カテゴリ: 村田諒太

5. RYO

村田諒太選手が五輪金メダル会得後、プロではミドルでは無く、jrミドルやSミドルでの世界C奪取を目指していたのなら、世間での注目度や大企業のバックアップはどうだったんでしょうね?

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ミドル級(といってもプロよりずっと重い75kgリミット/村田がいかにナチュラルに近い体重で戦っていたかがよくわかります)で金メダルですから、プロのアルファベットとは比較にならない価値があります。どの階級をターゲットにしても電通まで積極的にスポンサーを集め、フジテレビなども神輿を担いだのは変わらないでしょう。

ただ、村田が祀られた理由は、人気階級という日本ボクシング界が見えないふりをしていた超難関、つまりボクシングのメジャーリーグに挑むから。

最初のタイトルをどこで獲るかは別にして、どこかのタイミングでGGGやカネロが覇権を争う当時のミドル級に乗り込んでいったのは間違い無いでしょう。

村田への期待は「人気階級で本物のビッグネームを倒す日本人」という、国内に貧困な王者や挑戦者を引っ張り込んで軽量級のタイトルマッチを繰り返す従来の日本ボクシングとは一線を画する夢が現実になるかもしれない、ということでした。

井上尚弥らは在来のローカル線を走ってるだかなのです。もちろん彼らにはなんの責任もありません。責任があるのは、ローカル線を宇宙ロケットだと偽り、本物のメジャーから目を背け続けた興行サイドです。

村田は本物のビッグネームには力負けしてしまいましたが、人気階級の並王者やアルファベットの世界ランカーなら当たり前に撃破したのはさすがでした(そんな日本人ですらいつ現れることか?)。


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スティーブン・バトラーが村田諒太のWBAミドル級のストラップに挑戦したとき(2019年12月23日)の戦績は28勝24KO1敗1分。

アルファベットのランキングはWBAで8位、WBOでは1位。

コレクションした地域タイトルは「NABF20歳以下ジュニアミドル級」「IBFユース・ジュニアミドル級」「IBF北米ジュニアミドル級」「NABAジュニアミドル級」「IBOインターナショナル。ジュニアミドル級」「WBCフランス語圏ミドル級」「WBCインターナショナル・ミドル級」…BoxRecで確認できるだけで6つのベルトを腰に巻いてきました。

このどうでも良い事実が意味することーーーつまりアルファベット団体がバトラーにストラップを献上したがる理由は「興行規模が大きい=認定料が高い」ということでした。

同じ「バトラー」でもバンタム級のポールの方は、逃げ回って情けない試合に終始したと非難されて「軽量級は職業として成り立たないのに、考えられない報酬(日本円で約5000万円)を手にした私は勝者だ」と言い放ちましたが、人気階級のスティーブンはそんな言い訳は出来ません。

もちろん、村田への挑戦を地元カナダではなく、完全アウエーの有明アリーナに引っ張り上げられたのは、高額の報酬があってこそでしょう。

有明に散った24歳のカナディアンは28歳になり、地元モントリオールでキャリア5敗目を喫しました。

かつて、自らが保持していたWBCフランス語圏ミドル級王者決定戦。

相手は同じカナダ人のパトライス・ボルニー。ここまで19勝13KO1敗、唯一の敗北はエスキバ・ファルカン…ボルニーにもまた、村田諒太がアヤになって絡んでいます。

そんな二人のカナダ人が「カネロ・アルバレスへの挑戦」を夢見て激突…ここで勝っても、そんな大舞台など用意されるべくもありませんが、カナダはカナダで能天気です。

試合は、ぐだぐだの泥試合。

第9ラウンド、削られ消耗したバトラーが揉み合いの中で連打を浴びたところでアライアン・ビラヌエバ主審が試合をストップ。


バトラーは主審を突き飛ばして不満をあらわにしましたが…。


カナダで一定の人気を持つバトラーはまだ28歳。

それでも、ディフェンスに大きな欠点を抱え、攻撃のバリエーションも少ない不器用で決定力もないカナダ人がミドル級の世界タイトルをつかむ、そんな日がやって来るとは思えません。

それでも彼はリングに上がり続けるのでしょう。

カネのためでも、名誉のためでもなく。







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昨日は千住、今日は北海道である。

「お前が仕事をすると属人化する」とずっと非難され続けてきましたが(現在も進行形)、本物のプロの仕事はすべからく属人化である。

なんて、私の場合は好き勝手にやってるだけなのですが…。

ところが10年ほど前に「何をしてもいいから北を建て直せ」と言われて、大喜びで札幌赴任を引き受けたのでした。

初出勤の日、自己紹介ではなく「他者紹介」され、「趣味と得意技は火中の栗拾い、であります」と言われて、どっと沸いたとき「ああ、火中の栗拾いをしなければいけないことをわかってるのか、ここは大丈夫だ」と頼もしく思いました。

確かに、火中の栗拾いは大好きなのである。火中の栗拾い、それを正確に言い換えると「ピンチはチャンス」ということです。

そんな仲間たちと、札幌で久しぶりの再会です。

というワクワクしながらの機内で、安易な「いただいたコメント」へのリターンです。面白いラリーになれば良いのですが。

最初にお断りしておきますが、竹原慎二の功績にケチをつけるつもりは全くありません。井上尚弥の場合と同じく、陣営が好き勝手発表していた嘘にはハッキリNO!を突きつけますが。

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ミッシェル 2023/05/02 10:55
 

村田涼太…素晴らしいボクサーですね。 
実績、技量、スマートさは言うに及ばず。誠実で勤勉…でもヤンチャな下地を秘めた稀有な存在ですが、竹原慎二が、村田のような手厚いサポートを受けていたらどうなっていたのだろうか?といつも思います。 
 

竹原選手のミドル級のタイトル奪取の偉業は、村田選手の比ではないと思います。

 

元記事: Megapelea Muy Extraña〜世にも奇妙なメガファイト[③] (編集)


ミッシェルさんの〝サーブ〟に込められているのは①「竹原慎二が、村田のような手厚いサポートを受けていたら」と、②「竹原選手のミドル級のタイトル奪取の偉業は、村田選手の比ではない」の2点です。

①は、「広島の粗大ゴミ」と「五輪金メダリスト」という「乞食と王様」をひっくり返したら?という、非常に鋭い角度から斬り込んだビッグイフです。

ただし、このビッグイフのページを開くと「日本のミドル級」という特殊環境の中で「そもそも王様のマッチメイクの方が厳しい」という倒錯のチャプターがいきなり出現してしまいます。

竹原がデビュー戦(1989年5月15日)で、村田のように当時の東洋太平洋王者(当時は白仁鉄)と拳を交えていたなら…かなりの確率で序盤でKO負けだったでしょう。というか、白との対戦なんて考えもしなかったでしょう。

「いやいやいや、それ言ったら村田でも東洋太平洋王者が白だったら絶対に選んでいない!」と反論されるでしょうが、村田の線路は日本に閉じこもっていた竹原よりもはるかに過酷なもので、アジアレベルですら傑出していたとは言い難い竹原とは決定的な実力差があります。

竹原の東洋太平洋タイトルでは3度目の防衛戦で迎えた李鉉植(当時は協栄ジムから12勝7KO3敗と公表されていましたが実際は1勝2敗1分でなぜか指名挑戦者)など怪しい相手が盛りだくさん。

ダブルノックダウンの宿敵・李成天の戦績も怪しさ満点です。もちろん、当時はBoxRecなどなく、戦績は〝自己申告〟でしたが…それにしても、おいおい協栄さん…です。まあ帝拳も大橋も毒入りオレンジを仕込まないだけマシで、ほとんど変わりませんが。

ファイティング原田のエデル・ジョフレまでになると、この種の嘘は絶対つけませんが、ジョフレまで行くと脚色して強く見せようとするのがバカらしくなる、本物の強さです


どう見ても怪しい韓国人相手に手を焼いていた竹原が、村田が圧倒していた米国の州王者レベルにどこまで対抗できたでしょうか?

そんな現実も踏まえて「②竹原選手のミドル級のタイトル奪取の偉業は、村田選手の比ではない」をあらためて見ると、アジアレベルでアップアップだった竹原がホルヘ・カストロによく勝てたな、という視点で、あの大番狂せは多くのファンが考えているよりも、はるかに巨大なアップセットだったと言えます。

さらに言ってしまうと、竹原は「あの日あのときのカストロ」以外には勝てない、もし再戦していたら、呆気なくパワフルな機関車の下敷きになっていたでしょう。


さて、竹原vs村田、です。

このブログで繰り返しているように、時空を超えた戦いに正解などあり得ません。

そこにあるのは、楽しく想像することだけです。 

一つだけ確実に言えることがあるとしたら、「失うものなど何もない竹原」と「勝たなければいけない重圧を常に背負っていた、失うものに恐れていた村田」との対決になります。




ちょうど、北の大地へランディング。機内モードを解除します。
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ーーー拓真選手、素晴らしい試合でした。尚弥選手に続いて4団体統一王者を目指すということですが、可能性はどうなんでしょうか?

村田さん:「バンタム級は日本でだけ注目される、日本でお金になる階級、チャンスはあるんじゃないですか」。
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正式発表をしていないだけで、ボクシングファンの100人が100人、引退だとわかってたと思います。

でも、私は、心のどこかで、現役続行すると信じていました。



15年以上前。

村田諒太がまだアマチュアの頃、試合会場ですれ違ったことがありました。

当時、すでに彼は有名人。

村田を間近に見た感想は「評判通りカッコいいな」とか「やっぱり大きいな」とか、ではなく「絶対ケンカしたらアカンやつ」でした。

いろんな意味での強さや野生が、滲み出てました。

ボクシングファンの一人として、村田「以来」の声を私たちは聞くことが、いつ出来るのでしょうか?

「村田諒太以来、史上二人目の五輪ミドル級金メダル!」「村田諒太以来、史上二人目の世界ミドル級タイトル防衛!」。

日本のボクシング界が恋焦がれながらも、近寄ることが出来なかったアメリカの〝メジャー〟階級。





誤解を恐れずに語ると、井上尚弥や西岡利晃らの「パウンド・フォー・パウンド」だとか「MGMグランド」だとかの〝弱者の言葉遊び〟とは違う、メジャーに斬り込んだからこそ、村田には大きなサポートが集まりました。


うまく伝わっていないでしょうが、私のスタンスは「階級に貴賎はない」です。

リカルド・ロペスやローマン・ゴンサレス、井上尚弥らの世界的な認知が低いのは、世界の〝ボクシング民度〟が低すぎるからです。

しかし、世界の一般認識は「階級には貴賎がある」です。

そして、そこを理解しなければ、何も始まりません。そこを理解せずに「軽量級でも米国でスターダムの頂点に立てる」と、幻覚を肥大化させるのは、あまりにも馬鹿すぎます。

「MGMグランドでメインだから世界でも人気があるファイター」とか「PFP1位はアメリカのボクシングファンにも人気がある」なんて悪い薬飲んで見たような頭悪過ぎな幻覚を見てはいけないのです。

その意味でも、村田のキャリアは素晴らしかった、です。

五輪の金メダルと、プロの世界王者。どちらが価値があるか、どちらが難しいかと聞かれて答えに迷う人はいないでしょう。

ゲンナジー・ゴロフキンには勝てませんでしたが、あのカザフスタン人はボクシング界のメジャー、マイク・トラウトです。


そこを目指す、そこを掴む、「村田以来」のファイターが登場する未来がすぐそこに迫っていることを信じて期待したいです。

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年末、忙しくてエキマ総集編は忘年会帰りのタクシーの中で2日遅れで観戦してます。

気になったのは1位の「井上尚弥vsノニト・ドネア第2戦」と、2位の「ゲンナジー・ゴロフキンvs村田諒太」が静止画だったことでした。

「権利の問題」で、仕方のないのでしょうが、なんだかなぁ。

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そういえば「バトラー戦」がランキングに入っていなかった気がするのですが、タクシーの中で見落としてたのか?

そして、ゲストの村田諒太が忖度なしの本音発言を繰り返したのも、ちょっと驚きでした。

「ガーボンタ・デービスはあんなに小さいのにどうしてライト級で戦えるのか?」と質問を振られた村田は「そこまでリスクを冒しても、ライト級ならお金になると言うことですよ」と即答。

それだけならまだしも「レベルの低い下の階級で圧倒的に勝ってもお金も注目も集まらないからですよ」。

そこは、フレームという意味不明の言葉を使って「身長だけじゃなく骨格やフレームもありますからね」というのが、日本のボクシング番組に出演している大人の答えです。

井上のジュニアフェザー級挑戦についても「4ポンドや2ポンドで階級が変わるって言うのがよくわからないんです、僕は」。

そこは「1ポンド変わるだけでもパンチ力や耐久力は変わると言われてますからね」が、大人の答えです。

しかも、いくら軽量級でも「2ポンド」差の階級はありません。

それに、米国での人気は悲惨でも、井上は日本限定なら今や文句なしのスポーツセレブです。

「レベルの低い小さな階級」でも、井上や日本のトップボクサーは特別で、それなりに注目もお金も集めています。「バンタム級は経済的に何も保障されていない(職業として成立しない)」(バトラー)というのは、英国や米国の話です。

サッカーW杯で解説した本田圭佑が「本音を出すと日本に厳しいことを言ってしまうので、全面的に日本代表を応援する姿勢でやった」と、大人のスタイルに徹したのと、村田は対照的でした。

井上は人気階級に出て行かなくても、軽量級でも日本国内で十分なカネとステイタスが約束されるポジションを築きあげたのです。

デービスのように「そこまで危険を冒して」人気階級を目指す必要がないのです。

パッキャオが日本人なら、ジュニアミドル級まで進出するなんて考えもせずに、井上のように軽量級の殻に閉じこもっていたはずです。

井上と身長が変わらないデービスが日本人なら、やはりフライ級やらバンタム級やらで戦って人気者になっていたはずで、米国の人気階級なんて目指さなかったでしょう。

「MGMグランドガーデンアリーナでメイン」という夢は打ち砕かれた井上ですが、そこにこだわらずとも軽量級の歴史上最も稼ぐボクサーになったのです。

そもそも、デービスの直近の試合、ローランド・ロメロ戦のファイトマネーは〝たったの〟200万ドル。「3億円近い」(日本経済新聞)井上より少ないのです。 

井上には大きなリスクを冒す必要が全くないのです。ましてや、米国で戦うとなると報酬も注目も会場も全てが大幅にスケールダウン。リスクだけが爆発的に巨大になるのに、リターンは激減なんて、あり得ません。

プロ野球選手がMLBを目指すのはリスクに見合ったリターンが十分期待できるからです。

もし、ジュニアフェザー級で亀田和毅戦が実現したら「デービスvsライアン・ガルシア」を上回る興行規模になるかもしれません。 

サッカーで例えると、日本はサッカー(人気階級)に手が届かなくても、ビーチサッカーやフットサル(マイナー種目)でも国内限定ですがスーパースターになれるのです。

そういえば、和毅も井上との対戦を再三ぶち上げています。亀田一家に贖罪のチャンスがあるとしたら、井上戦しかあり得ません。そして、井上にとっても「那須川天心vs武尊」の日本格闘技史上最大の興行を超える可能性があるとしたら、亀田は有力なオプションの一つです。
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明日、カナダのモントリオール・カジノで、カナダ人同士で争われるNABF北米ミドル級王者決定戦。

村田諒太にも挑戦した元WBO1位のスティーブン・バトラーが、ブランドン・ブリューワと激突します。

Butler, 26, has fought at the highest level but came up short against Ryota Murata for the WBA 160-pound title in December 2019, while Brewer has toiled just below the world-class level, all the while waiting for his big opportunity.

バトラーは2019年にWBA王者・村田諒太に挑戦、高いレベルの試合を経験しているが、村田には通用しなかった。〜リング誌から

26歳のバトラーは2019年12月23日に村田諒太のWBAセカンドタイトルに挑戦、5ラウンドで沈められてしまいます。

その後は2試合を戦い1勝1敗。

対するブリューワは37歳にして、これが初めてのタイトルマッチ。これまでの戦績は25勝11KO1敗2分。

世界ミドル級という次元の高い世界から見ると、カナディアンによるローカルファイトに過ぎません。

NABFランキングで1位はハイメ・ムンギア、3位にエスキバ・ファルカオと日本人にも馴染みのある名前を見つけることができます。

ロンドン五輪決勝で村田に惜敗したファルカオ、無敗の進撃を続けていますが、いまだに世界戦が組まれないまま、時間だけが過ぎ去っています。

これを金の村田と銀のファルカオの差だという人は誰もいません。日本の村田とブラジルのファルカオの差です。

この不条理なボクシング界。〝BANG BANG〟バトラーにとっては、再び世界戦線に浮上するために敗北が許されない一戦です。

まだ26歳とはいえ、この階級で大きなチャンスを掴むには、勝ち続けること、どこかでビッグネームを食うことが求められます。

明日のブリューワは〝勝ち続けなければならない相手〟の1人。

村田諒太と拳を交えたバトラー、世界トップ戦線に繰り出て欲しいところですが…。
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9日放送の「スポーツ×ヒューマン『俺は誰だ?ボクシング 村田諒太』」を5日遅れで視聴。

すでにご覧になった方もいらっしゃるでしょうが、これはスポーツドキュメンタリーではありません。

村田諒太は、アマとプロで大きな結果を残した卓越したボクサーというだけでなく、優れた哲学者です。

ゲンナジー・ゴロフキン戦に向けたメンタルトレーニングの中で「自分」を語っているのですが、その言葉が深い。特別な人間が発しているのに、あらゆる人に共感できるのです。

それはつまり、哲学です。
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激戦直後で傷ついた顔の、まあ格好良いこと。

現役続行にも含みを持たせる言葉もありました。「ゴロフキンまで辿り着いたんだから十分」というのがファンの多数意見かもしれませんが、個人的には見てみたいです。

20日(金)夜中の1時30分から総合テレビで再放送もあるようです。見逃された方は是非。
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アマチュアとプロの違いはどこにあるのでしょうか?

アマチュアは3ラウンド制、同じ呼称の階級でもプロとは重さが違う。採点基準が違う…数えきれない違いがあります。

リングの中で言うと、アマチュアは勝ち進めば勝ち進むほど、強い相手と戦えるトーナメントです。

世界選手権やオリンピックでは、世界の強豪と拳を合わせて勝ち進まなければなりません。

そして、世界選手権やオリンピックの開催地はカネとコネを持つ富裕国ですが、極端な偏りはありません。

一方で、プロは安易なマッチメイクで世界王者になることが出来ます。世界王者は世界最強とは限らないというわけのわからない世界がプロです。

長谷川穂積や内山高志、山中慎介らは、勝ち続けるに比例してどんどん強い相手が現れるという、スポーツなら当たり前の風景を見ることが出来ませんでした。

タイトルマッチの舞台も、富裕国のボクサーのホームに大きく偏ります。そして、そこでは当然、地元判定と思われるジャッジが下されることもあります。

これらの違いに加えて、選手側には「練習環境」という大きな問題が横たわっています。

実力があれば、国際大会でトップレベルの真剣勝負が体験出来るアマチュアに対して、アルファベットの世界王者としてどんなに勝ち抜いても本物のトップと拳を交えることが出来ない悲劇がプロでは起こり得ます。

そして、それは日本のライト級以上の選手にとって、より深刻にのしかかってきます。

例えば日本のミドル級の選手は、練習相手にも困ります。

村田諒太は日本人の五輪金メダリストであるが故にさまざまな恩恵に浴しましたが、それはベターであってもベストではありませんでした。

もし米国人やメキシコ人に生まれて金メダルなら、中量級のボクサーを育成するノウハウに長けた大手プロモーターが村田に最高の環境を整えたでしょう。

もちろん、練習相手に困ることもありません。

プロ向きでないと言われたジョージ・フォアマンが〝フォアマン方式〟で自信をつけるマッチメイクを消化して怪物化、アンドレ・ウォードも対戦相手の質が低いと批判されながらも着実にプロのスタイルを習得、スーパー6を大番狂わせで優勝しました。

フォアマンやウォードは、プロでも最初から別格だったわけではありません。

村田のマッチメイクが、金メダリストに自信とプロの流儀を学ばせるプログラムとして合格点だったと言う人は少数派かもしれません。

しかし「日本を拠点にして」という条件付きなら、100点満点です。帝拳は出来ることは全てやり尽くしてくれました。

まだ、進退は表明していませんが、ここまでのキャリアは素晴らしいの一言に尽きます。

清水聡や井上尚弥らもそうですが、アマチュア時代から応援していたボクサーがプロでも活躍してくれるのは、嬉しいものです。

そして、そして、村田は対戦相手にも本当に恵まれました。

当初ターゲットにしていたビリー・ジョー・サンダースとの交渉は難航、ESPNの年間最高KO賞に輝いたばかりのアッサン・エンダムに決まったときは少し嫌な予感がしたものです。

しかし、あの疑惑の判定負けも、今となっては村田とエンダムの人間的な魅力を演出してくれました。

そして、ゲンナジー・ゴロフキン、です。

それにしても。

実力だけでなく、運まで持ってる人っているもんですね。









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アマチュアスポーツは「実力」と「勝敗」を競うもの。

ブロスポーツとなれば、そこに「人気」も複雑に入り込んで来るものです。

野球における甲子園で大活躍した選手がドラフト1位でプロ入り、そこでも大活躍するのは一つの理想型です。

しかし、ボクシングではアマチュアの頂点、五輪金メダルはブロで世界王者になるよりも遥かに難しく、ましてや欧米の人気階級ともなると、日本人には夢物語でした。

ボクシングの世界では〝甲子園型〟のヒーローはあり得ない…そのはずでした。

「日本人にはミドル級は絶対無理?いつまで同じことゆうとんねん。日本人には無理でも村田諒太には無理ちゃうんじゃ」。

アマチュアで頂点を目指す村田は、記者のネガティブな発言に苛立っていました。

誰のためでもなく、己のために戦う良い意味でのエゴを、その発言や面構えから発散していました。

そんな奔放でやんちゃな青年が、日本人には絶対無理の五輪ミドル級で見事優勝。

プロ転向からは、多くの人の献身と応援に感応しながら、世界ミドル級王座に2度も就き、王座防衛も果たしました。

大勝負を終えた日本史上最強の男は、何を語ってくれるのでしょうか。
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https://www.nhk.jp/p/gendai/ts/R7Y6NGLJ6G/episode/te/61X1V7JGKW/

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