命の第11ラウンド、オレクサンデル・ウシクが序盤から狙っていたアッパーカットを繋いで強烈なダウンを奪うと、立ち上がってきたキックボクサーに猛攻、英国リバプールからやって来た主審のマーク・ライソンが試合をストップしました。

タイムキーパーが時計を止めたのは11ラウンド2分59秒。

この試合のジャッジで問題となったのは①主審のストップが終了ゴングの後だったのではないか?、②第10ラウンドまでの30分間は公式採点のような接戦ではなくリコが大きくリードしていたのではないか?という二点。

まず、①について。

ライソンのコールはタイムキーパーの通り、2分59秒で問題はありません。主審が両者の間に割って入ったのは、そのあとでした。

そして、ストップそのものが早すぎたかどうか?あそこで、ライソンが試合を続行させていたなら、すぐにゴングが鳴って37歳のオランダ人は最終ラウンドに進めたはずです。

チャンピオンシップラウドを10−8でウシクが取っていたとすると、最終回は105−103*2/104−104の2−0でウクライナ人がリードする形で迎えていました。深いダメージを負っているように見えた挑戦者が60秒間で超人的な回復を見せ、大逆襲していた可能性も否定できません。

しかし、主審が最終回を許したイフの世界で最も可能性が高い展開はウシクの明白なKOかストップ勝ち、あるいはバーホーベンが根性を見せて終了ゴングまで逃げ込むーーーいずれにしても大番狂せは起こっていなかったでしょう。

そして、ここでもう一つのイフです。第11ラウンド2分59秒で試合を止めなければ、頑健なキックボクサーが判定に持ち込んだ可能性もあったでしょう。もちろん、それでもオフィシャルではダウンを奪い返したとしてもスコアは10ラウンドまでの2者がドローに戻るだけ、残りの1人が指示してくれていてもマジョリティドローで、WBCストラップは12年ぶりにボクシング2戦目を戦ったキックボクサーには渡りませんでした。


ここで、②の「第10ラウンドまでの30分間は公式採点のような接戦ではなくリコが大きくリードしていたのではないか?」。

どんなに微妙なラウンドでも「10−9」に振り分けなければいけないと勘違いしているファンは少なくありませんが、ジャッジも「10−9」を敬遠する傾向が泥沼的に色濃くなっています。「1時間後にあらためて判定したら逆になるかもしれない」と感じるようなラウンドは「10−10」をつけなければ、とんでもなく醜悪な集計が排泄されてしまうことをプロのジャッジなら肝に命じなければいけません。

ところが、メジャースポーツからは信じられないようなジャッジのライセンス試験と、杜撰(というか事実上存在していないコミッションもある)更新試験、研修制度…プロボクシングのジャッジほど低レベルなプロは、他の業界を見渡しても、この世の中で滅多に存在しません。

同じラウンドでも、ジャッジが割れるのは当たり前のように見られます。そして、全くおかしな集計結果を目にした海外メディアは「どうやらジャッジは別の試合を見ていたようだ」「これは重症だ、すぐに目医者に行かないといけない。もう手遅れかもしれないが」という常套句を声に出し、活字にするのです。

しかし、今回の試合でジャッジの見方が分かれたのは2者がウシク、残り1人(パスケル・プロコピオ)がバーホーベンに振った第10ラウンドのたった一つだけでした。プロコピオが他の2人と同じようにウシクを支持していたなら、10ラウンド終了時点の集計は3者とも95−95のイーブンでした。

その意味では、3人のジャッジは「同じ試合を見ていた」ことになります。ESPNも95−95で、ピラミッド前広場で繰り広げられた10ラウンドを互角と見ていました。

一方で、複数の海外メディアのスコアは〝別の試合〟を見ていました。

その一つ、英国ボクシングニューズ誌の採点は10ラウンドまで97−93でオランダ人がリード。ウクライナ人が取ったのは第3、4、10の3つだけ。第11ラウンドを8−10、最終回を9−10で失っていたとしても114ー113で世紀の番狂せが起きていたことになります。

10ラウンドまでを、5つずつ分け合って95−95か、7ラウンド:3ラウンドの97−93か?その差は2ラウンド。

個人的には採点していませんでしたが、残り2つのラウンドを取っても判定になったらウシクは勝てないと見ていました。ウシクとコーナーも同じ見立てだったから、10ラウンドまでフェイントを交えて〝順序立てて〟放っていたアッパーを強引にまとめたのです。その勝負勘と遂行力はさすがでした。

しかし、ボクシング専業のヘビー級ファイターを翻弄してきた変幻自在のフットワークは鈍重で、相手のサイドに回れずに、不用意に正面に立つ、およそウシクらしくない劣悪なパフォーマンスでした。

過去最重量で計量したことも含めて、これがウシクの油断によるものなのか、それとも機動力が生命線のヘビー級にとって39歳という数字は劣化を意味するのか?

あるいは…リコ・バーホーベンという名前の37歳が世界史上最高の天才で、アンソニー・ジョシュアらとも互角以上に戦えるのか?それとも、今回の超大健闘はやはりウシクの油断や劣化が原因で、フランシス・ガヌーと同じように「次戦」で想像以上の脆弱を晒してしまい、幻想は木っ端微塵に打ち砕かれるのか?

…リコ・バーホーベン、もう少し楽しませてくれそうです。





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10ラウンドまでのスコアは2人のジャッジが95−95のイーブン、残る1人が96−94でリコ・バーホーベンを支持していました。

運命の第11ラウンド、オレクサンデル・ウシクが序盤から狙っていたアッパーカットを繋いで強烈なダウンを奪うと、立ち上がってきたキックボクサーに猛攻、英国リバプールからやって来た主審のマーク・ライソンが試合をストップしました。

タイムキーパーが時計を止めたのは11ラウンド2分59秒。

この試合のジャッジで問題となったのは、①主審のストップが終了ゴングの後だったのではないか?、②第10ラウンドまでの30分間は公式採点のような接戦ではなくリコが大きくリードしていたのではないか?という二点に集約されます。

それぞれについて、メディアの意見を交えて考察してみましょう。






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日本時間2月1日、英国ニューキャッスルで行われたIBFジュニアミドル級タイトルマッチ。

挑戦者のジョシュ・ケリーが王者バカラン・ムルタザリエフを2-0のマジョリティ・デジション(115−111/114−113/113−113)で破りました。

115−111/114−113/113−113。この3つのスコアは、何事もなければマークされる数字ではありません。

115−113(取ったラウンド数で7-5)、114−114(6-6)、113-115(7-5)なら見慣れた数字なのですが…。



31歳の挑戦者が第4ラウンドにダウンを奪い、3者とも10−8とスコア。前半戦を優位に戦ったケリーでしたが、第9ラウンドに王者にダウンを奪い返され、このラウンドは3者とも8−10で王者。

最終ラウンドの前、11ラウンドまで積み上げた採点はジョン・バーサイルが105−102でケリーを支持。最終ラウンドをケリーが取ると115-111、ムルタザリエフに取られても114-112。ダウンを無視すると 7-5。違和感を覚えるスコアではありません。

ちなみにバーサイルは12ラウンドを挑戦者に振って115−111。

そして、残る2人、ペイウェイ・カーディニとスティーブ・グレイは104−103と同じスコアで挑戦者を支持。KOやダウンシーンを演出できなければ、ムルタザリエフに勝ちはない数字でしたが、10−9で取るとドローに持ち込めて王者の防衛。

カーディニはその通りに最終回を10−9で王者に振り、113−113のドローと見ました。6-6の114-114から一度ずつダウンを反映したスコアです。

そして、最後の1人、グレイが議論を呼ぶスコアリングをするのです。王者に振ればカーディニと同じく113-113でドロー。この採点ならカーディニとグレイがドローで防衛成功でした。しかし、挑戦者を支持すると114-112、0-2で王座陥落です。

ところが、グレイはそのどちらでもない10-10とスコアしたのです。

カーディニは王者、バーサイルは挑戦者と割れます。さらに、グレイが、10-10を付けたのですから、このラウンドは三者三様、それぞれのジャッジがそれぞれ違う印象を持ったということです。

バーサイルはケリーのスタイルを評価しているので、この10-9もあり得なくはありません。

グレイが10-10をつけるのも理解できますが…。

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ムルタザリエフの代理人はIBFに判定に関して6ページにわたる詳細な要請書を提出しました。

その内容を要約すると「明らかに動きの激しいタイトルマッチの流れの中、最終回で10-10と採点するのはあり得ない」というもの。

このラウンド、個人的には王者の方が優勢。また、試合全般を通しても地元英国の人気者ケリーに偏ったレフェリングにも見えました。33歳のロシア人王者とその陣営が疑心暗鬼になるのは理解できます。



さて、試合を分けたグレイの10-10です。

試合を決する場面で10-10と採点したことが悪い意味で目を引いたのです。

もし、グレイが最終回を10--10ではなく、10-9で挑戦者に振っていたなら、114-112で挑戦者のユナニマス・デジション、3-0勝利となっていました。

もし、そうなっていてもムルタザリエフ陣営は抗議の声を挙げていたでしょうか…?



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 電車で帰るのはめんどくさいな…(本文とは関係ありません)




ボクシングファンの中にも10ポイントマストシステムを「必ず10-9をつけなければならないルール」と間違った思い込みをしている人がいますが、そうではありません。

以下、JBCの「採点方法」からの抜粋です。

***** 各ラウンドの採点はですが、互角の場合は10対10、一方が勝っている場合は10対9、一度のダウンやこれに近いグロッギー状態(パンチを受 けてふらふら)のときは10対8、2度のダウンやKO寸前の場合は10対7、3度のダウンは10-6となります。

それ以上の差が開いた場合はレフェリーが試合を止めるの で、10対5という採点はありません。

 また、10ポイント・マスト・システムというルールがありますが、これは勝っている方に必ず10点を付け、9対9、9対8などという採点はし ないということです。反則による減点は合計点から引きます。 *****



ジャッジが10−10を忌避するから、10−9の振れ幅が限度を超えて大きくなるのです。また、メディアも10ポイント・マスト・システムを「10−9マストシステム」と誤解してしまうようなミスリードをしているのも大きな問題です。


「これは難しいラウンドですな。それでもどちらかに振らんといけませんから、ここは10-9で…」なんてバカなこと言ってはいけません。



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プロボクシングのジャッジはスポーツの中で最も死角が多い審判です。

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わずか6メートル四方のリングの中に2人のファイターと1人のレフェリーが目まぐるしく動き回るーーーレフェリーが壁になって重要な局面が見えない、なんてことは日常茶飯事です。

さらに…。


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①リングは四辺にも関わらずジャッジは三辺だけ。➡︎残る一辺はコミッション席。スーパーバイザーやリングドクター、タイムキーパー、リングアナウンサーが待機しています。

「3/4しか判定していない」と言われても返す言葉もありません。


②ジャッジはリングを見上げるように展開を見るので死角が多く発生します。➡︎理想はテニスの審判のようなハイチェアを三辺(四辺?)に配することですが、テニスコートよりも遥かに狭いリングが観客席からよく見えなくなってしまいます。

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③ジャッジの教育・研修体制は各国(米国なら各州コミッション)によってまちまち。➡︎プロボクシングのジャッジよりもお粗末な資格試験、研修体制はまずお目にかかれません。定期的なチェックで劣化ジャッジのライセンスを停止するなんてことも聞いたことがありません。


④何台ものカメラがとらえるテレビ画面、インタバルで映されるスロービデオを見ているファンの座るソファが最上の席。


選手の血と汗が降りかかり、打撃音がはっきり聞こえるジャッジ席はリングサイドS席よりも臨場感が楽しめる空間ですが、試合を正確にスコアするにはテレビに大きく劣ります。

そして、⑤〝10-9マストシステム〟の呪縛です。


ボクシングにおいて、テレビを見たファンが首を傾げる判定が多いのは当然のことなのです。








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今回のトリプル・タイトル戦(ESPNなどのメディアにならってアルファベット団体のタイトルは「世界」とは呼びません)で勝ち残ったのは、堤聖也のみ。


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岩手日報特別版。岩手の誇りは、不死鳥と呼ばれる岩手の誇りは八重樫東だけなんだぜ。大谷翔平じゃないんだぜ。


「八重樫東に並ぶ激闘王」という声も聞こえてきますが、そのスタイルは真逆。

八重樫が自分のプライドだけを背負った激闘王だったのに対して、堤は重い荷物を担いでリングに上がる激闘王。

もちろん、八重樫も私たちに見えない重い荷物を背負っていたのかもしれません。

そして、堤が背負っている荷物は…私たちの目に見えていたから、そう思えたのかもしれません。

いかん。。。薄暗い地下酒場で書いてると話が横道にそれちまう。

昨夜のSD2試合。

SDにもかかわらず、2試合とも「117−111」というSDにもつれないはずのスコアがまぎれこみました。

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いやあ、浜田さんのスコアはいいですねぇ。

この二つの117−111をスコアしたのは、いずれもポーランド人のレスゼク・ヤンコビアクさん。

ポーランド人のこのスコア、どう思いますか?

個人的には「アリ」です。





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「本当なら中立の米国でやりたいが、私も井上も大きな需要がない。米国と日本では興業規模が全く違ってくるから、日本でやるのは仕方がない」。

ノニト・ドネアが井上尚弥と試合前にこぼした愚痴です。

昨夜、ドネアは堤聖也に敗れて日本での試合は3連敗。

判定はSD。
115―113と117―111で2人が堤、残る1人は116-112でドネアを支持しました。

トレーナー兼マネジャーのレイチェル夫人は「フェアにしっかり採点をできていないのであれば、きょうに関して言うと私たちに対するリスペクトが足りなかった」と、不満をあらわに。

レイチェルは「堤は要所でパンチを当てていたが、自分たちのジャブ、そしてパンチの数が多く当たっている」と主張しました。

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「堤の辛勝」という大枠の採点は大きな間違いではないでしょう。もちろん「ドネアの辛勝」もあり。

しかし、堤の117-111(ラウンドで9-3)と、ドネアの116-112(8-4)という明白な勝敗は同じ試合を真逆に採点したとも受け取れます。

拮抗したラウンドを無理やり10-9に振って、それが偏ると試合内容の実態からかけ離れた採点結果に行き着くことは珍しいことではありません。

それより遥かに珍しいのは「10-10」のスコアリングです。


勘違いされることの多い「テンポイント・マストシステム」は、減点など特殊事情がない限り、どちらかに10点を付ける、あるいはどちらにも10点を付ける採点法です。

「微妙なラウンドでも10-9に振らなければならない」というわけではありません。

「各ラウンドは独立した単位で採点する」 という原則に照らすと、引き分け試合の割合と同じくらいの頻度で10-10がスコアされるはずですが、現実に10-10のスコアは滅多にお目にかかれません。

微妙な10-9のスコアは同じジャッジが明日見たら逆転するような競ったラウンドから、一方の選手が明白に主導権を握った展開まで非常に幅が広いことから、試合の実態から大きく離れた採点結果につながる原因になっています。



1980年代初め頃まで、微妙なラウンドは当たり前に10-10と振られていました。

ところが今では、どちらにも振りにくい微妙なラウンドでも10-9に振らなければならない「10-9マストシステム」が存在するかのように一部のファンが勘違いするほど10-10が珍しくなってしまいました。

10-10を避けるようになったのは、80年代から徐々にではなく、1980年6月20日にカナダ・モントリオールで行われたたった一つの試合「シュガー・レイ・レナードvsロベルト・デュラン」のメガファイトが起因しています。

45年も前の呪縛は、緩むどころかますます強く締められているように思えるのは気のせいでしょうか…?


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