カテゴリ: Coming Up Soon!

さすが「日本が好き勝手できる階級」です。

他のスポーツでは本物の世界がどういうものなのかが、はっきりした輪郭が見えています。

世界チャンピオンは、せいぜいが10万ドルのファイトマネーに釣られて、地球の裏側からエコノミークラスの飛行機に乗って試合1週間前に来日します。

日本人王者に挑戦する外国人選手の場合はもっと悲惨ですが、多くの場合、彼らはパートタイム・ボクサー。本業なり副業を持っています。

そんな困窮したバイトボクサーを、恵まれた環境にある日本人が撃退する。日本人挑戦者よりもはるかに貧乏な世界チャンピオンが当たり前ーーー軽量級ボクシングはある種の貧困ビジネスといっても良いでしょう。

もちろん、日本人の世界王者が足元にも及ばないForbes誌のアスリート長者番付にリストアップされるカネロ・アルバレスやアンソニー・ジョシュア、タイソン・フューリーのような大富豪もいますが、日本のファンやメディア、ボクシング業界はそこ、つまり〝メジャー〟〝最高峰〟を直視しないように目を逸らし続けてきました。

「PFPでは上」とか、わけのわからない妄想ランキングまで持ち出して。

その行き着く先、挙げ句の果てはこの3日間で亀田と帝拳で8つの世界戦挙行です。

毒を喰らわば皿まで。皿まで喰い尽くしたら、次はどうするのでしょうか?

いや、もはやこの体たらくは皿まで食い尽くしたあとの修羅場です。

おそらく、三日で8つの世界戦は通過点でしょう。これから先には、10大、15大世界戦もあるでしょう。そして、いつまで続くかわからない完全無料のネット配信で、多くの人の目には触れないまま地下スポーツの道へまっしぐら。

マイナースポーツのボクシング。その中でも人気が何段階も落ちる軽量級と、メジャースポーツは比べるべきではないのかもしれませんが、海の向こうではMLBのリーグ王者を決める地区シリーズでもボクシングの世界戦とは別の惑星かと思うほどの格の違いと荘厳さを見せて盛り上がっています。

もちろん、ボクサーには何の責任もありません。ましてや、おそらく最も面白いスポーツであるはずのボクシングという競技には。


Sunday 13, October 2024
  
Ariake Arena, Koto-Ku, Tokyo, Japan
commission:Japan Boxing Commission
promoter:Akihiko Honda (Teiken Promotions)

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さあ、開場は16時です。
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いよいよ明日早朝、に迫りました。

世界中のボクシングマニアが注目する今年一番の大勝負。

最近流行りの「勝負論」という言葉を使うなら、これほど勝負論がある試合は滅多にお目に書かれません。

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リヤド・シーズンがご用意してくれたUNDISPUTEDベルト、前から思ってましたが、これ、ダサいです。おカネはあるんだから、ちゃんと作りましょう。


両者のスタイルのコントラストが強烈です。

超攻撃型、20戦全勝オールノックアウト、左右の拳が一打必倒のアルツール・ベテルビエフと、カネロ・アルバレスをあっさりと攻略してみせた現役ボクサーで最もパンチが当たらないドミトリー・ビボルがあいまみえるのです。

PFPファイターの中でビボルはも最もリードパンチの比率が高く(65.5%)、着弾率もトップ(53%)。そして、被弾率は22.6%と2位。被弾率1位は、かわすことしか考えていないシャクール〝チキン〟スティーブンソンですので、事実上の1位です。

一方のベテルビエフは、PFPファイターというグループの中では目立った数値を持っていません。しかし、あの「ゴツン…」というジャブ一発で試合の趨勢を簡単に引き寄せる強打はデオンティ・ワイルダーや井上尚弥らとは全く違う種類の拳です。

スタッツの数値上は非常にわかりやすいビボルと、数値ではわからないベテルビエフの強さ。

そして、実際の試合ではそのわかりやすさは綺麗に逆転。リング誌でカネロ戦で誰ひとりビボルの勝利を予想しなかったように、そのボクシングに決定的な何かは感じることはできません。

一方のベテルビエフは、見ればわかる。見れば、あの拳がどれほどヤバいのか、誰の目にもわかります。そして「当て勘」などという曖昧な言葉が当てはまらない、はっきりとしたヒッティングスキルの持ち主です。えげつない強打者なのに、巧いのです。

オッズは接近する方向で、細かく変動しています。現在はビボル4/5(1.8倍)、ベテルビエフ11/10(2.1倍)。

50−50の試合ですが、リング誌の20人予想は15人がビボルを支持するなど、専門家予想はビボルに偏っています。

今回も故障明けのベテルビエフには大舞台、大勝負の経験でもビボルに軍配。そして何よりも、攻撃型と防御型の対決は後者が有利というのが常識。

リング誌の予想でビボルの勝利予想15人は全員が判定決着ですが、ベテルビエフはもちろん、ビボルのKO勝ちも十分ありえると思います。



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Saturday 16, November 2024
  
The Venue Riyadh Season, Riyadh, Saudi Arabia
commission:Mohegan Tribe, Department Of Athletic Regulation
event name:Latino Night
promoter:Oscar De La Hoya (Golden Boy Promotions),
       Benjamin Shalom (Boxxer)
matchmaker:Javier Razo


WBO王者オスカー・コラーゾ vs  WBA王者ノックアウト・CP・フレッシュマート

“Everybody doesn’t see us minimum weights, but now I’ve got the chance to show everybody my talents, my courage, how disciplined I am,” 

コラーゾは「最軽量級の試合は注目されないが、この試合は私の才能、勇気、どれほど規律を持って試合に臨んでいるかを見せるチャンスだ」と意気込んでいます。



コラーゾが10戦全勝7KO、ノックアウトが25戦全勝9KO。無敗の王者がリネラル王者とリング誌王者の座を賭けて激突します。

コラーゾは階級最強の呼び声高い27歳のプエルトリカン。かつて、という表現がそろそろ失礼ではなくなったボクシング大国プエルトリコの男子で唯一の世界王者です。

お馴染みノックアウトは先月、2年以上のブランクからようやくリング復帰。プロキャリア4戦のアレックス・ウィンウッドと一進一退の不細工な試合で12度目のタイトル防衛を果たしましたが…。

34歳のタイ人の燃料タンクには、まだ何かが残されているのか?

それとも、大方の予想通りにコラーゾの引き立て役で終わるのか?

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今度の週末は日本で軽量級のアルファベット団体のタイトルマッチ7試合が開催されますが、世界的な注目度という尺度では日本時間10月13日にサウジアラビアで行われるライトヘビー級のUndisputed Championship、アルツール・ベテルビエフvsドミトリー・ビボルです。

とはいえ、この無敗のPFPファイター対決は、2人ともロシア人という米国にも英国にもファンベースを持たないがために、PPVから外れて無料放送される予定でした。

しかし、メインに添えられる予定だった「WBCライト級王者シャクール・スティーブンソンvsジョー・コルディナ」がスティーブンソンの右拳負傷でキャンセル、PPVに組み込まれる模様です。

それにしても、あのスティーブンソンがこの試合を差し置いてメインだったなんて世も末です。



Saturday 12, October 2024
  
Kingdom Arena, Riyadh, Saudi Arabia
promoter:Bob Arum (Top Rank),
     Spencer Brown (Goldstar),
     Eddie Hearn (Matchroom Boxing),
     Benjamin Shalom (Boxxer),
     Frank Warren (Queensberry Promotions)

matchmaker:Steve Furness
media:DAZN PPV, USA ESPN+





同じイベントに出場、この完全統一戦の勝者との対戦を希望するIBFクルーザー級王者ジェイ・オペタイアは「ビボルのスタイルが好きなんだ。ビボルの勝利を予想する」。

デビッド・ベナビデスは「どちらが勝つかわからない。個人的にはビボルがやや有利だと思うが、これは完璧な50−50の戦い」。

まさに50−50の大一番ですが、オッズはカミソリ1枚でビボルを支持しています。

ビボル8/11(1.73倍)、ベテルビエフ11/10(2.1倍)。

ステイクされるベルトはビボルのWBA、IBOにベテルビエフのWBC、IBF、WBOのアルファベット5団体にリング誌と合計6本。さらに、ベテルビエフが保持しているLineal championの座も賭けられます。

さらに、勝者は今年のfighter Of The Year の大本命、PFPでも一気に1位に躍り出ると予想されます。

一番背筋が凍りつくのは、ベテルビエフがビボルまで〝あのやり方〟で破壊してしまう展開ですが…果たして?


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来週、初のタイトル戦に挑む那須川天心が、フジテレビのスポーツ番組に登場。

いろんなスポーツニュースにコメントを求められ、大谷翔平についても一言。

「あんな、毎日毎日、大谷さんばっかでみんな飽きないンすか?」と、綺麗にセンター返しの発言。

天心、さすが。ナイス、です。あんなストレートなセンター返し、天心にしかできません。

考えていることを、忖度なしに、わかりやすい口語でしっかり要約して相手に伝えることができる天心。

ボクシング界に来てくれてありがとう。

腹に含みが全く感じられない、わかりやすい話し方、「あんた、言いたいこと別にあるやろ?」と突っ込みたくなる石破茂に是非とも教えてあげてください。


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きょう、京都を中心に展開している大手スポーツショップ「ミツハシスポーツ」がイオンモール大和郡山店と京都フラッグシップストアで亀田和毅の1日店長イベントを開催しました。

33歳の元WBOバンタム級王者は現在IBFフェザー級3位で、新王者アンジェロ・レオとの対戦交渉が進んでいることを明らかにしました。

また、ジュニアフェザー級の完全統一王者・井上尚弥について「自分のキャリアにおいて、必ず対戦したい相手」「自分がフェザー級のベルトを1つ2つ持てば世間もそういう流れになるでしょう。だれもが見たい試合。その試合を自分が実現できるように、次の試合はめちゃくちゃ大事になる」と思いの丈を吐き出しました。

ルイス・アルベルト・ロペスから超大番狂せでタイトルを奪取したレオへの挑戦は「年明け早々に関西で実施」が有力視されています。

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レオは、2021年1月にWBOジュニアフェザー級タイトルをスティーブン・フルトンに奪われたのが唯一の黒星で「あの試合は減量苦で全く体が動かなかった」。とはいえ、戦前予想から挑戦者のフルトンがやや有利と見られていた試合で、レオの評価は決して高くはありません。

「ロペスはパンチを打つときに反対の手のガードが一瞬下がる。この一瞬を突いていくのが作戦だったが、KOは意識していなかった」と、その思い通りも展開に持ち込みましたがディフェンス面で欠陥を抱えているのはレオも同じ。

KOラウンドまでのスコアカードは1−2でリードを許していたように、楽勝ではありませんでした。

亀田和にとっては強打のロペスよりもやりやすい相手に思え、オッズも有利と出るかもしれません。

しかし、ロペスが「レオのパンチは予想以上に強かったが、それ以上に打たれ強かった」と認めているように、非常にタフな相手です。

亀田和がこれまで敗れたジェイミー・マクドネルやレイ・バルガスよりもパワーは上、そしてマクドネルやバルガスと比べるとディフェンス能力も優っているでしょう。

フェザー級というサイズまで加味すると、キャリア最強の相手であることは間違いありません。

亀田和がいつものペチペチ、迫力ゼロの乱打戦に持ち込むことが出来ても明白な判定負け、出来なければKO負け、を予想します。

とはいえ、井上尚弥との対戦が実現すると、ルイス・ネリは論外、中谷潤人も大きく上回る大興行になるのは間違いありません。

議論を呼びまくる不可解な判定勝ちに、兄・興毅を彷彿とさせる「どんなもんじゃい!」で会場から激しいブーイングを浴びて悪役イメージを増幅、そんな予想に修正させていただきます。



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昨日、後楽園ホールで元WBC/WBAストロー級王者リカルド・ロペスの来日を記念したセレモニーが開催されました。

1990年10月25日に大橋秀行からWBCタイトルを奪った〝フィニート〟ロペスは1992年にリング誌月刊PFPに登場すると2006〜2007年に3位をキープしたのを最高位に、2001年に引退するまでの10年間、このmythcal rankingに名前を刻み続けました(1999年以降の評価は転級したジュニアフライ級でのもの)。

「10年間PFPファイターの地位を維持」はもちろん、「引退するまでPFPランカー」というのは途轍も無い快挙です。

フィニートを例外にするとフロイド・メイウェザーしか思い浮かべることができません。※

今なお105ポンド級の歴代最高ファイターと衆目一致する48歳のグレートは、最後のLineral Champion でもあります。

ロペスが1999年10月にジュニアフライ級に転向したことで、〝王者に勝った者だけが王者〟というチャンピオンシップ制度の根幹であるLineral Championが、なんと25年間も空位になったままなのです。

プロボクシング全17階級でLineral titleの空位が最も長いのが、ストロー級。2番目がマニー・パッキャオが征服したフェザー級で、2005年3月から19年の空位ですから、ストロー級だけが21世紀になってもLineral Championが生み出されていないことになります。

さて、この四半世紀にも及ぶ王者不在にピリオドが打たれる時がついに訪れます。

11月16日にWBO王者オスカー・コラーゾとWBA王者ノックアウト・CPフレッシュマートの無敗のアルファベット王者がサウジアラビアのリヤドでLineral Champion shipを争うことが決定しました。

この誇り高いLineral Championとほぼオーバーラップするリング誌ストロー級王座は〝ロペスの時代〟の1980年代後半から1990年代にかけては長い中断期間中で、1986年に新設されたストロー級ではこの試合の勝者が初代リング誌チャンピオンとなります。

重岡銀次朗にこの舞台に立って欲しかったのですが、勝負の世界です。

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※PFPが定期的に発表されるようになったのはリング誌の月刊ランキングが1990年(2022年の廃刊で消滅)、月刊と連動する形で始まった電子版ランキングが2010年から始まりました。つまり、それ以前のグレートはPFPランキングで語られることはありませんでした。

1982年に最初の引退宣言をしたシュガー・レイ・レナードはBest Fighter Poll (リング誌年間表彰として1980〜2017年まで実施)は、この年のBest Fighterに選ばれていましたから、これをPFP1位と見ることも出来ます。しかし、当時25歳のレナードの引退理由は眼疾。35歳までPFPに名前を残したロペスと並べて考えることは出来ません。

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メキシコvsプエルトリコ。

ボクシングのリングで最も血湧き肉躍る対決が、メキシコvsプエルトリコです。

ウィルフレド・ゴメスがカルロス・サラテとサルバドール・サンチェスを向こうに回した鮮烈すぎる1勝1敗。

フリオ・セサール・チャベスがエドウィン・ロサリオ、ヘクター・カマチョを圧倒したメキシカンスタイル。

ミゲール・コットとアントニオ・マルガリートの激闘。

カネロ・アルバレスとコット。

…そして明日のエドガー・ベルランガ。

その系譜は両国の富裕化とともに階級を上げ続け、米国の人気階級に乗り込んだ一方で、メキシコの隆盛とプエルトリコの没落という色合いが濃くなってしまいました。

カネロが1/16(1.63倍)、ベルランガ15/2(9.5倍)。

用意された雑魚を屠りながらデビューから16戦全勝オール1ラウンドKOと〝究極のパーフェクトレコード〟を突き進んだベルランガでしたが、地域タイトルレベルの試合になると途端に破壊力を喪失。

その後の5試合ではジャッジに勝敗を委ね、直近の試合で4年ぶりのKOをマークしましたが、27歳のプエルトリカンがバッタモノであるのは、とっくの昔に気づかれています。

何一つ本物がない造られた無敗の強打者〝The Chosen One〟ですが、〝(カネロに)選ばれし者〟となったのは事実です。

amazonとDAZNがPPVサービスで配信するイベントですが、人気のないスティーブン・フルトンはPPVから外されて無料放送。

「私は2団体統一王者なのにこの扱いは納得できない」と不満を漏らしていると報じられてますが、だったら少しは面白い試合を見せるか、人気階級に上げたらいいだけ。

軽量級で面白くない試合ばかりしてるからプロモーターから評価されないし、ファンも目を向けてくれないのです。

この前日計量でもキックボードに乗って登場しましたが、場内は白けてました。


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1995年12月1日、私は横浜文化体育館でシンディ・ローパーの歌う「タイム・アフター・タイム」を3000人(たぶん)の観客と一緒に合唱していました。

もう30年近くも前か…。

その年の1月、阪神淡路大震災が起き、多くの海外アーティストが来日公演をキャンセルする中、シンディは早い段階で日本行きの意欲を見せてくれていました。

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横浜文化体育館。通称、文体。

1962年の開館は東京五輪に合わせたもので、東洋の魔女が活躍する、対戦相手にとっては文字通り魔物が棲む館になりました。

力道山vsプラッシーが流血の決闘を繰り広げたのも文体。花形進や川島郭志、川嶋勝重ら神奈川県由来のボクシング世界タイトルマッチも開催されて来ました。

最期はゆずもコンサートを行いました。

その文体がBUNTAIとなって刷新(刷新感ではない!)しました。

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この日(9月7日)はRISEのイベントが行われていましたけ。

キックは大昔に友だちがK1(ヘビー級ではない)やってたので何度か後楽園ホールに応援に行きましたが、RISEは一度も見たことがありません。

このBUNTAIのサブ・アリーナが道路一つ挟んだ横浜武道館。

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なんか、佇まいはこっちがメイン・アリーナみたい…。

ネーミングは横浜武道館よりも「コロッセオ横浜」とか「横浜コロシアム」の方が良い気もしますが、それもダサいか。

来月、ここにジョンリール・カシメロが登場します。

カシメロ…今更な名前ですが、一番勢いのあるときに井上尚弥が屠っていたなら、今なおキャリア最強の相手だっただけに残念です…。

フライ級でも対戦機会があったはずのローマン・ゴンサレスを逃したのは陣営の責任もありますが、カシメロは豪快に倒したかった。

2024.10.13 TREASURE BOXING PROMOTION 7 in 横浜武道館

それでも、井上の相手として盛り上がるのはムロジョン・アフマダリエフよりも亀田和毅、次いでカシメロでしょう。


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Tuesday 3, September 2024
  
Ariake Arena, Koto-Ku, Tokyo, Japan
commission:Japan Boxing Commission



ウィリアム・ヒルのオッズは井上の勝利が1/50(1.02倍)、ドヘニー14/1(15倍)。そして、井上がKO勝利を収めるのは1/12(1.08倍)!で、ドヘニーのKOは25/1(26倍)。

オッズの上では井上のキャリアを通して最も楽勝と予想される数字で、これまで何度もアンダードッグの札を付けられたドヘニーにとっては過去最悪の絶望的な掛け率です。

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スポーツ史上最もインパクトのある大番狂せの一つ、バスター・ダグラスvsマイク・タイソンですら42−1。

万一が起きると、Upset of the year は確実。それどころか、Upset of the decade レベルの大番狂せです。

リング誌の試合予想を紹介すると…。

Get your food and beverage situation sorted out before the first bell. This one will not last too long.

テレビの前の食べ物と飲み物をしっかり用意しておけ。(開始ゴングが鳴ったら席を離れるな)この試合は長くは続かない。


Every one of his performances is a must to every serious boxing fan. This one’s on a Tuesday at an inconvenient time slot for most Western countries, but it’s still definitely appropriate to wake up early or take a break from work in the middle of the day to catch a glimpse of an all-time great in his prime.

井上の試合は熱心なボクシングファンなら絶対に見るべき。この試合が行われるのは欧米の国々ではとんでもない時間帯だが、明け方に起きて仕事を休んでも、全盛期のオールタイムグレートを見れるのだから、その価値がある。



上乗せの課金がないESPN+での放送という点でも、米国での需要の低さがわかります。

一般的なボクシングファンには無名の井上とドヘニーの試合では「熱心なファンなら見逃すな」と呼びかけるのも無理はありません。


ただ、少し気になるのはこの一文。

He still has a lot of history to make before he’s enshrined into the Boxing Hall of Fame many years in the future. 

さて、これをどう訳すか?

「井上が殿堂入りするためには、これからの何年間かで多くの歴史を積み上げる必要がまだある」だとすると、ディエゴ・モリラ記者は、井上がまだ殿堂入りの基準を満たすだけの実績を残していないと考えているということです。

「井上には(ほぼ決定的な)殿堂入りを果たすまで、多くの歴史を残すのにまだまだ時間が残されている」という訳し方もできる気もしますが、ちょっと無理があるか。

個人的には、一発殿堂の可能性もあると思いますが、 certain first ballot という類の表現はほとんどありません。

現状で言えば、カネロ・アルバレス(Fighter Of The Year2回/リング誌PFP1位に約2年)、オレクサンデル・ウシク(Fighter Of The Year1回/PFP1位に累計約1年)、テレンス・クロフォード(Fighter Of The Year1回/PFP1位に累計約3年)という明白に実績が上の3人に、PFP在位期間(約2年)で大きく上回るローマン・ゴンサレスと、間歇的に公式リングに上がりそうなマニー・パッキャオまで加えると現時点で井上は六番手。

あり得ないことですが、井上を合わせた7人が同じ年に引退すると、井上の一発殿堂はあり得ません。


試合の行方を占うと、11月に38歳になるドヘニーにとって非常に厳しい戦いになるとしか考えられません。




アイルランド生まれのロード・ウォリアーは豪州、米国、日本、UAE(ドバイ)、英国と5カ国をサーキット、井上戦は4戦連続5度目の日本のリングとなります。

26勝20KO4敗という数字は立派ですが、世界戦(暫定含む)に絞ると2勝1KO2敗と途端に雑魚臭が漂い始めます。

これまでKO負けがゼロとはいえ、その最大の要因はドヘニーがタフだからではなく、対戦相手の質が低かったから。

マイケル・コンランの陣営が「大きくリバウンドしてくるドヘニーはペーパーストマック」と戦前に笑い、その通りにボディを効かされ膝をついたシーンからは、モンスターなら上でも下でも倒せそうに見えます。

とはいえ、ドヘニーは連打型のルイス・ネリとは比較にならないパンチャー。ディフェンスに不安がある井上が一発もらうと、ネリのように笑い事では済みません。

それでも、ただでさえ鈍重なドヘニーの大きくリバウンドした水腹を、井上がウォーターバッグのように叩いて悶絶KO勝利が早いラウンドで見られそうです。







 
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