カテゴリ: 複数階級制覇

Monday, 20 July 2026 - Kokugikan

U-NEXT BOXING.6
commission:Japan Boxing Commission

promoter:Akihiko Honda (Teiken Promotions)

https://boxrec.com/en/box-pro/853769



▶︎WBAバンタム級王者決定戦
増田陸vs比嘉大吾。
増田の勝利が1/5(1.2倍)、比嘉9/2(5.5倍)。


▶︎WBOジュニアバンタム級王者決定戦
寺地拳四朗vsイスラエル・ゴンサレス
実績で上回る34歳の拳四朗が3/10(1.3倍)、バム・ロドリゲスやチョコラティトら超強豪との対戦経験がある29歳のメキシカン3/1(4倍)。


 ▶︎WBCジュニアフライ級王者・岩田翔吉vsエリック・バディージョ。
王者が1/2(1.5倍)、新王者誕生15/8(2.88倍)。






3試合とも番狂せがあるかもと思っていましたが、結果は大方の予想通り。

しかし、最も予想もオッズも明白に増田を支持していた〝日本で好き勝手できる〟バンタム級(軽量級は全て好き勝手できますが…)が議論を呼ぶ判定になったことは、ある意味で〝番狂せ〟だったかもしれません。

比嘉のトレーナー、野木丈司があからさまに採点に不満を示し、ファンの中には〝日本で好き勝手できる〟ではなく〝帝拳が好き勝手できる〟とみた人も少なくなかったようです。

試合はSD、2人のジャッジが117−111で増田、残る1人が115−113で比嘉。

正式ルール(10ポイントマスト)から離れてバカジャッジが事実上ルール化している「10−9マスト」が117−111という「増田が9ラウンドを取った」というスコアになってしまいました。

海外では散見される「10−10」がなぜ日本ではほぼ皆無なのか?議論を呼ぶ判定があった試合を「どっちかに振らなければなりませんからね」なんてどうして専門家や解説者が平気で吐き出してるのか???

議論を呼ぶ判定に、何らかの逃げ道が必要だからか?

もし、海外の趨勢に逆らって「10−9マスト」をルール化するのであれば、JBCはルールブックを書き換えるべきです。


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5月2日の東京ドーム。

井岡一翔がWBAバンタム級のタイトルホルダー井上拓真を攻略すると、日本人初の5階級制覇が完成します。

ストロー級(105ポンド)からバンタム級(118ポンド)までの13ポンドは、17階級で最もウエイトスパンの軽い5階級です。

最も重い5階級はミドル級(160ポンド)からヘビー級(200ポンド+)の40ポンド(ヘビー級は200ポンドを大きく超えて競われますから実際にはそれ以上)。

競技人口や専業プロ人口まで考慮すると、ストロー級からバンタム級までのタイトルをピックアップするのは最も安易な5階級制覇と考えて全く差し支えありません。

サウジアラビア・総合娯楽庁がサポートするズッファ・ボクシングが「現代のオリジナル8」として、ジュニアバンタム級以下の4階級を「現代人の体格と腐敗した認定団体が営利目的で増殖させた不要なクラス」と削除したことにまともに反論できる人はいないでしょう。

フライ級を含めた〝旧〟オリジナル8では、井岡はこれが2階級制覇への挑戦。現代のオリジナル8なら、キャリア初の〝まともな階級〟へのアタックとなります。

しかし、ストロー級からスタートする複数階級制覇が最も安易であるのはわかりますが、それが〝登り坂〟であることも見逃せません。

例えば、最もハイレベルとされるウエルター級を起点にジュニアミドル級(アユブ・カルレ)、ミドル級(マービン・ハグラー)、スーパーミドル・ライトヘビー(ドニー・ラロンデ)5階級(28ポンド幅)を抑えたレナードにとって、実質5年のブランクから挑戦したハグラー戦はアンダードッグでしたが、その道のりは〝下り坂〟だったと言えるでしょう。

まあ…ハイレベルな話ですが。

ストロー級から上げてゆく5階級制覇は、競技人口が厚くなる坂道を登り続ける旅程となります。それを言い出すと、フェザー級からウエルター級まで(21ポンド幅)の5階級も登り坂だけ、しかも軽量級から人気階級へ、言葉を選ばずにいうと低レベルからハイレベルの山を乗り越える過酷な道のりになります。

井岡のストロー級からバンタム級はジュニアフェザー級までの超軽量級という小さなコップの中で完結するとはいえ、坂を下ったレナードとは違う登りの5階級制覇でした。

ウエイト幅やウエルター級を頂点とする階級攻略難易度の山を考えると、ストロー級〜バンタム級の5階級制覇は最も安易と言えますが、デタラメランキングに立脚したデタラメチャンピオンシップが染み付いている現代ボクシングで最も評価されるのは「誰に勝ったのか?」。

井岡の4階級を振り返ると…。

【ストロー級】WBC=オーレイドン・シスサマーチャイ(2011年2月11日:5ラウンドTKO)/WBA=八重樫東(2012年6月20日:12ラウンド判定)…オーレイドンは当時階級最強。


【ジュニアフライ級】WBA決定戦=ホセ・アルフレド・ロドリゲス(2012年12月31日:6ラウンドTKO)…前月にファン・フランシスコ・エストラーダに勝利したローマン・ゴンサレスがスーパー王者に認定されていたため、このタイトルはセカンド。WBAがロマゴンとの統一戦を指示しますが、当時のプロモーター父親の一法が回避。

WBOは評価の高いドニー・ニエテスでしたが、当時のJBCはIBFに加盟していませんでした。3度目の防衛戦でのちの強豪フェリックス・アルバラードに初黒星をつけましたが、ロマゴンとの決戦から逃げたことは日本のボクシングファンを失望させてしまいます。アルバラード戦後にロマゴンがスーパー王座を返上したため、正規王者となり、ESPNやリング誌などのメディアでも2階級制覇と認められます。

…ニエテスは仕方がないにせよ、ロマゴンとの決戦を回避、108ポンドでは階級最強とは言えませんでした。


【フライ級】IBF=アムナット・ルエンロン(2014年5月7日:12ラウンド1−2判定負け)。リング誌やESPNでも評価が高かったルエンロンに勝って3階級制覇ならPFP入りの目もありましたが、キャリア初黒星。ルエンロンがボクシングシーンなどのPFPで10傑入り。ルエンロンは井岡、ゾウ・シミンと、ロマゴンから逃げたAサイドの大物を競り落とすハンターでした。

WBA=ファン・カルロス・レベコ(2015年4月22日:12ラウンド判定)。スーパー王者にエストラーダが認定されていたため、まともなメディアに3階級制覇が認められるのは、翌年9月にエストが返上した時点。ニカラグアのホープ、キービン・ララを11ラウンドで仕留めるなど、海外評価は高かったものの一法との亀裂は回復不可能の段階まで進行、2017年12月31日に引退宣言。


【ジュニアフライ級】WBO=ドニー・ニエテス(2018年12月31日:12ラウンド1−2判定負け)。ジュニアバンタム級の門番マックウィリアムズ・アローヨを判定で下して、強豪ニエテスに挑戦するも惜敗。

WBO=アストン・パリクテ(2019年6月19日:10ラウンドTKO)で、ニエテスが返上した空位のストラップを拾う。初防衛戦でプエルトリコのホープ、ハビエル・シントロンに判定勝ち。2度目の防衛戦で4階級制覇を狙った田中恒成を8ラウンドでストップ、リング誌とESPNでのPFP入りを果たす。

WBA王者ジョシュア・フランコとのドローと再戦での勝利、その間WBOが指示した中谷潤人を迎える防衛戦を回避。IBF王者フェルナンド・マルチネスのフィジカルに押されて陥落、再戦でもリベンジならず。


【バンタム級】WBC=井上拓真(2026年5月2日:?)…井上尚弥と中谷潤人の二重の砲火で焼け野原にされたバンタム級では、拓真に勝っても階級最強とは呼べません(階級1位はTBRBがクリスチャン・メディナ、リング誌とBoxRecが堤聖也)。



拓真に勝利したとして振り返っても、井岡が階級最強と認められるのはストロー級のみ。残りの4階級は事実上のセカンド(サード?)王者。

日本ボクシング史上屈指のテクニシャンではありますが、タイトルがバーゲンセール状態の4Belt -Eraだからこそピックアップできたタイトルばかりです。

その意味では、井岡もまたデタラメ・ボクシングの〝被害者〟という見方も出来るのですが…。もし、サウジが「理想」と標榜し、誰も否定できない「新オリジナル8(バンタム/フェザー/ライト/ウエルター/ミドル/ライトヘビー/クルーザー/ヘビー)」なら、現時点では0(ゼロ)階級制覇。

このまま、サウジがボクシング界を制圧するかどうかは不透明ですが、もしそうなると未来のレコードブックでの井岡は、拓真に勝ったとしても「世界タイトルはデタラメ認定団体の水増し階級では獲得したが、まともなタイトルは獲れなかった」という評価になります。










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シャクール・スティーブンソンがフェザー級(126ポンド)からジュニアウエルター級(140ポンド)までの4階級でタイトルを獲りました。

4階級制覇は、トーマス・ハーンズが1987年に達成してから36年で26人、2016年からの10年で見るとちょうど10人がこの〝偉業〟を成し遂げています。

つまり、毎年1人が達成する偉業…。

穴王者と雑魚挑戦者が溢れる4Belt -Era では複数階級制覇をその数字だけで偉業と呼ぶのは無理があります。

4階級制覇の26人で、ストロー級からフライ級までの3階級を起点としたのはレオ・ガメス、ホルヘ・アルセ、ノニト・ドネア、ローマン・ゴンサレス、ドニー・ニエテス、井岡一翔、井上尚弥、田中恒成と8人がリストアップ。

その一方で、ハーンズからの36年間でクルーザー級とヘビー級は、たったの2階級制覇というのにイベンダー・ホリフィールド、デビッド・ヘイ、オレクサンデル・ウシクの3人だけ(ミドル級とライトヘビー級を獲ったロイ・ジョーンズJr.を含めると4人)しかいません。

もちろん、クルーザー級とヘビー級の2階級制覇でも、ウラジミール・クリチコに完敗したヘイも偉大か?というとそうではありません。

「誰に勝ったのか?」。そこから目を逸らすと、誤った評価に繋がります。


それでも、スティーブンソンのフェザー級からジュニアウエルター級までの4階級制覇はマニー・パッキャオ、ファン・マヌエル・マルケス、マイキー・ガルシアの3人しか達成していませんでした。

フェザー級を起点にしたジュニアウエルター級の4階級制覇が相当な難易度であることは、容易に想像できます。これには様々な理由があるでしょうが、層の薄い軽量級から、レベルの高い人気階級を突破しなければならない、その壁が分厚いこともその一つでしょう。

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階級最強のアーロン・プライアーにこだわったとはいえ、あのアレクシス・アルゲリョですら、フェザーからジュニアウエルター級への4階級制覇を阻まれています。

キャリア最高の相手がきょうのテオフィモ・ロペスというスティーブンソン。

彼の対戦相手のクオリティが高いと考える人はどこにもいないでしょうが、コース自体は非常に難しい4階級制覇を簡単に攻略したのは間違いありません。




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Wednesday 31, December 2025
  
Ota-City General Gymnasium, Tokyo, Japan
commission:Japan Boxing Commission

promoter:Shisei Promotions
view on Lemino

バンタム級10回戦



skybet の見立ては井岡(WBA9位)の勝利が1/18(1.06倍)、オルドスゴッティ(同11位)が17/2(9.5倍)。

オッズ通りに井岡が第4ラウンドKOでタイトル挑戦権を獲得しました。

この試合はWBAタイトルの挑戦者決定戦でしたが、井岡の〝第一志望〟は堤聖也ではなく、WBCの井上拓真。

堤のキャラクター、リングの外でも最高です。




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Wednesday 31, December 2025
  
Ota-City General Gymnasium, Tokyo, Japan
commission:Japan Boxing Commission
promoter:Shisei Promotions
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バンタム級10回戦



5階級制覇を狙う井岡が最後のクラス、バンタム級に足を踏み入れます。

井岡がこれまでクリアしてきた4階級はストロー級(105)、ジュニアフライ級(108)、フライ級(112)、ジュニアバンタム級(115)。

その体重スパンはわずか10ポンド。ストローからジュニアバンタムまでの階級が抱える競技人口やレベルなどを考えると、これが最も安易な4階級制覇であることに誰も異論はないでしょう。

もちろん、プロボクシングは「誰に勝ったのか」が全てです。

全盛期のリカルド・ロペス、全盛期のマイケル・カルバハル、全盛期のパスカル・ペレス、全盛期のカオサイ・ギャラクシーを粉砕しての4階級制覇なら、これはもうGOATを語らねばなりませんが、もちろんそうではありません。

これまで、最も難易度が低い4階級制覇はレオ・ガメス、ドニー・ニエテス、ローマン・ゴンサレス、井岡一翔、田中恒成の5人によって達成されています。

そして、これが5階級まで伸びると「ストロー級起点で史上初の5階級制覇」です。やはり、最も難易度が低い5階級制覇であることに間違いありません。

この5階級の体重スパンは13ポンド。

13ポンドは、オレクサンデル・ウシクが現実の当日リングで乗り越える60ポンド近い体重差の前にはケシ粒以下、軽量級でも井上尚弥や中谷潤人、そして井岡本人も当日計量からそれ以上のリバウンドを見せています。

skybet の見立ては井岡(WBA9位)の勝利が1/18(1.06倍)、オルドスゴッティ(同11位)が17/2(9.5倍)。

WBAがこの試合を「タイトル挑戦者決定戦」とタグ付けしたことに「9位と11位の決定戦はおかしい」「そもそも直近2試合で負けている井岡に挑戦者決定戦に出る資格があるのか?」という非難が起きています。

そんな非難を口にする人は、ボクシングの認定団体が公正な組織であり、ランキングとチャンピオンシップ制度が厳格に運営されているとでも思っているのでしょうか?

WBAが2連敗中で36歳の井岡と、24歳のコロンビア生まれのベネズエラ人を1位と2位にしたとしても何の驚きもありません。

井岡も「「WBAからチャンスをもらっている立場」「忖度という言葉は極端すぎるが、僕がやってきた功績や結果をWBAに認めていただいてチャンスをくれている。相手の選手の経歴やWBAとの付き合いはわからないが、彼もチャンスをもらっているわけじゃないですか。賛否はもちろんあると思うし、それ(挑戦者決定戦)にふさわしいとか、ふさわしくないかというよりかは、チャンスをもらえたのは、僕だし、評価してもらってるのは僕。誰が何をいおうと、このチャンスは僕のもの」と、このスポーツの構造を正確に理解しています。

他のスポーツではまずありえない、あったとしても口に出してはいけない、実力以外の「忖度」や「選手の経歴(過去の認定料の支払い金額の大きさや支払いに遅延がなかったか)」「WBAとの付き合い」などが評価されるのがプロボクシングの世界です。

ましてや、先進国ではボクシングファンも興味を示さない軽量級なら、好き勝手し放題です。さらに、発展途上国のファイターと日本の人気選手では認定料が下手すると二桁違ってきます。

認定団体にとって、オレクサンデル・ウシクやテレンス・クロフォードのような人気のないファイターからは躊躇なくタイトルを剥奪しますが、カネロ・アルバレスや井上尚弥に対しては非常に優しく接し続けます。

当たり前です。

井岡は「挑戦権を取ることが大事。その先に5階級制覇をしたら誰も何も言わないですよ」とも語っていますが、そんなことはない。

かつて、亀田興毅が「5階級制覇したら文句ないんやろ!」と啖呵を切りましたが、そうではありません。




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122Lb

ジュニアフェザー級、あるいはスーパーバンタム級。

そう呼ばれる122ポンド級は、1975年に新設されたジュニアフライ級に続いて、1976年に誕生した水増し階級の走りでした。

クルーザー級のように、大型化するヘビー級とライトヘビー級との乖離が無視できなくなったという大義名分がない軽量級の細分化は、メディアやボクシングファンから冷ややかな視線を向けられます。

しかし、この素晴らしい競技の中では歴史の浅い50年という歳月を経て「水増し」などという批判が馬鹿らしくなるほどの突き抜けたファイターを輩出してきましたのもジュニアフェザー級でした。

リング誌が年間表彰の1カテゴリーとして1980年から発表しているTHE BEST FIGHTER POLL(年間PFP:2017年で廃止)にウィルフレド・ゴメスが3位にランクイン。

シュガー・レイ・レナードを中核にした中量級への注目を謀る目的で企画されたTHE BEST Fighter POLLでロベルト・デュランとレナードに続く評価を受けたのです。

もし、THE BEST FIGHTER POLLがゴメスの全盛期、カルロス・サラテを粉砕した1978年にも存在していたなら、ゴメスの1位は当然、おそらく全ての票を集めたでしょう。

バンタム級からライト級で活躍したジェフ・フェネックが、貴公子サーマート・パヤクァルンを破壊して大番狂せを演じたのもジュニアフェザー級。

エリック・モラレスが最初のでっかい花火を打ち上げたのもジュニアフェザー級。

あのマニー・パッキャオが鮮烈な米国上陸をマーキングしたのも、やはりジュニアフェザー級。

ノニト・ドネアが Fighter of the year に選出される活躍を見せたのもジュニアフェザー級。

そのドネアにボクシングのレッスンを施したPFPランキングの常連、ギレルモ・リゴンドーも、もちろんジュニアフェザー級。

カール・フランプトンがFighter of the yearを獲るのは、フェザー級でレオ・サンタクルスとの軽量級では稀なビッグファイトを制したからてしたが、この小さなアイルランド人が最も鮮やかな印象を残したのもジュニアフェザー級。

そして、いま。愚かなまでにKOフェロモンを撒き散らしてボクシングマニアを虜ににしている井上尚弥もジュニアフェザー級。

ーーー掃き溜めに降りる鶴が最も美しい。

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欧米では親近感の無い軽量級はオリジナル8の時代から注目度は低かった上に、現代では体重幅が小さく、3〜4ポンドで細切れされ、人気階級のメガファイトで前座をつとめるのが最大の晴れ舞台で、報酬的には日本人エースと日本で戦うのが手っ取り早くカネを稼ぐ方法です。

これが、井上のラスベガスへの片思い興行に付き合わされたラモン・カルデナスのようになると報酬は日本でやるよりもガクッと減ってしまいます。

「井上への挑戦が大筋合意」と伝えられたピカソが土壇場で対戦を拒否した事情は、おそらくそこにあります。

「え?全く無名のキム・イェジュンが50万ドルもらったと聞いていたのに、T−モバイルで戦うと言うのにこのファイトマネーは何なんだ?!」。

当たり前の話ですが、本当に逃げるつもりならドタキャンなんて無様な姿は見せません。最初から交渉のテーブルに付きません。

世界的な不人気と報酬の低さ。

世界王者でも1試合で10万ドル稼げないことが当たり前の軽量級。そこから、認定料やマネジメント料、トレーナーらコーナーマンたちに支払う日当、税金…などなどが差し引かれるわけです。

常識的に考えて、日本以外では専業ボクサーはほとんど存在しません。人気もない、報酬も良くない…。

軽量級には事実上、ビッグネームがいない。それは、すなわち、人気階級と比較して競技レベルが低いということです。

この掃き溜めには何羽もの美しい鶴が舞い降りましたが、その誰1人として人気階級のスーパースターの注目度や報酬の足元にも及ばないのが悲しい現実です。


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本文とは関係ありません。

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When Goliath Loses

大番狂せが起きるとき。

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下の階級のダビデが、上の階級のゴリアテに挑戦するーーー「階級を超えたメガファイト」ではダビデがベビーフェイス、ゴリアテがヒールの役回りを嵌め込まれる、勧善懲悪の構図になるのがデフォルトです。

そして〝善〟であるダビデがAサイドで「キャッチウエイト」や「リバウンド制限」をゴリ押しするケースが多いことを直視すると、見た目の勧善懲悪でくくるにはあまりにも複雑な事情が絡んでいることも見逃すべきではありません。

カネロ・アルバレスはゲンナジー・ゴロフキンやドミトリー・ビボルに対するダビデでしたが、彼を〝善〟と見たのはカネロのサポーターと一部のファンだけでした。

また、現在に至るAサイドによるスターシステムの基礎を築いたシュガー・レイ・レナードのドニー・ラロンデ戦は当時としても懐疑的な批判が少なくなく(日本はもちろんレナード礼賛)、現在ではその後のボクシング界を歪めた悪魔の所業と見なされています。


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やはり、カネロのフロイド・メイウェザー戦に至っては、世代の対決というスポーツファン大好きの〝定食〟に加えて、勧善懲悪ではなく〝悪vs悪〟という非常に珍しく、そして魅惑的な構図が浮かび上がったことも興行的な大成功をもたらしました。

来年にも実現が期待される「井上尚弥vs中谷潤人」はmission impossible の香りが立ち昇る「階級を超えるメガファイト」ではありませんが、世代の対決という大きなテーマが掲げられます。

そして井上と中谷のマッチングは〝善vs善〟の色合いが強く、一般的な興味・関心を巻き込む順位付けでは〝悪vs悪〟〝善vs悪〟に次ぐランクになります。

日本における〝悪〟はプラチナキャラ、彼らを例外にまず見当たりません。


次はボクシング界の矛盾がいくつも折り重なったメガファイト、ゲンナジー・ゴロフキンvsカネロ・アルバレスの三部作を振り返りましょう。



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When Goliath Loses

大番狂せが起きるとき。


Saturday 21, September 1985
  
Riviera Hotel & Casino, Outdoor Arena, Las Vegas, Nevada
commission:Nevada Athletic Commission
promoter:Don King, Butch Lewis

inspector:Harold Buck

Lineal/リング誌/IBFヘビー級15回戦




ドン・キングとブッチ・ルイス…寓話に登場するような怪人2人がプロモートした歴史的な大勝負です。

「階級を超えたメガファイト」から滲み出しているのは、Mission Impossible のロマン。そして、この類のメガファイトで特徴的なのは、Mission Impossibleに挑戦する下の階級の選手がベビーフェイス、受けて立つ上の階級の王者がヒールになるケースが多いこと。

ゴリアテとダビデ、ゴリアテは常にヒールのレッテルを貼られがちなのです。

この試合でもライトヘビー級のUndisputed championマイケル・スピンクスが、ヘビー級の絶対王者ラリー・ホームズに勝てば史上初のヘビー級を制したライトヘビー級王者。

そして、大方の予想通りにホームズが勝利するとロッキー・マルシアノの連勝記録「49」に並ぶ大きな節目。

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29歳のスピンクスが27戦全勝19KO、35歳のホームズが48戦全勝34KOという無敗対決。そして、PFPファイター同士の対決でもありました。

当時、米国では五輪ボクシングに出場する自国選手の試合は地上波生中継されていた時代、スピンクスは1976年のモントリオール五輪ミドル級の金メダリスト。

一方のホームズは叩き上げ。もおもとが「アリのコピー」「試合が面白くない」と非難される憎まれ役。

計量は王者が221.5ポンド(100.5kg)、挑戦者は現在のクルーザー級リミットも割り込む199.25ポンド(90.4kg)。

このとき、スピンクスの増量を指導したのは女優リンダ・ハミルトンや、MLBのオジー・スミス、NFLのペイトン・マニング、テニスのセリーナ・ウィリアムズらスーパースターの肉体改造を手がけたマッキー・シルストーン

のちにワシル・ロマチェンコの栄養管理もサポートするシルストーンは、スピンクスのライトヘビー級(175ポンド)の肉体に約25ポンド(11.3kg)の筋肉を、柔軟性と反射、スピードはそのままキープさせて上乗せしました。

惨敗の予想もあったスピンクスは大健闘。ユナニマスデジションで、史上初めてヘビー級を制したライトヘビー級王者になります。

スピンクスとは反対に反射はもちろん、スピードや柔軟性で劣化を晒したホームズは「歴史を作られたヘビー級王者」という屈辱を受けなければなりませんでした。

7ヶ月後の再戦ではホームズの勝利と思えましたが、オフィシャルは1−2のSDで惜敗。

ホームズはモハメド・アリにもなれず、スピンクスに2連敗して2年のブランク明けにWBC/IBF王者マイク・タイソンに復帰・即挑戦しますが4ラウンドで葬り去られてしまいます。

「(調整試合を挟みたかったのに)ドン・キングに騙された」という、ホームズの泣き言に耳を貸す者は誰もいませんでした。


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ボクシングはスポーツではありません。

もし、ボクシングがスポーツなら「カネロ・アルバレスvsテレンス・クロフォード」なんて試合よりも「カネロvsデビッド・ベナビデス」「クロフォードvsジャロン・エニス」を優先しているはずです。

ボクシングはスポーツではありません。


1960年代以前となると地球上に世界王者は8人しかいない、1団体8階級時代。ボクシングはメジャースポーツの一つで、世界王者はあらゆるスポーツの中でも最も尊敬されるチャンピオンの1人でした。そんな時代があったなんて、いまでは絶対に信じられないでしょう。
1970年代でも複数階級制覇は「3」が最多。世界タイトルの価値がまだまだ高かった時代です。

そして…1980年代。団体と階級が増殖、タイトルの価値の暴落に歯止めはかからず、「階級を超えたメガファイト」が注目を浴びるようになりました。

安易な複数階級制覇に、階級を超えたメガファイト…そんなものがありがたがられるのは、タイトルの価値暴落が大前提でした。

そして、80年代以降のメガファイトには必ずAサイドとBサイドの色分けがなされていることも忘れてはいけません。スポーツじゃないから当然、といえばそれまでですが。

先日の井上尚弥の〝ラスベガス公演〟も、その典型です。複数の日本メディアがラスベガスを「井上にとってアウエー」と表現していましたが、正気の沙汰ではありません。

そして、あれはT−モバイル史上で飛び抜けて最悪の閑古鳥イベントでしたが、「チケット販売絶好調」という報道やそれを信じる馬鹿信者たちの声は試合が近づくと全く聞こえなくなってしまいました。どうしちゃったんでしょうか?あんなに威勢が良かったのに、いつものパターンです。

それにしても摩訶不思議な興行でした。運営側は超高額に設定した一時価格をメディアが報道してくれるだけで良かったのでしょうが、正確な情報が簡単に手に入る現代ではそうはいきません。どんどん下がる価格、上階席の完全封鎖はこのブログでも早い段階で指摘していたように確定事項でした。

そもそもPPVにもならないイベントだったのですから。

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パックマンだ!

先日、マニー・パッキャオの復帰即タイトルマッチが発表されましたが、あれも人気のあるAサイドは何をしても良いというとんでもない茶番です。

「井上のTモバ」は「人気のない日本限定のAサイドをラスベガスでも大人気に見せかける必死の努力」という複雑怪奇な興行でしたが、本質はAサイドの好き勝手放題です。



それでも、それでも…80年代からボクシングの魅力にとり憑かれた私にとって「階級を超えたメガファイト」には、いまでも特別な思いが込み上げてきてしまうのです。

「階級を超えたメガファイト」から滲み出しているのは、Mission Impossible のロマンです。

ーーーライトヘビー級のマイケル・スピンクスがヘビー級王者になれるわけがない。ましてや相手は史上最強とも言われるラリー・ホームズ。不可能だ。

ーーー実質5年のブランクからいきなりマービン・ハグラーに挑戦なんて、シュガー・レイ・レナードは気が狂ったのか?全盛期でもレナードはハグラーに勝てっこない。不可能だ。

ーーーフライ級上がりのマニー・パッキャオが、ミドル級王者にまでなったオスカー・デラホーヤと戦う?大事故が起きたらネバダ州アスレティック・コミッションは責任を取れるのか?不可能だ。

彼らが、モハメド・アリのように Impossible is Nothing. を証明した背後にはロマンとは真逆のカラクリが存在しました。

まずは、レコード・メーカーのジンクス、スピンクスからです。





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Undisputed super-middle weight championship、王者カネロ・アルバレスがテレンス・クロフォードを迎え撃つ正真正銘のメガファイトです。

9月12日、ラスベガス。舞台はNFLラスベガス・レイダースの本拠地アレジアント・スタジアム。

フットボール会場としては6万5000人を飲み込む巨大スタジアムですが、アリーナも設営するボクシングなら7万人以上のセットアップが可能。

カネロはジュニアミドル級からライトヘビー級でストラップをピックアップ、クロフォードもライト級からジュニアミドル級を制圧した、ともに4階級制覇で足跡を残したPFPファイター。

体重と年齢の問題から、予想もオッズも大きくカネロに傾いています。

【体重】カネロはジュニアミドル級で最初のタイトルを獲得、ライトヘビー級まで増量した一方、クロフォードはライト級がスタート地点、ようやくジュニアミドル級で1試合をこなしたばかり。

にもかかわらず、クロフォードはさらに2階級ジャンプしてカネロに挑戦することになるのです。


【年齢】カネロは1990年7月18日生まれの34歳、9月12日は35歳となってリングに上がります。クロフォードは1987年9月27日生まれの37歳、試合が行われる9月に38歳の誕生日を迎えます。

この年齢が何らかの影響を与えるのか、どちらに加齢の影響が重くのしかかるのか?

40前のクロフォードの方が加齢による衰えは深刻、という単純な問題ではないかもしれません。


さらに、興行的には、クロフォードの不人気が気掛かりですが、人気者カネロへの冒険的なチャレンジは大きな関心を集めるはずです。

巨大スタジアムをフルハウスに出来るかどうかは怪しいものの、半分も入らないなんてことはないでしょう。

ヘビー級と除くボクシングのメガファイトで、最も興味を掻き立てられるのが、無謀に映る下の階級から、上の階級へのアタックです。

過去のメガファイトを振り返りながら、9月12日の決戦を占ってゆきます。


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