フシ穴の眼 〜スポーツ疾風怒濤編〜

      Hope Lights Our Way / 希望の道を、つなごう。

カテゴリ: 日本でも馴染深い拳闘家達の生き様

今年は日本人が絡むことがなかった年間各賞。

それでもリング誌のCOMEBACK OF THE YEARは、日本のボクシングファンにとって馴染み深い顔が揃いました。

COMEBACK OF THE YEARに選ばれたのはキコ・マルチネス。

スペインの突貫ファイターが、長谷川穂積に募らせていたボクシングファンの夢を完全に打ち砕いたのは2014年4月のことでした。

長谷川戦と同じように、2021年11月13日も戦前の主役はIBFフェザー級王者のキッド・ガラハド

ガラハドは、カタールで生まれ湾岸戦争から逃げるように家族で英国に流れ着きました。

ナジーム・ハメドの導きによって、ウィンコバンク・ジムでドミニク・イングルの薫陶を受け、世界王者に辿り着いたガラハドはメディア受けするエピソードの宝箱のようなボクサーでした。

そのガラハドが〝聖地〟シェフィールドで初防衛戦を迎えるのです。

対するマルチネスは長谷川に大番狂わせ(実際には長谷川が過大評価されていただけでした)を起こした後は、カール・フランプトンにあっさり王座を明け渡し、スコット・クイッグ、レオ・サンタクルス、ジョシュ・ウォリントン、ゲイリー・ラッセルJr.らに予定どおりに完敗してきた35歳。

マルチネスは42勝30KO10敗2分。54試合のキャリアで消耗劣化した不細工なファイターは、完全なアンダードッグ、咬ませ犬の匂いすら漂っていました。

主役のガラハドが減量に苦しんでいるという噂どおりに、前日計量を1度失敗しても圧倒的有利のオッズや予想は変わらず。
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フランシスコ"キコ"マルティネスにとって、ガタガタと地響きのするような列車の音が王者の道への序曲だった。

「私バックパックを背負って一人でアメリカまで来た。これが私の最後の列車だとわかっていたので、絶対に勝たなければならなかった」。

キコは、2013年にアトランティックシティでコロンビアのジョナサン "モモ "ロメロと対戦し、IBFジュニア・フェザー級のベルトを奪取した。

そして、日本からビッグマネーのオファーが届く。「長谷川陣営が私を楽な相手だと勘違いしていたのはわかっていた。ただ、私が長谷川が防御に甘く非常に打たれ弱いと思ってたのは勘違いではなかった」という通りの試合で、日本のエースを粉砕しました。 



その後、フランプトンにタイトルを奪われてから7年。

同郷のヒーロー、ハビエル・カスティジェホの2階級制覇に匹敵する偉業を達成し、世界に衝撃を与え、カムバック・オブ・ザ・イヤーに輝きます。 

今年はサンドル・マーティン(4階級制覇王者マイキー・ガルシアに判定勝ち)も番狂わせの雄叫びをあげました。

スペインは気骨のあるファイターを生み続けていますが、大きな業績を上げることは出来ていません。



いつも、あと一押しが足りませんでした。

そして、キコの初防衛戦が3月26日、ジョシュ・ウォリントンに決まりました。

「あと一押し」には、十分すぎる相手です。 


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リング誌COMEBACK OF THE YEARのRUNNERS UP(次点)は「Nonito Donaire KO 4 Nordine Oubaali」と「Jonathan Gonzalez SD 12 Elwin Soto 」。

ドネアもジョナサンも日本のボクシングファンにはお馴染み。

ドネアは2018年にバンタム級に戻ってから、4勝4KO1敗。唯一の黒星も戦前の予想を大きく裏切る大健闘で井上尚弥を苦しめました。

COMEBACK OF THE YEARの候補になるのは遅すぎるタイミングでしたが、30代後半という年齢に、ジュニアフェザーとフェザーで迷い込んだ長い低迷の期間から、現在のドネアの実力を誰も正確に測ることができなかったのです。

しかし、もう疑いようがありません。

ドネアはCOMEBACK しました。誰がどう見ても井上にとってバンタム級最強の相手は、39歳のフィリピーノ・フラッシュです。

 
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キコ〝La Sensacion〟マルチネスが圧倒的不利の予想を覆して、英国シェフィールドで大番狂わせを起こしました。

IBF世界フェザー級王者キッド・ギャラハーvsキコ・マルチネス12回戦。

ボクシングマガジンは「ガラハド」、ビートでは「ギャラード」と表記され、米国では「ギャラヘド」と発音されるKid Galahadは特別な物語を持つ31歳の世界王者。ここでは地元英国の「ギャラハー」に統一します。

そして、特別なものは何も持たないがゆえに、世界中をアンダードッグとして漂流してきたマルチネスは、42勝29KO10敗2分の傷だらけの戦績を繋いできた35歳。

https://www.dazn.com/en-GB/news/boxing/kid-galahad-vs-kiko-martinez-live-updates-results-and-highlights-from-sheffield/y7jipc8awq4y1wzsdr79ejuj9


英国ヨークシャーはシェフィールド。この町の名前を聞いてSteel City(鉄鋼の町)やサッカークラブ発祥の地だと連想する人は、ボクシングファンではありません。

ボクシングファンがシェフィールドと聞いてまず思い浮かべるのは、ブレンダン・イングルです。

そして彼の薫陶を受けたエロール・グラハム、ジョニー・ネルソン、ナジーム・ハメド、ジュニア・ウイッター、ケル・ブルック、ビリー・ジョー・サンダース…個性的な世界王者たちです。

そして、ギャラハーは偉大なブレンダンが送り出した最後の世界王者。

イエメン人の両親が移住したシェフィールド、鉄鋼産業が廃れた町は錆び付いて、ギャラハーも「俺の人生なんてどうせろくなもんじゃねぇ」と自暴自棄になるしかない素行の悪い少年の一人でした。

12歳のとき、母親に無理矢理に連れて行かれたモスクで運命的な出会いがありました。札つきの不良少年に一人の小男が近づき、こう囁いたのです。

「聖トーマス教会に行け」。

イスラムのモスクで、キリスト教の教会に行けと言われたのですから、凶悪な不良少年でもあっけにとられたのは当然です。

そして、その小さな男が地元の有名人であったことも「どうしてあの人が俺なんかに声をかけてくれたんだろう?」と、ギャラハーは不思議な気持ちになりました。

聖トーマス教会。見かけはどこにでもある教会ですが、ボクシングファンにとっては世界で最も有名なジムを内蔵する〝聖地〟です。

そう、言わずと知れたブレンダン・イングルのジムです。

そして、声をかけてきた男はナジーム・ハメドでした。

あのとき、運命の歯車がゴトンッと音を立てて、確かに回り始めました。

喧嘩ばかりしていた少年は、自分にボクシングができるかどうか不安でしたが、偉大なブレンダンの前でも虚勢を張ってしまいます。

「世界チャンピオンになりたい」。

ブレンダンは彼の目を真っ直ぐに見つめて「お前ならなれる」と答えてくれました。

ブレンダンの弟子たちのほとんどがそうだったように、ギャラハーが世界王者になれるなんて誰も考えていませんでした。

しかし、ブレンダンは最後までギャラハーを信じ抜いてくれました。

ギャラハーは「自信がないのは変わらなかったけど、ブレンダンは私を信じてくれた初めての大人だった。この人だけは裏切れない、絶対に裏切っちゃいけないと死に物狂いで練習した」と振り返ります。

ブレンダンの健康状態が芳しくないことを知ったギャラハーは「早く世界王者のベルトを見せなければならない」と、デビューから無敗の快進撃を続けて世界挑戦をアピールします。

しかし、2018年5月25日にブレンダンは天国に招かれます。

恩人の訃報に、元不良少年は「間に合わなかった」と一晩中泣き通しました。

翌年、ジョシュ・ウォリントンのIBFフェザー級王座への挑戦は惜敗しますが、今年8月7日にジェームス・ディケンズを切り刻み11ラウンドストップ勝ち、ついにIBFフェザー級のストラップを掴み取ります。

IBFフェザー級、ハメドも保持していたタイトルです。

「ハメドが声をかけてくれなかったら、ブレンダンが信じてくれなかったら、私は牢屋の中で死んでいた」。ギャラハーは「このベルトをブレンダンに捧げる」と両手に持ったチャンピオンベルトを天に向かって突き上げました。


「伝説のブレンダン・イングルが育てた最後の傑作はハメドの後継者」。


英国のファンとメディアにとって、最高の物語が始まった、そのはずでした。

今日未明に地元シェフィールドでゴングが打ち鳴らされた初防衛戦。相手はスター選手の踏み台、咬ませ犬と言っても良いキコ・マルチネス。

ブレンダンの教え子は3ラウンドにロートルのスペイン人の右目上を切り裂き、物語を順調に進めます。

5ラウンド2分45秒までは、何もかもが台本通りでした。しかし…。

マルチネスの大振りの右フックを顎に直撃されたギャラハーは背中からキャンバスに叩きつけられます。

なんとか立ち上がった王者ですが、テンカウントが過ぎてもファイティングポーズがとれないほどのダメージ。地元でなければKO負けです。

このラウンドはゴングに救われますが、深いダメージは回復しません。

第6ラウンド開始早々に、同じ右フックが王者の顎にヒット、英国人は棒のように硬直したままやはり背中からダウン。

両目を見開いたまま失神したギャラハーを見たスティーブ・グレイ主審はノーカウントで試合を終わらせました。

 Tear up the script!台本が引き裂かれてしまった!

「信じられない。また英国ボクシング界に悪夢が起きた」。

英国メディアは頭を抱えていますが、これは悪夢ではありません。

リングの上では、悪夢などが付け入る隙はありません。リングの上にあるのは、常に現実だけです。

即席のスターを安易に作りたがる英国が、普通にしっぺ返しを受けただけです。

ジェフリー・マセブラ、長谷川穂積に続く3度目の大番狂わせもノックアウトで飾った〝La Sensacion〟マルキネスは2階級制覇、7年ぶりの世界王座返り咲き。

マッチルームとギャラハーは再戦条項を行使して、雪辱を果たすでしょう。そう、台本通りに。しかし、その台本は、昨日までのものとは違います。

キッド・ギャラハーの線路は、大きく脱線しました。 


“It may be a surprise for everyone else but not for me,” said an elated Martinez (43-10-2, 20 KOs) during his post-fight interview with DAZN. “For the last three years I’ve been living like a monk. I’ve had no holidays, no time with my family, no days off, I’ve been working 365 days a year.”

マルチネスは意気軒昂に巻くしたてました。「みんな驚いてるだろうが、全部予定通り、驚きでもなんでもない。この3年間、修行僧のような生活を、家族と団欒することも1日の休みもなく続けてきたんだ。全ては今日のために! 」。
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日本時間10月16日、パナマシティ。

アンセルモ・モレノvsバルベルト・ラモス

2014年9月、ファン・カルロス・パヤノに大番狂わせの負傷判定負けに沈み、WBAタイトルの13度目の防衛戦に失敗したパナマの亡霊。

ジュニアフェザー級への転向を表明しますが、WBC王者・山中慎介のオファーから届き、バンタム残留を決断しました。

パヤノ戦までPFPにリストアップされ、王座陥落後もリング誌バンタム級3位に踏みとどまっていたパナマ人から薄氷の勝利をもぎとった山中はリング誌のタイトルと、日本人初のPFPファイターの座を手に入れることになります。

パヤノに敗れてから7年、9試合。最初の5試合を1勝4敗でのたうち回ったあと、復活の4連勝。WBAラテンのフェザー級王者に就いていました。

土曜日の試合は計量オーバーのラモスを、わずか1ラウンドでノックアウト!

それにしても、ラモスはボクサーとは思えない腹回りです…。

相変わらず捕らえどころのないサウスポーは、右フックを引っ掛けて最初のダウンを奪うと、フィニッシュもカウンターの右。
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https://www.tvmax-9.com/boxeo/Anselmo-Chemito-Moreno-Walberto-Ramos-video_0_5968653089.html

7年前…鈍重なパヤノに押されっぱなしだったモレノは「引退すべき」と言われましたが、あのときでまだ29歳。今だって〝まだ〟36歳です。

まだまだやれるでしょう。

なにしろ、ヤツは亡霊ですから!

応援するしかありません。ジュニアフェザーをスキップした2階級制覇を目指せ!


この興行には、ジェスレル・コラレスも登場。山中はモレノに勝ってリング誌タイトルとPFPを獲得しましたが、内山高志はコラレスに負けて世界タイトルとPFPランキングから追われてしまいました。

そんな、日本人との絡みも深い2人がパナマシティで揃い踏み。

自己管理の甘いコラレスは純粋に応援しにくいファイターですが、今回は136.5ポンド契約。3連敗中のヘスス・ブレイボにダウン応酬の末に98-90*3のユナニマスで判定勝ちをおさめました。

これで直近6試合の星勘定を3勝3敗に戻したコラレスはまだ30歳ですが、今日の動きを見ると世界戦線浮上は厳しそうです。
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憶測でものを言ってはいけません。

パッキャオの8階級制覇なんてありえない、ドーピングに決まってる…なんて典型です。一度でも検査に引っかかってたのならまだしも。



それでも、ときには憶測でものを言いたくなるときもあります。「ラスベガス20億円」とかの妄想大好きなネットの方々は、そういう憶測は出来ないようですが。



2018年5月25日、大田区総合体育館。もう3年前になります。

前日計量で自力で上着を着ることもできないほど弱っていたあなたは、きっと「体重超過でタイトル剥奪でいい」と主張したでしょう。

英国がボクシング黄金期を迎えていたにもかかわらず、ドサ回りを強いられていた人気の無いあなた。

それなのに、なぜかエディ・ハーンが日本に乗り込んでいました。

実はマクドネルを見込んでいた…なんてわけはなく、マッチルームの日本戦略への営業活動でした。

つまり、マクドネルは日本への贈答品。ネリ問題の直後ということもあり、粗相は許されません。

前日計量に向かったマクドネルのホテルの部屋は水びたし、血痕も残っていたと言います。

もしも、あの公式計量の現場にマーガレット・グッドマンがいたら、試合は即刻中止だったでしょう。

いや、グッドマンじゃなくても…。

ハーンが信じられないのは今に始まったことではありませんが、JBCがまともな統括機関でないことも今に始まったことではありません。

「前夜何があったのか?あんな過酷なことに耐えられたジェイミーを誇りに思う」と、涙ながらに白々しく語ったハーン。奴らは、傘下のボクサーに何を強いたのでしょうか?

全ては憶測ですが、下剤を大量に服用し、血も抜いたと考えられます。計量時に自力で着席も立ち上がりもできず、老人のように水気も生気もなかった理由は他に何が考えられるでしょうか?

もちろん、井上には何の瑕疵もありません。危篤状態の重病人を叩きのめすことになった彼は、むしろ被害者です。

そして、あの夜のマクドネルなら井上でなくても簡単に粉砕できたでしょう。
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オンライン飲み会。規制の無い岩手やら静岡やら山口やらのバカどもが居酒屋からの参加。

それに負けじと、お世話になってるお寿司やさんで「普段は出さない本マグロの腹身」「昆布じめ鯛」「生で売れなくなって冷凍したホタルイカ解凍」を一挙格安購入。そして、キンミヤ梅割。このフシ穴特製ランチョンマットは奴らに見えないというのもウフフな感じです。「これ誰?」とか言われたらめんどくさいですから。


ジェイミーがインスタで引退を発表しました。

井上との対戦時にフジテレビが掲げた「10年無敗の絶対王者」は35歳、超軽量級の選手として14年のキャリアは十分に長く、立派な歴史でした。

人気の無い階級とはいえ、英国でボクシング人気が沸騰する時代に恵まれましたが、クリス・エドワーズとのホープ対決に敗れ、直後にリー・ハスキンスにも負け、プロモーターが推すタレントではなくなりました。

それでも、世界戦線でスチュアート・ホール、フリオ・セハ、亀田和毅、リボリオ・ソリスとの戦いを勝ち抜きました。

リング誌でも評価の高かった初戦時31戦無敗の和毅とは再戦でも明白なアンダードッグ。しかし2戦連続で、番狂わせを起こしました。

そして、日本のファンには、井上戦で何もできずに1ラウンドで屠られた姿が印象に残っているでしょう。
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「35歳。今からリングでやり直すには年をとり過ぎました」。

「 私はボクサーになる前に思い描いた夢を一つずつ、最後まで叶えることができました。英国王者、英連邦王者、欧州王者、IBF世界王者、WBA(セカンド)王者。いくつもベルトを巻いて素晴らしい相手と戦うことができました」。

「母国では人気がなかったのかもしれないけど、おかげで米国や日本というもっと大きな舞台を経験できました。世界を旅して戦うことは素晴らしい経験でした」。


“I can truly say I have had a blast and lived the life!”


素晴らしいボクシング人生だった!本当に充実してた!これが今の気持ちの全てです!

母国がボクシング人気に沸く中でのサーカスライフは複雑だったでしょう。

そして世界王者になってもシュガー・レイ・レナードを知らなかった!ドンカスターの純朴。

間違いなく第二の人生でも成功するでしょう。

ありがとう、ジェイミー。
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フェリックス・ベルデホがプエルトリコで地元警察の取り調べを受けたと報じられました。

 警察は「27歳女性ケイシュラ・マーレン・ロドリゲス・オルティスの失踪事件についての参考人」「現時点では容疑者とは特定していない」としていますが、ベルデホは参考人としての事情聴取を拒否しているそうです。

ロドリゲスの家族によると、彼女がベルデホの子供を妊娠していたということです。
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心配してたところ、トップランクがつい先ほど声明を発表。

「トップランクの祈りは、ケイシュラ・マーレン・ロドリゲス・オルティスの家族と友人、そして 哀悼の意にある(in mourning)すべての人々に向けられている」と声明を発表しました。

in mourningは「哀悼の意を表している人」ではなく「喪に服している」と訳す方が一般的ですが…。事件はすでに最悪の結果を迎えているのでしょうか。

勝手な言い分ですが、やっぱり中谷正義に負けたことでベルデホには思い入れも湧いています。立ち上がって復活して欲しいしと願っています。

ボクシング大国の期待のホープが…ケイシュラさんが無事に発見・保護されて、何かの間違いであって欲しいです。 
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昔、むかし。小さな森に一匹のキツネが棲んでいました。

キツネは昆虫や、ネズミ、リスを虐めて「我こそは無敗の森の王様」と宣言します。

ある日、ネズミが訊きました。

「キツネさんがやってることは弱いもの虐めだ。山脈にいるオオカミやクマには負けるから、食べ物が少ない小さな森でガリガリに痩せながら無敗だと威張ってるだけじゃないか」。

キツネはコンコンと笑います。

「そりゃあ私にはオオカミの牙やクマの爪はないからね。でも、想像力を働かせてご覧。すばしっこい私にオオカミの鋭い牙と、クマの大きな爪があったなら今頃、山も海も私のものだよ」。

ネズミは反論します。

「それなら、キツネさんよりも私の方がすばしっこいよ。私がクマなら、私が無敗の王様だ。負ける相手と戦わなければ誰だって無敗だし、強い相手の土俵に上がらずに〝都合の良い想像〟の世界で最強だなんて言っても、それは詭弁だよ」。

キツネの目の色が変わっても、ネズミは畳み掛けてしまいます。

「本当に強いなら山脈に入ってオオカミやクマを倒せばいいんだ。それが出来ないから、この痩せた小さな森で威張ってるだけじゃ…」。

ネズミが最後まで言い終わる前に、キツネはネズミを捕まえると言いました。

「その通りだよ。私は負ける相手とは戦わない。深い山や海の方が美味しい食べ物がいっばいあるのは知ってるさ。でも、そんな競争の激しいところに行ったら私なんて埋もれてしまうだけ、ただの餌にされるだけなんだよ。こんなふうにね」。

キツネはネズミを一飲みにすると言いました。「また無敗の記録が伸びちゃったよ」。

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今夜から始まるのは「王者のまま引退」だけでなく「無敗」までセットにしたボクサーのお話。

テリー・マーシュの生涯成績は26勝(10KO)0敗1分。

1987年3月4日から同年7月1日までの、わずか3ヶ月と26日の短い時間でしたが、マーシュは確かにIBFジュニアウェルター級チャンピオンでした。

プロデビューは1981年10月12日。アンドリュー・ダコスタとのウェルター級6回戦でフルマークの判定勝ち。

本業からFighting Fireman(戦う消防士)と呼ばれたマーシュは、27試合のキャリアでフランスとモナコに遠征した2試合を除いた25試合を、ホームの英国リングで戦いました。

6年9ヶ月のキャリアで英連邦ジュニアウェルター、欧州ウェルター、そしてIBFジュニアウェルターのタイトルを獲得。

最後の試合はロイヤルアルバートホールの特設リングで行われた1IBF王座の初防衛戦(1987年7月1日:vs 亀田昭雄=7ラウンド TKO勝利)でした。

マーシュと亀田は、奇しくも互いに引退試合を戦ったことになります。

当時のIBFは創設からまだ4年しか経っていない〝離陸直後〟。

日本ではもちろん、世界的にも主要団体とは認められていませんでした。
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テリー・マーシュがジュニアウェルター級王者だった頃のIBFの王者一覧

韓国勢が目立つほかは、強豪の名前がひしめき、WBA/WBCとの差はほとんどないように見えます。

WBAの北米活動をフィールドにしていたNABFを母体に持つIBFが、創設4年で世界的な認知を待つだけの王者を揃えていたことがわかります。

ちなみに1987年のジュニアウェルター級シーンは、WBAはパトリツィオ・オリバからファン・マルティン・コッジに覇権が移り、WBCでは我らが浜田剛史がレネ・アルレドンドとの再戦に敗れ、そのレネもロジャー・メイウェザーに粉砕されていました。

このあと、フリオ・セサール・チャベスの進出でジュニアウェルター級は一気に活性化するのですが、当時はビッグネームが積極的に乗り出すことのないマイナー階級に過ぎませんでした。


そして、マイナー団体のマイナー階級王者マーシュは「無敗のまま引退した」というだけで、ボクシングマニアの記憶にとどまっています。

戦績以外はボクサーとして地味を極めたマーシュ。

てんかんの持病を抱えていたのは気の毒でしたが、その人生は奇行が目立ちました。


1989年11月30日、マーシュの元プロモーターフランク・ウォーレンがルガーP08で銃撃された事件の容疑者として逮捕され10ヶ月間拘留されますが、証拠不十分で釈放されています(現在も犯人は捕まっていません)。


そして、2015年3月、57歳になった戦う消防士は28年ぶりにボクシングの〝世界チャンピオン〟に返り咲きます。

といっても、日本ではまったく馴染みのないチェスボクシングというボードとリングの複合種目。チェスと6ラウンドのボクシングで勝敗を決める、肉体と知能の限界に挑む競技です。

マーシュは12歳のときにロンドンの少年チェス大会で優勝したほどの腕前で「小さい頃からチェストボクシングをずっと続けてきた。引退した後もチェスはもちろん、ボクシングの練習も続けていた」そうです。

レベルは違いますが、藤井聡太がボクシングもやってる感じでしょうか?

「無敗のまま引退した世界チャンピオン」として、マーシュは必ずその名前が挙げられます。

しかし、スベン・オットケやサムソン・ダッチボーイジム、エドウィン・バレロらが記名された名簿を「栄光の紳士録か?」と問われれば言葉に詰まるしかありません。

マーシュはもちろん、オットケもサムソンもバレロも名誉の殿堂にノミネートされることもなく、PFPの末席にもお呼びじゃありませんでした。


では、マーシュは当時マイナー団体のIBFのピースにありついただけの弱いボクサーだったのか?というと、現在の4Belt−Eraなら、何かしらの世界王者になっていたと思われます。

そして、凶悪犯罪の容疑者というのはいただけませんが、大プロモーターと大喧嘩を繰り広げ、英国下院議員の総選挙に立候補したり、チェス・ボクシングで王者に〝返り咲く〟。

テリー・マーシュ、ユニークな生き様です。

好きか?嫌いか?と問われたら…嫌いじゃありません。 

オットケやサムソン、 バレロ…メイウェザーまで連なる「0=ゼロの寓話」の開幕です。
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2月4日、レオン・スピンクスが前立腺から転移した癌に冒され、67歳で亡くなりました。

私が初めてモハメド・アリを見たのは、レオンとの初戦。モハメド・アリは「すごい運動能力を持ったスポーツ選手」の代表として、誰でも知っていました。

マック・フォスター(1972年:日本武道館/ヘビー級ノンタイトル15回戦)、アントニオ猪木戦(1976年6月26日:日本武道館/エキシビション)と二度も来日してリングに上がっていたことも、史上最高のアスリートを日本でも特別な存在たらしめていました。
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レオンを迎えてのヘビー級王座防衛戦。日本時間は1978年2月14日でしたが、放送されたのは「イレブンPM」(だった記憶があります)、深夜番組でしたから生中継ではなかったはずです。

舞台はネバダ州ラスベガス、ヒルトンホテル。日本ではありえないメガファイトの雰囲気に「凄い試合がこれから始まる」と胸躍らせたことをはっきり覚えています。

実際の試合は、アリがまさかの敗北。何より、試合内容は絵に描いたような「鈍重なヘビー級の塩試合」。小学生の私は「これがアリの試合?何かの間違いでは?」と拍子抜けしました。

レオン・スピンクスの名前もこのとき初めて聞きました。日本での報道も「アリが無名の若者に敗れた」というストーリーラインでした。

しかし、モントリオール1976のライトヘビー級金メダリストで、プロキャリアは13ヶ月、7試合という信じられないスピードでThe Greatestに挑戦し、勝利を収めたレオンの扱いが、米国では全く違っていたことは当時リング誌すら知らない私には想像もできませんでした。
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あの日、レオンは「リングの上でアリからタイトルを奪った唯一の男」として歴史に名を刻んだのです。

7ヶ月後のアリとの再戦でレオンに約束された報酬は350万ドル、初戦の12万5000ドルから30倍近くに跳ね上がるシンデレラストーリーでしたが、この試合でThe Greatestにヘビー級史上初となる三度目の王座返り咲きを許してしまいます。

それでもまだプロ9戦、25歳。レオンのキャリアがアリとの2試合だけがハイライトになるなんて、誰が想像したでしょうか。

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「1978 Neon Leon」。レオンのプロボクサーとしての輝きは1978年、アリとの2試合に凝縮されていました。

生涯46戦のプロ戦績で〝Neon Leon〟が強烈な輝きを放ったのはアリとの2試合だけでした。

アリを世紀の番狂わせで倒したあとのリングは、19勝17敗2分。新設のクルーザー級に落ちて再び世界王者を目指しましたが、その夢は二度と叶いませんでした。

「アリからタイトルを奪った男」として世界中にその名を知らしめ、そのままスポットライトからフェイドアウトしたレオン。


"I was a poor young guy," Spinks told the New York Daily News in 1997. "I never had nothing. All of a sudden I had something. I tried to do too much. I was crazy. I didn't care about nothing. You think it's never going to end."

私は何も持っていない貧しい若者だった。それが、ある日、突然、全てを手に入れてしまった。私は多くのことをしようとしすぎたのかもしれない。私は狂っていた。何でもできると思い込んで、できないことなんてないと思い込んでいたけど、結局はそうじゃなかったんだ。〜1997年ニューヨーク・デイリーニューズ紙〜



歴史とは畢竟、過去を忘れ、捨て去ることで積み重ねられます。

しかし、デビュー9戦目でモハメド・アリからヘビー級王座を奪ったレオン・スピンクスの〝Neon Leon〟は永遠に点いたまま、誰にも消すことはできません。
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痛烈に蹉跌したホープが、30歳半ばを越えて再び眩しいスポットライトを浴びる…そんなことが現実に起こりうるでしょうか?
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塀の中と外を行ったり来たり…カークランドの人生もまた狂った何かを修正できないまま今に至っています。

中谷正義がフェリックス・ベルデホを大逆転で倒す、9年前のことです。

石田順裕がジェームズ・カークランド相手に大番狂わせを起こしました。

会場は中谷vsベルデホと同じMGMグランドでしたが、リングが組まれたのはガーデンアリーナ、1万6000人を飲み込む大会場です。

それもそのはず、メインはマルコス・マイダナvsエリック・モラレスのメガファイト、当時の米国ボクシングで最も格が高いHBOのPPVイベントでした。

オッズは1-17、石田勝利に20倍以上を付けるブックメーカーも現れるなど、日本人に張り付けられたのは噛ませ犬の値札。

しかし、リング上で石田が屈辱的な値札を引き裂くのに必要な時間は1ラウンド3分間でも十分過ぎました。

中量級最大のホープ、カークランドをあっという間に3度も転がすと、主審のジョー・コルテスは大きく手を振り試合を終わられたのです。

1分52秒前までのカークランドの戦績は27戦全勝24KO、米国黒人が中量級に王国再興するために最も重要なピースの一つが日本人の拳によって打ち砕かれたのです。

あれから9年。

日本ボクシング史上、ラスベガスを最も震撼させた石田はディミトリー・ピログやボール・ウィリアムス、そしてゲンナディ・ゴロフキンとの世界戦などミドル級のトップ戦線で戦い、日本ではヘビー級に挑戦。

あの日を境にキャリアは一変しました。

一方のカークランド。

復帰戦を飾り、2015年にはカネロ・アルバレス との人生最大の大勝負に挑みましたが、石田戦前の輝きを取り戻す日はついに訪れませんでした。

4年のブランクを経て昨年カムバック、二線級相手に2連勝。

Mandingo Warriorが明日また、リングに上がります。

James Kirkland vs. Juan Macias Montiel
10 rounds – middleweights

ロスアンゼルスのシュリーン・イクスポジション・センター、162ポンド契約のスーパーミドル級10回戦。拳を交えるのは26歳のファン・マシアス・モンティエル。 

メキシコ、シナロア州ロスモチス出身というモンティエルは、あのモンティエル一族っぽいですね。

3年前にハイメ・ムンギアに2ラウンドで屠られていますが、戦績は27戦21勝4敗2分。21の勝利は全てKOというハードヒッター。

カークランドvsモンティエル、KO必死のサバイバル。ここで勝っても、層の厚い中量級でトップ戦線までたどり着くには厳しい道のりです。

そんな世界から遠い、本当なら注目すべき試合でなくても、カークランドだから米国メディアはドラマ仕立てで今でも取り上げるのです。

石田はそのカークランドが、もっとも熱い視線を集めていたときに勝利したのです。 

それにしても…。カークランドの生き方、ボクシングを見ているとあれは番狂わせでもなんでもなかったようにも思えてきます。

まあ、でも、そうは言っても。カークランドを応援します。

石田との試合がなければ何の思い入れもないボクサーでしたが、現実はそうではないのですから。




…1ラウンドで粉砕されてしまいました。 
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明日1月12日(日本時間)にゴールデンボーイプロモーションズ(GBP)と DAZN が主催するテキサス州サンアントニオ、アラモドームのイベントは、WBO世界ジュニアミドル級王者ハイメ・ムンギアがミドル級デビューする注目の一戦です。

昨年1月、井上岳志にキャリア最大の苦戦を強いられたムンギアは減量苦もあり、花形クラスのミドルへ転級。

試運転の相手はゲイリー・オサリバン。 

GBPのエリック・ゴメスは「ムンギアはビッグファイトに飢えている。オサリバンはタフな相手だが、カネロ・アルバレスやゲンナディ・ゴロフキンらビッグネームとの対戦につなげたい」と人気階級への野望を語っています。

オッズはムンギア1/25(1.04倍)、オサリバン9/1(10倍)と大差が開いています。

無敗の23歳ムンギアに対して、35歳のオサリバンは3つの敗北を喫しています。3つはビリー・ジョー・サンダース、クリス・ユーバンクJr.、デビッド・レミューといずれもビッグネーム。ムンギア相手に大番狂わせを起こせるか?


そして、このイベントに懐かしい名前も見つけました。

ファン・カルロス・ブルゴスです。

10年前の2010年11月、長谷川穂積と空位のWBCフェザー級タイトルを争ったブルゴスは32歳になりました。

あれから10年で12試合(8勝2敗2分/不運な引き分けもありました)と試合枯れしているブルゴスは2018年に1試合、2019年はついにリングに上がることなく、2015年〜2019年の5年間で4試合と半引退状態。

対戦するのは、9歳年下のWBC米国ライト級王者ヘクター・タナジャラ。

1/16(1.06倍)、ブルゴス7/1(8倍)と一方的なように、要は咬ませ犬です。

タナジャラは無敗とはいえ、18勝のうち KOはわずか5つと決定力はありません。自慢のスピードも世界基準では並み。

アマチュア時代は米国タイトルを8つ獲っているにもかかわらず、リオ五輪を目指さずにプロ転向したのは賢明な判断です。タナジャラでは、せっかくリオまで行っても手ぶらで帰ってくるのがオチでしょう。

しかし、身長178㎝/リーチ191㎝というフレームはライト級では異形です。左ジャブで距離をキープしながらポイントを積み重ねるスタイルを、ブルゴスが崩すのは難しいか。

リング誌は「タナジャラはブルゴスをKOするパワーはないが100−90の完封勝利」と、ブルゴスは何もできずに10ラウンドを終えると予想。

ブルゴスに意地を見せて欲しいですね。大番狂わせを期待します!

16歳でプロデビューしたブルゴスは、今年がキャリア16年目。

叔父のビクター(元IBFジュニアフライ級王者)に憧れてグローブをはめたカルロスでしたが、2007年3月にIBFフライ級王者ビック・ダルチニアンに挑戦、12ラウンドにわたって滅多打ちされた末にストップ負け。

試合後にビクターは、昏睡状態に陥ってしまいます。

これを見た両親に「ボクシングをやめてくれ」と泣いてお願いされたカルロスでしたが、ビクターが回復したこともあってボクシングを続けてきました。
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GBPが期待する無敗のタナジャラ。ブルゴスに温室ごと叩き潰して欲しいのですが…。

米国人とはいえ、メキシコ系のタナジャラは生まれも育ちもサンアントニオ。 アラモドームは完全ホームです。

生粋のメキシカンとはいえ華も人気もないことから需要もないブルゴスは、完全アウエー。 

ブルゴスが塩漬けにされて試合終了、が目に見えています。それでも、驚かせて欲しいですね。

頑張れ!ブルゴス 
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ボクシングの階級には貴賎があります。

ヘビー級やウェルター級のメガファイトは、ニューヨークやラスベガスの大会場で大きな注目を浴びて挙行されますが、軽量級ではそんなイベントは逆立ちしても打てません。

日本では軽量級が評価されています。

しかし、村田諒太をみるまでもなく、もしウェルター級やヘビー級で世界に通用するボクサーが現れたら話は別です。

身も蓋もない言い方ですが、日本で軽量級が人気なのは「それしかない」からというのが最大の理由かもしれません。

それでも、欧米で関心の低いフェザー級以下の軽量級はメキシコや英国のスーパースター、レオ・サンタクルスやカール・フランプトン、アブネル・マレスの3人が絡まなければ、日本で戦うしかビッグマネーを手にすることが難しい階級なのです。

その日本でも、報酬とリスクが高い王者や挑戦者は呼ばれません。

軽量級でいうビッグマネーはせいぜい30〜50万ドル。その金額を安定して手に出来るのは日本のスター選手に限られます。

バンタム級以下ではPFPファイターでマニアから圧倒的に支持されているファン・フランシスコ・エストラーダですら、20万ドルがキャリアハイというのが現実です。

井上尚弥が戦ったバンタム級トーナメント出場選手のファイトマネーは、さらに悲惨を極めます。

ノニト・ドネアでさえ報酬が明らかにされていません。エマヌエル・ロドリゲスやゾラニ・テテは10万ドルに遠く及ばない、発表するとファンが引いてしまうレベルの金額であることは間違いありません。

井上が「米国で大きな舞台に立つにはバンタムでは無理。最低でもフェザー」と冷静に語っていましたが、サンタクルスやアブネル・マレス、カール・フランプトンが去った現状のフェザーではまず不可能です。

フェザーのその上、ジュニアライトも欧米目線では軽量級。しかし、この130ポンドを橋頭堡にしてオスカー・デラホーヤやフロイド・メイウェザーが正真正銘のメジャー、ウェルター級へ向かいました。

内山高志がスターが踏み台にして去ってゆく背中を虚しく見送ったジュニアライト級でしたが、ここにきて状況が激変しています。

瞬間的な盛り上がりに終わるでしょうが、それでもスターダムへの通過階級ではなく、下の階級から上がってきたスターが最終決着をつける舞台という意味合いを帯びてきたのです。

今日、130ポンドのデビュー戦でいきなりWBA王座に就いたレオ・サンタクルスはジュニアライト級以下で最も集客力のある人気者。

さらに、サンタクルスと100万$ファイトを展開したカール・フランプトンとアブネル・マレスもすでに130ポンド進出を表明。

この潮流は130ポンドが体格的・慣習的に上限階級とみられる日本人ボクサーにとって、明らかに僥倖です。

日本人でも前WBO王者の伊藤雅雪尾川堅一西谷和宏末吉大らが世界ランキングに名前を連ね、ビッグネームとの対戦は夢物語ではないのです。

現在の世界地図を俯瞰すると、まずWBAはスーパー王者がレオ・サンタクルス。この階級でどこまで実力があるかは疑問ですが、最も人気があります。つまり、一番美味しい相手です。

日本人の130パウンダーは伊藤と尾川は手強い、西谷と末吉は未知数の怖さがあり、サンタクルスにとってはハイリスク・ローリターン。相手にしてもらうには世界タイトルを獲るのが最低条件です。

セカンド王者はアンドリュー・カンシオ。アルベルト・マチャドを番狂わせで沈めたカリフォルニアをベースに戦う31歳は階級最強候補と目されていたものの、2015年に8ラウンドKO勝ちしているレネ・アルバラードとの再戦でまさかの7ラウンドストップ負け。

30歳のニカラグア人とIBFジュニアフライ級王者フェリックス・アルバラードは双子の兄弟(フェリックスと拳四朗の統一戦が流れてしまったのは残念でした)。
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今日はアレクシス・アルゲリョがルーベン・オリバレスを13ラウンドKOしてフェザー級王座を獲得した記念日で、ニカラグアのボクシングファンは久しぶりの明るい話題に沸き立っているはずです。

WBCのストラップはミゲール・ベルチェルトが持っています。

三浦隆司のボンバーも空転させ、フランシスコ・バルガスを2度に渡って撃退。ミゲール・ローマン、ジェイソン・ソーサといった130ポンドの番人を難なく倒して6連続防衛中。

まだ、本物の強豪とは拳を交えていないとはいえ28歳のEl Alacran(サソリ)は大きな欠点が見当たらない万能型です。

天下を取る器には見えませんが、ベルチェルトを粉砕するボクサーがこのクラスの王者でしょう。

ベルチェルトに勝てると見られていたジャーボンテイ・デービスがライト級へ戦場を移したことで、このクラスの陰が色濃くなってしまいそうなところでしたが…。


IBF王者はテビン・ファーマー

アメリカン・アイドルという渾名がかなり違和感のある地味なサウスポーです。

自慢のスピードがたいしたことないことは尾川が証明済み。小さくまとまった決定力のない王者ですが、穴王者とは言い切れないしぶとさ、勝負根性は持ち合わせています。

その尾川は12月7日にWBOアジア・パシフィック王者ジョー・ノイナイに挑戦。IBFから路線変更しそうです。

24歳の〝Jaw Breaker〟が見掛け倒しでないことは清水聡戦で証明済み。危険な橋を渡りきれるか?


尾川が目指すWBOは伊藤から番狂わせでタイトルを奪ったジャメル・ヘリング

イラクの激戦区に2度も出征した海兵隊員で、そこで負ったPTSDに悩むサウスポー。

リング誌が「一方のボクサーを応援することはジャーナリズムに反するが、私たちは米国人。ヘリングの生き様と米国への忠誠心を考えたとき、彼を応援しない選択肢はない」と表明したアメリカンヒーロー。

11月7日に無敗のラモント・ローチを3−0で破り初防衛に成功。34歳という年齢からも、これから大きな上積みが期待出来るわけもなく、付け入る隙の多い王者ですが、日本に呼ぶのは難しいだけにぶっ倒すしかありません。



*****主要団体に絶対的な王者はいません。今日、WBAスーパー王者になったサンタクルスを例外にすると、130ポンドの王座には地味な風景が広がっています。

しかし、例外はサンタクルスだけで終わりません。

2016年のリング誌 Fighter Of The Year、2階級制覇を制覇したカール・フランプトンは11月30日にラスベガス・コスモポリタンでタイラー・マクリアリーを相手に130ポンドデビュー。

マクリアリーは無敗のホープとはいえ、誰に勝ったわけでもない26歳。ここで躓くようならフランプトン本人が覚悟しているように「引退するしかない」。

ビッグネームのフランプトンには是が非でも鮮やかに勝っていただき、その先に日本人との対決も期待しています。

そして、フランプトンと同じイベントに登場するのが今がプライムタイムの前WBOフェザー級王者オスカー・バルデス

ノニト・ドネアが対戦を突きつけられ「バルデスとは戦えない(勝てるわけがない)」と弱音を吐いてしまい、トップランクを去ったフェザー級の強豪王者。

ジャーボンテイ・デービスへの挑戦が眼疾でキャンセルになったアブネル・マレスも2020年にリングに復帰すると表明しています。

サンタクルス、フランプトン、バルデス、マレス。4団体の世界王者を遥かに上回るビッグネームの参戦で130ポンドは一気にスポットライトが当たる階級になりました。


さらに、日本でもお馴染みの名前も130ポンドの第二戦線でトップを窺っています。

次がプロ80戦目となるジョニー・ゴンザレス、そのゴンザレスを下したトマス・ロハスも130ポンドで頑張っているのです。

西岡利晃に大番狂わせでKOされたジョニゴンは、現在38歳。

山中慎介に糸の切れた操り人形のように斬り落とされたロハスは、山中より2歳年上の39歳。2連敗中ですが「もう一度世界王者になる」と現役続行を明らかにしています。


タレントが揃いました。誰と絡んでも、面白い試合が期待できそうです。

言っても切ないだけですが、内山高志や三浦隆司がいたらなあ…。 
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