大方の予想通りにフランスとスペイン、イングランド、アルゼンチンがベスト4に勝ち残りました。

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ブラジルを撃破、イングランドを最後まで苦しめたノルウェー、アルゼンチンを苦しめたカーボベルデ、エジプト、スイスの健闘が光りました。

ノルウェー、日本に勝ったブラジルに勝ってただけに応戦していましたが、VARに泣かされました。しかし、VARで見ても「倒されたのか(ファウル)?自分から倒れたのか(シミュレーション)?」がどうとでも取れる場合は審判の判断。

サッカーとラグビーなど他のフットボールとの決定的な違いは表面的には手を使えるかどうかですが、本質的には「ファウルをもらいにいくズルさが積極的に評価されること」。マリーシア(ずるいこと)が唾棄されない風土があるのは、マチスモ(男らしさ)に根ざすメキシカンスタイルが好まれるボクシングとは全く違う世界観です。

前回W杯で限度を超えて何度もシミュレーションを繰り返したネイマールへの非難が予想外に小さく、子供たちマネするなど寛容に受け止められた一方、ボクシングではゲンナジー・ゴロフキンとの初戦で打撃戦に応じないカネロ・アルバレスが完全ホームのリングで大ブーイングを浴びました。


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数字とファイトマネーだけならチャベスを大きく上回るカネロですが、評価と尊敬は逆転されてしまいます。



今大会の日本代表はいつもの見慣れた景色で終わりましたが、世界では新しい景色がいくつも輪郭を現しています。

イングランドやフランスが代表格ですが、かつての「宗主国vs植民地」という構図がより鮮明に浮かび上がっています。

ベスト4でも、アルゼンチンが何度も戦争を重ね惨敗し続けたイングランドと対戦します。さらに、決勝でスペインと激突すると宗主国vs植民地。

帝国主義の時代には宗主国が植民地を虐げ、資源を吸い上げていましたが、W杯のピッチでは元宗主国のサッカー・インフラ整備から力をつけた元植民地の逞しい姿が見られるようになっています。

これは「サッカーの世界制覇」「強豪国の分散化」を加速させる意味だけでなく、政治色が濃くなってしまうという危険も孕みがちです。

敗戦国である日本の場合はvs韓国、vs中国で、同じ構図になりにくいもものの、より複雑な政治的感情が交錯してしまっているようにも映ります。

日中、日韓関係は、民間レベルと政府レベルでの感情差があまりにも激しすぎるのも深刻。



ブログの主題から外れる政治の話はこの辺にして、この〝帝国の遺産〟を享受できない日本は「フランス代表って多民族軍ですよね?」と斜めから見て、〝エムバペ〟やスペインの〝ヤマル〟らを見て「あんなん日本人にいない」と諦めるしかありません。

「アフリカに植民地を持って、あの戦争に勝っとけば五輪やW杯で優勝や金メダルがザクザクだったのになあ」…なんて不謹慎な冗談はさておき、日本サッカーの「代表選手の平均点を上げる」戦略はそろそろ限界に達しています。

ほぼ単一民族の組織力と団結力も限界、欧州トップリーグで選手を送り込むのも一気に進みましたが〝地球選抜〟に入るようなスター選手は見当たらず、Jリーグ創設から指摘されている「この国では圧倒的なストライカーは生まれない」という〝不妊症〟に苦しみ続けています。

もちろん、圧倒的なストライカーなどブラジルでもアルゼンチンでもそう簡単に生まれませんが、日本ではそれに準ずるストライカーですら一人も産声をあげていないのです。

この不妊症の原因が、決して屈強ではない日本人という種にあるのか、それとも画一的な教育をよしとしてきた畑にあるのか、それともその両方なのかはわかりませんが、もはや偶然ではすまされない歳月が経ってしまいました。

五輪をも軽く上回る興行規模を誇るW杯がサッカーで最も盛り上がる大会であることは論を待ちませんが、この大会が最高レベルではないことも知っておかなければなりません。

「そんなん知ってるよ。欧州チャンピオンリーグが最高レベルでしょ」というかもしれませんが、それがわかっていれば、そこで超活躍する日本人を送り込まないと「最高の景色」なんていつまで経っても口先だけです。

THE ATHLETICS などが実施したアンケートで強豪国の多くの若手選手が「W杯とチャンピオンリーグ、どちらで大活躍したい?」と聞かれて「国を代表する誇りはW杯だが、より多くの情熱を注いでよりレベルの高い戦いをくぐりぬけてきたクラブチームでの活躍こそがアスリートとしての見せ場」と語るようになっています。

各国の平均点が上がっているのは、日本だけではありません。だからこそ、史上最強のはずの日本が史上最悪のベスト32で敗退したのです。

出場48チームで間違いなく最弱だった内部崩壊のチュニジアが同組でなければ…あれがカーボベルデだったなら、あるいは統制の取れた状態のチュニジアだったなら…もはやどんな詭弁も通用しない、最低の景色を見せられていたかもしれません。

日本は、運が悪かったのではなく、良かったのです。もしかしたらブラジルとも戦えなかったかもしれないのですから。

少しずつしか上げることの出来ない平均点を世界の趨勢以上に跳ね上げるには、強力すぎる起爆剤が必要です。エムバペやヤマル、ハーランドは超人にしか見えないでしょうが、野球の大谷翔平は日本人です。大谷は突然変異にしても、岡本和真や村上宗隆、佐藤輝明が大谷について語るとき、そこにあるのは憧れではありません。親近感と自分の可能性への飽くなき希望です。

今回、日本のキープレイヤーと見られた久保建英が言うように「次のW杯もこのまま(のメンバー)だとダメ」なのは当然です。その久保でもバルサやレアルでどんな評価を突きつけられたことか…。次のW杯で29歳になる久保がレアルに呼び戻されてバケモノ級の超活躍する…そんな上積みは想像できません。