カテゴリ: 複数階級制覇

複数階級制覇とPFPは、事実と妄想。一見、対極のように見えて浅からぬ関係です。

階級(体重)を上げて戦い、大きな成果をあげるということは、PFP(体重同一時)評価に直結します。

112ポンド(フライ級)でLineal championになったマニー・パッキャオは、4階級上のフェザー級、7階級上のジュニアウエルター級、8階級上の147ポンドでもその座に就きました。

彼を史上最高のPFPキングと評価しなくてどうするのか?

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10代、20代、30代、40代で世界チャンピオン。4つのディケイドでも世界チャンピオン。これも「記録は破られるためにある」とはいえ、更新するのは不可能と言われています。


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しかし…。

ヘビー級に目を移してしまうと、もはやPFPの馬鹿馬鹿しさが耐え難いレベルであることを改めて思い知らされてしまいます。

PFP大好きな幼稚な私としては忸怩たる思いですが、体重を増やして複数階級制覇ではなく、当日体重でも絶望的な格差のあることが珍しくないヘビー級で戦うオレクサンデル・ウシクのような小さく軽いファイターが巨人に勝利する姿は、PFPを完全に愚弄していると言えるでしょう。

もちろん、小さなヘビー級王者が全て素晴らしいわけではありません。

小さいけれど当時としては重かったマイク・タイソンは、強い相手には結局一人も勝てず、大きく重い相手を苦手にしていたため後世の評価は低迷しています。

ウシクとタイソンの差は機動性の違いです。タイソンは「下がったらアウト」のバックステップが踏めない香車のような欠陥品でしたが、ウシクは360度どこにでも滑らかに動いて巨人を翻弄します。その点では、モハメド・アリよりも上かもしれません。

では、本当の意味でのPFPキング、最強の複数階級制覇はウシクで決まりなのでしょうか?

一方で、そう考えてしまうと軽量級の複数階級制覇は論外ですが、「ヘビー級はずるい」という思いも湧いてきます。

小さく軽いけど強いヘビー級と、パッキャオではどちらが「難易度」が高いか?となると、パッキャオのような気もしてきます。

「体重の壁を乗り越えている」という点では圧倒的にウシクですが、ボブ・フィッツモンズやマイケル・スピンクス、イベンダー・ホリフィールドもそうでした。

しかし、フライ級からジュニアミドル級までを渡り歩いたパッキャオには前例がありません。これからも不世出に思えます…。




さて、ガシガシ続きます。



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まず、最初にリストアップしなければならないのは史上最多の8階級制覇のマニー・パッキャオ。

フライ級を皮切りにジュニアバンタム級とバンタム級をスキップ、ジュニアフェザー級、フェザー級、ジュニアライト級、ライト級、ジュニアウエルター級、ウエルター級、ジュニアミドル級で世界王者に。

この8階級の中でフライ級とフェザー級、ジュニアライト級、ライト級、ジュニアウエルター級、ウエルター級の5階級でLineal 王者。これも史上唯一。この5階級制覇はエグい。

8階級制覇の下はオスカー・デラホーヤらの「6」、 Lineal5階級制覇の下はヘンリー・アームストロングらの「3」と、2番手を引き離す数字上の傑出度は際立っています。

「最強の複数階級制覇は誰だ?」。この答えは、数字の上ではもうパッキャオしかありえません。

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しかし、アジアの奇跡が獲得した8つのタイトルのうちフライ級、ジュニアフェザー級、フェザー級、ジュニアライト級までの4つは人気階級とは言い難い、欧米では存在すらあやふやなクラス。

最近では、ウエルター級のジャロン・エニスが「フィラデルフィアにスポーツのチャンピオンを取り戻した」と話題になっていましたが、待て待て待て待て!その前にスティーブン・フルトンがジュニアフェザー級で王者になってるじゃないかと思いましたが、欧米ではよほどのマニアでない限り普通のボクシングファンは超軽量級には全く関心がなく、普通のスポーツファンはボクシングに関心がない、それが現実です。

さて、そんなわけでマニー・パッキャオの8階級制覇も世界を震撼させた偉業と言えるかどうかは微妙で、普通のボクシングファンに限っても「8階級制覇ー不人気階級=4階級制覇」という引き算が当たり前の感覚かもしれません。

彼らに、ジュニアライト級までの超軽量級での複数階級制覇と、ライト級以上の複数階級制覇を「数字的には同じ」と同列に見る思考回路がないのは疑いようがありません。

となると、デラホーヤ(ジュニアライト級王者からスタート)のライト級、ジュニアウェルター級、ウェルター級、ジュニアミドル級、ミドル級の5階級制覇の方がパッキャオより上ではないか?という見方もありかもしれません。

さらに、人間が勝手にでっち上げた17階級を一旦取り外して、純粋な体重だけで考えるとパッキャオは112ポンドのフライ級から154ポンドのジュニアミドル級のわずか42ポンドの幅で王者になっただけです。しかも、パッキャオは階級を上げるごとに増量して、対戦相手とほぼ互角の体重で8階級制覇したのです。

対して、ライトヘビー級(175ポンド)王者のマイケル・スピンクスは221ポンド1/2のヘビー級王者ラリー・ホームズを攻略。

クルーザー級(190/200ポンド※1)王者のイベンダー・ホリフィールドとオレクサンデル・ウシクは、246ポンドのバスター・ダグラス、240ポンドのアンソニー・ジョシュアに勝利してヘビー級タイトルを獲得しています。

しかし、彼らは僅か2階級制覇。数字上は「4」の井上尚弥や井岡一翔はもちろん、「3」の亀田興毅以下です。

パッキャオの数字上の「8」よりも、スピンクスやホリフィールド、ウシクの中身のある「2」の方を評価すべきという考え方を否定できる人はいないでしょう。

しかも、パッキャオらヘビー級を絡めない複数階級制覇は当該階級の体重で戦っている(パッキャオのジュニアミドルは異例※2)のに対して、スピンクスらは増量はしているものの依然として大きな体重ハンデを背負ってヘビー級の猛者たちと拳を交えたのです。

こうなってくると、ヘビー級の〝軽量〟ファイターの方が、下手な複数階級制覇よりもはるかに大きな体重差を乗り越えて戦っていることになります。

これを言い出すことは、全ての階級は平等という麗しき博愛主義を汚し、PFPをお遊びですらない全く無意味な概念に追いやってしまうのですが…。

というか、今回のテーマ「最強の複数階級制覇は誰だ!?」の答えはヘビー級の中から探すことになるという、下手したら複数階級制覇していないモハメド・アリになってしまうかもしれないという、訳のわからない世界に突入しそうです。

それでもPFPの博愛主義に則って、納得できる「最強の複数階級制覇」トップ10を作成してゆきます。

もちろん、パッキャオとウシクはトップ10当確ですが…。



※1…ホリフィールドの時代のクルーザー級リミットは190ポンドでしたが、大型化が進むヘビー級との差を埋めるために200ポンドに改正されました。

※2…アントニオ・マルガリートとの150ポンドキャッチウェイトでのWBCジュニアミドル級王者決定戦で、パッキャオは動きが鈍る増量を諦めてウエルター級リミットも大きく下回る144ポンド1/2で計量。

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PRIME VIDEO PRESENTS LIVE BOXING7

2月24日 両国国技館

コミッション:日本ボクシングコミッション
プロモーター:本田明彦(帝拳プロモーションズ)

WBCバンタム級タイトルマッチ

©️アレハンドロ・サンチアゴvs中谷潤人

7ヶ月前にアンドリュー・モロニーを痛烈に鎮めて、ジュニアバンタム級のタイトル(空位のWBOストラップ)を獲得したばかりの中谷が、3階級制覇を賭けて28歳のメキシカンに挑みます。

フライ級のジーメル・マグラモ戦、ジュニアバンタムのモロニー戦はいずれも空位のタイトルを争った決定戦だったので、今回が始めての王者挑戦。

マグラモ戦から数えて5試合で2階級制覇、24日のサンチアゴ戦でも勝利すると7試合で3階級制覇したことになります。

世界には1試合で2階級制覇したシュガー・レイ・レナードのような傑物?もいますが、足早の複数階級制覇であることは間違いありません。

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身長172㎝の中谷は本人が語るまでもなく「バンタムは通過点」。認定団体の忖度を受けながら、得体の知れない相手との決定戦なら、ジュニアライト級までの6階級でアルファベットタイトルを拾い上げても、大きな驚きはありません。

中谷がこれまで拳を交えた26人のファイターを見渡すと、サンチアゴも含めた7人で無敗のボクサーは一人もいません。また、Transnational Boxing Ranking BoadやESPNのようなまともな世界ランキングでトップ5に入る選手もいません。

数字的な表層では「王座獲得は決定戦だけ=王者に勝った経験ゼロ」「強豪相手の試合経験ゼロ」は、全くもってその通りです。

だというのに、この26歳の日本人は飛び抜けて高い世界評価を集めているのです。

やってることは亀田興毅と何も変わらない気もしますが、結局は対戦相手の質です。

亀田興が得体の知れない相手や、完全ロートルを相手にアルファベットのストラップをいたずらにコレクションしたのとは違い、中谷の相手は揃いも揃って〝得体が知れている〟のです。

亀田とは違うのだよ、亀田とは!





直近3試合でも井岡一翔が手こずったフランシスコ・ロドリゲス、ファン・フランシスコ・エストラーダとクロスゲームを演じたアルヒ・コルテス、世界トップ戦線で活躍する元王者モロニーに対して完勝を収めているのです。

三段論法は通用しないのがスポーツですから、これをもって「中谷は井岡やエストラーダよりも強い」とは言えません。しかし「中谷は少なくとも井岡やエストラーダの領域に達している」と考えるのは間違いではありません。

まだ発展途上の26歳で、あの領域に達しているのが確実視されているのですから、そりゃ世界評価も高くなるわけです。

サンチアゴは直近3試合をデビッド・カルモナ、アントニオ・ニエベス、ノニト・ドネアと井上尚弥が喰い散らかした相手に勝利。

特に、ドネアとのWBC王者決定戦は、ドネアが8/13(1.62倍)、サンチアゴ13/10(2.3倍)と不利予想を跳ね返しての番狂せで戴冠しました。

それでも「サンチアゴが中谷相手に初防衛に成功したらUpset Of The Yearの有力候補」(ESPN)と言われるほど、両者の実力差は大きいと見られています。

オッズを見ても中谷の2/7(1.29倍)に対して、サンチアゴは1/5(6倍)とミスマッチ一歩手前の数字です。

キャリア最重量の118ポンドデビューで、タフネスが取り柄のメキシカンが相手というのは危険な香りも漂ってきそうですが、サウスポーのゲイリー・アントニオ・ラッセルとグダグダの試合を展開してしまったサンチアゴには、中谷はあまりにも荷が重いように感じられてしまいます。

〝Peque(小さい)〟サンチアゴはドネア戦では中途半端な距離を取らずに上手く懐に潜り混んでいましたが、中谷は一面的なボクシングしか出来ないドネアとは違い、臨機応変でアッパーカットも得意。中谷のアッパーがキーパンチになるかもしれません。
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PRIME VIDEO PRESENTS LIVE BOXING7

2月24日 両国国技館

コミッション:日本ボクシングコミッション
プロモーター:本田明彦(帝拳プロモーションズ)

あと一週間を切ったトリプル世界戦。

田中恒成が2020年大晦日にWBO王者・井岡一翔にプロ初黒星を喫して以来、3年と55日ぶりのジュニアバンタム級へ再挑戦します。

その井岡が返上して空位になったWBO王座を争うのは、クリスチャン・バカセグア。

バカセグアは2015年7月31日のデビューから28試合(22勝9KO4敗2分)を戦い、WBOの地域タイトルをピックアップしながらランキングを上げてきたメキシカン。

全試合をメキシコ国内で戦い、世界挑戦のチャンスを窺っていた26歳は「日本で大きな試合を戦う夢が実現した」と、モチベーションはマックスです。

いくつかのデータを漁りましたが、身長/リーチは不明。ライト級でデビューして、ジュニアフェザー級からバンタム級を主戦場にしてきた〝ロッキー〟バカセグア。スムースな減量に成功していたなら、フィジカル面でタフな相手になるかもしれません。

とはいえ、恒成の20戦(19勝11KO1敗)とは対戦相手の質が全く違います。

28歳のスピードスターは世界戦で9勝5KO1敗。ストロー級からフライ級まで無敗のまま3階級制覇。

そのうち二つは決定戦。4階級制覇に挑む今回も決定戦ですが、複数階級制覇を急いで一つの階級に拘らない現代のトレンドを考えると、この点は〝重箱の隅〟にすらなりません。

それよりも、ビック・サルダール、アンヘル・アコスタ、ジョナサン・ゴンサレスと未来の世界王者を3人も退けていることに注目すべきでしょう。


恒成とのスパーリングで井上尚弥が驚いたように、ハンドスピードだけならPFPトップレベル。そのスピードに、世界基準の相手とも対戦経験がないバカセグアが対応できるとは到底考えられません。

ウィリアム・ヒルは恒成の勝利に1/4(1.25倍)、バカセグア3/1(4倍)と叩いていますが、無名のメキシカンにかなり好意的な数字に映ります。


下馬評通りに恒成が勝つと、オスカー・デラホーヤ24戦を上回り、史上最速の21戦目、フェルナンド・モンティエルらを更新する史上初WBOだけでの4階級制覇と〝ダブルの世界記録〟もかかっていますが、これは安易に世界挑戦できる日本人軽量級スターの特権。欧米の人気階級ではあり得ません。

ストロー級からジュニアバンタム級までの4階級制覇を達成すると、レオ・ガメス、ローマン・ゴンサレス、ドニー・ニエテス、井岡一翔に続く5人目。4階級とはいえ、その重量スパンは105〜115のわずか10ポンド。競技人口や専業ボクサーの比率を考えると、最も難易度が低い4階級制覇と言い切って良いでしょう。

とはいえ、ガメスを除いた3人はいずれもPFPに名前を刻んでいるように、対戦相手の質は決して低くありません。

今回、恒成がバカセグアを圧倒的に倒してもPFP入りはないでしょうが、ジュニアバンタム級はこの5〜6年で全階級を通して最も多くのPFPファイターを送り込んできた〝PFP工場〟。

ファン・フランシスコ・エストラーダ、井岡といった古豪に、無敗のIBF王者フェルナンド・マルチネス、フライ級から再び115ポンドへの参戦が予想されるPFPファイターにして人気者のバム・ロドリゲスと、評価の高い名前が揃っています。

井岡に敗れてから3年あまり。陽の当たる場所から遠ざかっていた恒成でしたが、今年中にもPFP入り、名古屋にも東京にも引っ張り込むのが難しいバムとのPFP対決が実現すると、日本のボクシングファンにとってはたまらない展開になります。



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2月24日(久しぶりのウィークデイ、土曜日だ〜)、両国国技館。

「WBAバンタム級王者・井上拓真vsジェルウィン・アンカハス」「WBCバンタム級王者アレハンドロ・サンチアゴvs中谷潤人」のバンタム級タイトルマッチに加えて、WBOジュニアバンタム級王者決定戦「田中恒成vsクリスチャン・バカセグア」も行われます。



中谷潤人が返上したWBOストラップを恒成と、初の海外遠征となるメキシカンが争うのですが、「日本が勝手にできる軽量級」(村田諒太)らしい、都合の良いトコロテン方式。

バカセグアの試合を見たことはありませんが、ロッキーという渾名を持つことからガッツのある好戦的なファイターと思われます。とはいえ22勝(4敗2分)のうちKOはわずか9。

好戦的だがパンチはない…恒成にとっては注文通りの料理が出てきた感じです。

4階級制覇を狙う日本人が劣っているとしたら、バカセグアが二つ年下の26歳という若さだけ。

恒成の相手の良さまで引き出しちゃう〝プロレス型ボクシング〟は嫌いじゃありませんが、損なスタイルです。

ウィリアム・ヒルのオッズは恒成が1/4(1.25倍)、3/1(4倍)。東海のスピードスターに、世界レベルとの対戦経験がないメキシカンは試合終了のゴングを聞けないというのが大方の予想です。

日本人3人目の4階級制覇へ、視界良好です。
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ライト級のUndisputed champion、デビン・ヘイニーは、WBCジュニアウェルター級王者レジス・プログレイスからダウンを奪うオマケ付きの完封劇を見せたリング上で、自身の評価への不満をぶちまけました。

「こんな勝ち方を誰が予想した?俺は完璧なファイターなんだ。それなのに、外野はいつもヤジを飛ばしてくる。ヘイニーは売れない、人気がない?今夜のチケット1万6000枚はソールドアウトだ。ヘイニーは非力?いま、見ただろう!ダウンも奪ったしパワーで何度もぐらつかせた。まだ、何か言いたいことがあるのか?」。

"I'm a complete fighter, but they going to always say something," Haney told ESPN after the fight. "First they said I couldn't sell. I just sold it out, 16,000. They said I didn't have no power. I went in there and dropped him early, hurt him multiple times. What are they going to say now?"

この試合は素晴らしい出来でした。しかし、強豪相手にあれほどの差をみせつけながら、やはりKOできませんでした。

もちろん、一番はスタイルの問題です。

しかし、ワシル・ロマチェンコ戦での煮えきれなさに代表される世界戦での臆病な安全運転ぶりはファンを幻滅させてきました。

ロマチェンコを介錯する、引導を渡す、という内容とは程遠いものでした。

ジュニアウェルター級でもストラップを掴んだヘイニーですが、人気がない、非力だという非難に嫌気がさしたのか、文句なしの階級への進出をほのめかしています。

全階級を通じて最も強豪がひしめくウェルター級です。

ウェルター級もテレンス・クロフォードが長年待望されたエロール・スペンスJr.との完全統一戦に勝利してundisputed championになったばかりですが、すでにIBFがタイトルを剥奪、暫定王者ジャロン・エニスを正規王者に格上げ、他のストラップもクロフォードが返上すると速やかに暫定王者が正規に格上げされる状況です。

認定団体が統一戦を受け入れるようになった背景は、そういうことです。

彼らにとって最も不都合なことは、undisputed championが長期政権を築くこと。そんなことになったら、1団体時代と変わりません。

完全統一したら、さっさと次の階級に行ってくれるのは、認定ビジネスにとっては最高に好都合なのです。
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"That is my last fight. I told my family if I lost, that is my last fight."

「これで引退する。家族にもこの試合で負けたら引退すると伝えていた」という38歳のホルヘ・リナレスは、直近4連敗。


"To lose with this guy, I feel amazing; I feel happy," Linares said. "... He's an amazing fighter. ... I don't need to fight anymore. I'm super happy with this fight."

「強い相手に負けたんだから、悪い気はしない。カテロールは素晴らしいファイター。私にはもうこれ以上戦う理由がなくなった。最後にこんな試合ができて、スーパーハッピーだ」。



Punch Stats

PUNCHESCATTERALL LINARES
Total landed14982
Total thrown390312
Percent38%26%
Jabs landed7127
Jabs thrown233159
Percent31%17%
Power landed7855
Power thrown157153
Percent50%36%
-- Courtesy of CompuBox

第5ラウンドに30歳の英国人が放った左を顎にうけてロープまで後退したリナレス、明らかに効いていました。

それでも、リナレスは再三のピンチを凌いで判定まで持ち込み、根性を見せました。

スコアカードは117−111/116−112*2のユナニマスで、生まれも育ちもランカシャーのWBAインターコンチネンタル・ジュニアウェルター級王者が初防衛に成功。

直近4試合を全敗(2KO負け)のリナレス。この試合で引退は、本人にとってはもちろん、家族やファンにとっても最良のタイミングでしょう。

2007年7月21日、ラスベガス、マンダレイベイの大アリーナ。バーナード・ホプキンスvsロナルド・ライトのビッグファイトのセミファイナル。オスカー・ラリオスからWBCフェザー級タイトルを奪ったリナレスはコーナーポストに登ると「やったー!」と日本語で喜びを爆発させました。

あれから16年以上もの歳月が流れ、21歳のリナレスは38歳に。WBAジュニアライト、WBCライトと欧米でも注目される階級でタイトルをつかみ、ケビン・ミッチェルやアンソニー・クロラ、ルーク・キャンベルといった英国のスター選手をことごとく撃破。

英国ボクシングニューズ(BN)誌はもちろん、英国の一般メディアでも取り上げられ、BBCやBN誌のPFPランキングにも名前を刻みました。

キャリアを彩る勝利はいくつもありますが、まさかの辛酸を何度も舐めてきたのもリナレスです。

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多くのファンに最も鮮烈な印象を残したのは、オスカー・デラホーヤが惚れ込んだスタイリッシュなボクシングが生み出した勝利ではなく、敗れたとはいえワシル・ロマチェンコを追い詰めた、あの一戦かもしれません。

リナレスのようにフェザー、ジュニアライト、ライトの3階級制覇、世界のトップと互角に渡り合うーーーそんな日本人ファイターがいつか現れてくれるでしょうか…。



ホルヘ、おつかれさまでした。

面白い試合をたくさん見せてくれて、ありがとうございました!

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無謀に見える階級アップ:チャーロは前例のない歴史的挑戦のリングに上がるのか?

ESPNからの拙訳です。

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*******現代ボクシングで2階級飛ばしてestablished championに挑戦することは、ジャーメル・チャーロが初めてでもなければ、最後のボクサーでもない。

これまでにも、そして未来にもそんなボクサーは存在するだろう。

最近の例ではマニー・パッキャオとギレルモ・リゴンドーが格好のサンプルとして挙げられる。

彼らは偉大な王者に挑戦したが、結果は全く違う形になった。

ライト級王者のパッキャオはウエルター級のオスカー・デラホーヤを圧倒して9ラウンドで棄権に追い込んだが、ジュニアフェザー級王者のリゴンドーはジュニアライト級王者ワシル・ロマチェンコを相手に6ラウンド終了で試合を諦めた。

チャーロが挑むカネロ・アルバレスもまた階級飛ばしで強豪王者に挑戦した一人。2019年、ミドル級王者だったカネロはライトヘビー級王者のセルゲイ・コバレフをストップしてWBOのストラップを強奪している。

2008年のパッキャオとデラホーヤ戦の試合は145ポンドのキャッチウエイトだったが、パッキャオはこの年3月からわずか9ヶ月でジュニアライト級からウエルター級までの4階級でトップ選手を撃破している。

他にも2階級上のestablished championに挑んで勝利を収めたファイターはロイ・ジョーンズ(ライトヘビーからヘビー)、シュガー・レイ・レナード(ウエルターからミドル)、マイケル・スピンクス(ライトヘビーからヘビー)の名前がすぐに思い浮かぶ。

※残念ながら「井上尚弥vsオマール・ナルバエス」は触れられず。軽量級が眼中にないのか、ナルバエスが小さすぎるからか?ヘタレ・ナルバエスではestablished championとは呼べないからか?


パッキャオに代表される「小よく大を制す」よりも、大きい選手が小さい選手を駆逐する例はロマチェンコvsリゴンドーだけでは、もちろんない。

シュガー・レイ・ロビンソンはミドル級からライトヘビー級への挑戦に失敗。ウエルター級の名王者ホセ・ナポレスはミドル級の壁に跳ね返され、ファン・マヌエル・マルケスはライト級からウエルター級への夢をフロイド・メイウェザーJr.に阻まれた。

ケル・ブルックはゲンナジー・ゴロフキンに、アミール・カーンはカネロに2階級ジャンプアップの野望を撃墜されている。マイキー・ガルシアのエロール・スペンスへの挑戦失敗も2階級跳びだった。

Will Charlo be Pacquiao or Rigondeaux?

チャーロはパッキャオになれるのか?それともリゴンドーに終わるのか?

一つだけ言えることは、パッキャオとリゴンドーと違って、チャーロはフレームでは不利ではないということ。

不安要素はライトヘビーでも通用するカネロの攻撃力と打たれ強さ。

スピードとフレームで優位でも、GGGのパンチにも怯まなかったカネロにチャーロのパワーが通用するのか?そして、コバレフを追いかけ回したカネロの強打にチャーロが耐えることができるのか?

…We will know on Saturday.

全ては今週土曜日に明らかになる。 
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4団体時代初のUndisputed title 2階級制覇を実現したテレンス・クロフォードが「(来月30日に行われる)カネロ・アルバレスとジャーメル・チャーロの勝者と対戦したい」とブチあげています。

ライト級、ジュニアウェルター級、ウェルター級で世界王者になっているクロフォードが2階級飛ばしてスーパーミドル級に挑戦するとなると、異例の4階級制覇、Undisputed title 3階級制覇の達成です。


 

ボクシング界を代表するスーパースター、カネロはクロフォード陣営からの「158ポンド・キャッチウェイトでの対戦」をすでに拒絶しており、人気面で大きく劣るクロフォードがカネロと戦う道は完全に絶たれたと思われました。

気になる体重について、クロフォードは「147(ウエルター級)を作るのは、少しだけ厳しくなっている。 前回もサウナスーツを着て水分を絞り出した」と言いますが、スーパーミドルは168ポンド、21ポンド(9.53kg)も上です。

マニー・パッキャオが135ポンド(ライト級)王者として、オスカー・デラホーヤとのウエルター級戦に挑んだときでも、そのギャップは〝わずか〟12ポンドでした。

どこまで本気なのかわかりませんが、カネロは〝刈り入れどき〟を迎えたスーパースター。誰が狩るか?の段階に入ったとも言われています。

デラホーヤを倒してパッキャオがスーパースターのトーチをリレーしたのとは、かなり役者が違う気もしますが、全く人気のないクロフォードが浮かび上がるには「カネロを倒すしかない」のもまた一つの真実です。

実現すると、GGGvsケル・ブルック、カネロvsアミール・カーンよりも興味深い戦いになるのは間違いありません。

もし、クロフォードが勝ってしまうと、米国ボクシング界はますますお先真っ暗…なんてことは言わずにここは、人気と実力が史上最も喜劇的なまでに乖離したクロフォードを応援しましょうか。 
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マーロン・タパレスのターニングポイントは日本と浅からぬ縁があります。


「マーロン・タパレスとは何者なのか?」。そこに迫る前に、そのプロキャリアを振り返りましょう。
タパレスは2008年7月18日にプロデビューすると、8連勝(2KO)。無敗のまま2009年5月30日、フィリピン・フライ級王者ブリックス・レイに挑戦します。

直近6試合が2勝3敗1分のレイは31歳、若いタパレスが圧倒的有利と見られていましたが、第5ラウンドにダウンを喫すると、続く第6ラウンドに2度目のダウン。TKO負けに散ってしまいます。

16歳でデビューしたタパレスは、この時まだ17歳。「フィリピンボクシング」の縮図のようなファイターでした。

タパレスは、階級を一つ落としてジュニアフライ級で国内タイトルを獲得、再び連勝街道を走り、13連勝をマーク。
 
2011年5月6日には初の海外遠征でラスベガスの大会場マンダレイベイ ・リゾートのリングに上がって、長身180㎝のアレハンドロ・ソロリオをMDで下すなど経験も積んでいきます(この興行のメインは内山高志の挑戦者候補にも上がったこともあるディエゴ・マグダレノ)。

しかし、2013年2月23日のメキシコ遠征ではデビッド・サンチェスにMDで敗北、世界戦線の手前で停滞を余儀なくされます。

再起戦で日本のリングに登場。このときは、のちに伊藤雅雪や細川バレンタインと戦うことになるルーベン・マナカネとバンタム級契約10回戦で4ラウンドTKO勝利。

次の試合では空位のWBOアジアパシフィックのバンタム級王座を同胞のフレディレックス・ロドリゲスと争い、6ラウンドにダウンを奪って12ラウンド判定勝利。今度こそ、世界戦戦に浮上します。

そして、2015年12月16日に当時無敗のホープ大森将平とWBOバンタム級王者への挑戦権を賭けて争い、4度のダウンを奪った末に2ラウンドで日本人を破壊。

赤穂亮をノックアウトして空位のWBO王座に就いたパンルアン・ソーシンユーに挑戦したタパレスは、ダウン応酬の激戦を11ラウンドで制してついに世界タイトル奪取。

2017年4月23日、王者タパレスの初防衛戦は「井岡一翔vsノクノイ・シットプラサート」のWBAフライ級戦のセミファイナルにセット、大森との再戦です。

2日前の予備検診でタパレスは2.5kgオーバー。

前日計量前の事前計量で550gオーバーで、ランニングに出かけたはずのタパレスのオフィシャル1回目は全裸で秤に乗ってまさかの800gオーバー。「なんで増えとんねん」という怒声が飛びます。

2回目の計量ではパンツを履いたまま、完全に諦めたタパレスは900gオーバー。

体重を落とす努力を一切放棄したということです。

大森は顎を砕かれた末に11ラウンドTKO負け。

タパレスの体重超過で空位になっていた王座に、暫定王者ゾラニ・テテが昇格。

そして、WBOはタパレスにペナルティを科すどころか、ジュニアフェザー級の3位にランクしました。


スポーツマンシップよりもプロとして勝利を希求する奔放なスタイルもまた、フィリピーノ特有の感覚です。

「実犯」ではないものの、ドーピング・グル、ビクター・コンテを真っ先に迎えたノニト・ドネアが「ドーピングはしない。コンテのサプリメントに興味があるだけだ」と、周囲の疑惑の目を全く気せずに言い放った態度を思い出したものです。

フィリピン人全員ではありませんが、ドネアやタパレスは見境がありません。
 
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