Saturday, 5 September 2026 - Once Upon A Time
Croke Park, Dublin, Ireland
commission:Boxing Union of Ireland
promoter:Eddie Hearn (Matchroom Boxing),
Brian Peters (Brian Peters Promotions)
matchmaker:Tom Dallas
Undisputed junior Welter weight Championship
All Hail King Jesusのメロディが流れると、8万4000人!の観客はむしろ歓声のトーンを下げた。最後の時間を噛み締めるために。3つのディケイズ25年間にわたって、アイルランドのアイコンであり歴史であり文化であり、すべての人が愛した史上最高のスポーツパーソン、それがケイティー・テイラーだ。
女性アスリートへの偏見のバリアを破壊した、このクローク・パーク スタジアムの地鳴りが聞こえるか?
ボクシングはローカルスポーツです。
唯一の例外が1980年代のマイク・タイソンまでの世界ヘビー級王者。80年代、世界的にはメジャースポーツから転落していたボクシングですが、マイク・タイソンという名前は地球規模のビッグネームでした。
しかし、この例外を排除すると、最高峰の舞台は米国であってもボクシングは常にローカルスポーツでした。
日本は国内で完結する富裕な市場を抱え、日本限定で絶大な人気を誇るボクサーファイターが活躍、メキシコには打撃戦上等のファイターが国民を熱狂させ、日本以上に小さな島国プエルト・リコでも個性あふれる異才がリングを彩ってくれました。
フィリピンでのボクシングは今なおバスケ、ビリヤードと並び3Bと呼ばれるメジャースポーツ。
英国でもヘビー級を中心に、スポーツセレブが割拠しています。
そして、米国にもファンベースを持つアイルランド!
日本のファンが最近で真っ先に思い浮かぶのはテレンス・ジョン・(TJ)ドヘニーですが、豪州でデビュー、試合をこなしたTJは人気がありません。
クラシックでは、あのジャック・デンプシーがその名をいただいたミドル級王者の"Nonpareil(天下無双)" ジャック・デンプシー。
ボクシングが貧困と差別に苦しむ移民のスポーツだった米国で、ユダヤ人のバーニー・ロスの好敵手だったウエルター級王者ジミー・マクラーニン。
エウゼビオ・ペドロサの長期政権に終止符を打ったバリー・マクギガン、事情があるとはいえForbesアスリート長者No.1コナー・マクレガー(このビッグネームをボクサーにカウントすべきかどうかは別にして、アイルランド魂を体現したファイター)、
英国の北アイルランドまで広げるとカール・フランプトン、ノニト・ドネアに大番狂せで敗れた(背中の負傷でしたが)ライアン・バーネット、薬師寺保栄とクロスゲームを演じたウェイン・マッカラーもアイルランド。
そして、大ヒット映画「ミリオンダラー・ベイビー」の主人公マギー・フィッツジェラルドもアイルランド丸出しのファイターでした。
タイトルホルダーは少ないものの、その個性は爆発的。そんなアイリッシュで史上最高の輝きを放ったのが先週土曜日のケイティー・テイラーです。
KTは2010年までピーモント・ユナイテッドLFCに所属、前年までアイルランドA代表で司令塔として大活躍したガチのプロサッカー選手。
ボクシングでは世界選手権で2度の優勝、ロンドン2012で金メダル、リオデジャネイロ2016でベスト4。プロでは、ライト級とジュニアウエルター級のUndisputed Championに。
ローカルとはいえ、BBCスポーツのトップニュース。
この場所でボクシングの試合が行われるのは、モハメド・アリがアルビン〝ブルー〟ルイスを1万8725人の大観衆の前で破って以来のこと。
その後改装された情緒豊かなスタジアムは、まるで古代ローマのコロッセオのような風格を見せて、ケイティー・テイラーを抱きしめました。
全9試合を飲み込んだメガイベントは7時間におよび、エド・シーランやボノ、ダーモット・ケネディ、メアリー・ブラックら世界的なミュージシャンが登場、英雄に賛辞を送りました。
ダブリンは一晩中〝アイルランドの女王〟が奏でた崇高な儀式の余韻を楽しんだのです。
それにしても、英国圏(なんていうとアイリッシュに激怒されそうですが)のファンは歌が大好きです。このメガイベントでも歌いっぱなし。
ないものねだりですが、羨ましい光景でした。
貧困国のフィリピンはボクシングはメジャー、マニー・パッキャオは日本の大谷翔平を超えるデミ・ゴッドですが、その試合はラスベガスからの衛星中継を観るしかありません。それでも、町中から人並みと車列が消えて静まり返る〝パッキャオの静寂〟もまた、太平洋を挟んだメガイベントの一部なのです。
ーーー実力的には、ダントツのクラレッサ・シールズに〝抱きしめてくれるローカル〟がないのは、複雑な心境ですが、ボクシングはあらためて興行です。
それにしても…今年のEvent Of The Yearはここまで「ギザのピラミッド」が本命、「井上尚弥vs中谷潤人の東京ドーム」が対抗馬と思われましたが、これはもう決まりですな。









