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よっしゃーーー!!!!!絶対金だと応援してましたが、途中逆転されたときは「ダメか?」と彼女たちを少し疑ってしまいました。世界記録も持っているあんなに強いチームが負けるわけないのに、本当にごめんなさい。「チームパシュート」は今日のテーマ、伝統や様式美とは無縁のフレッシュな競技です。いやあ、どちらが先行してるかわかりにくいがゆえにヒヤヒヤな、見てて本当に面白い競技ですね。

それにしても…全身全霊、努力して栄冠を掴んだ女性のなんと美しいことか。自分を磨いて、磨いて、磨き抜いたんだから、当たり前なんですが、本当に美しい。


さて、羽生結弦の男子フィギュアスケート五輪2連覇は、サンモリッツとオスロで金メダルに輝いたディック・バトン(米国)以来、66年ぶりの快挙だったそうです。

昨日のTHE NEWS α (フジテレビ)にビデオ出演、羽生の金メダルを祝福し、「3連覇して欲しい」とエールを送りました。

しかし、バトンは時事通信の「ジャンプ重視に嘆き節」という記事で「今はフィギュアを楽しんで見ることすらできない。4回転しか話題にならないから」と今のフィギュアに物申しています。

4回転はアクセルを除く5種類、ショートプログラムとフリーで合わせて最大8本まで一気に増えたそうで「プログラムがみんな似たような感じで、劇場にいるような雰囲気を味わうことができなくなった」と言うのです。

そして、ハビエル・フェルナンデス(スペイン)が好みで「彼には演劇的なセンスを感じる」と支持しています。

バトンは、スポーツに限らずどんな世界にもよく見られる保守、回顧主義者ですね。

もちろん、破るべき因襲もあれば、守るべき伝統もあります。

このバトンの思いは、彼だけの忸怩ではなく、多くの欧米のフィギュアファンに共通していることです。

「フィギュアは体操競技じゃない、そのうちE難度とか言い出すんじゃないか」
「次は回転のスピードも測り出すんじゃないか」

こうした声の主たちは「フィギュアはバレエのようなダンス芸術」の色彩が強くなくてはならない、と考えているようです。

そんな保守主義に反して、このスポーツが恣意的な採点に陥りがちな演技力よりも、明白な身体能力を評価する傾向が強まる中で、アジア選手の台頭を許しました。

この傾向は、当然ながら欧米での人気低迷、スポンサー離れに帰結します。

現在のフィギュアの世界グランプリ会場は、ここは日本か?と思うほど日本企業の広告が目立っています。
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=時事通信=バトンは「カタリナ・ビットのような美とひらめく光はもうない」と今のフィギュアを憂いています。
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=THE NEWS α=日本のメディアにはさすがに「羽生は素晴らしい。五輪3連覇出来る」とエール。

伝統と格式に根付いた様式美。鍛え上げられた肉体が表現する限界の技。

スポーツは後者で、前者は伝統芸能だ。歴史のあるスポーツにおいては、そう言ってしまうにはあまりにも複雑な背景も抱えてしまっています。

フィギュアスケートだけではありません。

大相撲なんて、フィギュア以上にこの問題を宿命的に内包しています。

柔道は、この難題に長い時間をかけて見事な解答を見せてくれています。

比較的歴史の浅い、野球やボクシングでも、アスレティズムと様式美の問題は、ことあるごとに顔を出すのです。

けして悪い話じゃないです。スポーツの発展につながる、非常に興味深い問題提起です。

すぐに答えが見つかるような簡単な問題ではありませんが、皆様はどう思われますか?