フシ穴の眼 〜スポーツ疾風怒濤編〜

      Hope Lights Our Way / 希望の道を、つなごう。

カテゴリ: 世界の軽量級,世界に挑む日本人

会場未定ながジョンリール・カシメロとギレルモ・リゴンドー が激突します。

カシメロは32歳、リゴンドー は40歳。軽量級としては共に若くはありません。

しかし、ジュニアフライ級で最初のタイトルを獲ってから、4階級目のバンタムでカシメロは最も凶暴になっています。

意外性の塊のようなフィリピン人は、いまがプライムタイムと見て良いでしょう。

一方のリゴンドー 。40歳という年齢は軽量級でなくても完全に黄昏刻です。
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◼️「あるキューバ人ボクサーの生き様」。カストロを裏切った男から、アメリカのチャンピオンへ。◼️


この亡命キューバ人は二つ大きな誤解を受けています。

一つ目は、ボブ・アラムやESPNが名指しで批判した「試合が面白くない」ということ。

22戦20勝1敗1NC、20勝のうち13がKO。圧倒的なパワーを見せることもあり。退屈な判定を繰り返しているわけではありません。

もちろん、スペクタクルなファイターではありませんが、人気がない最大の原因はクリチコ兄弟と同じく〝東側〟への偏見です。

もし、彼らがメキシカンなら…。クリチコ兄弟はカネロ・アルバレスを凌ぐ人気者だったでしょう。

リゴンドーもロマチェンコをジュニアフェザーまで痩せ細らせ、リバウンド制限まで飲ませて快勝していたかもしれません。

そして、もう一つの誤解は「不人気打開のため打撃戦上等に変えている」というスタイルチェンジ。

ここ数試合のリゴンドー が強引な打ち合いを避けないのは、反射能力の衰えを自覚しているからです。

スピードと動体視力、パンチの回転、フットワーク、軽量級に求められる要素は、非常に衰えやすいものばかりです。

そして、それらを支える反射は、鍛えることが難しく、加齢による劣化は止められません。

年齢を重ねても最後まで残るパワーと対極にあるのが、反射です。

リゴンドー がパワーに縋り付くのは当然の帰結なのです。

〝酒場の乱闘〟に易々と巻き込まれる今のリゴンドー は、卓越した防御技術と反射でシドニー2000とアテネ2004を連覇したキューバ代表の天才とは別人です。

20年前ならもちろん、10年前のリゴンドー でも、カシメロがどんなに意外性の塊だとしてもノーチャンスだったでしょう。

しかし、8月14日にリングに上がるのは、反射能力を完全に喪失し、スピードとフットワークまでもがれた〝10年後〟のリゴンドー です。

全盛期の野獣と、経年劣化が激しい精密機械。

対照的な二人ですが、悲しい共通点もあります。

「不人気階級の外国人」という二重苦から正当な人気や報酬が得られず、母国のリングに立てないまま不遇のサーキットを続けるジプシー・チャンピオン、ということです。

そんな二人が真夏に正面衝突します。

フィリピン人の強打が40歳のキューバ人を破壊する、と予想しますが、どちらが勝っても少し苦い味のする世界バンタム級タイトルマッチになりそうです。

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当初は3月か4月に予定されていたジョンリール・カシメロとギレルモ・リゴンドー の一戦が8月14日に確定しました。

バンタム級の完全統一=Undisputed Champion を目指すIBF/WBA王者・井上尚弥にとってWBOのピースを持つフィリピン人は、いつか倒さなければならないターゲットです。

また、完全統一には不要のセカンド王者とはいえ、WBAのベルトを巻くキューバのジャッカルは未だにトップ戦線で戦う技術をキープしていると見られ、カシメロを倒して〝勝ち上がってくる〟なら難敵になりそうです。

カシメロもリゴンドー も井上をプロモートするトップランク&ESPNと敵対するプレミア・ボクシング・チャンピオンズ(PBC)&ショータイムですが、米国で人気のないバンタム級におけるプロモーターの壁は高くはありません。

言い方は悪いですが、バンタムは添え物階級、捨て駒階級です。
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とはいえ、トップランクの井上は、日本限定とはいえ軽量級ではあり得ない破格のビッグファイトを成立させるcash cow(カネのなる木)。

米国開催で〝憧れ料〟という名の放映権料をせしめ、日本のビッグファイトで甘い汁を啜り続ける腹づもりのトップランク側としては「危険な橋を渡るのはまだ先」と考えているかもしれません。

さらに、ボブ・アラムと犬猿の仲のアル・ヘイモンが「捨て駒階級」とはいえをアラムへの当て擦りで、有力選手を出し惜しみする可能性もあります。

「井上はトップランクで飼い殺し」と報道されるのは、ヘイモンにとってさぞかし気持ち良いでしょう。

ただ、井上の場合はトップランクはあくまで共同プロモートですからガチガチの契約とは考えられません。

生き馬の目を抜く世界で、その目を抜かれ始めたトップランクに長居する必要はありません。ベストはPBCかマッチルームへの移籍ですが…。

これはテレンス・クロフォードも全く同じ構図です。アラムは乾坤一擲の「ドバイでパッキャオ戦」をぶち上げていますが、これを実現出来ないとなるとクロフォードの不信感はもう誰にも抑えられないでしょう。

この3年ほどで、アラムはすでにパッキャオを失い、テオフィモ・ロペスごときがあからさまに不信感を示しています。

ボクシングのプロモーターと、サッカーのトップリーグや強豪国の監督には大きな共通点があります。

「スター選手をコントロール出来なければ、そこで終わり」です。「スター選手に舐められたらおしまい」の世界。

そこで、パッキャオはまだしもテオフィモにまで舐められたのは、語弊を恐れずに言うと〝ヤクザの世界〟に生きるプロモーターとしては致命的です。

もちろん、ゴールデン・ボーイ・プロモーションズの方が事態は深刻で、ESPNという後ろ盾があるトップランクはまだ沈みきってはいませんが、その時代は間違いなく日没の時間を迎えています。

今年で90歳になるアラムはあと何年も指揮は執れませんから、トップランクの没落にブレーキはかからないでしょう。
 
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「ほんの一瞬だけ油断してしまった」。ゾラニ・テテは番狂わせを起こされた理由を問われ、アムナット・ルエンロンと全く同じ言い訳を口にしました。

さて、カシメロvsリゴンドー です。

40歳のキューバ人は現代リングで最も確実性の高いボクサーの1人です。どちらの意味でも番狂わせが起きない、機械的な冷血ボクサーです。

一方のカシメロは32歳。「誰に勝っても不思議ではないが、誰に負けても不思議ではない」という世界で最も不確実なファイター、その血液はいつも沸騰しています。

非常に面白いマッチメイクです。

どちらが勝ち上がっても、井上にとってキャリア最強の敵になります。

リゴンドー はもちろん、カシメロも何者であるのかが世界レベルでほぼ証明されたファイター。

リゴンドーは、井上が粉砕してきたオマール・ナルバエスやジェイミー・マクドネル、ファン・カルロス・パヤノ、ノニト・ドネアといった世界レベルでの現在位置が定まった選手たちと、同じ。そこが見えたボクサーです。

しかし、ドネアの全盛期にピリオドを打ち、ワシル・ロマチェンコとの〝階級差マッチ〟以外は負けていません。

もし、リゴンドー を失神KOするスペクタクルを見せつければ、世界中のボクシングマニアを刮目させる勝利になります。
 

そして、カシメロです。

世界戦6勝5KO2敗、3階級制覇してなお、破格のバンチャーであり続けるQuadro Alasは、32歳にして永遠の原石。

飛び級3階級制覇しながらバンチャーの性格をより強烈に印象づけているという井上との共通点を持ちながら、モンスターは教科書通りのPFPファイター、フィリピンの野獣はセオリー無視の喧嘩ファイターと全く対照的。

常識的に考えるなら、カシメロに勝ち目はありません。しかし、常識が通用しないのがカシメロです。

経験値も技術もボクシングIQも後天的な戦力は圧倒的に井上が上回っています。スピードとパワーといった先天的な要素が強い部分はほぼ互角。

そして…一瞬の閃きはカシメロです。

井上がパヤノに放ったジャブ・クロスは本人が「降りてきた」という美しいワンツーでしたが、あれは普段の練習から何度も反復してきた技でした。そして、パヤノの倒れ方から誰の目にもが試合が終わったとわかりました。

対して、カシメロがゾラニ・テテを一撃で奈落の底に落とした〝奇妙な角度とタイミングで放たれた〟右パンチ。観客もテレビを見ていた視聴者も、変なパンチが当たったのはわかっても、決定的な一撃には見えなかったでしょう。

しゃがみこんだ南アフリカ人が「スリップだ」と不満を見せてスッと立ち上がっても、おかしくない、そんなパンチでした。

フィリピン人に限らず〝ネクスト・パッキャオ〟の誇大広告を背負わされたボクサーは数え切れません。当たり前ですが、そのどれもが全てが偽物でした。

前人未到の8階級制覇は置いておくにしても、敵地をサーキットしながら番狂わせを演じるなんて普通ではありません。

ただ、後者の意味合いで、カシメロは最もパッキャオに近い空気をまとうファイターでしょう。

フィリピン人のロードウォリアーにもかかわらず、Quadro Alasが〝ネクスト・パッキャオ〟と呼ばれたことはほとんどありませんが、彼こそ最もパッキャオ的なファイターです。 

超軽量級は、世界的には注目度が低いため オッズや専門家予想はまだ見付けることができません。しかし、この試合、そろそろ「カシメロ有利」の見立てになるかもしれません。

直近の試合相手、デューク・マイカーは経験不足の未知の強豪でしたが、けして弱いバンタム級ではありません。あの相手を屠ったカシメロからは、今までにない冷静さ、貫禄も感じました。

冷静さ、貫禄を身につけたらカシメロの魅力は半減する…。そうかもしれませんが、そうではないかもしれません。

13年前にライト級のデビッド・ディアスを冷徹に切り刻んでいった、マニー・パッキャオも全く同じことを言われていましたが、パッキャオの物語は次の試合で歴史的な大番狂わせを起こすことで、新章に突入しました。

カシメロvsリゴンドー。

私には、カシメロのKO勝ち以外の予想は出来ません。 
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高山勝成が5月8日、WBOジュニアフライ級王者エルウィン・ソトに挑戦することが決定しました。

ESPNなどがソトを「フライ級」と報じていますが、軽量級に疎い欧米メディアのアルアルです。

このクラスは京口紘人がソトと同じマッチルームと契約、年内にも両者の激突が期待されていますが、高山が24歳のメキシコ人を破って2階級制覇となると日本人対決が実現します。

「高山vsソト」がセットされたのは、カネロ・アルバレスがビリー・ジョー・サンダースを迎えるメガイベントのアンダーカード。
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舞台はテキサス州ダラスのAT&Tスタジアム、マニー・パッキャオ(vsジョシュア・クロッティ)がボクサーとして初めて登場した8万人収容の巨大スタジアムです。

2019年12月に岩佐亮佑がニューヨークのバークレイズセンターのリングに上がるなど、日本人ボクサーが大会場のリングに上がることは珍しくありませんが、AT&Tスタジアムは米国では究極です。

高山にはなんとしてもソトからタイトルを奪って、京口との団体統一戦に繋げて欲しいところ。

そうなれば、開催地は当然日本。

エディ・ハーンに儲けさせるのは癪に障りますが、日本開催でも「京口vs高山」がそこまで盛り上がるか…。

ハーンに同情しちゃうことにならないか、ちょっと心配になってきました。。。
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マッチルームがジュニアフライ級のタレントをまた傘下に収めました。

リング誌/WBA王者の京口紘人に続いて、WBOのエルウィン・ソトがマッチルームと契約。

ソトは、ゴールデンボーイ・プロモーションズ(GBP)がサンフェルと共同プロモートしていました。

契約年数(試合数)、契約金は不明ですが「次の防衛戦をクリアしたら統一戦に乗り出す」とのことです。
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https://www.matchroomboxing.com/news/elwin-soto-signs-with-matchroom/
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ジュニアフェザー級以下の超軽量級は米国では需要が低く、メインイベントでは使えない素材ですが、メインに高額の報酬を保障しなければならないPPVなどのメガイベントではコスパの高い超軽量級が重宝されます。

一方で、高額のPPVを買わされるマニアたちからは「パッキャオやメイウェザー、カネロのイベントの前座は安上がりで面白くない」と不評。それでも、買ってしまうのがマニアの悲しい性です。

そして、メガイベントの前座常態化することで、超軽量級のステイタスはさらに下落というデフレスパイラルに陥っているのです。

トップランクがジェルウィン・アンカハスと複数年契約を結んだのも、GBPがソトとの関係をキープしていたのも〝メガファイトの前座〟要員でした。

しかし、かつての二大プロモーターにも没落ムードが漂い始め、トップランクはマニー・パッキャオ、GBPはカネロ・アルバレスに三行半を突きつけられて、そもそもメガファイトに上げるスター選手を失ってしまいました。

井上尚弥と村田諒太の現状を見ても、トップランクにかつてのマネジメント能力が期待できないことは誰の目にも明らかです。

今や、米国の勢力図はアル・ヘイモンのPBCとマッチルーム、そして落ち目のトップランク、GBPは4番手グループに脱落という構図です。

欧米では人気もウマミもない超軽量級ですが、日本やタイでは事情が全く違います。米国では見向きもされなかったWBSSバンタム級が、日本ではメガファイトに化けるのです。

エディ・ハーンは「ジェイミー・マクドネルの試合(vs井上尚弥)で軽量級の商品価値を見直した。そして井上vsドネアで確信した。しかもアジアには日本とタイ、韓国だけでなく中国が控えている」と見通しています。

ジュニアフライ級の決戦はロンドンやラスベガスでやってもビジネス的な意味がありません。日本開催を想定しているのは明らかです。

トップランクとGBPの凋落を見るまでもなく、スーパースター選手は承認団体だけでなくプロモーターまで手玉にとる時代になりました。

スーパースター選手との関係を良好に保ちながら、コントロールしやすい軽量級や超軽量級のビジネスにうまく取り組んでいくことが、今まで以上に求められています。

WBSSやハーンのスタイルが定着すると、超軽量級シーンは日本を中心としたアジアが大舞台になり、世界的にも再び尊敬され、潮目が変わりそうです。

「バンタム級にもラスベガスでメガファイトがある」と妄想していた信者たちはガッカリでしょうが、ボクシング界としては悪いことではありません。
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Saturday 20, February 2021
The Bubble, MGM Grand, Las Vegas, Nevada, USA  
WBC世界ジュニアライト級タイトルマッチ


メキシカンのスラッガー対決は、アマチュア時代も含めた経験と対戦相手の質で30歳のバルデスが上回るものの、それは1階級下の126ポンドでの実績。

確かに体格は王者が身長170㎝/リーチ182㎝、挑戦者は166㎝/168㎝。

大方の予想ではナチュラルな130パウンダー、ベルチェルトの体格と体力が試合を決めると見られています。
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フェイスオフが遠い…。

リング誌の専門家20人による予想でも18勝(16KO)1敗1分。一方的にベルチェルトを支持しています。

一方で、現在のオッズは〝小さなサソリ〟の異名を持つ王者が1/4(1.25倍)、純正メキシカンスタイルの挑戦者は3倍。予想ほどの開きはありません。

このギャップは両者の人気が大きく作用しています。

地味なキャリアを送ってきた実力者が、チーム・カネロの切り込み隊長を迎え撃つ構図がオッズの数字に反映されているのでしょう。

37勝33KO1敗の強打者ベルチェルトですが、三浦隆司のボンバーには引いて戦うなど臨機応変さも兼ね備えているのに対して、バルデスはメキシカンスタイルの標本。

メキシカン同士の対決は激闘がが期待されます。いいえ、激闘しか求められないといっても過言ではないでしょう。

だから、ジョニー・ゴンザレスとフェルナンド・モンティエルはチキンのアンポンタンなのです。

他のスポーツとボクシングの決定的な違いの一つは、エミネムのLose Yourselfではありませんが、one shot,one opportunity、チャンスはこれっきりと思って戦うんです。Would you capture it or just let it slip?そこで魅せるか、それともヘタレの烙印を押されるか。

ジョニゴンvsモンティエル、あの試合で二人が勇気の橋を渡っていれば、第2戦、第3戦が用意されたでしょう。しかし彼らは足をすくませ、危険な橋を渡ろうとはせず、ファンの期待を裏切りました。
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「私は多くのメキシカン対決をプロモートしてきたが、この試合はエリック・モラレスvsアントニオ・マルコ・バレラ(2000年2月19日)を思い出す。特に第1戦のような火を噴く激闘になるかもしれない」「あれは私が手がけた最高傑作のひとつ。前座はアントニオ・マルガリートvsセルヒオ・マルチネスだったんだ、信じられないだろう?」(ボブ・アラム)。

そういえばそうでしたが、さすがにモラレスvsバレラは次元が違います。

それでも「子供の頃にモラレスvsバレラを見て感動した。あの二人が私のアイドル」というバルデスが先に攻撃を仕掛ける展開になるはずです。

もし、前戦で130パウンドで戦うパワーに心配を残した元フェザー級王者の攻撃を、7度目の防衛戦のリングに上がる王者が脅威に感じない展開になると大方の予想通りにベルチェルトの後半ストップ勝ちが濃厚です。

逆に、三浦戦のようにバルデスのプレッシャーを受ける展開になるとベルチェルトでは捌ききれないでしょう。

個人的には専門家予想、オッズとは逆張りになりますが、後者と見ます。

これは、尾川堅一が将来統一戦を戦うとして「人気のある無敗のバルデスを倒す方が見たい」という願望もバイアスになってますが、米国メディアはバルデスの技術をあまりにも過小評価しすぎだと感じています。
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▶︎興味本位の質問ですが、西岡、長谷川、山中のバンタム周りの3人の優劣を付けるとしたらどの様にランク付けされますか(私は記載順です)?
2021-02-17 22:28:27 返信編集 yuin 133.32.224.127

西岡、長谷川、山中のバンタム周りの3人の優劣!

リングの上で戦ってない3人の優劣なんて正解などありっこないのですが、非常に面白い話です。

「4−belt・17division・Multi-Champion」という、アスリートとしては最悪の時代に最強を証明しようともがいた〝帝拳プロデュース〟の3人。

そして、この〝帝拳プロデュース〟3人の延長上を走っているのがの井上尚弥です。

長谷川と西岡、山中の3人が目指した「ラスベガス」「PFP」という舞台、そして「帝拳」を加えた3つのキーワードには、日本ボクシングの現在位置を語るエッセンスが凝縮されています。

長谷川も西岡も山中も…。3人とも〝玉砕〟に値する大勝負を希求しました。もちろん、本人は勝利する自信があったでしょうが、ある意味で彼らは「純粋で澄み切った死に場所」を探していたのかもしれません。

彼らが憧憬したサウスポー、マニー・パッキャオは42歳になった今でも「不純で混濁した生きる場所」にしか執着していないのとはあまりにも対照的に…。
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リング誌2012年1月号。1月号は「Ring100」を毎年企画、これは「PFP100傑」というとんでもない妄想ランキングでしたが面白かった!

どんなに精密にボクシングを見てる人でも8位と9位の間にある明白な差(多くの場合は1位2位ですら)を説明できないというのに、100位まで並べてしまうのですから。

大きな誌面を取るため、経営難から真っ先にリストラされ、残念ながら消滅してしまった特集です。

リング誌の評価は〝グラスジョー〟〝ジャパニーズ・パッキャオ〟長谷川が29位、ジョニゴンとラファマルを撃破した西岡の36位よりも上でした。ジョニゴンと当時のラファマルの世界評価は日本で喧伝されていたものよりはるかに劣悪だったので当然といえば、当然ですが…。

3人とも「旬の強い相手とラスベガスの大舞台で戦う」夢を抱きましたが、誰も実現出来ませんでした。

惨敗はしたものの「強い相手には辿り着いた」という点で、西岡が一番ハッピーだったかもしれません。

そして、理想とは全く違いましたが「王者として引退」という折り合いを見つけた長谷川。

「連続防衛記録」という折り合いを付けようとしたのに〝不運な事故〟に遭ってしまった山中。

「誰に勝ったのか?」では長谷川は論外。西岡の「ジョニゴン」と山中の「モレノ」は劣化版でもモレノでしょうか。

「誰に負けたか?」なんて評価しちゃうと寺尾新が最強になってしまいますが、あえてこの物差しを持ち出すと、3人の中では西岡の「ドネア」一択です。

これは、井上尚弥も加えた、優柔不断の世界評価に立ち向かった〝帝拳プロデュース〟サムライの物語、モンスターも交えて現在進行形で語るべきかもしれません。 

そう考えると、井岡一翔の立ち位置はunique(他にない)ものです。

「ラスベガス」「PFP」という軽量級の虚飾と、「帝拳」「井岡」というアプローチの流儀。

まともなスポーツなら、選手が声を上げる話ではなく、裏方の仕事ですが 、プロボクシングはまともな世界じゃありません。

日本人であるが故に。軽量級であるが故に。

彼らの〝であるが故に〟の深い峡谷に潜ってゆきます。
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晴天、気持ちいいです。

あと156日。本当ならもうカウントダウンモードに入ってて良いからですが…。

このカウントタウンタイマーが無ければ、五輪を直前に控えたホストタウンの気配はほとんど感じられません…。
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週の真ん中、水曜日。17階級の真ん中ジュニアライト級のお話、と思いきや、真ん中は上から数えても下から数えても9番目のライト級でした。

気を取り直して。

日本人の世界ヘビー級王者やウェルター級王者はどうして生まれないのでしょうか?

前者は体格の問題ですが、後者はより重いジュニアミドルとミドルで世界王者を輩出しているだけに、体格の問題だけでは片付けられません。

〝ウェルター問題〟の原因は、日本以上にカネが動く米国が主戦場ということに尽きます。

「ウェルター級はレベルが高いから軽量級を狙ってるだけ」というのも、本当は真実ではありません。

「ウェルター級で世界戦をやりたい」と希求しても、簡単にチャンスが与えられるわけがないのです。

富裕国で人気があるウェルター級では、チャンスも簡単には回ってこない、のです。

逆にジュニアフェザー以下の超軽量級は、欧米で人気が無く、途上国や日本よりもマネーパワーの低い国のボクサーが多いので、日本の思惑通りに話を進めることが出来ます。

ウェルター級は論外としても、ライト級から上のいわゆる人気階級で日本人が世界挑戦するためには、幸運にもタイトルマッチの声がかかるか、中谷正義のように壁を一枚ずつ突破してアプローチするか、村田諒太のようにプロジェクトチームを立ち上げて取り組むしかありません。

フリオ・セサール・バスケスとのWBAジュニアミドル級王者決定戦に呼ばれた上山仁は幸運でしたが、敵地で行われる試合まで2週間を切ったオファーでした。

淵上誠も世界ミドル級王者に挑戦する幸運に恵まれましたが、相手は当時30歳のゲンナディ・ゴロフキン。

ライト級以上は、村田のような例外中の例外を除いて日本人がコントロールすることは出来ません。

その意味で、130ポンド=ジュニアライト級は日本人がコントロール出来る、航海に耐え得る最重量クラス、限界階級です。

沼田義明や小林弘、柴田国明が強打を振るい、上原康恒がデトロイトから世界を震撼させ、畑山隆則が青春を謳歌、内山高志が覇権を打ち建て、三浦隆司がボンバーを炸裂、伊藤雅雪が爽やかに踊ったジュニアライト級。

しかし、現在は王者不在。〝日本領〟とは到底言えない状況が続いています。

現在、この海域をコントロールしているのは、帝拳と強力なネットワークを築いているトップランク。

日本人にも〝海図〟が手に入ります。

そして昨日、IBFが空位の王座を尾川堅一とシャフカッツ・ラヒモフで決定戦を行うよう指令を出しました。

尾川は、ジュニアライト級でまた日本が輝く先鞭になれるのか?

勝負のときを迎えます。





SATURDAY, FEB. 20
Las Vegas (ESPN)The Bubble, MGM Grand, Las Vegas
12 rounds – junior lightweights (for Berchelt’s WBC title)

三浦からフランシスコ・バルガス、そしてミゲール・ベルチェルトに渡ったWBCのストラップ。

挑戦者はフェザー級から上がってきた無敗のオスカー・バルデス。

オッズは29歳の王者が2/7(1.29倍)、30歳の挑戦者13/5(3.6倍)。はっきりと「王者有利」のフラグが立っています。



▶︎27日にロンドンでゴングが鳴らされるはずだったWBO王者ジャメル・ヘリングの3度めの防衛戦は、カール・フランプトンが拳を負傷したため、延期。

こちらはフランプトン7/10=1.7倍、ヘリング13/10=2.3倍と挑戦者有利のオッズが、立ち上がっていました。

WBOのピースも元はと言えば伊藤雅雪のモノでした。伊藤の敵討ちも悪くありませんが、日本人がフランプトンに勝つところも見てみたい!
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WOWOWでは「バンタム級」10回戦と紹介されていますが、両者の計量は119ポンドです。119ポンド契約のジュニアフェザー級ですね。

ファン・カルロス・パヤノにとっては4戦連続アンダードッグのリング。

今回も無敗アントニオ・ラッセルの踏み台です。

西岡利晃も亀海喜寛も「サウスポー同士」 がポイントと指摘。納得です、二人のスタイルからしてもまずそこですね。

オープニングラウンド、36歳のパヤノがまずまずの立ち上がり。 第2ラウンドもパヤノが積極的。それでも左リードの多いラッセルに採点は流れたか。

非力なパヤノですが、強引に打撃戦を仕掛けます。第3ラウンドはパヤノの攻勢を取ります。

体ごとぶつけてくるベテランは、27歳のラッセルにとって良いテストです。第4ラウンド、パヤノの右目上から出血。

元々がダーティファイターのドミニカンですが、力んで空転。相手は嫌でしょうが、ジャッジやファンの見栄えは悪い。

第6ラウンド、距離を潰せなくなったパヤノの被弾が増えて、終了間際にはダウン寸前に。右目上の出血も目立ち、このインタバルでリングドクターによって試合が止められます。

綺麗なボクシングをしていては若い選手に勝てない…パヤノの戦法はあれしかないのかもしれませんが、あの戦い方ではやっぱり勝てない。

7ラウンド1秒、負傷判定。オフィシャルは59-55*2/58-56。二つもジャッジペーパーではパヤノ、1ラウンドしか取れてません。厳しい。

ラッセルはデビューからの連勝を18(12KO)に伸ばし、パヤノは直近5戦で1勝4敗。




Jaron Ennis vs. Chris van Heerden
10 rounds – welterweights

ジャロン・エニスの評価は今回も先送りです。 あのパターンじゃない展開が見たいです。

しかし、こっちの頭も痛くなる、ものすごいクラッシュ、バッティングでした。 バンヘーデン、額がバックリ切れてます。
 



Uncasville, Connecticut (Showtime)
12 rounds – bantamweights

ウィルアムヒルのオッズは4/6(1.67倍):6/5(2.2倍)、3−2でわずかに28歳のプエルトリカンが有利と出ていますが、24歳のフィリピン人の強打も侮れません。
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全く5分の試合と見て差し支えありません。元王者でプエルトリコのホープだったロドリゲスにとっては〝名誉挽回〟のチャンスですが…。

明日のバンタム級シーンを考えると、傷物のマニー・ロドリゲスが生き残るよりも、未知の強豪ガバリョがベールを脱ぐ試合になった方が楽しみです。 

序盤の入り方が上手いロドリゲスをガバリョがどう迎えるか? 

第1ラウンド。ジャブのカウンターでガバリョを下がらせるなど、パンチの精度でロドリゲス。 

ラウンド2。前進するガバリョ、下がるロドリゲス。決定打なし。

ラウンド3、ガバリョが攻撃を加速。ロドリゲスの後退があからさま。フィリピン人の笑顔は逃げるロドリゲスに対してか。

ラウンド4。ロドリゲスの右所とカウンターでガバリョがグラつく。ロープがなければ倒れてた。しかし、ダメージは浅い。ロドリゲスが鼻血。ロドリゲスのラウンド。

ラウンド5。ロドリゲスの精度が目立つ。

前半折り返しの6ラウンド。ロドリゲスが主導権を握った。スコアリングが難しいラウンドもあるが、後半はロドリゲスがペースを取りそう。

ラウンド7、難しいラウンド。ガバリョの攻勢が目立ったが。

ラウンド8。ガバリョの左フックがクリーンヒット。ロドリゲスは腹も効いいてる。ガバリョ。

ラウンド9。前進するガバリョ、迎撃するロドリゲス。どちらも精度は低い。

ラウンド10。またロドリゲスのジャブのカウンターが一閃。しかし、慎重。ロドリゲス。

チャンピオンシップラウンド。ずーーっと同じ展開。ロドリゲス、採点では安全圏でしょう。

最終回。これがロドリゲス、そしてこれが今のガバリョ。アクセントのない試合でした。

ラスベガスならロドリゲスの勝利だった気がしますが、攻勢を取ったということですね。

パンチスタッツは、ロドリゲスが109/372(ヒット率29%)、ガバリョ93/520(18%)。二人のジャッジは、常に前進して520発を放ったフィリピン人を評価したのでしょう。

ロドリゲスは行くべきときに行けませんでした。難しい試合でした。

ガバリョから見て116-112/115-113/110-118。西岡が首を傾げたように110-118はないです。
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36分間通して、前に出ていたのはガバリョ。後半、ペースを掌握していたのはロドリゲス。ロドリゲスには厳しいスコアリングでしたが、今回もヘタレ性を存分に見せつけました。世界戦で彼がKOする試合はいつか訪れるのでしょうか?

なるほど、報酬も評価も低いはずです。明白に支配したとアピールできるラウンドをいくつも作れたはずなのに。

ヘタレ・ロドリゲスは〝マニー〟の名前を返上すべきです。そして、ガバリョ、力みもあったでしょうが今日はヘタすぎました。

これで、バンタム級はWBOとWBC暫定、二つのストラップをフィリピンが掴みました。カシメロは置いておいて、井上がガバリョに負けるのは想像もできません。




そして、カラム・スミスがいい立ち上がりです! 
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Uncasville, Connecticut (Showtime)
12 rounds – bantamweights

王者ノルディーヌ・ウバーリがノニト・ドネアを迎えるはずだったWBCバンタム級タイトルは、ウバーリが新型コロナ感染で離脱、エマヌエル・ロドリゲスが代打に抜擢された王者決定戦がセットされますが、今度はドネアが感染(再検査で陰性)。

ようやくマッチメイクされたのは「ロドリゲスvsレイマート・ガバリョ」というWBC暫定のベルトを争う、当初とは全く違うカード。

ロドリゲスは「タイトルがステイクされることになったのは素直に嬉しい。ガバリョはドネアよりも攻撃的だが、防御に欠点がある。それでも無敗のフィリピン人は簡単な相手ではない」と気を引き締めています。

二転三転する対戦相手、日程に翻弄されたのは、ホセ・ベラスケスからファン・カルロス・パヤノ、そしてロドリゲスに落ち着いた〝Assassin〟の渾名を持つ24歳のフィリピン人にとっても同じです。

「対戦相手の変更など不測の事態が起きることは、この状況下では想定内。ロドリゲスの名前も(共同プロモーターのMPプロモーションズから)聞いていた。舞台がメインイベントで世界戦にステップアップしたことは、私のモチベーションにとってプラスでしかない」(ガバリョ)。
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日本時間の今日未明に行われた前日計量で、両者ともに117.6ポンドと0.4ポンドアンダーの同じ体重でクリア。

世界的には全く無名のガバリョは「ゼネラルサントス出身(事実は車で20分の隣町)」「MPプロモーションズ」「ネクストパッキャオ」という、米国のボクシングファンでもわかる〝パッキャオのキーワード〟を並べて紹介されていますが、その実力は懐疑的に見られています。

誰でもかれでも〝ネクストパッキャオ〟って付けるのは、もうそろそろやめたほうがいいです。それをいうと、ロドリゲスも〝プエルトリコのマニー〟ですが。

そのガバリョ、ジュニアフェザー級でWBCアジア、バンタム級ではWBA暫定のタイトルを手にしていますが、どちらも決定戦。

WBCアジアは対戦時で11勝14敗のメイコット・コンピュトは負け越しの数字を17勝27敗まで〝伸ばして〟いるB級クラブ・ファイター。

2018年3月に獲得したWBA暫定は、当時無敗のステフォン・ヤングから3ラウンドにダウンを奪っての判定勝ちですが、相手はあのヤングです。

つまり、23戦全勝20KOという数字には、全く中身がありません。

一方のロドリゲスは、王国プエルトリコで期待のホープ10人に数えられたこともある元IBF王者。山中慎介にノックアウトされたアルベルト・ゲバラを大差判定で下し、タイトルは英国のポール・バルターからやはり大差判定でもぎ取りました。

バルター戦は初回に2度のダウンを奪いながら仕留めることができませんでしたが「初のタイトル獲得に慎重になった」と好意的に見られていました。

しかし、初防衛戦のジェイソン・マロニーで「世界基準ではパンチがない。動きが読まれる」と評価は一転。

不利予想で〝挑戦〟した井上尚弥戦も第1ラウンドの動きは良かったものの、2ラウンドでストップ負け。2度目のダウンでセコンドの「立て!」の指示に首を降る様はメディアやファンを幻滅させてしまいます。

さらに、昨年11月23日のWBC王者決定戦では体重超過を犯したルイス・ネリとの対戦を拒否。

このブログでも「ネリ側の交渉を受け付けなかったロドリゲスは当然」と書きました。しかし、それはあくまで〝スポーツ〟一般論です。

こっちがAサイドならそれでも問題ありません。

しかし…。

①超過体重は1ポンド、②試合のAサイドは圧倒的にネリ、③ShowTimeのPPVイベント「デオンティ・ワイルダーvsルイス・オルテス」の前座という3点を〝ボクサー〟として考えるなら何があっても受け入れるべきでした。

マニー・パッキャオ陣営や、チーム・カネロに取り入り、パッキャオやワイルダーのメガファイトの前座に出場、バンタム級では本来ありえない報酬を手にするようになっていたネリは、1ポンドの体重超過で対戦を断る相手ではありません。

このときの報酬もネリは30万ドル、ロドリゲス7万5000ドルと元王者に何のリスペクトもない設定でした。ネリに人気があるならまだしも、そうではないのです。ファイターのプライドに火がつかなかったのでしょうか?

メディアも「王者側でも譲歩する例が普通にあるのに、たった1ポンドの超過でBサイドが交渉のテーブルにも着かないのは異例」と批判、ファンは「ヘタレならボクシングやめろ」ともっとあからさまに糾弾しました。

もちろん、ロドリゲスは何も悪いことをしていません。悪いことしたのはネリの方です。

しかし、不条理が大手を振ってまかり通るのがボクシングの世界です。カネロのキャッチウエイトや当日リバウンド制限は〝事前了承済み〟の体重操作です。それでも、カネロの前には対戦を希望するボクサーが行列を作ります。

規模は違えど、同じことです。

ロドリゲスは〝スポーツマンとしてまともな行為〟を行っただけで、批判や罵詈雑言を浴びるのは御門違いです。

そう、その通りです。ただし、それは〝スポーツの世界〟なら、の話です。



ーーネリは今年9月に、ShowTimeのPPVイベントにチャーロ兄弟の前座で出場しWBCジュニアフェザー級王者になりました。




今回の試合は、ロドリゲスに与えられた贖罪のチャンスです。チキンでもヘタレでもないことを証明する力強いファイトが見せれるのか?それとも、やっぱり…?

オッズはロドリゲス4/6(1.67倍)、ガバリョ6/5(2.2倍) 。

世界レベルではパッとしないロドリゲスですが、経験値は買われてると見ているのか、それとも底の割れたロドリゲスよりも未知数のガバリョに勝機があると踏んでいるのか。

ウィリアムヒルではガバリョのノックアウトが4倍、ロドリゲス5倍。KO決着ならフィリピンの暗殺者が評価急落のプエルトリカンを破壊する方に微妙ながら傾いています。

いずれにしてもオッズも予想も拮抗しています。 

未知数のAssassinと、悪い意味で評価の固まったロドリゲス 、衝撃的な結末が待っているかもしれません。
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井上尚弥が完全統一を目論む118ポンド、バンタム級。

WBOのストラップを持つジョンリール・カシメロと、WBAセカンド王者ギレルモ・リゴンドーの団体統一戦が来年3月か4月に対戦することで交渉が進んでいます。

IBFとWBAをコレクションした井上がコンプリートを目指すバンタム級に残されたストラップは、カシメロのWBOとノルディーヌ・ウバーリのWBC。

リゴンドー が腰に巻くWBAセカンドベルトは、上位(スーパー)王者である井上が議論する余地のない王者=The Undisputed Champion になるために必要なピースではありません。

もちろん、世界中のボクシングマニアが難攻不落と評価してきた高等技術を持つキューバ人を、すでに全盛期のスタイルではないとはいえ、派手に撃沈する意味はあるでしょう。

いずれにしても、31歳のフィリピン人と40歳のキューバ人の勝者を潰すことで、バンタム級コンプリートに王手をかけ、セカンド王者を一時的には殲滅できます。

完全統一に不要とはいえ、セカンドとはいえ、自分の他に王者を名乗るヤツがいるのは目障りです。

もちろん、WBAのことです。井上がセカンドを潰すと、すぐさま決定戦を画策するのは間違いありません。

カシメロvsリゴンドー。世界的には全く関心を払われないバンタム級の世界タイトルマッチですが、非常に面白いマッチメイクです。

野生と洗練。直感と理屈。 狂気と保身。

何もかも対照的に見える二人ですが、共通点があります。

無名であることへの苛立ち。自分の実力が正当に評価されないことへの怒り。 

しかし、ユリオルキス・ガンボアやエリスランディ・ララらと同様に「キューバのトップアマはプロでは面白くない」という烙印が押されたリゴンドーに対して、マニー・パッキャオのように世界でスペクタクルな拳を振るうカシメロは、少なくとも母国では英雄扱いされてもおかしくない存在でした。

しかし、最も人気にあるウェルター級まで征服したパッキャオの果実を味わったフィリピンにとって、米国でテレビにすら乗ったことがないカシメロは「スター」とは言い難い存在に甘んじてきました。

井上尚弥との対戦を熱望したのも「評価の高い日本人を倒すことは母国で人気を上げる最も手っ取り早い方法」だからでした。

そして、井上をプロモートするトップランクとの交渉が停滞すると、MPプロモーションズと関係の深いPBCから打診された「チャーロ兄弟のPPVイベント」出場へ舵を切ったのはあまりに当然のことでした。

待望の米国テレビ初登場も、井上戦ならESPNの枝葉放送ESPN+でしたが、デューク・ミカー戦はShowtime 、格が違います。
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リング誌1月号から。〜カシメロはフィリピンの偉大な先人たちとは全く違う異才だ〜

井上とカシメロもまた、全く対照的なファイターです。

基本から応用、教科書に沿ったカウンターパンチャーと、一瞬の閃きで放つ一撃でゲームを引っくり返すスラッガー。

そして、共通点は飛び級の3階級制覇にもかかわらず、その強打が色褪せるどころかますます火力を増しているアジア人ということ。


カシメロ話は読むのも書くのも、面白いです。
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