フシ穴の眼 〜スポーツ疾風怒濤編〜

      Hope Lights Our Way / 希望の道を、つなごう。

カテゴリ: ボクシング界はいつだって魑魅魍魎

本当なら最も尊敬され、注目されるべきUndisputed Champion。

しかし、それも3団体時代まで。

4団体時代におけるUndisputed Championは、人気のない地味な実力派ボクサーがスター不在のやはり不人気階級で達成する〝日陰の大偉業〟に成り下がってしまいました。

ところが、どんなことにも例外はあります。

「アジア人は米国でスーパースターにななれない」という揺るがしがたい偏見から、誰もがわかりきっていてそんなジンクスすら存在しない「フライ級王者はウェルター級王者にはなれない」という鉄板の常識さえもひっくり返されるのがリングの現実です。

そして、シュガー・レイ・レナードがイタズラ心から手を出したスーパーミドル級もまた、米国と日本の2大市場では決して人気階級とは言えませんでした…。

しかし、カネロ・アルバレスが「168ポンドを主戦場とする」「ゴロフキンが私と戦いたいならここに上がって来い(168ではたぶん無理)」と〝スーパーミドル定住〟を匂わせていることから、一気に活気付いています。

「ジュニアバンタムが最も熱い」「17階級で最も注目すべきはライト級」…メガファイト、興業の巨大さを物差しにすると、そんなものは全部妄想です。

ジュニアバンタムやバンタムなど超軽量級では、商業的な意味でのビッグファイトはそもそも存在しません。

ライト級ですら一番人気のテオフィモ・ロペスが競争入札で390万ドルの報酬を約束されて大喜びしている階級ですが、超軽量級はそれすらも雲の上の上。

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エディ・レイノソが立ち上げた NO BOXING NO LIFE ブランド。帽子だけでなく、グローブなどギアも統一しています。変な詰め物してないか調べて欲しいです。


◉スーパーミドル級◉

メキシコ時代の象徴カネロ・アルバレスがリング誌/WBA/WBC/WBOとUndisputed Championに王手をかけているスーパーミドル級。

カラム・スミスに、今日のビリー・ジョー・サンダースと英国のトップ選手を力でネジ伏せたカネロに対して、最後のピースを握るIBF王者ケイレブ・プラントがどこまで抵抗できるでしょうか。



【可能性】カネロがシンコ・デ・マヨに並ぶメキシコのお祭り、9月の独立記念週間にIBF王者プラントとUndisputed Championを賭けて激突する公算が高くなりました。

これまでカネロ戦への態度を明確に示してこなかったプラントも、今回は完全統一がステイク、報酬も跳ね上がるでしょうから断る理由はどこにもありません。

今年中にUndisputed Championが生まれるのは、ほぼ確実です。

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【価値】スーパーミドル級で完全統一王者誕生となると、1983年の誕生以来38年の歴史で初めて。
 
欧州、特に英国で人気が高いクラスですが、カネロがUndisputed Championになると北米市場でもさらにホットなクラスになるのは間違いありません。

「ミドル級に戻るつもりはない」というように、ゲンナディ・ゴロフキンとの第3戦やミドル級の強豪と戦うとしても、舞台はスーパーミドルとなります。

スーパーミドルはスミスとサンダースという英国カードが消え、残るビッグネームはプラント、デビッド・ベナビデスくらい。

村田諒太が大晦日にGGGを撃破すれば、スーパーミドルに転向するのは当然です。

舞台はずっと東京ドームと思ってましたが、AT&Tスタジアムが良いですね、ドームよりでかい。360度アウエーの方が応援しがいがあります。

それに、何よりも、あの巨大スタジアムなら手が出せる金額のチケットが手に入りそうです。 
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本当なら最も尊敬され、注目されるべきUndisputed Champion。

しかし、4団体時代におけるUndisputed Championは人気のない地味な実力派ボクサーがスター不在のやはり不人気階級で達成する〝日陰の大偉業〟に成り下がってしまいました。

ここ10年で、最もUndisputed Championが生まれそうな気運が継続しているライトヘビー級にもそんなムードが充満しています。

トップシーンは派手なパンチャーも多く割拠しているというのに。

オリジナル8の一つ、伝統のあるクラスですが長らく「ヘビー級になれない出来損ない」のイメージがこびりついてきました。今ではその〝汚名〟をクルーザー級と負担しあってる格好ですが、オリジナル8なのに「ライト」という呼称も未熟なイメージを強めてしまっているのかもしれません。

Undisputed Championが誕生したとしても、カネロ・アルバレスが戻ってこない限り、この階級には陽が差さないのでしょうか?

しかし、Undisputed Championが出現すると、カネロは近寄らなくなりそうです…。
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地味なクラスに必要なのはメキシカンの起爆剤ですが…。


◉ライトヘビー級◉

リング誌ランキングでは10人中5人がロシア国籍という、ロシアン階級。

そのトップに立っているのが、アルトゥール・ベテルビエフとデミトリー・ビボルの無敗コンビ。対抗馬は米国のジョー・スミスJr.。

また、29歳で無敗の元スーパーミドル級王者ヒルベルト・ラミレスは貴重なメキシコカードとしても注目。



【可能性】IBFとWBCのストラップを持つベテルビエフが36歳、WBAのビボルが30歳、WBOのスミスが31歳。

重量級としてはまだまだ時間が残されています。


プロモーターは3人とも違いますが「メガファイトのセミファイナル」が定番席の階級ですから、統一の期待は十分です。

オレクサンダー・グボジークとの「トップランク決戦」で勝ち抜いたベテルビエフをボブ・アラムがプロテクトするのが心配材料ですが、とりあえず「ベテルビエフvsラミレス」の家内制マッチアップが実現しそうです。



【価値】ウシクUndisputed Champion誕生となれば1983年のマイケル・スピンクス以来、38年ぶりの快挙となります。

ただし、スピンクスの時代はスーパーミドルもクルーザーもまだ〝受胎〟したばかりで、ライトヘビーはヘビー級以外で唯一の重量級でした。

もし、Undisputed ChampionはPFP入りするなど、メディアと専門家から一定の評価を得ることになります。

しかし、注目度はさほど変わらないかもしれません。

リングの中のブルーワーカー、スミスが完全統一を果たせば、餌の匂いを嗅ぎつけたカネロ・アルバレスが再びこの階級にノコノコと戻って来そうですが。。。 
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私が「見るボクシング」の世界に引きずり込まれた80年代は、すでに団体分裂と階級増殖による複数王者の時代でした。

全団体統一王者、他の誰にも王者を名乗らせない、議論する余地のない王者=Undisputed Championはファンにとっても最も尊敬できるスーパースターでした。

Undisputed Championのステイタスは、階級の増殖は低下リスクですが、より多くのベルトをコレクションしなければならないことになる団体増加は上昇要素になるように見えました。

しかし、4団体時代はUndisputed Championの地位ですら引き下げてしまっているのが現実です。

どの団体のランキングも我田引水のフェイクに成り下がり、世界王座が量産される現状は気軽な複数階級制覇を容易にしたばかりか、そのための王座返上はもちろん、多くのボクサーが体重超過などによる王座剥奪も厭わないなど、もはやその権威は地に堕ちています。

散逸した世界王座のピースそのものの価値が暴落しているのですから、コンプリートしたコレクションにかつての輝きがないのは当たり前です。

数年前に立ち上がった〝詐欺団体〟WBSSはUndisputed Championを生み出すためという大義名分を掲げましたが、手掛けた階級は米国で関心の低い階級ばかりの不人気トーナメントでした。

WBSSの悪戦苦闘は「現代のUndisputed Championとは?」という命題にをわかりやすい答えを提示してくれています。

「現代のUndisputed Champion」とは「(WBSSでも手が出せる)不人気階級の(WBSSのウソ報酬にも引っかかる)不人気選手が目指すもの」程度なのです。※もちろん、井上尚弥ら例外はあります。

しかし、ボクシングがスポーツだとしたら、Undisputed Championが最も尊敬されるべきであること、人気階級やスター選手が優先的な興味を示さない現実はスポーツとして間違っています。

井上が完全統一する前提でのバンタムや、記録的な興行になるヘビー級、米国の花形クラスであるウェルター級でUndisputed Championが誕生するなら、ボクシング界のメインストリーム、腐った潮目が少しは変わるかもしれません。



◉クルーザー級◉
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実はイベンダー・ホリフィールドの時代から好みのクラスです。

WBSSに対して散々非難してきましたが、ファーストシーズンのクルーザー級は唯一「公約」を果たしただけでなく、非常に面白く見ることができました


【可能性】バンタム級がメジャーな国が極東に存在するように、クルーザー級がメジャーな国がバルト海に存在します。

ラトビアの国民的英雄マイリス・ブリエディスは「第二回WBSSクルーザー級トーナメント」の優勝者。初回でUndisputed Championとなったアレクサンダー・ウシクとは違い、現在はリング誌とIBFのベルトをキープする元警察官のラフファイター。

残る3つのストラップはWBA=アルセン・グラミリアン、WBC=イルンガ・マカブ、WBO=ローレンス・オコリーが分け合っています。

米国と日本では関心が低いクラスながら個性的な巨人が群雄割拠、ユニエル・ドルティコスは結構お気に入りのキューバ人です。

【価値】ウシクのヘビー級転向で再びベルトが分裂したとはいえ、WBSSがシーズン2でもこのクラスを手がけたことは多くのファンを失望させました。

「クルーザーのラトビア」 が「バンタムの日本」に匹敵する金脈であり、ビジネスとして取る組むのも当然です。

それにしても、ラトビア寄りの裁定が目立ち、興醒め感は否めません。

そして。やはり日本のファン目線では〝ヘビー級の日陰階級〟のままです。

優秀な選手同士の試合は面白いのですが…それはどこの階級でも同じとはいえ、クルーザー級には迫力もスピードもあります。

ブリッジャー級が定着すると〝日陰階級〟のババ〟をブリッジャーが引くことになり、クルーザーはヘビー級のシャドウから多少は解放されるかもしれません…。 
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スターダムの頂点に立つ一握りのボクサーにとって、アルファベットタイトルの重みはどんどん軽くなっています。

20世紀までのメガファイトはタイトルが必要不可欠でした。

しかし、21世紀になると、マニー・パッキャオやフロイド・メイウェザーの試合でどのアルファベットのどのタイトルがステイクされていたかを記憶している人はもはや少数派になってしまいました。

そもそも、興行規模だけなら史上最大の「メイウェザーvsパッキャオ」ですら、多くの解説者がタイトルを把握していない有り様です。

それほど、どうでも良いガラクタに成り果てたのです。

その、一方で一握りのスター選手の価値は高騰、プロモーターのスター選手囲い込みの傾向はより一層強くなっています。
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「門戸閉鎖」。

パッキャオのメガフィトをトップランクの傘下選手だけで行うことで、ボブ・アラムとパッキャオは大金を手にすることができるが、ボクシング界にとって良いことは一つもない。〜2010年7月18日:Yahoo!Sports〜

21世紀になってスーパースターの囲い込み、大手プロモーターの〝ハウスメイド〟のマッチメイクはメディアとファンから厳しく批判されます。

しかし、その潮流が変わることはありませんでした。

かつて、マニー・パッキャオを擁してハウスメイドのメガファイトを連発したトップランクが、新興勢力の引き抜きに遭い、勢力が減退。

トップランクがライバルのプロモーターたちの有力選手囲い込みに、傘下の選手が飼い殺し状態になっている状況はなんとも間抜けで皮肉な光景です。

現在、Undispeted Champion が難産である原因には、プロモーターの壁も挙げられます。

プロモーターにとって捨て駒であるジュニアフェザー級以下の超軽量級ならまだしも、人気階級ではハウスメイド興行でない限り、大駒は出し惜しみするのが当たり前になっています。

この状況下で、完全統一の意味はどこにあるのか?

メイウェザーやパッキャオが全く興味を示さなかったように、完全統一王者はいまや本物のスーパースターとは真逆にマッピングされる地味な実力者に過ぎないのか?
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4団体17階級時代。

3団体時代まで最も名誉ある王者は、Undisputed Champion=議論する余地のない王者でした。

マーベラス・マービン・ハグラーやマイク・タイソン、全てのベルトをコンプリートし他の誰にも王者を名乗らせない、議論する余地のない王者は至高の輝きを放っていました。
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Undisputed Championは実質4+1(リング誌チャンピオン)です。

しかし。

Undisputed Championになるのが最も難しいはずの4団体時代で、この至難のコレクションを完成させたのはバーナード・ホプキンス、テレンス・クロフォード、アレクサンダー・ウシクの3人、揃いも揃って日陰の不人気キャラクターでした。

この間、スターダムの頂点に屹立したのはオスカー・デラホーヤ、フロイド・メイウェザー、マニー・パッキャオ、カネロ・アルバレスでしたが、彼らのいずれもUndisputed Championにはなっていません。

「人気のない実力者が世間を振り向かせるために懸命にベルトをかき集めたけど、結局世間はそんなの見てくれない」。それが悲しい現実です。

ボクシングに限らず、プロスポーツは人気が全てです。

それでも、ボクシングならUndisputed Championが最も評価されるべきです。

現在のボクシングシーンで、Undisputed Champion誕生が「スター誕生」として最も歓迎されるには、ヘビー級とバンタム級でしょう。

バンタム級の場合は日本の井上尚弥が完全統一するというのが大前提で、大歓迎を受けるのは日本限定と局地的ですが…。

現在、チャンピオンベルトを二つ以上持つ王者が存在するクラスをおさらいし、その可能性と、実現した際の価値を検証してゆきます。

アルファベットのピースを二つ以上保持する王者が存在する階級は、意外と多く17階級中12階級。

ミドル、フェザー、フライ、ジュニアフライ、ストローの5階級は王座のストラップが完全に分離してしまっています。

ここでは、早ければ1試合で完全統一王者が誕生する階級もある「12階級」に焦点を当ててゆきます。


◉ヘビー級◉

【可能性】リング誌/WBC王者タイソン・フューリーと、WBA/WBO/IBF王者アンソニー・ジョシュアの二人で「4+1」のベルトを分け合っています。

この完全統一戦は今年中に実現するといわれ、サウジアラビアが1億5000ドルで招致に乗り出すなど盛り上がっていますが、交渉成立の報はまだ届いていません。

今年初めには「2試合実施」構想もぶちまけられていましたが、1試合も怪しい雲行きです。


【価値】二人とも破格の年収を誇るフォーブス・ファイター。なによりも、17階級で最も価値の高いヘビー級です。

レノックス・ルイス以来の完全統一王者を賭けた英国人同士の激突はどちらが勝っても、世界的なビッグニュースになるでしょう。

サウジアラビアの提示額や、放映権料の巨額の数字を考えると、当該年度のフォーブスアスリート長者番付でワンツー独占もありえます。
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1988年に、WBOが発足して幕が上がってしまった4−Belt Era。

この33年間で、4団体完全統一王者=Undisputed Champion(議論する余地のない王者)=はたった4人しか誕生していません。

ミドル級のバーナード・ホプキンス、そのホプキンスに勝ったジャーメイン・テイラー、ライト級のテレンス・クロフォード、クルーザー級のアレキサンダー・ウシクです。

ここに「WBCフランチャイズを王座と認める」という愚行*を英断するならライト級のテオフィモ・ロペスも加わって5人となります。 

*先に予防線を張っておきますが「中谷正義vs テオフィモ」が決定した時点で、このブログはESPNやリング誌の「フランチャイズは認めない」という立場から一転離反、テオフィモはUndisputed Championと認定しますので悪しからず。
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こいつらの仕事は世界王者の権威を高めてボクシングの魅力を世界に広げることではありません。彼らは一つでも多くの王座、一つでも多くの階級を作ることに全身全霊を捧げる「王座・階級」を量産する製造業者なのです。「承認団体」と考えると腹も立ちますが「メーカー」と考えると怒りも少しは和らぎます。

3階級制覇はもちろん、4階級制覇よりも遥かに難問となった4団体完全統一ですが、そのラインナップを見ると一目瞭然「強いけど人気が伴なわない不遇の選手」の名簿であることがわかります。

この33年間でスターダムの頂点を極めたオスカー・デラホーヤもフロイド・メイウェザーも、マニー・パッキャオも、カネロ・アルバレスも、4人合わせて21階級制覇もしながら、誰一人としてUndisputed Championの座に就いていないのです。

スターダム頂点とUndisputed Champion、この各4人のグループはまさに光と影です。

影の4人が必死になって光になろうとした、その手段が4団体統一でしたが、統一しても影は影のままでした。

頂点のスターと戦っていないクロフォードやウシクは仕方がないにしても、デラホーヤやフェリックス・トリニダードを完膚なきままに叩きのめしたホプキンスですら影のままだった事実はあまりに悲しく、このスポーツがいかに不条理と理不尽なスター・システムで成り立っているのかを改めて思い知らされ、暗澹たる気分になってしまいます。

「テオフィモは人気があるし、これからもっと人気も出る光じゃないか」という意見もあるかもしれません。

繰り返しますが、中谷戦が決まるまでテオフィモがUndisputed Championとは絶対に認めません。

そして、エル・ブルックリンがUndisputed Championと認められる経緯や、それを肯定する腐敗メディアの姿勢こそが、唾棄すべきスター・システムを象徴する事象なのです。

ワシル・ロマチェンコ戦を前に「フランチャイズのタイトルもステイクして欲しい」というリクエストをマウリシオ・スライマンは快諾、それどころか「唯一無二のWBCのUndisputed titleはフランチャイズ。デビン・ヘイニーはセカンド王者」と狂言を口走ったのでした。

「WBCの最高責任者が明言しているんだからフランチャイズが正統で正当な王者と認めるしかない」というのは大間違いです。それでは腐敗承認を認めることです。
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「王者だから権威がある」という時代はとっくに終わり「メイウェザーだからPPVが売れる」「パッキャオだから人気がある」というのが4−Belt Eraです。王者の大量生産はUndisputed Championの権威・価値をより高めると思われましたが、現実は全く真逆でした。

見境なく世界王座を粗製乱造するアルファベット団体と、それらを奴隷の如く思うがままに扱うスーパースターの醜いエゴ。

そんな汚らわしいベルトをコンプリートすることに、どこまでの意味があるのか?

村田諒太の口から「ミドル級完全統一」という言葉よりも「カネロ・アルバレス」「ゲンナディ・ゴロフキン」の名前が挙がることから伝わるのは、彼の謙虚な姿勢だけではなく、ボクシング界がスター・システムに支配されているという現実です。

どのアルファベット・ベルトがステイクされていたのか記憶がないパッキャオやメイウェザーは4−Belt Eraを象徴するアイコンで、80年代までは考えられなかった、タイトルとの結びつきが非常に希薄なスーパースターです。

現在でも、Undisputed Champion=完全統一王者に就いたホプキンスやクロフォード、ウシクは、専門家からは最高レベルの評価を得ていますが、地味なキャラクターからの脱却は失敗に終わりました。

では、現代のUndisputed Championには専門家とマニアの評価と希少性以外には価値はないのでしょうか?

スター・システムに完全支配されている欧米だけで考えるなら、答えはYesです。

強さの証明書がスターの頂点と兌換された時代は、マーベラス・マービン・ハグラーを最後に終焉しました。

メキシコのスーパースター、カネロがUndisputed Championを目指すなら話は別ですが、クロフォードがウェルター級でもUndisputed Championの座に就いたとしても依然地味なままです。

「(クロフォードがスターの頂点を極めるには)コナー・マクレガーとのMMAとボクシングの2試合マッチで勝てば扱いは変わる」(ボブ・アラム)でしょうが、クロフォードは断固拒否、アラムへの不信感を募らせました。

それなら、パッキャオがやったように圧倒的不利予想で上の階級のスター選手を食うしかありませんが、そのつもりもないようです。クロフォードはこのままトップランクの養殖生簀で腐っていくのでしょう。 

Undisputed Championになるには4つもベルトを集めなければならない、つまり最も困難な時代が4−Belt Eraのはずですが、その名声は専門家とマニアの脳内で完結してしまう自慰的偉業に堕ちています。

ただし、スター・システムはメキシコや英国の人気階級という特権ボクサーにだけに用意された醜悪なギルドのルールに過ぎません。

もちろん、そこの親玉カネロを村田諒太が粉砕KOするようなことがあれば、こんなスッキリすることはありません。

しかし、そうでなければ…。奴らのスター・システムの中では絶対に見向きもされない、超軽量級の才能を憧れ料と土下座外交で押し売りする必要など、どこにもありません。

米国で地味、人気がないと切り捨てられるクロフォードやチャーロ兄弟と井上尚弥は同列には語れません。

井上やバンタム級は「人気がない」というような生易しい次元ではないのです。

しかし、日本では奴らのスター・システムなど無効です。奴らの眼中にない超軽量級も「伝統のフライ」であり、日本国内では「黄金のバンタム」も間違いではありません。

そこでUndisputed Championになることは、日本では大きな意味があります。

もちろん、そこにはメディアの正しい報道と、ファンの正しい受け止め方が不可欠になります。
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日本時間、今日未明にタシケントとドバイで行われた2試合は、5ラウンドと6ラウンドのTKOという同じような結末を迎えました。

一方、ある意味でこの2試合は「別れ」と「出会い」というキーワードで語ることが出来る対極の性格も帯びていました。
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「別れ」。

2016年に、数あるFighter of The Yearの中で最も権威がある全米ボクシング記者協会(BWAA)のFighter of The Year(シュガー・レイ・ロビンソン杯)に輝いたカール・フランプトンが引退を発表。

アイルランド史上初の3階級制覇を賭けたWBOジュニアライト級王者ジャメル・ヘリングへの挑戦に失敗、34歳のジャッカルは12年、31戦(28勝16KO3敗)の戦績を残してグローブを吊るしました。

ジュニアフェザー級で世界王者になって、フェザー級は人気スター選手レオ・サンタクルスをニューヨークの大会場で競り落として戴冠。英国・アイルランドのボクシングファンにとっては最高のファイターでした。

フランプトンは、米英で興味・関心が著しく低い軽量級のボクサーとして異質の存在だったのです。

「ジュニアフェザー以下の超軽量級=ボクシング」の日本のボクシングファンにとって、憧れの米英の大舞台に日本人が上がるためには、フランプトンやサンタクルスと戦うしかなかっただけに、ジャッカルがキャリアを終えることには寂寥感だけでなく無力感にも沈んでしまいます。

軽量級では希少な世界的スター選手がリングを去りました。


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そして「出会い」。

正確には「出会い(かもしれない)」です。

ムロジョン・アフマダリエフ、こいつがある程度強いのはわかっていました。

リオデジャネイロ2016の56㎏(バンタム)級準決勝でロベイシ・ラミレスに敗れて銅メダル。2015年ドーハ世界選手権では決勝(vsマイケル・コンラン)で敗退も銀メダル。

300勝(80KO・RSC)20敗のエリートアマであることは間違いありませんが、よくあるケースで実際の負け数は倍以上でしょう。しかも、負けてる相手が微妙。プロでもダニエル・ローマンとどっこい。

ただ、勝った試合の巧さと強さは抜きん出ていました。

ラミレスとコンランに完敗しているとはいえ、プロ適性は二人を遥かに凌いでいます。

岩佐との試合でも技術の高さは目を見張るものがあり、31歳のサムライに「これまでで一番パンチがあった。ビックリした」と言わしめたパワーもあります。

ジュニアフェザー級という世界的には非常に関心の薄いクラスですが、ここを踏み台にどこまで行けるか?です。もしかしたら、私たちはスター選手の揺籃を目撃しているのかもしれません。

…というよりも、日本人ファンとしてはこのクラスに留まって欲しい。

理由は単純明快、一つ年上27歳のバンタム級王者が4階級制覇を賭けて122ポンドに上がるまでに、さらなるレガシーを築いて、首を洗ってお待ち頂きたいと存じあげる次第なのです。

決戦のときまでに、残り2本のベルトもコレクションして頂けているのなら、もう最高です。

悲劇的にタレントが欠乏しているバンタムとジュニアフェザーですが、この二人の無敗対決はとんでもないレベルの戦争になるとしか想像できません。

ウズベキスタン人のMJは、フランプトンやサンタクルスのような「世界的な花」にはなりえませんし、少なくともライト級で活躍しないその可能性もありませんが、実力は彼らよりも上、途轍もない強敵です。

つまり「誰に勝ったか?」を語るに、粉砕して評価を上げるのに、これ以上ない格好の標的です。

超軽量級で世界最高の布陣を構える日本でも、こいつを倒せるボクサーは限られています。

岩佐も日本が誇る絵札でしたが、このウズベク人を倒すにはエースのカードを切るしかありません。 
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あらゆるスポーツは一番を争う競技です。No.1を決めるのがスポーツです。

その意味では、ボクシングはもはやスポーツではありません。


I hope that before I pass that they restore this game and bring it back to only one champion in the world, said Marvelous Marvin Hagler (1954-2021), middleweight king (1980 to 1987). Marvelous Marvin didnt believe the hype. Be like Marvelous Marvin.

私が生きているうちにこのスポーツを立て直して、世界チャンピオンは世界に一人だけという当たり前の時代に戻ることを願う。〜マーベラス・マービン・・ハグラー


ハグラーは堕落するボクシング界の流れに従わなかった。今こそマーベラス・マービンのように振るまえ。
 

 

If I was a man of power in boxing, I make one organization. No WBA and WBC. Id have one championship. Muhammad Ali, Sport interview (December 1981)

WBAもWBCも要らない。一つの統括団体、一つの王座、それが当たり前だ。〜モハメド・アリ

 

 

Im tired Theres too many championships in the sport of boxing. Let me tell people why theres so many different titles and so many different belts. People dont knowfor every belt, theres a sanctioning fee. So if a fighter wins an interim belt, he has to pay a sanctioning fee. If a fighter has just a regular belt, he has to pay a sanctioning fee. Then if a fighter is a superchampionthen he has to pay a sanctioning fee.


 Everybody has a belt! 
This is not good for the sport of boxing.
   Floyd Mayweather, interviewed on SHOWTIME Sports, 10/21/2020

 

いい加減、疲れちまった。ボクシングにはとにかくチャンピオンが多すぎる。どうしてこんなことになってしまったのか?ベルトは承認料を支払って買うのもなんだ。暫定王者のベルトも、レギュラー王者のベルトも、スーパー王者のベルトも全部承認料を払って買うものなのさ。

誰でもベルトが買えるのがボクシングの世界、こんなことがスポーツとして健全なわけがない。〜フロイド・メイウェザー

 

1966年、WBAからWBCから独立して以来55年。

団体は主要とされるものだけで4つに、階級は17に膨れ上がりました。

それは1団体8階級のオリジナル8の時代から、4*17=68と8.5倍に王者の勝ちが希釈されたという単純な話ではありません。

4−BELT ERAとは、4つの団体が17階級で1人の王者を承認しているわけではないのです。
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WORLDの冠を付けるタイトルだけでも商売ができるほど品数豊富です…まあ、商売なのです…。プロボクシングは、一つの団体が複数の世界王者を抱える狂気のステージに突入してしまいました。

それぞれの団体が、上位タイトルやレギュラータイトルなど複数の世界王者を抱えてるのですから、その掛け算は「4*17」ではなく「4*」というのが正しい式です。

常識のあるメディアやファンは「世界王者は1団体1人まで」「防衛義務の無いダイアモンドやフランチャイズなどの上位タイトルは王座と認めない」と承認団体の暴走をなんとか抑えようとしてきました。

しかし、昨年10月の「ワシル・ロマチェンコvsテオフィモ・ロペス」に先立ち、WBCのホセ・スライマンは「WBCのUndisputed TITLE(議論する余地の無い王座)はフランチャイズ」と従来の〝名誉タイトル〟と言う解釈を撤回、試合に勝利したテオフィモは完全統一王者になると宣言しました。

無茶苦茶です。

この狂人の狂言を受け入れているのが日本メディアです。

ESPNやリング誌はもちろん、実体のある王座を全て拾い上げているBoxRecですら、そんな前言撤回の屁理屈は認めていません。

WBCライト級王者はデビン・ヘイニーです。来月29日にホルヘ・リナレスがその座を戴くことが決まっていますが。
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それにしても「WBCのUndisputed Champion」ってどんな理屈でしょうか?ホセ・スライマンの脳みそは間違いなく腐って溶けています。
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ただ、厄介な話ですが、テオフィモは LINEAL Championなのです。

Undisputed ChampionでLINEAL Championの地位まで手に入れたマイク・タイソンがリング誌などで評価が低いのは「誰に勝ったのか?」の一点で、誰にも勝っていないからです。
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Undisputed ChampionもLINEAL Championも価値を持たなくなった4−BELT ERA。

「誰に勝ったのか?」という唯一の命題について考えてゆきます。
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時短営業もいいけど「お一人様」は別でいいでしょう。松本人志じゃないけど、絶対おかしいです。一人のみ率の高い私からすると、全く納得できません。

肉は小ぶりでもなかなかな焼鳥屋を発見。白モツ=右から二番目=は「もっとレア」でと、もう一本注文。

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「これ、ブルースリーの真似してヌンチャクをぶつけて怪我したところ。ものすごく痛かった」。

3階級制覇を達成したボクサーはマニー・パッキャオ(8階級制覇)、オスカー・デラホーヤ(6階級制覇) ら55人にのぼります。

最初に3階級制覇を成し遂げたのはミドル級、ライトヘビー級、ヘビー級を制覇したボブ・フィッツモンズ(1903年)。 

トニー・カンゾネリ、バーニー・ロス、そしてヘンリー・アームストロング(1938年)と4人が大偉業を達成してからは、団体分裂や階級増殖などの〝恩恵〟があったにもかかわらず、5人目は1981年のウィルフレド・ベニテスまで43年も待たなければなりませんでした。

つまり、1903年を紀元とする55人名簿のうち50人が1981年からの40年でリストアップされたのです。

そして、21世紀最初の3階級制覇はフェリックス・トリニダード、22人目の〝偉業〟でした。現代ではもはや、3階級制覇はカッコ付きの〝偉業〟としか表現できない時代になりました。

ティトが22人目。つまり、118年の歳月で積み重ねられた55人リストのちょうど60%を占める33名は、この20年で量産されたのです。

さらに、この5年間で見ると13人が〝偉業〟達成。このうち5人が日本人です(井岡一翔・八重樫東・長谷川穂積・井上尚弥・田中恒成)。

明日、WBOジュニアライト級王者ジャメル・ヘリングに挑戦するカール・フランプトンがタイトル奪取に成功すると「アイルランド史上初の3階級制覇」と注目を集めています。
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「英国」まで視野を広げて見ても、3階級制覇はフィッツモンズ、デューク・マッケンジー、リッキー・バーンズの3人だけ。

小刻みに細分化された超軽量級をマーケットとする日本で複数階級制覇が持て囃されるのに対して、ミドル級以上がメジャーの英国では安易な階級制覇は見られません。

ミドル級以上となると、欧米で需要の高い階級だけに簡単に世界挑戦が出来ないという事情もあるでしょうが、人気階級であるがゆえにそこにとどまるメリットも少なくないということです。

とはいえ、日本でも5年で5人がマークした3階級制覇に、英国が3人しか達成していないというのは意外です。

英国ボクシングニューズ誌や、ボクシングマンスリー誌(2019年廃刊)を読んでいても複数階級制覇への評価や意識が希薄であることは簡単にわかります(もちろん、マニー・パッキャオの8階級制覇にまでになると、さすがに大特集しますが)。

日本の場合は、複数階級が層の薄い超軽量級で存在証明する最もわかりやすい方法になっているのです。

超軽量級のジュニアフェザーから、軽量級の入り口フェザーを制覇、そしてジュニアライトを狙うフランプトンは英国(フランプトンの国籍は北アイルランド=英国)では非常に珍しい存在です。

レオ・サンタクルス初戦(ニューヨーク・バークレイズセンター)でも、フランプトンのホームのような大声援が送られました。

ファン・フランシスコ・エストラーダはもちろん、ゲイリー・ラッセルJr.らが不遇な扱いを受けるのを見るまでもなく、軽量級の需要が低い米国でサンタクルスやアブネル・マレスとともに、アイルランドのジャッカルは例外的な存在です。

「フィッツモンズは別格だけど、私が3階級制覇したらマッケンジーとバーンズよりも上だろう」 (フランプトン)というのは、その通りです。

現時点でも、2016年にBWAAとESPN、リング誌の Fighter of the Year 三冠を達成したフランプトンの方が、PFP経験すらない二人よりも遥かに上です。

オッズは相変わらず拮抗していますが、レーザーシン(カミソリ一枚の差)でヘリングが支持されていますが、フランプトンが主導権を握って明白な判定か、終盤ストップ勝ちと予想します。

フランプトンはサンタクルス初戦ではアンダードッグだったものの、ドネア戦をはじめ多くの試合は圧倒的有利のフラグが挙げられていただけに、このオッズは「ヘリングが強い」というよりも「フランプトンにとって130ポンドは重い」という旗印でしょう。
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今日のお昼は、あさりラーメン+サービスライス。

仕事が超繁忙期につき、昼からビールは飲まない。

わしでもやるときはやる!飲まないときは飲まない!のだ!

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勝手知ったる港湾でしかセールしないヨット乗りがいた。

惚れ惚れするほど完璧な船の扱いに、誰もがヨット乗りに薦めた。

「あんたが沖に出たら、有名なヨット乗りにだって勝てるかもしれないよ」。

しかし、彼はその港湾から出ようとしなかった。

「私はこの湾を知り尽くしている。波の高さも深さも水温も、潮の満ち引きも。慣れない沖に出て下手くそなセールをするより、ここで完璧なセールを追求する方が素晴らしいことだと思わないかい?」

「もったいない。有名になれて大金も稼げるかもしれないのに」。

残念がる人々に彼は言い切った。

「私は有名になったり、お金持ちになるためにヨットの腕を磨いてるわけじゃないんだよ」。


スベン・オットケは、Phantomの渾名を持つベルリン生まれのエリート・アマでした。

五輪は1988ソウルと1992バルセロナに連続出場、いずれもミドル級でベスト8敗退ながら、世界選手権では銅メダル、欧州選手権ではミドル級とライトヘビー級で金メダルと、素晴らしい成績を残しました。

そして、プロでは34戦全勝(6KO)と無敗のままグローブを吊るすのです。

オットケはプロ7戦目にオーストリアのリングに上がったとはいえ、キャリアを通してホームを出ることがありませんでした。

〝Phantom〟オットケもまた「0=ゼロの寓話」の主人公です。



34の勝利の中には殿堂クラスはもちろん、PFPファイターの名前も見当たりません。

「無敗」「21連続防衛」「団体統一」という外見に対しで「誰に勝ったのか?」という中身では空っぽ。

当の本人も殿堂はもちろん、PFPとも全く無縁のキャリアを送りました。

「無敗王者のまま引退」という数字上は最高の形でキャリアを終えたオットケでしたが、その存在感は渾名の通りPhantom、幻だったのです。

そして、複数階級制覇や防衛回数、無敗=ゼロという数字だけでは評価されないプロボクシングの世界を語るとき、レオ・ガメスやサムソン・ダッチボーイジム、テリー・マーシュ、オマール・ナルバエスらとともに〝数字だけボクサー〟の典型例に挙げられてしまっているのが現実です。

その試合は事実、本当に面白くありませんでした。その退屈さは、強烈な睡眠薬にも喩えられました。

寝付きの悪い夜なら、子守唄に丁度いい…なんて冗談にもなりません。

ドイツに引きこもったキャリアも、オットケが冒険を避けたのではなく、米国や英国が塩分過剰のオットケを忌避したのかもしれません。

「リングの上では子守唄は歌わせない」と。そうです。「子守唄はリングにゃないぜ」(小池朝雄)です。

17ストーン、168ポンドのスーパーミドル級は英国の人気階級で、欧州の猛者たちは英国の大会場や巨大スタジアムを目指します。

また、シュガー・レイ・レナードやトーマス・ハーンズ、ナイジェル・ベン、クリス・ユーバンク、ジョー・カルザゲ、ミッケル・ケスラー…今ならカネロ・アルバレスに見られるように、間歇的な人気が沸騰することがあるのが、スーパーミドル級です。

しかし、オットケが子守唄を歌うのを許されたのはドイツのリングだけでした。

その世界戦22試合に、メガファイト、ビッグファイトと呼べるものはありません。

21度も王座を守って無敗のまま引退。これがオリジナル8の時代ならもちろん、オットケは団体統一王者にも就きましたから二団体時代なら完全統一王者、Undisputed Championです。

しかし、現実の時代は4Belt-Era。オットケは王者の1人に過ぎませんでした。

Phantomが王者のストラップを握っていた1998から2004年までの7年間の世界スーパーミドル級シーンを振り返りましょう。


▶︎まずは、対立王者から。

1998年のWBA王者はフランキーライルズが翌1999年にバイロン・ミッチェルに敗れてタイトルが移動。2003年3月15日、オットケは、このアルファベットのピースをミッチェルから奪います。

WBCの1998〜2004年は〝猫の目〟の政権交代が続きます。リッチー・ウッドホールからマルクス・バイエル、グレン・キャトレイ、ディンガン・トベラ、デーブ・ヒルトン、エリック・ルーカス、そしてマルクス・バイエル。

7年間でちょうど延べ7人が短いバトンリレーを繰り返したのです。

ディンガン・トベラ…。ムラムラしてきましたが、思いっきり話が脇道に逸れること間違いなしなので、泣いてトベラは忘れます。

WBOのストラップはジョー・カルザゲが1998年から2007年まで、ビッグネームを倒しながら10年帝国を築きます。

〝ウエールズの誇り〟カルザゲはPFPに2005年:5位、2006年:3位、2007年:2位とキングに王手まで迫り、オットケと同じく無敗のまま引退。

そして、文句無しの一発殿堂入り。

英国のスーパースター と時代が完全にオーバーラップしたこと、そして対戦が叶わなかったことが、オットケの日陰色をより一層濃くしてしまいました。


 

▶︎次に、1998〜2004年のリング誌PFP(Best Fighter Poll)を振り返ると、この7年間のトップ10にスーパーミドル級の選手は一人も食い込むことが出来ませんでした。

オットケの在位期間はスーパーミドルの暗黒時代ともいえます。
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世界戦22連勝、21連続防衛。2団体統一。数字だけなら一発殿堂でもおかしくありません。

精一杯の尊敬を込めると、勝利を追求する誠実な人柄がにじみ出るようなボクシングスタイルでした。 

しかし、本人が「飛び抜けて最強だったのはアンソニー・ムンディン」と認めているように、その対戦相手の質は劣悪でした。 

米国のスター選手まで追い求めたカルザゲと違い、オットケは慎ましくキャリアを重ねて行き、何事もなくキャリアを閉じました。

そう、何事もなく。 
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