2年前。
DAZNは「ボクシング界のビジネスモデルを変える」と宣言、米国ボクシングに〝参戦〟しました。
高額のPPVを購入して一部のマニアがメガファイトを観る時代は終わった。これからは月額わずか9.99ドルでこのスポーツを楽しむことができる時代になる。
しかし、DAZNが投資したボクシングの米国での立ち位置は正真正銘のニッチスポーツ。
カネロ・アルバレスとの11戦3億6500万ドル契約も馬鹿げて見えましたが、ゲンナディ・ゴロフキンと3年6試合を推定1億ドルで契約したことは「全試合カネロならまだしも、GGGの価値はカネロ以外の相手だと100万ドルがせいぜい。それほど人気がない」(HBO)というのが常識的な見方でした。
DAZNがこのビジネスに乗り出したのは2016年。「フロイド・メイウェザーvsマニー・パッキャオ」のビジネス面での余熱は十分すぎるほど残っていた時期です。「人気だけならメイパック以上」というカネロとの契約を急いだのは無理もなかったかもしれませんが…。
さらに、実質経営破綻していたWBSSに投資したのもビジネスとしては大失敗でした。米国のテレビ局が揃って無視した、不人気階級で行われた超不人気トーナメントWBSSは発足当初から〝詐欺的手法〟で出資者を募り、選手を欺いてきました。
もちろん、ご存知の通りWBSSの「バンタム級」は「日本だけ」とはいえ例外的・局地的な大成功を収めましたが、それはDAZNの経営手腕が優れていたからではありません。DAZNはほとんど恩恵を受けることが出来ませんでした。
そして、新型コロナのパンデミックで、DAZNが手がけるスポーツ界の試合は中止・延期に追い込まれてしまい、世界9カ国で視聴料の支払いは一時停止となります。
しかし、皮肉なことにこの状況がDAZNの短期的ながら収支決算を好転させます。
シンコデマヨに予定されていたカネロの試合、赤毛のメキシカンだけで4000万ドルの報酬を支払う契約を、とりあえずは履行する義務がなくなったのです。「カネロ戦は全てが赤字」と見られている中で、4000万ドル以上の支出を抑えることができたのです。
一方で 、2020年の年初で米国で約80万人とされた視聴者のほとんどがこの数ヶ月で契約解除したと見られています。DAZNは今年上半期の視聴者数の発表を見送っているので実数は不明ですが、公にできないレベルの数字ということでしょう。
DAZNが米国ビジネスをゼロから立て直さなければならない苦境に陥っているのは、100%間違いありません。
ましてや、コロナ前ですら赤字コンテンツだったボクシング部門をどうするのかも注目です。
昨年、機関投資家のゴールドマン・サックス証券が5億ドルを出資するなど、DAZNがすぐに倒産する状況ではないとはいえ、ここまで失敗を重ねているボクシングビジネスへの取り組みに大きな決断を下す可能性はあります。
5億ドル。大金ですが、カネロと3億6500万ドル契約を結んだことが、いかに馬鹿げていたかもよく分かる数字です。
DAZN再生には、米国で思い通りに伸びなかった視聴者数を同じやり方で再獲得すののでは、また失敗を繰り返すだけです。
従来のリースナブルな月額と年額視聴料でなく、特別なイベントはPPVでの配信に集約する方針とも囁かれています。
2019年の「英語圏」でのDAZNの配信時間はサッカー、野球、モータースポーツ、アメフトでボクシングはサッカーの1割にも満たない5番手。
ボクシングにおいては、WBSSで唯一無二の成功である「11月7日のさいたまスーパーアリーナ」が世界中の視聴者のほぼ全てが集中した日本市場で独占放映権を獲得できず、日本以外では極端に関心が低かったため、全くその恩恵にあずかれませんでした。
また、人口13億4000万人を抱えるインドでは、デオンティ・ワイルダーvsタイソン・フューリーが、まさかの2000件の販売数にとどまりました。
カネロについては最低保障で4000万ドルをゴールデンボーイ・プロモーションズ(GBP)に、GBPがそのうちの3500万ドルをカネロに支払う流れになっていました。
GBPは残りの500万ドルとゲート収入から、対戦相手とアンダーカードの選手報酬、プロモーション費用を捻出するのですから、手元にはほとんど残らないでしょう。
カラム・スミスに提示した「500万ドル」は、この状況下でもDAZNが4000万ドルを支払うことを前提とした「これ以上譲歩できない」ギリギリの金額だったのです。
しかし話しは逸れますが「アリ法」は素晴らしいですね。こういう金額も公表しなければならなくなりました。
さらに、ゲート収入がほとんど期待できないコロナ下で、GBPのエリック・ゴメスは「DAZNが支払いの大幅な減額を要求してきているのは一見、理解できる。しかし、現実にはコロナとは関係なしに非常に厳しい経営環境にあるのだろう。自分たちの経営失敗をコロナのせいにして大幅減額するなら話し合いの場は法廷になる」と冷めきっています。
GBPは、DAZNが米国で人気どころか認知もされていないWBSSに投資する際にも「米国の事情が全くわかっていない。WBSSの階級は米国で人気がないのが理解できていない。必ず失敗する」と警告していましたが…。
9月12日と日程だけが発表されているカネロの次戦ですが、7月26日現在でも対戦相手のアナウンスはありません。
景気の悪い話ですが、続きます。
DAZNは「ボクシング界のビジネスモデルを変える」と宣言、米国ボクシングに〝参戦〟しました。
高額のPPVを購入して一部のマニアがメガファイトを観る時代は終わった。これからは月額わずか9.99ドルでこのスポーツを楽しむことができる時代になる。
しかし、DAZNが投資したボクシングの米国での立ち位置は正真正銘のニッチスポーツ。
カネロ・アルバレスとの11戦3億6500万ドル契約も馬鹿げて見えましたが、ゲンナディ・ゴロフキンと3年6試合を推定1億ドルで契約したことは「全試合カネロならまだしも、GGGの価値はカネロ以外の相手だと100万ドルがせいぜい。それほど人気がない」(HBO)というのが常識的な見方でした。
DAZNがこのビジネスに乗り出したのは2016年。「フロイド・メイウェザーvsマニー・パッキャオ」のビジネス面での余熱は十分すぎるほど残っていた時期です。「人気だけならメイパック以上」というカネロとの契約を急いだのは無理もなかったかもしれませんが…。
さらに、実質経営破綻していたWBSSに投資したのもビジネスとしては大失敗でした。米国のテレビ局が揃って無視した、不人気階級で行われた超不人気トーナメントWBSSは発足当初から〝詐欺的手法〟で出資者を募り、選手を欺いてきました。
もちろん、ご存知の通りWBSSの「バンタム級」は「日本だけ」とはいえ例外的・局地的な大成功を収めましたが、それはDAZNの経営手腕が優れていたからではありません。DAZNはほとんど恩恵を受けることが出来ませんでした。
そして、新型コロナのパンデミックで、DAZNが手がけるスポーツ界の試合は中止・延期に追い込まれてしまい、世界9カ国で視聴料の支払いは一時停止となります。
しかし、皮肉なことにこの状況がDAZNの短期的ながら収支決算を好転させます。
シンコデマヨに予定されていたカネロの試合、赤毛のメキシカンだけで4000万ドルの報酬を支払う契約を、とりあえずは履行する義務がなくなったのです。「カネロ戦は全てが赤字」と見られている中で、4000万ドル以上の支出を抑えることができたのです。
一方で 、2020年の年初で米国で約80万人とされた視聴者のほとんどがこの数ヶ月で契約解除したと見られています。DAZNは今年上半期の視聴者数の発表を見送っているので実数は不明ですが、公にできないレベルの数字ということでしょう。
DAZNが米国ビジネスをゼロから立て直さなければならない苦境に陥っているのは、100%間違いありません。
ましてや、コロナ前ですら赤字コンテンツだったボクシング部門をどうするのかも注目です。
昨年、機関投資家のゴールドマン・サックス証券が5億ドルを出資するなど、DAZNがすぐに倒産する状況ではないとはいえ、ここまで失敗を重ねているボクシングビジネスへの取り組みに大きな決断を下す可能性はあります。
5億ドル。大金ですが、カネロと3億6500万ドル契約を結んだことが、いかに馬鹿げていたかもよく分かる数字です。
DAZN再生には、米国で思い通りに伸びなかった視聴者数を同じやり方で再獲得すののでは、また失敗を繰り返すだけです。
従来のリースナブルな月額と年額視聴料でなく、特別なイベントはPPVでの配信に集約する方針とも囁かれています。
2019年の「英語圏」でのDAZNの配信時間はサッカー、野球、モータースポーツ、アメフトでボクシングはサッカーの1割にも満たない5番手。
ボクシングにおいては、WBSSで唯一無二の成功である「11月7日のさいたまスーパーアリーナ」が世界中の視聴者のほぼ全てが集中した日本市場で独占放映権を獲得できず、日本以外では極端に関心が低かったため、全くその恩恵にあずかれませんでした。
また、人口13億4000万人を抱えるインドでは、デオンティ・ワイルダーvsタイソン・フューリーが、まさかの2000件の販売数にとどまりました。
カネロについては最低保障で4000万ドルをゴールデンボーイ・プロモーションズ(GBP)に、GBPがそのうちの3500万ドルをカネロに支払う流れになっていました。
GBPは残りの500万ドルとゲート収入から、対戦相手とアンダーカードの選手報酬、プロモーション費用を捻出するのですから、手元にはほとんど残らないでしょう。
カラム・スミスに提示した「500万ドル」は、この状況下でもDAZNが4000万ドルを支払うことを前提とした「これ以上譲歩できない」ギリギリの金額だったのです。
しかし話しは逸れますが「アリ法」は素晴らしいですね。こういう金額も公表しなければならなくなりました。
さらに、ゲート収入がほとんど期待できないコロナ下で、GBPのエリック・ゴメスは「DAZNが支払いの大幅な減額を要求してきているのは一見、理解できる。しかし、現実にはコロナとは関係なしに非常に厳しい経営環境にあるのだろう。自分たちの経営失敗をコロナのせいにして大幅減額するなら話し合いの場は法廷になる」と冷めきっています。
GBPは、DAZNが米国で人気どころか認知もされていないWBSSに投資する際にも「米国の事情が全くわかっていない。WBSSの階級は米国で人気がないのが理解できていない。必ず失敗する」と警告していましたが…。
9月12日と日程だけが発表されているカネロの次戦ですが、7月26日現在でも対戦相手のアナウンスはありません。
景気の悪い話ですが、続きます。







