箱根駅伝を主催する関東学生陸上競技連盟(関東学連)が来年秋に第100回箱根駅伝予選会の参加資格を従来の「関東学生陸上競技連盟男子登録者」から「日本学生陸上競技連合男子登録者」に拡大すると発表しました。
これで、全国の大学が予選会への参加が可能になり、予選を突破すると2024年1月2、3日に行われる箱根駅伝本戦の出場権を獲得することになります。
予選会の出場資格をどうするのか?現状の10000m34分以内という標準記録を持つランナー10人を集めるのは簡単なだけに、出場校が膨れ上がる気もしますが…。
大学長距離ランナーで34分以上かかるなんて普通はありえないのですが、10人揃えるのが地方大学ではハードルが高くなるのかもしれません。
選考方法は従来通り、一斉スタートのハーフマラソンに各校最大12人が出走し、上位10名の合計タイムで出場権を争います。
昨年11月の全日本大学駅伝で、関東勢以外で最上位の16位となった関学大、17位の皇学館大、18位の立命大、今年の全日本大学駅伝関西地区選考会でトップ通過した大阪経大などが箱根駅伝予選会に挑戦すると見られています。
とはいえ、全日本大学駅伝で出場15校の関東勢が綺麗に上位15位まで占め、その実力差は絶望的です。
過去に関東勢以外の大学としては関西大(1928年=9位・出場10校/31年8位・出場10校、32年8位・出場9校)、1964年に立命大(11位・出場17校)福岡大(13位・出場17校)が特別参加しています。
また、2004年に日本学連選抜がオープン参加、徳山大、京産大、立命大、岡山大、北海道教育大大学院の連合チームが出場。20チーム中6位(オープン参加なので順位はつかず)。
連合チームはさておき、60年代以前の単独大学の健闘からは、来年の予選突破も期待したくなりますが…それは100%ありえません。
約30年前、私が出場した頃の関東インカレの参加標準は、10000mで1部校がA:29分47秒、B:30分45秒。2部校でA:31分55秒、B:33分30秒と、1部校との差は歴然としていました。
この頃の箱根駅伝なら地方の強豪、京都産業大学などなら簡単に予選会を突破したでしょう。出場枠が5校増える記念大会なら、東大や慶大も出場することもありましたから、地方の国立大にすらチャンスが広がったはずです。
しかし、この30年で箱根駅伝の垣根は信じられないほど高くなってしまいました。
10000mの標準記録、現在では1部で A:29分15秒、B:29分45秒、2部校でA:29分15秒、B:29分45秒…あろうことかその差が全くありません。これは5000mと800mでも1部と2部が全く同じなのです。
1500mはBが1部で3分55秒、2部で3分57秒とわずかとはいえ2秒の差がありますが、Aは3分51秒50でやはり全く同じ。
さらに、関東に次ぐレベルの関西インカレの10000mは1部がA:30分50秒、B:31分50秒で、もはや関東の2部よりもずっとレベルの低い大会に成り下がっているのです。
かつては、トップ選手が争うインカレでのレベル順は、①関東1部、②関西1部、③東海、④関東2部、⑤その他地方インカレ、でしたが、現在(中長距離種目限定)は①関東1部か2部(おそらく2部の方が強い)で、個人で見れば関東でも通用する選手が点在しるものの、層の厚さ、全体のレベルという観点では関東と地方の格差は絶望的な開きがあります。
来年の予選会で関学大などが15位以内に入って本戦出場というのは、まずありえません。昨年の全日本で後塵を拝した関東の15大学だけではなく、全日本に出場していない強豪校が関東にはわんさか控えているのです。
予選会を突破できるのは上位10校。現時点で、ここに食い込める地方大学は1校も存在しません。
エリアだけでなく、留学生も無制限解放などさらなる拡大政策が実施されなければ、惨敗という結果しか考えられないのが現実です
「関学大は10人中9人まで留学生で固めてきました」なら、本戦優勝も視野に入ります。
「2部校の方が1部校よりも強い」なんてことは本来ありえませんが、そんな狂気の沙汰が現実に起きてるのが関東の大学陸上界です。
正確に言えば、箱根駅伝のメジャー化による関東の大学の長距離種目における劇的・爆発的なレベルアップがもたらした大きな矛盾です。
私たちの時代も、駒澤大学や山梨学院大学などほんの一部の長距離偏重の大学が2部に定着していることがありましたが、そんな大学は数えるほどでした。
現在は青山学院を筆頭に「長距離種目だけなら1部校も粉砕する」2部校の下克上が当たり前に起きているのです。
そんな大学はどいつもこいつも〝長距離バカ〟ですから、短距離や跳躍、投擲種目では超弱小どころか、選手も存在しない場合まであります。トラック&フィールド、陸上競技という全体でみると弱小校だから、2部なのです。
兎にも角にも、関東インカレ、正確には関東2部の長距離種目は世界中、歴史上のどんなスポーツと比べても非常に短い時間で、際立ったレベルアップを遂げています。
跳躍や投擲のように日陰の中で標準記録もほとんど変わらないまま、1部と2部の差もしっかり存在するケジメある種目よりも、世間から注目され理不尽なまでのレベルアップを遂げてゆく方が良いに決まってる、そうは思いますが…。
箱根駅伝のようなメジャーの舞台がある長距離は、マイナーを煮詰めたような種目がほとんどの陸上競技から分離独立して「日本箱根駅伝協会」の管轄下で営利事業を進めるべきなのでしょうか。
全国解放を2024年以降も継続するなら、第二の青学大が地方から誕生するでしょう。
ただ、現在の箱根人気が誰もが弛緩しきってテレビをつけてる正月ムードに乗っかった、内実をともなわないブームであることも明らかです。
「青学が強いんでしょ?」というのはなんとなく知ってても、今年の優勝校を自信を持って記憶している人や、活躍した選手の名前を一人でも挙げられる人がどれだけいるでしょうか?
かつて、新聞やテレビで大きく取り上げられていたラグビー関東対抗戦リーグと同じように、いつか〝狭い庭でしか通用しない競技〟を見せられていたことに多くの人が気づいてしまうかもしれません。
これで、全国の大学が予選会への参加が可能になり、予選を突破すると2024年1月2、3日に行われる箱根駅伝本戦の出場権を獲得することになります。
予選会の出場資格をどうするのか?現状の10000m34分以内という標準記録を持つランナー10人を集めるのは簡単なだけに、出場校が膨れ上がる気もしますが…。
大学長距離ランナーで34分以上かかるなんて普通はありえないのですが、10人揃えるのが地方大学ではハードルが高くなるのかもしれません。
選考方法は従来通り、一斉スタートのハーフマラソンに各校最大12人が出走し、上位10名の合計タイムで出場権を争います。
昨年11月の全日本大学駅伝で、関東勢以外で最上位の16位となった関学大、17位の皇学館大、18位の立命大、今年の全日本大学駅伝関西地区選考会でトップ通過した大阪経大などが箱根駅伝予選会に挑戦すると見られています。
とはいえ、全日本大学駅伝で出場15校の関東勢が綺麗に上位15位まで占め、その実力差は絶望的です。
過去に関東勢以外の大学としては関西大(1928年=9位・出場10校/31年8位・出場10校、32年8位・出場9校)、1964年に立命大(11位・出場17校)福岡大(13位・出場17校)が特別参加しています。
また、2004年に日本学連選抜がオープン参加、徳山大、京産大、立命大、岡山大、北海道教育大大学院の連合チームが出場。20チーム中6位(オープン参加なので順位はつかず)。
連合チームはさておき、60年代以前の単独大学の健闘からは、来年の予選突破も期待したくなりますが…それは100%ありえません。
約30年前、私が出場した頃の関東インカレの参加標準は、10000mで1部校がA:29分47秒、B:30分45秒。2部校でA:31分55秒、B:33分30秒と、1部校との差は歴然としていました。
この頃の箱根駅伝なら地方の強豪、京都産業大学などなら簡単に予選会を突破したでしょう。出場枠が5校増える記念大会なら、東大や慶大も出場することもありましたから、地方の国立大にすらチャンスが広がったはずです。
しかし、この30年で箱根駅伝の垣根は信じられないほど高くなってしまいました。
10000mの標準記録、現在では1部で A:29分15秒、B:29分45秒、2部校でA:29分15秒、B:29分45秒…あろうことかその差が全くありません。これは5000mと800mでも1部と2部が全く同じなのです。
1500mはBが1部で3分55秒、2部で3分57秒とわずかとはいえ2秒の差がありますが、Aは3分51秒50でやはり全く同じ。
さらに、関東に次ぐレベルの関西インカレの10000mは1部がA:30分50秒、B:31分50秒で、もはや関東の2部よりもずっとレベルの低い大会に成り下がっているのです。
かつては、トップ選手が争うインカレでのレベル順は、①関東1部、②関西1部、③東海、④関東2部、⑤その他地方インカレ、でしたが、現在(中長距離種目限定)は①関東1部か2部(おそらく2部の方が強い)で、個人で見れば関東でも通用する選手が点在しるものの、層の厚さ、全体のレベルという観点では関東と地方の格差は絶望的な開きがあります。
来年の予選会で関学大などが15位以内に入って本戦出場というのは、まずありえません。昨年の全日本で後塵を拝した関東の15大学だけではなく、全日本に出場していない強豪校が関東にはわんさか控えているのです。
予選会を突破できるのは上位10校。現時点で、ここに食い込める地方大学は1校も存在しません。
エリアだけでなく、留学生も無制限解放などさらなる拡大政策が実施されなければ、惨敗という結果しか考えられないのが現実です
「関学大は10人中9人まで留学生で固めてきました」なら、本戦優勝も視野に入ります。
「2部校の方が1部校よりも強い」なんてことは本来ありえませんが、そんな狂気の沙汰が現実に起きてるのが関東の大学陸上界です。
正確に言えば、箱根駅伝のメジャー化による関東の大学の長距離種目における劇的・爆発的なレベルアップがもたらした大きな矛盾です。
私たちの時代も、駒澤大学や山梨学院大学などほんの一部の長距離偏重の大学が2部に定着していることがありましたが、そんな大学は数えるほどでした。
現在は青山学院を筆頭に「長距離種目だけなら1部校も粉砕する」2部校の下克上が当たり前に起きているのです。
そんな大学はどいつもこいつも〝長距離バカ〟ですから、短距離や跳躍、投擲種目では超弱小どころか、選手も存在しない場合まであります。トラック&フィールド、陸上競技という全体でみると弱小校だから、2部なのです。
兎にも角にも、関東インカレ、正確には関東2部の長距離種目は世界中、歴史上のどんなスポーツと比べても非常に短い時間で、際立ったレベルアップを遂げています。
跳躍や投擲のように日陰の中で標準記録もほとんど変わらないまま、1部と2部の差もしっかり存在するケジメある種目よりも、世間から注目され理不尽なまでのレベルアップを遂げてゆく方が良いに決まってる、そうは思いますが…。
箱根駅伝のようなメジャーの舞台がある長距離は、マイナーを煮詰めたような種目がほとんどの陸上競技から分離独立して「日本箱根駅伝協会」の管轄下で営利事業を進めるべきなのでしょうか。
全国解放を2024年以降も継続するなら、第二の青学大が地方から誕生するでしょう。
ただ、現在の箱根人気が誰もが弛緩しきってテレビをつけてる正月ムードに乗っかった、内実をともなわないブームであることも明らかです。
「青学が強いんでしょ?」というのはなんとなく知ってても、今年の優勝校を自信を持って記憶している人や、活躍した選手の名前を一人でも挙げられる人がどれだけいるでしょうか?
かつて、新聞やテレビで大きく取り上げられていたラグビー関東対抗戦リーグと同じように、いつか〝狭い庭でしか通用しない競技〟を見せられていたことに多くの人が気づいてしまうかもしれません。