フシ穴の眼 〜スポーツ疾風怒濤編〜

      Hope Lights Our Way / 希望の道を、つなごう。

カテゴリ: 複数階級制覇

現代ボクシング、4−Belt Eraの特徴は「世界王者の権威が失墜した」という一言で表現できます。

「世界王者の権威が失墜した」という傾向は、WBAからWBCの分離独立が決定的になった1970年代、IBFが発足した80年代、WBOが産み落とされた90年代と、その色合いが濃くなっただけで 4−Belt Eraになって急に始まったわけじゃなく、この50年以上に渡って継続した病理じゃないか…?。

それは、総論ではその通りです。しかし、3−Belt Era までは王者の権威の「失墜」は「分離・分散」という説明ができました。

つまりは「団体の追加」と「階級の増殖」です。 

しかし、4−Belt Era になると団体内で世界王者が増殖、大量生産されることが常態化します。
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メキシコベルトに並ぶメガファイト専門のシンコ・デ・マヨ ベルト。


最多の加盟国を抱えるWBCを例にとると、上位タイトルから「フランチャイズ」「レギュラー」「暫定」「休養」「シルバー」「インターナショナル」「ユース」が active champion(防衛戦に敗れると失う)。

「インターナショナル」はランキング16〜30位の選手で争う〝明日の世界王者〟タイトルのはずでしたが、マニー・パッキャオがマルコ・アントニオ・バレラやエリック・モラレスとメガファイトを繰り広げたときにリング誌王座と並べて掛けられるなど、正体不明のタイトルとして迷走しています。

知らない人が見れば「最上位はインターナショナル」と思うでしょうし、あのときは実質そうでした。

また「ユース」はその名の通り「U21」のレギュレーションがありましたが、これもいつのまにか実質撤廃されています。

そして、active championに加えて、防衛義務のない「名誉」「ダイアモンド」 というspecial championも存在します。 

4−Belt Eraは、当たり前のことですが「4つのベルトをを集めるのが最も面倒な時代」です。しかし、その一方で「ベルトの価値が最も下落した時代」でもあります。

まだ価値の欠片が残っていたベルトを集めていた3−Belt Era の完全統一王者と、許容範囲を超えて価値が暴落した4−Belt Eraの完全統一王者。

どちらが価値があるでしょうか?

ベルトの価値が軽くなればなるほど、簡単に王座を返上、平凡な実力しか持っていないボクサーでも複数階級制覇に乗り出すだけでなく、契約体重を守らずに王座を剥奪されるダメージまで限りなく軽くなります。

体重超過でタイトルを失う、プロとしてあるまじき事件が頻繁に起きる最大の原因は、現代のボクサーが規律を失っているからではありません。

世界タイトルそのものが本当ならあるべき規律、すなわち権威を喪失してしまったからです。

世界王者の権威が失墜しているのですから、複数階級制覇の価値も暴落しています。

それでも〝偏差値が高い〟と見られる複数階級制覇があります。

現在の17階級で、最も壁が高く厚いクラスはウェルター級です。その反対、最もレベルが低いのがストロー級です。

しかし、全盛期のリカルド・ロペスからストロー級のベルトを奪うことは、テレンス・クロフォードに勝つよりもはるかに難易度が高いことは論を待ちません。

MLBで首位打者を獲るよりも、1994〜2000年の7年間のNPBパ・リーグでイチローよりも高い打率を残す方が至難なのと同じく、スポーツの世界では単純な物差しは通用しないのです。

リカロペやイチローのような、例外の変態は一旦忘れましょう。

「偏差値の高い複数階級制覇」は「階級間の体重差が大きい重量級」と「レベルが高いウェルター級」を絡めたものであるのは誰にでもわかります。

それに対して、ジュニアフェザー級以下の細分化されたゾーンでの階級制覇は「階級間の体重差が小さい」「階級の層が薄いからレベルが低い」ため、相対的に簡単安易であることが想像されます。
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井岡一翔も成し遂げた4階級制覇で、最も困難なロードマップは、欧米で人気のクラスで32ポンド(14.51㎏)以上にわたる「スーパーミドル→ミドル→ライトヘビー→クルーザー→ヘビー」です。

これはクルーザー(200ポンド)からスーパーミドル(168ポンド)を引いた数字です。

現実にはブリッジャー級(224ポンド)新設の根拠「ヘビー級は重すぎる」を考慮すると224−168=56ポンド(25.40㎏)とするのが適正です…いやそれでも控えめな数字です。

この最難関を突破したのはロイ・ジョーンズJr.、ただ一人。

ちなみに井岡の4階級の体重レンジは10ポンド、4.54㎏。ライトヘビーからクルーザーの25ポンド(11.34㎏)と比べても半分以下。

スーパーミドル〜ヘビーの56ポンドと並べると5分の1以下、同じ4階級制覇として見るには、許容範囲を超えた不公平です。
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その次が「ジュニアライト→ライト→ジュニアウェルター→ウェルター」。体重レンジは17ポンド(7.71㎏)。

この4階級制覇を達成したのは歴史上4人。とはいえ、ブローナーさんがいなければ「これはムズい」と評価してしまいますが、やはり4団体時代、他の3人を見ると勘違いしそうですが、たいしたことありません。

ロイもブローナーと同様に4階級目(ヘビー級)は、穴王者を狙い撃ちにした〝空き巣〟 。最も厳しい階級で輝きを放ったオスカー・デラホーヤやフロイド・メイウェザー、マニー・パッキャオとは同じステージで語るボクサーではありません。
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4−Belt Eraでも、軽量級のジュニアライトを起点に最もレベルが高いウェルターで大暴れしたデラホーヤとメイウェザーは歴史の残る傑出したボクサーですが、フライ級起点のパッキャオになると、もはや説明不可能の化け物です。

この「ジュニアライト→ライト→ジュニアウェルター→ウェルター」の地図を握りしめ、ジュニアウェルター級間で進出してきたのがガーボンタ・デービスです。

ずんぐりタンクは〝デラホーヤ〟〝メイウェザー〟なのか?

それとも冷やかし4階級制覇の〝ブローナー〟なのか?
 
これまで弱い相手ばかりと戦ってきたキャリアと、醜悪なまでの規律の無さからはブローナーと同じ臭いがプンプン漂っていますが…。

メイウェザーの秘蔵っ子は8月14日、マリオ・バリオス相手に一次試験に挑みます。 
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欧米のボクシング市場には、階級間に明らかな〝貴賎〟が存在します。

日本では中量級やときには重量級として紹介されることもあるライト(軽量)級以下が、欧米の軽量級です。

ジュニアフェザー級以下はランキングは一気に薄くなり、ファンの関心は悲劇的に減少してしまいます。 

世界王者の数が今と比べるとはるかに抑制されていた2団体、3団体時代はヘビー級やミドル級の注目試合のようなメガファイトはないにしても、超軽量級でもそれなりの尊敬と存在感を維持していました。

しかし、4団体時代が深まると、様相は大きく変わります。

4団体時代は、単なる「+1」や、「×4」ではなく、様々な世界王者が承認される王者が大量生産される時代です。

承認団体は承認料の支払い実績と支払い能力のあるボクサーを優先して捏造的にランキング、他のスポーツではありえない世界戦が当たり前に繰り広げられています。

カネロ・アルバレスが小手先でひねったアブリ・イルディルムや、井上尚弥への挑戦が内定しているマイケル・ダスマリナスが指名挑戦者というのは、もはや〝犯罪〟です。

WBCやIBFのランキング委員も一人残らず「おかしいのはわかってる」はずです。犯罪です。
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「これが最も価値のある世界チャンピオンベルト」とメキシコベルトをお披露目する嬉しそうなマウリシオさん。

そして、世界王者が粗製乱造される現代、超軽量級の試合が大きなイベントでメインを張ることは絶対になく、前座に回されるのが常態化してしまいます。

このビジネススタイルが、ただでさえ軽量級に関心のない米国のカジュアルファンの心理に「超軽量級は安っぽい」というイメージを植え込み続け、その地位は下落する一方。

ボクシングがメジャースポーツだったという絶対的な背景があるとはいえ、オリジナル8の時代は「ウェルター級がメインイベントで前座に超軽量級の世界戦が複数ぶら下がってる」なんて興行はありえません、というかできません。

そんなことしたら、世界に8人しかいないチャンピオンを1晩で3人も4人もリングに上げてしまうことになります。世界戦を複数パックした興行なんて、馬鹿げています。

しかし、世界王者がいくらでもいる現代なら、一つの興行で複数の世界戦がパックされるのは当たり前、人気階級を目玉に超軽量級がオマケで付いてくる構図です。

米国市場において、超軽量級は日陰に隠された〝被差別クラス〟。ライト級でもタレントが揃わないと大きな注目を浴びることは出来ません。

ファン・フランシスコ・エストラーダのように「体が小さいということはボクサーにとって悲劇」「中量級との報酬格差は酷すぎる」と嘆いていても何も変わりません。人気がないんだから。

どうしたらそこから脱出できるのか?

この難問には、すでにマニー・パッキャオが満点回答を示してくれています。超軽量級で「報酬が少ない」と文句を言ってないで、報酬が高い階級で勝てばいいんです。

パッキャオは人種差別の激しい米国で、米国人やヒスパニックでなくてもスターダムに駆け上がる方法まで明確に提示してくれています。パッキャオのやり方を真似るだけで日本人でも中国人でも米国で大人気のスーパースターになれます。

「PFP8位なら世界で8番目に報酬が高くてもいいはず」なんて寝言です。過去のランキングを見ればわかるように、PFPは不人気階級にもスポットライトを当てる差別補正装置の役割もあります。


もちろん、この話は「黄金のバンタム」がまかり通る日本では全く関係ありません。


前置きが長くなりました。

日陰階級から陽の当たる場所へ。 

1年少し前までジュニアライト級で戦っていたガーボンタ・デービスが、6月26日にマリオ・バリオスを相手にジュニアウェルター級デビューを飾ります。

「ここがゴールと思っていない」。身長166㎝/リーチ171㎝のタンク・デービスが米国の花、ウェルター級を見据えているのは明らかです。

自堕落な26歳ですが、心意気は素晴らしい、これがファイターです。

バリオスはセカンド王者ながらWBAのストラップを握る25歳。

タンクとの無敗対決はSHOWTIMEがPPVで提供するビッグファイトになります。

ジュニアフェザー級でデビューしたバリオスですが身長178㎝、リーチ180㎝とデービスを大きく上回る骨格の持ち主。この階級で4年間戦って、完全な140パウンダーの肉体を作り上げています。

現在のジュニアウェルター級はジョシュ・テイラーがIBFとWBA、ホセ・ラミレスがWBCとWBOを分け合う、やはり無敗の〝2強〟体制。そして、この二人が5月22日に完全統一王座を賭けて激突するのです。

テイラーとラミレスがトップランク、タンク・デービスがPBCという障壁はありますが、フロイド・メイウェザーは秘蔵っ子の完全統一に乗り気です。

デービスもバリオスも無敗とはいえ、強豪との対戦はありません。

デービスはユリオルキス・ガンボア、レオ・サンタクルスに勝ってるとはいえ、この二人は「下のクラスから上がってきたピークを過ぎたビッグネーム」。それでも、苦戦する場面も見られました。

今のところ「弱い相手に豪快に勝ってきただけ」というのがタンクの中身です。

デービスが鮮やかに勝つのがファンも含めた〝米国の総意〟でしょうが、番狂わせもありえます。

体重超過も含めて、常に有利なウェイトで戦って作ってきたデービスの戦績が本物なのかどうか?

バリオスは格好のリトマス紙です。
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時短営業もいいけど「お一人様」は別でいいでしょう。松本人志じゃないけど、絶対おかしいです。一人のみ率の高い私からすると、全く納得できません。

肉は小ぶりでもなかなかな焼鳥屋を発見。白モツ=右から二番目=は「もっとレア」でと、もう一本注文。

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「これ、ブルースリーの真似してヌンチャクをぶつけて怪我したところ。ものすごく痛かった」。

3階級制覇を達成したボクサーはマニー・パッキャオ(8階級制覇)、オスカー・デラホーヤ(6階級制覇) ら55人にのぼります。

最初に3階級制覇を成し遂げたのはミドル級、ライトヘビー級、ヘビー級を制覇したボブ・フィッツモンズ(1903年)。 

トニー・カンゾネリ、バーニー・ロス、そしてヘンリー・アームストロング(1938年)と4人が大偉業を達成してからは、団体分裂や階級増殖などの〝恩恵〟があったにもかかわらず、5人目は1981年のウィルフレド・ベニテスまで43年も待たなければなりませんでした。

つまり、1903年を紀元とする55人名簿のうち50人が1981年からの40年でリストアップされたのです。

そして、21世紀最初の3階級制覇はフェリックス・トリニダード、22人目の〝偉業〟でした。現代ではもはや、3階級制覇はカッコ付きの〝偉業〟としか表現できない時代になりました。

ティトが22人目。つまり、118年の歳月で積み重ねられた55人リストのちょうど60%を占める33名は、この20年で量産されたのです。

さらに、この5年間で見ると13人が〝偉業〟達成。このうち5人が日本人です(井岡一翔・八重樫東・長谷川穂積・井上尚弥・田中恒成)。

明日、WBOジュニアライト級王者ジャメル・ヘリングに挑戦するカール・フランプトンがタイトル奪取に成功すると「アイルランド史上初の3階級制覇」と注目を集めています。
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「英国」まで視野を広げて見ても、3階級制覇はフィッツモンズ、デューク・マッケンジー、リッキー・バーンズの3人だけ。

小刻みに細分化された超軽量級をマーケットとする日本で複数階級制覇が持て囃されるのに対して、ミドル級以上がメジャーの英国では安易な階級制覇は見られません。

ミドル級以上となると、欧米で需要の高い階級だけに簡単に世界挑戦が出来ないという事情もあるでしょうが、人気階級であるがゆえにそこにとどまるメリットも少なくないということです。

とはいえ、日本でも5年で5人がマークした3階級制覇に、英国が3人しか達成していないというのは意外です。

英国ボクシングニューズ誌や、ボクシングマンスリー誌(2019年廃刊)を読んでいても複数階級制覇への評価や意識が希薄であることは簡単にわかります(もちろん、マニー・パッキャオの8階級制覇にまでになると、さすがに大特集しますが)。

日本の場合は、複数階級が層の薄い超軽量級で存在証明する最もわかりやすい方法になっているのです。

超軽量級のジュニアフェザーから、軽量級の入り口フェザーを制覇、そしてジュニアライトを狙うフランプトンは英国(フランプトンの国籍は北アイルランド=英国)では非常に珍しい存在です。

レオ・サンタクルス初戦(ニューヨーク・バークレイズセンター)でも、フランプトンのホームのような大声援が送られました。

ファン・フランシスコ・エストラーダはもちろん、ゲイリー・ラッセルJr.らが不遇な扱いを受けるのを見るまでもなく、軽量級の需要が低い米国でサンタクルスやアブネル・マレスとともに、アイルランドのジャッカルは例外的な存在です。

「フィッツモンズは別格だけど、私が3階級制覇したらマッケンジーとバーンズよりも上だろう」 (フランプトン)というのは、その通りです。

現時点でも、2016年にBWAAとESPN、リング誌の Fighter of the Year 三冠を達成したフランプトンの方が、PFP経験すらない二人よりも遥かに上です。

オッズは相変わらず拮抗していますが、レーザーシン(カミソリ一枚の差)でヘリングが支持されていますが、フランプトンが主導権を握って明白な判定か、終盤ストップ勝ちと予想します。

フランプトンはサンタクルス初戦ではアンダードッグだったものの、ドネア戦をはじめ多くの試合は圧倒的有利のフラグが挙げられていただけに、このオッズは「ヘリングが強い」というよりも「フランプトンにとって130ポンドは重い」という旗印でしょう。
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まだ渋谷の東横線が地上にあってカマボコ型の外壁だった頃。

そんなある日。蜜で飛沫が飛び交う酒場で、私が酒を酌み交わしてたのは東南アジアやアフリカからゴマやエビを扱う輸入商社の熱田さん(仮名)。

バブル崩壊と東南アジアの政治不安を受けて、熱田さんの会社は事業再編を迫られていました。

熱「辰吉くん(私のことです、仮名)、あの国からは撤退しようと考えてるんだ。月ロケットも設計ミスで軌道からズレたら最初からやり直し、出直しだしな」

辰「このドサクサに債権踏み倒した取引先とはもう手を切るべきですが、ちゃんと支払ってきてる会社との仕事をここで切るのはもったいない」

熱「何、言ってるの?あの大混乱見たでしょ?また、治安が落ち着いたら仕切り直すつもり」

辰「この政情不安で信用できる取引先がはっきりわかったじゃないですか。こっちから切ったら彼らは別のパートナー探しますよ。ズレた軌道の先にある別の星を目指す手もありますよ」

熱「ああ???ロケットには人が乗ってるんですよ!月までの燃料しか積んでないし!政情が元どおりになる保証なんてどこにもないのに!別の星なんてたどり着けるわけないでしょうが!」

辰「人が乗ってるとか、燃料の話、最初にして下さいよ。というより、熱田さんの仕事、ゴマ売りでしょ、月ロケットに例えるからややこしくなるんです」

熱「あーー!今、ゴマのことバカにしたな?ゴマ、バカにされたらもうあんたとことは付き合ってられない!仕事に貴賎があってたまるか!」

辰「バカにしてませんよ、東南アジアのゴマ売りも北京の皿回しも立派なお仕事じゃないですか」

熱「やっぱりバカにしてる!北京の皿回しと一緒にしやがって!」

辰「あー、今、北京の皿回しをバカにしましたね?仕事に貴賎ないって言ったその口で」

熱「あんたの例えが飛躍しすぎてるからだろ!」

辰「月ロケットと北京の皿回し、どっちが飛躍してるんですか?」

最初は聞こえないふりしてた周囲のお客さんもその頃には、声を出して笑うようになり、熱田さんも「ちょっとヒートアップしたけど、真面目な話ししてたのに北京の皿回し出しやがって」とつぶやいたところでプッと吹き出しました。「ほんと、これ、笑い事じゃないんだけどな」。

結局〝別の星〟を目指すことになって大変なことになるのですが、忘れたい記憶です。

そんな昔の失敗談よりも、【スーパースターへの跳躍】ライトからウェルターへ。12ポンドのフロッグ・ジャンプ!【キングryは石の拳を持っているのか?】の話です。

デュランとパッキャオの乗った定員2名で設計したロケットに、モズリーが割り込んできたのです。

そして、ここでも〝別の星〟を目指すのです。仕事じゃないし、お金も一銭も絡んでないし、〝東南アジアのゴマ惨劇〟に比べたら気楽な天国への飛行航路です。


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2001年6月23日、ネバダ州ラスベガス・MGMグランドガーデンアリーナ。その米国デビューはまさにサンダーボルト(電撃)でした。

ロベルト・デュランシェーン・モズリーマニー・パッキャオ

ライト級からいきなりの〝ウェルター制圧〟を果たした3人は、当たり前のことながらライト級では圧倒的な存在でした。

ライト級王者に挑戦した時点での戦績を振り返ると、21歳のデュラン(28戦全勝24KO無敗)、25歳のモズリー(23戦全勝22KO無敗)とまさに怪物的な快進撃で世界タイトルも蹂躙して見せました。

一方でパッキャオは29歳と最も年齢を重ね、戦績も51戦46勝34KO3敗2分と二人の先人と比較すると平凡なものでした。

ただし、デュランとモズリーが世界戦線に躍り出たばかりだったのに対して、既にパックマンと呼ばれていたフィリピン人は数々の大勝負に劇的な勝利を収めながら「一発殿堂確実」と認められるレガシーを築き上げていたのです。

表層的な数字こそ平凡ですが、ライト級挑戦時のパッキャオは怪物〝的〟ではなく、怪物でした。 

そして、タイトル奪取を含めたライト級での世界戦績はデュランが13戦全勝12KO、モズリーは9戦全勝8KO。パッキャオは1勝1KOとたった1試合しか戦っていませんが、それが逆に〝飛び級でウェルター制圧〟の凄みを際立たせています。

ライト級で絶対王政を敷いたデュランとモズリー。そして人気クラスのライト級をたった1試合の〝腰掛け〟 扱いにしたパッキャオ。

彼らの共通点は①ジュニアウェルターをスキップして、②ウェルター級を象徴するスーパースターを倒し、③PFP1位、という3点に集約されます。

ここでも、ウェルター級を制したことでPFP1位に輝いたデュランとモズリーに対して、パッキャオはジュニアライト級時代ですでにPFP1位に駆け上がっていました。

いずれにせよ、この3人はそこいらのライト級とは全く異質の存在だったのです。

現在、スター選手がひしめき激戦区のライト級シーンですが、ワシル・ロマチェンコもテオフィモ・ロペスも、デビン・ヘイニーもライアン・ガルシアも、彼らと比べると一人残らず〝そこいらのライト級〟に過ぎません。

そして、ライト級から飛び発った3人は、それぞれの航路を突き進んでいくことになります。
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あと170日。
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年越しで働き続けるカウントダウン時計というのもめったやたらに拝めるものじゃありません。

🌸🌸🌸

今日の白昼話はDREAM MATCH2。

ウェルター級やミドル級は日本人にとっては世界挑戦すら至難の「地図にないクラス」ですが、米国ではここがホットゾーンです。

米国で常に100万ドルプレーヤーが割拠している階級は、ヘビーとミドル、ウェルターだけです。

ライトやジュニアウェルターといったウェルターに続く階級も人気で、大きな試合が繰り広げられることがありますが、それは特別なスターが現れた特別な時間だけです。

人気があるとはいえ、少し上を見ると絢爛豪華なウェルター級が視界に入るわけですから、ライトやジュニアウェルターで傑出した人気や実力を持つファイターが進む方向は決まっています。

とはいえ、競技人口が分厚く、選手報酬も高額なウェルター級の世界は過酷です。

ライトからウェルターの3階級制覇に成功したボクサーはフロイド・メイウェザーやマニー・パッキャオら史上8人しかいません。

①ヘンリー・アームストロング(フェザーから)

②パーネル・ウイテカー

③オスカー・デラホーヤ(ジュニアライトから)

④シェーン・モズリー

⑤メイウェザー(ジュニアライトから)

⑥パッキャオ(フライから)

⑦ロバート・ゲレーロ(フェザーから/ウェルターは暫定なので世界的には認められていません)

⑧エイドリアン・ブローナー(ジュニアライトから)

⑨テレンス・クロフォード
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そして、そして、この8人リストに名前がない、一人のド変態がいます。

ライト級からジュニアウェルター飛ばしでウェルター級を制したロベルト・デュランです。

現代ボクシングで最も重要な「誰に勝ったのか?」を考慮すると、デュランのウェルター制覇が史上最大の勝利であることに、誰も異論はないでしょう。

あのとき、レナードが選択したスタイルがデュランにとってオーダーメイドだったとしても、あのレナードに初黒星を付けた衝撃は変わりません。

そのデュランがやってのけたライト級からジュニアウェルターのタイトルをスキップしていきなり〝ウェルターを制した〟衝撃は28年後の2008年にパッキャオによって再現されます。

歴史上、石の拳とパックマンしか突き破ることが出来なかったライトからウェルターへのダイレクト制圧。

今、この離れ業に挑もうとしているのが、ライアン・ガルシアです。

22歳の人気者がターゲットと睨むのは、42歳の生きる伝説、パッキャオ。

メキシコ最大のホープが、21世紀最高のグレートに挑む大一番は正式決定はまだというのに「13年後に巡って来た因果」も絶妙のスパイスとなって大きな関心を巻き起こしています。

対戦決定でも、パッキャオがWBA休養王者に格下げられていることから、世界タイトルはステイクされない見通しです。

しかし、瑣末な世界タイトルがメガファイトのスケールに何の影響も与えないことは、フィリピン上院議員が何度も証明済みです。

まあ、WBCあたりは豪奢なメキシコベルトを設えそうですが。

DREAM MATCHと銘打たれた世紀の大番狂わせから13年。

DREAM MATCH2も衝撃を起こすのか?

そして、大方の予想通りにリングの伝説がSNSのお調子者を叩きのめすと、昨年のFighter  Of The Yearも指を咥えて黙っているはずがない、と見られています。

日米で同時に勃発したライト級ウォーズ、その花舞台がレジェンドの最終章になびいてしまうのは少し残念な気もしますが、コナー・マクレガーよりはマシかもしれません。

ライトからウェルターへ。

圧倒的不利予想の中、一足飛びでスターダムの頂点を強奪したパナマとフィリピンの怪物がやってのけた衝撃の〝巨人狩り〟を振り返り、ライト級の勘違いも甚だしい温室育ちの青二才どもに同じことが出来るかどうかを考えてみます。
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現在、世界王者に就いているボクサーでの最多階級制覇はWBAウェルター級王者マニー・パッキャオの前人未到の「8」。

これは、2位のオスカー・デラホーヤの持つ「6」を二つも引き離す史上最多の階級制覇でもあります。

パッキャオに続くのは4階級制覇で、カネロ・アルバレス と井岡一翔、ローマン・ゴンザレスの3人。

マイキー・ガルシアやレオ・サンタクルスら玉座を喪失しているので、ここではカウントしません。

田中恒成は3階級制覇ですが、全勝無敗。もし、井岡にも勝って4階級制覇となると、史上最短16戦目での4階級制覇、しかも無敗の現役王者です。
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井岡が勝つにせよ、田中が勝つにせよ、この試合の勝者はタレントひしめくジュニアバンタム級でさらなるビッグファイトを追求することになりますが、次の階級制覇も視野に入れているはずです。

昨年、マイキーがエロール・スペンスに挑戦したとき「〝史上最速〟の5階級制覇達成なるか?」とESPNなど一部メディアが取り上げました。

もし、マイキーが勝つと最初のフェザー級王座獲得から10戦目でウェルター級到達でしたが、現実は「階級の壁というよりもスペンスの壁」(浜田剛史)に跳ね返されてしまいました。

現在の〝記録〟はレナードの「11」試合。続いてフロイド・メイウェザーとトーマス・ハーンズの「21」試合、オスカー・デラホーヤの「25」試合。

田中が大晦日に井岡を下して16戦目で4階級制覇。

そのまま17戦目でも究極の日本人対決・井上尚弥戦にも勝つとレナードに次ぐ〝史上2位〟ですが、レナードの「11」は、現時点でもすでにタイムアウトです。

悪い意味でめちゃくちゃです、レナード。卑劣です、レナード。

ランキング捏造やキャッチウェイト、ダブル階級ステイク…今のボクシング界を汚染している腐敗の数多くはレナード起源です。

日本で「デビュー最短」がクローズアップされるのは、軽量級が世界挑戦しやすい土壌にあるからです。まだプロで10戦もこなしていないボクサーが世界に挑戦する、軽量級ならではです。

いろんな意味で軽量級、特にジュニアフェザー以下は軽い、とにかく軽いのです。

富裕な日本のボクサーによって軽量級のタイトルが弄ばれる…今に始まったことではありません。

しかし、日本が本気になれば超人気階級のミドル級でも同じことができることを村田諒太が証明しました(アッサン・エンダムとの初戦で勝っていれば13戦目で最短記録)。

トップランクじゃありませんが「THIS IS BOXING」です。

タクシーの中でポチポチ打ってると話が逸れまくり、井岡と田中の話です。

テレビ生中継するTBSの深夜ニュース番組「ニュース23」でも昨晩、ぺろっと報じられました。

さすがTBS、見なきゃ良かったな内容でした。
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最低です。

内藤大助は素晴らしいフライ級王者です。世界王者になる前から、面白い試合を何試合も見せてくれました。

しかし、こんなの、ご本人がリップサービスのつもりで口にしたとしてもカットするのが当然です。

「東大vs京大」?。くだらないクイズ番組のコピーか?

「3階級制覇vs4階級制覇」をテーマにしたんなら、海外の事例と比べるとか、短い時間でも正しい方向から興味を惹起するやり方なんていくらでもあるはずです。

リング誌やESPNの「ものすごいサーカスがやってくるぞ!」な大業な告知はいいのです。

試合前はとことん尊敬して正しく盛り上げて、試合が面白くなければ批判し、酷評するーーそれがメディアの正しい姿勢です。

こんな名勝負確実のビッグファイトを、ぬるく告知するな!
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★4階級制覇以上の現役選手と〝王手〟の現役選手★
 
【8階級制覇】マニー・パッキャオ

【4階級制覇】ノニト・ドネア、エイドリアン・ブローナー、ローマン・ゴンザレス、マイキー・ガルシア、ドニー・ニエテス、井岡一翔、カネロ・アルバレス、レオ・サンタクルス

【4階級制覇に王手】ジョンリール・カシメロ、井上尚弥、テレンス・クロフォード、ワシル・ロマチェンコ、アブネル・マレス、ユリオルキス・ガンボア、ホルヘ・リナレス、田中恒成


4−X王者(4階級制覇)で現役最強は誰か?

8人の4−Xファイターを見渡すと、週明け16日に38歳の誕生日を迎えるノニト・ドネアと、現在38歳のドニー・ニエテスはどう贔屓目に見ても全盛期はとっくの昔に過ぎ去っています。

昨年、引退宣言をして今年になって撤回、今月3日には暴力事件での法定支払期限を破って収監されたエイドリアン・ブローナーは、そもそも論外。

キャリアに終止符を打ちかねない衝撃的なKO負けを喫したレオ・サンタクルスも4−X最強の俎上には上がりません。

エロール・スペンスJr.の大きな壁に跳ね返されたマイキー・ガルシアは、濃密な行き詰まり感が漂っています。

王座復帰を果たしたとはいえ、シーサケット・ソールンビサイに痛烈に沈められた33歳のローマン・ゴンザレスも「ファン・フランシスコ・エストラーダとの再戦で惨敗なら引退」とみられており、キャリアの着陸態勢に入っています。
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というわけで、現役最強4−Xの俎上に上がるのは〝ちょいワル〟ヒーローの井岡一翔と〝巨悪〟カネロ・アルバレスの一騎打ちです。

PFPを物差しにしてしまうと、BWAA(1位)とESPN(2位)、リング誌(1位)の三大PFPのスイープ目前のカネロに対して、井岡はいずれも〝次点エリア〟で徘徊している状況。

現時点の現役最強4−Xは、残念ながらカネロです。

ただ、井岡が田中恒成との大晦日決戦で勝利すると、PFP入りの可能性十分、カネロとの差は縮まります。

さらに、次はロマゴンとエストラーダの勝者との対戦が実現、そのビッグファイトも勝ち抜けばカネロの背中がはっきり見えてくるでしょう。

もちろん、田中が井岡に勝利しても同じことが言えます。もしかしたら、井岡が勝つよりも無敗の田中が勝つ方が高い世界評価を与えられるかもしれません。

どっちを応援するかは難しいですが、勝者を讃える準備は完了です。

当初、報道されていた「大阪」か、田中のホーム「名古屋」での開催が盛り上がると期待していましたが中立の東京開催に落ち着いたのは少しだけ残念でした。

まあ、そんなことこのマッチアップを考えると些細なことです。

東京開催のおかげで観戦にも行けますし…と書いたところで…大晦日に観戦に行く気満々になってましたが、これってどれくらいの観客を入れるのでしょうか?

確か、キャパ4000とかですから50%で2000人、チケットは手に入るのだろうか…? 
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12月31日、大田区総合体育館。

WBO世界ジュニアバンタム級タイトルマッチ、チャンピオン井岡一翔vs田中恒成。
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日本人対決のほとんど全てがAサイドと、Bサイドの色分けがハッキリした〝デキレース〟だったのに対して、このマッチアップは50-50、どちらにとっても絶対に負けられない戦いです。

世間の関心の差こそあれ、辰吉丈一郎vs薬師寺保栄と同じ意地と意地がぶつかり合う名阪対決、違うのは試合予想が拮抗していることでしょう。

軽量級で考えうる最大のビッグファイトは井上尚弥vsファン・フランシスコ・エストラーダでしょうが、この井岡vs田中も世界中のボクシングマニアが涎を流す好カードです。

この試合の勝者が山中慎介、内山高志、井上尚弥に続く史上4人目のリング誌PFPファイターに名乗りを上げる可能性があります。

そして、この試合の勝者が井岡であれ田中であれ、現在8人いる4階級制覇のボクサーの数は変わりません。

★4階級制覇以上の現役選手★
【8階級制覇】マニー・パッキャオ

【4階級制覇】ノニト・ドネア、エイドリアン・ブローナー、ローマン・ゴンザレス、マイキー・ガルシア、ドニー・ニエテス、井岡一翔、カネロ・アルバレス、レオ・サンタクルス

【4階級制覇に王手】ジョンリール・カシメロ、井上尚弥、テレンス・クロフォード、ワシル・ロマチェンコ、アブネル・マレス、ユリオルキス・ガンボア、ホルヘ・リナレス、田中恒成


井岡が現役4階級制覇王者のまま試合が終わるのか。それとも田中が現役9人目の4階級制覇王者として名乗りを挙げるのか。

「そもそも、階級制覇やアルファベット王座に、チャンピオンとしての価値や意味がどこまであるのか?」「腐敗一途のボクシングPFPと、テニスなどまともなメジャースポーツのランキングを同列に考える馬や鹿はどうして蛆虫のごとく沸いてくるのか?」…なんて真っ当な疑問はさておき、たった一つの真実があります。

井岡一翔と田中恒成が、軽量級屈指のハイレベルなファイターであること。

この二人が、プライドの塊であるということ。 

海外メディアも二人のメガファイトを大きく報じています。

あと2カ月足らず、「4−X王者」を賭けた激突を追いかけて行きます。

大晦日!仕事なんてない!日本にいる! 当然、見に行くぜ!!!!!!!
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何もかもが軽くなってしまった現在のボクシングシーン。
「2階級制覇」も「歴史的な偉業」と考える人は、もはやどこにもいません。

しかし、偉業から日常に堕落した2階級制覇でも今なお、ヘビー級を着地点とするそれは、偉業に数えて差し支えないでしょう。

明後日、日本時間の10月31日早朝、ロンドンで 元 undisputed cruiserweight champion 完全統一クルーザー級王者オレクサンダー・ウシクが、デレク・チゾラを相手にヘビー級制覇の〝二次試験〟に挑みます。
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チゾラ、最高です。
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有楽町、麻辣川府で昼ごはん。やはり辛いやつにすべきでした。
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こういう↑練習風景を見るとロマだと思っちゃいますね。

この先、さらに団体と階級が増えても、最後まで「偉大」のまま残るであろう「ヘビー級を着地点としたスペシャルな2階級制覇」。

1945年以降の近代ボクシングでは1985年にマイケル・スピンクスがラリー・ホームズを攻略して史上初のライトヘビー級王者からヘビー級王者となりました。

その後、イベンダー・ホリフィールド、マイケル・モーラー、ロイ・ジョーンズJr.、デビッド・ヘイの4人が、ヘビー級に着地する2階級制覇を果たしました。

35年間でたったの4人、です。この2階級制覇が、いかに特別かを物語る数字です。そして2団体時代には一人もいなかったという事実も、このスポーツの現状を如実に伝えてくれています。

しかも、まともにヘビー級に君臨出来たのはホリフィールドだけという異常なまでに狭き門です。

週末のハロウィンではガーボンタ・デービスとレオ・サンタクルスが130ポンドと135ポンドの二つの階級を同時に懸ける倒錯の世界戦に、バンタム級では井上尚弥が保持するリング誌、IBF、WBAの3つの王座を懸ける防衛戦をジェイソン・マロニーを相手に行いますが、ウシクvsチゾラには世界王者のベルトは1本もステイクされていません。

それでも、この試合がハロウィンの日に世界的な注目を最も集めるとみられる理由は、ウシクがこの最難関の2階級制覇の道程にあることをボクシングファンが知っているからです。

もし、ヘビー級でも完全統一王者になるとホリフィールド以来、近代史上2人目の大快挙になります。

そして、ホリフィールドは3団体時代でしたから、4-Belt Era=4団体時代となると史上初、完全統一の2階級制覇も史上初です。

しかし、ヘビー級とはいえ、ウシクはウクライナ人。米国にファンペースがあるわけがない旧ソ連からの独立国です。

ウクライナのヘビー級と聞いて、真っ先に思い浮かぶのはクリチコ兄弟です。

あんなに強かったのに、米国では「試合が面白くない」と因縁を付けられ、スターダムの頂点に立つことは叶いませんでした。

「パッキャオよりずっと強いんだけどな」(ウラジミール)という呟きも米国ファンからは非難の矢を集めるだけでした。

頂点階級で絶対王政を敷くウラジミールには、パッキャオには出来た上の階級のスター選手相手に番狂わせを起こす曲芸は、良い意味で不可能にもかかわらず。

ヘビー級でよりテクニカルなスタイルに傾倒するであろうウシクが世界王者になると、やはり「試合が面白くない」と因縁を付けられるでしょう。

頂点に立てるかどうかはわかりませんが、そこではアンソニー・ジョシュアやタイソン・フューリー、デオンティ・ワイルダー らいわゆるForbes fighter(Forbes誌のアスリート長者番付にランクされる超人気ボクサー)が覇を競っています。

それが、ウラジミールとの決定的に大きな違いです。

そのステージまで、ウシクが上がることが出来るのか?

それはまだ、誰にもわかりません。明後日の試合も重要な一戦ですが、二次試験に過ぎないのですから。
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最短で世界王者。

最短で複数階級制覇。

王者の無敗記録。

「プロキャリア最短記録」は主に日本で関心が払われるのは、ほとんどのボクサーが少ないキャリアで世界挑戦が実現しやすいジュニアフェザー級以下の超軽量級が主戦場だからです。

逆に、欧米で取り上げられることの多い「王者の無敗記録」はロッキー・マルシアノの打ち立てた「49戦全勝」がベンチマークとなっていますが、定年制や、何よりも選手寿命の短い超軽量級ボクサーがこなせる試合数が少ないことから日本人には縁がありません。

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最初の世界挑戦までに、ある程度の試合経験が求められる欧米では「複数階級制覇に要した試合数の最少記録」が取り上げられることはあります。

日本のファンが意識することの少ない記録ですが、五階級制覇に要した最少試合数の記録はシュガー・レイ・レナードのなんと11試合。「一階級制覇」に要した試合数はわずか2.2という驚異のスピードです。

「11試合で五階級制覇」。永遠に破られない記録に思えますが、昨年3月にマイキー・ガルシアがIBFウェルター級王者エロール・スペンスJr.に勝利していれば10試合で五階級制覇、記録更新でした。

この「最少試合数」を四階級制覇で〝公平に〟見るとマニー・パッキャオの5試合が〝世界記録〟。ファン・マヌエル・マルケス(ジュニアライト級)、デビッド・ディアス(ライト級)、リッキー・ハットン(ジュニアウェルター級)、ミゲール・コット(ウェルター級)の4試合四階級制覇のプロセスで新規王座に挑まなかったのはノンタイトル戦のvsオスカー・デラホーヤだけでした。 

一方で「11試合で五階級制覇」の最少試合数記録保持者のレナードは、最初のタイトル獲得が24戦目、「21試合で五階級制覇」のフロイド・メイウェザーは18戦目、計画的な複数階級制覇を遂行したデラホーヤでも12戦目でした。

大晦日に田中恒成が井岡一翔を下して16戦目での四階級制覇に成功すると、パックマンの5試合、マイキーの8試合、レナードの11試合(なぜか四階級と五階級制覇に要した試合数が同じというありえないトリックです)、メイウェザーの12試合、デラホーヤの13試合の後塵は拝しますが、トーマス・ハーンズの17試合を抜いて史上6位。しかもデビューからの試合数というオマケ付きです。

「デビューから」とか「王者として」「必要試合数 」とかなんだか欧米の記録って人為的な縛りが多いなあ、と感じたあなたはご明察です。

そして、レナードの「11試合で五階級制覇」やマイキーの「10試合で五階級制覇」にも、そんな作為的な縛りがあることもお気づきでしょう。

この「最短五階級制覇」記録の本当の持ち主はパッキャオの「7試合」です。

ESPNやリング誌が持ち出す「最短試合の五階級制覇」には「最初のタイトルを獲ってから」という縛りがかけられているのです。

この理不尽な縄縛に絡まれると、パッキャオの五階級制覇はフライ級からカウントされ、ライト級獲得まで27試合を要した計算になってしまうのです。

米国とメキシコが形成した排他的なギルドによる「パッキャオ外し」の一例です。
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