カテゴリ: オッズを蹴散らせ!大番狂わせを巻き起こせ!

ロベイシ・ラミレスはデビュー戦で〝出落ち〟さらに、明白に有利と見られたラファエル・エスピノサに2連敗。

期待通りの結果を残せなかったキューバのトレインは、トップランクから放出されてしまいました。それでもラミレスはWBOフェザー級のタイトルを獲得、期待通りあはやされとはいかなかったものの、想定内の最低ラインはクリアしたのではないでしょうか?




イタウマはラミレスと比較するとアマチュア実績が貧弱でしたが、ヘビー級という特別なクラスも付加されて期待値は大きく膨らんでいました。

いまからちょうど40年前の1986年、イタウマがイメージをオーバーラップされてきたマイク・タイソンもまた、タイトル初挑戦のリングに上がりました。


【1986年11月22日 ネバダ州ラスベガス ヒルトンホテル】
◾️WBCヘビー級12回戦◾️

©︎トレバー・バービック 32歳 36戦31勝4敗1分
身長188cm/リーチ198㎝ 体重218½ポンド(99.11kg

マイク・タイソン 20歳 27戦全勝
身長178cm/リーチ180㎝ 体重221¼ポンド(100.36kg



【2026年8月29日 ロンドン・グリニッジ O2アリーナ】

 ◾️IBFヘビー級タイトル決定戦12回戦◾️

フィリップ・フルゴビッチ 34歳 21戦20勝1敗

身長198cm/リーチ208㎝ 体重241¾(109.66kg

モーセス・イタウマ 21歳 14戦全勝
身長194cm/リーチ201㎝ 体重236¼ポンド(107.16kg


両者のタイトル初挑戦は「ヘビー級としては異例の若さ」「体格で対戦相手に劣る」という点で共通していますが、ボクシングにおいて最も重要なファクターである体重でタイソンがより重かったのに対して、イタウマは軽かったことが特筆されます。

さらに、タイソンが10ラウンド判定の長丁場を3試合経験していたのに対して、イタウマの最長経験は6ラウンドと、スタミナへのテストが完了しているかどうかも異なりました。

そして、なによりも全く違う結果になりました。

タイソンはもちろん、イタウマも過大評価でした。イタウマもタイソンも自分よりも大きく重い相手との対戦が少ないまま、その相手を前にしたときにキャリア初の敗北を痛烈なKOで喫してしまいます。

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しかし、その瞬間までタイソンはダウンを奪ったラウンド以外は全て落とし、逆にイタウマは全てのラウンドでリードしていました(オフィシャルは80−71*2/79−72で全24ラウンドのスコアで1ラウンドだけ落としていました)。

また、タイソンははるかに重く大きなバスター・ダグラスのパンチを浴び続け、最後はヘビー級の強烈なコンビネーションをまともに食らって沈みながらも、その顎がガラスではなく鋼鉄製だったことを見せましたが、イタウマはスタミナだけでなく非常に脆弱な装甲も露呈してしまいました。

英国のボクシングファンや、一部の日本のファンは「一番強いのはオレクサンデル・ウシクではなくイタウマ」と信じてましたが、そもそも21歳の若者には40年前のタイソン以上に不安材料が山積していたのです。

史上最も有名で最も愚かなトレーナー(ケビン・ルーニー)によってバックステップを踏めないという致命的な欠陥を改善できないまま、自分を恐れてくれる相手にだけ圧勝してきたタイソンが、そうではない強豪には一度も勝てないままキャリアを閉じたように、出鱈目なペース配分しかできないばかりか、パワーもスタミナもヘビー級のトップ基準から乖離したイタウマもまた旬の強豪には敗北を重ねていくでしょう。

いや…「強い相手に一度も勝っていない」「凶悪犯罪者」と指摘されたタイソンは「ボクシング界への貢献度は巨大」によって一発殿堂を果たしましたが、イタウマにその未来が訪れることは想像できません。





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Aサイドでもきちんと相手を選びながらもコケずにキャリアを進めている選手というものはやはり凄まじいものがあります

➡︎ おっしゃる通りです!


最近では、あのロベイシ・ラミレスがデビュー戦で躓くなんて、まさか誰も想像できませんでした。

「スターシステム」が基本のプロボクシングの世界では、タイソンが「フォアマン方式」と一部で揶揄されていたように雑魚相手に自信をつけさせるキャリア養成は1960年代には確立していました。

米国でもアマエリートへの注目度が増していた1960年代、五輪の金メダルが大きな価値を持っていたのはいうまでもなく、まだボクシングがメジャースポーツだった古き良き時代です。

「Aサイドできちんと相手を選びながらコケずにキャリアを進めた」ジョージ・フォアマンやオスカー・デラホーヤマイク・タイソンは凄まじい才能でした。

旬の強豪、同世代のライバルにKO負けの敗北を重ね、咬ませ犬や格下にしか勝てなかったタイソンでも、リングを超えて世界的にセンセーションを巻き起こしたという点では、歴代PFP評価などで後塵を排するマイケル・スピンクスやイベンダー・ホリフィールド、レノックス・ルイスらよりもかるかに大きなレガシーを残しました。

その意味では、ボクシングの社会的ステイタスが下落している現代で、五輪金から英国のスポーツセレブとなったアンソニー・ジョシュアも〝成功例〟に数えて良いでしょう。

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オスカー・デラホーヤも典型的なフォアマン・システムでプロキャリアをスタート、温室から路地栽培への移行で苦戦と敗北に悩みましたが、間違いなく〝成功例〟です。

アマチュア・プロ・プロモーターというボクシングの3ステージを俯瞰すると、モハメド・アリやシュガー・レイ・レナードでも大きな成功を収めることが出来なかったプロモーターとしてもしっかりと爪痕を残したデラホーヤは〝歴史上最も成功したボクサー〟と考えて良いかもしれません。

昨日の「イタウマ・ショック」は現時点で、ロベイシの線路に乗せた途端に脱線よりはマシでしたが、強い相手には滅法弱いタイソンのレベルですらなかったということです。

もちろん、この蹉跌を糧にヘビー級を平定する〝大復活際〟の可能性もゼロではありませんが、これからの相手は「イタウマのパンチはたいしたことがない」「頑張って粘れば勝手にフラフラになる」と自信と希望を持って向かってきます。

そこを乗り越えることができるか?

今の時点で「ヘビー級のエドガー・ベルランガだった」というのは可哀想ですが、再戦条項があるはずのフルゴビッチにリベンジするのが再評価を促す特効薬です。

まあ、おそらく陣営は雑魚相手に復帰戦を選ぶでしょう。



ちなみに、シャカセツで恐縮ですが、このスターシステムを軽量級というカースト最底辺から人気階級へと熱く激しく逆流して、スターダムの頂点を狩った前代未聞の驚天動地がマニー・パッキャオでした。


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7月5日、日曜日(東アジア時間7月6日)。大坂なおみがアリーナ・サバレンカに6-2、7-6のストレート勝利を収める番狂せを起こしました。

しかし、この日のウィンブルドンで主役を演じたのは28歳の日本人ではなく、さらに巨大な番狂せを起こした21歳のフィリピン人でした。




〜アレックス・イアラの幼い頃の夢は、スポーツを通して国民に勇気を与えることだった。

彼女がインスパイアされたのは、アジアが産んだ至上最高のボクサーだ。

「その日曜日は昼間だというのに街から人も車も消えて、国中の人が衛星放送のテレビ画面に釘付けになる。それは年に何回かの祝祭、そう本当にお祭りでした。大人も子供も、とにかく国中がマニー・パッキャオに熱狂していたのです」。

フィリピンの日曜日の昼間。その時間はラスベガスではサタデーナイト、ショーのクライマックス。巨大アリーナでパッキャオが自分よりも大きな相手を倒し続けたスペクタクルの時間だった。


"Of course, the national hero in sports in the Philippines is Manny Pacquiao. He's probably the first global Filipino athlete I can remember and associate with so many childhood memories. Whenever he fought, it felt like a holiday in the Philippines. People would gather to watch, and it was a huge event. He's incredibly inspiring," she stated.


「もちろん、国民的英雄といえばマニー・パッキャオのことです。小さい頃の思い出はとにかく強烈で、最初に衝撃を受けた世界的なスターでした。パッキャオの試合の日は祝日のようにみんなで集まって応援するんです」。

イアラにとってパッキャオは永遠に輝き続けるスーパースターだが、多くのボクシングファンにとって今のパックマンは「晩節を汚して欲しくない」終わったアスリートでしかない。

それでもイアラの記憶は鮮烈なままだ。

かつて、政府軍とゲリラの内戦が激しかった時期ですらパッキャオの試合がある日は、暗黙の停戦日だった。パッキャオが勝利した瞬間、静まり返っていた街は一気に息を吹き返し、あちこちで歓声が沸き起こり、車は祝福のクラクションを鳴らした。

信じられないことに、政府軍とゲリラが互いに空砲を撃って祝うことまであった。

しかし、パッキャオが神の座から姿を消してから何年もの歳月が流れてしまった。

それ以来ーーーー貧しい国に暮らす1億人近い人々は、つまらない日曜日をずっと過ごしていた。


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といっても、それは昨年までの話だ。

7月5日の日曜日。アレックス・イアラはディフェンディング・チャンピオンで世界3位のイガ・シフィオンテクを超絶の大番狂せで撃破したのだ。

「私は早朝から深夜まで、毎日12時間もコートで厳しい練習を積み重ねてきました。でも、それは一人ぼっちではなく、家族とトレーナー、練習パートナー、スポンサー…本当に多くの人が私と一緒に戦い続けてくれました」。

イアラが生まれたメトロ・マニラが内蔵するケソン市は、人口300万人に迫る巨大都市。15歳でプロになったイアラは、極貧の環境から成り上がったパッキャオとは事情が違うが、母国が抱える矛盾について無知ではなかった。

「とんでもない不利な条件を突きつけられても強敵に立ち向かって、フィリピンに勝利をもたらしてくれたからパッキャオは英雄になった。私がパッキャオになれるなんて思っていないけど、母国を勇気づけたい思いは同じ。私は私のやり方で母国を勇気づけたい」。

「パッキャオが引き金になって、オリンピックで金メダリストが誕生した。私も彼らに続く。ウィンブルドン3回戦突破なんて、富裕国のスター選手にはたいしたことじゃないでしょう…でもフィリピン人の私にとっては、私の国フィリピンにとっては…」そういうと、パッキャオ以上に欧州でセンセーションを巻き起こしたイアラは込み上げてくるものを抑えきれなかった。

シフォンテク戦が始まる前には、白昼のメトロ・マニラから人並みも車列も消えた。それは2019年7月、ちょうど7年前の「パッキャオvsキース・サーマン」以来の静けさだった。

そして、パッキャオのような大番狂せが起きた瞬間、あちこちでクラクションが鳴り響き、建物から歓声を上げる人々が溢れ出た。

パッキャオにしか出来なかったことを、21歳の女性がやってのけたのだ。

日曜日の午後、フィリピン中の島々をパッキャオ以来の興奮に巻き込んだイアラは母国の子どもたちへ「パッキャオや私を目指さないで。あなたは、最初のあなたになって下さい」とメッセージ。

国民的英雄に飢えた1億人の期待は膨張するばかりだが、イアラはまだ何も成し遂げていない。

そして、21歳の旅はまだ始まったばかりだ。




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2019年12月23日の横浜アリーナ。あれから7年の歳月が過ぎ去ろうとしています。

当時23歳のスティーブン〝BANG BANG〟バトラーは、生まれも育ちもケベック・モントリール、カナダのスター選手。

彼が主戦場としていたのは、ミドル級。ただでさえ人気階級、さらに7年前は超人気のカネロ・アルバレスと超実力者のゲンナディ・ゴロフキンが席巻していたクラスでした。

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 GGGとの〝初戦〟は内定ではなく決定でしたが…


村田のカネロとGGGのW交渉は、コロナ禍でご破産。

あの忌々しいコロナの直前、人気階級無縁の日本ではロンドン五輪金メダリストの突然変異、村田諒太がロブ・ブラントから〝カネロ&GGG圏外〟のWBAタイトルを奪還、カネロとGGGへの挑戦ロードを仕切り直ししていた頃です。

その仕切り直しの〝初防衛戦〟に選ばれたのが BANG BANG バトラーでした。

強打のカナディアンは、当時24歳。9つ年上の村田の火力に5ラウンドで焼き払われてしまいました。

バトラーは横浜アリーナに轟沈したあと、14試合を戦い10勝8KO4敗。層が熱いミドル級でトップ戦線には戻れていませんが、脱落もしていません。土俵際で踏ん張っています。

30歳になったバトラーの次戦がアンダードッグながら、マディソン・スクエア・ガーデン(小さい会場のシアター)に決まりました。アンダードッグ、つまり勝てば大きなステップアップを意味する試合です。

相手は人気者のエドガー・ベルランガ。ズッファ・ボクシングと契約している29歳のスラッガーです。バトラーは1発の怖さはあるものの、5つの敗北はいずれもKO負け。底を見せながらもカナダの人気者、ズッファはそこに目をつけたのでしょう。

ベルランガはデビューから16戦連続1ラウンドKO勝ち、わざとらしさ満載のキャリアは、直近5試合で3勝2KO2敗と落ち着いています。

ベルランがもまた、過大評価のメッキで固められたファイター。バトラーの右一発にもチャンスが十分あるはずです。



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全仏オープンの壁に掲げられた大きな英語。

Victory belongs to the most tenacious.

〜勝ちたいという思いが強い方が勝つ。


大番狂せがに沸いたパリ・ローランギャロス

日本時間の昨夜、行われた女子シングルス決勝はミラ・アンドレエワ(世界ランキング8位)が4大大会で初優勝を飾りました。決勝の舞台で19歳のロシア人の前に立ったのは、世界ランキング114位のマヤ・ファリンスカ。

24歳のポーランド人は予選3試合を勝ち抜いての本戦出場。

ラケットもウエアもシューズも、全て自腹でフランスに乗り込みましたが、本戦出場からスポンサー4社が名乗りを上げ、1回戦から4つの広告ワッペンを胸につけてコートに入りました、


フレンチオープン予選に出場するまでのキャリアは407試合(268勝139敗)で、生涯獲得賞金は86万4,030ドル(約1億2960万円)。賞金からは税金等だけでなく、用具代や帯同するコーチの渡航費や宿泊費も賄わなければなりませんから、副業をこなさなければ生活が立ち行かない状況だったはずです。

世界ランキング114位。

マイナースポーツのボクシングのデタラメ・ランキングと同列に並べることは出来ませんが、ストロー級からフェザー級までの7階級のランキング15位、単純計算で105位、この順位の軽量級ボクサーが専業で食っていくのはほぼ不可能です。

ただ、テニスは女子でも堂々のメジャースポーツ。米国の4大スポーツ、例えばMLBは1000人以上もの年俸200万ドルを超えるプレーヤーを抱えています。

さて、ファリンスカです。初めてのツアータイトル、それも4大大会という途轍もないビッグチャンスは逃してしまいましたが、「勝ちたい」という不屈の精神(tenacious)を見せつけ、準優勝。賞金140万ユーロ(約2億6,320万円)を獲得しましたーーーそうです、一つの大会だけで生涯獲得賞金の2倍以上を稼ぎ、世界中にその名前を轟かせたのです。


そして、今大会に急遽手を挙げたスポンサーたちが契約更新するのはもちろん、新たなスポンサーも名乗りを上げるのは間違いありません。

マニー・パッキャオはキャリア52試合で積み重ねた生涯ファイトマネーを上回る金額を、たった一晩(vsオスカー・デラホーヤ戦)で稼ぎ出しましたが、それに匹敵…いや上回る赤土のドリームでした。

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French paradox
フランス・パリで繰り広げられているテニスのフレンチオープン。

テニスは、70%以上の確率でオッズの通りに勝敗が決まる、メジャースポーツの中で最も結果が予想しやすい競技として知られています…そのはずなのですが、今年のパリではビッグネームが次々に倒される大番狂せが相次いでいるのです。

シナーもアルカラスもジョコビッチも、サバレンカもシフィオンテクもガウフも…みんな赤土のコートに沈んでしまいました。

番狂せは、偶然だけで引き起こされません。しかも、それが何度も重なるなら、なおさらです。マニー・パッキャオは「また世界を驚かせた!」「オッズをひっくり返すのは、これで何度目だ?」と、番狂せをコレクションしましたが、そもそもそれはブックメーカーの見立てやメディアやファンがパッキャオの実力を大きく見誤っていただけです。

では、パリで波乱を起こしている〝パックマン〟たちも、誰もまだ気づいていない途轍もない実力者なのでしょうか?

おそらく、そうではありません。

テニスのハードスケジュールは、試合数が多いトップ選手により負担が大きく、故障を抱えながらツアーを転戦するのは事実ですが、今年のパリだけで波乱が起きている説明にはなりません。

シナーを痙攣と熱中症に陥れた「異例の高温」や、サバレンカを苦しめた「強風」はビッグネームにもパックマンにも平等ですが、通常ではない状況は少なくとも心理的にはビッグネームに不利に働き〝泥試合〟にもつれ込むことはアンダードッグのモチベーションに火を付けます。

ビッグネームにより過酷なツアー、高温と強風…さまざまな要素が複雑に重なり、番狂せの大波を引き起こしました。

そして、よくいわれる「番狂せは伝染する」。

‘Upsets can be contagious’

ビッグネームのまさかの敗退に最も驚くのはメディアやファンではなく、もしかしたら「次は私かも」と萎縮してしまう、これからコートに上がるビッグネームたちかもしれません。

「俺には関係ない」と強がったり、「丁寧に戦わなければならない」という方向で気を引き締めたりする時点で、すでに番狂せの魔病に〝感染〟してしまっているのです。


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 左から2002年日韓大会、2010年南アフリカ大会、2026年北中米大会


伝統のある世界最強を決めるトーナメントという共通点はあるものの、テニスの4大大会以上に大番狂せのチャンピオンが生まれないのがサッカーW杯です。

今年の北中米大会では、広範な移動から生じる気候の違いや時差、48カ国へのexpansion、特に若手で「W杯よりも欧州チャンピオンリーグ」という動機づけの分散…波乱を引き起こす要素は数え切れません。

強豪8カ国で〝持ち回り〟だったトロフィーが極東の島国にもたらされる、そんな ‘Upsets can be contagious’ が6月15日にテキサス州ダラスから届く「Unbelievable!Samurai Blue crushed the Netherlands.(まさか!青いサムライがオランダを粉砕してしまった!)」というニュースから火蓋が切られます。




ーーーまさか誰も優勝できるとは信じていなかったのに…


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2008年、オスカー・デラホーヤとのTHE DREAM MACTH の記者会見で「正気とは思えない。勝てると思っているのか?」と質問されたマニー〝パックマン〟パッキャオは「新聞やネットニュース、ブックメーカーの予想通りになるのなら、私は今、ここにいない」と答えました。

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デラホーヤ戦前
デラホーヤ戦前。パッキャオはPFP1位に君臨していましたが「勝ち目はない」と決めつけられていました。しかし「フライ級上がり」のパックマンはライト級で最強と見られていただけでなく、試合は145ポンドのキャッチウエイト。そして何よりも、全盛期のマニー・パッキャオ。勝利の条件は全て揃っていました。


英国で定着しているスポーツベッティングが、米国の多くの州で公認されるようになったのはここ10年ほどのこと。

日本国内では、まだ法律的に禁止されています。つまり、軽量級のボクシングのオッズは、この階級に興味・関心の低い英米のブックメーカーが出している数字です。人気階級ド真ん中で大活躍したパッキャオのオッズですら〝間違う〟のですから、軽量級のオッズは相当にいい加減です。

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6年前の2020年12月に行われた「井岡一翔vs田中恒成」では英米のブックメーカーがこぞって若さとスピードの明白な差から「井岡がアンダードッグ」と見ていましたが、日本のメディアとファンは「井岡がやや有利」と逆の見方をしていました。

「悪い意味でも真っ正直なボクシングをする恒成は、狡猾な井岡にとってやりにくい相手ではない」という見方は正鵠を射るものでしたが、それが今回の「井岡vs井上拓真」にも当てはまるか?となるとStyles make Fights、そうはならないでしょう。

今回のオッズは拓真の4/9(1.44倍)に対して、井岡が13/8(2.63倍)。「井岡vs恒成」と似通った掛け率になっています。一方で、日本での予想は圧倒的に拓真、井岡が勝てば大番狂わせの様相です。

フェルナンド・マルチネスに力負けした残像からも、井岡にとってバンタム級を主戦場にしてきた拓真はフィジカルで難しい相手に思えます。

しかし、拓真は恒成のようなスピードに欠け、前に出る力が弱いボクサー。番狂せを起こした那須川天心との覚醒試合では、第4ラウンドから距離を潰しに行く良い意味で〝らしくない勇気〟を見せましたが、天心と違いクロスレンジに苦手意識のない井岡は簡単に下がってくれないでしょう。

井岡は、恒成に続いて「花の95年組」の拓真と激突します。Battle of Age(世代の対決)という構図は変わらないものの相手のスタイルは全く違います。

そして、何よりも違うのは6年前のBattle of Ageは「31歳の井岡vs25歳の恒成」でしたが、今回は「37歳の井岡vs30歳の拓真」。Battle of Age のテーマは「その戦いは早すぎたのか?それとも遅すぎたのか?」。

25歳の恒成にとって31歳の井岡は「早すぎた」結果に終わりました。そして…37歳になった井岡にとって30歳の拓真との試合は「遅すぎた」ことになるのか?

それとも…?








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Saturday 21, February 2026
  
T-Mobile Arena, Las Vegas, Nevada, USA
commissionNevada Athletic Commission 
event nameThe Ring: High Stakes
promoterTom Brown, Oscar De La Hoya
matchmakerEric Gomez,
        Whitfield Haydon,
                       Javier Razo

 view on DAZN PPV 

WBAジュニアウエルター級12回戦

©︎ゲイリー・アントゥアン〝The Last〟ラッセル
vs
平岡〝Da Blade〟アンディ



ラッセルの評価の低いのは対戦相手の質。それを言い出すと、アンディのキャリア最高の相手は、日本に引っ張り込んだ41歳のイスマエル・バロッソ。

ただ、ラッセルが底を見せたファイターであるのに対して、アンディはまだ何も試されていません。

試合開始!

前半戦は難しい展開も、第6ラウンドになってようやく攻勢。アンディのボディショットに王者の顔が歪む。

第10ラウンド、アンディがローブローを取られて1点減点。これは痛い。

チャンピオンシップラウンド。アンディが意地の猛攻。倒せ!採点は微妙。

最終回もアンディが取ったか。

And New…を聞かせてくれ!!!!!

and still…オフィシャルは117-110/116-111*2のユナニマスで王者の防衛。


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前半、無駄にラウンドを与えてしまいました。結果論ですが。

117−110のスコアに「アンディが3ラウンドしか獲っていないなんてありえない」と、怒る会場のボクシングファンもいますが…。そうですね、117−110はない。

116−111も、アンディに厳しい。もっと競った内容でした。

じゃあ、負けはあり得ない不当判定か?と言われると…。

これが軽量級なら「もう一丁!」ですが、激戦の人気クラス。次のチャンスがいつ巡ってくるか…。
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Saturday 21, February 2026
  
T-Mobile Arena, Las Vegas, Nevada, USA
commission Nevada Athletic Commission
event name The Ring: High Stakes
promoter Tom Brown (TGB Promotions),
                Oscar De La Hoya (Golden Boy Promotions)
matchmaker Eric Gomez, Whitfield Haydon, Javier Razo
  view on DAZN PPV 


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平岡アンディ。

直近の試合は昨年ではなく、一昨年の9月(イスマエル・バロッソ戦)まで遡ります。

渇望のタイトルマッチがセットされたのは、昨年の11月14日。万全に仕上げた29歳は、あした渡米というタイミングで興行自体が中止になったことを知らされます。

そして、仕切り直しとなった今回。ビザが発給されない想定外のアクシデントに、本当に直前まで渡米できない可能性が膨らんでいました。

前日計量は0.5ポンドアンダーと余裕をもってクリアしたのも、急な展開でとにかく無理矢理にでも落としたんじゃないか?彫刻のように削り取られた肉体に、最高の仕上がりよりも脱水症状の心配をしてしまうのは杞憂か?

アウエーのラスベガス。「大健闘も微妙な判定負け」は十分にありえます。

さらに、挑戦するチャンピオンは強打のゲイリー・アントゥアン・ラッセル。早い段階でノックアウトされても、散々振り回されての直前の渡米、そんな〝事故〟も起こるでしょう。

本人には何の責任もないのに、幾つも重なった不運。

敗北の言い訳は、いくらでも用意されています。



だからこそ。

だからこそ!!!!!!!!!!!
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140ポンド、ジュニアウエルター級は日本人のタイトルホルダーを3人輩出しているとはいえ、33年以上も遠ざかっている難関階級です。

現在の勢力図は、1月31日に人気者テオフィモ・ロペスに完勝してリング誌/WBO王者の座に就いたシャクール・スティーブンソンが最強候補。

スティーブンソンの王座獲得は、大方の予想通りでした。

それに先立って、1月10日にスブリエル・マティアスをTKOで倒してIBFタイトルを強奪したダルトン・スミスは番狂せ。

わずか21日で二つのストラップの所有者が変わった140ポンド級。

明日、T -モバイルアリーナではオッズや予想の通りの結果が出るのか?それとも番狂せか?

もし、明日も2人の王者が陥落すると、今年に入ってまだ2ヶ月足らずで4つのタイトルが入れ替わることになります。

「誰が見たって強い選手が多い激戦階級だ。大きな試合が組める。だからこそ、やりがいもある」と話すIBF王者のリチャードソン・ヒッチンズは、オスカー・デュアルテの挑戦を受けます。


“Congratulations to him or whatnot, but he has a title, and he's on the radar. If I beat him, I feel like I would then earn the credit that I deserve, like I, Gary Antuanne Russell, is the true boogeyman of 140.”

WBC王者ゲイリー・アントゥアン・ラッセルは「スティーブンソンはロペスを相手に素晴らしいパフォーマンスを見せた。評価が上がるのも当然だ。ただ、私が彼を倒せば、その評価は全部こっちのもの」と語り、平岡アンディをクリアした先にあるビッグファイトを見据えています。

ヒッチンズとラッセルには、スティーブンソンのような評価も、スミスのような人気もありません。

ただ、この階級を統一すると、少なくとも高い評価が手に入ることはわかっています。




アンディが番狂せを起こすと、ジュニアウエルター級のトップ戦線に名を挙げることになります。

日本のボクシングファンが、この階級の価値を理解して期待を膨らませるなら、スティーブンソンを日本のリングに引っ張り上げることができるかもしれません。

スミスなら英国に乗り込むしかないかもしれませんが、それはそれでワクワクします。今度は渡航が遅れるなんてことはないでしょう。

大一番のゴングが打ち鳴らされる瞬間が近づいてきました。




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