フシ穴の眼 〜スポーツ疾風怒濤編〜

      Hope Lights Our Way / 希望の道を、つなごう。

カテゴリ: FIGHT SONG

世界戦の地上波生中継が激減、スター選手(といっても村田諒太と井上尚弥のトップ2)がネット配信で〝実験〟を進める中で、WBOジュニアバンタム級王者・井岡一翔の5度目の防衛戦が13日(水)午後9時からTBS系列で全国生中継されます。

地上波生中継よりもネット配信の方が選手報酬がより多くなる、というのは決定的に正しい方向ですが、それが事実なのかは疑問です。

最近の村田と井上の試合を配信したアマゾンprimeの収支の詳細は闇の中、まだまだ赤字を織り込んだ実験段階です。

さらに、アマゾンがその実験台に選んだのはトップ2で、その他世界王者は完全に置き去りにされた格好です。

実験が成功、ビジネスモデルが確立できたら、その他世界王者の試合も手がけていく方針でしょうが、たとえそうなったとしても、既存のファン、マニアをターゲットにしたネット配信やPPVの行く末は全体市場のシュリンクと相場が決まっています。




60年代からクローズドサーキットが定着、90年代からPPVが成長している米国は、新規のファンを開拓出来ないまま「ボクシングは一部の高齢男性」が好むマイナースポーツとして先細りを続けています。

それでも「80年代までは五輪が全米予選からテレビで観戦できたから、若いファンの興味をつなぐことができていたが、今では完全にマニアのスポーツに成り果てた」(バーナード・ホプキンス)。

そんな米国でも、PPVはほんの一握りのスーパースターのメガファイト限定。PPVファイター手前のスター選手は、HBOのボクシング番組という活躍の場がありましたが、2018年で撤退。

ショウタイムやESPNは引き続きボクシングイベントを放送していますが、凋落傾向に歯止めはかかっていません。

7月13日にドニー・ニエテスへのリベンジマッチに〝挑む〟井岡ですが、ウィークデイの午後9時に合わせた試合、どこまで視聴率を稼げるか注目です。 時間帯を考えると、10%は欲しいです。

ボクシングファンでない人がチャンネルを合わせたときに、面白い試合が展開されている…そうなって欲しいのですが、何しろ井岡とニエテスのマッチアップです。

両者が完全なコンディションでリングに上がると、ジャッジ泣かせのチェスゲームが繰り返される可能性大。

本来は、こんなこと考えもしませんが、ニエテスの劣化が一気に進行して、井岡が多彩なテクニックを披露する見本市のような試合になるのが理想かもしれません。
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箱根駅伝を主催する関東学生陸上競技連盟(関東学連)が来年秋に第100回箱根駅伝予選会の参加資格を従来の「関東学生陸上競技連盟男子登録者」から「日本学生陸上競技連合男子登録者」に拡大すると発表しました。

これで、全国の大学が予選会への参加が可能になり、予選を突破すると2024年1月2、3日に行われる箱根駅伝本戦の出場権を獲得することになります。

予選会の出場資格をどうするのか?現状の10000m34分以内という標準記録を持つランナー10人を集めるのは簡単なだけに、出場校が膨れ上がる気もしますが…。

大学長距離ランナーで34分以上かかるなんて普通はありえないのですが、10人揃えるのが地方大学ではハードルが高くなるのかもしれません。

選考方法は従来通り、一斉スタートのハーフマラソンに各校最大12人が出走し、上位10名の合計タイムで出場権を争います。

昨年11月の全日本大学駅伝で、関東勢以外で最上位の16位となった関学大、17位の皇学館大、18位の立命大、今年の全日本大学駅伝関西地区選考会でトップ通過した大阪経大などが箱根駅伝予選会に挑戦すると見られています。

とはいえ、全日本大学駅伝で出場15校の関東勢が綺麗に上位15位まで占め、その実力差は絶望的です。

過去に関東勢以外の大学としては関西大(1928年=9位・出場10校/31年8位・出場10校、32年8位・出場9校)、1964年に立命大(11位・出場17校)福岡大(13位・出場17校)が特別参加しています。

また、2004年に日本学連選抜がオープン参加、徳山大、京産大、立命大、岡山大、北海道教育大大学院の連合チームが出場。20チーム中6位(オープン参加なので順位はつかず)。

連合チームはさておき、60年代以前の単独大学の健闘からは、来年の予選突破も期待したくなりますが…それは100%ありえません。


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約30年前、私が出場した頃の関東インカレの参加標準は、10000mで1部校がA:29分47秒B:30分45秒。2部校でA:31分55秒B:33分30秒と、1部校との差は歴然としていました。

この頃の箱根駅伝なら地方の強豪、京都産業大学などなら簡単に予選会を突破したでしょう。出場枠が5校増える記念大会なら、東大や慶大も出場することもありましたから、地方の国立大にすらチャンスが広がったはずです。

しかし、この30年で箱根駅伝の垣根は信じられないほど高くなってしまいました。

10000mの標準記録、現在では1部で A:29分15秒B:29分45秒、2部校でA:29分15秒B:29分45秒あろうことかその差が全くありません。これは5000mと800mでも1部と2部が全く同じなのです。

1500mはBが1部で3分55秒、2部で3分57秒とわずかとはいえ2秒の差がありますが、Aは3分51秒50でやはり全く同じ。

さらに、関東に次ぐレベルの関西インカレの10000mは1部がA:30分50秒B:31分50秒で、もはや関東の2部よりもずっとレベルの低い大会に成り下がっているのです。

かつては、トップ選手が争うインカレでのレベル順は、①関東1部、②関西1部、③東海、④関東2部、⑤その他地方インカレ、でしたが、現在(中長距離種目限定)は①関東1部か2部(おそらく2部の方が強い)で、個人で見れば関東でも通用する選手が点在しるものの、層の厚さ、全体のレベルという観点では関東と地方の格差は絶望的な開きがあります。

来年の予選会で関学大などが15位以内に入って本戦出場というのは、まずありえません。昨年の全日本で後塵を拝した関東の15大学だけではなく、全日本に出場していない強豪校が関東にはわんさか控えているのです。

予選会を突破できるのは上位10校。現時点で、ここに食い込める地方大学は1校も存在しません。

エリアだけでなく、留学生も無制限解放などさらなる拡大政策が実施されなければ、惨敗という結果しか考えられないのが現実です

「関学大は10人中9人まで留学生で固めてきました」なら、本戦優勝も視野に入ります。

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「2部校の方が1部校よりも強い」なんてことは本来ありえませんが、そんな狂気の沙汰が現実に起きてるのが関東の大学陸上界です。

正確に言えば、箱根駅伝のメジャー化による関東の大学の長距離種目における劇的・爆発的なレベルアップがもたらした大きな矛盾です。

私たちの時代も、駒澤大学や山梨学院大学などほんの一部の長距離偏重の大学が2部に定着していることがありましたが、そんな大学は数えるほどでした。

現在は青山学院を筆頭に「長距離種目だけなら1部校も粉砕する」2部校の下克上が当たり前に起きているのです。

そんな大学はどいつもこいつも〝長距離バカ〟ですから、短距離や跳躍、投擲種目では超弱小どころか、選手も存在しない場合まであります。トラック&フィールド、陸上競技という全体でみると弱小校だから、2部なのです。

兎にも角にも、関東インカレ、正確には関東2部の長距離種目は世界中、歴史上のどんなスポーツと比べても非常に短い時間で、際立ったレベルアップを遂げています。

跳躍や投擲のように日陰の中で標準記録もほとんど変わらないまま、1部と2部の差もしっかり存在するケジメある種目よりも、世間から注目され理不尽なまでのレベルアップを遂げてゆく方が良いに決まってる、そうは思いますが…。

箱根駅伝のようなメジャーの舞台がある長距離は、マイナーを煮詰めたような種目がほとんどの陸上競技から分離独立して「日本箱根駅伝協会」の管轄下で営利事業を進めるべきなのでしょうか。

全国解放を2024年以降も継続するなら、第二の青学大が地方から誕生するでしょう。

ただ、現在の箱根人気が誰もが弛緩しきってテレビをつけてる正月ムードに乗っかった、内実をともなわないブームであることも明らかです。

「青学が強いんでしょ?」というのはなんとなく知ってても、今年の優勝校を自信を持って記憶している人や、活躍した選手の名前を一人でも挙げられる人がどれだけいるでしょうか?

かつて、新聞やテレビで大きく取り上げられていたラグビー関東対抗戦リーグと同じように、いつか〝狭い庭でしか通用しない競技〟を見せられていたことに多くの人が気づいてしまうかもしれません。
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「フェニックスバトル(PXB)89!」=29日後楽園ホール=

大橋ボクシングジムを運営するフェニックスプロモーションが主催するボクシング興行、メインはWBOアジアパシフィック・ジュニアバンタム級戦。

王者・橋詰将義に田中恒成が挑戦する構図ですが、焦点は田中が〝どう勝つか〟。

橋詰は22戦19勝11KO2分の28歳。格上の田中を喰えば世界が一気に近づきます。

一方、28歳の田中は2020年12月に井岡一翔にプロ初黒星を喫してからの再起2戦目。

オープニングラウンドこそ、サウスポーの王者がリーチ差を活かしたジャブで田中の接近を拒みましたが、第2ラウンドからは距離を潰した3階級制覇の挑戦者がゲームを支配。

ジャッジ3者とも39-37で迎えた第5ラウンド、田中が王者をロープに追い込んで顔面、ボディ、に多彩なパンチを集めたところでレフが試合をストップ。

WBO王者・井岡、あるいはIBF王者フェルナンド・マルチネスとの大勝負を見据えて、年内に地元名古屋で1試合を挟み、来年の世界戦で悲願の4階級制覇を狙います。

井岡へのリベンジマッチも興味をソソられますが、アンカハスを番狂わせで下した無敗のマルチネスを攻め落として、新旧スター選手が群雄割拠するクラスに殴り込んで欲しいところです。

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「キックボクシング」は1966年に野口修によって作られた日本発祥の格闘技ですが、統括団体やルールにおいて絶望的なまでに一貫性・正統性・継続性がないまま、56年の時間だけが流れてしまいました。

団体の興亡と、発作的なヒーローの登場・消費が繰り返されてきたのです。

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沢村忠、魔裟斗、那須川天心…彼らは何の脈絡もない突発的で刹那のヒーローでした。

とはいえ、世界的には〝キックボクシング〟の土壌はけして貧弱なものではなく、ボクシングのようなハッキリした西洋的輪郭を持たないものの、空手やムエタイは東洋の神秘そのもので、欧米でも小さなムーブメントが起きて来ました。

ボクシングのような統一ルールを持たない格闘技を「蹴りもありの立ち技」で一括りにするのは乱暴なカテゴライズかもしれませんが、その大きな分類においては層が薄いとはけしていえない母体があるのです。

そして、そんな乱暴なカテゴライズを見事にやってのけたのが、K-1 GRAND PRIXでした。 

競技人口300人以下のストロー級は言うに及ばず、1000人以下レベルのジュニアフェザー級あたりまでのボクシング超軽量級と全盛期のK1ヘビー級王者になる難易度はどちらが上でしょうか?

そんな最大の成功事例になるはずのK1ですら事実上崩壊してしまったのは、突き詰めると、UFCのようなスポーツであることへの飽くなき追求が欠落していたからです。

キックボクシングもPRIDEもK1もRIZINも、スポーツとして認知されることを二の次にして、目先のスター育成と奇抜なマッチメークを優先する〝焼畑経営〟から脱却しようとしませんでした。

そもそもがプロレス、さらに辿ると大相撲が、日本の格闘技の源流です。そこにはスポーツとは相容れない、星のやりとり、八百長が当たり前に許容される風土があります。

上っ面だけとはいえ一応国技である大相撲はアウトですが、社会的に認知されていないK1やRIZINの興行で八百長や八百長まがいの行為が横行するのを咎める権利は誰にもありません。

騙される方が悪いのです。

キックボクシングや、日本の総合格闘技に継続可能な成長と発展をもたらす方法は、社会的な認知、まともなスポーツとして認められることでしかないのですが、〝運営側〟にはそんな気は一切ないのが現状です。

そんな、紛い物の見本市からでもボクシングで大活躍するグレートが出現するのです。

マイク・ベルナルドやジェロム・レバンナは論外ですが、ビタリ・クリチコは日本の興行にも登場したキックボクサーでした。

最近でもディリアン・ホワイトやジャレル・ミラーら、ボクシングのトップ参戦で活躍するキックボクサーは脈々と続いています。

一夜限りの夏祭り、その屋台で売られる焼きそばや、リンゴ飴がミシュランの三つ星を獲得するような痛快さです。

那須川天心は、夜祭りの屋台というにはあまりにも華やかですが…。
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キックボクシングは日本で生まれたドメスティック極まる格闘技。

それは間違いではありませんが、ムエタイや空手はボクシングほどではないにせよ、世界各地に愛好家が分布、 ルールの違いはあれ拳と蹴りを使う格闘技の団体が世界各地に生まれています。

最大勢力は、もちろんムエタイ。ここから国際式(ボクシング)に転向して大きな成功を収める〝キックボクサー〟は数え切れません。

「キックボクサーからボクシングに転向して成功した選手はいない」。こんなジンクスは大嘘です。

タイの国技、ムエタイはその勝敗が賭けの対象にされますが、トップ選手の競技人口が少ないため同じマッチアップが繰り返される傾向が強く、あまりに強いと賭けの対象としての商品価値がなくなりかねません。

かくして、ムエタイの競技と賭けの枠にハミ出た選手が国際式に活躍の舞台を移すのです。

キックボクシングの枠からハミ出た那須川天心のボクシング転向は、ムエタイから国際式とよく似た構図です。

センサク・ムアンスリンもそんな規格外のムエタイ戦士でした。

国際式転向の時点から「史上最短で世界奪取」を目論み、予定通りにペリコ・フェルナンデスを破って3戦目で世界奪取。

この記録は、ワシル・ロマチェンコがタイで並んでおり、2018年7月15日にはマレーシア・クアラルンプールで行われたマニー・パッキャオvsルーカス・マティセのアンダーカードでルー・ビン(呂斌)がWBAジュニアフライ級王者カルロス・カニザレスに挑戦、プロ2戦目でのタイトル奪取を目論みました(12ラウンドTKO負けで最短記録更新ならず)。

天心が穴王者に狙いを絞り、あるいはわけのわからない選手との決定戦をでっちあげれば、それこそ「デビュー戦で世界王者」も可能でしょう。

もちろん、その場合は欧米の人気階級では無理ですから、日本に簡単に引っ張り込め、好き放題できるジュニアフェザー級以下の超軽量級に限定されますが。
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トロイ・ドーシーというプロボクサーがいた。

生涯戦績は、15勝(11KO)11敗4分。 

なんだ、どこぞのクラブファイターか?、と言う勿れ。

デビュー5戦目で、のちのIBFフェザー級王者トム・ジョンソンとスプリットデジションで敗北、3年後の再戦はマジョリティードロー。

まあ、ジョンソンはナジーム〝チキン〟ハメドが選ぶような雑魚だったが。

チキンがらみの話でいうなら、WBC米大陸王者時代のケビン・ケリーにも挑戦して判定負け。

ドーシーが世界王者になったのは1996年10月18日、完全敵地のデンマークでIBOジュニアライト級王者ジミー・ブレダルを殴り倒したときだった。



そういや、ブレダルってのもオスカー・デラホーヤが最初に世界王者を獲ったWBOジュニアライト級王者だった。分かりやすくいうと、五輪金メダリストのゴールデンボーイに差し出された生贄だった。

そうだ、ハメドやケリーやデラホーヤの話をする前に言っておかなきゃいけないことがあったのを、今、思い出しちまった。

この、トロイ・ドーシーって男は、キックボクサー崩れだったのさ。 

それでまた思い出した…北米フェザー級王者になったドーシーが世界初挑戦したのは、IBF王者のホルヘ〝El Maromero〟パエスだったんだ。

スプリットデジションで負けちまったけど、このパエスってのも元キックボクサー。というよりも"The Clown Prince of Boxing"って渾名が現してるように、サーカスの道化師だったのさ。

パエスはデラホーヤの2階級制覇がかかったWBOライト級王者決定戦にお招き預かって、期待通りに2ラウンドで転がってあげましたとさ。

あの頃、日本には坂本博之っていう無敗のKOキングがいたんだが、当時のか細いデラホーヤだったら序盤で粉砕してたかもな。

まぁ、とにかくハメド様や、デラホーヤ様にはマッチメイクがどれだけ大切かってことを思い知らせてくれたもんだよ。

ドーシーやパエスと戦ったボクサーが言うには「一番驚いたのはタフさ」だってさ。

ボクサーは、当たり前のことしか言わねぇな。当たり前だろう、キックとパンチ、どっちが強いと思ってんだ。

ボクシングとキックのルールで2試合やれば、どっちが優勢になると思う?

頭の固いボクシング信者でも、答えは簡単にわかるだろう。 
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根尾昂の投手転向が厳しい視線に晒されているのは、根尾という才能に対する球団の優柔不断で朝令暮改な態度だけではありません。

「野手から投手に転向して成功した選手はいない」。

それは、ジンクスと呼ぶにはあまりにも重く、枕に「プロで」まで付けると成功者は一人もいない絶対の真理になっています。

野球からゴルフに転向しても、逆はない。スピードスケートから自転車競技に転向はあっても逆はない…。
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しかし、「キックボクサーからボクシングに転向して成功した選手はいない」、これは逆もそうです。ボクサーからキックに転向して成功した選手はいません。

落ちぶれたボクサーがキックボクシングに転向するから通用しないだけ、西城正三らはもちろん、魔裟斗もボクシングの落ちこぼれ…。

そう反論するかもしれませんが、それは狭い島国の中だけのジンクスです。

「キックボクサーからボクシングに転向して成功した選手はいない」。それは世界的には全く通用しない、くだらない迷信です。

「野手から投手に転向して成功した選手はいない」。田中将大も〝転向組〟だと言うと、多くの人は「それは小学生の頃の話。ボーイズリーグですでに投手として活躍していた」と笑うでしょう。

つまり「まだあらゆるポテンシャルが残されている段階、年代での転向にそんなジンクスは当てはまらない」ということです。

では、23歳の那須川天心は「あらゆるポテンシャルが残されている段階、年代」をもう通り越しているのでしょうか?

「私は4年前、那須川を見た時に感じたことがある。75年にプロ3戦目で世界王座を獲得したムエタイ出身のサンセク・ムアンスリン(タイ)の記録に並ぶことができるのは、日本人で那須川しかいない」と。(元WBA、WBC世界ミニマム級王者、大橋秀行ジム会長)

呼吸するように嘘を吐く大橋会長だけに「プロ3戦目」はさすがにありえません。

そして、やはり多くの人は「日本限定の層もレベルも低いキックの選手が、世界的な土壌のあるボクシングに通用するわけがない」と笑うでしょう。

つまり「レベルの低い競技から、高い競技への転向が成功するわけがない」と。

しかし、バンタム級やジュニアフェザー級での世界王者なら、そこまで層が厚くレベルも高いわけがありません。軽量級はウェルター級やミドル級とは全く違う世界です。

「キックボクサーからボクシングに転向して成功した選手はいない」という日本限定の迷信を解き明かし、那須川天心が「あらゆるポテンシャルが残されている段階、年代」を通り過ぎてしまったのか、「バンタム級やジュニアフェザー級での世界王者はキックと比べて絶望的にレベルが高いのか」を考えてみましょう。

大橋会長はムアンスリン超え(ワシル・ロマチェンコもプロ3戦目で世界ゲット)はいつもの適当節ですが、軽量級の世界王者なら十分チャンスがあり、強豪王者に成長する可能性もあるでしょう。

根尾の挑戦も心から応援していますが、根尾の投手成功よりも、天心のボクシング世界王者(ジュニアフェザー以下)の方がはるかに可能性、確率が高い挑戦です。
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WBA/WBC/IBF/IBOヘビー級王者オレクサンダー・ウシクvs アンソニー ・ジョシュアの再戦が8月2日、サウジアラビアのジェッダで行われます。

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初戦は、ロンドンのトッテナムスタジアムに6万人以上の大観衆を集めたメガファイト。

前日計量は、三団体王者AJが240ポンド(108.86㎏)、元クルーザー級の完全統一王者ウシクがキャリア最重量の221ポンド1/4(100.35㎏)でした。

モハメド・アリと全く同じフレーム(身長191㎝/リーチ198㎝)のオレクサンダー・ウシクは、220ポンド前後でリングに上がっていたアリよりもずっと軽い200ポンド以下のクルーザー級で戦っていました。

198㎝/208㎝/240ポンドのアンソニー・ジョシュアとの体格差は歴然としています。

他の階級では身長・リーチ差があっても、計量では同じ体重です。つまり身長・リーチがあると体が薄く、それらがないと身体が分厚いというトレードオフの関係があり、試合を決定づけるのは両者のスタイルです。

しかし、そんな公正平等の正義が完全に無視された世界がヘビー級です。

「優れたライトヘビー級は、凡庸なヘビー級に駆逐される」。そんな格言は他の階級には存在しません。

軽量級から中量級で複数階級制覇がバーゲンセール状態なのに対して、ヘビー級を絡めた階級制覇が滅多に見ることが出来ないことには理由があるのです。

初戦のオッズはジョシュア勝利が2/5(1.4倍)、ウシク9/4(3.25倍)と、体格差とヘビー級での経験値から、〝スーパーヘビー級〟のジョシュアがクルーザー級のウシクを圧倒すると見られていました。

今回の再戦は、ウィリアム・ヒルでウシク1/2(3倍)、ジョシュア19/10(2.9倍)と、ほとんどイーブン。

個人的には、両者万全の状態でリングに上がって、ウシクのストップ勝ちもあると見ていますが、英国のブッカーだけでなく、ほとんどのオッズがジョシュア寄りです。

初戦を完勝したウシクの母国ウクライナがロシアの侵略を受け、心身共に万全の状態ではないことも反映されたと言う点も考えられますが、やはり圧倒的なサイズの違いを、再戦でも引き摺っているのでしょう。

手と脚のスピードに乗って変幻自在の角度とタイミングで多彩なパンチを打ち込むウシクは、誰もが尊敬するボクサーです。

一方で、母国の期待を一身に背負い、大きな重圧と戦い続けるジョシュアの気持ちもよくわかります。

初戦でウシクの出方を慎重に構え、ウクライナ人の機動力にリズムを与えてしまった姿からは、村田諒太を思い出してしまいました。

ヘビー級のメガファイト、主役のタイソン・フューリーの動向が気になるところですが「パッキャオvsメイウェザー」超えが確実視される「フューリーvsジョシュア」を見たいとするなら、ジョシュアに勝ってもらいたいところです。

ただ、個人的には「フューリーvsウシク」、究極の「ダビデとゴリアテ」が見たいですねぇ。
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「那須川天心vs武尊」という格闘技ファンが何年も熱望していたカード。そんな特別な背景があるとはいえ、発表されたPPVの販売件数「50万件以上」は驚異的な数字です。

日本にPPVが根づくのはまだまだ時間がかかると考えていた私なんかは、認識をあらためなければなりません。

一般チケット販売価格の5500円を当て込めると27億7500万円。実際の数字はもう少しシュリンクするでしょうが、大きな誤差はないでしょう。

放映時間の問題を無視して、メインとセミの数試合で2時間枠と考えると、テレビ放映権料は1億円も集まりません。

毎回、東京ドームをフルハウスにして、高額のPPVが好調に売れるわけはありませんが、米国市場でも50万件を単体で確実に売れるのはカネロ・アルバレスだけです。

カネロはコンスタントに100万件以上売り、単価も高いため同列には語れませんが、天心vs武尊の商品価値はテレンス・クロフォードvsエロール・スペンスJr.と比べても大きく見劣りしないレベルです。

もちろん、天心vs武尊は究極のハレの舞台であること、Abemaの親会社サイバーエージェントの藤井琢倫執行委員の発表数字が事実だとしたなら、ですが。

50万件以上が事実なら、本当に画期的なことで、後日、米国のように詳細な数字が固まれば発表すべきです。というか、歴史に残る巨大な成功を収めたのですから、発表すべきです。

そして、この成功の果実はメインを戦った2人とアンダーカードの選手たちに還元しなければなりません。

ファイトマネーを公表する最初のステップになれば、素晴らしいのですが…。ボクシングでもそこは黒いベールに隠してしまいますから、難しいでしょう。

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THE MATCH2022。

予想していたことですが、昨夜のスポーツニュースでも取り上げられず、一般紙でも触れられませんでした。

この団体のメディア規制は、PPVの浸透でより厳格になった印象です。

一般紙に関してはスポーツとして認められていないものの、社会面で記事になると思っていました。

社会的認知は個々の選手が渇望していることでしょうから、本来なら運営側もそれを後押しするような開放政策を取るべきなのですが、現実は頑なに閉鎖。

メディアはもちろん、中央政府や行政にも積極的に働きかけ、社会的認知を獲得を急いだUFCの黎明期とは真逆です。

これだけの興行をぶち上げたというのに…。

運営側は社会的認知など興味がなく、また、社会的認知に見合うだけのスポーツとしてのレギュレーションを持っていないこと、これからも持つ気がないことがはっきり伝わってきます。

競技として頑張っている選手が報われません。

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