欧米で注目度の低いジュニアフェーザー級以下の超軽量級。
欧州の国や、米国の多くの州ではランキングが10位までなかったり、ひどい場合は存在していないケースもあります。日本でスーパーミドル以上のランキングが無いのと同じです。
ESPNでも10年ほど前まではジュニアフェザー以下のランキングは5位までしかなく、今もストロー級は5位まで。
リング誌でもジュニアフェザー以下のファイターや試合が注目されることは、まずありせん。
例外的に「米国代表で五輪銀メダリストのメキシコ系マイケル・カルバハル」「メキシコの人気者ウンベルト・ゴンザレス」や、「マルコ・アントニオ・バレラ」「エリック・モラレス」というやはりメキシコのスーパースターという〝特殊案件〟でなければ注目されることはありません。
そんな軽量級の〝スーパースター〟ですら、ビッグネームとの対戦でないと100万ドルを超える報酬を得ることはありませんでした。
わけのわからない相手とコロナ下の会場で戦いながら報酬は測ったように100万ドルポッキリ、井上尚弥がいかに珍妙な存在かが、よくわかると思います。
フェザー級ですが、ナジーム・ハメドをサポートしたイエメン王朝のように「HBOに支払った一時金は5000万ドル」と公言したほうがいいんです。
日本からESPNへの放映権料は明らかにされてませんが、せいぜい10万ドルレベルでも、それを明らかにすることでESPNと、今や使えないプロモーターNo.1のトップランクにプレッシャーをかけることができます。
トップランクは全く人気の無い井上の米国での試合でリスクを負わず、日本開催で大橋プロモと共催でメガイベントの分け前にあずかる、美味しい立場です。
トップランクは自分の財布が痛まないんですから、日本のお金で勝手に100万ドルでも200万ドルでもやっといて、と笑ってるでしょう。そして、日本でビッグイベントを何度も開催する腹積もりですから、危険な相手との対戦は徹底的に避けるでしょう。
米国のマニアが「トップランクは井上をプロテクトしている」と揶揄しているのはけして的外れではありません。
テオフィモ・ロペスですら100万ドルちょっとの報酬で「現状ではこれが精一杯。これ以上出すと赤字」とボブ・アラムとESPNが語って競争入札に負けたのは、本音です。
トリラーやマッチルームがトップランクを上回る金額で入札に参加したのは、今や死に体のトップランクを蹴落としたいからでしょう。
ボクシングの階級は国によって明白な貴賎があります。欧米ではフライバンタムは〝賎〟というか無視された階級。ウェルターやミドル、ヘビーが花形、スーパーミドルやライトヘビー、クルーザーも人気階級です。
一方、日本ではヘビー級でも注目されますがスーパーミドル、ライトヘビー、クルーザーへの関心はマニアでも一気に低下します。
日本には「スーパーミドルやライトヘビー、クルーザーは欧米でも人気がない」と思い込んでいる馬鹿なボクシングファンもいるかもしれません。「黄金のバンタム」を曲解して信じている人々もいるかもしれません。
そんな思考能力ゼロの人がいるとしたら、彼らが妄想しているのは「嘘バンタム」「幻覚バンタム」です。
そして、そんな彼らですら「本物のミドル級」の理屈はわかるでしょう。
ドネアのように「お前、赤字ファイターだから出て行っていいよ。違約金も請求しないから」とトップランクから追放される、日本では〝5〟階級制覇(世界的には4階級制覇)のレジェンドの境遇も欧米で需要の低い軽量級だからです。
「ライト級で王者になる。ライト級なら変わる」。しかし、ドネアの願いは叶わず、フェザー級で挫折してしまいます。
誰だってバンタム級なんかに出戻りたくありませんが、上の階級で通用しないからそうするしかないのです。
ドネアだってジュニアフェザー、フェザー、ジュニアライト…ウェルター級とミドル級の高嶺まで続く坂道を一歩でも上に進みたいんです。
米国で陽の当たる階級で活躍したかったんです。
欧州の国や、米国の多くの州ではランキングが10位までなかったり、ひどい場合は存在していないケースもあります。日本でスーパーミドル以上のランキングが無いのと同じです。
ESPNでも10年ほど前まではジュニアフェザー以下のランキングは5位までしかなく、今もストロー級は5位まで。
リング誌でもジュニアフェザー以下のファイターや試合が注目されることは、まずありせん。
例外的に「米国代表で五輪銀メダリストのメキシコ系マイケル・カルバハル」「メキシコの人気者ウンベルト・ゴンザレス」や、「マルコ・アントニオ・バレラ」「エリック・モラレス」というやはりメキシコのスーパースターという〝特殊案件〟でなければ注目されることはありません。
そんな軽量級の〝スーパースター〟ですら、ビッグネームとの対戦でないと100万ドルを超える報酬を得ることはありませんでした。
わけのわからない相手とコロナ下の会場で戦いながら報酬は測ったように100万ドルポッキリ、井上尚弥がいかに珍妙な存在かが、よくわかると思います。
フェザー級ですが、ナジーム・ハメドをサポートしたイエメン王朝のように「HBOに支払った一時金は5000万ドル」と公言したほうがいいんです。
日本からESPNへの放映権料は明らかにされてませんが、せいぜい10万ドルレベルでも、それを明らかにすることでESPNと、今や使えないプロモーターNo.1のトップランクにプレッシャーをかけることができます。
トップランクは全く人気の無い井上の米国での試合でリスクを負わず、日本開催で大橋プロモと共催でメガイベントの分け前にあずかる、美味しい立場です。
トップランクは自分の財布が痛まないんですから、日本のお金で勝手に100万ドルでも200万ドルでもやっといて、と笑ってるでしょう。そして、日本でビッグイベントを何度も開催する腹積もりですから、危険な相手との対戦は徹底的に避けるでしょう。
米国のマニアが「トップランクは井上をプロテクトしている」と揶揄しているのはけして的外れではありません。
テオフィモ・ロペスですら100万ドルちょっとの報酬で「現状ではこれが精一杯。これ以上出すと赤字」とボブ・アラムとESPNが語って競争入札に負けたのは、本音です。
トリラーやマッチルームがトップランクを上回る金額で入札に参加したのは、今や死に体のトップランクを蹴落としたいからでしょう。
ボクシングの階級は国によって明白な貴賎があります。欧米ではフライバンタムは〝賎〟というか無視された階級。ウェルターやミドル、ヘビーが花形、スーパーミドルやライトヘビー、クルーザーも人気階級です。
一方、日本ではヘビー級でも注目されますがスーパーミドル、ライトヘビー、クルーザーへの関心はマニアでも一気に低下します。
日本には「スーパーミドルやライトヘビー、クルーザーは欧米でも人気がない」と思い込んでいる馬鹿なボクシングファンもいるかもしれません。「黄金のバンタム」を曲解して信じている人々もいるかもしれません。
そんな思考能力ゼロの人がいるとしたら、彼らが妄想しているのは「嘘バンタム」「幻覚バンタム」です。
そして、そんな彼らですら「本物のミドル級」の理屈はわかるでしょう。
そうです。日本では「黄金のバンタム」と勘違いし「ラスベガスでPPVで20億円」と思い込む重度の妄想に取り憑かれた人たちですら「井上尚弥がミドル級で同じことをやっていれば」と想像したなら、階級貴賎の現実がよくわかるでしょう。
欧米で無視されたバンタム級でAサイドにふんぞり返って、自分よりも遥かに貧乏で恵まれない境遇のファイターをぶっ倒していても、まともな世界が注目してくれるわけがありません。
そんなのただの貧乏人イジメです。
「いつか10万ドルファイター」と夢見るカシメロのような3階級制覇王者はミドル級には絶対にいません。
ドネアのように「お前、赤字ファイターだから出て行っていいよ。違約金も請求しないから」とトップランクから追放される、日本では〝5〟階級制覇(世界的には4階級制覇)のレジェンドの境遇も欧米で需要の低い軽量級だからです。
「ライト級で王者になる。ライト級なら変わる」。しかし、ドネアの願いは叶わず、フェザー級で挫折してしまいます。
誰だってバンタム級なんかに出戻りたくありませんが、上の階級で通用しないからそうするしかないのです。
ドネアだってジュニアフェザー、フェザー、ジュニアライト…ウェルター級とミドル級の高嶺まで続く坂道を一歩でも上に進みたいんです。
米国で陽の当たる階級で活躍したかったんです。
問答無用のミドル級のお話です。
もちろん、竹原もそうでした。
※画像はボクシングマガジン1994年12月号〜3月号のインタビュー。
「カストロのビデオは見た?」という質問には↓。
カストロのキーになる試合は、ザルのディフェンスを突かれて攻め込まれる劣勢を、死んだふりしてロープに誘い込んで逆転KOという、とても90年代のボクシングとは思えないサーカス・スタイルでした。
冷静に見れば、そのスタミナとタフネスだけは超一流王者にも引けを取らないものの、実力そのものは紛うことなき穴王者でした。
そして、ファンやメディアの悲観的な憶測に反して、竹原陣営はカストロが28歳にしてすでに激闘の代償、すなわち劣化の兆候をさらけ出していることも見抜いていました。
あのとき、1995年。「世界ミドル級」といえば、あのマーベラス・マービン・ハグラーの残り香が十分に漂っていた時代です。
個人的には21世紀のいまでも、ハグラーやレナードの香りが充満していますが…。
もちろん、竹原もそうでした。
※画像はボクシングマガジン1994年12月号〜3月号のインタビュー。
「カストロのビデオは見た?」という質問には↓。
カストロのキーになる試合は、ザルのディフェンスを突かれて攻め込まれる劣勢を、死んだふりしてロープに誘い込んで逆転KOという、とても90年代のボクシングとは思えないサーカス・スタイルでした。
冷静に見れば、そのスタミナとタフネスだけは超一流王者にも引けを取らないものの、実力そのものは紛うことなき穴王者でした。
そして、ファンやメディアの悲観的な憶測に反して、竹原陣営はカストロが28歳にしてすでに激闘の代償、すなわち劣化の兆候をさらけ出していることも見抜いていました。
竹原慎二の実家は広島で焼肉店を営んでいました。地元で問題児だった竹原が日本チャンピオンになったとき、お客さんも祝福してくれました。
しかし、心ない客が「日本ミドル級王者なんてたいしたことない。世界でミドルなんて絶対無理だし、せいぜい東洋どまり」と酔いに任せて吐き棄てると、母親が客に向かって激怒したといいます。
「慎二は命がけで頑張ってる。あんたの子供は日本一になったことがあるんか!」。
この話を伝え聞いた竹原は、どんなに悔しかったでしょう。
全勝で突き進んでるのに、現実の自分が見えるのは「せいぜい東洋」。
「世界」がどれだけ高いのか、どれだけ分厚いのか…それどころか「世界」がどこにあるのかすらわからないのですから。
協栄ジムの日本王者ですらない軽量級選手が「世界」を軽々しく口にし、東洋無敵でも世界がどこにあるのかわからない自分。
どんなに、もどかしかったことか。どんなに悔しかったことか。
そして、そんな竹原を私たちは、さすがに面と向かっては言わないまでも、あの心ない客と同じことを思っていました。
「ミドル級?それってハグラーとかレナードの世界でしょ?絶対無理」。
野茂英雄も、大谷翔平も、彼らがやってのけた後に、彼らを疑っていた私たちが喝采の拍手を白々しく叩き、賞賛するのです。
ついさっきまで「マイナーのポンコツが日本で大活躍してるのに、日本人がメジャーで通用するわけがない」。「日本人がメジャーで本塁打王?それはマグワイアやソーサ、ボンズの世界だから日本人には関係がない」…そんなことを吐き捨てていたにもかかわらず。
…さもそれが絶対の常識のように断言していた、その口で、結果が出てから野茂や大谷を絶賛するのです。
「まさか、ノモマニアがLAに溢れるなんて!野茂は凄い!」。「二刀流なんてどっちも中途半端な成績しか残せないと思ってたのに!大谷は日本の誇りだ!」。
もちろん、フシ穴の私もそうでした。
日本人初の世界ミドル級タイトルマッチ、それがS席をたった3万円で見れるのです。まだ社会人ペーペーで3万円は軽い金額ではありませんでしたが、ミドル級の世界戦をリングサイドの特等席で見れるのです、格安です。
後楽園ホールの最高値のリングサイド席が、どれほど素晴らしいかは一度でも、二階席で見たとしてもおわかりになるでしょう。
井上尚弥のラスベガスもリングサイド300ドル、こじつけですが同じ値段です。「バンタム級に全く興味が無い米国」と「ミドル級に絶望している日本」。その対極が、この二つのバカ安価格に現れています。
四半世紀の時間差はあるので、井上の方が断然格安ですが。
「竹原vsカストロ」。チケットはもちろん買いました。
「格安だったけど勝てるわけがないから買わなかった」といったのは、精一杯の見栄です。あんなの、ボクシングファンで東京にいたら買うしかないでしょう。
しかし、急な仕事で3万円はフイに。3万円は惜しかったですが仕方がありません。
そして、なぜか少しホッとしていました。そのときは自分でも、3万円が無駄になるのに、どうしてホッとしたのかわかりませんでした。
試合結果を知ったのは、深夜のテレ東のスポーツニュース。
そして,録画中継を見ました。勝つべくして勝った試合でした。
無理やりにでも観に行くべきだった、と後悔しつつ、急な仕事で後楽園ホールに行けなくなったことになぜホッとしたのか、その原因が、はっきりわかりました。
「竹原が惨敗するのをS席、目の前で見たくない。竹原の血が飛んでくるような距離で見たくない」という思いが、心の奥底にあった、からでした。
。。。手元の雑誌「ぴあ」であらためて確認すると、私が最高値と思って買った「S席」は「指定S席」で、最高値は「リングサイドS席5万円」でした。
どうして5万円の席を買って見に行かなかったんだ。
そんな後悔と、竹原慎二を疑い続けた、惨敗を見たくないとまで思ってた自分に腹が立ちました。
たぶん惨敗する、と予想したのは仕方がありません。しかし、勝つかもしれない可能性を信じて応援できなかった、自分が情けなかった、です。
「勝ち目がない?竹原が惨敗するのを見るだけ?テレビもゴールデンタイムに日本人がボコボコにされて病院送りになるのを流せない?」。
それは、常識人からしたら、その通りですわ。
でも、そんなヘタレな見方で面白いわけがない。
その日も「猛烈に頭痛がする」と大切な仕事をスキップしてでも、後楽園ホールに行くべきでした。結果はどうあれ。それで、会社に超大迷惑はかけません。
あんなでっかい会社、当時20代の俺なんていなくてもクルクル回ります。そんなことがわからないわけじゃなかったのに…。
当時は「頭と胸が致命的に痛いです」と仕事を抜け出すことが、思い浮かばない、今以上のバカでした。
竹原は、燃え盛るハングリーの炎にいくつもの薪をくべ続けていたでしょう。
母親が悔しい思いをしていること。周囲から「絶対勝てない、無理」と言われながらも、世界ミドル級王者を日本に引っ張り込んでくれた沖ジムと協栄ジム。スポンサーの方々の思い。
どんな形でも勝つ。死んでも勝つ。
勝たなければ、恩返しは出来ません。
そして、私のようなチケットを買っても、竹原を信じられなかったフシ穴もいます。
私たちの勝手な諦観も、竹原が心の中で燃やす炎にくべる薪になれてたのなら、少しは気持ちが救われますが。
欧米の人気階級へ、日本人が初挑戦。その意味では、間違いなく日本ボクシング史上、最大の勝負でした。
その大舞台に挑むファイターの口から「いや、別にないですけど…」「とりあえず」「陰からでもいいですから」…あまりにも不釣り合いな言葉が次から次へと出てくるのです。
この試合を、メディアやボクシングファンがどんな目線で見ていたのか。
つまり、どんな失礼な角度で見ていたのか。
それを、一番正確にわかっていたのは、当たり前ですが、竹原慎二です。
「オレが勝つとは誰も思ってないんだな」。
それが、きっと、あんな無愛想な言葉になってしまったんでしょう。
1995年12月19日。
あの試合が終わったときから「日本人が世界ミドル級チャンピオンになること」が「おかしな夢」などではなくなりました。
竹原慎二が二つの拳で、おかしな夢を破壊してくれたのです。
もし…。
竹原がカストロのドテッ腹をブチ抜いていなければ、村田諒太の挑戦と戴冠はもっと別の角度から語られていたでしょう。
なにしろ、電通とフジテレビと帝拳さんですから。
年が明けたある日、仕事が終わった夜、帰宅ルートでは無い水道橋で降りた私は後楽園ホールに向かいました。
12月19日に行けなかった後楽園ホール。チケットを買った試合がとんでもない試合だったのに、行けなかった理由が、あまりにくだらないことに、自己嫌悪になりながら。
竹原と後楽園ホールに、お詫びするような気持ちだったのかもしれません。
あんなすごい試合の席を、一つ空けてしまったこと。
あんなすごい大勝負を、どうせ負けると決めつけていたこと。
東京ドームシティは、夜10時は回っていたはずですが、人通りも多く、PUFFYの「アジアの純真」が大音量で流れていました。
そのときは「PUFFYのアジアの純真」なんて、無知な私にはわかりません。
初めて聞く曲です。
面白い歌だな、くらいな感じで聞いていました。
後楽園ホール前のベンチで曲に合わせて歌って踊っていた女の子のグループと目があって「これは何の曲ですか?」と「Is this a pen?」みたいに聞くと「これはPUFFYのアジアの純真です」と答えてくれたんでしょうが、私にはよく聞き取れませんでした。
白のパンダを どれでも 全部 並べて
ピュアなハートが 夜空で 弾け飛びそうに
輝いている 火花のように
輝いている 火花のように
この曲を聞くと、竹原慎二の大勝負を思い出してしまいます。
しかし、我ながら、全く、脈絡無いなあ。でも、この曲聞くと「竹原vsカストロ」思い出しちゃうんだから、仕方が無い、です。
うわー、泥酔して書いたので明日読んだら抹殺したいような訳の分からない内容かもしれません。