カテゴリ: ESPNから

ESPNから、We get to February 2024, when the gigantic undisputed world heavyweight title clash between Tyson Fury and Oleksandr Usyk will take pace, there is still plenty of big fights over the next two months to look forward to.

「来年2月には超弩級のメガファイト、ヘビー級の完全統一を賭けてタイソン・フューリーとオレクサンデル・ウシクが激突する。しかし、それまでの12月と1月にも楽しみなビッグファイトが揃っている」。

ピックアップされた10試合からトップ5をご案内。

※ESPNの記事ですからトップランク寄りのカードが並んでいます。

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1. Dec. 23: Deontay Wilder vs. Joseph Parker, heavyweights

まずはデオンティ・ワイルダーとジョセフ・パーカーの元王者同士の一戦。

トップランクとマッチルームなど大手プロモーターが手を結び、サウジアラビアのリヤドで開催される「ヘビー級祭り」の1試合。

1年以上のブランクがあるワイルダーが勝てば、5年前ならフューリーvsウシクを大きく凌ぐとんでもないメガファイトになっていたはずのアンソニー・ジョシュアとの〝完全賞味期限切れ〟ファイトに進出します。

しかし、パーカーは今年だけで3戦全勝2KOと錆びついていない元王者。ワイルダーの右を空転させることができたなら、判定勝ちを手繰り寄せるはず。

オッズはアラバマのビッグパンチャーが1/6(1.17倍)、ニュージーランドのタフガイが4/1(5倍)。



2. Jan. 13: Artur Beterbiev vs. Callum Smith, 12 rounds, for Beterbiev's WBC, WBO and IBF light heavyweight titles

来年13日に行われるWBC/WBO/IBF王者アルツール・ベテルビエフの最初に獲ったIBFから数えると8度目の防衛戦

挑戦者はWBSSスーパーミドル級トーナメント優勝のカラム・スミス。

元々、8月に予定されていましたが、ベテルビエフが顎を負傷したために延期されたカード。

全戦全勝全KO。純度100%のパーフェクトレコードが20まで更新されるのか?それともスミスが12ラウンドを生き延びるのか?

あるいは、大番狂せもあるのでしょうか?

英国ではなく、ベテルビエフの地元カナダで行われる注目の一戦。

38歳のベテルビエフ3/10(1.3倍)、スミス5/2(3.5倍)。


トップランク+ESPN。



3. Dec. 16: Jesse "Bam" Rodriguez vs. Sunny Edwards, 12 rounds, for Rodriguez's WBO flyweight title and Edwards' IBF flyweight title


全盛期の二人がタイトルと無敗を賭けて激突するフライ級の団体統一戦。2023年の年間最高試合に輝くかもしれない好カード。

直近のクリスチャン・ゴンサレス戦で骨折したバムの顎は回復しているのか、そこが気がかり。

この試合で明白な勝利を収めるなら、軽量級のスターになれるだろう。

23歳のIBF王者バムが1/2(1.5倍)、27歳のIBF王者ショータイムが6/4(2.5倍)。

マッチルーム+DAZN。




4. Dec. 26: Naoya Inoue vs. Marlon Tapales, 12 rounds, for Inoue's WBC and WBO junior featherweight titles and Tapales' IBF and WBA junior featherweight titles

4位は井上尚弥のジュニアフェザー級完全統一戦

フライ級の団体統一戦の後塵を拝すのは忸怩たる思いですが、あっちは「メキシコvs英国」、仕方がありません。

井上は全階級を通じても最強のパンチャー。昨年末にバンタム級を完全統一してから1年、今度はジュニアフェザー級でも同じことをやろうとしています。

マーロン・タパレスが井上の脅威になるとは考えにくい。勝敗ではなく、テレンス・クロフォードをESPNの1位から引きずり下すような戦慄のKO劇を演出できるかが焦点。

井上1/20(1.05倍)、タパレス7/1(8倍)。

大橋プロモーションズ+Lemino




5. Dec. 9: Regis Prograis vs. Devin Haney, 12 rounds, for Prograis' WBC junior welterweight title

4Belt Eraの実力者たちは、Undisputed Championになってその階級を支配し続けることはレア。

ライト級の完全統一王者デビン・ヘイニーも、より注目度の高いクラスを求めてジュニアウェルター級に乗り込み、いきなりWBC王者レジス・プログレイスに挑戦

4年前のWBSSジュニアウェルター級トーナメントでジョシュ・テイラーに敗れてから4年、プログレイスは今なおトップ戦線で戦っています。

直近の試合は、プログレイスがダニエリト・ソリージャに大苦戦、ヘイニーもワシル・ロマチェンコに煮え切らないファイトに終始、ファンを幻滅させている両者だけに、名誉挽回の戦いっぷりを期待。

挑戦者のヘイニーが2/7(1.29倍)、王者プログレイスがアンダードッグで5/2(3.5倍)。






*****ちなみに、この記事では触れられていませんが井岡一翔のファン・フランシスコ・エストラーダせんはあちこちのブッカーでポテンシャルオッズが叩かれています。

そして、結局落ち着いたホスベル・ペレス戦は、betfairが井岡勝利に1/25(1.04倍)、ペレス10/1(11倍)を付けるなど一方的。

まあ、井上vsタパレスと同じく、欧米では関心が低い超軽量級。誰も買ってないから〝売り出し価格〟のままなんでしょうが、10−1はない。
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Thursday 16, November 2023
  
T-Mobile Arena, Las Vegas, Nevada
commission:Nevada Athletic Commission
promoter:Bob Arum (Top Rank)
matchmaker:Brad Goodman

media:USA ESPN, USA ESPN+
WBOジュニアライト級12回戦

エマヌエル・ナバレッテ vs ロブソン・コンセイサン



WBOバージョンのジュニアライト級王者決定戦を数字でフォーカスしたESPNの記事から。


 ナバレッテはここ11戦を全勝、そのうち9つがストップ勝ち。2016年以降、2試合続けてKOを逃したことがありません。



3 ナバレッテはWBOジュニアライト級タイトルの3度目の防衛戦で、今年3度目の世界戦。



46.5  ナバレッテが1ラウンド平均で繰り出すパワーパンチの数は46.5発。CompuBoxによると、これは十番目。

1位はローマン・ゴンサレスの63.7発ですが、これはパンチャー(強打者)ではなく「手数の多いファイター」の指標です。

ナバレッテのストップも、主役はメキシカンの両拳ではなく主審の判断で、古い時代なら多くのKOは判定勝ちに変わっていたでしょう。



 コンセイサンが勝利するとブラジル史上2番目の年長王者誕生となります。

1位は、今からちょうど50年前の1973年前にWBCフェザー級王者となったエデル・ジョフレの37歳。今でも37歳の軽量級王者は稀有ですが、ジョフレは3年もブランクを作っての王座復帰というオマケ付き。しかも、4団体17階級時代ではありません。

ジョフレこそ、化け物です。

もし、ファイティング原田がいなければ、どれほどの偉業を成し遂げていたのでしょうか?そして、ジョフレの凄さが評価されれば、されるほど原田の存在もクローズアップされます。

カス・ダマトはマイク・タイソンに、ボクシングを象徴するStyles make Fightsを具現化した試合として好んで「原田vsジョフレ」の2試合を見せていました。


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12  ナバレッテは2018年12月から世界戦12戦全勝。この世界戦試合数と勝利数は、この期間で最多。

コロナ禍前の2018年12月から2019年にかけては、実質1年で世界戦5試合のリングに上がった「戦うチャンピオン」。この姿勢が評価され、Fighter Of The Yearの候補にも挙げられました。

このWBOジュニアフェザー級時代のナバレッテは、アイザック・ドグボエから番狂せでタイトルを奪ったものの、ドグボエの他はめぼしい対戦相手に恵まれず、PFPファイターだったバンタム級の井上に対戦要求を繰り返しましたが、井上は「(バンタム級の完全統一を目指している自分とは)縁がない」とスルー。

メキシカンでジュニアフェザー級としては名前があったナバレッテとの対戦に興味を持たなかったのは、強い相手と戦うよりも、世界評価を高めること(ベルトコレクション)を優先したということでした。

プロボクシングならではの選択肢ですが「パッキャオ的な冒険マッチで世界的に名前を挙げてボクシングファンから喝采を浴びるのか?」それとも「リカルド・ロペスのように派手な試合よりも最高のパフォーマンスを追求することを最優先するのか?」の問題です。

井上の選択は「恵まれた日本のエース」としては当然です。ただ、「メキシカンのライバルは欲しいですね」というような発言はいただけません。




16  コンセイサンはプロデビューから16連勝を飾りましたが、その後の4試合では1勝しかできていません(1勝2敗1ノーコンテスト)。

バルデス、スティーブンソンに敗北、そして今度はナバレッテ。コンセイサンの世界戦ロードは厳しいですね。



明日、です…。

しかし、平日にやるか?どこで見よっかな…。
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Thursday 16, November 2023
  
T-Mobile Arena, Las Vegas, Nevada
commission:Nevada Athletic Commission
promoter:Bob Arum (Top Rank)
matchmaker:Brad Goodman

media:USA ESPN, USA ESPN+
WBCライト級王者決定戦

シャクール・スティーブンソン vs エドウィン・デ・ロス・サントス

本来なら完全統一王者デビン・ヘイニーvsスティーブンソンでUndisputed Championnshipが争われるべきなのですが、これが4Belt -Eraということです。

今やタイトルは守るものではなく、コレクションするもの、飾りに成り果てました。

さて、気を取り直して。

WBCバージョンのライト級王者決定戦を数字でフォーカスしたESPNの記事から。

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T -モバイルアリーナ。ラスベガス最高の舞台、そのメインイベントに登場する日本人を見ることが出来るのはいつになるでしょうか?


 スティーブンソンは〝人気階級への滑走路〟ライト級での2戦目。

吉野修一郎と日本のボクシングファンの夢を木っ端微塵に破壊したのが、最初の試合でした。




24 24歳のロス・サントスが勝つと、ラファエル・トーレスの23歳に次ぐドミニカ史上二番目の若きチャンピオン。さらにライト級ではカルロス・テオ・クルーズ、ホアン・グスマンに続く史上3人目。




 スティーブンソンが勝利すると、2019年の井上尚弥以来、史上最年少26歳での3階級制覇。これは史上7人目の快挙。




 スティーブンソンが勝利すると、史上6人目の五輪メダリストにして3階級制覇。

他の5人はシュガー・レイ・レナード、パーネル・ウイテカー、ロイ・ジョーンズJr.、オスカー・デラホーヤ、フロイド・メイウェザーJr.。錚々たるメンバーですが…スティーブンソンを同列に並べるのは…。

26歳のスティーブンソンは、史上最年少のフェザー・ジュニアライト・ライトの3階級制覇も視界にとらえています。

パックマニアとしては、8階級制覇のパッキャオと同じリストに載せてほしくありませんが…。

Fighters To Win Titles At Featherweight, Junior Lightweight And Lightweight

FIGHTERSAGE WHEN ACHIEVEDTOTAL DIVISIONS CONQUERED
Manny Pacquiao298
Juan Manuel Marquez354
Mikey Garcia294
Vasiliy Lomachenko303
Jorge Linares293
Note: Information provided by ESPN Stats and Information



13.4 スティーブンソンのパワーパンチ被弾率は13.4%と驚くべき数字。とにかくビッグパンチはもらわない、強打に怯懦しまくっているのがスティーブンソンです。

この数字を上回るのがドミトリー・ビボルの12.4%。

日本人では井岡一翔の18.4%、寺地拳四朗の18.8%が1、2位ですからかなり差があります。拳四朗は面白いボクシングを見せながらの数字ですが、最近の激闘スタイルで数字は下降気味です。

スティーブンソンの全パンチを含めた1ラウンドあたりの被弾数はわずか5.5発。これはデメトリアス・アンドラーデの5.4発に次ぐ数字、つまり見ていて面白くないボクサーの指標です。

日本人ボクサーは被弾数の少なさでトップ10に入っていませんが、なんだかんだで好戦的なファイターが多いということかもしれません。

防御面の数字で、井上が世界トップに入ってないのは当然です。逆スティーブンソンですね。
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世界最大のスポーツメディアESPNのボクシングコーナー。この10年ですっかり貧相になってしまいました。

ESPNは長らく業務提携してきたトップランクとの契約で注目されています。

来月92歳になるのボブ・アラムが存命のうちは関係を保つと見られていますが、ボクシングの商品価値がどんどん低下する中、いつ打ち切りを決断するのか?

ボクシング事業に乗り出しているネット配信も新規契約者の獲得や宣伝広告が目的で、メガファイトは定期視聴料に上乗せされるPPVで提供しているのが現状です。

結局、衰退スポーツのボクシングは儲からないのです。

無料で配信されることが多い日本の場合は、宣伝広告の色合いがより濃厚でビジネスとして成立していないと考えて差し支えないでしょう。

ネット配信企業の市場淘汰が完了すると、宣伝広告の意味合いは低くなり、高額のPPVを課金したり、ボクシングから撤退することも十分考えられます。

HBO、そしてSHOWTIMEときて、次にボクシングから見切りをつけるのは順番からしてESPNです…。

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さて、ESPNのそんな貧相なボクシングコーナーの「Boxing real or not〜その噂は本当か?」から、二つのお題をピックアップ。

一つ目は「Real or not: Naoya Inoue will become the second men's boxing two-division undisputed champion」(井上尚弥は2階級でUndisputed championになれるか?)。

結論は「スティーブン・フルトンを粉砕したよりも手っ取り早く仕事を終わらせるだろう」。

そして、二つ目はこの「井上」記事よりも先に掲載されている「Real or not: Bam Rodriguez-Sunny Edwards has a chance to win 2023 fight of the year」(バム・ロドリゲスとサニー・エドワーズの勝者に2023 Fight Of The Yearの可能性はあるか?)。

…はあ?来月16日にアリゾナ州で行われるフライ級のIBFとWBOのフライ級団体王座統一戦。悪いカードではありませんが、こんな試合の勝者がFight Of The Yearになってはいけません。

Fight Of The Yearはテレンス・クロフォードでほぼ決まりでしょうが、対抗馬は井上でしょう。

間違ってもバムはあり得ません。

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ソーキそば、着丼。時々無性にすすりたくなります。

そして無性に沖縄に行きたくなります。
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It's boxing.

And the chaos continues. Year-after-year-after year.

それがボクシング。おかしな判定が毎年、当たり前のようのように下される。そう、これがボクシング。


〜フロリダ州オーランドで9月7〜10日で開催された the North American Boxing Federation's 53rd Annual Convention(第53回北米ボクシング連盟年次総会)。

NABFはWBCの傘下の地域タイトル認定団体。90年代までは米国のスター候補にとって NABFは最初の関門でした。今ではWBCはもちろん、WBAもIBFもWBOも訳のわからない地域タイトルを濫造し、NABFには埋没感が漂っています。

ここで、特別ゲストとして講演したのが現役時代は〝マニー・パッキャオにしか負けなかった男〟で、現在はESPNの解説者ティモシー・ブラッドリー。

テーマはrecent bad scoring decisions (近年頻発している間違った判定)。

ボクシングに限らず、判定を人に委ねる場面があるスポーツに、この種の問題は永遠について回ります。

潤沢な予算をジャッジの能力向上に充てられる人気スポーツとは違い、プロボクシングではこの問題に正面から取り組まず、問題を先送りにしてきました。

もちろん、ボクシングのさまざまな矛盾や歪みは「世界を統括する団体がない」という一点に辿り着きます。「おかしな採点」も国や地域、米国なら州単位のコミッションでルールや薬物検索の基準が異なります。

しかし、ファンが〝世界タイトルマッチ〟(ある地域の統括団体が仕切り、あるアルファベット団体が「世界」と認定する試合のことで、他のスポーツの世界大会と混同するのは禁物です)を見るとき、無意識に形成された〝世界基準〟で試合を見てしまっています。

そもそも〝世界基準〟なんて存在しないのがプロボクシングだというのに。

同じ国でもラスベガスでは「どちらが科学的に戦ったか(といってもジャブだけを過大評価する傾向があります)」に重点が置かれる一方で、ニューヨークでは「攻撃的な選手の攻勢」が評価されやすいなど、統括団体によって採点基準はルールブックに書かれている項目・内容に大差がなくても、ズレ・ブレが生じているのはいなめません。

"We should focus on improving transparency and accountability with regular evaluations and training. All judges' performances need to be evaluated to identify any mistakes, biases or inconsistencies."

ブラッドリーは「間違った採点のチェックなどを踏まえ、定期的な研修や説明の場を作ってジャッジの能力向上を図るべき」と提案しています。

もちろん、ほぼ全てのコミッションがジャッジの資格更新試験などを事実上、一切行ってこなかった現状を考えると、この方向への取り組みが重要であるのは間違いありません。

ただし〝国際ルール〟〝統一ルール〟の制定も同時に進めなければ、どこかで行き詰まってしまいます。

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 そもそも死角だらけのこの配置が狂ってる…。

また「(現在リングの三辺に座るジャッジを四辺に配置)4人のジャッジによる多数決評価」も提案しています。ジャッジが3−1ならそのラウンドは10−9に。2−2なら10−10。

この方法だと、オフィシャルのジャッジは一本化されますが、ドローのラウンドが増えることも考えられます。もちろん、現在の10−10を付けるのを敬遠しすぎる暗愚なジャッジの方が問題ですが。

これは、テスト的に導入しても良いと思います。

さらに、WBCがオプションで導入するも日本以外のマーケットでは無視されることが多い「オープンスコアリング」も「ダメなシステム」と切り捨てるのではなく、一考の価値があるとブラッドリーは見ています。

採点結果が即時に出されることで、ファンやメディアはリアルタイムで検証、興味を持つことができます。また、コミッションはジャッジへのインタビューを通して、割れたラウンドを中心に採点の根拠や、分析、議論をまとめた報告書を制作することで、ファンの疑心暗鬼を溶かし、透明性のあるスポーツであることを訴求できます。

ただ、こうした改善策も世界中にある各国、地域、各州のコミッションが足並み揃えて共通のレギュレーションで導入しなければ、大きな意味は持てません。

 
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ESPNの「30歳未満で亡くなったアスリートの40%がCTEと診断されている」をご紹介。
 
CTE(chronic traumatic encephalopathy )とは慢性外傷性脳症のことで「ボクサー認知症」とも呼ばれています。

ボストン大学CTEセンターの研究によると「contact and collision sport (接触・ 激突することが避けられないスポーツ)のすべての選手がCTEを患っているわけではない」と強調していますが、「30歳未満」というあまりの若さが衝撃的でした。

そして、最も多い死因は自殺…。

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この研究では「CTEと自殺に直接の因果関係はない」としていますが、全てのアスリートのほぼ70%で鬱病などの精神疾患が報告されています。

精神的に難しい状況でCTEを患ってしまうと、良くない悲しい考えが頭の中で膨らんでしまう、ということではないでしょうか。

野球のコリジョンルールは、多くのオールドファンは「クロスプレーの面白さが半減」と非難しましたが、選手の健康と安全が最優先されるべきなのは当然。不要なcontact and collision はルール改正で排除すべきでしょう。

しかし…。

ボクシングなど頭部への打撃アリの格闘技はもとより、ラグビーやアメフト、サッカー 、アイスホッケー… contact and collision がルールで認められているスポーツの場合は、これからどうあるべきなのでしょうか?
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WBO /WBCジュニアフェザー級王者スティーブン・フルトンに、バンタム級の完全統一王者・井上尚弥が挑戦する軽量級のメガファイト。

この試合を全米で生配信するのはESPN+、トップランクと長らく提携関係を持つESPN関連のチャンネルの一つです。 

本来なら、トップランクと契約する井上はしっかり報道すべき存在ですが、両者の関係は複雑です。

トップランクとESPNは、井上との契約がかつての「HBOとナジーム・ハメド」のような関係になることを期待していたと言われています。

ESPNは、かつてHBOがイエメンをはじめ中東の富裕国、ハメドのスポンサーから5000万ドル以上という巨額の放映権料を獲得した〝二匹目のドジョウ〟を狙っていたとも報じられていました。

ボブ・アラムも「井上の試合には日本から富裕層が2000人以上もラスベガスに来る」と、大きなジャパンマネーを期待していたのは間違いありません。

しかし、現実には日本のテレビ局にそこまでの資金力はなく、それどころかコロナ禍も重なって、当初予定していた放映権料の支払いが出来なくなります。

日本側が契約の見直しを迫り、両者の関係がギクシャクすると、ESPNは「井上は米国では全く無名」と〝身内〟を攻撃。

「このまま防衛を重ねていけばファイトマネーは天文学的数字になる」(大橋秀行会長)と大嘘をついていた日本サイドも「そこまで憧れ料を支払う必要はない」と、中期的な米国撤退を決定。

トップランク&ESPN連合と、日本サイドのボタンのかけ違いは連合側に責任があります。

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そもそも、ハメドの時代は中東でボクシングのメガファイトを開催するのが難しく、今ほど活況ではなかった英国市場からジャンプアップするには米国に進出するしかなかったのです。

一方で、西岡利晃や井上らは、日本で軽量級のマーケットが十分確立されていながらも、野球やサッカーなどメジャースポーツが「本場・最高峰」の存在する欧米を目指して大きな注目を浴びるていることに焦りを感じたのか、軽量級でもラスベガスに「本場・最高峰」があるという虚構を演出してしまいました。

現実には、そんなものは存在しないというのに。



そんな、複雑な関係のESPNですが、ようやく「井上vsフルトン」の記事をアップしました。

タイトルは「Why Naoya 'The Monster' Inoue should be your favorite fighter」。

誰でも訳せるような簡単な英語ですが、どう日本語にするのが適切でしょうか?

「あなたがモンスター・井上のファンになるべき理由」か。

というわけで、タクシーに揺られて車酔いしそうな酔っぱらいが、要点絞って拙訳してゆきます。



*******優れたKOパンチャーが逃げ回る相手を深追いせず、楽勝の判定勝ちを得ることはよくあること。21世紀最悪のチキン、オマール・ナルバエスに完勝したノニト・ドネアやゾラニ・テテはそんなファイターの典型だ。

しかし、井上はそれを由としない。逃げ回るポール・バトラーを多少の被弾を厭わずに追いかけ続け、11ラウンドで仕留めたのだ。

もしかしたら、バトラーは「どうしてそこまで倒しに来るんだ。全戦全勝全KOがかかっているわけでもないのに」と戸惑っただろう。

さて、井上の凄みを4つ挙げましょう。


'Inoue has great eyes'

有名なトレーナー、解説者のテディ・アトラスは「鋼鉄のように冷静な目を持っている。どこにどのタイミングでどのパンチを打てば良いのかを、瞬時に見極めることが出来るのだ。



'He's vicious'

残虐さ、容赦のなさ、究極の殺傷本能。

井上が最もピンチに見舞われた試合は、ノニト・ドネアとの初戦。

眼窩底骨折の重傷を負いながらも全く怯むことなくプレッシャーをかけ続け、11ラウンドにダウンを奪ったときは、立ち上がったドネアに襲い掛かろうと激昂していた。

その残虐性は、ドネアとの再戦ではより鮮烈に発揮されることになる。



 'He's the best fighter ever from Japan'

井上は米国でスターの地位を手に入れたとは言えない。

日本で試合をする限り、米国時間では平日の早朝、そんな時間にテレビを見るのはよほどマニアしかいない。

That lack of visibility has made it difficult for Inoue to break through in the U.S., but there's no questioning what he means in Japan. 

そもそもの知名度が低い井上が米国で人気者になるのは非常に難しいが、日本での彼の存在には何の疑問もない。

ルウ・ディべラは「彼は日本史上最高のファイター」と評価している。



'Very good boxing IQ'

左右どちらの拳でもKO能力がある井上だが、それと同じくらいにリングの上での狡猾さ、ボクシングIQの高さも持っている。 

井上と同じイベントに出場した経験のあるドミトリー・サリタは「ボクシングIQの高さはテレンス・クロフォード並み。距離を測ること、スピードの緩急をつけること、そのタイミング、全てをわかっている。きっと幼い頃から優れたファイターになるための教育を受けてきたはずだ」と感心している。

Simply put, to quote DiBella, "If you don't love this kid, you don't know anything about boxing."

ディベラの言葉を借りるなら「この小さなファイターを気に入らないとしたら、あなたはボクシングを何も知らないのだろう」。 

*******


最後のディベラの言葉が良いですね〜。全面的に賛成です! 
 
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ESPNのレポーター、ベン・ベイビーとマイク・コッピンガーによる今年上半期の総括。


****************

ガーボンタ・デービスvsライアン・ガルシアは、カネロ・アルバレスvsゲンナジー・ゴロフキン第2戦(2018年9月15日)以来、商業的と言う意味では大きな試合になった。

テオフィモ・ロペスvsジョシュ・テイラー、 デビン・ヘイニーvsワシル・ロマチェンコ、どちらに転ぶかわからないスリリングなマッチアップも実現した。

下半期は井上尚弥vsスティーブン・フルトン、 エロール・スペンスJr.vsテレンス・クロフォードで幕開けするが、まずは上半期を振り返ってみよう。



▪️KO of the half year▪️

▶︎コッピンガー「中谷潤人のアンドリュー・モロニー戦。日本のサウスポーは今や、世界最高のエリートボクサーの一人。

ジュニアバンタム級の強豪と拳を交え流ことになるであろう下半期は、PFP入りが濃厚。



▶︎ベイビー「デビッド・モレルがヤマグチ・ファルカオを破壊した一戦だろう。

衝撃的な1ラウンドKOだった。



▪️Fight of the half year▪️

▶︎コッピンガー「ハイメ・ムンギアvsセルゲイ・デレビヤンチェンコと、ルイス・ネリvsアザト・ホバニシャン。どちらもアクションに富んだ試合だったが、一つを選ぶならよりドラマティックだったムンギアvsデレビヤンチェンコ」。

▶︎ベイビー「確かにこの2試合のどちらかがFight of the half year。両者合わせて1284発のパンチを交錯させ、そのうち886発がパワーパンチだったネリvsホバニシャンを選ぶ」。



▪️Moment of the half year▪️

▶︎コッピンガー「タンク・デービスとガルシアの試合は、ファンが望むマッチメイクに障害物が山積しているこのスポーツでよく実現できたと思う。この流れが、テオフィモやヘイニー、そしてスペンスとクロフォードを他の注目ボクサーたちにも『俺もうかうかしてられない』と言う気持ちにさせた一面もあるだろう。最高レベルの戦いではなかったが、ボクシングビジネスに大きな刺激を与えた」。

▶︎ベイビー「同意」。


******************

下半期はあと10日に迫った井上のジュニアフェザー級進出、スペンスvsクロフォードの決戦と言う〝リアル〟に、タイソン・フューリーvsフランシス・ガヌーという茶番劇もサウジアラビアでセットされています。

日本のボクシングファンの一人としては、井上に年内もう1試合をこなしてもらい122ポンドでも完全統一を果たして欲しいです。井岡一翔と中谷の次戦も誰と戦うのか、非常に楽しみです。
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米国メディアからニュース3選。
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▶︎まずは、リング誌。昨年、私だけ?に惜しまれて廃刊してしまった自称・ボクシングの聖書ですが「重要なタイミングではプリントバージョンを発行する」と宣言していました。

約束を守って、2023年6−7月合併号( The Ring’s Summer Special previewing the Spence-Crawford undisputed welterweight championship. )の予約販売を開始。

価格は20ドル、今日のレート142円16銭で2840円。どうせ100ページちょっと、高すぎます。

この中の記事でウエルター級のホープ、IBFウエルター級暫定王者ジャロン・エニスが「スペンスvsクロフォード」に関する話題を中心にQ&Aに応じています。

エニスは明日、キャリア最強の相手ロイマン・ビラを迎えての防衛戦に向けた意気込みも語る中で、やはり今月25日に井上尚弥との大勝負に臨むスティーブン・フルトンへ短いエールも送りました。

Scooter has two belts and he’s not going to surprise me when he beats (Naoya) Inoue. He’s bigger and stronger than Inoue. Scooter may shock the world when he wins, but he’s not going to shock me, because I know he’s going to win.

Q:今、フィラデルフィアのチャンピオンはあなたとフルトンの2人。何か思うことはあるか?

A:Philly fightersは偉大な伝統を引き継いできた。最近だけでもB -HOP(バーナード・ホプキンス)やダニー・ガルシア、J -ROCK(ジュリアン・ウィリアムス)、そして私とScooter(フルトン)。

より大きくてより強い、二つのタイトルを持つScooterが井上に勝っても驚くことはない。彼は井上を倒して世界を驚かせるだろうが、彼が勝つとわかっている私は驚かないよ。




▶︎続いてWBCのマウリシオ・スライマン会長が、2年以上のブランクを作っているミドル級王者ジャモール・チャーロのタイトルを「剥奪する予定はない」と発言したニュース。

「タイトルは暫定王座を設定してカルロス・アダメスが就いている。私たちはジャモールの精神的な問題を理解しているから、サポートを続けている」。

一方で、ボクシングファンやメディアの意見の大半は「精神的な問題を抱えているジャモールには同情するし、早く元気になって欲しいが、そのこととタイトルを保持したままにするのは全く違う話。タイトルは剥奪すべき」「2年以上もリングから離れた王者は王者ではない。暫定王者を王者に昇格させるべき」。

スライマンはいつもチンプンカンプン。

精神的な問題を抱えるアスリートをサポートするのと、タイトルを剥奪しないのは、全く別問題です。




▶︎そしてESPNから「The fight capitals of the world and the biggest fights to happen in them」と銘打って、世界中の格闘技のメッカを紹介しています。

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【ラスベガス】ボクシングのメガファイトといえばラスベガス。

ヒルトンからシーザース・パレス、MGMグランドガーデンアリーナ、T -モバイルアリーナと会場が変わっても、この砂漠の街から数多の名勝負が生まれてきました。

没落するボクシングの興行は全盛期から3分の1以下に減ってしまいましたが、UFCをはじめMMAがラスベガスを聖地として活発にメガイベントを繰り広げています。

80年代、マービン・ハグラーを中核としたミドル級ウォーズはラスベガスが演出した最高の物語の一つです。


【マイアミ】モハメド・アリが練習拠点とし、史上最凶の王者ソニー・リストンを大番狂せで下したのもマイアミでした。

UFCを中心にMMAの興行も数多く打たれています。


【ニューヨーク】バークレイズセンターが竣工した後も、なお威光を放ち続けるマジソン・スクエア・ガーデン(MSG)。

ジョー・フレイジャーとモハメド・アリの"The Fight of the Century"、21世紀になるとUFCのコナー・マクレガーが MSGで名勝負を繰り広げました。


【東京】世界的に知られているのは、42−1のオッズをひっくり返して、バスター・ダグラスがマイク・タイソンをカウントアウトした大番狂せ。

同じ東京ドームで桜庭和志がホイス・グレーシーを弄んでみせたMMAの試合は、日本の格闘技ファンにとって絶対に忘れられない試合です。この一戦で、桜庭は"The Gracie Hunter"の異名を手に入れるのでした。
 
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前回までのお話を、私見も絡めてまとめると…。

ファイターはリスクとリターンを考えて試合に臨むのは当然です。しかし、敗北を極度に恐れてファンが期待するマッチアップを敬遠したり、「何がなんでも勝つ」ではなく「何がなんでも負けない」つまらないスタイルに凝り固まると人気は出ません。

しかし「フロイド・メイウェザー」という史上最悪のサンプルが、特にアフリカ系米国人をミスリードするケースが見受けられます。

まずボクシングは、没落しているスポーツです。どんどんマイナーに、どんどんマニアックな色合いを濃くして一般のスポーツファンからは認知されない地下深くに潜り込んでしまっているのです。

さらに、アフリカ系米国人は社会的地位が向上、往年のようにボクシングが身近なスポーツではなくなっているのです。

多くの母親にとってはボクシングは選んで欲しくないスポーツで、人気のある球技に才能が流れていますが、それでも世界ヘビー級チャンピオンはアフリカ系米国人にとって最強で最高の英雄だった時代がありました。

アフリカ系アメリカ人は、過去と同じことをやっていてはいけないのです。

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Promoters don't often work together
プロモーターは互いに反目しあう。


現在の米国プロボクシングの世界は、4つのプロモーターが3つのネットワークと業務提携を結び、3つのグループに分割されています。

ESPNはトップランク、DAZNはマッチルームとゴールデンボーイ・プロモーションズ(GBP)、ショータイムはプレミア・ボクシング・チャンピオンズ(PBC)。

彼らは、自分たちが囲い込んだ選手でイベントを作り、ライバルのプロモーター傘下の選手と戦わせることはまずありません。

もしそういった交流を行うと、収益をどう分け合うかという問題が生じます。そして、そもそもどちらネットワークで放送するのか?

自分たちだけで興行を打っていた方が儲かるなら、交流にビジネス的な意味はありません。

また、当たり前の話ですが、彼らはライバル関係にあり、互いにいがみ合っています。

商業的に意味が薄く、互いに反目し合っている…プロモーターやネットワークを超えたマッチメイクが成立しないのは当然です。

それでも、今年はガーボンタ・デービスとライアン・ガルシアの試合ではアル・ヘイモン(PBC)とオスカー・デラホーヤ(GBP)が一時的に提携しました。

2002年にはレノックス・ルイスとマイク・タイソン、2015年にはフロイド・メイウェザーとマニー・パッキャオ、2017年にはアンソニー・ジョシュアとウラジミール・クリチコのメガファイトがHBOとショータイムのPPVで同時生中継されています。

2020〜2021年にわたって行われたタイソン・フューリーとデオンティ・ワイルダーの三部作の第2、第3戦もESPNとFOX の共同PPV。

ファンの要求が大きく、莫大な収益を生み出すメガファイトなら、商業的意味が発生し、彼らは一時的に互いに向ける憎悪を忘れることができるのです。



Details matter
問題はカネ。しかし、金だけじゃない。

現代のメガファイト、たとえばカネロ・アルバレスの試合を見ればわかるように、メキシコ音楽を奏でるマリアッチバンド、花火、ミュージシャンのパフォーマンスなど長い前奏が付き物です。

さらに、Bサイドのボクサーは先にリングインするので、Aサイドのボクサーが入場するまでかなりの時間を待たされてしまいます。

しかし、王者同士の戦いとなると、そうはいきません。「どちらが先に入場するか?」は些細なことに聞こえますが、「どちらが待たされるか」なら少しニュアンスが変わってきます。

瑣末な問題の例では、2014年にWBCミドル級王者セルヒオ・マルチネスに挑戦するミゲール・コットがイベントのタイトルを「コットvsマルティネス」と挑戦者を先にすることを主張。王者にも関わらずBサイドのアルゼンチン人は、これを受け入れました。


オレキサンデル・ウシクとフューリーの試合が決裂したのは、再戦条項での報酬の分配でした。

初戦で3−7の分配を受け入れたウシクは、再戦で7−3を要求、ここでフューリーは交渉の席を蹴りました。

「Bサイドの分際で何を偉そうに!」ということです。

カネロとゲンナジー・ゴロフキンの対決が引き延ばされた最大の要因は、カネロ陣営がGGGの衰えを待っていたということです。しかし、当初の交渉で王者GGGが報酬の分配で挑戦者カネロに大幅に譲歩することを受け入れられなかったのも一因です。

カネロからしたら「俺と戦うだけでキャリアハイの何十倍も儲かるのに、お前は何様なんだ?」ということです。

他のスポーツでは、勝者がより多くの報酬を手にします。決勝戦を戦う前から報酬の分配が決まっているなんてことはあり得ません。

Aサイド、Bサイドなんて、およそスポーツの概念から程遠いワードが跳梁するのもこのスポーツの闇です。

相手陣営の見ている前で開封するルールのグローブを、勝手に開けて試していても井上尚弥なら不問、ドネアのクレームはカネで解決したのでしょうか。井上はAサイドの傲慢で好き勝手しているのではなく、おそらくそのルールを知らず、今までもやっていたはずです。

「え?ダメなの?」という感じだったんでしょう。

フロイド・メイウェザーはオスカー・デラホーヤとのメガファイトで、グローブやウエイトでデラホーヤ寄りの条件を丸飲みしました。キャリアハイの3倍の報酬、さらにデラホーヤというビッグネームとの対戦。

勝つ自信があったメイウェザーにとって「ビジネスとして成立する」試合だったのです。この本人の言葉を借りれば、全盛期のコットやアントニオ・マルガリートとの試合は報酬こそキャリアハイが期待できても、負けるリスクが高かったから「ビジネスとして成立しない」と言い放ったのでしょう。

カネロとの試合で、ビリー・ジョー・サンダースは「リングの一辺を2フィート広げなければ契約書にサインしない」と要求、カネロが二つ返事でこれを受け入れた理由は二つ。サンダースのWBOのストラップをコレクションに加えたかったことと、サンダースを破壊する自信があったからです。

ジュニアフェザー級以下の井上らの対戦相手は「日本で戦う以外の選択肢はない」(ノニト・ドネア)というビジネス上の絶対的事実から、条件面での綱引きは「日本側がどこまで譲歩してあげるか」の問題。

ファイター同士のプライドと金銭欲、そしてプロモーターとネットワークの対立と算盤勘定…。

ファンが見たい試合には、いくつもの障害物が立ち塞がり、成立しないこと、成立してもベストのタイミングを逸することが当たり前になっています。

そして、ボクシングは低迷と没落の谷底へ深く沈んでいくのです。

このスポーツが米国で再び陽の目を見ることが、たった1試合でもあるでしょうか?
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