ボクシングを題材にした小説、漫画、音楽、映画は名作にあふれています。

その中でも「一瞬の夏」(沢木耕太郎:1981年 新潮社)はノンフィクションという〝フィルター〟を通して〝創作〟された特別な名作です。

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沢木耕太郎は、ボクシングファンではない読者も抱える(非ボクシングファンの方が圧倒的に多いでしょう)人気作家ですが、多くの人はこの作品を通して彼の存在を知りました。

そして、沢木が題材にしたモハメド・アリやジョージ・フォアマン、マイク・タイソン、輪島功一…彼らを、ボクシングファンの私は沢木作品の登場人物としてよりも、プロボクサーとして見てきました。

しかし、カシアス内藤はアリや輪島と同じリアルタイムで知らないプロボクサーですが、世界タイトルマッチの舞台で眩しすぎる輝きを放つことが出来なかったという点で、アリや輪島とは全く違います。

リング上のパフォーマンスで語られることが圧倒的に少ない、沢木の作品の中の登場人物としての色彩が濃厚なキャラクターなのです。



Wednesday, 22 August 1979 
Munhwa Gymnasium
Seoul, South Korea

commission:Korea Boxing Commission
inspector:Jung Kyoo Yang

vacant OPBF Middle -weight

1位:朴鐘八 vs  2位:カシアス内藤

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【あしたはあの日】。今から47年前の「あした」、1979年8月22日は、一瞬の夏が通り過ぎた日でした。

灼熱のソウル・文化体育館でカシアス内藤が朴鐘八と空位のOPBFミドル級王座を争い、2ラウンドで失神KO負けに散ったとき、内藤のコーナーにいた沢木は当たり前の話、まだ「一瞬の夏」を生み出していません。

そこに立ち、そこで倒されたのは、沢木作品の登場人物ではなく、生身のカシアス内藤でした。