フシ穴の眼 〜スポーツ疾風怒濤編〜

      Hope Lights Our Way / 希望の道を、つなごう。

カテゴリ: 国際ボクシング名誉の殿堂

2022年も上半期が終わろうとしています。

勝手ながら独断と偏見でFighter of the yearをノミネート。

4団体統一の、Undisputed championが支持される、ここ数年の傾向を考えると、今年新たに完全統一を果たしたファイターが有力になると思われます。
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Fighter of the year有力候補

◼️ジャーメル・チャーロ◼️

昨年、ドローに終わって持ち越されていたジュニアミドル級の完全統一。

ブライアン・カスターニョをストップ、完全決着という形も印象的でした。


◼️井上尚弥◼️

ジャーメルと同じように、前戦です苦戦したノニト・ドネアを粉砕して、Undisputed championに王手。

リング誌PFP1位に選出されたこともプラス材料。

年内に最後のピース、WBOを吸収するようならFighter of the yearは決定かもしれません。

ただし、12月下旬に選考されるため、大晦日興行はカウントされない可能性大。大晦日の試合は避けたいところです。


◼️デビン・ヘイニー◼️

三団体王者ワシル・ロマチェンコを大番狂わせで下したテオフィモ・ロペスを、やはり大番狂わせで破ったジョージ・カンボソスJr.を楽々と封じ込めて、4団体時代で初めてライト級のUndisputed championになりました。

カンボソスというカモネギ三冠王を相手に退屈な36分間を過ごしたのはマイナス点。

また、Undisputed championとはいえ、ロマチェンコやガーボンタ・デービスらに勝たなければ階級最強を証明出来ないという状況も「目覚ましい活躍をした」という印象を希薄にしています。


◼️ドミトリー・ビボル◼️

UP -SET of the year=年間最大番狂わせ賞も有力候補ですが、PFP1位のカネロ・アルバレスに完勝した印象は強烈。

世界的な注目はジャーメルや井上、ヘイニーを大きく凌駕したものの、カネロとの1試合だけでは専門家を納得させることは無理でしょう。

今週末にWBA/IBF王者アルトゥール・ベテルビエフとWBO王者ジョー・スミスJr.の勝者と年内に激突出来るなら、カネロ戦との合わせ技一本で、一気に大本命。



[条件付き]

上記の有力候補は上半期の結果から予想したもの。つまり、下半期にもっと有力なボクサーが躍り出るかもしれません。


◼️ゲンナジー・ゴロフキン◼️

村田諒太もの一戦はアジアで行われた歴史に残るメガファイト。

9月17日の「カネロ3」で圧倒的な勝利を収めるようなら、意外にもキャリア初のFighter of the yearが転がり込むかもしれません。


◼️テレンス・クロフォードor エロール・スペンスJr.◼️

この数年、噂はあれども形無しなファン熱望のカード。

「層が厚くレベルも高いウェルター級」「Undisputed champion」「全盛期の無敗王者が激突」「PFPファイター対決」…華やかなポップが立ち並ぶメガファイトに明白な形で勝った方がFighter of the yearに選ばれる可能性は高そうです。

ただ、年内に決まりますかね?

クロフォードを挑発しているジャーメルを倒してジュニアミドル級のUndisputed champion、4階級制覇なんて瓢箪から駒なら、BWAAで2014年以来、リング誌ではキャリア初のFighter of the yearもありえます。

ちなみに、2014年のリング誌がFighter of the year
に選んだのはセルゲイ・コバレフでした。




…他にもだれかいたかなぁ?




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忌々しいパンデミックが「良かった」ことなんて、何一つありません。

あってはいけません。

しかし、 今年のInternational Boxing Hall of Fameの式典は、パンデミックの影響で式典が開催できなかった2020、2021年も合わせたTriple Header となったのです。

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モダーン部門に選ばれた豪華絢爛なメンツ↑です。



日本人ではフィティング原田しか入神できていない殿堂。

しかし、井上尚弥は史上二人目がほぼ確実かもしれません。引退年のライバルにもよりますが、一発殿堂も十分ありえます(と思いたい!)。

しかし、よくよく考えると…。

毎年3人枠(というのもおかしな話で、それは後々お話しするとして)だと、例えば上のメンバーでメイウェザー、ロイ・ジョーンズJr.、バーナード・ホプキンスのレベルが3人揃う〝死のグループ〟に入ってしまうと、間違いなく4人目に落ちてしまう井上の一発殿堂は夢散してしまいます。

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現時点の井上では、さすがにこのメンツとはステージが違います…。井上も一発殿堂を確実にするにはFighter of the yearを最低1回は獲りたい!


マルケス、コット、ウォード、クリチコと比べたら…井上の現時点のレガシーはどうでしょうか?このメンツでも、かなり不安じゃないですか???

モズリーやトニーと比べても…全く安心はできません。

そう考えると、一発殿堂のハードルの高さがあらためてよくわかります。




どうなんでしょう?

少し目線を落として、現時点で区切って、井上とドネアのレガシーはどっちが上でしょうか。

PFP2年君臨のロマゴンには勝てるわけがないにしても、ドネアにも負けてますかね?

もちろん、何よりも、井上にはまだまだ未来が残されているので。ここで区切るのが間違っているのですが…。
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最も分かりやすいFighter of the year からおさらいです。

Fighter of the year サッカーでいうパロンドール、つまり年間最高選手賞。

「その年に最も目覚ましい活躍をしたファイター」に贈られる賞です。

では「目覚ましい活躍」とは何なのか?

最近5年間の受賞者から見てみましょう。

左が全米ボクシング記者協会(BWAA)右がリング誌Fighter of the year です。


【2017年】

ワシル・ロマチェンコワシル・ロマチェンコ
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▶︎何が評価されたか▶︎▶︎▶︎前年11月のニコラス・ウォータースから、この年はジェイソン・ソーサ、ミゲール・マリアガ、ギレルモ・リゴンドーと戦い3戦全勝、全ストップ勝ち。

いずれも、肉体的には大きなダメージを与えなくても、絶望的な技術差を見せつけて相手の心をヘシ折る〝ノー・モア・チェンコ〟勝ち。

リゴンドー戦では、まだプロ10戦目。アマチュア史上最高のボクサーが、プロのリングで失神KOよりも衝撃的な勝ち方があることを見せつけました。



【2018年】

オレクサンダー・ウシクオレクサンダー・ウシク
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▶︎何が評価されたか▶︎▶︎▶︎ウクライナ人が2連覇!WBSSのファーストシーズンで優勝、イベンダー・ホリフィールド以来、クルーザー級史上二人目、4団体時代では初のUndisputed Championに就きました。

〝クルーザー級のロマチェンコ〟は、本家が跳ね返された階級の壁を、のちに易々と突き破る大勝負を魅せてくれることになります。

バルト3国など欧州のボクシング市場も刺激しましたが、WBSSの路線は米国で人気ない階級を狙い撃ちにしたため、ファーストシーズンは米国で放送がありませんでした。



【2019年】

カネロ・アルバレスカネロ・アルバレス

この年は、ミドル級の強豪ダニエル・ジェイコブスとのクロスゲームを制し、ライトヘビー級でかつて絶対王政を敷いていたセルゲイ・コバレフを追いかけまわしてノックアウト。

「強豪とはいえジェイコブスとどっこい」「借金苦と前日計量のリバウンド制限の二重苦のコバレフ」…まともなボクシングファンは、ラスベガスから立ち昇る腐臭に鼻をつまみました。



【2020年】
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テオフィモ・ロペステオフィモ・ロペス&タイソン・フューリー

▶︎何が評価されたか▶︎▶︎▶︎リング誌はロペスとフューリーがW受賞。

ロペスは、パンデミックの最中とはいえ、ロマチェンコを大番狂わせで下した1試合だけ。ロマチェンコは肩の古傷が悪化していたから負けました。

人気はあるロペスですが、フィジカルは中谷正義の方がずっと上で、技術的にもどっこい。あの日のロマなら、今頃は中谷がFighter of the yearに輝いていたかもしれません。

。。。。。泥酔してると、我ながら好き嫌いがはっきり出るわい!



【2021年】

カネロ・アルバレス
カネロ・アルバレス

昨年のカネロは文句無し。以上。

。。。。。泥酔してると、我ながら好き嫌いがはっきり出るわい!


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メディアによって、評価が分かれるFighter of the yearももちろんあります。

2012年のFighter of the year はBWAAがノニト・ドネア、リング誌はファン・マヌエル・マルケスでした。

ドネアはこの年4試合を戦い、フライ級〜バンタム級〜ジュニアフェザー級の3階級を制覇(世界的にはジュニアバンタム級のタイトルは獲ったと認められていませんので、今でも4階級制覇です)。

バンタム級時代までの破壊的な強さは影を潜めたドネアは、一部の専門家から明らかな劣化も指摘されていましたが、多くのファンやメディアの目には、その蜃気楼がまだ見えていました。

一方のマルケスが2012年にリングに上がったのは、2度だけ。そのうち1試合はセルゲイ・フェドチェンコ相手のWBOジュニアウェルター級王者決定戦。Fighter of the year にはなんの効力もない一戦でしたが、もう1試合が歴史的に残る名勝負だったのです。

「2012年のFighter of the year。BWAAがドネアで、リング誌がマルケス」。

そう問いかけられて、軽量級に明るい日本のボクシングファンでもドネアのFighter of the year については「なんで獲ったんだっけ?」という人もいるかもしれません。
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しかし、マルケスのFighter of the year と聞けば「マニー・パッキャオを失神KOしたからだ!」とすぐに思い当たるでしょう。

BWAAは人気階級におもねることなく、軽量級のドネアの4試合を「目覚ましい活躍」と評価しました。

一方のリング誌は、世界中のボクシングファンを戦慄させたマルケスのカウンターを「目覚ましい活躍」と見たのです。

もし、リング誌的な視点からFighter of the year が選ばれてしまうと、欧米での関心が低い軽量級ボクサーに光が当てられるチャンスは益々少なくなってしまいます。

そもそもの注目度が低く、欧米で関心が薄い軽量級ボクサーには「目覚ましい活躍」など不可能ということになるのです。

PFPに2年も君臨しながらFighter of the year には一度も選ばれなかったローマン・ゴンサレスや、日本ではマニアがあれほど評価し、世界的にもリング誌PFP1位に立った井上尚弥が米国や英国市場でまともな需要が無いという悲劇は全てここに起因しています。

もし、100万ドルの報酬に一度も手が届かないチョコラティトが軽量級ではなくヘビー級で、タイソン・フューリーやアンソニー・ジョシュア、デオンティ・ワイルダーを圧倒していたなら、100万ドルどころか1億ドル稼いでForbesのアスリート長者番付に名前を刻んでいたかもしれません。

欧米は軽量級を嫌って無視しているというか、もっと最悪で視界にも入っていないのです。

しかし、しかし…日本でも、軽量級を蔑視しているなんてことはないでしょうか?

あってはいけないことですが…。

井上もバンタム級ではなくミドル級周辺の人気階級で同じことをやっていたなら、つまりエロール・スペンスやテレンス・クロフォード、カネロ・アルバレス、ゲンナジー・ゴロフキンを倒しまくっていたら、大坂なおみや錦織圭に後塵を浴びせてForbesのトップをメッシやフェデラーと争っていたかもしれません。

そして、日本でも「バロンドールと同じ〜」なんてマヌケな評価ではなく、正真正銘、本物の尊敬が集まっていたでしょう。
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もし、村田諒太の五輪金がミドル級ではなくバンタム級だったなら、電通がプロジェクトチームを立ち上げることは100%あり得ませんでした。

「Fighter of the year」と「PFP」、そして「IBHOF=International Boxing Hall of Fame=国際ボクシング名誉の殿堂」。

この三つは評価基準が違います。

その最大の違いは評価の対象となる「時間」です。

PFPはそれこそ「1試合」で順位が変わります。

Fighter of the yearは文字通り「1年間」。

そして、IBHOFは「キャリア全体」です。

PFFが過大評価を誘発しやすくてダメみたいな気もしてきますが、Fighter of the yearとIBHOFは、米国の人気階級に偏りがちですが、PFPは人気のない軽量級選手にも門戸を開いています。

まだまだ、続きます。。。。 
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井上尚弥のリング誌pound-for-pound =PFP1位で日本のメディアが大きく取り上げたPFP。

そこには「サッカーでいうとパロンドールを獲るようなもの」(上田晋也)という、大きな勘違いも横行しています。
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パロンドールは年間最高選手賞ですから、PFP1位ではなく、文字通りFighter of The the yearに該当します。

PFPと違い、Fighter of The the yearを受賞すると全米ボクシング記者協会(BWAA)ではトロフィー授与の式典を開催、リング誌でも「Fighter of The the year」と刻印されたベルトが贈られます。

最近のように、月に何度も交代するPFP1位でこれをやると大混乱を招いてしまいます。
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シュガー・レイ・ロビンソン トロフィーを手にするパッキャオ。

ボクサーの名誉には、先週末に式典が開催されたIBHOF=International Boxing Hall of Fame=国際ボクシング名誉の殿堂もあります。

この三つ、価値のある順番に並べたらどうなるのでしょうか?

もちろん、評価基準が違う三つを比較することに意味はありません。

とはいえ、格付けするなら、評価基準が曖昧で表彰制度もなく「意味がない」と揶揄されることもあるPFPキングがまず脱落するのでしょうか?

PFP1位になっても、Fighter of The the yearを受賞しても泣かなかったフロイド・メイウェザーが殿堂入りで咽び泣いたのは単純に年を取ったからなのでしょうか?

そもそもが泣き虫のマネーですからPFPやFighter of The the yearで泣いても良いんじゃないでしょうか?

ただ、メイウェザーやマニー・パッキャオはPFP1位はもちろん、Fighter of The the year、一発殿堂入り(パッキャオはまだ3年後ですが一発殿堂は疑いようもありません)、全てを手にしています。

そして、リング誌とESPNのPFP1位経験者は必ず殿堂入りしていますが、一発殿堂のウラジミール・クリチコがPFP1位になったことがないように、その逆もまた然りではありません。

それどころか、一発殿堂のアーツロ・ガッティやダニエル・サラゴサはFighter of The the yearはもちろん、PFPのベスト10経験すらありません。

彼らの全盛期は、今ほどインターネットの普及が進んでいなかったこともPFPに入りにくい環境にありました。

サラゴサに至ってはインターネットそのものが存在しない時代でした。

「サラゴサがカルロス・サラテを下して2階級制覇に成功した1988年2月のPFPは誰?」。この質問に答えることが出来る人は、世界中を探しても1人もいません。

PFPランキングっていつからあるの?という疑問は、そもそも今でもPFPランキングって本当に存在してるのか?という真理に突き刺さります。

例えば、今日2022年6月15日のリング誌PFPは井上尚弥ですが、6月11日まではオレクサンダー・ウシク、でした。

そして5月12日まではカネロ・アルバレスが1位。

1年後ですら「去年のPFP1位って誰?」という質問に誰も答えることは出来ません。

それでも…PFP1位は必ず一発殿堂入り。PFP1位は必ずしもFighter of The the yearではないが、Fighter of The the yearはPFP1位とは限らないという事実が横たわっています。

ややこしい書き方になってしまいましたが、ローマン・ゴンサレスはPFP1位に2年間も君臨、一発殿堂確実ですが、Fighter of The the yearには一度も獲れていません。

また、最近でもBWAAとリング誌で2020年のFighter of The the yearに輝いたテオフィモ・ロペスはPFP1位経験はなく、現状では殿堂入りもあり得ません。

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この相関関係を考えると、PFP1位>Fighter of The the year>殿堂入り という不等式が成り立ちそうで、同時にジャンケンのような関係性が浮かび上がってきます。

ただ、PFPの目を覆うばかりの液状的性格から、PFPの2位以下は記録はもちろん記憶にもとどまりにくいことはお分かりでしょう。

PFPはキングになって初めてマナイタの上に乗ることが出来るのです。

評価基準もその成り立ちも、歴史も全く違うPFPとFighter of The the year、そして殿堂。

PFPに関しては「井上が日本人初の1位」と言われても、具志堅用高らは「俺たちの時代はそんなの雑誌のお遊び企画でしかなかった」と笑うでしょう。

まあ、今でも雑誌のお遊びですが。

しかし、もっと、突き詰めてしまうと…。



さて、PFPとFighter of The the year、殿堂の評価基準と成り立ち、歴史を振り返ってゆきましょう。
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一生のうちに、一度は絶対、訪れたい場所。

いっぱいありすぎますが、殿堂ウィークのニューヨーク州カナストータはその最右翼です。

日本のボクサーではオールドタイマー部門で具志堅用高、大場政夫が〝入神〟していますが、モダーン部門は未だにファイティング原田ひとりだけ。しかも、原田は事実上の一発殿堂でした。

日本の現役選手では、井上尚弥が十分な殿堂候補。

1980〜2017年まで続いていたリング誌の年間PFP(Best Fighter poll)で1位を獲ったボクサーは全員が一発殿堂を決めてました。

電子版は、すでに今年前半だけでもカネロ→ウシク→井上とコロコロ変わっているように、年間PFP(Best Fighter poll)と同列には語れませんが、井上の一発殿堂は十分ありえます。



今日、フロイド・メイウェザーが登壇。「私は多くのことを成し遂げた。それでも、今この時が私のキャリアで最高の瞬間だ」と感激のあまりむせび泣きました。

これが殿堂です。

"I done a lot in my career, but this is by far the best," 


PFPランキングでも、山中慎介の名前を見て「誰だよ?こんなの入れるな」「PFPはゴミメディアの妄想か?」と、いつも文句ばかり垂れていたマネー。

そんなマネーでも殿堂は別格、いつものように下劣な言葉を吐くこともなく、泣きながら感謝の言葉を紡ぎました。

ファン・マヌエル・マルケスとミゲール・コットのスピーチもシブいんです。特に、コット!

 
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ここで原田のプレートを探すのって、間違いなく人生最高の愉悦です。
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ステージ右側のパビリオンの下には、「パレード・オブ・チャンピオンズ」でかつてマーベラス・マービン・ハグラーを乗せたクラシックカーが展示されているそうです。

殿堂の顔、カーメン・バジリオの死去に伴い、殿堂式典で最も愛されたボクサーの役割を担ったハグラーは、2021年3月に66歳で天国に旅立ちました。




ああ、、行きたいよー!

くそー、俺がアラブの石油王なら!!!

毎年行ってるのに!!!!! 
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一団体10階級時代に、史上初のフライ・バンタム2階級制覇。フェザー級でも二団体時代のWBCピースに肉薄したファイティング原田。
時代背景を考えると、それだけでもとんでもない偉業ですが、そのキャリアには「原田しか勝てなかった」エデル・ジョフレというグレートが鎮座してしまっているのです。
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そして、現在まで90人を超える世界王者を輩出してきた日本ボクシング史ですが、原田は白井義男に次ぐ二人目というのに、モダーン部門での殿堂入りは原田一人しか生み出せていません。

しかも、一発殿堂です。

当時の試合はテレビで驚異的な数字を叩き出していることからも、原田が国民的英雄だったことは容易に想像出来ますが、今では忘れられた存在です。

それでも、世界評価が飛び抜けて高いことが、この日本史上最高のボクサーの輪郭をハッキリと浮かび上がらせています。

それでも「ファイティング原田超え」の声が挙がったボクサーは、現在の井上尚弥の他にも瞬間的とはいえ出現して来ました。

その刹那の評価は泡と消えたとはいえ、文句なしの「原田超え」とは「ジョフレ超え」です。

世界=欧米という檻の中で軽量級で人気階級並みのビッグネームと巡り合えるなんて奇跡的な運任せであることを考えると、軽量級という枠の中で世界に「原田超え」を認めさせるのは至難の業です。

その、日本ボクシング史上、最も高く険しい壁に挑んだ5人のグレートと井上尚弥の相違点を探りながら「ファイティング原田の呪縛」から解き放たれる日が訪れることを期待します。

◀︎エントリーNo.1▶︎大場政夫

◀︎エントリーNo.2▶︎具志堅用高

◀︎エントリーNo.3▶︎辰吉丈一郎

◀︎エントリーNo.4▶︎長谷川穂積

◀︎エントリーNo.5▶︎西岡利晃


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軽量級、フェザー級を語るとき、絶対に欠かせない名前がいくつかあります。

エウゼビオ・ペドロサも間違いなくその一人です。

日本でもロイヤル小林やスパイダー根本を相手に、その技巧とスタミナを披露、日本人の挑戦を阻み、世界のフェザー級がどれほどの高みにあるのかを、極東のファンに思い知らせてくれました。

「パナマのサソリ」と畏怖された、そのグレートが3月1日に膵臓癌のため亡くなりました。

62歳の生涯でした。
 
Many fighters earn the “road warrior” tag in their careers, but few wore it as prominently as did Eusebio Pedroza.  ボクシングの世界では「ロードウォリアー」(敵地で戦う勇者)という言葉がよく使われるが、エウセビオ・ペドラサよりもそれが当てはまるボクサーはまずいない。〜リング誌

BoxRecでは1956年3月2日生まれの62歳。ウィキペディアでは1953年3月2日生まれの65歳とボクサーによくある〝生年不明〟ですが、ESPNをはじめ米国の大手メディアが報じている62歳が正解でしょうか。

いずれにしても、明日が誕生日という日に天国に旅立ちました。

通常、年齢をサバ読むのは若く見せるためですが、ボクサーの場合はその逆も多く見られます。
プロ資格の年齢に達していないための方便で、マニー・パッキャオの例が有名です。

青少年の健康と安全がより重視されるようになった現代では、最近でも問題になったムエタイ選手の事故死など絶対にあってはいけない悲劇です。

もっと厳しく取り締まらなければなりません。

それにしても、ペドロサです。

日本では身長177㎝と紹介されることもありましたが、多くのデータでは5フィート9インチ(173㎝)、リーチは174㎝です。

日本のボクシングファンにとっては、本当に気高く厚い壁でした。

殿堂入りのグレートは1973年プロデビュー。それから1992年までの20年間にも及ぶ長い時間を、この過酷な職業に従事したのです。

フェザー級王者としての伝説的な治世は1978年から1985年の8年間に渡り、なんと19連続防衛を成し遂げ、そのうち13度も敵地で戦ったのです。

この栄光に彩られたキャリアですが、前半は必ずしも順風満帆とはいきませんでした。

母国パナマ国内でのみ戦っていたペドロサが、世界初挑戦のチャンスを掴んだのは1976年4月3日。

14勝9KO1敗の好成績を引っ提げて、22歳の若者は初の海外遠征、その舞台メキシコに勇躍乗り込みました。

しかし、相手はWBAバンタム級王座に君臨しているアルフォンソ・サモラ。こちらは20歳の若さで「全階級を通じて最強打者」と言われた稀代のビッグパンチャーです。

経験が乏しく、優しい性根のパナマ人が過酷な減量で衰弱した肉体で戦うには、最も相性の悪い相手でした。

24戦全勝全KO、自信満々のメキシカンが羽織った魔法のガウンを脱がす術など、当時のペドロサは持ち合わせていません。

わずか2ラウンドで世界の夢を木っ端微塵に打ち砕かれてしまいます。

続く復帰戦でも、強打のベネズエラ人、オスカー・アーナルの地元カラカスのリングでKO負け。

長身のフェザーは「グラスジョーの内弁慶」と嘲笑されました。

その後、引退までに3つの敗北を追加してしまいますが、KO・TKO負けは一度もありませんでした。なんという図抜けた学習能力の高さなんでしょう。

引退後は母国での人気と知名度から政界にも進出、ボクサーには珍しい堅実な生き様が印象的なグレートでした。

パナマのサソリが躍動した1978年から1985年は、モハメド・アリが晩年から引退とボクシング界は〝日没〟を迎えていました。

しかし、一方でファンの価値観は多様化、ヘビー級が沈んでも、ヒスパニックのボクシング文化は日の出を迎えていました。

ヒスパニック、つまりは中軽量級の時代です。

ロイヤルとスパイダー、ルーベン・オリバレス、ロッキー・ロックリッジにホルヘ・ルハン、ファン・ラポルテ・・・富裕国や人気者のボクサーが待ち構える敵地でも好んで戦い、世界にその技巧を誇示した〝スコーピオン〟。

その姿からは、かつてのひ弱さはカケラも見つけることは出来ません。

エウセビオ・ペドラサのキャリアは、魅惑的な山岳小説であり、多くの人々を引き込む成長物語でした。

20連続防衛を止められたバリー・マクギガンとの試合では、フェザー級史上最高(当時)報酬の100万ドルを受け取ります。

現在、軽量級きっての高額所得者レオ・サンタクルスも100万ドルプレイヤーですが、ペドラサの100万ドルは、今から30年以上前の話です。

その後、フェザー級ではイエメン王国の庇護と寵愛に後押しされたナジーム・ハメドや、ボクシング大国メキシコのPFPファイター、マルコ・アントニオ・バレラやエリック・モラレスが1試合100万ドルの壁を大きく上回る報酬を手に入れますが、彼らはAサイドのボクサーです。

軽量級のパナマ人であるペドロサは、ある意味で同胞のロベルト・デュランよりも大きな荷物を背負って戦っていたのかもしれません。

中量級のデュランは米国という多国籍国家に歓迎されましたが、軽量級のペドロサは日本や韓国、英国など、開放度という点で米国とは比較にならない国で戦わなければなりませんでした。


62歳。若すぎます。


「ロイヤルのパンチが当たれば倒せる」と応援していた日本のファンを、絶望の谷に突き落とした、ペドロサのしなやかな強さは忘れられません。

It was a pleasure to share the ring with him. ~Barry McGuigan

偉大なペドロサと戦えたことは人生最高の喜びの一つだ。 バリー・マクギガン。

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リング誌、ESPNよりも格式高いFighter of The Year が 、Boxing Writers Association of America選出のFighter of The Yearです。

全米ボクシング記者会ですね。

Fighter of The Yearは「シュガー・レイ・ロビンソン賞」、ボクサーにとって最高の名誉です。昨年はワシル・ロマチェンコが初受賞。

アジアからはマニー・パッキャオが史上最多タイの三度(他にはモハメド・アリ、ジョー・フレイジャー、シュガー・レイ・レナード、イベンダー・ホリフィールド、フロイド・メイウェザー)に輝き、ノニト・ドネアも2012年に受賞しています。
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ボクサーにとって最高の名誉シュガー・レイ・ロビンソン賞をアリらとともに史上最多3度も獲得したパッキャオ。

「米国市場で活躍したボクサーに偏重している」というやっかみもありますが、21世紀になってからでもリッキー・ハットン(2005年)、カール・フランプトン(2016年)が受賞しています。そうはいっても「“英”米に偏重」していますが。

BWAAは、このFighter of The Yearの上(?)に、Fighter of The Decadeという年間ならぬ
「10年最高選手」といものも表彰しています。直近2000~2009年ではマニー・パッキャオが
文句なしで選ばれました。

しかし、2000~2003年に全盛期だったロイ・ジョーンズのことはみんな忘れてしまっていました。

こんな感じで、ラウンドの採点同様に、後半(十年期の末期)に印象的な活躍をしたボクサーが有利になるという違和感を覚えるケースもままあります。

そして、このBWAAは International Boxing Hall of Fame(ボクシング殿堂)の選出も行っています。

Fighter of The Yearがその年の熱狂で選ばれることがあるのに対して、殿堂は引退5年後から資格発生、
いわゆる“頭を冷やす時間”が十分あるのです。

年に最大三人が“入神”する殿堂よりも、年に一人しか受賞できない
Fighter of The Yearの方が価値も
あるし、難易度も高いと思われがちですが「現実には頭を冷やして考えると、あいつは大した
ことなかったから殿堂はナシ」なんてボクサーもいます。

今年、一発殿堂(資格発生即殿堂入り)が期待されたリッキー・ハットンがそうです。今年選ばれ
たのはビタリ・クリチコ、エリック・モラレス、ウィンキー・ライトの三人、英国のヒットマンは
選から漏れてしまいました。

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殿堂の選考には明確な基準は無く、ダニエル・サラゴサやアーツロ・ガッティのような普通の神経を持ったボクシングファンなら首を傾げる一発殿堂もありました。

サラゴサがありなら渡辺二郎もありだろう、ガッティありなら畑山隆則もありだろう、と思ってしまいます。

まあ、しかし「世界評価」を得たいのなら、奴らのモノサシに適う活躍を見せるしかありません。

奴らは、見掛け倒しの数字を最も嫌います。レオ・ガメスやウィラポン・ナコンルンアンプロモーションは殿堂選考委員の嫌われ者です。奴らが重視するのは「誰に勝ったか、その勝利がフロックではなかったか」です。

奴らの評価基準と、どうしたら日本人ボクサーがファイティング原田以来の、近代部門での殿堂入りが果たせるのか、もう少し考えてゆきます。
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かつて日本人には敷居が高かったリング誌やESPNのランキングでしたが、内山高志や山中慎介、井上尚弥が続々とランクイン。しかし、日本人ボクサーの米国市場での注目度は依然として低く、両メディアで大きく特集されることはありません。井上には、パックマンのように米国の石頭をカチ割るような大活躍を激しく熱く期待します!=ESPNマガジン〜世界を支配した20人のアスリート」より。ボクシング界からは、マネーが8位、マニーが19位に入りました。


世界で活躍する日本人アスリートが増え、「世界評価」に関して多くの記事を新聞やネットで読むことが出来るようになりました。

プロボクシングでも、米国メディアの評価に多くのファンが注目しています。

「リング誌のPFPランキングで井上が6位に上がった」「ボブ・アラムが村田諒太は体格差を活かしてゲンナディ・ゴロフキンに勝てると見ている」…。

日本のボクサーが「ラスベガスで試合がしたい」「ビッグネームと戦いたい」と熱望するとき、それは「世界評価を得たい」からです。

では、世界評価とは具体的には何なのでしょうか?

かつてBoxing Scene.com は長谷川穂積と西岡利晃をPFP10傑に数え、井上尚弥を2014年のFighter of The Yearに選出しましたが、それをもって「長谷川や西岡もPFPファイター」「井上は世界最高選手」と喜んだファンはいないでしょう。

権威あるリング誌や、世界最大のスポーツメディアESPNよりも、Boxing Scene.com の格が落ちると考えられているのかもしれません。

では、最も権威あるFighter of The Yearは、リング誌とESPNが双璧なのでしょうか。

最近の両メディアのFighter of The Yearですが、意外なことに食い違っている年が多いのです。

2012年はリング誌がノニト・ドネアで、ESPNはファン・マヌエル・マルケス。続く2013年もアドニス・スティーブンソンにフロイド・メイウェザー、2014年はセルゲイ・コバレフにテレンス・クロフォード、2015年はタイソン・ヒューリーとカネロ・アルバレスと4年連続で一致しません。

2016年はカール・フランプトンで〝合意〟するも、昨年はワシル・ロマチェンコとクロフォードと食い違いました。

確かに、非常に難しい選択です。例えば昨年のロマチェンコvsクロフォードなんて、同じ専門家でも聞く日が違えば違う答えが返って来そうです。

では最も名誉あるFighter of The Yearは、かつてのマニー・パッキャオのようにリング誌でもESPNでも満場一致で選ばれることなのでしょうか?

…違いますね。
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