カテゴリ: オッズを蹴散らせ!大番狂わせを巻き起こせ!

Thursday 19, June 2025
  

Ota-City General Gymnasium, Tokyo, Japan

commission:Japan Boxing Commission
promoter:Hideyuki Ohashi (Ohashi Promotions)

view on JAPAN Lemino/USA ESPN+ 

WBOウエルター級12回戦





いよいよ、あと5日に迫った佐々木の世界アタック。

1952年のJBC設立から73年。ウエルター級に挑戦した日本人は、佐々木でやっと5人目。

日本に王者を引っ張り込んでの挑戦となると、これが3度目。1989年12月(WBA王者マーク・ブリーランドvs尾崎富士雄)以来の約35年6ヶ月ぶり。35年に1度地球に接近する彗星、エケクルスのようなものです。

八王子の佐々木が、世界の人気階級ど真ん中を射抜いて、スターに輝けるか?

ウィリアム・ヒルの掛け率は王者が1/4(1.25倍)、挑戦者3/1(4倍)。驚くほど接近したオッズです。

ESPNでは2位と7位(1位はジャロン・エニス)、リング誌では1位と6位(王者はエニス)。世界評価ではけして大きく劣るわけではありませんが、人気階級となるとアジアと世界の差は歴然、この順位が日本人に大きく贔屓した数字であることは誰にでもわかる事実です。

BoxRecでは佐々木が3位でノーマンが4位(1位エニス/2位デビン・ヘイニー)。地域タイトルのレベルを同等に見るPFP的な評価では、実績で佐々木がノーマンを上回るという理屈もありですが…。

いずれにせよ、Mission Impossible。

19日の木曜日。私たちは、佐々木が「日本人、近寄るべからず」の結界を破る瞬間を目にすることが出来るのか?


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今日は築地でお祭り。天気が悪いのが残念。

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本文とは関係ありません。


Saturday 14, June 2025

Madison Square Garden Theater, New York, New York, USA
commission:New York State Athletic Commission
promoter:Eddie Hearn (Matchroom Boxing)
matchmaker:Kevin Rooney Jr
 view on DAZN 

IBFライト級挑戦者決定戦



前日計量は三代が134.6ポンド、クルスがリミットいっぱい135ポンド。


ワシル・ロマチェンコの引退で正規王者に昇格したレイモンド・ムラタラへの挑戦権に王手をかけた大勝負です。

ライト級は人気階級への玄関口。ガーボンタ・デービスやシャクール・スティーブンソンが徘徊、今回はマディソン・スクエア・ガーデンのシアターですが勝てばアリーナでメインの夢も膨らみます。

オッズはクルスの勝利が1/14(1.07倍)、三代13/2(7.5倍)と30歳の日本人が圧倒的不利。

しかし、29歳のキューバ人が東京五輪金メダリスト、世界選手権で3連覇と途轍もないアマチュア実績をひっさげていることを考えると、大きく三代に寄った掛け率に映ります。

タイトルマッチではありませんが、三代の手が挙げられると日本ボクシング史上に輝く大番狂せ、今年のUpset Of The Year の最有力候補になります。


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公正取引委員会は昨日、日本野球機構(NPB)に対して、日本シリーズの生中継が行われた時間帯に大リーグの放送を行ったフジテレビの取材パスを没収したことなどが独占禁止法違反のおそれがあるとして「再発防止を求める警告」を出しました。

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NPBの中村勝彦事務局長が同日に取材に応じ「取材および編成権の制約と、独禁法上の問題を同じ次元で議論するべきではない」との見解を述べましたが、今後は類似の事態が起きた場合には取材証を没収しないと、事実上の敗北宣言。


このブログでもすでに書いていますが、取材者と取材対象者には、明らかな力関係が存在します。

NPBに不都合な事実を記事にするなら取材させない、という行為が全て独占禁止法にあたるかどうかはさておき、NPB側には今回のフジのMLBダイジェスト放送に不都合があると感じたのは間違いありません。

「せめて時間をズラせばよいものを、ケンカを売ってるのか?あんなテレビ局に取材パスを発行するな!」。

そんな思考で取材パス没収となったことは、誰にでもわかります。


人気やステイタスが小さいマイナースポーツになると、こうした側面は看過されやすく、先月の「井上尚弥のなんちやってT-モバイル・アリーナ」を、アンダーカードを記事にしてもメインにほほぼ触れなかったナンバー誌にも同様の圧力があったと疑われています。

このブログでも紹介してきましたがTモバはMGMグループではNo.1のラスベガスを代表するアリーナの一つ。

カネロ・アルバレスの〝ホーム〟と呼ばれ、世界中のボクシングファンが関心を寄せる試合はPPVで提供されてきました。

ここで日本人がボクシングの興行で初めてメインを張るというのですから、T-モバイル・アリーナもクローズアップしたくなるのはメディアとして当然です。

しかし、残念ながら帝拳と大橋ジムが八方手を尽くした欺瞞のイベントは、Tモバ史上でも最悪の事故レベルの販売不振で、必死のチケットばら撒き工作も虚しく広い客席は半分も埋まりませんでした。

そもそも、最初からPPVに乗っていないのですから、売れるはずがないのです。

当初から赤字は覚悟の上階席の封鎖はなんとか食い止めたいと取り繕った努力も焼け石に水。

当事者がこの事故を語りたくないのは、よくわかります。

しかし「どうしたらTモバでPPVにも乗る本物のイベントが打てるか?あるいはTモバの遥か先にあるザ・スフィアで世界初のボクシングイベントを開催するには何が足りないのか?」という建設的な意見を発展させたいと思っても、当事者が「そこは触れるな」と臭いものにフタをしてしまうと、長谷川穂積や西岡利晃から続く帝拳のウソはこれからも繰り返されるだけでしょう。

そして。またバカ信者が騙される繰り返しです。
誰もがレベルが高い、世界中から注目されていると思われたいのはわかりますが、ウソはダメです。

関係者や信者的なファンが「これはとんでもないこと。サッカーのバロンドールに匹敵する」なんて言葉を聞くのは、何もボクシングだけに限った話でさありません。

しかし、バロンドールに選ばれても「これはとんでもないこと。ボクシングのシュガー・レイ・ロビンソン杯に匹敵する」なんて、誰も口にしません。

シュガー・レイ・ロビンソン杯なんて誰も知りません、PFPを先に知るという本末転倒な井上信者もやっと知ったところです。

さて、そのサッカー。

男子では誰一人バロンドールに輝いたことはありません。

日本代表を振り返っても、Wカップの最高到達地点はベスト16。

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ずっとあとから強化に乗り出したラグビー日本代表すでにベスト8まで登っているというのに。

ボクシングでは、ファンでもすぐに答えられないほど世界王者を抱えているというのに。

それなのに、サッカー男子ときたら、いまだにベスト16どまりなんて情けない…そう思う人はまずいません。

このスポーツで最も特徴的なことは、メディア・ファンと、選手側との関係です。

メディアは常に批判の精神を忘れず、非常に厳しい意見を突き刺すことは珍しくありません。

そして、重要な試合が地上波から外されそうになると、スポーツを超えて一般メディアまでが「国民的関心事なんだぞ!」とユニバーサル・アクセス権まで話を発展させるのです。

来年に開幕が迫った、米・加・墨、3カ国共催のサッカーWカップ。

ロスから全米に飛び火している大騒動を見ると「そもそも無事に開幕出来るのか?」と心配になりますが、その話はまた別に。

英国〝圏〟を中心にヨーロッパや南米で特別な人気を集めていたサッカーですが、日本や米国では決して特別ではありませんでした。

日本では、Jの発足から完全に潮目が変わり、あっという間にメジャースポーツの仲間入り。

これは、ファンになってちょっと調べただけでホンモノの世界的スポーツだと誰もが確信できることと無縁ではありません。

ボクシングは、そこでウソをついてしまいました。

ジミー・レノンJr.が「世界的に大注目されている長谷川穂積とフェルナンド・モンティエルの試合に自費でリングアナウンサーをやられせてくれ」と申し出たから、米国でも大人気。

西岡利晃はパッキャオやメイウェザー、タイソンが戦ったMGMで世界タイトル防衛戦、ファイトマネーは1億円だから、ラスベガスでも大人気。

井上尚弥はT-モバイル・アリーナでチケット前売り絶好調、練習後はファンがサイン待ちの長蛇の列、だから大人気。

ーーー全て大本営発表です。

サッカーは「W杯はあらゆるスポーツの中でも別格のタイトル」「バロンドールは権威も価値もある」なんて、わさわさ主催者側が喧伝しません。

それにしても、過去最高がベスト16どまり、死のグループに入らなくとも一次リーグで敗退しても大きな驚きはない、そんなサッカー日本代表が選手だけでなく監督、協会までもが優勝を口にして決戦の舞台に挑みます。

優勝?

最新のFIFAランキングは15位。同じアルファベット団体でも、WBAやらWBCのデタラメランキングとは違います、

今回も「よくてベスト16」どまりです。

優勝?

絶対に無理です。

優勝?

ベスト16で泣かされてきた国が、この特別なスポーツの最高舞台で頂点に立つなんて、よくも言えたもんです。

【暴論サロン】では、誤解を恐れず真実を叫んできましたが、大谷翔平の二刀流も霞む、暴論中の暴論を絶叫していきます。






サムライブルーは、あのヘンテコリンなトロフィーを、必ず日本に持ち帰って来ます。

必ず。



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Wednesday 28, May 2025
  
Yokohama Buntai, Yokohama, Kanagawa
commission:Japan Boxing Commission
promoter:Hideyuki Ohashi (Ohashi Promotions)
view on DAZN /view on Lemino

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https://fushiananome.blog.jp/archives/36616790.html


◾️WBOバンタム級12回戦

©︎武居由樹 vs ユッタポン・トンデイ



◾️IBFジュニアライト級王者決定12回戦

力石政法 vs エドアルド・ヌニェス




それにしても、ボクシングの世界タイトルマッチって年に何回行われてるのでしょうか?月2回なんてレベルじゃありません。

先週土曜日に亀田和毅と重岡銀次郎、そして水曜日に武井芳樹と力石政法。切り取り方にもよりますが、この5日間で4試合です。

これを「世界タイトル」と考えるからややこしくなるだけで、「WBOタイトル」「IBFタイトル」と割り切った表現することで、少しは現実に近づけるでしょう。

ESPNなど一部メディアは、なるべくこの表現をとっています。

さて、試合の興味は武居(1/14=1.07倍)、ユッタポン(13/2=7.5倍)とオッズも予想も大きく開いたバンタム級ではなく、人気階級への導火線・ジュニアライト級の力石です。

2017年のデビューから8年、地域タイトルを丁寧にピックアップ、伝説の名字を名乗る30歳の力石はプロ3戦目の黒星から14連勝中(16勝11KO1敗)。

空位のIBFタイトルを争うのは27歳のメキシカン、ヌニェス。27勝1敗、27の勝利は全てKO。唯一の黒星も7年前の6回戦と、力石と同じようにこの1敗を取り上げて何かを語るのは無意味です。

オッズはアウエーに乗り込んでくるヌニェスが1/2(1.5倍)でフェイバリット。ホームで迎え撃つ力石が13/8(2.63倍)のアンダードッグ。

昨年3月、イタリアはラツィオ・コッレフェッロで最終回の大逆転でWBCシルバーを強奪した力石に、2年連続の番狂せをお見せいただくとしましょうか。




https://fushiananome.blog.jp/archives/35346318.html





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When Goliath Loses

大番狂せが起きるとき。


〝女子格闘技のパッキャオ〟ホリー・ホルムがボクシングのリングに帰ってきます。

ジェイク・ポールのMost Valuable Promotions と契約。

ニューメキシコ州アルバカーキ出身の43歳、戦うために生まれてきたホルムは、6月28日に行われるジェイクとフリオ・セサール・チャベスJr.のメガファイトのアンダーカードに登場します。

ボクシングとMMAで数々の世界タイトルを獲得、印象的なファイトをいくつも繰り広げてきたホルムですが「キャリア最高の試合は?」という注文に、誰もが同じ答えを口に出来る奇特なファイターです。




さて、ニューヨークタイムスが「格闘技界の最大番狂せ」として、「ジャック・デンプシーvsジーン・タニー」「マイク・タイソンvsバスター・ダグラス」脇役に推しやった「ロンダ・ラウジーvsホリー・ホルム」。


ラウジーにはボクシング転向の噂もあり、没落一方の米国ボクシングの救世主になると大きな期待がかけられていた、そんなタイミングでもありました。

米国ボクシング市場よりも悲惨な販売不振で倒産寸前に陥っていたリング誌も、創刊以来初めてボクシング関係者以外、しかも女性を単独カバーに起用する入れ込み用でしたが…。

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来月の東京でも大番狂せが期待される大勝負があります。


Thursday 19, June 2025
  
Ota-City General Gymnasium, Tokyo
commission:Japan Boxing Commission
promoter:Hideyuki Ohashi (Ohashi Promotions)
media:view on USA ESPN+ 


WBO World Welter 12rounds

©︎ Brian Norman Jr. vs Jin Sasaki



さあ、日本のボクシング史が変わる大勝負。

6月19日、人気階級のど真ん中に佐々木尽が斬り込みます!

オッズを蹴散らせ!大番狂せを巻き起こせ!



 
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きょう、日本武道館で行われる柔道全日本選手権

先行して行われた女子では角田夏実が自分よりも重い相手に勝って話題になりましたが、男子の注目もやはり軽量級の選手が重量級にどう立ち向かっていくのか。

https://fushiananome.blog.jp/archives/36370471.html




66kg級(ボクシングでいうとウエルター級:147ポンド=66.68kgがほとんど同じ)で五輪2連覇中の阿部一二三が出場、1回戦で81kg級の佐藤佑治郎と対戦します。

自分よりもはるかに重い相手を撃破、3回戦魔で進撃した角田は、肉体へのダメージ、疲労度が全く違うと語りました。

「1回戦が終わった後から疲労度が普通の試合と全然違くて。海で遊びきった後のようなだるさがあって…。(もちろん大きい相手に練習するなど対策は施してきたが)試合になるとパワーが全然違いました。1回戦、2回戦と試合をするごとにだんだんもう(手が)握れなくなったり…。ところどころあざだらけになってたりして、本当に強度の高い試合だと感じました」。

さて、井上尚弥と親交のある阿部一二三(フルネームで呼びたくなる名前です)です。高校2年時に全国選手権兵庫県予選の団体戦決勝が体重無差別の試合に出場して以来、約10年ぶりの〝柔よく剛を制す〟畳の上に立ちます。

国際ルールでは4分の試合時間は5分(決勝8分)。延長戦なしの旗判定は、攻勢が評価され、国際ルールで反則の足取りもOK。国際ルールとは違うルールについては「軽量級に有利に働くのでは」と考えています。

井上について話をふられると「尚弥君(5歳も年上なのに「君付け」ってちょっと面白い関係です)の場合、階級を上げたり4団体統一して、モチベーションを維持できる部分もあるかも。僕も五輪4連覇と言い続けることでモチベーションを保っているが、この目標がないと続けられていない」と、トップに立ってなおモチベーションを持ち続ける難しさを口にしました。



ボクシングでもOPEN WEIGHTの大会があれば面白そうですが、ダメージが握力の低下やいつもと違う打撲レベルで済まない危険が大きく、やってはいけません。

まあ、トップ選手が当たり前にキャッチウエイトを振り回すパワハラが認められる(スポーツの最高の特徴は公正さですが、これを否定する行為が認められている点でもスポーツと呼んでいいものなのか?)ボクシングでは、そもそもやるわけありません…そういえば、ウシクが一人でOPEN WEIGHTの大会をやってるか。

ボクシングは論外としても、競技的に類似性があるレスリングでも〝全日本選手権〟は存在しません。

これは柔道が日本の格闘技だからでしょう。

さて、日本武道館。9時開場です。

地上波NHKは午後4時から(延長あり)。YouTubeも。
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日本人を寄せ付けない結界が張り巡らされたウエルター級は、世界王者を73年間もの間、一人も産み落とせていません。

…というよりも、73年間で4人しかチャンスが与えられなかったという方が、この結界の正体がわかりやすいでしょう。


55
 フジテレビ、残念ながら何も変わらなかった…。


日本人が踏み込んだストロー級からミドル級までの13階級で、ウエルター級と並んで高く分厚い壁が聳えているのがミドル級です。

しかし、ミドル級は竹原慎二、渕上誠、保住正孝、石田順裕、村田諒太が挑戦、竹原と村田がアルファベットタイトルを手中に入れています。

ミドル級で五輪・金、世界選手権・銀の不世出の実績を引っさげて電通やフジテレビなど大企業のスポンサードを得集め、このクラスで4勝を挙げた村田は別格です。

まれに「竹原の方が村田より上」という意見が聞かれますが、村田が圧倒した地域王者レベルに、アジアで限界を見せていた竹原では到底太刀打ちできなかったでしょう。

竹原が偉大であることに何ら異論はありませんが、あれは竹原自身が「俺はここまでバカにされてるのか」と怒りを抑えられなかった、あの日あの時のビール腹を揺らし「タケハラは変な夢を見てはいけない」と心身とも緩みまくったホルへ・カストロだから勝てたのです。

そうです、挑戦機会が極めて少なく、レベルが高いウエルター級は「あの日あの時のカストロ」も「日本人としては突然変異・村田」のような奇跡に恵まれていないだけ、と見ることもできるでしょう。

ブライアン・ノーマンがカストロのようにナメきった調整で日本に乗り込んでくれるかそうかは、わかりません。佐々木尽が世界アタックの大勝負で覚醒することはないと決めつけるのは、現段階では誰もできません。

さて、日本人を拒み続けるウエルターの牙城に挑んで散った4人のファイターたちの物語です。

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1976年10月27日、金沢市の実践倫理会館でWBA王者ホセ・クエバスに挑戦したのは、辻元章次

ヤングライオンの異名を持つクエバスはこれが初防衛戦。序盤から積極的に打撃戦に応じる28歳の辻本でしたが、王者は冷静に対応、18歳とは思えない落ち着きぶりが不気味でした。

クエバスは3ヶ月前に階級最強と目されたアンヘル・エスパダを大番狂せで2ラウンドKOに沈めているものの、パンチャーズ・チャンスをモノにしたと見られていました。

クエバスが4年間も王座に君臨し連続11度も防衛、しかもそのうち10度がノックアウトという脅威の記録を打ち立てる名王者になるとは誰も予想できていませんでしたが、この初防衛戦でその一端を見せていました。

第5ラウンドまでのスコアは三者三様のドロー(辻本から見て23−24/24−24/25-24=当時は5点法)。運命の第6ラウンドを迎える前のインタバルで米倉健司会長の「左のガードを上げもっと足を使え」という指示に辻本は「下がると余計に打たれる、懐に入った方がいいんじゃないですか」と言葉を返しています。

エディ・タウンゼントと周到に練ってきた戦術も動いて空振りを誘い、強打の王者を焦らせ疲れさせることでした。

辻本本人も「(フットワークを使って相手を空転、カウンターを決めていく)自分のボクシングに徹し切れば負ける気がしない」と、自信を見せていたのに、どうして本来ならBプランのはずの打撃戦を初回から選択したのでしょうか?

あれが、王者陣営を撹乱させるためのブラフであったとは考えられません。

クエバスは初来日でしたが、トレーナーのルペ・サンチェスはジョー・メデルやロドルフォ・マルチネスら冷徹なメキシカンを日本に連れてきていました。

そして、クエバスもまたメキシカンらしくない静かなファイターでした。まだ18歳だというのに。

KOされた辻本はグローブとシューズを脱がされても立ち上がることができずに、長々とキャンバスに横たわったまま。深いダメージを物語っていました。

ようやくフラフラと立ち上がった辻本は、青コーナーのロープにもたれかかって男泣きに暮れます。敗者に寄り添うエディが声を張り上げました。

「章次、恥ずかしいないですよ!いい試合やったですよ!」。

エディは、愛弟子が誰に負けたのかをわかっていたはずです。

そして、リングサイドで試合の一部始終を見ていた極東ジムの小高伊和夫会長もわかっていました。「クエバスはもっともっと強くなる」。



このメキシコの超強豪王者が圧倒的不利の予想を立てられ、その予想を上回る惨劇に見舞われてタイトルを失ったとき、一切泣き言を口にしなかったサンチェスが「体重だけでなくリーチなどの体格も階級制にしないといけない」と嘆くことになるのです。

あのクエバスが何も出来ずに転がされる驚異の世界…その幕開けはもう少し後のことでした。つまり、この時代のウエルター級はまだ飛び抜けた黄金階級ではなかったのです。

その意味では、辻本と彼に続いてウエルター級に挑んだ龍反町は〝時代〟を味方に付けていたのですが、とにかく相手が悪すぎました。

辻本はクエバス、龍はカルロス・パロミノ。

日本人にとってウエルター級はレベルが高く、挑戦機会が極端に少ないだけでなく、巡り合わせも最悪でした。

反町隆史の名前の由来にもなった龍反町。1970年代のリングはまだ、メジャーの香りが十分に残っていました。

さて、次は1978年2月11日のネバダ州ラスベガス、ヒルトンホテル。WBCウエルター級タイトルマッチ。

もちろん、メインイベントです。


もし、辻元がクエバスに勝っていたなら、龍がパロミノに勝っていたならーーーウエルター級に結界など張られることはありませんでした。

しかし、そんなことよりもずっとずっと遥かにスペクタクルな光景が日本のボクシングファンに待ち構えていたはずです。

辻元vsトーマス・ハーンズ、龍vsウィルフレド・ベニテス…そんな幻覚を夢想するたびに、やはりこのクラスが特別すぎることを思い知らされるのですが…。






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アイドル人気を集めていたフェザー級の福田健吾が映画「ウエルター」に主演すると知った後楽園ホールのお行儀の悪いボクシングファンは「フェザー級のくせに、嘘つくな〜。正直に『フェザー』にタイトル変更しろ!」と、予想通りのヤジを福田に浴びせました。

日本のボクシングファンは「ウエルター級」が、どういうクラスなのかを、よく知っているのです。

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ウエルター級は、オリジナル8の一つ、他の7階級とともに日本ボクシング界とは最も付き合いの長いクラスです。

しかし、1952年のJBC設立以来、世界王者はたったの一人も生み出せないまま73年もの歳月が過ぎ去ってしまいました。

同じオリジナル8のフライ級は23人、日本人にとって最も重いミドル級でも2人がストラップをつかんでいますが、ウエルター級はミドル級よりも2クラスも軽いというのにゼロ。

1986年に新設されたストロー級は39年の歴史で15人も王者を輩出していますから、ストロー級ペースならウエルター級も30人くらい王者を送り出していてもよいはずというのに、ゼロなのです。

ウエルター級には、日本人を寄せ付けない結界が張られているのでしょう。

しかも、結界は二重に張り巡らされています。

まず最初に、ライト級〜ジュニアウエルター級〜ウエルター級〜ジュニアミドル級〜ミドル級の日本人にとっての重量級クラスは、日本のコントロールが効かない欧米の人気階級であることです。

逆に、欧米の不人気階級、軽量級は日本が好き勝手できるわけです。

その結果、タイトル獲得の手前、挑戦することすら超難関という事実が突きつけられています。

73年間でウエルター級に挑戦した日本人は辻本章次、龍反町、尾崎富士雄、佐々木基樹のわずか4人に過ぎません。結果は、尾崎が2試合戦っているので、5戦5敗。

しかし、この4人全員が王座奪取に成功していたとしても、たったの4人しかウエルター級王者は誕生していないのです。

そして、欧米の人気階級ウエルターは体格的に小さいフロイド・メイウェザーやマニー・パッキャオが主戦場にしたように、報酬も注目度も高いことからタレントを引き寄せる磁力が強烈で、当然競技レベルも跳ね上がります。

人気階級であるがゆえに、日本に回ってくるチャンスが極端に少なく、レベルも非常に高いーーー日本人にとってはただでさえ壁が高い階級、下手な鉄砲しか持ち合わせていないというのに、撃つ回数も極端に制限される…下手な鉄砲を5発しか打てなかったのですから、全部外れても何の不思議もありません。

しかも、5試合のうち2試合はアウエー。

これが軽量級のように、地元日本で月に何度も世界戦が開催されるなら「下手な鉄砲、数撃ちゃ当たる」と期待できるのですが、そうもいかないのが人気階級、ウエルター級なのです。


辻元章次(1976年10月27日vsWBA王者ホセ・クエバス)、龍反町(1978年2月11日vsWBC王者カルロス・パロミノ)、尾崎富士雄(1988年2月5日vsWBA王者マーロン・スターリング/1989年12月10日vsWBA王者マーク・ブリーランド)、佐々木基樹(2009年10月3日vsWBA王者ビチェスラフ・センチェンコ)…高く分厚い、世界の壁に挑んだ4人の戦いを振り返ります。



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WBOウエルター級王者ブライアン・ノーマンJr.が6月19日東京で同級2位の佐々木尽と防衛戦を行う、と米国の複数のメディアが報じました。

まさか、あの挑戦状が効いたのか??????

最軽量のストロー級から、13番目のミドル級でストラップを集めてきた日本ボクシングですが、11番目のウエルター級だけが、まだ誰も登頂に成功していません。

スクリーンショット 2025-04-24 23.59.45

ノーマンは3月29日にデレック・クエバスを相手に防衛戦を行ったばかり(3ラウンドTKO勝ち)。

6月19日は2ヶ月と21日という、現代の世界王者では極めて短いスパンでの試合となります。

これは、クエバス戦をノーダメージで勝利したことだけでなく、佐々木を侮っているからでしょう。



テレンス・クロフォードを見るまでもなく、米国黒人でウエルター級の無敗王者といっても人気があるとは限らない時代、ノーマンも例外ではありません。

ジャロン・エニスらとの決戦でUndisputed championが生まれたとしても、もう1人のクロフォード誕生というだけで終わりそうです。

シュガー・レイ・レナードやオスカー・デラホーヤ、フロイド・メイウェザー、マニー・パッキャオと比べなければ「まあまあ頑張ってる方」とも言われますが、米国ボクシングの衰退がこれほど深刻だったかと思い知らされます。

カネロ・アルバレスが引退すると、米国ボクシングはスーパースターの系譜が断絶します。カネロがあと5年現役でいたとしても、その間に彼のあとを継ぐスターが生まれるとは到底考えられません。

まだ日本の方がマシでしょう。そして、もしウエルター級王者が誕生なんてことになると、井上尚弥や井岡一翔、中谷潤人らとは全く違う「人気階級、メジャー階級」という角度からこのスポーツを見直す契機にになるかもしれません。

待ってろ、世界!がんばれ佐々木!!!

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ウエルター級の団体統一戦。

戦前の予想はIBF王者ジャロン・エニスに傾いていましたが、WBA王者エイマンタス・スタニオニスにもチャンスがあると見ていましたが…。

予想外だったのは、両者のリバウンド差。エニスがとにかく大きく見えたこと。

そして、エニスは〝全力疾走〟を見せることなく〝ジョギング〟するようにリトアニア人を痛めつけ棄権に追い込みました。

CompuBox Punch Stats

PUNCHESENNISSTANIONIS
Total landed8158
Total thrown424185
Percent19.1%31.4%
Jabs landed1629
Jabs thrown22684
Percent7.1%34.5%
Power landed6529
Power thrown198101
Percent32.8%28.7%

手数では30歳のリトアニア人を上回ったものの、精度はスタニオニスの31.4%に大きく劣るわずか19.1%。

それでも、エニスのボディアタックが絶大な効果を上げました。「彼(身長173㎝/リーチ173㎝)は私(178㎝/188㎝)より小さいが、ボディが使えると考えて、その通りだった」。

ここ数試合の内容でエニスの評価は揺らいでいましたが、キャリア最強と目された対立王者に圧勝したことでPFP入りも取り沙汰されています。

ウエルター級の残るストラップはWBCがマリオ・バリオス、WBOが佐々木尽が挑戦状を手渡したブライアン・ノーマンJr.。

ストロー級からミドル級までの13階級でタイトルを獲得してきた日本人ですが、ウエルター級だけは1人の王者も送り出せていません。

ウエルター級は世界的にレベルが高いのに対して、日本の層が薄く、さらに人気階級だけに挑戦するのも難しい…いくつもの十字架を背負わせられた階級です。

エニスやバリオス、ノーマンは、フロイド・メイウェザーやマニー・パッキャオのスターパワーは持ち合わせていません。佐々木にチャンスが巡ってくる可能性は十分あると思います。

しかし、そこに勝負論が成り立つか、となると…。




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