カテゴリ: 世界の軽量級,世界に挑む日本人

PRIME VIDEO PRESENTS LIVE BOXING7

2月24日 両国国技館

コミッション:日本ボクシングコミッション
プロモーター:本田明彦(帝拳プロモーションズ)

WBCバンタム級タイトルマッチ

©️アレハンドロ・サンチアゴvs中谷潤人

7ヶ月前にアンドリュー・モロニーを痛烈に鎮めて、ジュニアバンタム級のタイトル(空位のWBOストラップ)を獲得したばかりの中谷が、3階級制覇を賭けて28歳のメキシカンに挑みます。

フライ級のジーメル・マグラモ戦、ジュニアバンタムのモロニー戦はいずれも空位のタイトルを争った決定戦だったので、今回が始めての王者挑戦。

マグラモ戦から数えて5試合で2階級制覇、24日のサンチアゴ戦でも勝利すると7試合で3階級制覇したことになります。

世界には1試合で2階級制覇したシュガー・レイ・レナードのような傑物?もいますが、足早の複数階級制覇であることは間違いありません。

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身長172㎝の中谷は本人が語るまでもなく「バンタムは通過点」。認定団体の忖度を受けながら、得体の知れない相手との決定戦なら、ジュニアライト級までの6階級でアルファベットタイトルを拾い上げても、大きな驚きはありません。

中谷がこれまで拳を交えた26人のファイターを見渡すと、サンチアゴも含めた7人で無敗のボクサーは一人もいません。また、Transnational Boxing Ranking BoadやESPNのようなまともな世界ランキングでトップ5に入る選手もいません。

数字的な表層では「王座獲得は決定戦だけ=王者に勝った経験ゼロ」「強豪相手の試合経験ゼロ」は、全くもってその通りです。

だというのに、この26歳の日本人は飛び抜けて高い世界評価を集めているのです。

やってることは亀田興毅と何も変わらない気もしますが、結局は対戦相手の質です。

亀田興が得体の知れない相手や、完全ロートルを相手にアルファベットのストラップをいたずらにコレクションしたのとは違い、中谷の相手は揃いも揃って〝得体が知れている〟のです。

亀田とは違うのだよ、亀田とは!





直近3試合でも井岡一翔が手こずったフランシスコ・ロドリゲス、ファン・フランシスコ・エストラーダとクロスゲームを演じたアルヒ・コルテス、世界トップ戦線で活躍する元王者モロニーに対して完勝を収めているのです。

三段論法は通用しないのがスポーツですから、これをもって「中谷は井岡やエストラーダよりも強い」とは言えません。しかし「中谷は少なくとも井岡やエストラーダの領域に達している」と考えるのは間違いではありません。

まだ発展途上の26歳で、あの領域に達しているのが確実視されているのですから、そりゃ世界評価も高くなるわけです。

サンチアゴは直近3試合をデビッド・カルモナ、アントニオ・ニエベス、ノニト・ドネアと井上尚弥が喰い散らかした相手に勝利。

特に、ドネアとのWBC王者決定戦は、ドネアが8/13(1.62倍)、サンチアゴ13/10(2.3倍)と不利予想を跳ね返しての番狂せで戴冠しました。

それでも「サンチアゴが中谷相手に初防衛に成功したらUpset Of The Yearの有力候補」(ESPN)と言われるほど、両者の実力差は大きいと見られています。

オッズを見ても中谷の2/7(1.29倍)に対して、サンチアゴは1/5(6倍)とミスマッチ一歩手前の数字です。

キャリア最重量の118ポンドデビューで、タフネスが取り柄のメキシカンが相手というのは危険な香りも漂ってきそうですが、サウスポーのゲイリー・アントニオ・ラッセルとグダグダの試合を展開してしまったサンチアゴには、中谷はあまりにも荷が重いように感じられてしまいます。

〝Peque(小さい)〟サンチアゴはドネア戦では中途半端な距離を取らずに上手く懐に潜り混んでいましたが、中谷は一面的なボクシングしか出来ないドネアとは違い、臨機応変でアッパーカットも得意。中谷のアッパーがキーパンチになるかもしれません。
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欧米での軽量級の扱いは、ビッグファイトの添え物です。そこから抜け出し、ビッグファイトのメインを張ることは、まず出来ません。

軽量級では強豪王者は生まれても、本当の意味でのビッグネームは極めて稀れにしか登場しません。



どんなに強くても、需要がないまま年齢を重ねて朽ち果てた元WBCフェザー級王者ゲイリー・ラッセルのように。

Sugar Ray Robinson Awardを獲得してもボブ・アラムから「不良債権」と厭われたノニト・ドネアのように。

PFP1位に2年も君臨しながら、一度もビッグイベントのメインを飾れなかったローマン・ゴンサレスのように。

ビッグネームになる条件は、人気階級も軽量級も同じく「大きなファンベースを持つメキシカンかプエルトリカンであること」が大前提。

この時点でラッセルもドネアもロマゴンも脱落。

そして、軽量級では「試合がスペクタクル」で「ライバルがメキシカンかプエルトリカンの人気者」であることも必要条件です。

もちろん、大手プロモーターの後押しも欠かせません。

この条件を全て満たしたのがマイケル・カルバハルとウンベルト・ゴンザレスや、レオ・サンタクルスとアブネル・マレスでした。

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また、マニー・パッキャオはメキシカンでもプエルトリカンでもないにも関わらず「試合がスペクタクル」「ライバルがメキシカン」という二点を想像を絶するレベルで満点回答し、ライバルたちを鎮圧すると、まさかの人気階級への侵略を開始したのです。

現在の軽量級では、パックマンを待ち構えていたマルコ・アントニオ・バレラやエリック・モラレス、ファン・マヌエル・マルケスのような歴史的な強豪メキシカンは論外、サンタクルスやマレスのレベルですら見当たりません。

あえていうなら、エディー・ハーン推しのジェシー〝バム〟ロドリゲスですが、ロートル狩りで名前を挙げた彼はライバル不在。そもそも、せっかくジュニアバンタムでタイトルを獲ったのに、出戻りの形とはいえフライ級に下げたことには幻滅するしかありませんでした。



そして、まだバムのレベルにも達していませんが、WBOストロー級王者オスカー・コラーゾは、十分なフェロモンを発し始めています。

「オスカー」の名前を持つサウスポーのプエルトリカンで、ゴールデンボーイ・プロモーションズ(GBP)とミゲール・コット プロモーションズが共同プロモート。プロ9戦全勝、最軽量級ながら7つのKOをマーク、今から全盛期を迎える27歳です。

1月27日にはレイネリス・グティエリスを3ラウンドでストップ、2度目の防衛に成功しました。

注目すべきは昨年1月28日のユデル・レイジェスとのWBO王座挑戦者決定戦から、グティエレス戦まで4戦全勝4KOと、世界基準になって切れ味を増しているのです。そして、ちょうどこの1年間で4試合をこなしたのです。

人気階級のスター選手が年間2試合でビッグマネーを稼いで安穏としていることが当たり前になってしまった現状は、ボクシングファンにとって満足できるものではありません。

ファイトマネーやプロモーター、プラットフォームの垣根が低い軽量級だからできる、極上のファンサービスが多くの試合を提供することです。

そして、アマ・プロ・プロモーターの3つの分野で頂点を極めたオスカー・デラホーヤが「1年で5試合戦えば500万ドルのボーナスを用意する」という提案に、小さなオスカーはすぐに反応。

 I’m gonna work hard to get those five fights and collect that five-mil .

5試合を戦って500万ドルをいただくとするぜ!


「(5試合にこだわらずに)できるだけ多くの試合をこなしたい。次の試合は5月ではなく、4月に戦いたい」。ヘビー級やウェルター級のトップ選手に聞かせたい言葉です。

団体統一戦にも意欲を見せる、怖いもの知らずのオスカー・コラーゾ。

ストロー級で4つのアルファベットタイトルのうち、2つを掌握している重岡兄弟と、日本のボクシングファンにとってコラーゾとの激突は是が非でも実現してもらいたいビッグカードです!


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井上尚弥が二つの拳で焼け野原にしたバンタム級シーン。

リング誌と、Linealのタイトルは空位のままですが、井上が捨てた4つのアルファベットタイトルの残骸をLeftoversとIndirect leftoversがピックアップする作業が完了しました。

次の段階は若い勢力、Emerging Powers が Leftoversをどう駆逐していくのか。

もし、彼らが残飯で食中毒を起こすのなら、バンタム級の焼け野原は燻ったままです。

Emerging Powersの筆頭に挙げなければならないのは、Transnational Boxing Rankings Board(TBRB)にも、ESPNにも、リング誌にもランキングされていない26歳のサウスポーです。

ノーランカーなのもそのはず、ストロー級でプロデビューした中谷潤人は118ポンドでは一度も戦った経験がないのですから。

それでも、ここまでの戦績は26戦全勝19KO。わずか2年半足らずでフライ級とジュニアバンタム級を2階級制覇。調整試合を挟まずに今月24日にはWBC王者アレハンドロ・サンチアゴにアタックします。

3年3か月7試合での3階級制覇は、田中恒成の8試合4か月を凌ぐスピード記録になります。

中谷の3階級制覇がコロナ禍で試合ができなかった期間があったことを考慮すると、その速度の異常さがさらに分かりやすくなるはずです。

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  「日本では大騒ぎだ!」(リング誌)。



何をそんなに急ぐ必要があるのか?

172㎝という規格外の長身に起因する減量苦はもちろんですが、それだけではないでしょう。

ついに本人が口にした「頂上決戦」です。

このまま勝ち続けるだけで、念願のPFP1位はもちろん、Sugar Ray Robinson Award も十分に狙えます。軽量級で手に届く全ての栄光が視界に入っているのです。

しかし、PFPキングになっても、Sugar Ray Robinson Award を獲得しても、26歳の心の中に何か引っ掛かることがあるとしたら、どちらも「日本史上2人目」の注釈が付けられることでしょう。

それが、ファイティング原田や柴田国明のような半世紀前のグレートならまだしも、まだ現役バリバリだとしたら?

「ネクストモンスター」と呼ばれることも「光栄」と口にはしていますが、リングの中ではあれほどの自己顕示欲をあらわにする凶悪なファイターです。「2人目」「ネクスト」という表現を快く受け入れるはずがありません。

「対戦したいと言って出来る相手じゃないのはわかっている」「ファンの皆さんから中谷ならと、納得してもらえる形で挑戦する」。

ずっとずっと先を走っていたモンスターとの階級差は、ついに1階級までに縮まりました。

もし、バンタム級を再び焼け野原にするパワーが存在するとしたら、それは中谷潤人をおいて他には誰一人いません。
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世界のバンタム級シーンを焼け野原にした井上尚弥が118ポンドにとどまらずに階級を上げ、リング誌を含めた5つのベルトと、概念上の王座 Lineal Title を返上したことで「世界で最も王者になるのが難しい階級の一つ」が「世界で最もチャンスに溢れる階級」に180度転換されました。

タイトルホルダーたちは井上が屠ったLeftovers(残飯)か、間接的に駆逐されたIndirect leftovers(間接的残飯)たち。

世界のボクシングファンから見ると、残飯たちが消えるまでしばらく興味が湧かない階級です。

しかし、日本ではバンタム級への思い入れが強いというだけでなく、ジュニアフェザー級も完全統一した井上の防衛マップに日本人が記されていないことから、122ポンドで世界を窺っていたファイターたちがさまざまな意味でより大きなチャンスに溢れている118ポンドに照準を切り替えているのです。
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まずは、現在のアルファベット王者を見渡すと…。

◾️WBA:井上拓真◾️

Transnational Boxing Rankings Board(TBRB)で4位、ESPNで2位ながらリング誌では8位。ちなみにリング誌では、西田凌佑が7位…。もしアルファベットのストラップを持っていなければ、拓真は圏外だったでしょう。

〝焼け野原にした張本人〟と同じ血が流れているはずなのに、タイトルホルダーとしては少し驚くほどの低い評価に甘んじています。

2月24日に対戦するここ4年で4試合(2勝2敗)のジェルウィン・アンカハスに勝利しても、「階級歳弱王者」「誰にいつ負けても全く不思議ではない」という烙印は、消し去ることは難しいでしょうが、これ以上評価を暴落させないためにも明白な勝ち方が求められます。




◾️WBC:アレハンドロ・サンチアゴ◾️

Transnational Boxing Rankings Board(TBRB)で2位、ESPNで4位、リング誌で4位。

1−3で明白に不利と見られていたノニト・ドネア戦で大番狂せを起こした27歳のメキシカンですが、世界基準では攻撃力も防御力も経験も欠落した精神力だけが取り柄のファイター。

初防衛戦の相手は、評価が高い中谷潤人。「メディアやブックメーカーが中谷との試合をどう見てるか知っている。ドネア戦のように、奴らが間違っていたことを思い知らせてやるだけだ」と強気ですが、全盛期に差し掛かっている中谷と、完全劣化版ドネアとは全く違う種類のボクサーです。

少しの希望を見出すとすれば、中谷は1年10か月でフライ級からジュニアバンタム級に上げ、今回がバンタム級デビューという一点でしょうか。

「中谷でもタフなサンチアゴには苦労するかもしれない」という声も聞かれますが、勝敗への興味は薄く、サンチアゴは7か月に満たない短命王者で終わるのが確実と見られています。




◾️IBF:エマヌエル・ロドリゲス◾️

ボクシング王国プエルトリコで、かつては未来のホープ10人に数えられた逸材でしたが…。

キャリアの傷は、井上に破壊された黒星と、レイマート・ガバリョにどっちとも取れるSDで敗れた二つだけ。

世界戦までの無敗のキャリア、ノンタイトルマッチでは生き生きとするロドリゲスがタイトルマッチでは煮え切らない試合が目立つのは、この職業に向いていないという重度の弱気だけではなく、実力的な問題も孕んでいます。

それでも、圧倒的不利と見られ、噛ませ犬扱いだったゲイリー・アントニオ・ラッセルとの無冠戦で鮮やかな勝利を収めると、IBF王者決定戦では世界的には二線級のメルビン・ロペスを完封、自信を取り戻しつつあります。

Transnational Boxing Rankings Board(TBRB)で1位、ESPNで1位、リング誌で2位。

西田凌佑との指名試合が競争入札、亀田プロモーションに敗れて日本開催が決定。

パディパワーのオッズはロドリゲスが4/9(1.44倍)、西田が9/5(2.8倍)。弱含みの2−1で有利と出ています。経験とパンチ力が欠けている27歳の西田ですが、キャリア初の完全敵地であのロドリゲスがどんな精神状態でリングに上がるのか?




◾️WBO:ジェイソン・モロニー◾️

那須川天心が選びそうなサウル・サンチェスに薄氷の勝利、WBO決定戦に勝利。

井上に粉砕されてから、腰を落としてしっかりと打っていた、強気のパワーパンチは影を潜めてしまいました。

Transnational Boxing Rankings Board(TBRB)で3位、ESPNで3位、リング誌で1位。

クロスゲームを演じたロドリゲスと並ぶ階級最強候補ですが、最強と呼ぶには33歳のオージーは欠点を巻き散らしており、誰に負けても誰も驚きません。

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LeftoversとIndirect leftoversが、焼け野原からアルファベットタイトルの残骸をピックアップした現在のバンタム級シーン。

この中から、Undisputed champion、Lineai champion、Ring -magazine championに相応しいファイターは見当たりません。




さて、さて、では次に。

現在のバンタム級シーンの〝主役〟は、モンスターが食い散らかしたタイトルホルダーたちではありません。
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2月3日(土)後楽園ホール
主催:真正プロモーション


◾️WBOアジアパシフィック・ストロー級王者決定戦◾️

小林豪己vs金谷勇利

25歳の小林は昨年8月に失ったタイトルの奪還を目指します。WBCとIBFでトップ10に入っている小林ですが、この二つの認定団体では重岡兄弟がタイトルを分け合っており、狙うはWBOか。

WBO王者はオスカー・コラーゾ。この階級の王者としては、日本に呼ぶには負担が大きいビッグネームです。

27歳の金谷にとっては勝てば世界ランク入り、大勝負です。

オッズは小林の勝利が1/8(1.125倍)、金谷が5/1(6倍)。



◾️バンタム級8回戦◾️

矢代博斗vsアルビン・カミケ

5戦全勝5KOの矢代の相手は、今回も東南アジアの無名選手。

ジュニアバンタム級で世界を狙う矢代は27歳。テイクオフのタイミングが迫っています。

矢代が1/16(1.625倍)、26歳のフィリピン人が7/1(8倍)。

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那須川天心が「足を痛めて棄権なんてキックみたいですね」と苦笑いしながら、キャリア初のKO勝利を飾りました。

アルファベット団体の世界ランカーをストップしたことで、アルファベット団体の世界ランクに入る可能性も膨らみました。

プロデビュー戦で敗北、キャリア1試合1戦1敗のフランシス・ガヌーがランク入りするのがプロボクシングの〝世界〟です。

WBAとWBOでバンタム級14位のルイス・ロブレスに、キャリア初のTKO負けを味合わせたのですから、この二つの認定団体で世界ランク入りはほぼ確実。

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天心のファイトマネーが高いことは誰にでもわかりますから、効率よく認定料を稼ぎたいアルファベット団体、WBCなんかも世界ランク入りさせるかもしれません。

海外の地域タイトル挑戦なんてのも、ちょっと新鮮でいいかもしれません。

天心なら下手な中量級チャンピオンよりもファイトマネーが高い、つまり認定料も高いでしょう。

帝拳の本田明彦会長は、今回ほぼノーダメージで終えたことと、那須川の希望から「3月か4月に初の海外での試合か、後楽園ホール」も視野にしながらも、天心は「(次の試合で)いきなり世界戦はない。地域タイトルや日本タイトルなどベルトは獲りたい」と〝手ぶらで〟世界挑戦はしたくない考えです。

認定団体としては、ぜひ自分とこの地域タイトルを献上して、世界戦までガイドしたいところでしょう。
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ちょっと遅めのお昼ご飯。

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良い意味でも悪い意味でも上品な一風堂のとんこつラーメン。

※※※※※※※※※

来週、23日に大阪エディオンアリーナで行われる、PRIME VIDEO PRESENTS LIVE BOXING 第6弾。

寺地拳四朗とユーリ阿久井政悟のダブル世界戦が盛り込まれたイベント、メインイベントはもちろん「寺地vs カルロス・サニサレス」の三つのベルトが賭けられたリング誌/WBA/WBCジュニアフライ級タイトルマッチ。

そして、セミファイナルは「ユーリ阿久井政悟vs WBAフライ級王者アルテム・ダラキアン」ではなく、「那須川天心vs ルイス・ロブレス」の54.8kg契約8回戦。

「ユーリ」といえば、ユーリ阿久井政悟のリングネームのルータとなったユーリ・アルバチャコフです。

さて、ユーリ・アルバチャコフの時代。

YouTubeなど影も形もなかった時代、アジアで戦う軽量級など、専門メディアでもコアなマニアでも生中継で見ることなど考えられない時代です。

そんなアジア軽量級暗黒時代に、リング誌PFPにランクインしたのがアルバチャコフ。

ペレストロイカの風に乗って来日したソ連のエリートアマの1人が、アルバチャコフでした。

強豪王者ムアンチャイ・キティカセムからタイトルを奪い、再戦でも日本人にとって60年に及ぶ鬼門となり続けているタイでムアンチャイを撃破。

23ヶ月前にIBFジュニアフライ級王者マイケル・カルバハルと激闘を繰り広げたことも、リング誌には衝撃的だったのでしょう。

米国軽量級の歴史的なスター2人は、下のクラスのリカルド・ロペスを「階級を上げて来い」と挑発することはあっても、アルバチャコフには「さわらぬ神に祟りなし」とでも恐れたのか、交渉があったとされるゴンザレス陣営も積極的に対戦する気はありませんでした。

あの時代にアジアを主戦場にした軽量級ボクサーが年間ベースでPFP入りするのは、極めて異例のことで、アルバチャコフの評価の高さが窺えます。

ところが。

とにかく強い、試合は面白いアルバチャコフでしたが人気は低迷、世界初挑戦のイベントで俳優のミッキー・ロークにメインを奪われたこともありました。

あれから32年。

再び、世界戦を戦う「ユーリ」が、8回戦の前のプログラムで戦うことになります。



来週のユーリも、32年前と同じようにスペクタクルな試合で世界タイトルを強奪できるでしょうか?
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Tuesday 26, December 2023
  
Ariake Arena, Koto-Ku, Tokyo, Japan
commission:Japan Boxing Commission

promoter:Hideyuki Ohashi (Ohashi Promotions)

The Ring magazine
WBA/WBC/IBF/WBO Junior Feather weight




試合はLeminoが無料配信。米国ではESPN+が早朝5時頃からオンエア予定。

大方の予想通りに井上が勝つと、4団体時代でテレンス・クロフォードに次ぐ2人目となる2階級での〝他の誰にも王者を名乗らせない〟Undisputed championに就きます。

ウィリアム・ヒルが叩いたオッズは井上勝利が1/20(1.05倍)、タパレス7/1(8倍)。掛け率だけなら、ミスマッチの領域に深く突入しています。

1.05倍では誰も井上に賭けず、このあとオッズは接近するのは間違いありませんが、井上のキャリアの中でも「最も楽勝」という数字に落ち着くはずです。

どう見ても、31歳のサウスポーは、充実したプライムタイムを迎えている30歳のモンスターが破壊するために注文されたような実力とスタイルしか持ち合わせていません。

“We are witnessing an all-time great fighter in the prime of his career. He has a very difficult task at hand on December 26 against a tough, powerful Filipino champion in Marlon Tapales, but I am confident ‘The Monster’ will pass this test with flying colors.”

ボブ・アラムも「私たちは偉大なファイターの全盛期を目撃する証人だ。タフでパワフルなマーロン・タパレスは非常に難しい相手。それでも私はモンスターがこの大仕事を簡単にやってのけると確信している」とコメントを寄せています。

日程・会場・放送媒体ともに当初の予想通りに落ち着きましたが、12月26日は火曜日、また平日というのは残念。会場のスケジュールや会場費を考えると、平日のコスパが良いのは理解できますが…。

日本人初、アジア3人目のFighter Of The Yearについては、井上がタパレスに圧勝しても難しいでしょうか?

現状、ライバルとなるのは一足先に2階級でUndisputed championになったクロフォードだけですが、世界評価が低すぎるタパレスが相手ではどんな勝ち方をしても〝逆転〟は厳しそうです。
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MLBで打球の速度や角度、飛距離などの詳細なデータが瞬時に視聴者に届けられているように、メジャースポーツではデータ会社が精密なデータを提供することが当たり前になっています。

ボクシングでは、1985年に行われたWBA世界タイトルマッチ(リビングストン・ブランブルvsレイ・マンシーニ)を放送したHBOがBoxRec(当時はFightStat)を導入したのが始まりです。

あれから約40年、残念ながら米国ボクシング市場は衰退と縮小を余儀なくされ、データシステムもほとんど進化していません。

このブログでもCompuBoxのデータを紹介するときは「必ずしも試合の実態を反映しない」という文言とセットになってしまっています。

もちろん、野球ではフェアゾーンに大飛球を放てばホームランですが、ボクシングの場合は意外なほど小さなパンチが衝撃的なKO劇を生み出すことがあります。

井上尚弥がファン・カルロス・パヤノを背中からカンバスに落下させた、これ以上ない角度とタイミングのジャブクロスはその典型です。

さて、そのジャブのお話。

井上は、ノニト・ドネアとの第2戦で見せたように、ジャブはタイミングを取るだけで実際には打たずに右強打を炸裂させる、〝いきなりの右〟に見えるワンツーも使いこなしますが、井上のジャブの主な役割は、右の強打への導火線です。

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井上のジャブの的中率27%と、1ラウンド平均ヒット数9発は世界トップレベル。

同じ強打者のゲンナジー・ゴロフキンが的中率30%、1ラウンド平均のヒット数9.9発で1位で、数字的には酷似していますが、GGGとモンスターは同じ属性のパンチャーではありません。

GGGはリードパンチを距離を測ったり、相手の侵入を阻む触覚として使うこともあるジャバーの一面もありますが、井上はジャバーではありません。

ジャバーのジャブは距離を測り、保ち、相手のリズムを分断する触覚としての役割をもち、必ずしもヒットしたり、後ろ手の強打に繋げる目的ではなく、意味のある捨てパンチも絶妙にブレンドされているのです。

その意味で、生粋のジャバーと呼べるのが寺地拳四朗です。

矢吹正道戦でまさかの敗北を喫したことをきっかけに、ファイターとしての性格を色濃くしているベビーフェイス・アサシンですが、基本スタイルがジャバーであることは微塵も変わっていません。

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寺地は1ラウンド平均で40発近いジャブを放って1位ですが、ヒット数はわずか6.7発。的中率はわずか、16.9%に過ぎません。

しかし、これをもって「寺地はリードの精度が低い」と考えるのが大間違いなのは誰にでもわかるでしょう。

これほど低い精度にも関わらず、メディアもファンも「世界最高のジャバー」と認めていることこそが、寺地拳四朗の真髄です。

主題からズレますが、ゴロフキンや井上の強烈な左も「前の手」のパンチ、ジャブとしてカウントしているCompuBoxの数字を鵜呑みにするのは禁物で、「もうちょっと精度を上げてくれ〜!」と叫びたくなります。

まあ、考えてみるとジャブの定義も難しい。

一般的には手首を返さずに打てばジャブ、返せばストレートなんですが…手首を返してからさらに捻るようにして打ち下ろす山中慎介の〝神の左〟のようなパンチも新たにカテゴライズして欲しくなります。

井上のジャブクロス、あのフィニッシュの右もきっちり手首を返していないようにも見えますから、あれは左ジャブ→右ジャブのワンツーだったのかもしれません。
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重岡銀次朗が5ラウンドTKOでダニエル・バラダレスを破って、IBFストロー級王者に。

重岡優大はパンヤ・プラダブシーを12ラウンド圧倒して、WBCストロー級王者王者に。

素晴らしい試合でした。

「次はWBO王者(オスカー・コラーゾ)」(優大)。いいですね。

2人が激突することはないでしょうが、このまま強い相手を撃破してゆけば兄弟同時PFP入りもありそうです。

色々と忙しくて、追っかけ見。

亀田興毅の〝MC〟。3150FIGHT、こういうスタイルです。良いと思います。

もうメインだけか。亀田和毅vsレラト・ドラミニ

「世界戦がメイン」というのは、MCのコメントからも伺えたように、もうこだわる時代じゃないのかもしれません。

和毅の良いところはスピードとスタミナ。残念なところは相手が怖がってくれないこと。怖さがないから、相手は攻撃に意識を集中できる。

「彼を倒すことが最大のモチベーション」と語っていた井上尚弥は怖さを見せつけて、相手の意識を防御に閉じ込めます。

スタイルの違い、というだけでなく、誰がどう贔屓目に見てもレベルが違います。

ドラミニも全く怖がらずに、のびのびと戦っています。前半4ラウンド、2と3は完全に取られました。よく考えて2−2。最悪0−4。

前半6ラウンド終了。良くて2−4、最悪0−6。明白に勝つには倒すしかありません。

この選手は、自虐的に「ペチペチボクシングを極めます」のスタイルで良い。どうして「次はKO」「今回はパワーがついた」と、毎度毎度間違った方向に行くのか。

第9ラウンド、和毅の左でドラミ二が思わずクリンチ。続く第10ラウンド、和毅が攻勢。初めて明白に取ります。

後半盛り返しましたが、勝ちは難しい。

115−113/116−112*2。ドラミ二。

SDはどうかな、地元判定の許容範囲か。
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