カテゴリ: 減量とは何なのか?

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日本のリングに短い期間で事故が相次いでいる原因は、どこにあるのか?

人間の急所を狙って拳を打ち込む、対戦相手を脳震盪に陥らせる失神KO劇がスペクタルだと賞賛されるのですから、そもそも生命に危険が及ぶことを飲み込んだ競技です。

そこが、他のスポーツとは決定的に異なります。

脳震盪を起こしやすいアメフトやラグビー、サッカーはもちろん、激しい接触が少ない野球などのスポーツでも生命の危険に関わる脳震盪をいかにに防止するかについて防止策やルール変更まで、積極的に取り組んでいます。

つまり、常識的なスポーツではいかにして脳震盪を防ぐかが大きなテーマであり、脳震盪は「悪」でしかないのです。

コリジョン・ルールや危険球ルールによって「ホームベース上でランナーと捕手が激突するプレーが見れなくなった」「死球からの乱闘騒ぎも野球の見所の一つだったのに」と嘆くファンの声など、選手の生命を考えると無視されて当然です。

しかし、ボクシングは特異で、野球のヒットや三振などと同じように、対戦相手を脳震盪に陥らせることが、そもそもの競技の中に内包されているのです。

もっとわかりやすく言うと「誰も悪くはない…それなのに最悪の事故が起きてしまう」とは、「悪いのはボクシングという競技そのもの」に他なりません。

顔面を殴打し合うボクシングにおいては、戦闘時間が極端に短く、レフェリーストップも早いアマチュアですら、試合やスパーリングの翌日は頭痛や思考の遅さに悩まされ、呂律が回らなくなることも珍しくありません。

当たり前に、脳の回線回路に異常をきたすリスクがあるのがボクシングです。

Chronic traumatic encephalopathy(CTE:慢性外傷性脳症)という正式な病名よりも、「ボクサー型認知症」の方が通りが良いでしょう。

あるいは「パンチドランカーの方が遥かに一般的で認知度が高いという現実は、ボクシングファンとしては痛恨極まります。

これは、本当に事故なのか?事故として片付けて良いことなのか?

脳震盪を引き起こすことを狙って、アゴやコメカミに拳を叩きつけ合うボクシングのリングで起きた大惨事を事故として捉えるのは無理があるのではないか?

塁上での激突(コリジョン)が脳震盪や大怪我につながるなら、激突を禁止すれば良いーーーボクシングでそれをやると、この競技そのものが滅亡してしまいます。

…しかし、それが大前提です。

つまり、ボクシングは「頭部への打撃を禁止」にするルールを導入しない限り、抜本的な解決に向かうことはできませんが、そこには踏み込めないというのとです。

このスポーツは日本ボクシングコミッションが設立されてから70年以上、リング事故は何度も起き続けてきました。

では、この2年で事故が頻発していること、同一興業で別の試合に出場した2人の選手が事故に遭ってしまったことは、単なる偶然なのでしょうか?

もちろん、偶然の要素もあるでしょうが、起こるべくして起こったという側面も否定出来ません。

起こるべくして起こったなら、それは従前とは違う何かが、最近のボクシング界でトレンドになっていることがその原因でしょう。

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水抜きによって極度の脱水とミネラル不足で前日計量を済ませたマイク・アルバラード。もはや別人です。くぼんだ目、こけた頬、小刻みに震えて、記者の質問がよく理解できず、的外れな答えを弱々しく絞り出すだけ…。


世界的な趨勢にならって日本でも1995年に前日計量が導入されました。

すでに30年が経過しているので「前日計量が原因ならもっと早くから事故が多発していなければおかしい」と考えるのは早計です。

前日計量が定着す過程で、競技者たちはリングインする前に大きなアドバンテージが潜んでいることに気づきます。

安全・健康管理のために、厳しい減量からの回復時間を多く取るために導入された前日計量でしたが、この回復時間を見込んで、安全・健康を脅かす新たな問題が浮かび上がってきたのです。

①回復時間を見込んでより過酷な減量に臨む、②回復時間で大きくリバウンド、当日に有利な体重を作るーーーこの2点で、その方法論が洗練されてきた30年でした。

さらに、従来からあった計量前夜に入浴やサウナで一気に水分を絞り出す水抜き減量も広まりました。

水抜きのメリットは減量で衰弱する期間が短いこと、一気の水抜きと計量後の一気の補給でリバウンド幅が大きくなること。

そして、デメリットは急激に水分を失うことで重度の脱水状態に陥ることです。

脱水によって血管が切れやすくなることは、解明されています。脳と、脳を覆う硬膜をつなぐ静脈も切れやすくなります。外的衝撃で頭蓋骨内で脳が揺らされる(回旋)して、この静脈が切れてしまい、硬膜とくも膜の間に血が溜まるのが硬膜下血腫で、最近の事故はいずれも硬膜下血腫です。

英国ボクシング管理委員会(BBBofC)は事故が相次ぐと、すぐに検証委員会を設置。JBC同様に「正確な原因究明は難しい」としながらも、「トレンドとなっている水抜き減量が最も大きな原因と考えられる」と結論づけ、試合前のサウナ使用を禁止しています。

また、WBCなどが導入している30日前計量・7日前計量も「水抜き禁止」ルールが守られているかどうかの〝裏付け〟検査です。

BBBofCは日本のボクシングファンや格闘技ファンには馴染みがないかもしれませんが、ONEチャンピオンシップで導入しているハイドレーションテスト(尿比重を測定)も「水抜き禁止」ルールが守られているかどうかの〝裏付け〟検査です。

しかし、「サウナ使用禁止」「30日・7日前軽量」はいずれも自己申告。いくらでも不正を働くことが可能。ハイドレーションテストの数値も腎機能や試合前の練習量などで大きな個体差が出ることが知られています。

それでも、事故の〝主犯〟はほぼ特定されているわけですから、ここに踏み込んでいくしかありません。










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2025/08/10 23:22

当日計量で無謀な減量が後を絶たずで今の形になったと聞いたんですが前日計量の方が問題なんですね。


元記事: 誰も悪くはない…それなのに最悪の事故が起きてしまう。② (編集)
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>当日計量で無謀な減量が後を絶たずで今の形になった

その認識は、間違いではありません。

ただ「当日計量だから無謀な減量をする」わけではありませんでした。当日計量では減量のダメージを回復する時間が短すぎるから、十分な回復時間が与えられるという理由で前日計量に移行したのです。

「十分な回復時間が与えられる」という狙いは、当たり前のことながら効果的でしたが、ここで二つの深刻な問題が浮かび上がってしまいます。

一つは「十分な回復時間」を見込んで、より無謀な減量に追い込んでしまうこと。前日計量で半死状態でも、健康体に近い状態まで戻すための30時間以上の十分な回復時間があるわけです。

しかし、秤に乗る前は足元もおぼつかない状態だった選手が、30時間後には殴り合いのリングに上がることの危険は誰にでもわかるでしょう。

ジェイミー・マクドネルは井上尚弥との試合の前日計量で老人のような生気のない表情とカサカサの肌で秤に乗ってリミットをクリアしたあと、自力で上着を手に取って羽織れないほど衰弱していました。

そして、その時点で、マクドネルの宿泊したホテルの部屋は床がびしょびしょに濡れていたと伝えられました。

許容量を超える大量の利尿剤を使用したことは明らかでしたが、試合を許可したJBCは事故がおきたときどんな弁明を用意していたのでしょうか?

十分な回復時間があるから…それはあまりにも危険な余裕です。

もう一つは、長い回復時間によってもたらされるリバウンドがボクシングの階級制を冒涜するとんでもない体重差を生み出してしまうことです。

井上尚弥や井岡一翔が優秀なリバウンダーであることは、このブログでも何度かふれてきました。

大谷翔平がピッチロックなど新しい機器にたいして、MLBの関係者や審判が驚くほどの早い順応を見せたように、超一流選手は新しいルールをいち早く取り込んで自分のものにしてしまうものです。

そして、彼らは前日計量からの回復でどれだけリバウンドするのかが「大きな戦略の一つになる」(井上)ことも識っています。

選手の安全と健康のために施行した前日計量が、試合当日に大きな体重差を生み出す、より大きな危険を生み落としてしまったのです。

井上尚弥や井岡一翔だけでなく、ほとんど全ての試合は「ジュニアフェザー級」や「ジュニアバンタム級」とテロップで流れていても、実際には「ライト級」や「ジュニアウエルター級」での体重で行われているのです。

いや、正確には「フェザー級vsジュニアウエルター級」、あるいはそれ以上のハンデキャップマッチが当たり前に行われているのです。

https://fushiananome.blog.jp/archives/9580115.html

健康体で前日計量に臨み、健康体で翌日のリングに上がるヘビー級と、軽量級など過酷な減量が当たり前のクラスでは、リスクの大きさが違うだけでなく、リスクの性質が違います。

おそらく…暴論でもなんでもなく、階級性を廃止して無差別級だけにするなら、全てのボクサーが井上や中谷のように青白い肌とこけた頬で秤に乗ることなく、健康体で計量、健康体でリング・インすることができます。

そうなると、過酷な減量や水抜きなどというトリックも使わずに筋肉増強に励み、最強の井上は63〜64kg、中谷なら70kgちかくまでビルドアップするかもしれません。

事故の原因に減量があることは、もはや明らかです。

階級リミットに合わせる減量を禁止…つまり階級性を廃止すると、健康上の問題を抱えたファイターがリングに上がる可能性は排除できます。

それが現実的ではないのはわかりきっていますが、そこに極論があることを踏まえて考えていかなければなりません。

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誰も悪くはない…それなのに最悪の事故が起きてしまうーーーもしかしたら、この競技の本質、つまり私たちが愛してやまないボクシングのそもそもの魅力が、もはや時代にそぐわない、そんな段階の入り口にさしかかっているのかも知れません。

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JBCが打ち出した対策は「ラウンド数の短縮」。

従来、12回戦で行われていたOPBF戦などを10回戦に、世界戦以外の12回戦を認めない方針を打ち出しました。

事故の一因にダメージの蓄積があるのは明らかで、ラウンド数の削減は理に適った対策です。

しかし、優先順位はラウンド数にはありません。

すでに指摘されている、救急搬送の要請手続きの無意味な煩雑さから生じる遅れは大問題です。救急車の会場常駐は必要でしょう。起こりうる事故、症状は限定的なだけに、救急医療体制は比較的簡単に準備できるはずです。

この要請手続きに重大な問題があったことも、JBCは早急に事実と対策について説明すべきでしょう。

そして、多くの事故の原因が「水抜き減量」によって、極度な脱水状態に陥ることで硬膜下血腫を引き起こしやすくなていることは誰にでも想像できることです。

事故防止で先行する英国ボクシング管理委員会(BBBofC)は、ラウンド数ではなく救急医療体制の見直しと、水抜き減量の禁止(サウナ使用の禁止)を打ち出しています。

しかし、サウナ使用禁止で、水抜きを禁止できるのか?「俺、サウナを使用してしまいました」と自首して試合を棄権する選手などいるわけがありません。

カシメロのようにSNSに画像をアップしてくれるバカは、まずいません。


そして、水抜きに必要なのは「サウナや入浴」だけでなく「十分な回復時間」です。

「十分な回復時間」が与えられないと、ダメージの甚大な水抜きは有効ではありませんーーーつまり、当日計量に戻すことで、選手は水抜き減量に手を出しにくくなるでしょう。

現在のボクサーは前日計量、十分な回復時間を使った大幅なリバウンドを織り込んで、水抜き減量を選んでいます。

試合まで7時間前後の余裕しかない当日軽量に戻すと、極度の脱水状態の体で秤に乗る光景は減るでしょう。

また、リバウンドによる当日リングでの体重差も少なくなり、より公正な階級制の試合が実施されます。

あるいは、前日軽量と当日計量のW実施。現在IBFが行なっているような信じられないバカ・ルール「リバウンドはストロー級からクルーザー級まで一律のリバウンド10%以内」というのではない、階級ごとに定めたリバウンド制限に基づく、すでに柔道などで採用されている当日軽量の実施も有効です。

このシステムにすると、前日軽量を前提に階級を選んでいた多くのボクサーが階級を上げ、多少の混乱を招くことになるでしょう。

しかし、現在直面している大きな悲劇と比べたら。そんなものは「多少の混乱」に過ぎません。


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8月2日に後楽園ホールで行われたプロボクシングの興行で、それぞれ別の試合に出場した2人の選手が試合後に意識を失って都内の病院に救急搬送、一人が昨夜、帰らぬ人となってしまいました。


8月4日、日本ボクシングコミッション(JBC)の安河内剛本部事務局長は「また何が原因でという見極めが難しい両試合だった。原因を究明していくのが難しい事例になった。ただ、もう分からないから(何も対策を)やらないっていう場合じゃない」と語り、現在12回戦で行われている東洋太平洋王座戦を10回戦に短縮する方針を示し、主に12回戦で実施されているWBOアジア・パシフィック王座戦も10回戦に統一したいと意向を示しました。

JBCは東洋太平洋ボクシング連盟(OPBF)の本部国を務めており、萩原実JBCコミッショナーがOPBFの会長、安河内氏が事務局長を兼任、ルール改正に大きな障害はありません。

全国のジム会長らで組織する日本プロボクシング協会と話し合った上で、早急な変更を目指す方針です。


事故が起こりやすくなる原因の一つとして考えられている過度な水抜き減量を抑制するため、すべての試合で当日のリバウンド体重に制限をつけることも前向きに検討していく方針です。

過度な水抜きについては、やはり事故が重なったことから英国ボクシング管理委員会(BBBofC) が試合直前のサウナの使用を禁止しています。

3年前に当時のWBOバンタム級王者ジョンリール。カシメロが試合直前にサウナで「減量も順調!」と写真をSNSにアップしてしまい〝御用〟となりました。

ヘビー級を除く現代のボクサー、特に軽量級ではほとんどのボクサーがは直前に水抜きで一気に体重を落としています。

このメリットは長期の減量で心身ともに消耗するのを回避できること、前日計量後のリバウンド幅が大きく、当日の試合で優位な体重でリングに上がることができることなどがあげられます。

デメリットは一気に水分を抜いて生じる極端な脱水症状は肉体に大きな負担をかけ、前日計量クリア後に極度の体調不良を訴えたり、軽量に臨めないというケースも珍しくありません。

リミット105ポンド(47.62kg)のストロー級選手が10ポンド(4.54kg)を大きく超えてリバウンドすることもあります。

わずかな時間で、水抜きをした極度の脱水状態の体内に体重の10%以上の水分と食事を摂るわけですから、医学的にもありえない非常に危険な行為です。

青白い顔とこけた頬で秤に乗ったボクサーが、翌日には血色の良い表情でリングに上がるーーー井上尚弥をはじめ多くのボクサーで見られる光景です。


JBCは2023年12月の日本バンタム級タイトルマッチで起きたリング禍から、事故検証委員会を設置、再発防止に取り組んできましたが、抜本的な解決に向かう道筋はまだ見えていません。

相次ぐリングの事故について、亀田史郎は「JBCもラウンド数を減らすとか、レフェリーが止めるにしても、どこで止めるべきか難しい。そこの問題じゃないと思う」とし「そこ(ルールの変更)はそれでいいが、大きなグローブを使うジムでのスパーリングでダメージが蓄積されている。大きなグローブは面積広くなるから、揺れるダメージも大きい。スパーリングでダウンはあまりないから、ダメージが全部、蓄積する」と話しています。


一方の選手が大きなダメージを負っていると判断したならストップですが、激しい打撃戦の末に両者が大きなダメージを負って互角の戦いを繰り広げていたら?…「早く止めないと最悪の事態になる」と判断して引き分けストップなんて出来ません。そこまでのラウンド計算で判定というのが現実的でしょうが、やはりストップの判断が非常に難しい。

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グローブの問題についてはこのブログでも度々取り上げていますが「10オンスよりも6オンスの方が危険、ナックル部分が薄いレイジェスが危険」というのは大間違いです。

安河内事務局長は「原因を究明していくのが難しい事例になった」と語り、JBCの朝本俊司オフィシャルドクターも「運営側の瑕疵はほぼないだけに、対策が難しい」としています。

これは、大筋でその通りだと思います。

一方で、何が原因で〝それ〟が起きたのかはわかりませんが、ほとんどの事故で〝それ〟が何なのかははっきりわかっています。

頭蓋内出血から引き起こされる「硬膜下血腫」です。

「そんなのわかってるわい」と思われる方も多いかもしれませんが頭蓋内出血・硬膜下血腫がどんなものなのかは知らない人が多いのではないでしょうか?

「衝撃で脳が頭蓋骨内で回旋することで脳と硬膜をつなぐ静脈が切れて、脳を覆う硬膜とくも膜の間に血が溜まる」のが、硬膜下血腫です。

そして、硬膜下血腫はダメージの蓄積ではなく、多くの場合でたった一つの打撃で起きてしまうというのです。

つまり、それまでの試合やスパーリングで蓄積されたダメージでリスクが増大するなら、事前検査で脳内血管が痛んで、脳の回旋が起きやすい等の事前検査で予見できますが、そうではないのです。

また、どんな打撃によって脳が回旋しやすいのか、そのメカニズムもわかっていません。

井上尚弥のファン・カルロス・パヤノ戦、マニー・パッキャオのリッキー・ハットン戦のような一撃で相手を失神させる、いわゆる「スイッチを切る」ようなKOパンチは比較的安全(安全なKOパンチというのもおかしな表現ですが)と見られています。

ほとんど素手に近い4オンスのオープンフィンガー・グローブを使うMMAでボクシングよりも事故が少ないことを考えると、グローブの大型化は事故に一定の影響があると考えて良いでしょう。

しかし…。

そもそもの問題として顎、テンプル、頭部の急所を狙うボクシングの競技性格を考えると、重大事故のリスクを排除することは不可能なのかもしれません。

そして…。

もし、そうだとすると、これは、もはや「事故」とは呼ぶべきではないのかもしれません。




https://fushiananome.blog.jp/archives/10398894.html



https://fushiananome.blog.jp/archives/26232255.html
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Saturday 10, May 2025
  
Pechanga Arena, San Diego, California
commission:California State Athletic Commission
promoter:Bob Arum (Top Rank)
matchmaker:Brad Goodman
timekeeper:Mike Millsap, Richard Urquidez
doctor:Bear Gamboa,
    Tariq Khan,
       Michael Ricciardi,
     Robert Ruelaz
inspector:Mark Relyea
 
view on ESPN Knock Out ,
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Panama RPC Channel 4


昨年5月にライト級へのアタックを敢行、WBO王者デニス・ベリンチクに敗れてジュニアライト級に戻ったエマヌエル・ナバレッテの防衛戦。

前日計量。ナバレッテの最初の表示は130.4ポンド。トランクス1枚で秤に乗って、わずか180gオーバー。トランクスを脱いだ全裸で乗った2度目のトライは130.3ポンド、トランクスの重さは0.1gしかなかったようです。

2時間の猶予の間に130ポンドまで落とせなければ、WBOジュニアライト級王座は剥奪、タイトルは挑戦者チャーリー・スアレスがのみに賭けられ、スアレスが勝てば新王者、負ければ空位となります。



3度目のトライでなんとか130ポンドまで肉体を削り、王者としてリングに上がることが出来たナバレッテですが消耗は明らか。

指名挑戦者のスアレスは129.9ポンドで1発クリア。無敗のフィリピン人は、明日が世界初挑戦。

オッズはナバレッテ2/7(1.29倍)、スアレス11/4(3.75倍)と4階級で実績を残しているナバレッテが明白に有利とみられています。

叩き上げのメキシカン、ナバレッテがアイザック・ドグボエを大番狂せで下しでWBOジュニアファザー級王者になったのはもう7年も前のこと。

ドグボエを倒して価値のある対戦者がいなくなったナバレッテは1階級下の井上尚弥との対戦を熱望するも「縁がなかった」と相手にされませんでした。

まだ30歳のナバレッテですが度重なる激闘と減量苦で、体全体から消耗と疲弊が滲み出ています。




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きょう、日本武道館で行われる柔道全日本選手権

先行して行われた女子では角田夏実が自分よりも重い相手に勝って話題になりましたが、男子の注目もやはり軽量級の選手が重量級にどう立ち向かっていくのか。

https://fushiananome.blog.jp/archives/36370471.html




66kg級(ボクシングでいうとウエルター級:147ポンド=66.68kgがほとんど同じ)で五輪2連覇中の阿部一二三が出場、1回戦で81kg級の佐藤佑治郎と対戦します。

自分よりもはるかに重い相手を撃破、3回戦魔で進撃した角田は、肉体へのダメージ、疲労度が全く違うと語りました。

「1回戦が終わった後から疲労度が普通の試合と全然違くて。海で遊びきった後のようなだるさがあって…。(もちろん大きい相手に練習するなど対策は施してきたが)試合になるとパワーが全然違いました。1回戦、2回戦と試合をするごとにだんだんもう(手が)握れなくなったり…。ところどころあざだらけになってたりして、本当に強度の高い試合だと感じました」。

さて、井上尚弥と親交のある阿部一二三(フルネームで呼びたくなる名前です)です。高校2年時に全国選手権兵庫県予選の団体戦決勝が体重無差別の試合に出場して以来、約10年ぶりの〝柔よく剛を制す〟畳の上に立ちます。

国際ルールでは4分の試合時間は5分(決勝8分)。延長戦なしの旗判定は、攻勢が評価され、国際ルールで反則の足取りもOK。国際ルールとは違うルールについては「軽量級に有利に働くのでは」と考えています。

井上について話をふられると「尚弥君(5歳も年上なのに「君付け」ってちょっと面白い関係です)の場合、階級を上げたり4団体統一して、モチベーションを維持できる部分もあるかも。僕も五輪4連覇と言い続けることでモチベーションを保っているが、この目標がないと続けられていない」と、トップに立ってなおモチベーションを持ち続ける難しさを口にしました。



ボクシングでもOPEN WEIGHTの大会があれば面白そうですが、ダメージが握力の低下やいつもと違う打撲レベルで済まない危険が大きく、やってはいけません。

まあ、トップ選手が当たり前にキャッチウエイトを振り回すパワハラが認められる(スポーツの最高の特徴は公正さですが、これを否定する行為が認められている点でもスポーツと呼んでいいものなのか?)ボクシングでは、そもそもやるわけありません…そういえば、ウシクが一人でOPEN WEIGHTの大会をやってるか。

ボクシングは論外としても、競技的に類似性があるレスリングでも〝全日本選手権〟は存在しません。

これは柔道が日本の格闘技だからでしょう。

さて、日本武道館。9時開場です。

地上波NHKは午後4時から(延長あり)。YouTubeも。
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このブログでも再三、その実力に疑問符を投げかけていたカーメル・モートン君(18歳)がネリもカシメロもびっくりな体重超過をやっちゃいました。




あす11月30日にニュージャージー州アトランティックシティ、ACX1 Studiosで開催される13試合興行のメインをつとめる予定でしたが、前日軽量で大失態。

今回の相手も誰も知らないブライアイン・メルカドというボクサーが用意されていました。11勝6KO6敗(5KO負け)、30歳のエクアドル人です。

紆余曲折の末にセットされたのは、133ポンドのライト級キャッチウエイト6回戦でしたが、前日計量はなんと148.7ポンド、ウエルター級リミットも超えてしまいました。

井上尚弥への関心も口にした〝ラスベガスの神童〟は、フェザー級(126ポンド)での世界アタックも考えられていましたが、過去6試合は全て126ポンドオーバー。というか、そもそもまともな階級の体重契約での試合は一度もしたことがありません。

今回はキャリア初の自己都合ではない実在するクラス=130ポンド(ジュニアライト級)でリングに上がるはずでしたが、直前に133ポンドのキャッチに変更。

プロデビューからまだ1年あまり、とはいうものの「全米選手権18度優勝のエリートアマ」を標榜している軽量級ファイターです。〝キューバの至宝〟クラスなら、こんな雑魚ロードを遠回りさせません。

そもそも、自慢のアマチュアでは雑魚に何度も負けています。これほど過保護なエリートアマは歴史上前例がありません。その種明かしは「エリートアマではない」ということなんですが。

人気者のダニー・ガルシアが立ち上げたスウィフト・プロモーションズは「カーメルと対戦相手にとって最善の選択が試合中止」とだけ説明。

当のカーメル君は「3日前で(130ポンドを20ポンド以上オーバーしていたから)もう体重を落とす努力をする意味がないのはわかっていた。ニューイヤー・イブには(ライアン・ガルシアと安保瑠輝也の試合を見に)に日本へ行くよ」。

…。



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TJ・ドヘニーの体重が気になりますねぇ。

11kg増!ありえないです。これはまた別の話で詳しく迫ります。

すまいる
2024/09/03 20:12
井上尚弥62.7kgでドヘニー66.1kgだそうです。

ジミー・レノン…さすがに飽きてきたな。


オープニングラウンド!しかし、ドヘニー、ものすごい水腹です…。このラウンドを10−10にしないジャッジがいたら、アホです。

第2ラウンド、攻勢と手数で井上。20−19。

第3ラウンド。引き続きの展開で井上。30−28。

第4ラウンド。ドヘニーの左が数発ヒットも浅い。井上の超攻撃型スタイルに被弾はつきもの。井上のプレッシャーがかかってる、40−37。

第5ラウンド。アクションが増えてきましたが、井上の攻勢は変わらず。50−46。

第6ラウンド、井上もペースアップ。ドヘニーは大きなダメージはないが、終末が近そう。60-55。

ロートル水腹、腰を痛めてギブアップ。

もう50−1の相手とかやめましょう。一応「強い相手としかやらない」といってたんだし。

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被弾が多いのはいつものこと。静かな立ち上がりの1ラウンド以外は完全に支配していました。

「リバウンドしたらいいってもんじゃない」(井上尚弥)の言葉通りの試合だったとも言えます。
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東京ドームホテルで行われた前日計量。

那須川天心はか細くやつれて、別人のようでした。

下りエスカレーターの左右のベルトを掴んで「ああ、きつぅ」と呻いた神童は、病人にしか見えませんでした。

そして、過酷極まる「過去最軽量の減量」は〝骨肉〟を削っただけでなく、声帯にまで大きなダメージを与えていました。

声までが、別人でした。

愛嬌のある丸顔は顎先が尖り、井上尚弥のように頬がこけた天心は「いつも通りです」と殊勝に語りました。

「ここから回復します。試合のたびに体重を落としていって今回は過去最軽量。ここからさらに1kg落としたのがバンタム級(53.52kg)なので、身体も徐々に出来ている感じです」と、世界タイトルのターゲットとなるバンタム級を見据えました。




相当に消耗しているはずの天心でしたが「呪術廻戦」の印を結ぶポーズをサービス。両頬には「天」の漢字をモチーフにしたシールを張り「みんなもこれを付けて応援してほしい」と笑って見せました。

まだ、ボクシング転向から4試合目。徐々にボクシングの減量に適応しているのでしょうが、それにしてもあの健康的な格闘家が、会場に着くとカーペットの床に体を横たえてしまうほど弱体化する減量とは何なのでしょうか?

過酷な減量が精神も苛立たせることは、井上尚弥らの計量シーンでも明らかですが、そんな揺れは天心の言動から全く感じることができません。

骨の髄からエンターテイナーなのでしょう。





がんばれ!




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「後の祭り」ではありません。





7月15日、日本体操協会強化本部へ「通報」が入ります。16日にモナコ合宿に帯同していた原田コーチが本人に確認し、疑いが浮上。

もし事実なら「日本代表選手・役員の行動規範」に違反したこととなるため17日に帰国指示、18日夕方には日本に戻る。規定や規範などに違反する事実があったことを確認。協会と本人の話し合い、五輪への出場辞退を決めてしいました。

「日本代表選手・役員の行動規範」では、冒頭に「『体操ニッポン』という称号は長い栄光の歴史の中で、先人たちの競技成績だけでなく行動により培われたものである。一部の選手や役員の行動により、先人たちが築き上げた栄光の歴史を汚す行為は決して許されない」と【趣旨】が表明されています。

【趣旨】の下に【基本方針】が構成され、その具体的な内容がその下の18項目にわたる【行動規範】です。


8、日本代表チームとしての活動の場所においては、20 歳以上であっても原則的に喫煙は禁止する ※2016 年度から数年かけて段階的に全面禁止とする


9、日本代表チームとしての活動の場所においては、20 歳以上であっても飲酒は禁止とする ただし、合宿の打ち上げ、大会のフェアウェルパーティー等の場合は監督の許可を得て可能とする

「日本代表チームとしての活動の場所」ってどこに線引きがされているのでしょうか。

「原則的に喫煙は禁止」とは絶対禁止ではないという含みがあります。「数年かけて段階的に全面禁止」というのは、どんな段階を踏んでいくのか?達成年度はいつなのか?全くわかりません。

「飲酒は禁止とする ただし、合宿の打ち上げ、大会のフェアウェルパーティーの場合は監督の許可を得て可能」というのも訳がわかりません。「『協会が事前に定めた』打ち上げやフェアウェルパーティー等」なら理解できますが、この書き方では「等」はいくらでも拡大解釈が可能です。

極めてボヤッとした公益財団法人日本体操協会が作った「法律」です。「憲法」という方が正確かもしれません。

もちろん、本物の法律や憲法ではありません。「内規」に過ぎません。

そして、今回の件を複雑にしているのは19歳という数字です。


20歳未満の者の飲酒や喫煙は法律で同じ考え方で禁止されています。

飲酒を例にとると「未成年者飲酒禁止法」は未成年者に対する法律ではありません。


①親や親の代理をする者は、監督する未成年者(20歳未満の者)の飲酒を制止しなければならない、②酒類を扱う販売業者や飲食業者は、20歳未満の者が飲むことを知りながら酒類を販売・提供してはならないこととされており、①に違反した場合は科料、②に違反した場合は50万円以下の罰金が課されることになります。

基本的に「義務教育」と同じ考え方です。
「大きな重圧を抱えていた」と声を絞り出す原田睦巳コーチの涙は「泣いて馬謖を斬る」思いだったかもしれません。

また、昨今の目にあまる狭量なバッシング風潮を恐れて、協会側から発表、即時の決断を下したという背景もありそうです。

通報者がマスコミに情報を流す前に公表しなければならない、という姿勢はその通りですが、問題はその内容です。



【違反選手・役員に対する処分】は「行動規範」以上にさらにボヤッとしています。「 日本代表選手・役員が、前記の行動規範に違反した場合は、本会『倫理規程』の適用があるものとし、『倫理規程』予定の手続きによって処分を科する」。

この文章を読んで、その内容を想像できる人は誰もいません。おそらく書いた本人もよく理解していない、それだけが確実に伝わる文章です。





「後の祭り」ではありません。

もちろん、本人の中では決着してしまってるでしょうから、今から切り替えてパリは無理でしょう。

もっといろいろな方法を考えるべきなのです。

公表は仕方がありませんが「馬謖を斬らない」選択はなかったのでしょう。

誤解を招く表現ですが「飲酒と喫煙の科(とが)は五輪後に発表して協会と本人が負う。パリには行く。競技が終わるまで待って欲しい」という骨子で会見を開くこともできたはず。

もちろん、異論は噴出したでしょう。


協会は、何を恐れて軍法会議のスタイルで〝未成年の馬謖〟を斬ったのか?

19歳の夢を引き裂いたのは、日本体操協会ではありません。

「19歳の五輪選手」でも「たかが飲酒と喫煙」でも〝極刑〟に処さなければ、納得してもらえないと協会が恐れた、私たちが歪に捻じ曲げてしまった日本社会です。




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