フシ穴の眼 〜スポーツ疾風怒濤編〜

      Hope Lights Our Way / 希望の道を、つなごう。

カテゴリ: 世界に挑む日本人,THE SUPER FLY,世界の軽量級

ジェルウィン・アンカハスがジョナサン・ロドリゲスを判定で下して9度目の防衛に成功。

117-110/116-111/115-112のユナニマスデジション。 8ラウンドにダウンを奪ったとはいえ、オフィシャルほど差がある内容には見えませんでした。

もともと精緻なボクシングをするタイプではなかったとはいえ、パワフルな攻撃よりも粗雑さだけが目につきました。16ヶ月のブランクの影響があったのかもしれません。

「最も厳しい防衛戦だった」とアンカハスも認めているように、CompuBoxのスタッツの数字でも悪戦苦闘が伺えます。
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さて、井岡一翔です。

今日のアンカハスなら難しい試合にならないでしょうが、相手が井岡となると29歳のフィリピン人も準備の仕方が心身ともに全く変わってくるでしょう。

最大の標的、ファン・フランシスコ・エストラーダは「WBC統一トーナメント」に出場するため、井岡との激突はどんなに早くても来年前半です。

その間に、WBOのピースしか持っていない井岡も〝箔〟を付けねばなりません。そのためにもアンカハスは格好の相手です。
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リング誌5月号から。井岡がプリントバージョンでもPFPデビュー。「PFPファイターとしては期限切れと見られていた井岡だったが、田中恒成をストップしてついにPFPランキングへのデビューを果たした」。
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WORLDBEAT(世界の動向)では見開きで日本の年間表彰を紹介。

この二人の激突を、私たちはいつか目撃できるのでしょうか?
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予期せぬ大番狂わせを突きつけられたとき、ファンはもちろん専門家ですらステレオタイプの反応に終始してしまうのが常である。

「今日のタイソンはいつもの調子じゃなかった」。

「あんなに反応が鈍いバレラを見たのは初めて」。

「デラホーヤは脱水症状で戦える状態ではなかった」。

ふざけたことを言っちゃいけない、それは全部、自分が考えていた予想を根底からひっくり返されたことへの言い訳じゃねぇか。

もう一度、思い返してみろ。 戦前の情報で番狂わせの予兆が溢れていたにもかかわらず、お前たちはこう考えていたはずだ。

「どんなに不調のタイソンでもリングに上がれば相手はビビって怖気付く。今までもそうだった」。

「調整不足でもバレラは試合になったら本領を発揮する。それがバレラのバレラたる所以」。

「デラホーヤはミドル級まで制した大男、減量失敗でもフライ級上がりが勝てる相手じゃない」。 

大番狂わせの引き金を引くのは、当たり前だが敗者ではない。勝者だ。

「あの日あのときのバスター・ダグラス」だから大番狂わせが引き起こされたのだ。

「あのときリングに上がってたのは元フライ級王者じゃない。マニー・パッキャオだ」 から噛ませ犬の処刑場に見えたリングが、下克上と無礼講の劇場に変わったのだ。

タイソンやバレラ、デラホーヤは一番美味しそうに見えた料理を選んだつもりだったが、その時点で大番狂わせのカウントダウンタイマーのスイッチを押してしまっていたのだ。
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IBFジュニアバンタム級タイトルマッチ

さて、ロドリゲスは「あの日のダグラス」でしょうか?あるいは「パッキャオ」でしょうか?

勝てば二桁防衛に王手をかける29歳のフィリピン人は、絶対に触れてはいけないジョーカーのカードをすでに引いてしまったのでしょうか?

リング誌電子版から。

********ジョナサン・ロドリゲスは完全なアンダードッグと見られています。

しかし、素晴らしいトレーニングキャンプを送り、大番狂わせへの意欲に漲っています。

家族のために必ず勝つ、というのはもちろん、世界最高のボクシング大国メキシコの伏兵たちが大番狂わせを起こしていることからも刺激を受けているのです。

明日の夜、コネティカット州アンキャスビル・モヒカン・サン・カジノで行われるイベントはSHOWTIMEで全米に生中継されます。

世界王者アンカハスにとっても大舞台、ロドリゲスにとっても一世一代のビッグチャンスです。

25歳のメキシカンは23戦(22勝16KO1敗)のキャリア全てを母国で戦い、世界挑戦はこれが初めて。

2018年3月にホセ・エストラーダ・ガルシアにスプリットデジションで惜敗してから6連勝、そのうち5つをKOで終わらせているロドリゲスは勢いに乗っています。

「あの敗北で目が覚めた。ずっと無敗で気の緩みがあった、規律にかけていた。自分の甘さに気づいたんだ。あれからボクシングへの取り組みが180度変わった。家族や子供のために戦う意識も大きくなった。あらゆる意味で、成熟したファイターに変わったんだ」。

「あの敗北の1週間前に二人目の子供、娘が生まれたんだ。兄弟や家族が祝福してくれた、試合を応援してくれたというのに、私は負けてしまった。もうあんな思いは絶対にしたくない。家族ががっかりする顔を見るのはあの日が最後だ」。

しかし、ロドリゲスが挑戦するのは普通の王者ではありません。

8連続防衛(6KO)中のアンカハスは全階級を通じても最も安定した王者の一人で、パッキャオを彷彿させる強打のサウスポー。

オッズも専門家予想も王者に大きく傾いています。

それでも、ロドリゲスの自信は揺らぎません。

「アンカハスがどんな出方をしてきても対応できる。アウトボックスでいなすことも、カウンターで迎撃することも。指名挑戦者になってから、とにかくずっとアンカハスのことだけを考えて練習してきたんだから」。

パンデミックがなければ、この試合は昨年4月11日に行われているはずでした。

そして、近年、アンダードッグの対場から大番狂わせを起こしているメキシカンの存在も、ロドリゲスの刺激になっています。

「マウリシオ・ララ(ジョシュ・ウォリントン戦)やアンヘル・フィエロ(アルベルト・マチャド戦)がビッグネームを粉砕するのを目の当たりにすると、私にも出来る、私もやらなきゃならないと力が湧いてくる」。

ロドリゲスのキャリアで最大の勝利は、ファン・フランシスコ・エストラーダへの挑戦経験もあるフェリペ・オルクタ。エストラーダと判定までもつれた相手をストップしたのです。

しかし、アンカハスに勝てばそんな金星も遥かに霞んでしまいます。

That would allow me to then face Estrada, Chocolatito, or Ioka in the future.

「この勝利がどこにつながるのかよく理解している。エストラーダやローマン・ゴンザレス、井岡一翔と戦う道が開けるんだ」。***********


先ほど行われた前日計量で、アンカハスは114.8ポンド、ロドリゲスはリミット一杯115ポンドでクリア。

オッズは、メインのジャロン・エニスvsセルゲイ・リピネッツと同じ10−1と、ミスマッチを示すゾーンに突入しています。

しかし、SHOWTIMEとPBCが「未来のPPVスター」と慎重に育てているエニスと、PPVスターにはなりえない超軽量級では話が違います。

奴らにとっては「エニスは絶対勝ってもらわないと困る」存在ですが「アンカハスvsロドリゲス」はどっちが勝っても良いという位置付けです。

大番狂わせの可能性が大きいのが、後者であるのは言うまでもありません。

どっちで番狂わせが起きて欲しいか?となると、もちろん前者ですが。

それにしても、あっちの報道はエニス一色です。ノンタイトル戦の分際で…。こういうの、逆はありえないですからね、欧米では。

エニス、惨敗して欲しい。。。。
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Saturday 10, April 2021(日本時間4月11日)
  
Mohegan Sun Casino, Uncasville, Connecticut, USA
commission:Mohegan Tribe, Department Of Athletic Regulation
promoter:Tom Brown (TGB Promotions)

USA Showtime 

IBFジュニアバンタム級タイトルマッチ
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「ファン・フランシスコ・エストラーダvsローマン・ゴンザレス」「シーサケット・ソールンビサイvsカルロス・クアドラス」で展開される〝WBCスーパーフライ・トーナメント〟の優勝者との対決を伺うのが、WBO王者の井岡一翔とIBF王者アンカハスです。

アンカハスはパンデミックの影響で1年4ヶ月のブランクを余儀なくされ、自身が所有する農園で働くなど、トレーニングに100%集中できる環境ではなかったようです。

ライバルの台頭によって完全下り坂のトップランクに見切りをつけてPBC傘下となったアンカハスは、これが新天地での第一戦。9度目の防衛戦は、絶対に負けられないだけでなく、勝ち方も問われます。

オッズは王者が1/6(1.67倍)、挑戦者13/2(7.5倍)と大きく開いていますが、相手はここ最近〝番狂わせ〟づいているノーマークのメキシカン、不気味ですが、スカッと勝つでしょう!

そして、10度目の防衛戦は日本でWBOの井岡との統一戦になれば最高なのです!


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メインイベントはウェルター級の新星ジャロン・エニスが元IBFライト級王者セルゲイ・リピネッツを迎える〝一次試験〟。

〝サムライ〟の異名を持つリピネッツは近藤明広との決定戦に勝利して戴冠したものの、マイキー・ガルシアに敗れて初防衛に失敗。

18戦16勝12KO1敗1分と敗北はマイキーに喫した一つだけですが、昨年10月に〝カナダ限定の強豪〟カスティオ・クレイトンとのIBFウェルター級暫定王者決定戦で引き分けるなど、完全に底の見えた32歳。

ただ、そのリピネッツがキャリア最強というのがエニス。

リング誌の「Prospect of the Year2020」に選ばれた23歳のスイッチヒッターが一次試験を難なくクリアできるか?ここでの躓きは、今後のキャリアにも大きく影を落としてしまいます。

オッズはエニス1/10(1.1倍)、リピネッツ9/1(10倍)。

お手並み拝見、です。 
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ローマン・ゴンザレスとの8年8ヶ月越しの再戦で薄氷の勝利をつかんだファン・フランシスコ・エストラーダが、WBCフランチャイズ王者に認定されました。

これは、来月14日に31歳の誕生日を迎えるエストラーダからWBCに「フランチャイズ王者に承認して防衛戦義務から解放して欲しい」とリクエストしたもの。

エストラーダはチョコラティトとの再戦が非常に微妙な判定に終わったことで、決着のラバーマッチを望んでいるようです。

この結果、エストラーダにとって「もう一つのラバーマッチ」である指名挑戦者シーサケット・ソールンビサイとの試合を一旦パスすることになります。

エストラーダと1勝1敗、ロマゴンに2戦2勝のシーサケットが割を食った形ですが、WBC王者決定戦に出場する予定で、対戦相手まで決まっています。

ジュニアバンタムのトップ3=エストラーダ、ロマゴン、シサーケットと1勝2敗の星勘定を残しているカルロス・クアドラスです。
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日本時間今日未明、WBCは「エストラーダvsロマゴン」と「シーサケットvsクアドラス」を〝準決勝〟にセットしたSuperfly Tournament の開催を発表しました。

WBCは公式HPで今回のフランチャイズ王者承認を「エストラーダvsロマゴンは一つのクリンチもないまま両者合わせて2529発のパンチが交換された年間最高試合最有力。決着戦は世界中が求めている」と説明。

このWBCトーナメントはトム・ラフラーの考案で、決勝戦で「sole WBC World Champion of the Super Flyweight (唯一無二のWBC王者)」が誕生することになるそうです。
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王者はリング誌とWBC、WBAを持つエストラーダだけですが、なかなか見ごたえのあるトーナメントです。

残るアルファベットのタイトルはIBFがジェルウィン・アンカハス、WBOが井岡一翔とどちらも強豪王者。

アンカハスは4月10日にジョナサン・ハビエル・ロドリゲスとの9度目の防衛戦が決定、そのあと井岡との団体統一戦が実現、WBCトーナメントの優勝者と「議論する余地のない王者」を賭けて激突するのが理想ですが…。

井岡にとっての第1希望であるエストラーダ戦は、年内はありえない状況です。

ただし、アンカハス戦に勝てば来年、リング誌と4団体のベルトを賭けた大一番が待っています。

日本のボクシングファンの希望通りに事が進めば、来年にはジュニアバンタムとバンタムの2階級でUndisputed Champion が誕生しているはずです。

そうなれば、超絶究極の大一番もありえます。

その頃には、この忌々しいコロナも収束しているはずです。舞台は、横浜アリーナも、さいたまスーパーアリーナも小さすぎます。日産スタジアム↓を押さえておかねばなりません。
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ああ、新国立競技場↓でもいいですね。

どちらが舞台にしても、ボクシング史上初のメガイベントです。
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とにかく、二人ともあと数試合を勝ち抜かねばなりません。

きっと勝つでしょう。

そうなると、これまた史上初の日本人PFP対決。勝てば赤毛を抜いてPFP1位が確実です。
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井岡一翔がビッグファイトを追求しているジュニアバンタム級で、IBFのストラップを握っているジェルウィン・アンカハスの9度目の防衛戦がようやく決まりました。

舞台は4月10日、コロナ下ですっかりお馴染みになったコネティカット州アンキャスビルのモヒガン・サン・カジノ。

2019年12月7日のミゲール・ゴンザレス戦から1年122日ぶりのリングに上がるプリティボーイの相手は、ジョナサン・ハビエル・ロドリゲス

元々、2019年11月にセットされていたカードでしたが、パンデミックで2度延期、2020年での対戦は叶いませんでした。

どちらも好戦的なファイターだけに面白い試合になりそうです。

この試合はPremier Boxing Champions (PBC)がプロモートする「ジャロン・エニスvsセルゲイ・リピネッツ」のイベントに組み込まれたもの。

アンカハスのマネージャー、ヤヴェン・ジメネスは「新しいプロモーターに良い買い物をしたと印象付けるためにも非常に重要な試合」と語っています。

トップランクと3年契約を結び、モンスターとの対戦を見送ったアンカハスでしたが、契約更新はしなかった模様です。
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米国2大プロモーターだった(過去形でいいでしょう)トップランクとゴールデンボーイ・プロモーションズ(GBP)ですが、ずいぶん影が薄くなりました。

トップランクはForbes Fighterのタイソン・フューリーと契約しているとはいえ、緩やかな関係。

完全傘下に収めるビッグネームは人気のないテレンス・クロフォードと、ボブ・アラムへの不信感を隠さないテオフィモ・ロペス。

ESPNの後ろ盾があるトップランクですが、GBPほどではないにせよ屋台骨は揺らいでいます。

アンカハスは〝絵札〟ではないものの、この引き抜きは、いわゆる〝蟻の一穴〟です。

アル・ヘイモンがなりふり構わずパッキャオ獲得に動き、それに何も出来なかったトップランク。

テオフィモの契約はまだ残っているとはいえ、強引な引き抜き工作があるかもしれません。少なくともテイクオーバーの心はトップランクを離れています。

クロフォードが看板…。悲惨です。

結果論ですが、屈辱的な大幅譲歩をしてでもパッキャオは引き止めるべきでした。
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HBOがしかけた史上最高のコスパイベント「スーパーフライ」は、ローマン・ゴンザレスと井上尚弥の〝決勝戦〟を期待して立ち上がりました。

しかし、軽量級史上初のPFPキング・ロマゴンが、伏兵シーサケット・ソールンビサイにまさかの連敗。

「東京でロマゴンvsモンスター」のメガファイトは霧散してしまいます。

「HBOのボクシング撤退」は「パックメイ2015」の以前から〝噂のレベル〟を越えた〝時間の問題〟でしたが、米国ボクシングの状況を象徴する事件でした。

「米国ボクシングとイコールで結ばれていたHBO」の忘れ形見が「スーパーフライ=ジュニアバンタム級最強決定トーナメント」です。

「WBSSが引き継ぐ」とも見られていましたが、 HBO以上にボクシングビジネスで焦付きまくってる〝詐欺団体〟にその度量はありません。

腐っても鯛、HBOはスーパーフライ興行に100万ドル前後をかけていました。ただの一度も支払われることのなかった「優勝賞金1000万ドル」のWBSSと一緒にしたら失礼なまともな企業体です。

HBOの忘れ形見、ジュニアバンタム級最強を巡る動きが加速しています。

今日ゴングが鳴らされるリング誌/WBC王者ファン・フランシスコ・エストラーダと、WBA王者ローマン・ゴンザレスの団体統一戦は事実上の階級最強決定戦と見られています。

もちろん「事実上」なんて但し書きが付くのが 4Belt−Era の混沌を証明しています。身近なところでは「井上尚弥vsエマヌエル・ロドリゲス」も〝事実上の…〟でした。
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元々がスタイリッシュなボクサーで格好良かったのですが、今のロマゴンは燻し銀の渋さを纏っています。若い頃よりも、今の方が好きです。年齢と経験と挫折を重ねることの意味を、明日、勉強させてください!

ジュニアバンタムの現状を見渡すと…。

最強候補の一人、シーサケット・ソールンビサイは2019年4月26日にエストラーダに少差判定で敗れてから昨日のクワンタイ・シスモーゼン戦まで3連勝していますが、対戦相手の質が低すぎて、34歳のタイ人の現有戦力は不透明です。

IBFのストラップを持つジェルウィン・アンカハスは1年以上のブランクを空けたまま。シーサケット同様に、29歳のフィリピーノが今なお惑星の一つかどうか?

もう一つのチャンピオン・ピースの持ち主は、ダークホースに見えるかもしれませんが、彼こそが最強トーナメントの本命です。

さて、あと12時間ですか。
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日本時間3月14日 
テキサス州ダラス アメリカン・エアラインズ・センター

リング誌/WBCジュニアフライ級©
vs
WBAジュニアフライ級©

ここ数年の軽量級シーンで、ここまで注目される試合があったでしょうか?

エストラーダは、多くのメディアでPFP10傑に名前を連ねる万能型の30歳。

33歳のロマゴンは2012年にエストラーダを下しており、8年8ヶ月ぶりの再戦となります。

あれから8年8ヶ月。今なお世界のトップ戦線を走り続けて、ついに雌雄を決する刻が1週間後に迫りました。

この間、エストラーダは一つ、ロマゴンは二つの敗北を喫しました。その〝3敗〟はいずれも同じ相手、シーサケット・ソールンビサイ。

El Gallo(闘鶏)の異名をとるメキシカンが判定負けの雪辱を果たしたのに対して、チョコラティトは再戦で衝撃的な失神KO負けに沈みます。

ジュニアフライ級でも輝きを増すEl Galloに対して、ニカラグアのチョコラティトは明らかに階級の壁に苦しんでいました。

シーサケットの他にもカルロス・クアドラスとも戦っている二人ですが、共通の対戦相手を座標軸に見立てた三段論法からは、エストラーダがロマゴンに完勝すると予想ができます。

ウィリアム・ヒルのオッズもエストラーダ8/13(1.62倍)、ロマゴン13/10(2.3倍)と三段論法を裏付けています。

それでも、かつて2年間もPFPキングに君臨したニカラグア人は、昨年2月、生涯初めてアンダードッグで挑んだWBAタイトルマッチで、王者カリド・ヤファイを9ラウンドTKOで攻め落とし、かつての輝きを取り戻しました。
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軽量級史上最高の世界評価を集めながらも、ロマゴンがリング誌単独カバーを飾ったのは、昨年の6月号が後にも先にも初めて。

一方で、PFPはおろか階級最強とも考えられていないライアン君が今年5月号で早くも単独カバー。そういえば、2月号と3月号はテオフィモ・ロペスが連続単独カバー。4月は「アリvsフレージャー」。

最近のリング誌は、非常にわかりやすいです。


エストラーダがミドル級なら、何回単独カバーで登場してたでしょうか?もちろんPFPファイターの〝闘鶏〟はリング誌カバー未経験。

このイベントには、リング誌/WBAジュニアフライ級王者の京口紘人アクセル・アラゴン・ベガを相手に3度目の防衛戦に臨みます。

ベガは身長146㎝/リーチ147㎝と、ジュニアフライ級としてもかなり小柄なメキシカンで、渾名はもちろんEl Mini。直近の試合でサウル・フアレスに完勝しているとはいえ、コンテンダーと呼ぶのは憚られる経験不足の20歳。

京口にとっては絶対に負けてはならないだけでなく、印象的な勝ち方が求められるマッチルーム・デビュー戦です。
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井岡一翔を擁する日本のボクシングファンにとっては少し歯痒い事実ですが、来月13日に8年9ヶ月ぶりに拳を交えることになったファン・フランシスコ・エストラーダとローマン・ゴンザレスの決戦はジュニアバンタム級最強決定戦と見られています。

この試合の勝者は、井岡のWBOとジェルウィン・アンカハスのIBF、二つのストラップを残したままの片肺王者。誰にも王者を名乗らせない、Undisputed Champion ではありません。

それでも、この二人の激突が最強決定戦と見られているのは当然です。

軽量級で史上初のPFPキングに就いてその座を2年も守ったチョコラティト。

そして、PFPファイターとして完全に定番化したエストラーダ。

軽量級史上屈指の世界評価を得たロマゴンは、シーサケットに連敗、特に2戦目は「ロマゴンでなければミスマッチ」と言われるような内容の惨敗でした。

初戦から経過した9年弱の時間で、ロマゴンはPFPの頂点を極め、そこから転落しました。

対するエストラーダは着実に世界評価を高め、PFPレギュラーの座を獲得。

シーサケットという共通項から見ても〝重さ〟を跳ね返したエストラーダに対して、何も出来ずに轢き裂かれたロマゴン。

それでも、ロマゴンは昨年2月にアンダードッグの烙印を押されながらもWBA王者カリド・ヤファイに圧勝、Comeback of the year=年間最高カムバック賞に輝きます。

この再戦はロマゴンにとって「遅すぎた」と見るのが常識的かもしれませんが、オッズはエストラーダ8/11(1.27倍)、ロマゴン11/10(2.1倍)と拮抗。 

Styles makes Fights 〜相性が勝負の分かれ目〜ではなく、Judges makes Fights〜3人のジャッジがどう振るか、ジャッジが頭を悩ませる試合になりそうです。

そして、世界がこの試合を最強決定戦と見ていても、日本のファンは素直に認め流ことはできません。

最強を名乗るなら、井岡を倒してから言え! 

エストラーダvsロマゴン、この勝者が井岡と戦うとなると、軽量級では珍しいPFP対決となります。

2011年から現在までの10年あまり。ジュニアフェザー級以下6クラスの超軽量級で、リング誌のPFPランキングに名前を刻んだのは、以下の12人。

ノニト・ドネア、ポンサクレック・ウォンジョンカム、ジョバンニ・セグラ、フェルナンド・モンティエル、ギレルモ・リゴンドー 、ローマン・ゴンザレス、ドニー・ニエテス、ファン・フランシスコ・エストラーダ、山中慎介、シーサケット・ソールンビサイ、井上尚弥、井岡一翔。 

軽量級でPFP同士が激突するのは「ロマゴンvsシーサケット第2戦」のような〝ランキング持ち回り〟(ex.初戦ロマゴン①・シーサケット圏外▶︎▶︎ロマゴン圏外・シーサケット⑩)を例外にすると、③ノニト・ドネアvs⑥ギレルモ・リゴンドーの2013年 まで遡らなければなりません。

史上初のPFP対決が、日本で目撃できるかもしれません。

気の早い話の前に、エストラーダvsロマゴンです。

この試合について、現時点ではっきり分かっていることは…ハイレベルの攻防になる、ということです。

軽量級史上でも屈指の評価を得ている二人が激突するのですから、高度な技術戦が展開されるのは間違いありません。

経験を重ねた二人が約9年前の初戦以上の深淵な駆け引きが交換されるはずです。

そして、エストラーダは30歳、ロマゴンは33歳。軽量級としてはキャリアを仕上げる臥龍点睛の季節を迎えています。

そして、エストラーダにとっては雪辱を果たさなければならない仇敵。ロマゴンにとってはPFP返り咲きを賭けた重要な一戦。

冒険の夏をとっくの昔に通り過ぎた両者にとって、これは絶対に負けられない試合になります。

41勝3敗のメキシコ人と50勝2敗のニカラグア人。彼らは、手練手管の井岡一翔に真っ直ぐに突っ込んで行った田中恒成の純情などカケラも持ち合わせていません。

つまり、塩気の多い展開になることも十分考えらちゃうのです。


そして、試合序盤はロマゴンがリードすると見られます。

ハイテンポのコンビネーションを繋ぎながら対戦相手を徐々に追い詰めてゆくロマゴンに対して、序盤を偵察に使い、中盤以降でラウンドにアクセントをつけてくるエストラーダ。

前半戦で偵察だけでなく〝捨てラウンド〟も撒いてくるメキシカンから、ロマゴンがポイントを拾う立ち上がりになりそうです。

逆にここでロマゴンがリードできないような事態になると、シーサケット第二戦の悲劇が繰り返されるかもしれません。

京口紘人も登場するテキサスの軽量級ビッグイベントまで、あと1ヶ月を切りました。
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米国ボクシングの凋落から、ボクシングから撤退してしまったHBO。

毎年削減される一方のボクシング予算。

この予算を使わずにメガファイトを打てるPPVはマニー・パッキャオやカネロ・アルバレスという文字通りの〝ドル箱〟スターを抱えていたとはいえ、彼らは2人合わせても年4試合やるかやらないかの特別すぎる存在です。

次年度の予算編成に関わる通常プログラム(World Championship Boxing=上位プログラム=とBoxing after dark=下位プログラム=)の視聴者数は不振を極め続けました。

ヘビー級やウェルター級の高額報酬が支払えない状況の中で、HBOはコスパの高いイベントを求めて「人気はないけどとにかく強い」ゲンナディ・ゴロフキンと契約。

2015年5月にはGGGとの抱きわせとはいえ「誰も知らないけどとにかく優れている」ローマン・ゴンザレスとも契約しました。軽量級の試合を天下のHBOが放映するのは実に20年ぶりという大異変でした。

そして、ボクシング事業の生き残りをかけてBoxing after darkに新企画を投入します。

なんと、ウェルター級やヘビー級のスター選手1人の報酬にも満たない100万ドル前後で賄える破格のコスパを誇る軽量級を中心としたイベント、THE SUPERFLY です。
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第1回は2017年9月9日、 カリフォルニア州カーソン、スタハブセンター。

そして、この試合にはもう1つの仕掛けも隠されていました。日本からの放映権料です。

WBOジュニアバンタム級王者として参戦した井上尚弥のファイトマネーは、この放映権料が反映されてロマゴンの60万ドルに次ぐ18万2500ドル。

それでも、陣営の渡航費や宿泊費などの経費を考えるまでもなく、日本で試合していた方が多い金額です。もちろん、日本側からさらに補填されて、井上の最終取り分は40万ドルと倍以上になりましたが。

日本のボクシングファンの目からは「ロマゴンも含めてもっと高い報酬でいいだろう」と映ったかもしれませんが「米国で全く人気のないロマゴンに60万ドルは高すぎる。こんなことをやり出したHBOは間違いなくボクシング事業から撤退する」というのが常識的な見方です。

HBOには「どうせ全体経費でも100万ドル、損してもたいした金額じゃない。それよりもアジアの富裕国、日本やタイからもっと太い放映権料が引っ張り込めたら」という〝ナジーム・ハメドの夢よもう一度〟の皮算用があったのかもしれません。

ロマゴンとの再戦が用意されたシーサケットの17万ドルも破格、人気・認知のない軽量級ですから、本来なら同じイベントで激突したファン・フランシスコ・エストラーダやカルロス・クアドラスの6万5000ドルの線が妥当でした。

THE SUPERFLYは最後の第3回に井岡一翔も登場。HBOのボクシング予算が完全に枯渇化した時期とはいえ、日本からのスポンサードも弱い井岡に用意された報酬はわずか2万5000ドルに過ぎませんでした。

前置きが長くなりました。
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HBOは斃れても、THE SUPERFLYの決着は付いていません。

現在、このクラスのFive Kingsは、リング誌王者のファン・フランシスコ・エストラーダ、PFPキングのローマン・ゴンザレス、そしてこの2人から勝利を収めているシーサケット・ソールンビサイ、8連続防衛中のジェルウィン・アンカハス、そして我らが井岡!

エストラーダと井岡がPFPファイター、ロマゴンとシーサケットも元PFPと世界的に非常に評価が高い4人に、このクラスの番人的存在のアンカハスーー軽量級とは思えないタレントが威並ぶ超豪華なリストです。

さて、HBOの忘れ形見THE SUPERFLY、誰がその頂点を極めるのか?
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最高技術を持った二人が戦えば名勝負になる。

それが愚かな妄想であることを、私たちボクシングファンは2015年5月2日にあらためて骨身にしみて思い知らされました。

他のプロスポーツなら「最高技術」を披露することだけでファンは満足します。しかし、プロボクシングは違います。そんな単純な職業ではありません。

ファイターの売り物は「不屈の勇気」です。もっとわかりやすくいうと、自分より強い相手だとわかっても、わずかな可能性に賭けて勝利を追求する勝負根性です。

昨日、115パウンダーの二人が感動的な試合を繰り広げたのは、東海の25歳が不屈の勝負根性を見せてくれたからです。

そして、その上質の勇気を31歳のグランドマスターがしっかりと受け止め、優秀な主審が凄惨な結末を最高のタイミングで食い止め、名勝負を完結させたからです。

私たちの眼の前で起きていることは、全てが妄想です。

ボクシングの試合も見る人の視点、考え方、立場、環境、生い立ち…様々なプリズムを通して映し出された幻影です。
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PunchStat の視点◉

CompuBoxのPunchStatは典型的なプリズム、そこに羅列された数字は〝幻影〟である…なんて今更、釈迦に説法でしょう。

試合の評価基準は「有効なパンチ」です。PunchStatではパンチの有効度を評価しません。

今回の試合で最も有効なパンチは井岡の左でしたが、あの拳は一つ残らず「ジャブ」にカウントするのがPunchStatです。

そして、後ろ手の拳がヒットすると、それが軽いジャブであっても「パワーパンチ」と見なします。

PunchStatがパンチの有効度まで評価できるなら、CompuBoxにオフィシャルのスコアリングを委託すべきですが、ありえません。

さて、幻影であることを踏まえて、昨夜のPunchStatです。
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個人的には1〜2ラウンドは田中が取って、第3ラウンドも挑戦者に流れていても不思議じゃないと見ていました。

両者とも効果的なパンチはなかったものの、田中の攻勢に井岡が様子見で引いて戦った、と。

しかし、多くの人が「田中」にポイントを振ったであろう二つのラウンドは、ジャブでもパワーパンチでも井岡が圧倒していたのです。

それどころか、田中がヒット数と精度ともに上回ったのは第3ラウンドのパワーパンチ(田中8/33=24.2%/井岡4/17=23.5%)だけ。PunchStatの数字上は、田中がもらしたように「完敗」でした。

8ラウンド1分35秒までのトータルはジャブ(井岡73/262=27.9%:田中23/274=8.4%)、パワーパンチ(101/230=43.9%:田中66/247=26.7%)、トータル(174/492=35.4%:89/521=17.1%)。

互角以上に手を出した田中でしたが「こんなに差があったのかとびっくりした」という通りに、精度が全く違いました。

幻影を映し出すプリズムであるPunchStat ですが、ある角度から入る光は真実として映し出すことがあります。

そして、その真実に非常に早い段階で気づいていたのは、リング上で拳を交えていた二人だけだったのかもしれません。



クシングァンの目線◉

スター同士をぶつけなきゃダメ。

英国でも米国でもメキシコでも、それが当たり前。 日本では「星のつぶしあい」と敬遠されるけど、それは大間違い。勝った方がより大きなスターになる。

そう言い続けてきましたし「星のつぶしあいではなく、より大きなスター誕生のために必要なプロセス」という考え方に変わりはありません。

しかし、大晦日の Battle of Age を「最高のタイミング」と絶賛していたのは間違いでした。この試合は田中にとって「早過ぎました」。

もしかしたら、早過ぎたのではなく、戦略ミスと考えるのはあまりにも田中に肩入れしすぎでしょうか?

井岡のスタイル、シールドの固さはわかりきっていたことです。
あの老獪な31歳を正面突破で打ち砕こうとしたことが、そもそも間違いです…アムナット・ルエンロンやドニー・ニエテスのように試合をもつれさせることが、井岡一翔という難問の解答例でしたが…。

言い訳ですね。

あのスピードを正面突破に使うから、肩入れするんであって、田中がスピードと若さを消極的に用いていたら、感情移入など、到底出来ませんでした。



人の来と望◉

ビッグファイトの敗者が大きなものを失うのは当然です。そうでなければビッグファイトではありません。

しかし、Battle of Age の色彩を帯びるビッグファイトの場合は、若きライオンの蹉跌は特に深い悲しみを伴います。



今回の戦いで、31歳の王者はその口から発したように「拳の重さ」を証明しました。さすが、という他に言葉はありません。

そして「名前の知られている王者と戦いたい」という熱望は叶えられるでしょう。

そして、今度は私たちは心置きなく応援できます。「エストラーダ、上も下も効いてる!井岡!休ませるな!ぶっ倒せ!」と一貫して応援できます。少し悲しい気持ちになることもありません。

井岡がそのキャリアを逆算するステージに入っている一方で、25歳の田中はキャリアのグランドデザインに微修正を強いられました。

田中は、まだまだ現在地点から未来を展望できる場所に立っています。ゴールから逆算する段階は、まだまだ先の話です。

自由に考えて、感じた道を行けば、それが正解だと思います。

それこそ、彼が公言する「PFP1位」「打倒・井上尚弥」を実現するのに、この敗北は一気に最短距離に舵を切る契機になるかもしれません。

25歳の勇敢な若者の前には幾つもの道が拓けています。
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