カテゴリ: オッズを蹴散らせ!大番狂わせを巻き起こせ!

動画配信を前提に制作された〝映画〟が増え、優秀な作品はアカデミー賞にノミネートされる時代になりました。

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ついには「副音声だけまるごと公開」↑なんて作品まで。

ロードショーを観るときは、なるべく情報を少なくして観ている映画ファンからすると驚くしかない、斬新な楽しみ方です。

スマホやテレビなどで見る〝動画〟〝映像〟は、そもそも〝映画〟ではありえないのですから、並べて語ること、驚くことの方が間違っているのでしょう。

スクリーンに映し出される映画が芸術で、動画配信で流される〝映画〟は邪道だなんて思いません。

映画も最初は、小説や歌劇、演劇などに劣る下級の娯楽と見下げられていたのですから。


問答無用の下剋上が進んでいるのは、何もリングの上だけではありません。

少し寂しい気もしますが、非常に面白い時代を生きることができているのです。

悪い話じゃありません。
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瞬間最大風速で語ると、田中将大の24勝0敗や、佐々木朗希の13者連続を含む19奪三振を取っての完全試合は、21世紀のNPBの中で特別な光を放っています。

しかし、彼らと同じように山本由伸も、私たちが2人目を見ることが出来ない投手でしょう。

3年連続投手四冠。瞬間最大風速ではなく、3シーズンにわたってこれほどの成績を収める投手は歴史上、山本しかいません。

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そんな歴史に残る名投手を、タイガースはなぜ粉砕できたのでしょうか。

もっと突き詰めると、山本はこれで日本Sは4戦先発して勝ち星なし。どうして「普段どおり」の実力を発揮できないのでしょうか。

〝番狂せ〟の類型に当てはめると【Overestimation and Underestimation】。

世間の山本への天井知らずの評価に、岡田は「難攻不落ゆうても6つも負けてるやん」と口を尖らせました。そして、だらしない歴史を迷走してきた超人気球団への過小評価。

しかし、それだけではありません。

ど素人が簡単に分析できる話ではありませんが、タイガースは「日本シリーズ初戦、相手は山本で普段どうりになんて、いかんよ」(岡田)と〝緊急事態〟と捉えていたのに対して、おそらく山本は「普段どおりのピッチングをしたら大丈夫」という意識があったのではないでしょうか。

「予祝」までして優勝を意識しまくり、開幕から歴史的な連敗を喫して沈んだ昨シーズンのタイガース。

今年は「アレ」と漢字二文字の目標意識をカタカナ2文字のオブラートにくるみ、日本シリーズになると「普段どおりにはいかんよ」。

リーグ三連覇、昨年の日本一、史上初の3年連続四冠投手…成功体験に彩られたバファローズ側が「普段どおり」から逸脱する理由は、探す方が超難題です。

一方で、タイガースという最も特殊なチームで現役時代を送り、2005年の日本シリーズでこれ以下はないという悪夢を見せつけられた岡田は「過剰な意識」や「普段通り」が地獄への罠であることを思い知らされてきました。

同じ関西のチーム。甲子園と京セラドームは電車で30分あまり、車で20分ちょっとの距離。しかし、両者の歴史、染みついた文化、そして何よりも現在のチームの性格は全く異なります。

先制点は渡邉諒のポテンヒット、初戦はタイガースに運もありました。山本が先発したバファローズに8−0で勝つなんて、とんでもない番狂せ、超常現象です。

昨夜の〝番狂せ〟で「普段どおりにはいかんよ」が「普段どおり」に勝ったと決めつけるのは早計です。

「普段どおりにはいかんよ」は弱者の戦略、「普段どおり」は強者のそれです。

まだ、7分の1しか終わってません。昨夜の8点は1点も持ち込めずに、今夜は0−0からのプレーボールです。1勝1敗になったら、タイではなく空気は逆転してしまうでしょう。

そして、何よりも史上初の3年連続四冠投手はもう一度マウンドに上がるはずです。


それにしても、タイガース。あれほどの大勝を収めても、ファンですら猜疑心を拭いきれない、ある意味恐ろしいチームです。
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タイガースが山本由伸を6回途中6失点でKO、マウンドを引き摺り下ろす…。

そんな日本シリーズ初戦を誰が予想できたでしょうか。

スポーツの世界では何が起きても不思議ではありません。

もちろん、リングの中でも何でも何が起きても不思議ではありません。

というわけで、これまでも何度か書いてきたはず?のリングの中の大番狂せ、その類型を改めて確認します。




【Because He is The SuperStar〜スーパースターのスーパースターたる所以】
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最も感動的な番狂せはスーパースターの格にひれ伏せさせて頂くことです。

リアルタイムで見ることはできませんでしたが、モハメド・アリの初戴冠(ソニー・リストン戦)、キンシャサの奇跡(ジョージ・フォアマンせん)は「アリが殺される」と、勝ち目のない戦いと決めつけられていました。

シュガー・レイ・レナードが実質5年のブランクを乗り越えて挑んだThe Super Fight (マービン・ハグラー戦)も「1体1のリンチ。全盛期のレナードでも勝てない」と見られていました。

WBCフライ級のストラップを大番狂せ(チャチャイ・ダッチボーイジム戦)で獲ったマニー・パッキャオが、8階級上のウエルター級でThe Dream Macth(オスカー・デラホーヤ戦)のリングに上がったとき「大きな事故が起きたらネバダ州アスレティック・コミッションは責任が取れるのか」と糾弾されました。



【End of His Era〜そして一つの時代が幕を閉じる】

アリもレナードもパッキャオも、番狂せを起こしただけでなく、晩年には番狂せを喰らってリングを去りました。

ソニー・ボーイ・ハロがPFP7位のポンサクレック・ウォンジョンカムをKOしたのは、タイの伝説がキャリア晩年を深めて劣化しながらも、勝ち続けることで評価は上昇し続けるという〝番狂せの時限爆弾〟がタイムアップした瞬間でした。



【Puncher’s Chance〜1発強打は全てを清算する】

グラスジョーと同時に起きる番狂せ。

ホルヘ・リナレスやウラジミール・クリチコらは、思わぬ伏兵に足元をすくわれ、Upset Of The Yearの敗者という不名誉なリストに名前を刻んでしまいました。

石田順裕をパンチャーと定義する是非はともかく、MGMグランドガーデンアリーナを揺るがしたジェームス・カークランド戦も、このカテゴリーの番狂せです。



【Overestimation and Underestimation〜絶対王者は誰に勝ったのか?】
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マイク・タイソンの東京ショッカー(バスター・ダグラス戦)。長谷川穂積とフェルナンド・モンティエル。アンソニー・ジョシュアとアンディ・ルイスJr.。

最高評価のチャンピオンが撃沈されたとき、多くの人の頭によぎるのは「ところでタイソンは誰に勝ったんだ?」という思いです。

ロイド・ハニーガンがドン・カリーをストップしたときも、世界中のボクシングファンが掌を返しました。



【Weight -class’s Pitfall〜3ポンドの差でチョコレートは溶解する】

優れたライトヘビー級王者は凡庸なヘビー級に駆逐される〜古くからの格言にある「階級の壁」です。

シーサケット・ソールンビサイに連敗したローマン・ゴンサレスは、非力で装甲が薄く見え、バンタム級までは破壊的だったノニト・ドネアは、ジュニアフェザー、フェザーで完全武装解除を強いられました。

広義の意味では、ヘビー級からライトヘビー級に戻って無惨なKO負けを繰り返したロイ・ジョーンズJr.も階級の壁に苦しんだのかもしれません。
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WBAインターコンチネンタル・ジュニアウェルター級タイトルマッチ

王者ジャック・カテロール、挑戦者ホルへ・リナレス、ともにリミット一杯の140ポンドで前日計量をクリア。

38歳のリナレス、仕上がってます。30歳、今が全盛期のカテロールも気合い満々。

エディー・ハーンは「英国にとっては苦い思い出をたくさん作ってきたレジェンド」とリナレスを紹介。「直近2試合で連敗しているのは、準備不足のままロシアで戦ったから。彼はまだこの階級のトップファイター」。

リナレスは正確には3連敗。2018年5月のワシル・ロマチェンコ戦から数えると8戦3勝5敗。5敗のうち三つがKO負け。ベネズエラのゴールデンボーイにキャリアの終焉が迫っているのは間違いありません。

そして、リナレスは140ポンド級で戦うのはこの試合が初めて。

いつものことながら、ハーンは「嘘をつく、嘘を重ねる」というプロモーターの仕事に忠実です。

そのハーンはこの試合の勝者を、12月9日に行われるWBCジュニアウェルター級王者レジス・プログレイスとデビン・ヘイニーにぶつける計画です。

さらに、ライアン・ガルシアとのビッグファイトの可能性もあると口にしていますが、これは〝プロモーターの仕事〟

現在のオッズはカテロールの勝利が1/9(1.11倍)、リナレス11/2(6.5倍)。立ち上がりから英国人が圧倒的有利と見られていた試合、その旗色はますます濃くなる一方です。

軽いクラスでも打たれ弱かったリナレスが、初の140ポンドでカテロールのパンチに耐えることは出来ないーーー常識とハーンの台本にはそう書いていますが、そうはならないのがボクシングのリングです。



さて、今回の舞台はキャパ1万人のリバプール・アリーナ。見やすそうなアリーナです、行ったことないけど。

アンダーカードには140ポンド史上屈指の人気者リッキー・ハットンの息子で13戦全勝無敗のキャンベル・ハットンも登場、偉大な父親と同じ10ストーン(140ポンド)級のリングに上がります。

ジュニアウエルター級(63.5kg)の試合が3試合盛り込まれた明日のイベントでは、英国以外ではなかなか耳にできない「テンストーン!」のアナウンスコールが聞けそうです。

日本は完全に「kg」単位に毒されてしまい、尺貫法に愛着を感じている人なんてほとんどいないでしょうが、尺貫法なら100斤級(60kg)が人気クラスになりそうです。
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Saturday 21, October 2023
  
Echo Arena, Liverpool, Merseyside, United Kingdom
commissionBritish Boxing Board of Control
promoterEddie Hearn (Matchroom Boxing)
matchmakerTom Dallas
 media:DAZN


ホルヘ・リナレス

フェザー級、ジュニアライト級、ライト級でアルファベット団体のストラップをピックアップ。オスカー・ラリオス、ケビン・ミッチェル、アンソニー・クロラ、ルーク・キャンベルらから勝利を収め、ワシル・ロマチェンコとマディソン・スクエア・ガーデン(シアター)で激闘を繰り広げたベネズエラのゴールデンボーイ。

もし、ホルヘ・リナレスが日本人だったら、欧米の人気階級に果敢に挑戦するその姿に、日本のボクシングファンに超軽量級とは違う新鮮な感動を与えていたでしょう。

そして、アウエイをサーキットするサーカスライフを送る必要もなかったでしょう。

ロマチェンコとの大一番も、ニューヨークではなく日本で開催され、「村田諒太vsゲンナジー・ゴロフキン」の先駆けになっていたはずです。

そのロマチェンコ戦から5年。リナレスは、8試合しかリングに上がっていません。その星勘定は3勝5敗、現在3連敗中です。

ロシアのRCCボクシング・プロモーションズと契約したことも試合枯れの原因ですが、最も良い条件を提示してくれたのがRCCだったということです。



38歳になったリナレスと対決するのは、ジョシュ・テイラーとの激闘で名前を挙げた30歳のジャック・カテロール。

実績十分、英国でも知名度の高いリナレスは、カテロールにとってホームに設置された格好の踏み台と考えられています。

あのリナレスをKOして、テイラーとの再戦へ。あるいは、テオフィモ・ロペスとのさらなるビッグファイトに。

オッズは「事実上のジュニアウェルター級 Undisputed Champion」カテロールが1/8(1.125倍)。リナレスが5/1(6倍)。

大番狂せが起きると、リナレスがカテロールから奪うのはWBAインターコンチのベルトだけではありません。マッチルームが描いたビッグファイト行きの切符を勝ち獲ることになります。



そして。リナレスがもう一度日本のリングに上がる、そんな日がいつか訪れるでしょうか?
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稀代のロードウォリアー、ジョンリール・カシメロが10月12日、ついに日本のリングに上がります。

クアドロアラスは、2007年にデビュー。

①母国フィリピンを皮切りに②アルゼンチン、③メキシコ、④南アフリカ、⑤パナマ、⑥タイ、⑦中国、⑧イギリス、⑨米国、⑩韓国と10カ国をサーキット、日本が11カ国目のリング、アウエーはちょうど10カ国目となります。

ロードウォリアーに主戦場はありません。

フロイド・メイウェザーはその全てのキャリアを母国米国の中で収めました。母国に十分な需要があったこと、日本など富裕国が誘致するには世界的な知名度、インパクトがヘビー級のスーパースターと比べると弱かったからです。

カシメロの〝先輩〟マニー・パッキャオは軽量級でありながらメキシコのライバルに恵まれ、大番狂せを繰り返しながら、米国で最も大きな需要を抱えるウエルター級まで進出、ラスベガスを主戦場にしましたが、パックマンのケースは非常にレアです。


カシメロの3階級制覇が軽量級ではなく、欧米で認知されるライト級をからめて成し遂げられていたなら、彼はロードウォリアーになる必要はありませんでした。ワシル・ロマチェンコやゲンナジー・ゴロフキンのように。

それを言い出すと井上尚弥も全く同じで、フライやバンタム、フェザーではなく、ライト級以上だったら、それこそ信者たちの「もう日本では見れなくなる」という幻覚は現実になっていたでしょう。

軽量級では世界的なビッグネームなど存在するはずもなく、だから「日本が好きなようにできる」(村田諒太)のです。しかし、それゆえに井上尚弥に相応しいダンスパートナーを探すのは至難の業になっています。

昨夜、数少ない有力なパートナー候補の1人がほぼ脱落してしまいました。

那須川天心が成長・進化するには、まだ時間がかかるでしょうし、〝そこ〟に辿り着く前に興味を消失させるような敗北を喫するかも知れません。

そう考えると、当面はルイス・ネリやムロジョン・アフマダリエフ、そしてカシメロのような日本のボクシングファンには名前が知られた海外の実力者しか候補者は見当たらないことになります。

その中でもカシメロは実力とキャラクター共に、最高のカード。

〝トップランカー〟カシメロが12日に拳を交えるのは小國以載

東洋レベルでは十分な実力を発揮、ジョナタン・グスマンからIBFジュニアフェザーのストラップも奪っていますが、キャリア二つの敗北はいずれもサウスポーになすすべもなく敗れたもの。IBFタイトルも岩佐亮佑に6ラウンドTKOで明け渡しています。

カシメロはサウスポーではないものの、野生と変則のハイブリッド、小國にとって相性が良いとは到底思えません。

また、2020年以降1試合しか戦っていない実戦感覚、35歳という年齢も不安要素。カシメロの〝野生対策〟として比嘉大吾とのスパーリングを重ねていますが、決して良い内容ではないと伝えられています。

小國には失礼ですが、カシメロの豪快なKO劇が見れそうです。そして、勝利者インタビューでは井上への刺激的な挑発も聞けそうです。
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スーパーミドル級のUndisputed Championship。

王者カネロに挑戦するのは、ジュニアミドル級のUndisputed Championジャーメル・チャーロ。

「兄と歩んできたキャリアはカネロを追いかける旅だった。ついにカネロを捕まえた。カネロが強いのは分かってる。だからこそ、ずっと彼を追いかけてきたんだ」(ジャーメル)。

I can do,English.

「俺はずっとここ(スターダムの頂点)にたってきた。英語だって喋れるようになったけど、まあボクシングがとにかく上達したな」(カネロ)。

試合直前のオッズはカネロの勝利が2/9(1.22倍)、チャーロ10/3(4.33倍)。

チャーロ、落ち着いた表情です。カネロ、リング内と同じく、遅い足取りで入場。

注目の第1ラウンド、ゴング!

ジャーメル、おとなしい。初体験のメガファイトに飲まれたか。文字通り浮き足立ってる。

多くの専門家の「序盤はチャーロがポイントを取る」という予想は外れました。

WHのインプレーはカネロの1/20(1.05倍)、チャーロ8/1(9倍)。大きく広がりました。

前半6ラウンド終了。ポイントはカネロのフルマークか。インプレーは1/40と10/1に。

第7ラウンド、カネロの右フック、右アッパーでチャーロがダウン。効いてます。

1/100、14/1。カネロ勝利は1.01倍に。10ラウンド終了時でカネロに賭けても1/200。そのまんまの展開です。

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最終回は1/5000で迎えます。

チャーロは差し違える勝負を仕掛けることもできず、12ラウンドを終えてしまいました。

119−108/118−109*2。


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今週末に迫ったカネロ・アルバレスvsジャーメル・チャーロのメガファイト。

リング誌の戦前予想は19-1。メキシコのスーパースターに大きく傾いています。

33歳、同い年の対決ですが、心身ともに大きなストレスがかかるメガファイトを繰り広げてきたカネロの衰えを指摘する声も少なくなく、大番狂せの予感も漂っています。

「カネロに勝てばジュニアミドル級に戻る」と明言しているチャーロの腹づもりは、テレンス・クロフォードとの対決を見据えてのこと。

簡単に実現するとは考えにくいものの、チャーロが次戦でクロフォードと拳を交えることになると、2試合続けてのUndisputed champion対決。

しかし、そのクロフォードが狙っているのはカネロ。専門家評価は下降気味とはいえ、北米市場でのカネロの商品価値は今でも傑出しています。

軽量級で例えると井上尚弥です。

人気面で大きなジレンマを抱えているクロフォードが、現代ボクシング界最高の人気を誇るカネロとの対決を熱望するのは当然。

また、人気最高のカネロとの対決に漕ぎつけたチャーロが、2014年に続き2度目のFighter Of The Yearを確実にし、PFPでも多くのメディアが1位に推しているクロフォードを狙うのもまた当然。

いずれにしても、チャーロが勝てばチャーロの思い通りの道が開そうです。

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来月14日、箱根駅伝予選会が開催されます。

来年1月2-3日の本選は第100回大会という節目ということで、今回の予選会は全国の大学に門戸が開放されました。

立命館や京都産業、中京など各地域の強豪校が予選突破に挑戦します。

今回の予選突破枠は3校増えて13。それでも他地域から参加の大学が本選切符を獲得するのは絶望的、挑戦は惨敗に終わると決めつけられています。

ハーフマラソンの成績で争うという、不慣れで長過ぎる距離だけでなく、関東の大学とはそもそもの実力と層の厚さが全く別次元だからです。

上位15位レベルに食い込める実力があれば、前を走る大学のアクシデント前提で13位に滑り込む可能性もありますが、その実力もないというのが現実です。

専門家やファンが「絶対に無理」と決めつけた常識を、大谷翔平やマニー・パッキャオはこれ以上ない形で破壊して見せましたが、野球やボクシングで数値化されるデータは参考資料に過ぎません。

ユニコーンとパックマンは、周囲がわかっていなかっただけで、あれは奇跡でもなんでもなく、必然でした。

一方で、陸上競技の記録は勝負にほぼ直結する絶対的なデータです。

トラックの成績がロードにそのまま反映されるとは限らない、短い期間で驚異的な自己記録更新を達成する選手もいるーーーとはいえ、それは特別な個体に限定され、予選会の10人全員に同時に起きるわけがない怪奇現象です。

10月14日には、当たり前の結果が当たり前に起きるだけでしょう。

彼らはパッキャオでも大谷翔平でもない、21世紀のドン・キホーテです。

無謀な挑戦は全て失敗に帰します。

それでも、10校以上、150人以上(1校14人まで出走可)ものドン・キホーテたちが蟷螂の斧を死に物狂いで振り回すなんて、ちょっと面白い光景じゃないですか。

彼らが本選切符を獲得することは99%不可能です。

それでも、惨敗した彼らは〝何か〟を感じて故郷に帰るはずです。

もしかしたら、その〝何か〟は目に見えないタスキで、彼らは母校の後輩たちへそれを繋ぐかもしれません。


成功の確率が絶望的な挑戦です。

それが〝記念受験〟的な感覚なら愚かな挑戦ですが、真剣に必死に蟷螂の斧を振り回して最後に力尽きるというなら、それは愚かな挑戦などではありません。

来月14日、地上波生中継されるそうです。

空前絶後の〝蟷螂の斧祭り〟をたっぷり楽しませてもらいましょう。

彼らが掴み取る〝何か〟が、無謀な挑戦から逃げ続けてきた私にも、もしかしたら見えるかもしれません。
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無謀に見える階級アップ:チャーロは前例のない歴史的挑戦のリングに上がるのか?

ESPNからの拙訳です。

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*******現代ボクシングで2階級飛ばしてestablished championに挑戦することは、ジャーメル・チャーロが初めてでもなければ、最後のボクサーでもない。

これまでにも、そして未来にもそんなボクサーは存在するだろう。

最近の例ではマニー・パッキャオとギレルモ・リゴンドーが格好のサンプルとして挙げられる。

彼らは偉大な王者に挑戦したが、結果は全く違う形になった。

ライト級王者のパッキャオはウエルター級のオスカー・デラホーヤを圧倒して9ラウンドで棄権に追い込んだが、ジュニアフェザー級王者のリゴンドーはジュニアライト級王者ワシル・ロマチェンコを相手に6ラウンド終了で試合を諦めた。

チャーロが挑むカネロ・アルバレスもまた階級飛ばしで強豪王者に挑戦した一人。2019年、ミドル級王者だったカネロはライトヘビー級王者のセルゲイ・コバレフをストップしてWBOのストラップを強奪している。

2008年のパッキャオとデラホーヤ戦の試合は145ポンドのキャッチウエイトだったが、パッキャオはこの年3月からわずか9ヶ月でジュニアライト級からウエルター級までの4階級でトップ選手を撃破している。

他にも2階級上のestablished championに挑んで勝利を収めたファイターはロイ・ジョーンズ(ライトヘビーからヘビー)、シュガー・レイ・レナード(ウエルターからミドル)、マイケル・スピンクス(ライトヘビーからヘビー)の名前がすぐに思い浮かぶ。

※残念ながら「井上尚弥vsオマール・ナルバエス」は触れられず。軽量級が眼中にないのか、ナルバエスが小さすぎるからか?ヘタレ・ナルバエスではestablished championとは呼べないからか?


パッキャオに代表される「小よく大を制す」よりも、大きい選手が小さい選手を駆逐する例はロマチェンコvsリゴンドーだけでは、もちろんない。

シュガー・レイ・ロビンソンはミドル級からライトヘビー級への挑戦に失敗。ウエルター級の名王者ホセ・ナポレスはミドル級の壁に跳ね返され、ファン・マヌエル・マルケスはライト級からウエルター級への夢をフロイド・メイウェザーJr.に阻まれた。

ケル・ブルックはゲンナジー・ゴロフキンに、アミール・カーンはカネロに2階級ジャンプアップの野望を撃墜されている。マイキー・ガルシアのエロール・スペンスへの挑戦失敗も2階級跳びだった。

Will Charlo be Pacquiao or Rigondeaux?

チャーロはパッキャオになれるのか?それともリゴンドーに終わるのか?

一つだけ言えることは、パッキャオとリゴンドーと違って、チャーロはフレームでは不利ではないということ。

不安要素はライトヘビーでも通用するカネロの攻撃力と打たれ強さ。

スピードとフレームで優位でも、GGGのパンチにも怯まなかったカネロにチャーロのパワーが通用するのか?そして、コバレフを追いかけ回したカネロの強打にチャーロが耐えることができるのか?

…We will know on Saturday.

全ては今週土曜日に明らかになる。 
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