カテゴリ: 箱根駅伝とオリンピック

甲子園の注目選手・佐々木麟太郎と、大谷翔平を並べて「麟太郎はMLBどころかNPBでも通用しない」なんて皮肉る野球ファンはいません。

ましてや代表選考会。とにかく、順位が最優先です。



来年開催のパリ五輪、そのマラソン日本代表を決めるマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)が、東京・国立競技場発着で激走中です。

男女とも上位2人が自動的に代表権を獲得(3位は今後の指定3レースの結果を睨みながらの選考対象)します。

土砂降りの雨、当初予想された厳しい残暑ではなく冷え込んだ空気。

レースは、2018年元日のマーシュフィールド・ニューイヤーズデイ・マラソン、4月のボストンと寒冷な気象条件で圧倒的なパフォーマンスを披露してきた川内優輝が大逃げ。

35km手前で2位集団に吸収された川内ですが、表情はまだ生きています。

ここであっさり引き離されないのが、川内の川内たる所以。

1位は小山直城、2位に赤﨑暁。ここまでが代表内定。

大迫傑はまたしても一発代表確定を逃す3位。4位に粘りまくった川内。


冒頭の言葉とは矛盾してしまいますが、パリに向けて暗雲しか立ち込めない代表選考レースでした。

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関東ローカルの大学駅伝、その予選会が東京キー局で地上波生中継…ボクシングの世界戦に分けてくれ!…なんて嫉妬はここでは置いておいて。

陸上自衛隊立川駐屯地をスタート、立川市街地を抜けて国営昭和記念公園ゴールのハーフマラソン(21・0975キロ)を走った57校。

今回の注目はやはり門戸開放で地方から参戦した11校。その結果は…


◾️京都産業大学 27位/57

◾️立命館大学 34位/57

◾️皇学館大学 35位/57

◾️札幌学院大学 37位/57

◾️日本文理大学 39位/57

◾️大阪経済大学 43位/57

◾️中京大学 44位/57

◾️環太平洋大学 45位/57

◾️愛知工業大学 46位/57

◾️信州大学 47位/57

◾️放送大学関西 55位/57

※分母をスタートラインに立った57(大学)にしていますが、高崎経済大学は規定の10人を完走させることができなかったので記録なし。


ドン・キホーテたちの季節外れの夏が終わりました。

最高位の27位だった京産大のタイムは10時間54分22秒。13位で通過した山梨学院大学の10時間39分47秒とは14分37秒差。大きな貯金が計算できる外国人選手を招聘するなど飛び道具でも使わない限り、来年、再来年でどうこうできる差ではありません。

それでも、全国開放は永久的に続けるべきです。

5年後には、蟷螂の斧を研ぎ澄ました関東以外の大学が壁をぶち破ってくるでしょう。



見事予選突破、本戦出場を果たした13校は、もちろん素晴らしかったです。

正月からやることあって羨ましいやら妬ましいやら。

特に、直前に監督交代があった立教。まあ、あの種のスキャンダルは逆にチームを一丸とさせることもあります。選手たちが普段通りの力を発揮して頑張りました。


おめでとうございます。
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シカゴマラソンで、ケルヴィン・キプトゥム(ケニア)が2時間0分35秒の世界新記録を樹立しました。

このタイムを出すのですからスプリットも驚異的です。

5km14.26
10km28.42(14.16)
15km43.09(14.27)
20km57.39(14.30)
ハーフ1.00.48
25km1.12.04(14.25)
30km1.26.31(14.27)
35km1.40.22(13.51)
40km1.54.23(14.01)
フィニッシュ2.00.35(6.12)

30kmから勝負の10kmを27分52秒…。どれほどの余裕を持って30kmを迎えていたのでしょうか?

後半のハーフは59分47秒。1.00.48〜59.47。

「世界記録が出る、出る」と言われていたキプトゥムが、その通りにやってのけたことも衝撃的です。

まだマラソン3戦目の23歳って…。



現在の世界10傑は以下の通り。

2.00.35 K.キプトゥム(ケニア) 2023.10.8 シカゴ
2.01.09 E.キプチョゲ(ケニア) 2022.9.25 ベルリン
2.01.41 K.ベケレ(エチオピア) 2019.9.29 ベルリン
2.02.48 B.レゲセ(エチオピア) 2019.9.29 ベルリン
2.02.55 M.ゲレメウ(エチオピア)2019.4.28 ロンドン
2.02.57 D.キメット(ケニア)  2014.9.28 ベルリン
2.02.57 T.エキル(ケニア)   2021.5.16 ミラノ
2.03.00 E.チェベト(ケニア)  2020.12.6 バレンシア
2.03.00 G.G.ゲアイ(タンザニア) 2022.12.4 バレンシア
2.03.04 L.チェロノ(ケニア)   2020.12.6 バレンシア

かつては日本人選手が複数名乗りを挙げていたこともあるトップ10リストですが、日本記録は2年半前に鈴木健吾が出した2.04.56。

世界レベルから遠い場所で足踏みしている日本と、その間にも驚異的なスピードで記録を塗り替えているアフリカ勢。

マラソンが日本のお家芸と呼ばれていた、そんな時代があったなんて冗談みたいです。

もう一般のスポーツファンがマラソンへ興味を向けることはないのかもしれません。
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来月14日、箱根駅伝予選会が開催されます。

来年1月2-3日の本選は第100回大会という節目ということで、今回の予選会は全国の大学に門戸が開放されました。

立命館や京都産業、中京など各地域の強豪校が予選突破に挑戦します。

今回の予選突破枠は3校増えて13。それでも他地域から参加の大学が本選切符を獲得するのは絶望的、挑戦は惨敗に終わると決めつけられています。

ハーフマラソンの成績で争うという、不慣れで長過ぎる距離だけでなく、関東の大学とはそもそもの実力と層の厚さが全く別次元だからです。

上位15位レベルに食い込める実力があれば、前を走る大学のアクシデント前提で13位に滑り込む可能性もありますが、その実力もないというのが現実です。

専門家やファンが「絶対に無理」と決めつけた常識を、大谷翔平やマニー・パッキャオはこれ以上ない形で破壊して見せましたが、野球やボクシングで数値化されるデータは参考資料に過ぎません。

ユニコーンとパックマンは、周囲がわかっていなかっただけで、あれは奇跡でもなんでもなく、必然でした。

一方で、陸上競技の記録は勝負にほぼ直結する絶対的なデータです。

トラックの成績がロードにそのまま反映されるとは限らない、短い期間で驚異的な自己記録更新を達成する選手もいるーーーとはいえ、それは特別な個体に限定され、予選会の10人全員に同時に起きるわけがない怪奇現象です。

10月14日には、当たり前の結果が当たり前に起きるだけでしょう。

彼らはパッキャオでも大谷翔平でもない、21世紀のドン・キホーテです。

無謀な挑戦は全て失敗に帰します。

それでも、10校以上、150人以上(1校14人まで出走可)ものドン・キホーテたちが蟷螂の斧を死に物狂いで振り回すなんて、ちょっと面白い光景じゃないですか。

彼らが本選切符を獲得することは99%不可能です。

それでも、惨敗した彼らは〝何か〟を感じて故郷に帰るはずです。

もしかしたら、その〝何か〟は目に見えないタスキで、彼らは母校の後輩たちへそれを繋ぐかもしれません。


成功の確率が絶望的な挑戦です。

それが〝記念受験〟的な感覚なら愚かな挑戦ですが、真剣に必死に蟷螂の斧を振り回して最後に力尽きるというなら、それは愚かな挑戦などではありません。

来月14日、地上波生中継されるそうです。

空前絶後の〝蟷螂の斧祭り〟をたっぷり楽しませてもらいましょう。

彼らが掴み取る〝何か〟が、無謀な挑戦から逃げ続けてきた私にも、もしかしたら見えるかもしれません。
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銀座の時計塔はいつ覆面を外すのか?

ティギスト・アセファがベルリン・マラソンを連覇。優勝記録は2時間11分53秒、従来の世界記録(2時間14分4秒)を2分11秒も更新する驚異的なタイムでゴールしました。

2003年にポーラ・ラドクリフが2時間15分25秒を叩き出したときも度肝を抜かれましたが、あれから20年。

20年で3分32秒更新、です。

そう考えると、少しは衝撃度がやわらぐ気もしますが…んなわけないか。やっぱり衝撃的です。

日本のマラソン黄金期、瀬古利彦や宗兄弟、中山竹通らが躍動した1980年代、世界屈指のエリート男子が出すタイムが2時間10分台、2時間10分斬りでしたが、今や女子がそこをロック・オンしているのですから、あまりにも感慨深いです。

日本では高橋尚子の2時間20分斬りから、まともな一歩を踏み出せないまま20年間、世界との差は広がる一方です。

それにしても、女子が2時間11分で走る時代が到来してしまいました。

彼らがブレードを仕込んだ厚底シューズを脱いだら、タイムがどこまで落ちるのかも、少し興味をそそられますが…。


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箱根駅伝を関東学連の既得権益のまま、全国解放しないことで都合が良いのは関東学連だけです。

再来年以降も全国開放するなら、今回の予選会には将来の本戦出場に向けてのテストマッチとしてもっと多くの大学が参加したはずです。

しかし、来年の第100回記念大会だけですぐ門を閉ざすのでは、テストマッチとしての意味すらありません。ただ、負けに行く、それだけです。

それでも、選手は出場したいでしょう。

箱根に挑戦を表明しているのは立命館大、大経大、愛工大。

大谷翔平じゃありませんが「無理だと言われたことをやれ」ってとこですね。

大谷は自信があったでしょうが、彼らは全日本で上位15位までを(箱根に優先順位を置く)関東勢が占めた現実や、そもそもの持ちタイムから予選突破があり得ないこと、惨敗を覚悟しての出場です。

もちろん、スポーツは何が起こるかわからない世界です。大きなモチベーションに引き上げられて、周囲が驚く大幅な自己記録更新を果たす選手なんていくらでもいます。

しかし、今回はそれを出場する全10人でやらなければならない、やっても予選突破できるかどうかわからない、という力量差です。

むしろ、普段以上の走りをしなければならないという力みが入って、ブレーキを起こす選手が出てくるかもしれません。

彼らが立ち向かおうとしているのは、普段の実力を100%出せばなんとかなるという高さの壁ではないのです。

予選会は10月14日の土曜日。陸上自衛隊立川駐屯地スタート、立川市街地を巡って国営記念公園でゴールするコースで行われます。

今年も、日テレGタスなんかで完全生中継されるのでしょうか?

かつては11月に行われていた予選会。10月だとまだ強烈な残暑が居座っているかもしれません。

「絶対無理」と決めつけられた戦いに、敢えて挑む彼らの散り際を、しっかり見届けてやりましょう。
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来年大会が第100回の記念大会となる箱根駅伝。

節目の年を記念して、関東学連に所属していない日本学連所属の大学でも予選会に出場できる〝門戸開放〟が行われます。

しかし、これは100回大会限定で、101回大会からは関東学連所属の大学オンリーに戻すことが明らかになりました。

本来なら関東学連主催の地方大会の箱根駅伝を全国開放するのはおかしな話です。

しかし、地方の箱根駅伝の方が、全日本大学駅伝よりもあらゆる意味で遥かにメジャーだという現実が横たわっているのです。

関東学連管轄外の大学生ランナーにとって「注目度の高い箱根駅伝を全国開放して欲しい」というのは悲願です。

しかし、ここにもう一つの現実が立ち塞がっています。

30年ほど前まで、大学スポーツの中でラグビー、野球に大きく後塵を拝していた箱根駅伝は日本テレビのマーケティングによって大学スポーツのNo.1イベントにまで登り詰めました。

このメジャー化が、競技レベルの驚異的な向上に繋がったのは当然です。

今回の予選会で関東学連傘下の大学以外が本戦出場を果たせるのか?これについては、すでに多くの関係者が断言しているように100%不可能」です。

競技レベルが違いすぎるのです。「選抜チームを結成しても難しい」とも言われるほどの厳しさです。

これが30年前なら中京大や近畿大、京産大なら十分チャンスがあったでしょう。

しかし、今ではノーチャンス。

これが第100回大会限定でなければ、地方大学も箱根を目指す中長期ビジョンに取り組めます。

関東2部でパッとしなかった青山学院大が強豪校になったように、関関同立などブランド力と資金力のある大学なら〝青学パターン〟で箱根の常連校、強豪校になる可能性は十分です。

ちなみに青学は今も2部校、箱根に特化した長距離だけが異様に強い陸上部です。

箱根駅伝が突出した人気を博している現状を見ると、この大会を全国に格上げして、主催団体も日本学連にするのが学生ランナーや駅伝ファンにとってベストの選択に思えます。

ただ、これに首を縦に振れないのが関東学連です。

大学No.1スポーツに育て上げたのは自分たちだという自負があるでしょうし、自分たちの努力で作ったものを、横取りされるのは我慢ができないのもわかります。

お前らは「全日本」の看板があるんだから、そっちを箱根よりも魅力的な大会にする努力をしろ、というのも正論に聞こえます。

しかし、関東学連は営利を追及する民間企業ではありません。日本学連も商売上のライバルではなく、日本の陸上を盛り上げる仲間です。

「恒常的な全国開放」が、日本とまでは言わなくても、関東の学生ランナーにとっても良いと考えられないのであれば、その理由をしっかり説明すべきです。

大迫傑の「箱根はとんでもないカネを生み出しているのに、どこへ行った?」という疑問も当然です。

箱根駅伝はどこまで変質するのでしょうか?
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読売新聞が1〜2月に行った「スポーツに関する全国世論調査」(郵送方式)の結果を発表しました。

有効回答2090の回答者内訳は、男女が50%ずつ。18〜29歳が10%、30歳代12%、40歳代17%、50歳代20%、60歳代18%、70歳以上23%。「新聞社」の「郵送調査」という、時代を映すには信頼性に欠けるますが、一つの目安としては面白い調査です。

「見るのが好きなスポーツ」(いくつ選んでも良いマルチアンサー)ではプロ野球が39%で1位。2位は駅伝が38%で肉薄。 

野球は高校野球が3位(37%)、大リーグも9位(19%)と〝3種目〟 でベスト10入り。

4位はフィギュアスケート(29%)。W杯で盛り上がった予熱が残ってるはずのプロサッカーは28%で5位、これは意外な低迷か?

6位はバレーボールの24%、7位・8位はマラソンと大相撲で各23%。9位がゴルフ(16%)、10位が卓球(15%)。

「好きなスポーツ選手」(3人までの自由回答)では、大試合で活躍した三笘薫(2位:78件)、井上尚弥(3位:59件)を大きく引き離して別次元の444件を集めた大谷翔平が1位。

4位:羽生結弦(57件)、5位:村上宗隆(51件)、6位:松山英樹(39件)、7位:八村塁、8位:佐々木朗希、9位:リオネル・メッシ(26件)、10位:浅田真央(21件)。

浅田真央の10位にびっくりです。

「見るのが好きなスポーツ」でベスト10に入っていないボクシングで井上が3位と大健闘していますが、これはこれでボクシングというスポーツの人気が非常に脆弱だということを表しています。

「井上とボクシング」とは真逆なのが、「見るのが好きなスポーツ」で駅伝が2位、マラソンが7位タイと高い人気を示しているように見える長距離走ですが、あろうことか「好きなスポーツ選手」ではベスト10にたったの一人も送り込めませんでした。

ここから読み取れるのは、ボクシングは「井上しか見ない人」が多い、長距離走は「なんとなく見ている人」が多いということでしょう。

羽生と浅田が支えているフィギュアスケートも心配ですが、ボクシングと駅伝も大丈夫かなあ…。 
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東京マラソン2023で山下一貴が日本人トップの7位でゴール。日本歴代3位となる2時間5分51秒(マークしました。


さらに其田健也も2時間5分59秒で8位。大迫傑は2時間6分13秒で日本人3位に入りました。

優勝はエチオピアのD.ゲルミサでフィニッシュタイムは2時間5分22秒。

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タイム的には日本人が2人も5分台で走って、優勝にも後少しな感じがしますが、世界のトップは2時間1分台。

持ちタイムで2時間3分台のカードがないと、戦えない時代です。

しかし、今日のレースは世界トップのペースで展開したわけではありません。

それにしても、大きな大会で日本人が優勝するのが珍しくなって、どれくらいの時間が経ってしまったのでしょうか?
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別府大分毎日マラソンで、青学大4年の横田俊吾が学生新記録となる2時間7分47秒でゴール、日本人2番手の4位に入りました。

横田は、10月に開催される2024年パリ五輪のマラソン日本代表選考会(MGC)の出場権も手に入れました。

従来の記録は、2003年3月のびわ湖毎日マラソンで藤原正和がマークした2時間8分12秒。

箱根駅伝、関東学生の競技レベルが爆発的に上がっている中で、20年間も記録が凍りついている原因については「箱根への特化」「箱根での燃え尽き」など、すでに散々指摘されてきました。

それでも、20年も止まっていた時計の針を動かした横田の走りは素直に素晴らしかったです。 

箱根駅伝が大きな注目を浴びることは、学生時代に本選出場は叶わなかったものの、4年間予選会を走った私にとっても嬉しいことです。

ただ、物事には順番があります。箱根駅伝は関東ローカルの大会で、本選には毎年200人が出場します。決してエリート中のエリート大会ではありません。

200人の中から選ばれたランナーが、実業団など次のステージに進むわけです。その、より高いレベルのステージでの注目度が箱根を明らかに下回るというのでは、これはやはり大きな問題だと言わざるを得ません。

もちろん、野球でも実業団や大学よりも甲子園が注目されるという矛盾はありますが、MLBを頂点とするピラミッドの小さな凹凸です。

日本マラソンが没落した最大の原因はアフリカ勢が競技に本腰を入れたから、箱根駅伝がもてはやされすぎたから、というのはある側面で事実かもしれません。

日本マラソンが世界と互角以上に戦っていた80年代までの歴代記録には、日本人はもちろん白人選手も上位に名前を刻んでいましたが、現在ではケニアとエチオピアの独壇場です。

アフリカ勢を核にした世界のレベルアップに日本が追いつけない…。しかし、よくよく考えると不思議な気もします。

箱根駅伝は恐るべきレベルアップを続けているのです。日本の長距離、その「裾野」は間違いなく広がっています。

かつて、学生では珍しかった1万メートル28分台で、今では数えきれないほどのランナーが走っています。

箱根駅伝のレベルは爆発的に上がったというのに、マラソンの記録は匍匐前進のようにもどかしい…その最大の原因は、おそらく「日本人1位」という絶対に大手を振って歩かせてはいけない言葉に凝縮されています。

大迫傑はあれほど速くて強いのに、どうして一度もマラソンで勝てないのか?「日本人◯位」という言葉に絡み取られながら走っているから、というのは決めつけし過ぎでしょうか。

「裾野」で一番になれば良い、という勝負事ではあり得ないロジック、それが「日本人1位」の正体です。

「裾野」の頂点を目指しているということは、山頂を極めるのはもちろん、アタックすることも放棄しているということです。

もちろん「日本人◯位」を確保しなければ、世界選手権にも五輪にも出場できません。ただ、そこに拘泥した考え方、メディアの報じ方は、敗者を大量生産するだけです。
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