フシ穴の眼 〜スポーツ疾風怒濤編〜

      Hope Lights Our Way / 希望の道を、つなごう。

カテゴリ: お金(マネー)の話

臣秀吉がまだ木下藤吉郎だった頃、都の南で接触相撲という怪しげな催事がはびこっていた。

相手の体に何回接触するかを競う接触相撲は、誰の目にも退屈で、強さとは全く無関係に思えた。

ところが、接触相撲で無敗を誇った風呂井戸関は巧みな言動で人々を煽り立て、接触相撲こそが最強という錯覚を引き起こす妖術使いだった。

朝廷や大相撲の識者は「言語道断の戯事。接触相撲など、童の遊び鬼ごっこと同じ」と非難したが、風呂井戸のまやかしに踊らされた八百八町の人々は酔狂するばかり。

浴びせられる非難轟々を、風呂井戸は笑い飛ばした。

「偉大になるために戦ってるんじゃない。銭のためだけに戦っているんだ」。
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「フロイド・メイウェザーが有力な対戦相手から逃げ続けた」という見解は、森羅万象がそうであるように一面では正しくもあり、別の一面では間違いです。

また、マネーはカネ儲けだけを追求する銭ゲバだというのも大間違いです。

ボクシングにおいて勝利の絶対スタイルは存在するのか?

「数学上の未解決問題」に匹敵する難問です。

クイーンズベリー・ルールが開闢してから130年以上の歴史を積み重ねて来た近代ボクシングですが、その答はまだ紐解かれていません。

「ポアンカレ予想」のように、いつかその解明者が現れるのでしょうか?

現在のところ、この130年間で2人のボクサーがこの難問に挑みました。

1人はシュガー・レイ・ロビンソン。もう1人がフロイド・メイウェザーです。

メイウェザーが「カース・オブ・ゼロ=ゼロ(無敗の呪い)」に取り憑かれているというリング誌の見立ても、大間違いです。

マニー・パッキャオのティモシー・ブラッドリー第1戦や、ジェフ・ホーン戦が許容されるなら、メイウェザーのホセ・ルイス・カスティージョ第1戦とマルコス・マイダナ戦も判定負けで何ら問題はありません。

しかし、重要なことはメイウェザーがダイレクトリマッチで明白に〝雪辱〟していることです。初戦と同じ内容なら、判定は相手に転がりかねない状況できっちり再戦で勝利しているのです。

フロイドを逃亡者と揶揄したり、カネの亡者と軽蔑することは、彼の表層しか見ていないだけで、その本質を見落としています。

もちろん「コットとの無敗対決」「パッキャオとの究極の盾矛対決」が、もっと早い段階で実現できなかったA級戦犯はメイウェザーです。

ここまで書いて、メイウェザーの話は「0=ゼロの寓話」で触れるべきではなかったと、思い至ってしまいました…。

一旦、撤退して出直してきます。
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緊急事態宣言の延長濃厚なムードの2月初日。

さすがに、もうこんなプチ単身赴任な日々は耐えられないので今週いっぱいでウィークデイのホテル暮らしはおしまい。

7時でお酒のラストオーダー、8時で閉店の世界でホテル住まいなんて、どんな酔っ払いでも精神に支障をきたします。

お昼は近江ちゃんぽんのランチ。
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スペインサッカー1部リーグ、バルセロナの中心選手リオネル・メッシが「今年を最終年とする4年契約総額5億5500万ユーロ(約700億円)をクラブと結んでいた」と同国エル・ムンド紙が報じました。

事実なら、スポーツ史上最高額の契約となります。

素晴らしい話で終わらないのは公表数字と大きく食い違っていることです。

Forbes誌のThe World’s Highest-Paid Athletes によると、メッシの昨年度報酬は1億400万ドル。

内訳はクラブからのsalary(選手報酬)が7200万ドル、endorsement(スポンサー収入など)が3200万ドルでした。

4年総額5億5500万ユーロの配分が不明ですが、単年平均1億3875万ユーロ。これは昨年度の選手報酬のほぼ2倍に当たります。

西岡利晃や井上尚弥のように「どこからそのカネが?」という摩訶不思議な報酬も失笑ものですが、このメッシのケースはもっと深刻な問題を孕んでいます。

一つ目はもちろん、クラブ発表や納税額等から算出されるThe World’s Highest-Paid Athletes とここまで大きな乖離があると「ちゃんと税金払ってたのか?また脱税してるんじゃないか」という犯罪の可能性。

もう一つは「他の選手の報酬高騰の抑止力」という目的で、大幅に少ない数字を公表したという〝犯罪〟の可能性。

日本のプロ野球選手の年俸などが、記者との会見やり取りで「推定」される数字で、現実と大きく離れている場合があるのは周知の通りです。

正確な数字を公表する義務がないとはいえ、それをしてしまうと「俺、あいつより成績良いのに年俸が全然下ってどういうこと?」と、あちこちで不要な軋轢が生じてしまいます。

プロアスリートの報酬が単純な直近成績だけではなく、過去の実績はもちろん、グッズの売り上げなどの人気面、何よりもチームの経済力が大きく影響します。

ソフトバンクや読売と、広島の選手では同じ成績をあげても報酬に大きな差が出るのは仕方がないことです。

ただし、クラブチームがスター選手と策謀して実績報酬を少なく公表することで、他選手の要求を抑止するようなことがあってはなりません。

グラウンドの外でも大きな役割を果たす義務があるのがスター選手です。

その義務は、夢を見せること。

勝ち獲った高額報酬を広く世間に知らせることは、他の選手の意欲を刺激し、子どもたちを中心としたファンに夢を与えます。

かつて、松井秀喜が派手なパフォーマンスで来季年俸を発表していたのは、明らかにその義務を意識してのことでした。

一方で、王貞治や長嶋茂雄ら〝昭和のスター〟はこの点において、選手の代表ではなく企業の犬でした。

グラウンドの中で選手と監督の仕事を大成功させた野村克也は、その意味では史上最高の野球人でした。

しかし、落合博満がプロ野球選手初の〝公表・1億円プレーヤー〟になったとき「1億なんてわしももろとった。長嶋、王なんてもっともろうてたやろ」とやっかんだのは、本当に下劣でした。

そんなの自慢にもなんにもなりません。

あなたたちが、企業の犬ではなく、選手の代表という意識があれば多くの選手がその恩恵を受け、子どもたちも憧れを更に強くしていたでしょう。

そんな〝昭和のスター〟と同レベルの幼稚な行為に、21世紀の世界最高クラブとメッシが手を染めていたのだとしたら、残念なんて通り越して幻滅と軽蔑しかありません。

アスリートが結んだ史上最高額契約は、カネロ・アルバレス(2018年10月:5年11試合=3億6500万ドル)▶︎マイク・トラウト(2019年3月:12年=4億2650万ドル)▶︎パトリック・マホームズ(2020年7月:10年=5億300万ドル)と毎年のように更新されてきましたが、メッシの7億ユーロ超えは衝撃的です。

この since1990 米国スターダムの系譜をForbesから読み解く。The Golden Torch シリーズでは、アスリートの報酬構造の変遷を三つのフェーズに分けてご紹介しています。

「boxerの時代」から「endorsementの時代」までお話を進めていましたが、これは三番目の「big clubの時代」を象徴する事件でした。

ただ、メディアにすっぱ抜かれる形で表に出たしまったことは全くもって頂けません。
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世界のアスリート長者番付は、100年に渡ってヘビー級を中心とした米国ボクサーが席捲してきました。

100年帝国が揺らいだのが1992年。

90、91年とトップを占めてきたボクサーに代わってマイケル・ジョーダンがNBA選手として史上初めて首位に立ったのです。

金額的には3590万ドル、前年トップのイベンダー・ホリフィールド(6050万ドル)から大きく数字を落としましたが、ジョーダンの報酬にはボクサーでは考えられないカラクリが隠されていました。
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当時29歳のジョーダンが所属するシカゴ・ブルズから受け取った選手報酬は〝わずか〟390万ドル、総収入のわずか1割余りに過ぎませんでした。

収入の約9割がウィルソンやゼネラルミルズ、マクドナルドなどからのendorsement(スポンサー収入)だったのです。

〝ジョーダン以前〟も人気アスリートが100万ドル単位のスポンサー収入を得ることはけして珍しいことではありませんでしたが、ジョーダンが画期的だったのはある企業から毎年2000万ドルを提供される従来の常識では考えられない超巨額のスポンサー契約にサインしたからです。

ナイキです。

ナイキは人気アスリートを単なる広告塔ではなく、カジュアル製品に還元できるより直接的な〝商品〟としてその経済価値を評価したのです。

ウエアやスニーカーまどカジュアル・イメージから遠いボクサーの場合、ジョーダンとは逆に選手報酬が総収入の9割を大きく超えていました。

クローズドサーキットやPPVによるマニアの囲い込みによって、ボクサーの一般的な知名度が劇的に低下を続けていることも、ボクシングからカジュアル・イメージを削ぎ落とし、スポンサー企業から見た経済的価値・魅力は消失してしまいます。

これまでも、メガファイトに恵まれなかった年は、ボクシングが長者番付1位を他のスポーツに奪われたことはありましたが、4年連続でその座を明け渡すなんてことは前代未聞の異常事態でした。 
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100年帝国を築いた「ボクサーの時代」は終焉を迎え「endorsementの時代」が幕を開けます。

「endorsement(スポンサー収入)>>> salary(選手報酬)」という不等式が「長者の公式」として確立されたのです。

endorsement はスポンサー収入という言葉以外で翻訳するとしたら「一般認知度」「好感度」と表現しても間違いではありません。

それが世界的であればなお良し、それが富裕国であればなお良し、です。

ジョーダンやスキャンダルを起こす前のタイガー・ウッズ、2020年の長者No.1ロジャー・フェデラーはendorsement の権化です。

一方で、スーパースターがPPVという要塞に引き籠るボクシングは「一般認知度」を高める方向とは真逆のブラックホールに吸い込まれてしまいます。認知度が低いのですから「好感度」以前の問題です。

「認知度」と「好感度」を柱としたendorsementの時代でボクサーが首位に浮かび上がることは不可能に見えました。

しかし、行き過ぎたマニアの囲い込みは確かに「認知度」を低下させるだけでしたが、絞り込まれたコアなマニアは単価100ドル近いPPVでも文句を言いながらも購入しました。

そして、認知度が大前提のはずの「好感度」も「〝ある種の方向〟ではマニアの中では大きな反響を呼んでPPVの購入意欲を刺激する」とフォーブス誌は分析してみせました。

エスタブリッシュメントが編集するフォーブス誌の分析は大概の場合後出しです。この分析も、そうでした。

「好感度」のある種の方向とは、激しく嫌悪されることです。「人気」の本質を「関心の高さ」と見れば「好かれる」よりも「嫌われる」エネルギーの方がはるかに巨大で長くこびりつく感情であることは明らかです。

それを、マイク・タイソンは無意識のうちに「狂気の犯罪者」として「好感度(嫌感度と呼ぶ方が正しいかもしれません)」を膨れ上がらせ、フロイド・メイウェザーは意図して「下劣な守銭奴」を演じて見せました。

ナイキやアメックスなどのスポンサーはメイウェザーとの契約を解消しますが、いずれもジョーダンらとは違う100万ドルにも満たない小口契約でした。

マニアから激しく嫌悪されることで、メイウェザーは失った小口スポンサーの何百倍もの大金を吸引するマネーに昇華するのです。

もちろん、彼ら以前に〝ジョーダン〟と〝タイソンやメイウェザー〟を一貫した人格の中で見せつけたモハメド・アリの特異さも忘れてはなりません。

そして、endorsementの時代 ではボクシング市場全体が地下深くに沈降してゆくことは避けられません。

元々が「2%のボクサーが全体の98%の収入を独占する」という、ボクシング界のスーパースター偏重の構図はますます濃厚になっていくのでした…。
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世界のスポーツ選手長者番付、The World’s Highest-Paid Athletes は米国ボクサーの頂点がそのままスライドする19世紀末から続く「ボクサーの時代」から始まりました。

1990年の第1回は4人のボクサー、第2回は5人のボクサーがトップテンを席捲。その頂点はマイク・タイソンからイベンダー・ホリフィールドへとリレーされました。

フォーブス誌がこの企画を立ち上げたのは「プロアスリートが手にする報酬が従前の試合報酬だけでなく巨額のスポンサー収入(endosement)によって大きく様変わりしている」ことが一つの契機でした。

では「大きく様変わりする1990年」よりも以前のプロアスリートの報酬はどうだったのでしょうか?

1979年の世界最高報酬のアスリートはミネソタ・ツインズの内野手ロッド・カルーとされています。

パナマ人のグレートが放った通算3053安打は2017年まで、米国出身以外の外国人最多記録でした。この記録を抜いたのが我らがイチローです。

1977-78年、2シーズン連続で首位打者を獲ったカルーは79年に1対4の大型トレードでカリフォルニア・エンゼルスに移籍、このとき契約が交わされた年俸は〝わずか〟80万ドル。当時は1ドル200円時代、カルーが手にしたのはは円環算で1億6000万円でした。

同年、王貞治の年俸は8140万円。しかし、これは他の選手の年俸を抑えるための「表向きの数字」で実際にはもっと多くの金額を獲得していましたから(79-80年は競輪の中野浩一が王の年俸を超える1億円前後の賞金を稼ぎ出していましたが現実には王の方が上でした)、世界と日本の差は近似していました。
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さらに、世界ではモハメド・アリが1971年のジョー・フレージャー戦で250万ドル(当時の為替は固定相場=1ドル360円)、74年のジョージ・フォアマン戦で500万ドル(当時の為替レートで30億円)を手にしており、カルーの80万ドルは野球選手としては破格でも、米国ヘビー級の高峰から見ると〝下界〟の出来事に過ぎませんでした。

当時は、ボクサーは別格扱い。この1979年の実質世界最高報酬は、世界戦3試合をこなしたラリー・ホームズだったはずです。

この「ボクサーは別格」は80年代のマネーを支配したシュガー・レイ・レナードらが長者番付から外されていることからも明らかです。

ちなみに、レナードとマービン・ハグラーが「ファイトマネー+クローズドサーキット歩合」で二人合わせて5000万ドルを稼ぎ出した1987年の〝表向き〟のアスリートNo.1長者はNBAのパトリック・ユーイングでその金額は〝わずか〟275万ドルでした。

フォーブス誌のThe World’s Highest-Paid Athletesは「ボクサーは別格」という縛りを外したという性格もあったのです。

1990年、マイク・タイソンが2860万ドルを記録してThe World’s Highest-Paid Athletesの柿を落とした前の年のアスリート長者番付トップはユーイングで〝たったの〟375万ドルでした。

前置きが長くなりました。

ボクサーが別格扱いに高額報酬を得ることが当たり前だった「100年帝国」。

The World’s Highest-Paid Athletesのわずか3年目、1992年に帝国が瓦解するお話に戻します…。



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フォーブス誌のThe World’s Highest-Paid Athletes 、その記念すべき初回、1990年の首位を勝ち獲ったのはマイク・タイソンでした。

「トップボクサーが稼ぎ出すカネは他のスポーツとは次元が違う」。

ジャック・デンプシーがベーブ・ルースの何倍もの報酬を手にしていたように、この年のThe World’s Highest-Paid Athletes では高額収入の代表であったF1のアイルトン・セナの3倍近いカネをタイソンは稼いでいました。

そして、2位はバスター・ダグラス、3位シュガー・レイ・レナード、9位イベンダー・ホリフィールド。米国リングはトップテンになんと4人ものボクサーを送り込んでいたのです。
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The World’s Highest-Paid Athletes は1990年から始まりましたが、それ以前から「ボクサーの時代」は100年続いていたと考えて全く差し支えありません。
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そして「2年目」の1991年。

米国リングから世界の長者番付トップテンには一人増えて5人が席捲します。タイソンは前年の2860万ドルから3150万ドルと数字を伸ばしましたが、ホリフィールドはその上をいく6050万ドル。

さらに4位ジョージ・フォアマン、ヘビー級ボクサーに包囲された3位マイケル・ジョーダンの肩身が狭く見えてきます。8位レーザー・ラドック、10位にレナード。

しかし、ボクシングにとって、米国リングにとって皮肉なことに「100年帝国」はThe World’s Highest-Paid Athletes のわずか3年目で瓦解してしまいます。

逆に見ると、The World’s Highest-Paid Athletes はスポーツ界に大きな変革が起きた時代にシンクロするように始まったのでした。

「ボクサーの時代」の100年帝国を打ち倒したのは、ボクシングにとって強烈なカウンターとなる「ENDOSEMENTの時代」でした。

ナイキが空を翔び、ユニクロが天衣となる時代の黎明が1993年。 レイジェスやエバーラストにはナイキやユニクロが果たした芸当を演出することはできません。 
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I'm going to take the torch from Manny. 〜Ryan Garcia

マニー・パッキャオからそのトーチを受け取ってみせる。〜ライアン・ガルシア 

the torch、「そのトーチ」とは一体どのトーチなのでしょうか?

「トーチを受け取る」 と言えばお行儀良く聞こえますが、要は「スーパースターの玉座を簒奪する」ということです。

では、何を持って「スーパースター」と呼ぶのでしょうか?

 「玉座」というからには、そこはヒエラルキーの頂点です。何のヒエラルキー、格付けなのでしょうか?

ボクサーの実力評価にはタイトルや大手メディアのPFP評価が一つの目安になりますが、それはアルファベット団体の恣意的なランキングや、メディアによって食い違う、目に見えない勝手な妄想の域を出ません。

格付けの頂点、玉座に就き「そのトーチ」を持つファイターは、どうしたら見えてくるのか?

パックマンがオスカー・デラホーヤから「そのトーチ」を奪い獲ったのだとしたら、デラホーヤは誰から「そのトーチ」を継承したのか?

リングの上の勝敗だけが決定する Lineal Championとは違い「そのトーチ」の系譜は連綿と続いているわけではありません。

マイク・タイソンのトーチはイベンダー・ホリフィールドが奪いましたが、そこで途絶えています。

勇敢なデラホーヤは「そのトーチ」を処女受胎の如く自ら産みだし、あろうことかフロイド・メイウェザーとパッキャオ、二人に奪われました。

そうです。「そのトーチ」は、1本とは限らないのです。

デラホーヤはフリオ・セサール・チャベスからある種のトーチを継承したかもしれませんが、それは「そのトーチ」ではありません。

チャベスのトーチならローマン・ゴンザレスの手の中にも存在しましたし、もしかしたら井上尚弥も掴むかもしれません。

チャベスやロマゴンが握っていたトーチは「時代を代表する最高評価をあたえられた実力者」のトーチでしたが、そこにはある色の輝きが欠けていました。

それは「何色」なのか?

42歳のフィリピーノ以外に「そのトーチ」を握っているのは、カネロ・アルバレスだと考えると、このヒエラルキーの輪郭が浮かび上がり「その色」の正体が見えてきます。

ホリフィールドで途絶えたトーチには確かに塗られていた色、チャベスのトーチに彩られることがついになかった、その色の正体は「MONEY」です。
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米国ボクサーの〝スーパースターへの格付け〟として存在する5つのステージをおさらいします。

※これは井上尚弥や、井岡一翔ら日本のスター選手には全く当てはまりません。
 

◉最下層はClub Fighter◉

試合がテレビ中継されないこともあるボクサーたちで、当然ながら最も大きな人口を抱えています。

もちろん、彼らが世界タイトルマッチの舞台に上がることは滅多にありません…というかそんなことはあったらダメなのですが…。

試合報酬は〜1000ドルレベル。



◎TV Fighter◎

試合がローカルなプラットフォームで放映されるボクサーです。

軽量級をメインにするような興行は通常、ここ止まりです。3階級制覇のメキシカンという看板を持ちながらも人気低迷に悩んでいたフェルナンド・モンティエルは、ノニト・ドネア戦でようやくこのステージから脱出しました。

それはドネアも同じ。つまり、軽量級ではPFPでもってもここに幽閉されることは珍しくありません。

ルイス・ネリのように〝寄らば大樹の陰〟なやり方で、メガイベントの前座で軽量級ではありえない20万ドル以上の報酬を手にする選手もいますが、彼らの人気・需要実態はTV Fighterがせいぜいです。

また、メガイベントの前座に甘んじることが、軽量級イメージを繰り返し毀損する愚行を積み重ねていることも忘れてはいけません。

もちろん、全てははTV局事情で〝大樹〟が囲ってくれるネリらは便利な小道具に過ぎないのですが…。 

このステージのボクサーが受け取る試合報酬は、せいぜい1万ドルレベル。

このレベルの脆弱なプラットフォームにもかかわらず100万ドルを手にした西岡利晃や井上尚弥のケースは、アスタリスクをいくつか付けなくては説明ができない例外です。



★Premium cable Fighter★
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ゲート収入や放映権料だけでなく、大手TVのボクシング予算から報酬が切り崩される、多くの米国ボクサーが最終目標に挙げる夢のステージ。

ただし、全米をカバーするプレミアムケーブルの大巨人HBOがボクシングから撤退、Showtimeだけが生き残っている現状で、この表現は今や死語かもしれません。

今ならShowtimeだけでなく、ネット配信の大手DAZNなどと契約する選手、ゲンナディ・ゴロフキンらもここに属します。

軽量級のボクサーがこのステージに辿り着くことは基本的にレアケースです。

人気階級の人気選手が100万ドルを超える報酬を当たり前に手に入れるのも、このステージからです。




★★★★PPV Fighter★★★★

Premium cable Fighterの枠に収まらない、つまり彼らのボクシング予算ではカバーしきれない規格外の人気選手は、PPVによって報酬が保証されます。

DAZNと破格の契約を結んだカネロ・アルバレスはPPVスターではありませんが、この特権倶楽部のVIP会員です。

ここは、人気階級であることが大前提、さらにその中でもほんの一握りのスーパースターしか存在が許されない場所です。

PPVはちょっと贅沢な食事Premium cable Fighterでは済まない、豪華絢爛なパーティーです。

ライト級以下の軽量級でここに辿り着くのはレアもレアですが、それが非ヒスパニック・非米国人となると歴史上、ナジーム・ハメドとマニー・パッキャオの2人しかいません。

ハメドがマルコ・アントニオ・バレラとの1試合だけのイレギュラーだったこと、そのデビューが巨額のアラブマネーでHBOの枠を買い取ったような側面も考えると、実力でPPV Fighterの座を掴み獲ったのは歴史上パッキャオ1人だけ、と言えるでしょう。

PPVは厳しい世界です。テレンス・クロフォードのように全米での人気どころか認知度も低い地味ボクサーが勘違いして手を出すと、大会場の観客なみの販売件数しか上げられず大恥をかく羽目になります。

PPV単価によりますが、50万件セールスをマークすると、報酬は1000万ドルを軽々突破。

そして、100万セールスをマークするようなら、次のステージに乗り込むことになります。



★★★★★Forbes Fighter★★★★★

現代ボクシングの最上ステージがForbes Fighter。

文字通り、Forbes誌が1990年から毎年発表しているThe World’s Highest-Paid Athletes に数えられるボクサーです。

3000万ドル前後の報酬を得なければ、滑り込むのも難しい狭き門です。

2020年、この超絶長者番付に名前を残したのは11位:タイソン・フューリー、19位:アンソニー・ジョシュア、20位:デオンティ・ワイルダー 、30位:カネロ・アルバレスの4人。

このランキングで常連だったパッキャオもPFP Fighterの上空に用意された、こちらの世界の住人です。

今年は残念ながら、トップテンの扉を打ち破ったボクサーは一人もいませんでした。

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近い未来、この極上ステージに新たに名前を刻む可能性があるのは、テオフィモ・ロペスとライアン・ガルシアでしょうか。

この2人が順調にウェルター級まで制圧できたとしたら、という条件付きですが。

そうは言っても、彼らはトップスターへのクライミングを始めたばかり。頂点のウェルター級でどれだけライバルに恵まれるか、どれだけのパフォーマンスを見せることが出来るかが、大きな鍵になります。

スタート階級が軽過ぎるガーボンタ・デービスやシャクール・スティーブンソンも、可能性はゼロではありません。

とはいえ、スタート階級が軽過ぎるとマイキー・ガルシアのような実力者でも蹴落とされてしまうのウェルター級の剣ヶ峰です。

同じように軽過ぎる彼らが辿り着けたとしても、どこまで活躍できるかは極めて不透明です。

フェザーやジュニアライトでも軽すぎるというのに、フライ級からForbes Fighterに駆け上がったマニー・パッキャオの成り上がりは桁外れに空前絶後です。



ホリーフィールドのトーチにあって、チャベスのトーチにはなかった「その色」の正体が、この色、MONEY色、すなわち〝黄金色〟です。 

KingRy が「パッキャオ戦は歴史の記録を塗り替える」と語っているように、彼が奪い獲ろうとしているのは間違いなく、この黄金色が塗りたくられたトーチです。

ある角度からは下劣に輝く金色のトーチは、はっきり目に見える数字で現れます。

そのわかりやすい測定器の一つが、The World’s Highest-Paid Athletes

フォーブス誌が発表する数多くのランキングの中で、最も注目されるリストの一つであるThe World’s Highest-Paid Athletes がスタートした1990年から30年が経ちました。

その恐るべき〝増長〟と、ため息しか出ない金額の応酬で繰り広げられる頂点の〝攻防〟を3つのフェイズに分けてじっくり振り返ってゆきます。
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それにしても、銀座界隈が8時で真っ暗です。

アップルはまだ営業しているようですが、飲食店は8時閉店、お酒は7時ラストオーダー。
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少し前、リンゴマークを真っ赤に染めていたアップルストア。「怖い」と不評だったのか、すぐに白に戻しました。

確かに、毒々しかったです。

リンゴが赤いなんて、普通のことなのに…今の私たちは、赤が絶望のシグナルにしか見えない、異常な色覚にされてしまったのかもしれません。
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今夜のメトロ車窓ショットは1964。日本が一番元気だった時代です。

…なんですが、これから書くお話は1987年のこと。

この年、落合博満が日本プロ野球史上初の〝公式〟1億円プレイヤーになりました。

「1億円」は1980年に中野浩一が日本人プロスポーツ選手として初めて突破。

それ以前もONや野村克也らが現役時代にすでに1億円を手にしていたのは周知の事実でしたが、いずれにしても「1億円」は日本のスポーツシーンにとって今なお大台であり続けています。

この1987年、太平洋を挟んだ米国ではシュガー・レイ・レナードが実質5年のブランクから、マービン・ハグラーと戦うために電撃復帰。

このメガファイトでハグラーは1200万ドル(当時のレートで約18億円)、レナードは1100万ドル(16億5000万円)が最低保障される、という報道に度肝を抜かれました。

しかも、これは、最低保障の数字でした。

最終的には、大盛況のクローズドサーキットの歩合が加算され、両者の通帳には2倍以上の金額、約40億円ずつが振り込まれることになるのです。

落合の1億円がニュースになる日本から9000㎞彼方のラスベガスで、一晩で40億円を稼ぐボクサーが拳を振るっていたことは衝撃的でした。

当時、米国ボクシングはすでに斜陽。それでも、トップ中のトップが他の人気スポーツ選手を押し退けて長者番付の先頭に立つことは珍しいことではありませんでした。
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「No.1ボクサーが長者番付でも1位」。

ボクシングの凋落傾向が加速した現代では、その頻度は減ったものの、カネロ・アルバレスやマニー・パッキャオはもちろん、タイソン・フューリーとアンソニー・ジョシュアのForbes Fighterも対戦相手によっては一気に番付1位に立つ可能性があります。

今年は「ジャック・デンプシーvsジョルジュ・カルパンチェ」が史上初の100万ドル興行を記録してから、ちょうど100年。

法外なゲート収入から放映権料、衛星放送、クローズドサーキット、PPV…銭ゲバを極めてきたこのスポーツの歴史を振り返ってゆきます。

きっと、どこかで書いたお話の続きなので、時間があるときに〝溶接加工〟致します…。
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日本時間6日にFOXがPPVで全米生中継した「のエロール・スペンスvsダニー・ガルシア」の販売件数は、25万件を超えた模様です。

@75ドル*25万=1875万ドル(約20億円)を売り上げました。

スペンスは昨年PPVデビュー。マイキー・ガルシア戦(36万件)、ショーン・ポーター戦(30万件)と3戦連続3度目。販売件数がジリ貧気味なのは、マイキーとの人気者対決で初っ端の数字が高かったことも影響しています。

いずれにしても、3戦連続で20万件を軽々クリアした集金力は、二人がかりで10万件を超えるのがやっとのチャーロ兄弟や、PPVファイターとしては失格の烙印を押されたテレンス・クロフォードら人気のないライバルたちとは一線を画しています。

スペンスは米国で最も人気のあるウェルター級で、マニー・パッキャオ(2019年:エイドリアン・ブローナー戦=40万件/2020年:キース・サーマン戦=50万件)に次ぐPPVスターであることを証明した格好です。

もし、渇望しているパッキャオ戦が実現したら100万セールスもありえます。
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ウェルター級最強は誰だ?来週木曜日に42歳になるアジア人がこのクラスで、このメンツ相手に真剣に最強を議論されていることは驚きでしかありません。

クロフォード戦でも40万件近く売り上げるのではないでしょうか。

そのクロフォードとの〝最強決定戦〟は、ボクシングファンが最も実現を待つカードです。

両者ともやる気満々ですが、報酬の配分をめぐっては妥協点は見いだせていません。

WBO王者クロフォードは「実績は自分が上」と60:40を譲っていません。

スペンスはIBF/WBCの団体統一王者で、何よりも人気=集金力は圧倒的に上です。50:50でもスペンス側が大幅に譲歩する形になります。

最近では、ゲンナディ・ゴロフキンがカネロ・アルバレスとの初戦で50:50を要求、カネロが激怒した〝事件〟がありましたが、これは難しい問題です。

6日の試合でスペンスがクロフォードに対して最もアピールしたのは、圧倒的な「人気」でした。
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せっかくの日曜日、仕事でエロール・スペンスJr.とダニー・ガルシアを見れませんでした…。

夕方までの仕事で、こうなることはわかってたので、仕事を終えて近所のHUBLOT展示会へ(要予約・無料)。

HUBLOT。

村田諒太やホルヘ・リナレス、フロイド・メイウェザー、ゲンナディ・ゴロフキンらスター選手と〝アンバサダー契約〟を結んでいますから、ボクシングファンは誰もが知っているか、少なくともそのロゴは見たことがあるはずです。

「The Art of Fusion(異なる素材やアイデアの融合)をブランドコンセプトに多層構造のケースや様々な素材を融合させた革新的な時計を数多く発表し、世界最速の男、ウサイン・ボルトら著名なアスリートやビジネスリーダーに愛用者が多いことから『成功者な時計』と呼ばれています」…だそうです。

そういえば、2年ほど前に表参道ヒルズで吹き抜け階段を目一杯使った巨大な期間限定ブティックを冷やかしたことがありましたが、サッカーやカーレースのスーパースターを差し置いてボルトが最も目立った扱いでした。

表参道ではメイウェザーやリナレスのグローブやトランクスなどが展示されてないかと期待しましたが、残念ながら影も形もありませんでした。

そして、いま。

スイスで創業したのが1980年。40周年を記念して今年5月に銀座に出店、HUBLOT 40th Anniverary Exhibition-革新への挑戦- を開催しているのです。
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こんなふうに撮るとアップルと遜色なうように見えますが…↑。

それにしてもアップル、血の色ですなあ。

アップルストアの隣、鉛筆のように細長いビルで存在感も今一つですが、さすが超高級ブランド、冷やかし客が入店できる隙は全くありません。

普段、セイコーのプロスベックス(個人的には超高価な買い物したつもりでした)を高級腕時計よろしく巻いていますが、今回ばかりは相手が悪過ぎます。

プロスベックスをHUBLOTのスタッフに見られたら嫌だなぁと卑屈になりながら、3階のギャラリースペースに案内されます。

ギャラリーといっても〝鉛筆ビル〟ですから、狭いです。
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入り口脇にはマラドーナのサイン入りユニフォームが。

そして、その脇の細い柱をくり抜いたような小さなスペースに、メイウェザーが!
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ついに、HUBLOTのメイウェザーと邂逅できました。それにしても、小さいブースに縮小されて押し込まれた感じです…。

場内には私の他は、同年輩のご夫婦だけ。日曜日の銀座、目の前の歩行者天国は結構な賑わいというのに、この空間だけは静まり返っています。

私が行くところ、銀座だろうがどこだろうが、必ず絶対空いている、のです。

ご夫婦はマラドーナのユニフォームを眺めながら何枚か写真を撮っていました。

メイウェザーも視界に入っていたはずですが、何も無かったように通り過ぎて、ゴルフやF-1、テニスの展示で立ち止まり、また写真。

まさかのメイウェザーだけスルー…。

しかし,メイウェザーでこの小さな体積でしか展示されていないとなると…当たり前ながらtriple Gもリナレスもいませんでした。残念…。

HUBLOT、WBCともコラボしてるんですね。↓
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この〝ザク色〟のWBCコラボ腕時計、なかなかカッコいいです。ミニチュアベルトも付いてるそうですが、これは要りません。
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それにしてもメイウェザーのサイン…相変わらずです。さすが「字が書けない」と言われているだけあります。
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セレブ達のモニターでもレジェンドが映されていましたが、時間はダントツで短く数秒(5秒もないくらい)でした…。

ゾウ・シミンやノニト・ドネアの顔も見えます。

田中将大のグローブもありましたが、体積はメイウェザー以下ですがパネルはでかい…。
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こうして見渡すと、テニスとサッカー、ゴルフが富裕国のメジャースポーツだとよくわかります。

なんだかHUBLOTが欲しくなって、一階の販売スペースで値札を見たら、ほとんどが7桁の中盤、8桁はあっても6桁はおろか100万円台すら見当たりませんでした。

「一番安いHUBLOTはうちの車より遥かに高い」という現実に打ちひしがれながら鉛筆ビルを出ると、とっぷり日が暮れてあたりは真っ暗でした。


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多くのメガファイトがラスベガスで開催されるのは何故でしょうか?

「試合が賭けの対象となるため、多額のカネが集まるから」と思い込んでいる方もいますが、間違いです。よほどの注目ファイトでない限り、ボクシングの試合で賭けられる金額はたかが知れています。

プロモーターから見たボクシングの試合の主な収入源は ①テレビ放映権料 ② ゲート収入 ③site fee(招致フィー)の三本柱です。

①テレビ放映権は、より巨大なイベントではPPVとなり、支払うのはテレビ局ではなく多い場合は100万件単位の視聴者世帯となり桁違いの報酬の源泉になります。

日本ではPPVは一般的ではありませんが、テレビ放映権が大きな収入源であることは変わりません。

②ゲート収入も、日本でもほぼ同じ形態で主要な収入源と成っています。

この①②を収入源とする点において、PPVというトリックを除くとニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンだろうが、ロスアンゼルスのステープルズセンターであろうが、さいたまスーパーアリーナであろうが変わりません。

③site fee(招致フィー)は、日本型興行では全く存在しない収入源で、これはマディソン・スクエア・ガーデンやステープルズセンターでも興行でも発生しません。

「会場費は使用者は支払う」。当たり前の常識ですが、ラスベガスなど巨大カジノ&リゾーツの街でビッグファイトが行われる場合はカジノ側が巨額のsite feeを支払ってフロイド・メイウェザーやマニー・パッキャオ、カネロ・アルバレスの試合を招致するのです。

この金額はメイパックカネロ級の通常試合で1000〜1500万ドル、2015年のメイパック激突は公表されていませんがとんでもない金額であったことは間違いありません。

それほどのカネを支払って、カジノはどこで儲けるのか?

招致フィーが発生するのは別にボクシングのメガファイトに限ったことではありません。人気歌手のコンサートや、話題沸騰のイリュージョンなど、多くの人が興味をそそるイベントであればラスベガスは招致フィーを支払います。

そして、そのイベントの関心が高ければ高いほど、多くの人がラスベガスに集まり、そのイベントをクライマックスに見据えて、VIPルームでギャンブルに講じるハイローラーなど富裕層も押しかけます。

彼らが宿泊期間中に大金を落としていってくれるのです。

その経済効果を予想して招致フィーの金額を決めるのですが、イベントが大きくなればなるほどラスベガスの街全体が潤うのは当然です。

メイパックでいうとMGMの客室だけでは全く足らず、郊外のモーテルまで満室。試合会場のグランドアリーナは1万7000人も入ればキャパ一杯ですが、周辺のホテルで展開されるクローズドサーキットでははるかに多くの観客が大スクリーンで生中継を楽しみました。
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この招致フィー、「経済効果」を期待するカジノだけの専売特許ではありません。

モハメド・アリvsジョージ・フォアマンを首都キンシャサに招致したザイールのモブツ大統領、やはりアリvsジョー・フレイジャーをマニラに迎えたフィリピンのマルコス大統領らは、五輪招致は無理でも、ラスベガスもびっくりの招致フィーを国庫から支払って「国威発揚」に利用したのです。

そして昨年12月に「アンディ・ルイスJr.vsアンソニー・ジョシュア2」を6000万ドル以上!で招致したサウジアラビアのケースも「国威発揚」パターンです。

このパンデミックで断たれた収入源は、メディアが騒ぐ「ゲート収入」だけではありません。

「招致フィー」までもが断たれました。この状況では富裕なハイローラーが大挙してラスベガスに詰めかけ豪遊する日は、まだまだ先になりそうです。

パッキャオの試合招致にサウジアラビアやドバイが興味を持ったとき、ボブ・アラムを筆頭に米国は、おそらく政治や宗教上の確執から一様に冷淡な態度を貫き、交渉を潰しました。

「ルイスvsジョシュア2」はもちろん、2018年のWBSS決勝「カラム・スミスvsジョージ・グローブス」でも、アラムは「どこにそんなカネがあるんだ?」と突き放していましたが、中東にはメガファイトを引っ張り込むカネがあり、英米の人気カードを札束攻勢で競り落とす気があります。

そして、このパンデミック下では政治や宗教よりも、目先のカネが優先されるのは当然です。

ユダヤ人のアラムがついに吐きました。

「莫大な招致フィーの裏付けがなければ、ヘビー級(タイソン・フューリー)の大試合の報酬は支払えない。中東と話し合う気持ちはある」。
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