フシ穴の眼 〜スポーツ疾風怒濤編〜

      Hope Lights Our Way / 希望の道を、つなごう。

カテゴリ: 井上尚弥

井上尚弥がリング誌PFPランキングでトップに立ちました。

日本人では初めて、バンタム級でのキングはローマン・ゴンザレスのフライ〜ジュニアバンタム級に次ぐ2番目の軽量です。

この評価で、リング誌の今年のFighter of the year=年間最高選手賞の可能性が一気に膨らみました。

リング誌Fighter of the year受賞なら、日本人初だけでなくアジアでもマニー・パッキャオ以来、史上2人目。
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有楽町のタマアジサイも祝福してるぜ!

年内にバンタム級完全統一なら、リング誌のFighter of the yearは間違いでしょう。

リング誌Fighter of the yearならマニー・パッキャオ以来、アジア史上2人目。

テレンス・クロフォードvsエロール・スペンスJr.戦で、どちらかが圧勝すると、井上はW受賞になるかもしれませんが、その目は少ないと見ます。

ファイティング原田も獲れなかった賞です。

リング誌の記者も投票する、最も権威のあるBWAAのFighter of the year、シュガー・レイ・ロビンソン賞も十分あり得ます。

BWAAのFighter of the yearならマニー・パッキャオ、ノニト・ドネア以来のアジア史上3人目の快挙。

井上はボクシングシーンなどでPFP1位や年間最高選手に選ばれていますが、かなり個性的な見方をするメディアでした。

「リングの外で起きたことは重要じゃない」と、ずっと書いてきた私ですが、正直、嬉しい。

PFPは形に残りませんが、リング誌の年間最高選手賞はベルトとwinnerとして記録に残ります。

BWAAならニューヨークのルーズベルトホテルなどでの表彰式とトロフィー授与が待っています。

来年の表彰式、日メディアが大挙してニューヨークを訪れる、なんてことになったら最高です!
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ノニト・ドネアとの再戦を「ドラマにさせない」という公約通りに圧勝した井上尚弥。

現在、17階級で最も傑出した強さを見せているモンスターが、これから誰を倒すべきかを【世界評価】と【興行・商業規模】【THE DREAM MATCH】の三つの視点から独断と偏見と思い付きで垂れ流します。
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【世界評価】年間最高選手賞へのノミネート・獲得や、PFPでのランクアップ。将来的には殿堂入りを決定づけるレガシーにつながる相手。

現実路線として年内にWBO王者ポール・バトラーとのバンタム級完全統一戦に勝利、4団体時代で日本初のUndisputed Champion になることが、世界評価を刺激します。

バトラー自体は井上尚弥が戦う価値のない底の割れたボクサーです。しかし、ドネアを撃沈して王手をかけたのです。コレクションを完成させない手はありません。

思えば、現在掌握した3つのベルトのうち、WBAとWBCの2つはドネアから奪ったもの(ジェイミー・マクドネルのWBAはセカンドタイトル)。

完全統一の暁には、4つのベルトのミニチュアレプリカセットをドネアに贈るのもオツなものかもしれません。

ああ、そう考えると、ドネアの引退式を日本で開催するのも悪くありません。



Undisputed Champion になれば、もうバンタム級に忘れ物はありません。

ジュニアフェザー級はWBO/WBC王者スティーブン・フルトンと、WBA/IBF王者ムロジョン・アフマダリエフがタイトルを二分割。

来年、井上が乗り込むときには2人のうちどちらかがUndisputed Champion として待ち構えているという、最高の舞台がセットされている可能性があります。

バンタム級では世界的なパンデミックという天災に、WBSSの杜撰な運営という人災のダブルパンチ。

2018年5月にマクドネルを破壊してから、3つのベルトを集めるのに4年1ヶ月、8試合もかかりました。

年内にバトラーからWBOのストラップを強奪するとして、完全統一に4年7ヶ月、9試合を要することになります。

しかし、神様はちゃんと見ています。

ジュニアフェザー級の完全統一は36分間、1試合という短い時間で完遂するかもしれません。

36分間というのは判定決着を想定したもので、もっと短い時間になる可能性も大。

調整試合無しでの世界挑戦なら、バトラー戦から数えて2試合で2階級を完全統一することになります。

〝レナード法式〟など無茶苦茶なことをしない限り、更新不可能の記録を打ち建てる計算です。

4団体時代では誰も成し遂げていない、Undisputed Champion 2階級制覇。

これを来年達成すると、日本人初の全米ボクシング記者協会(BWAA)選出のFighter Of The Yearを完全に射程に捉えます。


心配材料はたった一つだけ。テレンス・クロフォードとエロール・スペンスJr.のウェルター級Undisputed Champion 決定戦が実現、クロフォードが勝つケースです。

すでにジュニアウェルター級でUndisputed Champion になっているクロフォードもUndisputed Champion 2階級制覇となるのです。

そうなるとW受賞の目もありますが、やっぱり単独受賞して欲しいところです。

井上がバトラーはもちろん、フルトンかアフマダリエフも衝撃的に破壊、クロフォードがグダグダの判定なら……うむ!この目はあります!十分に!
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昨夜の試合のパンチスタッツを出す意味がどこまであるか、わかりませんが…。

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Total landed4216
Total thrown8571
Percent49%23%
Jabs landed50
Jabs thrown3029
Percent17%0%
Power landed3716
Power thrown5542
Percent67%38%

井上尚弥は第1ラウンドにドネアの左をもらったと言ってましたから、ジャブ(スタッツ上は左パンチ)のヒットがゼロは間違い、見落としです。


ESPNのマイク・コッピンガー記者は、この勝利でPFP1位だと明言していますが、全く異論はありません。

PFPの基準を「当該階級での支配度・傑出度」と考えると、オレクサンダー・ウシクやテレンス・クロフォードは明らかに井上に劣ります。ウシクなんて論外です。

ただ、あの破壊的な4分24秒は、米国時間で月曜日早朝の放送、die-hard of boxing fans しか見ることがなかった、というのも事実です。

先日の「ジョージ・カンボソスJr.vsデビン・ヘイニー」のように米国ゴールデンタイムに合わせるほどのアトラクションになる、あるいは米国の土曜日ゴールデンタイムで大会場のメインを張るには、ライト級で戦うか、格好のライバルが絶対的に必要になります。

マニー・パッキャオがもし、アントニオ・マルコ・バレラやエリック・モラレス、ファン・マヌエル・マルケスに恵まれなかったら、米国でのcasual boxing fanの人気は全く無かったでしょう。

現状のジュニアフェザーからフェザーでビッグネームのメキシカンとなると、ブランドン・フィゲロアとレオ・サンタクルス、少し落ちてエマヌエル・ナバレッテくらいしか思い当たりません。

Pacquiao reached superstardom in the States, and while it's nearly impossible to reach that level, Inoue can surely carve out a name for himself on a level below.


この辺りの人気者を撃破すると「パッキャオのレベルは不可能にしても、その下のレベルのスターになれる可能性を秘めている」というのも異論はありません。

つまり、米国で行き場のなかったドネアよりはずっと大きなスターということですが、井上の日本で手にしている報酬と名声を米国で補完できるわけがありません。

サンタクルスやフィゲロア、ナバレッテと同じくらいの70万ドル前後の報酬にとどまります。

彼らと戦うために米国に行く意味は大きくありません。

ガーボンタ・デービスまで辿り着けばPPVファイターの目もありますが…井上の考えや残り時間からライト級はあり得ません。

ないものねだりですが、名前が広まる強烈なライバルが欲しいです。

パッキャオのような歴史的な人気者3人とは言わないから、ちょっと小粒でも、1人でもいいからメキシカンの人気者が欲しい…。
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「もう苦戦は許されない相手」との対戦でした。

ノニト・ドネアとの再戦を満点回答でクリアした井上尚弥。

「せっかくだから4団体統一したい」というのは、ファンも100%支持します。

これまで言動が揺れていた(揺れて当たり前)井上が「パッキャオ・ロード」などもはや頭の隅からも掃き出して、石橋を叩いて最も輝ける自分を追求する「リカロペ・ロード」に全集中するのは、アスリートの価値観の問題で、そもそも「パッキャオ・ロード」など極貧国のボクサーが成り上がる定石です。

日本の井上が何が悲しくて、圧倒的不利予想を立てられた中を、シャクール・スティーブンソンやガーボンタ・デービス、ワシル・ロマチェンコらを撃破して、エロール・スペンスJr.やテレンス・クロフォードを目指さなきゃいけないのか?

過酷な減量さえ我慢したら、軽量級でも破格の報酬と評価が得られるのに、階級を無視して絶体絶命のリングに上がる必要なんてありえません。

もし、パッキャオが日本人なら100%、ウェルター級なんかに進出してません。

井上の不幸はライバル不在です。これまで戦った価値ある相手がロートルのドネアと、最低のチキンぶりで侮蔑されるオマール・ナルバエスでは、悲しすぎます。

エマヌエル・ロドリゲスやゾラニ・テテが頼りなさすぎたのが恨めしいです。
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もちろん、これは運です。パッキャオがジュニアフェザー級で米国上陸を果たしたとき、フェザー級にはマルコ・アントニオ・バレラ、エリック・モラレス、ファン・マヌエル・マルケスという一発殿堂のPFPファイターが〝待機〟してくれていました。

しかも、揃いも揃ってメキシカンの人気者。

井上のライバルの貧弱さは、悲劇を通り越して、ロドリゲスなんて喜劇です。もちろん、井上には一片の責任もありません。

井上は完璧なメキシカンスタイルです。ただ、それを披露するのに、非メキシカンや無名のメキシカン相手では注目度が全く違ってきます。

人気階級進出はもう不可能の井上ですが、すでに口にしているように「メキシカン、メキシコの強豪は欲しいです」というのは、まさにその通りです。

日本に引っ張り込めないメキシコの人気者、です。そうなれば、おのずと「本物のラスベガス」が待っています。

バンタム級の最後のピースもポール・バトラー。今日も「これからが気になる」という村田諒太が「WBOは物足りないよな」というように「完全統一のためのピースを持ってるから」という以外の戦う理由がない相手です。

ドネアの場合は「ピースを持っている」だけではなく「初戦の激闘への贖罪」という、強烈な動機がありました。

ただ、王手をかけてるのですから、もう獲っちゃいましょう、です。

「(年内に完全統一戦が成立しなければ)階級を上げる」という、ジュニアフェザーもスティーブン・フルトンやムロジョン・アフマダリエフという地味ボクサーがストラップを二分しています。

井上が行くところ、人気者のメキシカンは絶対にいない!という不毛が続いています。

ブランドン・フィゲロアがフルトンを粉砕してくれてたら…世界的には盛り上がるのですが…。

ルイス・ネリが強かったら…日本ではスーパーファイトですが…。

そんなことも全部わかった上で、井上は「井岡とのビッグファイト」を口にしたのかもしれません。

だとするなら、122ポンド進出は世界挑戦者決定戦で亀田和毅とのメガファイトも十分ありです。早くしないと、和毅がアフマダリエフとまたグズグズの試合で敗退、商品価値が今以上に下落してしまいます。

井上は井岡にフラれましたが、和毅からは熱烈ラブコールを受けています。

これ、絶対に応えるべきです。

122ポンド進出に慎重な井上にとっても技術は世界レベルの平均点で、パンチ力は女子と揶揄されている和毅は最高の試し斬りだと思うのですが…。
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▶︎Naoya Inoue Destroys Nonito Donaire, Stops Him In Second Round Of Rematch.井上尚弥はノニト・ドネアを2ラウンドで破壊、リマッチに完全決着をつけた。=Boxingscene.com




▶︎Naoya Inoue stops Nonito Donaire in Round 2 to unify three bantamweight world titles. ドネアをストップしてバンタム級の3つのタイトルを統一。=ESPN

※それにしても ESPN、古い写真使って記事もアップしてないし、やる気あんのか!?





▶︎Naoya Inoue Stops Nonito Donaire!井上がドネアをTKO!=Boxingニューズ24 




▶︎What’s that coming over the hill?” “Yes, it is a “Monster.  「なんじゃこりゃあ!?」「はい、これが井上尚弥です」。=リング誌

素晴らしい表現ですが、リング誌も古い写真を使うなっちゅうねん! 
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2010年4月25日〜5月3日。アゼルバイジャンはバクーで開催された第2回ユース選手権。

この大会でベスト8に入ると、同年8月にシンガポールで開催される第1回ユース五輪への出場権が手に入る〝エリートへの道〟の第一歩です。

しかし、この遠征は最初から波乱含み。

4月中旬からアイスランド・エイヤフィヤトラヨークトルで火山の噴火が相次ぎ、航空運行が大混乱。日本から5人が派遣された選手団は、中継地のトルコや現地でも足止めを食らってしまいます。
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2日遅れで始まった大会で、日本代表の5人のうち4人は残念ながら初戦敗退。

2回戦を突破して、勝てばベスト4の3回戦に進出したのはライトフライ級の井上尚弥(新磯高校=現・相模原弥栄高校=2年)、ただ一人。

日本代表の最年少、井上はアジア・ユース選手権の銅メダリストでしたが、3回戦の相手は大国キューバのベイタ・ソト。0−11の完封負けでユース五輪への夢が断たれます。

このソトを準決勝で破ったのが、プロでWBSSに出場したライアン・バーネット。そのバーネットは地元のサルマン・アリザダに敗れて銀メダル。

当時の井上は世界的には「あと一歩」だったものの、高校生という若さで代表チームの常連。

国内では井岡一翔に勝って勢いの乗る林田太郎がライトフライ級の一番手でしたが、井上にも2年後のロンドン2012の出場が期待されるなど、その潜在能力は高く評価されていました。
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同じ月に「フル代表」のメンバーは中国貴州で開催された世界大会「第1回中国オープン」に参戦。

ライトフライ級の林田、バンタム級の須佐勝明、ライトウェルター級の川内将嗣ら6人が出場。表彰台に上がったのはミドル級の村田諒太(銅メダル)でした。

この大会でMVPに輝いたのがゾウ・シミン。

ロンドン五輪に向けて、井上は林田超えを目指し、村田は重戦車のアクセルをゆっくり踏み込んでいた12年前の春、でした。



あれから12回目の春がやって来ました。

二人は期待のそのままにプロでも花を咲かせました。

予想できなかったのは、この忌々しいパンデミックだけです…。
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モンスターよ、教えてくれ。

150年に一度の天才よ、教えてくれ。 

「強い相手としか戦わない」と言ったのは、嘘だったのか?

それは「世界王者になるまで」の、期間限定の戯言だったのか?


「具志堅用高の防衛記録を目指す」と口にしたこともあった。

「パッキャオが見た風景を見たい」とも憧れた。



もちろん、一貫してブレない生き方なんて、誰にもできない。ましてや、こんな腐ったスポーツで。




それでも「強い相手としか戦わない」を額面通りに受け止めると、今のバンタム級に「減量が苦しい」と、何度も呻きながら留まっているなんて、どう考えてもおかしくないか?


ああ、そうか。なるほど。「階級を上げてつぶされたら意味がない」と明言したことを考えると…。

「強い相手としか戦わない」とは「(自分が勝てる相手の中でなるべく)強い相手としか戦わない」ということなのか?

それなら筋が通ってる。


150年に一人の天才は「逃げた相手」のことは楽しそうに口にするが、断ったオファーについては一切語らない。

もしかしたら、井上はオファーはいっぱい出すけど、オファーは全く舞い込まないのか?俺みたいな全くモテない情けない男、逆パッキャオ、逆カネロ、みたいな可哀想な存在だったのか…。

それとも、敬虔な信者の方々が思い込んでいるように、「強いやつやビッグネーム」は井上から逃亡して、手を挙げてくれるのは「無名の勇気ある挑戦者」だけなのか?



もちろん、オファーは断られたら「逃げた」、オファーを断ったら「沈黙」は、プロとして当然。自分の価値を落とすようなことを、正直に話す必要なんてない。

パッキャオからのオファーを断ったと、引退してから話したセレス小林は、至極正しい。現役時代にそんなことをバラしたら、ファンは幻滅するだけ。

「パッキャオから逃げた」ことが〝武勇伝〟として語れる、そんな頃合いに、後日談でそれを話すのはファンも楽しめる。



「強い相手としか戦わない」。 

モンスターさんの言葉は、もはや、禅問答の領域に突入。

とんちんかんちんとんちんかんちん…気にしない…。
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常に首尾一貫したものの考え方を持っている人間など、まず存在しません。

さかなクンや大谷翔平らは、極めて稀な例外です。

誰だって、どんな人だって、揺れながら、ブレながら生きているのです。
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2019年3月、WOWOWで「エロール・スペンスJr.vsマイキー・ガルシア」の解説をつとめた井上尚弥は、マイキーの完敗を目にして「体力差がモロに出た。やっぱり階級の壁。適正階級がいかに大事なのかがわかる。あれじゃ階級を上げても意味がない」と語りました。

自らについても「行けてもフェザー。スーパーフェザー級? 普通の選手になりますよ。埋もれると思う」と、より人気のある階級への進出よりも、ベストパフォーマンスが発揮出来る階級へのこだわりを語りました。

その年の11月、ノニト・ドネア戦に勝利したあとトップランクと複数年契約。

翌2020年にはMGMグランドを訪問、ガーデンアリーナを見学、「ここで(メインで)やるのが夢。それにはバンタムでは話にならない。最低でもフェザー」「マニー・パッキャオが見た風景が見たい」と未来を〝上方修正〟。



「いつ」「どこで」「どんな状況で」「誰に聞かれたのか」…いろんな要素がからみあって、その人の答え、言葉が変節するのは、むしろ当然です。
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2020年4月に決定していたジョンリール・カシメロ戦。ラスベガスのマンダレイベイ・イベンツセンター(ミケロブ・ウルトラ・アリーナ)にセットされた試合は、パンデミックの影響で中止に追いやられてしまいました。

この中止は100%残念でしかありませんでしたが、もしやっていれば米国で全く人気のないバンタム級のアジア人同士の試合、格安のチケットと上階席を封鎖した寂しい光景の中で行われていたのは間違いありません。

同じ場所で、約10年前にノニト・ドネアとフェルナンド・モンティエルが戦ったときよりは少しはマシだったかもしれませんが、それでも同じようなもので、ラスベガスにおける「バンタム級とアジア人の需要と現実」が百聞は一見に如かずで伝わっていたはずです。

その後、パンデミック下でラスベガス、MGMグランドの完全防疫した会議室(The Bubble)でジェイソン・モロニー(2020年10月)、ヴァージンシアターでマイケル・ダスマリナス(2021年6月)との防衛戦で「ファイトマネー100万ドル」(大橋秀行・談)を獲得。

ダスマリナス戦は有観客だったものの、井上は「(本場の観客は目が肥えてる?との質問に)ただ騒いでるだけ」と静かに答えただけでした。

石橋貴明の「薪を焚べる」では「カシメロが騒いでくれれば、くれるほどPPVががっぽがっぽ」という的外れな発言を何度も繰り返す石橋に「そうですね…」と返すだけで、話を膨らませようとはしませんでした。

少なくとも、この時点で井上は「ラスベガスに、期待していたような軽量級の需要は無い」ということを、肌身に沁みて感じていたように思えます。

トップランクと提携しているESPNは「井上尚弥なんて誰も知らない」などと書き立て、パンデミックの事情を考慮して高額の放映権料の減額を求めたであろう日本側へ牽制球を投げました。

昨年12月には、両国国技館でアラン・ディパエンとの防衛戦で凱旋。次の試合も5月〜6月に予定していると発表されます。

トップランクとの契約が破棄されたのか、更新しなかったのか、いずれにしても売り出す気の無いトップランクに見切りをつけ「米国を主戦場にする」という方針を大きく転換したことは間違いありません。

日本の多くのファンが期待し、井上本人も憧憬した「パッキャオが見た風景」は、バンタム級のアジア人が拝める種類のものでないことがハッキリしてしまいました。

井上も「(階級を上げて)潰されてしまうなら意味は無い。それでも、今年中にスーパーバンタムの体を作る自信はある」と、リカルド・ロペスやゲンナディ・ゴロフキンのように適正階級を重視する発言をしています。

もちろん、ゴロフキンにとってのカネロ・アルバレスのような超大物が1階級上にいてくれたら、井上も冒険の舵を取るでしょうが…。

現状のボクシングシーンで、井上が最も大きな注目と報酬を得ることができるマッチアップは、本人が既に気づいているように、「井岡一翔」戦をおいて他にありません。

このメガファイトは、井岡がジュニアバンタム級の統一戦線を最優先していることを考えると、少なくとも当面の実現可能性はありえないように思えます。

とはいえ、米国の夢が〝頓挫〟した井上にとってキャリア最大のメガファイト、対戦相手に〝メリット〟を口にしてきた井岡にとっては、体重の問題さえクリアできれば、利害関係は一致します。

田中恒成戦ですら「僕にとってメリットが無い」とうそぶいた井岡でしたが、現実にはオッズも予想もやや不利だったように、キャリア初の番狂わせを起こして、世界評価も急騰、大きなメリットがありました。

井上戦は敗北のリスクが大きいとはいえ、それ以外はメリットしかありません。

世間が注目するメガファイトを渇望する井上と、対戦相手にメリットを求める井岡。相思相愛なはずですが…。

井岡戦ほどのインパクトは、世界の軽量級には見当たりませんが、あえて探してみましょう。
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◉バンタム級で盛り上がる一番手は、やはり「カシメロ」でしょう。

行儀の良い日本のファンでもカシメロの入場にブーイングを浴びせる、そんな前代未聞のシーンも見られるかもしれません。

井上にとって脅威という点では「ドネア」ですが、カシメロ級の盛り上がりは期待できません。

バンタムは、どう考えてもここまで。


◉バンタム級統一戦線が愚図つくようだと、年内にも転級が噂されるジュニアフェザーでは最高の人気者「ブランドン・フィゲロア」が陥落したのは痛い。

4つのベルトは、フィゲロアに勝ってWBO/WBC王者となった「スティーブン・フルトン」と、WBA/IBFのピースを掌握する「ムロジョン・アフマダリエフ」が分割。

井上がジュニアフェザーに上がるとき、タイトルが一本化している可能性があります。バンタム級では統一がままならなかった井上ですが、ジュニアフェザーでは一発完全統一のビッグショットの舞台に恵まれるかもしれません。

ビッグファイト、フルトンやアフマダリエフに勝っても世界の注目度という点ではコップの中のさざ波です。

それでも、完全統一王者になるとFighter Of TheYear(年間最高選手)やPFPなど専門家評価を集めるには最高の効果があります。
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◉「行けてもフェザー」「最低でもフェザー」と井上がボーダーラインと読むフェザー級(126ポンド)は、最初に世界を獲ったジュニアフライ(108ポンド)から18ポンド先の世界。

パッキャオの42ポンド(フライ=112〜ジュニアミドル=154)には遠く及ばないものの、カネロ・アルバレスの21ポンド(ジュニアミドル〜ライトヘビー=175)とは遜色の無い階級レンジです。

ここのビッグネームはWBA王者「レオ・サンタクルス」。ガーボンタ・デービスに壮絶に沈められた傷物とはいえ、軽量級の枠を超えた人気者です。

「米国で注目されるにはメキシカンが必要」(井上)というニーズを具現化したキャラクターで、山中慎介も対戦を希求しましたが、全く相手にされませんでした。

キャリア17年、41戦(38勝19KO2敗)の33歳は経年劣化が目立ちますが、ニューヨークのバークレイズセンターとラスベガスのMGMグランドガーデナリーナでメインを張ったメキシカン。

米国ではほとんど商品価値の無い井上がオファーを出しても、サンタクルスにするとそれこそ「メリットがない」試合です。

日本に呼ぶには、ゴロフキン級ではないものの、ディパエン100人分でも足りません。

カネの問題だけでなく、サンタクルスのプロモーターはトップランクの天敵アル・ヘイモン。

やるなら、日本側が高額の放映権料をヘイモンとサンタクルスに差し出して、米国でということになるでしょう。

このクラスはWBOにエマヌエル・ナバレッテ、WBAセカンドにリー・ウッドという人気者に、番狂わせで王座に就いたIBFのキコ・マルチネスにWBCのマーク・マグサヨという〝狙い目〟の王者もいますが「倒せば美味しい」という点ではサンタクルスが図抜けています。
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どの道を選ぶかは井上尚弥の自由、彼が選んだ道こそが正解です。

たとえ、それが、ファンの多数決的期待とは少し違う方向だったとしても。
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▶︎3. ナルバエスってそんなにヘタレですかね? 

まあ、ドネア戦とテテ戦では確かにヘタレでした。でも、足掛け12年、27回の防衛って、ガチなヘタレじゃ無理でしょう。防衛回数だけの王者といっても、それを上書きできるボクサーがそうそういるとは思えません。あの亀田の謎パワーを全開発動させても到底無理でしょう。 
欧米メディアや評論家からの評価が低い? そもそも軽量級を軽視しているお国の彼ら(管理人様もそこは同じ認識ですよね?)に、軽量級シーンのまっとうな評価ができるのでしょうか? コリンズ元編集長だって言うほど軽量級に明るいわけじゃないと思いますよ。少なくとも私たちほどには。 

世界一軽量級ボクシングへの目が肥えているはずの私たちが、軽量級に関してはトーシロに毛が生えた程度の欧米メディアの評価をリファレンスとするって、なんか変な気がしません? 
 
2022-01-20 13:09:39 返信編集 軽量級の本場のボクシングウォッチャー 111.239.139.23

********

▶︎ 4. てち 2022年01月20日 21:12
>>3
まあそうですね。
欧米は軽量級自体に興味がなく評価が過小、日本ではボクシング自体マイナーだとすると、軽量級を適正に評価しているボクシング大国はメキシコだけ、メヒコファイターとの試合が全てという話になると思います。
軽量級はメヒコのレジェンド周り以外お呼びでないというなら、軽量級の話をする際には戦績通りに紋切りで評価を下した方がまだマシな感じもします。


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◉「ナルバエスってそんなにヘタレですかね? 」

➡︎➡︎➡︎個人的な見方、つまり「プロボクシグは勇気を売る職業」というならヘタレです。勇気を全く売らないわけですから。

「足掛け12年、27回の防衛」。

まさに数字だけです。たとえ軽量級でもコレだけ数字を集めてPFPにカスリもしない、なんて絶対真似できません。まさしく〝伝説の名王者〟です。

サムソン・ダッチボーイジムをどうお考えですか?メジャー団体じゃないから認めませんか?





◉「コリンズ元編集長だって言うほど軽量級に明るいわけじゃないと思いますよ。少なくとも私たちほどには。 」

➡︎➡︎➡︎これも個人の受け止め方ですが「少なくとも私たちよりはコリンズの方が軽量級に明るい」のは間違いありません。

長いリング誌編集長時代に書かれた記事を100分の1でも読めばわかります。




◉「世界一軽量級ボクシングへの目が肥えているはずの私たちが、軽量級に関してはトーシロに毛が生えた程度の欧米メディアの評価をリファレンスとするって、なんか変な気がしません? 」

➡︎➡︎➡︎これは一面その通りです。

日本のメディアが「それ」をわかっていながら「黄金のバンタム」「井上はPPVで20億円」など誤解を誘導するような報道を繰り返し、大橋秀行も明らかに井上信者に向けた〝嘘〟を吐き出すのが、ボクシングの未来にとって害悪だと思うのです。

嘘は必ず、破綻します。

ナルバエスがどういう位置付けのボクサーか、「井上vsナルバエス」をリング誌などはどう(どういう大きさの扱いで)報じたのか、それを知って世界の事実を理解するのは前進です。

おっしゃる通り、欧米のメディアとファンのほとんどは軽量級に興味がありません。

しかし、例えばリング誌のナルバエス評価は、日本のフジテレビや信者よりも、はるかに正鵠を射ていると思いませんか?



◉軽量級はメヒコのレジェンド周り以外お呼びでない

これも、その通りですね。 

「レジェンド」というか「人気者」です。

世界のボクシングマニアにとっては間違いなくレジェンドのリカルド・ロペスは、米国ではついにメインを張ることなくキャリアを終えました。

〝軽量級目利き〟の日本のボクシングファンの評価は、ウンベルト・ゴンザレスやレオ・サンタクルスよりもリカロペの方がはるかに上でしょう。


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話はあちこち飛んで 、今日の読売新聞夕刊に「『世界最速』へ一直線 スノーボード・女子アルペン 三木つばさ」「51年目ホンダ『常勝』へ一歩〜ニューイヤー駅伝 初V」に続いて「井上 悲願達成宣言」。

 井上の悲願は「4団体統一」と「4階級制覇」。

「減量が楽ではない」というものの、4階級制覇自体は「バンタム級に敵がいなくなったとしても、階級を上げてつぶされるようなら上げない」。

それでも「今年終盤にはスーパーバンタム級の体を作れる」。 

「バンタム級に敵がいなくなったとしても、階級を上げてつぶされるようなら上げない」。これは、リカロペと同じ、芸術家の思想でしょう。

「私の筆力は小さな画用紙でこそ最高の表現ができる。大きなカンバスには向かない」ということです。これは、ボクサーとしてはガッカリな発言にも聞こえますが、今ならゲンナディ・ゴロフキンや、80年代のマービン・ハグラーもそうでした。

まあ、GGGはアンドレ・ウォードらの挑発に答えていたらカネロなんか相手にしなくても良かったかもしれません。

ハグラーの場合はGGGとは真逆で、挑発したマイケル・スピンクスの方がマイナーで「お前がミドルに来い」と呆れるのは当然でした。

かつて「MGMグランドガーデンアリーナでメインを張るのが目標」「フェザー級まで行けば景色が変わる」と夢を語っていた井上も、米国進出で大きな成果が得られなかったことも含めて、いろんな意味で現実が身にしみているのかもしれません。 

そして、ついに井岡一翔に宣戦布告した井上が選ぶのは憧れの「パッキャオ」ではなく、「リカロペ」の道でした。

ただ、非激闘型つまりメキシカンスタイルでなかったがためにメキシコのファンに愛されなかったリカロペとは違い、井上は日本でビッグファイトを繰り広げ、日本のファンに愛され、長谷川穂積のように晩年はボーナスな試合がプレゼントされるはずです。
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井上尚弥が12月に防衛戦を行うと、大橋秀行会長が語りました。

来年4月には、バンタム級の残り2つのストラップを持つ対立王者との団体統一戦も予定しているそうです。

いずれも国内。米国開催では放映権料も含めて持ち出しが大き過ぎるので、賢明な決断です。
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12月の相手は誰になるのか?

来年4月までジョンリール・カシメロとノニト・ドネアはベルトをキープ出来ているのか、それとも新王者との対決になるのか?

対戦相手が誰になるのか、まだ見えてきませんが、いずれにしても現在のバンタム級シーンで目ぼしい名前は見当たりません。

4団体完全統一、全てのベルトをコレクションし、Undisputed Championになることは王者乱立の現代に生きるボクサーにとって大きな存在証明、目標の一つです。

もう一つの大きな存在証明、目標はタイトルにこだわらないビッグマッチ路線、いわゆる〝パッキャオの流儀〟です。

欧米の軽量級には本物のビッグネームは存在しない、ゆえに彼の地では軽量級のメガファイトもありえない、という悲しい現実の前にした井上にパッキャオ路線は考えられません。

パッキャオ路線とは、ビッグネームを求めて人気階級へと突撃、駆け上がる道ですから、井上の指向とは全く正反対になります。

日本でバンタム級を完全統一したあと、ジュニアフェザー級は上げるなら、米国目線のビッグファイトは望むべくも無いものの、バンタム級よりも遥かに興味深いタレントが揃っています。

商業的に考えると、WBA/IBF王者ムロジョン・アフマダリエフへの挑戦なら日本、WBOのスティーブ・フルトンでも日本でしょう。

WBCのブランドン・フィゲロアだと米国もありですが、「ルイス・ネリを沈めた男」との対決は日本でこそ物語性が高まり、興行的にも日本開催の方が大きくなります。とはいえ、フィゲロア陣営は報酬をフッかけてくるでしょう。

いずれにしても、トップランクとは次の更新で手を切るべきです。更新時期でなくても、違約金の金額によっては手を切るべきです。

米国で需要の無いバンタム級で「防衛を重ねていけば天文学的数字になる」と欺瞞の背伸びさせても、いつかバレるだけです。

もう、ほとんどバレてますが。

バンタム級の延長上にウェルター級やヘビー級のようなメガファイトは存在しません。
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そして、村田諒太。

村田は正真正銘の人気階級、ミドル級が戦場ですが、それゆえに大物とのマッチメイクが思うように進みません。

12月神戸でゲンナディ・ゴロフキンとの団体統一戦、と複数の海外メディアが報じたものの、10月下旬になっても続報はなし。

最後にリングに登場したのは2019年12月のスティーブン・バトラー戦。もう丸2年が経とうとしています。

世界的なビッグネームが存在しない井上に対して、村田の標的ははっきりしています。

ゴロフキンとカネロ・アルバレス 。

2人と契約するDAZNが、収益の見込めない村田戦に何色を示していると言われています。

DAZNが独占生中継したとして、日本での新規加入者に大きな期待は出来ません。


井上尚弥と村田諒太。日本を代表する2人のキャリアは大切な時期に差し掛かっています。

にもかかわらず、日本のスポーツファンの注目度、熱気は冷めてきていると感じるのは気のせいでしょうか。

バンタム級は米国で関心が低い不人気階級だと多くの人が気づいてしまい、人気のミドル級で本物のビッグネームを日本に引っ張り込むことが至難の業であることも思い知らされました。

ラスベガスでバンタム級のメガファイトなど、過去にも現在も、そしておそらく未来でも起こりえません。

さまざまな利権が絡むミドル級のスーパースターを日本のリングに引きずりあげるのも、ミッション・インポッシブルです。

村田はもちろん、井上もここまで試合のベースが落ちるとノンタイトルの調整試合を挟んでも良いと思うのですが、調整やモチベーションなどあらゆる意味で、現代では難しいのかもしれません。

年末の神戸で、村田と井上の試合が見れたら最高なのですが…。
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