無敵のバンタム級チャンピオンがジュニアフェザー級の牙城に挑む…そんなサンプルはサラテvsゴメスだけではありません。
ボクシングの豊穣な歴史から井上尚弥の先駆けとなった5人の「無敵のバンタム」がジュニアフェザー級に挑戦した決戦を振り返ります。
「サラテvsゴメス」「フェネックvsサーマート」に続く三つ目のサンプルは1995年1月7日、オルランド・カニザレスvsウィルフレド・バスケス。
挑戦者のカニザレスはIBFバンタム級を16連続防衛の記録を持つ、数字上は史上最も安定したバンタム級王者でした。世界王者になる前に敗北とドロー、2試合を勝てませんでしたが、当時のカニザレスを「無敵のバンタム級チャンピオン」と表現しても全く差し支えありません。
カニザレスは結局、強豪との手合わせが少なく、後世の評価は下落したファイターですが、現役時代の評価は信じられないかもしれませんが「史上最高のバンタム」という声もありました。
2階級制覇を賭けたバスケス戦。このとき、カニザレスは38勝28KO1敗1分。対する、日本でもお馴染みのWBAジュニアフェザー級王者バスケスは41勝32KO6敗2分。
29歳のカニザレスがホームのリングで、34歳のバスケスに楽勝するというのが大方の予想でしたが試合はチェスマッチの末にバスケスがSDを手繰り寄せました。
自信過剰のバンタム級王者を、過小評価されていたジュニアフェザー級王者が返り討ち。これは「井上vsフルトン」でも芽吹く番狂せの種かもしれません。
もちろん、井上に狭義の油断はないでしょう。しかし、油断というのはそれが露見するまでは多くの人に見えにくいものです。
四つ目のサンプルはノニト・ドネア。
ドネアも無敗ではありませんでしたが、当時は文句なしの「無敵のバンタム級チャンピオン」。
バスケスの息子ウィルフレド・バスケスJr.。空位のWBOジュニアフェザー級王座を争いました。2012年4月12日、テキサス州サンアントニオはアラモドーム。ボクサーとしては父親の血を一滴も受け継いでいないとしか思えないバスケスJr.。
ドネアの攻勢に押されっぱなしのまま試合が終わりますが、判定はなぜかSD。ジャッジへの非難は当然でしたが、バンタム級であれほど輝いていたドネアのパンチはパワーもタイミングも狂ったまま。
2012年はジュニアフェザー級で4試合を戦い全勝、二つのタイトルを手にしましたが、実力的に大きく劣る西岡利晃と、この階級では凡庸なホルヘ・アルセしか倒せない姿に、多くのメディアから「階級の壁だけではなく、ドネアのタイミングと反射(当て勘)が劣化している」と指摘されていました。
そして、ドネアが築こうとしていた122ポンドのダムは翌年のギレルモ・リゴンドー戦で一気に決壊。
井上もジュニアフェザーで、バンタム級時代の破壊力を喪失してしまう可能性がゼロとは言い切れません
。
ちなみにドネアはバンタム級とジュニアフェザー級でWBCダイアモンド2階級制覇。この2階級でのダイアモンドタイトルホルダーはドネアだけ…どうでもいい情報でした。
五つ目のサンプルはレオ・サンタクルス。
米国で全く人気がないはずのバンタム級でも大きな集客力を誇ったメキシカンは、山中慎介が対戦を熱望するものの、全く相手にされず。アピールの仕方が下手だったこともあるのでしょうが…。
もし、対戦していたら山中は西海岸のリングに引っ張り込まれていたでしょう。もちろん、山中はそれが夢だったでしょうが。
2013年8月24日、カリフォルニア州カーソン・スタハブセンター(当時)。
サンタクルスは24勝12KO無敗1分。バンタム級タイトルは3度防衛(2KO)。直近10試合は全勝8KOと、世界レベルになってKO率を上げてきたプレッシャーファイター。
サンタクルスは、フェルナンド・モンティエルをボコボコに殴りまくり、空位のWBCジュニアフェザー級タイトルをクリスチャン・ミハレスをSDで競り落として獲得していたビクトル・テラサスを3ラウンドで薙ぎ倒して呆気なく2階級制覇。
テラサスはガッツの溢れるファイターでしたが、技術的には何一つ世界基準に達していない穴王者。フルトンと同列に比べることはできませ。井上vsフルトンは長いラウンドになると予想されますが、スクーターの出方によっては早いラウンドでの決着も十分にあり得ます。
ボクシングの豊穣な歴史から井上尚弥の先駆けとなった5人の「無敵のバンタム」がジュニアフェザー級に挑戦した決戦を振り返ります。
「サラテvsゴメス」「フェネックvsサーマート」に続く三つ目のサンプルは1995年1月7日、オルランド・カニザレスvsウィルフレド・バスケス。
挑戦者のカニザレスはIBFバンタム級を16連続防衛の記録を持つ、数字上は史上最も安定したバンタム級王者でした。世界王者になる前に敗北とドロー、2試合を勝てませんでしたが、当時のカニザレスを「無敵のバンタム級チャンピオン」と表現しても全く差し支えありません。
カニザレスは結局、強豪との手合わせが少なく、後世の評価は下落したファイターですが、現役時代の評価は信じられないかもしれませんが「史上最高のバンタム」という声もありました。
2階級制覇を賭けたバスケス戦。このとき、カニザレスは38勝28KO1敗1分。対する、日本でもお馴染みのWBAジュニアフェザー級王者バスケスは41勝32KO6敗2分。
29歳のカニザレスがホームのリングで、34歳のバスケスに楽勝するというのが大方の予想でしたが試合はチェスマッチの末にバスケスがSDを手繰り寄せました。
自信過剰のバンタム級王者を、過小評価されていたジュニアフェザー級王者が返り討ち。これは「井上vsフルトン」でも芽吹く番狂せの種かもしれません。
もちろん、井上に狭義の油断はないでしょう。しかし、油断というのはそれが露見するまでは多くの人に見えにくいものです。
四つ目のサンプルはノニト・ドネア。
ドネアも無敗ではありませんでしたが、当時は文句なしの「無敵のバンタム級チャンピオン」。
バスケスの息子ウィルフレド・バスケスJr.。空位のWBOジュニアフェザー級王座を争いました。2012年4月12日、テキサス州サンアントニオはアラモドーム。ボクサーとしては父親の血を一滴も受け継いでいないとしか思えないバスケスJr.。
ドネアの攻勢に押されっぱなしのまま試合が終わりますが、判定はなぜかSD。ジャッジへの非難は当然でしたが、バンタム級であれほど輝いていたドネアのパンチはパワーもタイミングも狂ったまま。
2012年はジュニアフェザー級で4試合を戦い全勝、二つのタイトルを手にしましたが、実力的に大きく劣る西岡利晃と、この階級では凡庸なホルヘ・アルセしか倒せない姿に、多くのメディアから「階級の壁だけではなく、ドネアのタイミングと反射(当て勘)が劣化している」と指摘されていました。
そして、ドネアが築こうとしていた122ポンドのダムは翌年のギレルモ・リゴンドー戦で一気に決壊。
井上もジュニアフェザーで、バンタム級時代の破壊力を喪失してしまう可能性がゼロとは言い切れません
。
ちなみにドネアはバンタム級とジュニアフェザー級でWBCダイアモンド2階級制覇。この2階級でのダイアモンドタイトルホルダーはドネアだけ…どうでもいい情報でした。
五つ目のサンプルはレオ・サンタクルス。
米国で全く人気がないはずのバンタム級でも大きな集客力を誇ったメキシカンは、山中慎介が対戦を熱望するものの、全く相手にされず。アピールの仕方が下手だったこともあるのでしょうが…。
もし、対戦していたら山中は西海岸のリングに引っ張り込まれていたでしょう。もちろん、山中はそれが夢だったでしょうが。
2013年8月24日、カリフォルニア州カーソン・スタハブセンター(当時)。
サンタクルスは24勝12KO無敗1分。バンタム級タイトルは3度防衛(2KO)。直近10試合は全勝8KOと、世界レベルになってKO率を上げてきたプレッシャーファイター。
サンタクルスは、フェルナンド・モンティエルをボコボコに殴りまくり、空位のWBCジュニアフェザー級タイトルをクリスチャン・ミハレスをSDで競り落として獲得していたビクトル・テラサスを3ラウンドで薙ぎ倒して呆気なく2階級制覇。
テラサスはガッツの溢れるファイターでしたが、技術的には何一つ世界基準に達していない穴王者。フルトンと同列に比べることはできませ。井上vsフルトンは長いラウンドになると予想されますが、スクーターの出方によっては早いラウンドでの決着も十分にあり得ます。