
階級制のスポーツに、減量にまつわる事件はつきものです。
今年2月、柔道グランドスラムのデュッセルドルフ大会で57キロ級にエントリーした山本杏が前日計量はクリアしたものの、当日計量の「5%ルール」を超え、失格してしまいました。
ボクシングでも、唯一IBFが前日計量から10ポンドオーバーで失格とルールで定めていますが、47.6キロのストロー級から90キロ超えのクルーザー級まで一律の「10ポンドルール」というのは、あまりにも杜撰です。
柔道のような「%ルール」でないと意味がありません。
何のルールもない他団体よりは遥かにマシとはいえ、IBFにはまともな思考回路があるのでしょうか?
現在、多くの階級制スポーツで取り入れられている「前日計量」は、減量のダメージから十分な回復時間を与える、選手の健康への配慮から始まりました。
しかし、前日計量はリバウンド特性のある選手に有利に働く、階級制に大きく矛盾する不公平を生み出してしまいました。
この矛盾を解消するために、今年から当日計量に戻す決断を下したのが、世界レスリング連盟です。「リバウンドの不公平」をなくすだけでなく、「回復時間を見込んだより過激な減量」も防止できると期待しています。
確かに、ここまで前日計量の歪みが噴出してくると、当日計量の方が 選手の健康面ですら優れていたのかもしれません。
先日のジェイミー・マクドネルも、当日計量ならあそこまで過酷に追い込んだ減量を決行しなかったはずです。
「水抜き」というと簡単そうですが、運動やサウナでもリミットまで絞りきれない場合は、強制的に体内から「水分」を抜くことも出来ます。マクドネルがやったかどうかはわかりませんが、「血抜き」です。あの血圧の異常値と一気に老化したような萎み方は、それを疑ってしまうほどでした。
計量後に再び輸血するなら、マラソン選手などが手を染める血液ドーピングの一種ですね。今回、マクドネルがやっていたとしたら目的は持久力アップではなく、減量ですが。
1988年からWADAは血液ドーピングを禁止していますが、これは再輸血によって体内の血液が異常値を示すことなどから発覚します。しかし、減量目的の血抜きは自らを弱体化する行為、〝逆ドーピング〟です。「血液濃度が異様に低いから失格」はありえません。
現状の前日計量による「回復時間とリバウンドを見越した減量」は当該選手の健康を蝕み、対戦相手も危険に晒す可能性も高めてしまいます。
日本ボクシングコミッション(JBC)は1995年から前日計量に変更しましたが、世界的な潮流と同じく回復時間とリバウンドを有効に使おうと、より過酷で過激な減量の横行を招いてしまいます。
JBCでは97年から、あからさまな増量をチェックするために当日計量も行い、現在ではリバウンドを8%以内に収めるよう推奨しています。
しかし、これは柔道の「5%ルール」やIBFの「10ポンドルール」とは異なり、罰則はありません。つまり「ルール」ではありません。
「8%を超えた選手には階級を上げるよう薦める」だけです。警告ではない、もちろん注意ですらないわけです。
ちなみに、井上尚弥の増量は6キロ、JBC推奨の8%(バンタムなら4.28キロ)を大きくオーバーしていましたが、「階級を上げるよう薦める」なんてことはしていないでしょう、100%間違いなく。つまり、転級を薦めることすらしないわけです。
JBCの「8%」には、本当に何の意味もないのです。「JBCが推奨してるから増量幅は8%以内に収めよう」と減量に励んでいるボクサーなんて、ただの一人もいないのではないでしょうか?
やればいいと思います。「8%ルール」。こうしたルールが整備されることで、胃袋の消化能力や栄養の吸収速度が求められるリバウンドによる不公平を相当な程度解消し、純粋なボクシング技術だけの勝負を楽しむことが出来ます。
「回復時間を見越した過酷な減量」と「急激なリバウンド」は2点セットです。「8%ルール」を施行することで、この2点が一気に改善されます。
でも、JBCは絶対にやりません。統括団体ですから出来るはずですが、やりません。断言できます。このルールの実施が、有名人気選手を含めた多くの日本人ボクサーにとって戦力ダウンにつながると信じているからです。
コメント
コメント一覧 (2)
もっといえば、それよりもお金や環境の有無で起こる不平等の方が個人の才能に由来しない不平等だと思います。例えば、WADAで禁止されている血液ドーピングは、お金があれば合法的に出来ます。高地トレーニングで得られる効果は血液ドーピングと全く同じですから。ですが貧しく生まれついた人はそんなトレーニングは中々受けられません。
それに比べれば、消化吸収は個人の才能ですからまだマシなように思えます。
そもそもibfについては京口が計量を免除されたり統一戦で実施されたりされなかったり、gggも二回10ポンドを越えたことがあるが剥奪されてなかったりであやふやなものです
計量を見てないので田口とハードについては村田同様に技術だと信じますが…
そもそもアマでもそうですが当日計量なら朝ではなく直前でないと意味がないんですよね ネリや比嘉などのイレギュラーなケースについては直前発表もありましたが…
井上のパフォーマンスと村田との差についても同意なのですが、唯一思ったことは
体調の差はあったにせよリング上で7kg重い相手をマルゲリータを顔張らしまくったパックのようではなくパンチで揺らしまくったのはポイントかと
自分より重い相手をkoしまくるリゴンドーやマティセ同様にパンチ力(特に連打)に関しては本物のモンスターだと思います 技術については同感です