ニック・ボールを育てたThe Teacher、4人の子持ちの52歳、ポール・スティーブンソンとはどんな人物なのか?
リバプールのエバートン・レッド・トライアングル・ボクシングクラブでスティーブンソンはボクシングを始めたのは15歳のとき。
ライトフライ級のアマチュア選手でしたが、21歳のときに網膜剥離が見つかり競技を断念。それからは。ボクシングの情熱をアマチュアの指導に注ぐことになります。
アマチュアでさまざまなレベルの選手を教え、コーナーに立つこと1000回以上という経験から導き出された哲学は、攻撃こそ全て。
最初に英国王者になったケビン・サッチェルはフライ級ながら5フィート7インチ(約170㎝)の長身で、タイトルを奪った相手は160㎝のクリス・エドワーズ。
サッチェルは常識的にはジャブで長い距離をキープするのが戦術のベースです。しまし、スティーブンソンは終始重圧をかける作戦を与えて、6ラウンドでエドワーズをTKOしました。
ニック・ボールがエバートン・レッド・トライアングルを尋ねてきたのは18歳のとき。すでにアマチュアでボクシング経験はあったものの、もう3年間も試合から遠ざかっていました。
スティーブンソンに会うなり、ボールは「プロボクサーになりたい」と、何か助けを求めるように声を絞り出しました。
身長157㎝のずんぐりした体型のボールは、表層的な防御優先の指導に欲求不満を募らせていたのです。
「殴り合いたいのに、とにかくまず守れと言われると戦う気が失せてしまう」。
YOU ’VE COME TO THE RIGHT PLACE.I’M GOOD AT TRAINING AGGRESSIVE FIGHTERS.
「お前がこのジムに来たことは大正解だ。私は、お前みたいな攻撃的なファイターを教えるのが大の得意なんだから」。
打たれる前に打て。打つときに大切なのは角度と強弱だ。
攻撃こそが全て。その言葉のままに、むやみな攻撃一辺倒の指導ではないことは、ボールもすぐに気づきましたが、スティーブンソンのやり方は攻撃的ファイターの本能やプライドを邪魔するものではありませんでした。
それどころか、いつのまにか彼らが防御についても自分で考えるようになっていたのです。
エバートン・レッド・トライアングルは100年を超える歴史を持つボクシングクラブで、1930年代に誇り高きロンズデールのベルトホルダー、ネル・タールトンが1930年代にフェザー級タイトルに2度挑戦、2016年7月16日にはジェームス・ディケンズがWBAジュニアフェザー級王者ギレルモ・リゴンドーに顎の骨を砕かれて棄権…。
リバプールはサッカーやビートルズで世界的に有名ですが、ボクシングの伝統もまた長く息づいている土地です。
そして、昨年3月24日にサウジアラビア・リヤドのキングダムアリーナでニック・ボールはスティーブンソンが教えたやり方を忠実に実行。WBCフェザー級王者レイ・バルガスから2度のダウンを奪って優勢に試合を進めます。しかし、どういうかわけか三者三様のスプリットドローでタイトル奪取に失敗。
それでも、わずか69日後の6月1日に再びキングダムアリーナのリングでWBA王者レイモンド・フォードと押し切り、SDでタイトルを獲得。
ついに、リバプールを拠点にしたファイターが世界タイトルを掴み取りました。
評価の高かったロベイシ・ラミレスと、ルイス・アルベルト・ロペスが、番狂せを起こされ、相次いで陥落。
フェザー級戦線は混沌としています。
現在のリング誌の見立てはロペスを痛烈にKOしたアンジェロ・レオ、ラミレスに連勝したラファエル・エスピノサ、そしてボール、幸運な勝利を手にしたスティーブン・フルトンの順で、ボールの評価はフルトンとともに階級最弱。
スティーブンソンは「メディアの評価は気にしない。私もTrainer Of The Yearにノミネートされたこともない。現実の試合は、メディアの評価で決まらない。私たちは、これまでもこれからも現実の試合で勝ち抜いていくだけだ」。
確かに、ボールの評価は高くありません。レイ・バルガスは確かにやりにくい相手とはいえ、激闘に消耗した33歳でした。レイモンド・フォードは評価が高い方でしたが、ボールとの対戦時は脱水症状で干からびたバージョン。そんな2人と一進一退の攻防を繰り広げたメリハリのない突貫ファイター、そんな印象しかありません…。
リバプールのエバートン・レッド・トライアングル・ボクシングクラブでスティーブンソンはボクシングを始めたのは15歳のとき。
ライトフライ級のアマチュア選手でしたが、21歳のときに網膜剥離が見つかり競技を断念。それからは。ボクシングの情熱をアマチュアの指導に注ぐことになります。
アマチュアでさまざまなレベルの選手を教え、コーナーに立つこと1000回以上という経験から導き出された哲学は、攻撃こそ全て。
最初に英国王者になったケビン・サッチェルはフライ級ながら5フィート7インチ(約170㎝)の長身で、タイトルを奪った相手は160㎝のクリス・エドワーズ。
サッチェルは常識的にはジャブで長い距離をキープするのが戦術のベースです。しまし、スティーブンソンは終始重圧をかける作戦を与えて、6ラウンドでエドワーズをTKOしました。
ニック・ボールがエバートン・レッド・トライアングルを尋ねてきたのは18歳のとき。すでにアマチュアでボクシング経験はあったものの、もう3年間も試合から遠ざかっていました。
スティーブンソンに会うなり、ボールは「プロボクサーになりたい」と、何か助けを求めるように声を絞り出しました。
身長157㎝のずんぐりした体型のボールは、表層的な防御優先の指導に欲求不満を募らせていたのです。
「殴り合いたいのに、とにかくまず守れと言われると戦う気が失せてしまう」。
YOU ’VE COME TO THE RIGHT PLACE.I’M GOOD AT TRAINING AGGRESSIVE FIGHTERS.
「お前がこのジムに来たことは大正解だ。私は、お前みたいな攻撃的なファイターを教えるのが大の得意なんだから」。
打たれる前に打て。打つときに大切なのは角度と強弱だ。
攻撃こそが全て。その言葉のままに、むやみな攻撃一辺倒の指導ではないことは、ボールもすぐに気づきましたが、スティーブンソンのやり方は攻撃的ファイターの本能やプライドを邪魔するものではありませんでした。
それどころか、いつのまにか彼らが防御についても自分で考えるようになっていたのです。
エバートン・レッド・トライアングルは100年を超える歴史を持つボクシングクラブで、1930年代に誇り高きロンズデールのベルトホルダー、ネル・タールトンが1930年代にフェザー級タイトルに2度挑戦、2016年7月16日にはジェームス・ディケンズがWBAジュニアフェザー級王者ギレルモ・リゴンドーに顎の骨を砕かれて棄権…。
リバプールはサッカーやビートルズで世界的に有名ですが、ボクシングの伝統もまた長く息づいている土地です。
そして、昨年3月24日にサウジアラビア・リヤドのキングダムアリーナでニック・ボールはスティーブンソンが教えたやり方を忠実に実行。WBCフェザー級王者レイ・バルガスから2度のダウンを奪って優勢に試合を進めます。しかし、どういうかわけか三者三様のスプリットドローでタイトル奪取に失敗。
それでも、わずか69日後の6月1日に再びキングダムアリーナのリングでWBA王者レイモンド・フォードと押し切り、SDでタイトルを獲得。
ついに、リバプールを拠点にしたファイターが世界タイトルを掴み取りました。
評価の高かったロベイシ・ラミレスと、ルイス・アルベルト・ロペスが、番狂せを起こされ、相次いで陥落。
フェザー級戦線は混沌としています。
現在のリング誌の見立てはロペスを痛烈にKOしたアンジェロ・レオ、ラミレスに連勝したラファエル・エスピノサ、そしてボール、幸運な勝利を手にしたスティーブン・フルトンの順で、ボールの評価はフルトンとともに階級最弱。
スティーブンソンは「メディアの評価は気にしない。私もTrainer Of The Yearにノミネートされたこともない。現実の試合は、メディアの評価で決まらない。私たちは、これまでもこれからも現実の試合で勝ち抜いていくだけだ」。
確かに、ボールの評価は高くありません。レイ・バルガスは確かにやりにくい相手とはいえ、激闘に消耗した33歳でした。レイモンド・フォードは評価が高い方でしたが、ボールとの対戦時は脱水症状で干からびたバージョン。そんな2人と一進一退の攻防を繰り広げたメリハリのない突貫ファイター、そんな印象しかありません…。




