フシ穴の眼 〜スポーツ疾風怒濤編〜

      Hope Lights Our Way / 希望の道を、つなごう。

カテゴリ: 世界のミドル級,ゲンナディ・ゴロフキン

WBA王者の村田諒太とIBF王者ゲンナディ・ゴロフキンの団体統一戦が「12月31日東京」で大筋合意していると、BOXINGNEWS24が報じています。

大晦日まで、二人とも1試合も挟まないつもりでしょうか? 
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昨夜からずっと強風が吹き続けています。

歩道には風で落ちた梅の実がいくつも転がっていました。

それでも、ボクシングの世界王者の数の方がずっと多いでしょう。

村田に先立ち中谷正義のワシル・ロマチェンコ戦が6月26日、ラスベガスのバージンホテルで決定、大晦日のGGG戦が決まると、今年だけで日本史上に残るビッグファイトを2度も迎えることになります。

ロマチェンコもGGGも元PFPキング。そして何よりもライト級とミドル級という世界的な人気クラスで屈指の強豪です。

日本ボクシング史上最高の決戦は「ファイティング原田vsエデル・ジョフレ」であることに誰も異論はないでしょう。

モハメド・アリをかわしてリング誌の60年代PFPキングのジョフレを2度も撃破、史上初のフライ、バンタム2階級制覇を果たした原田の偉業は、原田にしか負けなかった歴史的なグレート、ジョフレありきの運に恵まれた側面もあり、もはや更新不可能かもしれません。

原田は、アリ以上の大物を2度も倒したのですから。

ただ、言い方は悪いですが、米国目線では「所詮バンタム級」なのです。

あの時代、質の面ではジョフレを倒すことがボクシング界で至高の栄光でした。

しかし、ジョフレの知名度や存在感はアリはもちろんヘビー級の世界ランカーにも遥かに及びませんでした。

村田や中谷の相手は、二人とも大勝負に敗北した落ち目の元PFPキング。

GGGはアルファベットのピースを一つ持ってるに過ぎません。ロマチェンコに至っては手ぶらです。

それでも彼らが成し遂げるかもしれないのは〝アリを倒す〟ことなのです。

日本人には遠く険しい高嶺に咲いた花、その花をわずか半年で二輪も摘み取ることができるかもしれないのです。

勝敗はひとまず置いておいて、世界にその名を轟かせた人気階級のビッグネームに挑んだ日本人のベスト10を振り返ってゆきます。
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どんなボクサーにも欠点はあります。

complete fighterなど、歴史上ただの1人も存在しません。

モハメド,アリにもフロイド・メイウェザーにもマニー・パッキャオにも天敵と呼べるジョーカーのスタイルが存在しました。

アリの場合は自身を上回る身体能力も持つケン・ノートン、メイウェザーはチェスファイトに乗らないホセ・ルイス・カスティージョやマルコス・マイダナ、パッキャオは高い危機管理能力を持つ稀代のカウンターパンチャー、ファン・マヌエル・マルケス。

アリとパッキャオは勝ち越している、メイウェザーは辛勝しているとはいえ、彼らにも明らかにジョーカーは存在しました。
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今のカネロ・アルバレス がcomplete fighterに見える理由。それは、まだジョーカーを引いていないという一点に尽きます。

カネロの唯一の敗北はメイウェザー。肉体的なダメージはほとんどないあの試合は、タッチボクシングの授業料と考えると、安いものでした。
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カネロは、捉え所のないエリスランディ・ララにも空転しました(科学的なボクシングが大好きな〝ラスベガス判定〟が「単なる突進」を評価した画期的な試合)。

しかし、メイウェザー戦は8年前でキャッチウェイトを強いられていました。ララ戦からも7年が経っています。

この7〜8年でカネロは劇的な進化を遂げた。。。そう言っても否定できる人はどこにもいません。
 

ただし、カネロのキャリア全般を通して、今なお一貫して回避しているスタイルがあります。

ビッグパンチャーです。

ジュニアウェルター級時代はチャーロ兄弟を避け、ミドル級に上げてからもゲンナディ・ゴロフキンとの決戦を先延ばしました。

野球でもテニスでもボクシングでも、あらゆるスポーツにおいて最も厄介な相手はパワープレーヤーです。

パンチャーとの戦いにおいては「一発をもらわないこと」に意識が傾きます。伸び伸びと自分のボクシングをすることは出来ません。当たり前です。

ノニト・ドネアや井上尚弥相手に「リラックスする」とか「相打ち狙い」のボクシングなんてあり得ません。

カネロは、用意された相手を粉砕して地域タイトルを集め、衰えたビッグネームを食い、体重超過やキャッチウェイトを繰り返しながら自信と実力を蓄積してきました。

2015年のジェームス・カークランドはビッグバンチャーではないことは、誰も異論ありませんね。

セルゲイ・コバレフにしても、私生活の乱れと経年による劣化版で、リバウンド制限の保険までかけた試合でした。

ボクシングが巧い相手との豊富な対戦経験。それが、カネロの防御技術に飛躍的な向上をもたらしているのは間違いありません。

そして、温室の中に敷かれた線路を走る高級列車は、キャッチウェイトなどで弱らせた生贄を轢き続けてきました。
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しかし、カネロはcomplete fighterではありません。ジョーカーを引いてないだけで、陣営がそこに近寄らないように細心の注意を払って来ました。

どう考えても、心身ともに頑健なビッグバンチャーは、必ずカネロのジョーカーになるでしょう。
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村田諒太の次戦がゲンナディ・ゴロフキン、そして年末にカネロ・アルバレス。そんな連続メインディッシュな話が、ボクシング180年の歴史であったでしょうか?

。。。。。まだ、何も決まってないんですけどね。

ただ、何事にも準備は大切です。

まずは、一部メディアでPFPキングに推されている赤毛のメキシカンからです。
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カネロで特徴的なことは、身長173㎝/リーチ179㎝のミドル〜スーパーミドル級としては極端に小さなフレームです。

リング誌のスーパーミドル級ランキングの上位選手を見渡すと、1位:デビッド・ベナビデス(187㎝/196㎝)、2位:ケイレブ・プラント(185㎝/188㎝)、3位:カラム・スミス(191㎝/198㎝)、4位:アンソニー・ディレル(188㎝/189㎝)、5位:ビリー・ジョー・サンダース(180㎝/)…カネロの小さな骨格は異様なほど際立っています。

単純な身長・リーチでは、井上尚弥(165㎝/171㎝)らのバンタム級の方がまだしっくりくるほどです。

もちろん、ボクシングは身長・リーチでクラス分けされていません。

体重です。身長やリーチの差を跳ね返す〝ダビデ〟はボクシング界では珍しくありません。

しかし、それにしても〝ゴリアテ〟揃いのスーパーミドル級のカネロはあまりにも異質です。

ダビデに必須の戦力はスピードです。そこに、フロイド・メイウェザーの完璧な防御や、マニー・パッキャオの波状攻撃が上乗せされると、大抵のゴリアテは倒壊します。

いずれにしても卓越したスピードを大前提に、高度で独創的な攻防技術でゴリアテとの正面衝突を避けるのが必勝のメソッドです。

しかし、カネロは違います。ゴリアテ相手に、一見パワーボクシングを仕掛けているように見えます。

もちろん、実態はそうではありません。

メイともパックとも違うスタイルです。

あえて近似したサンプルに挙げるとしたら、マイク・タイソンでしょうか。

しかし、タイソンがバックステップを踏めない欠陥品だったのに対して、カネロは下がったとしても優位に試合を進めることが出来る万能型です。

「現時点でフリオ・セサール・チャベスを凌ぐメキシコ史上最高ボクサー」「現在生きているボクサーでもPFPキング」という声まで聞こえて来る30歳のメキシカンは、完全無欠のファイターなのでしょうか?

ボクシング大国、メキシコでは偏執的なまでに打撃戦が好まれ、拳の戦争を回避するボクサーには容赦無いブーングが浴びせられます。

たとえ異邦人でも、打撃戦から一歩も引かないパッキャオのような恐れを知らないファイターが、かの国では支持されるのです。

それがメキシカンスタイルです。

メキシコ史上最高の人気者カネロですら、ゲンナディ・ゴロフキンとの初戦で引いて戦ったことには会場でもメキシコメディアでも批判が集まりました。

メキシカンはある意味、十字架を背負っています。

リカルド・ロペスのような美しいボクシングは好まれません。

メキシコの人気者、グレートは誰もが地獄の一丁目で喧嘩ファイトを繰り広げてきたスラッガーたちでした。

カネロもメキシコのスラッガーの系譜に名前を連ねるファイターに見えます。

しかし、データはそうではありません。
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名だたるメキシコのグレートと比較してもカネロの防御技術は図抜けています。

これは2年前のデータですから、今はその〝防御率〟は更に研ぎ澄まされています。

本来は両立しないはずの「精密で高度な防御技術を操る強打のファイター」。理想のファイター像にカネロが接近しているのは間違いありません。

誰がカネロに勝てるのか?

もしかしたら、その段階はとっくに過ぎて「誰がカネロといい勝負ができるのか?」のステージに突入しているのかもしれません。



マービン・ハグラーやシュガー・レイ・レナードはカネロを粉砕したでしょうか?

アンドレ・ウォードならメイウェザーがキャッチウェイトでやった授業を、スーパーミドルでカネロにほどこすことができるでしょうか?

「誰が168ポンドでカネロに勝てるのか?」。

…仮想対決に続きます。
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やっぱり巨大スタジアムでのボクシングの試合は素晴らしい。

ハードロック・スタジアムの作り、雰囲気は最高でした。できれば太陽と風が感じられる日中にやってほしかったです。なにしろフロリダですから。


カネロ・アルバレスは今年あと3試合を戦う予定です。

5月8日にビリー・ジョー・サンダース戦が発表されました。シンコ・デ・マヨの期間です。

すでに立ち上がっているオッズは1/6(1.67倍)–4倍。

当然、メキシコに近い西海岸やラスベガス、テキサスが会場になります。

ラスベガスのアレジアント・スタジアム(ラスベガス・レイダースの本拠地)と、テキサス州アーリントンのAT&T スタジアム(マニー・パッキャオやエロール・スペンスJr.らが戦っているダラス・カウボーイズの本拠地)が有力候補と報じられていますが、いずれも巨大スタジアム。

いいですね〜、どでかいスタジアムでのメガファイト。

そして、ビリーをビリビリに引き裂いたあとは9月にケイレブ・プラントか、それともミドル級からゲンナディ・ゴロフキンやジャーモル・チャーロを引っ張り上げるという噂もあります。

〝第4戦〟は東京も視野に入れているといいますから、そうなると相手は一人です。

「村田諒太vsGGG」の交渉がどのレベルまで進んでいるのか不明ですが、カネロとGGGからコクられたら、GGGに「ごめんなさい」するしかありません。

もし、カネロがサンダースとプラントを撃破すると、完全統一王者として来日することになります。

「村田にスーパーミドルの王座に挑戦する資格があるのか?」なんて野暮は、プロボクシングの世界で言っちゃいけません。

面白くなってきました。 
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カネロ・アルバレスがWBAミドル級タイトルを返上していたことが明らかになりました。

先月のカラム・スミス戦でスーパーミドル級のリング誌とWBAスーパー、空位のWBCのタイトルを奪取、文句無しの4階級制覇を果たしたカネロはこのクラスでの完全統一を目指すと語っており、返上は時間の問題と見られていました。

カネロはリング誌/WBCのミドル級タイトルも保持していますが、この玉座も返上する方針です。

カネロがミドル級で最後にリングに上がったのは2019年5月4日、1年7ヶ月もこのクラスで戦っていません。

ボクシングシーンで飛び抜けたスターパワーを持つカネロと対戦を希望するファイターは数え切れません。
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東京ドームでカネロを倒すーー日本ボクシング史上最大の夢は潰えたのでしょうか?


今回の返上で、ミドル級での対戦を熱望していた村田諒太やゲンナディ・ゴロフキン、エロール・スペンスJr.らは、引き続きカネロ戦を目指すならスーパーミドルへ転級しなければなりません。

現在、WBAミドル級はセカンド王者が村田、暫定王者にクリス・ユーバンクJr.を承認しています。この二人の統一戦がセットされ、勝者が晴れて王者を名乗ることになります。

しかし、承認団体がやることです。何でもありです。

腐敗承認団体の母体、WBAは第5位に45歳のセルヒオ・マルチネスをランクしていますが、リング誌もESPNも批判することはありません。この程度のことで騒いでいたら、ボクシングメディアは不正ランキング専属記者を何人も雇わなくてはならなくなります。

WBAは、この元Lineal Championのランキングをさらに上げて、村田vsユーバンクの勝者に当てがうと噂されています。

あるいは、村田vsユーバンクの勝者をスーパー王者に承認して、マルチネスと用意された対戦相手とでセカンド王者を争わせる…。アルファベット承認団体のタイトルマッチでは、何が起きても驚くことはありません。

昨年の今頃は、村田vsカネロ戦が交渉のテーブルに乗ってました。

しかし、このパンデミックで「モハメド・アリのように世界で戦いたい」というカネロの希望の大前提になるゲート収入は期待できなくなり、東京ドーム決戦は暗礁に乗り上げてしまいました。

村田も「WBAの王座を返上してスーパーミドル転向」を宣言するのが、一番格好良いとは思いますが…リスクが大き過ぎます。
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ボクシングほど、対戦相手の質を考慮しなければ選手評価を大きく見誤ってしまうスポーツはありません。

かくいう、ゲンナディ・ゴロフキンもその一人です。完全無欠のKOを積み重ねながらも「強豪とは戦っていない」という疑惑を常に突きつけられていました。

ダニエル・ジェイコブスに連続KO防衛を止められてから、カネロ・アルバレスとの2戦、セルゲイ・デレビャンチェンコ戦、やっと訪れた強豪との対戦は私たちの期待通りの内容・結果ではありませんでした。

「劣化する時期を窺ってたハイエナのような強豪がようやくゴロフキンに接近してきた」というのは、半分正解ですが、半分間違いです。

その「劣化版」でもバーネス・マーティロシュヤンやスティーブ・ロールズらは全盛期よろしく粉砕しているのですから。

そして、世界ミドル級の最多防衛記録「21」をマークした今日の試合も出色でした。
boxing-Golovkin-Result14
キャリア最長の440日のブランクが、激闘続きのダメージ回復にプラス作用したのかもしれません。

しかし、冷静に考え直すと「激闘」の原因は「強豪」相手でした。

今日の相手がカネロ・アルバレスやジャモール・チャーロら「強豪」だったなら〝440日効果〟もありる仮説ですが、一方的に痛めつけたのはカミル・シュレメタです。

この試合では「まだGGGは格下にはめっぽう強い」という〝マイク・タイソン性〟の再確認しかできませんでした。

スローでノーパンチのポーランド人なら、村田諒太でももっと早く仕留めてたかもしれません。
Punch Stats
PUNCHESGOLOVKINSZEREMETA
Total landed22859
Total thrown554327
Percent41%18%
Jabs landed9410
Jabs thrown317192
Percent30%5%
Power landed13449
Power thrown237135
Percent57%36%
-- Courtesy of CompuBox 

アベル・サンチェスを解雇して新たにトレーナーとして迎えられたジョナサン・バンクスは「間違った指導でゴロフキンはone-trick pony(融通の利かないボクサー)にされていた」「彼は決定的なKOパワーも持っているが、本来は美しいボクサー。私たちはそこに回帰するだけで良かったんだ」と語っていました。

 I wanted to open back Pandora's box.

「(世界中のボクサーが恐怖していた)パンドラの箱をもう一度開けたい」。

一度閉じられたパンドラの箱は、2度と開くことはありません。剥ぎ取られた魔法のガウンをもう一度羽織ることが出来ないように…。

それとも、その肉体にクロンクの血が流れるバンクスは、奇跡を起こすステッキを握っているのでしょうか?



そういえば、セミファイナルで〝ネクストGGG〟アリ・アフメドフがカルロス・ゴンゴラに8−1のオッズを引っくり返されて最終回逆転負け。年間最大番狂わせの賞レースに名乗りを挙げました。

「中谷vsベルデホ」は一歩後退かな。
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FRIDAY, DEC. 18 Hollywood, Florida (DAZN)
Gennadiy Golovkin (No. 1, No. 10 P4P) vs. Kamil Szeremeta (No. 6)
12 rounds – middleweights (for Golovkin’s IBF title)

SATURDAY, DEC. 19 Texas (DAZN)
Callum Smith (C) vs. Canelo Alvarez (No. 4, C middleweight, No. 1 P4P)
12 rounds – super middleweights (for Smith’s Ring/WBA and vacant WBC titles)
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わずか1日違いでゲンナディ・ゴロフキンとカネロ・アルバレスが競演。 

カネロが「スーパーミドル級での完全統一路線」をほのめかしたことで「GGGはカネロを追ってスーパーミドル級に参戦すべき」という意見がメディアやファンの間で起きています。

「カネロvsGGG」第3戦 がいまなお待ち望まれているということでしょう。

もちろん、明日明後日の試合で波乱が起きると〝決着の第3戦〟の実現は極めて不透明になり、その商品価値も暴落します。 

 
まずは、明日の「ゲンナディ・ゴロフキン vs カミル・シュレメタ」。IBF/IBOミドル級タイトルマッチです。

38歳のカザフスタン人が今年最初のリングで相対するのは、7歳若い無敗のポーランド人。

スレメタは21戦全勝無敗といっても、KOはわずか5つ。ミドル級とは思えないフェザータッチのボクサーです。

空位のEBU欧州ミドル級をアレサンドロ・ゴディと争って手に入れていますが、ゴディは村田諒太に粉砕されたエマヌエレ・ブランダムラにも負けており世界基準のボクサーではありません。

オッズもGGGの勝利が1/28(1.04倍)、シュレメタ34倍。掛け率では、もはや勝敗を語る数字ではありません。

それにしても、砂時計の砂が加速的にこぼれ落ちているように見える38歳のGGGが、残された貴重な時間を使うにはあまりにも無駄な相手です。
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前日計量はゴロフキン159.2ポンド、シュレメタ159ポンド。



そして、リング誌ミドル級王者のカネロが挑戦するのは、リング誌/WBAスーパーミドル級王者カラム・スミス。
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共に30歳という両者のスペックで目を引くのはやはりフレームの違い。

カネロは身長173㎝/リーチ179㎝、カラムは191㎝/198㎝とその差は「20㎝レベル」。

リング誌などがPFPに推すカネロはセルゲイ・コバレフ(183㎝/184㎝)やロッキー・フィールディング(185㎝/185㎝)をノックアウトしているとはいえ、カラムはさらに遠い距離を持っているのです。

そしてなによりもコバレフは劣化版で当日リバウンドを制限までされた〝もぬけの殻〟。フィールディングに至っては誰もが認める階級最弱王者でした。

明後日、対決するカラムは今が全盛期で、階級最強です。

一部のファンが訝しがる〝weight bully〟(卑怯者カネロは当日体重の制限を設けてる)という疑惑には、カラムが早々に「清廉潔白の168ポンドマッチ」と公言、カネロは〝リング外の小細工〟なしで久しぶりに強敵と対峙することになります。

それでも、今日現在のオッズはカネロ2/9(1.22倍)に対してカラム4倍と明白に赤毛のメキシカンを支持。

カネロにとってオッズや予想ほど簡単な相手ではありません。

ミドル級にあげてからは、格下相手か〝weight bully〟を駆使した戦いでしか、鮮烈な勝ち方を収めることができていない赤毛の卑怯者が、厳しいテストをクリアできない結果を望みます。
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明らかに劣化の兆しが見えるゲンナディ・ゴロフキンと、マニー・パッキャオ。

かつて、TripleGは「フロイド・メイウェザーが対戦に応じるなら154ポンドで戦う用意をする」と自らの口で語っています。
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一方のパッキャオは、ゴロフキン陣営とは交渉も接触も無いとし「ミドル級160ポンドはありえない。今日の朝の体重で140を大きく割り込んでいるのに」と言いながらも「154契約ならその体重は作れなくても戦えるかもしれない。しかし、154契約でIBFは160のタイトルを承認するのか?」と、タイトルがかかるなら記録作りのリングに上がる気がありそうです。

勝てば自身の持つ「8」の階級制覇数の世界記録を「9」に更新します。

17階級時代だからこその9階級制覇ですから、この記録にどれほどの意味があるのかわかりません。

単純な数字から「9階級制覇なんだから、オリジナル8時代の8階級制覇よりも凄い」なんてわけはありえません。

そこを見失わなければ「ファイティング原田は2階級制覇と井岡一翔の4階級制覇はどっちが上?」という愚問は湧いてきません。

パッキャオの〝偉業〟は「4団体17階級+4団体よりも価値の高いリング誌とLinealChampion」という王座量産時代だからこそ達成できたのです。

「1団体10階級、以上!」という潔く簡単明瞭な時代とは、全く違うのです。

パッキャオが原田の時代に生きていたとしても8階級制覇は絶対に不可能です。

なんとなく、個人的にはテレンス・クロフォードに勝つ方が難易度が高そうな気もしますが「TripleGを沈めて9階級制覇」の方が茶番劇的ですが衝撃度は遥かに上ですね、多分。

じゃあクロフォードとパッキャオのどちらがTripleGに勝つ可能性があるか?と問われたら、答えに窮します。

フィリピンと、米国のタチの悪いパックマニアの間で火がついて、大手メディアや有名選手らも言及しだした「PAC−GGG」。

火の無いところに煙は立たずーーー。

12年前のデラホーヤ戦と比べたら衝撃度はやや劣るくらいですから「実現しても不思議じゃない」という思いもあります。

ただ、どうせやるなら、赤毛のメキシコ人とやって欲しいですね。

…ガンガン続きます。



 
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ボクシングで、誰の目からも納得出来る採点なんて出来るのか?

100年以上もこのスポーツに取り憑いて離れない問題です。簡単に解決出来るわけがありません。

カネロ・アルバレスとゲンナディ・ゴロフキンの第3戦が9月にAT&Tスタジアム(前カウボーイ・スタジアム)で開催されることで基本合意されました。

DAZNとカネロの間に報酬面で妥協できていないという噂もありますが、この試合をするために2人と大型契約を結んだだけに、このあと交渉決裂する心配はないでしょう。

カネロvsGGG。過去2戦ともに、採点の問題が噴出しました。 

誰もがGGGの勝利を確信した初戦。カネロを118−110で支持したアダレイド・バードは論外としても、日本のボクシングファンには「僅差だがGGGこそ勝利にふさわしい」(ESPN:ダン・ラファエル)という米国メディアの採点には戸惑いを覚えたはずです。

「またラスベガスでカネロ・ジャッジが作動した」(ボクシングニューズ24)のような見方もありましたが、リング誌も115−113とGGGの勝利はわずか1ラウンド差だったと見ています。

あの試合のどこが僅差なんだ? 

互いに手を出しながらも決定打がないラウンド。日本なら単なる突進でも前に出ているボクサーを評価します。そして、ボクシングが格闘技である限り、その見方は正しいはずです。

しかし、ラスベガスではジャブを出しながら下がるボクサーを評価すると言われています。これなら百歩譲って納得できますが、ジャブすらつかずに下がるボクサーが評価されることも普通にあります。

あの砂漠の街は、ジャッジの脳みそまで乾燥させてしまうのかもしれません。

三連休の初日、春分の日にお届けするのはESPNから「ボクシングのスコアリグについて」です。

私見も交えています。




【オープンスコアリングは是か非か?】

ン・ラファエル絶対に反対、これから先もその姿勢は変わりようがない。

WBCがサービスとして始め、日本など一部の地域では「ルール」として完全導入しているが、米国では認めていない。これは正しい判断だ。

途中採点を知ることで、選手が作戦変更することはあってはいけない。

かつてシェーン・モズリーも「8ラウンドの採点発表でリードしていたら、残りの4ラウンドの戦い方は明らかに変わる。試合の3分の1が価値のないものになってしまう」とオープンスコアリングに疑義を呈していた。

ティーブ・キム全く賛同できない。

マーク・ジョンソンは1999年、空位のIBFジュニアバンタム級タイトルをラタナチャイ・ソーウォラピンと争って精力的に動いて素晴らしいボクシング教室を披露したが、この試合で実験的な公開採点が取り入れられていた。

8ラウンド終了のアナウンスで大量リードを聞いたジョンソンは、残りの4ラウンドを時計の針を進めることだけに注力してしまう。

「危険を冒す必要が一切ないことを知ったらだれでもあの戦い方になる」(ジョンソン)。

見ているファンも、途中採点を聞いて試合の興味が削がれることはあっても、ワクワクすることはない。

「ジャッジの傾向を知らずに試合終了のコールを聞いて選手が後悔することを減らしたい」というなら、採点公開のタイミングは3ラウンドと6ラウンドにすべき。

それでも、反対だけど。


+++2人が反対するように、プロボクシングがファンを喜ばせるエンタテインメントである限り、それを阻害する可能性は極力排除すべきです。

さらに、ジャッジは教育や研修制度が充実しておらず、自分の採点に不安を持っているケースもすくなくありません。正確な採点眼を持っている優秀なジャッジでも、他のジャッジの採点を知ることで、不要のバイアスがかかります。

私も公開採点は反対ですが、キムの「3、6ラウンド」は現行の「4、8」よりもマシかもしれません。



【ジャッジ3人は少ない?】

ダン:ジャッジを増やしても問題解決にならない。今以上に混乱した採点、議論を呼ぶ採点が噴出してしまうだろう。

現行の3人制はそれぞれが別のサイドから試合を採点するが、例えば5人制にするならどこに配置するのだ?

量が質を補うことはない。それよりもジャッジの研修や勉強会の機会を劇的に増やして教育体制を充実・持続させることが大切。


キム:絶対に反対。より混乱を深めるだけ。

ジャッジの数を増やせばより公平な採点につながると考える人もいるが、問題は数ではなく能力の低いジャッジが普通に採点席に座っていること。

教育体制を充実させて、明らかにおかしな採点をしたジャッジは排除すべき。


+++これは、難しいですね。私はお二人のように「断固反対」じゃないです。

元レフェリーでジャッジもつとめていたジョー・コルテスの「Elevate the judges」の提案は面白いと思います。ジャッジを高く上げろ。つまり、テニスのチェアアンパイアのように、高椅子に座ってジャッジするというアイデアです。

現在のジャッジの位置からは死角が多すぎるというもので、高椅子が観客の邪魔になるなどの問題が解消できたら実験導入はありだと思いますが…。

さらに、ダウンかスリップかなどの微妙な場面はVARで修正はありだと思います。現行ではスリップだったのにダウンと宣告されると10−8が覆りません。




【レフェリーも「第四の男」として採点に参加すべき?】

ダン:英国ではレフェリーだけが採点する時代もあったが、このスタイルが良いとは思えない。

レフェリーは選手を守ること、ルールを徹底することに集中すべき。それ以外のことを考えながら、試合をさばくべきではない。

この問題についてレフェリーと話す機会もあるが、採点に参加すべきという意見は誰からも出ていない。


キム:レフェリーはリングの中で「第三の男」に徹すべき。

選手にルールを遵守させ、試合を円滑に進めること。そして、選手の安全を優先すること。それ以外の仕事をレフェリーにさせるべきではない。


+++何も言うことありません。


【リプレー録画を判断の材料にすべきか?】

ダン:ネバダ州ですでに取り入れられているように、録画は活用すべき。リプレーを見たオフィシャルがすぐにレフェリーに「事実」を伝えている。

ダウンかスリップか。カットはパンチのよるものか、それともバッティングなのか。ノックダウンのパンチはゴングの前か後か。

そういうケースはリプレー録画で判断すべきだ。

ただし、録画判定で試合が止まったり、遅れてしまうことはあってはいけない。

野球やフットボールと違い、エキストラタイムはどちらかの選手に有利に休息を与えかねず、録画の精査に時間はかけるべきではない。

ボクシングにおけるビデオ判定に許される時間は、ラウンド間の60秒だけだ。


キム:簡単なこと。リプレーで検証すべきは、ダウンがパンチかスリップか。カットはパンチかヘッドバットか。ヘッドバットは偶然か故意か。有効打かローブロウか。

ただし、リプレーが試合の自然な流れに反する懸念は常に存在する。


+++ここで出てきちゃいましたVAR。

大方は賛成ですが、キムの指摘する「自然な流れ」への懸念はありますね。例えば、アンドレ・ウォードvsセルゲイ・コバレフの第2戦。コバレフはローブロウで倒されましたが、あの試合を「無効試合」にしてしまうのは問題です。

話は飛躍しますが、VARの前ではディエゴ・マラドーナの「神の手」もあっさりハンド判定です。「神の手」は神のままでいて欲しいのですが…。



【パンチスタッツも採点の中に組み込むべきか?】

ダン:パンチスタッツが必ずしも試合の実態を表さないのは周知の事実。
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もちろん、パッキャオvsホーンのような「単なる突進を最も評価する」明らかに間違ったジャッジが下された試合では、スタッツが採点したほうが良いが…。

リードをジャブ、後ろの手をパワーパンチと人間がテレビモニターを見ながらボタンを押してカウントするスタッツでは、本当に強力で効果的な小さな左フックを読み取ることはできない。

ボクシングは野球やバスケットボールと違い、スタッツが意味を持たないスポーツ。100本のシングルヒットが一発の本塁打で精算されてしまうスポーツだ。

スタッツをカウントする仕事人の技術には尊敬しかないが、彼らはパンチを数えているに過ぎない。パンチの質を精査しているわけではないのだ。


キム:ありえない。パンチスタッツは試合を振り返り、試合の実態を概観するには有効だが、その材料以上の使い道はない。

スタッツはパンチ数しか表さない。実際の勝負を分けるのはパンチの質。

「私たちの仕事はたくさんパンチを打つことじゃない。効果的なダメージを相手に与えること」。シュガー・レイ・ロビンソンの言葉が全て。


+++スタッツを採点の材料に取り入れるべきという意見は根強いですが、やはりありえないです。

こんなものを採点材料にしてしまうと、今以上にタッチボクシングが隆盛するだけです。




【ジャッジの質を向上させることは可能か?】

ダン:可能だ。やるしかない。トレーニングに尽きる。

業界の体質がぬるま湯すぎる。おかしな採点をしたジャッジが翌週のビッグファイトでもジャッジ席に座ってるなんてことがまかり通っている。

どうして私たち以外は声を上げない?

もちろん、ボクシングの採点はきわめて主観的なものだ。それでも「相手に与えたダメージで測る有効打」「有効打につながる攻勢」「相手の攻撃を無力化し攻撃に繋げる防御」…採点基準は明らかだ。


キム:常軌を逸した採点をしてもまた翌週のジャッジをする。そんなことが繰り返されているうちは、ジャッジの質は向上しない。

これはジャッジの問題ではない。ジャッジだって何のお咎めもなければ、改善しようがない。

他のスポーツではジャッジの教育は厳格で継続的だ。格付けまでされ、解雇されることもある。そしてジャッジを希望する若者たちを積極的に受け入れて、厳しい研修と教育でふるいにかけている。

ボクシングのジャッジには教育も研修も若者への門戸開放もない。ジャッジにも競争を持ち込むことだ。

+++GGGvsカネロの第1戦で世界中の誰が見ても間違った採点をしたバードが、3ヶ月後に日本で二つの世界タイトルマッチのジャッジ席に着いたことは日本のファンはもっとNOと声を上げるべきでしたが…。

不可解な採点をなくす最も効果的な方法はジャッジの質を高めることです。一番簡単に見えますが、これが非常に難しいというのが、ボクシング界が魑魅魍魎である所以のひとつです。

 
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現在のボクシングシーンの中心は、カネロ・アルバレスです。

マニー・パッキャオやフロイド・メイウェザーが悪戦苦闘しながら登り詰めたスターダムの頂点を、赤毛のメキシカンは20代で易々と極めました。

しかし、実力と華を兼備するライバルに恵まれたパックマンと、マネーへのキャラクター変換で大きな成功を収めた二人に対して、カネロは真のライバルに恵まれず、セルフプロデュースを手がける才覚もありません。

5月のシンコデマヨ週間に企画されているメガファイトも、対戦相手は未定のまま。

カネロのライバルとしてすぐに思い浮かぶゲンナディ・ゴロフキンは4月で38歳。時計との戦いは押されっぱなしの状況で、IBF王座の防衛戦にはカミル・シェルメタという無名のポーランド人が内定していましたが、DAZNが最低ラインに置くビジネスが期待できる開催地は見当たらず。

日程も会場もコロコロ変わるWBSSも真っ青の破綻状態です。 

当初2月に計画されていた「シェルメタ戦は3月に米国西海岸」 が「4月にカザフスタン」に伸び、今日は「場所未定ながら5月」と発表されるなど迷走しています。

30歳のシェルメタは21戦21勝無敗の欧州ミドル級王者ながら、このクラスではまさかの5KO。村田が粉砕したエマヌエル・ブランダムラやスティーブン・バトラーと同じ、2部リーグのプレイヤーです。

ただでさえ、人気も時間もないGGGが38歳になって戦う相手ではありません。 

この試合が発表されてからもポーランドのメディアは歓迎していますが、世界的には Fans not interested in Golovkin vs. Szeremeta fight.(こんな試合、誰も興味ない)と非難轟々。

HBOが「PPVでは売れない。ファイトマネー100万ドルでも大きな負担」と嘆いていたゴロフキンを、3年6試合で1億ドルで契約したDAZNはカネロとの激闘シリーズを期待していましたが、カネロ戦は全く見通しが立たず、シェルメタなんてとんでもないドツボにはまっているのです。

現在のミドル級シーンはカネロの輝きに隠れていますが、どいつもこいつも人気階級としては華のないファイターばかり。

ビジネス視点で見れば「東京でカネロvs村田」 以上のメガファイトは見当たりません。

カネロ主導の条件交渉に嫌気がさしているGGGにしても、カネロ戦を本気で敬遠するなら「村田」以外にビッグマネーは期待できません。

ジャーモル・チャーロやデメトリアス・アンドラーデが商業的価値が低いカードであることは明白、DAZNにとって「東京での村田戦」は最後の希望でしょう。 

村田と日本のボクシングファンはカネロやGGGへのラブコールを隠しきれませんが、これは横恋慕なんかじゃありません。彼らは経済的に行き詰まっているのです。

早く見たい!

GGGを倒して、次はカネロ。なんて贅沢なシナリオも十分考えられます。

現PFPキングと、元PFPキングが路頭に迷いそうなんですから、手を差し伸べてあげましょうか。

。。。まあ、でも慎重に交渉を続けて欲しいですね。日本でやるんです。特にカネロ戦では、村田に過剰に不利なキャッチウェイトなんかは飲んで欲しくないです。 
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