私の勝手なスコアでは、8ラウンド終了時点で79-73でロシア人王者。
残りの4ラウンド全てを取られても、ビボルが115-113でリードを守りきって防衛成功というスコアです。
ESPNの実況判定でも79-73でしたが、「公式ジャッジはわからない」と、ビボルが見た目の通りに判定勝ちを収められるかどうかに自信が持てないようでした。
PUNCHES | ALVAREZ | BIVOL |
---|---|---|
Total landed | 84 | 152 |
Total thrown | 495 | 710 |
Percent | 17% | 21% |
Jabs landed | 10 | 46 |
Jabs thrown | 229 | 418 |
Percent | 4% | 11% |
Power landed | 74 | 106 |
Power thrown | 266 | 292 |
Percent | 28% | 36% |
CompuBoxでは、いぶし銀のロシア人が手数・精度ともにメキシコのスーパースターを大きく上回りました。
さて、ESPNもリング誌も「実際の試合の内容とは違う」と呆れ果てた公式ジャッジのスコアカードです。
普通、パーフェクト・ユナニマスは「誰が見てもこうなる」というラウンド内容であるケースがほとんどです。
確かに、今回はESPNやBoxingScene.comなどが完全一致の118-110(ラウンド10-2)と採点しましたが、異様に映ってしまうのは「115-113」で完全一致だからです。
あの試合が「誰が見ても115-113」でしょうか?
115-113とはラウンドで7-5、最小1ラウンド差のロースコアです。
今回も、ジャッジについてはネバダ州アスレティック・コミッション(NSAC)もWBAも非常に神経質になっていました。
それが、また〝事故判定〟につながりかねないスコアを出してしまいました。
前半4ラウンドがカネロのフルマーク…どこをどう見たらそうなるのでしょうか?
そして、このおぞましい採点がなされたのが左ジャブを溺愛するラスベガスだったという事実まで考えると「115-113」はありえないスコアです。
カネロ陣営がジャッジを買収している…カネロ戦の利益に大きく依存しているNSACがジャッジに含みを持たせている、高額の承認料が見込めるカネロに王座を守ってもらいたいWBAが何らかの根回ししている…。
そんなことは考えられません。
では、なぜ、こんなジャッジが世界中のファンが見守る中で繰り返されるのか?
カネロのホーム(ラスベガス)で行われる試合では、ジャッジ席には異常な空気に包まれ正常な判断が出来なくなる、冗談ではなくそれしか考えられません。
別の見方をすると、異常な空気の中でも正常な判断ができるプロのジャッジがいない、ということです。
すでに何度も触れていますが、デイブ・モレッティのような半世紀近くもジャッジ席に巣食う老人は要らないのです。定年制は今すぐにでも導入すべきです。
厳格な資格試験と更新制度、研修制度の充実が急務ですが、世界的な統括団体がないのですからそんな制度・体制を足並み揃えて進めるなんて不可能です。
それでも、おかしな採点が生み出される原因を理解しておくことは重要です。
無理やり10−9に振り分けなくても良いのに、イーブンをつけたがらない10−10恐怖症。暗愚なジャッジが全体を見渡すことのできないリングサイドの〝壺底〟から判定する、ポジションの問題。資格制度や更新制度がザルの試験体制…。
それにしても、ビボルが勝ったから良かったものの、2つのラウンドが引っくり返っていたら、またラスベガス事故が起きていたところでした…いえいえ、勝ったから良いという問題ではありません。