PFPは、Mythcal Ranking(妄想ランキング)の別名があるように、明確な定義などありません。もし、そんなものがあるのなら正解が存在することになり、妄想とは呼べなくなります。

PFPという言葉が広まったのは、ヘビー級の陰に隠れて過小評価されていたシュガー・レイ・ロビンソンを専門家やマニアが慰めようとした1950年代のことでした。

それ以来、PFPはロビンソンを指す名称としても使われてきましたが、PFPを定期のランキング化しようと試みて1980年から始まったのがリング誌のBest Fighter Poll でした。当時のボクシング界は団体と階級の分裂・増殖から社会的地位は下降の一途、市場の屋台骨を支えていたモハメド・アリが完全に黄昏時を迎える危機的状況にありました。

アリの後継者として期待が寄せれれたシュガー・レイ・レナードを売り出すには「最強のヘビー級じゃなかったら意味がない」という正論から目を逸らさせる必要があり「最強ではなくても最高」という格闘技ではありえない奇妙なロジック、詭弁、すなわちPFPが持ち出されたのでした。

そして、幸運なことにロベルト・デュラン(Best Fighter Poll 1980年1位)、トーマス・ハーンズ(同1981年1位)、レナード(同1982年1位)、マービン・ハグラー(同1983年〜86年1位)と非ヘビー級で特別なタレントが総当たりの激闘を繰り広げる環境が整い〝詭弁〟に強烈な説得力が与えられました。

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前置きが長くなりました。

いずれにしても、PFPは妄想ランキングに過ぎず、そこに「どれだけ説得力のある詭弁を弄するのか」を競う弁論大会でもあります。

アンソニー・ジョシュアとタイソン・フューリーは、オレクサンデル・ウシクとの予想やオッズは初戦は明白に有利、第2戦も拮抗していました。つまり、ファイターとしての評価はウシクと同等以上だったわけです。

しかし、ウシクはすでにPFP上位に入っていたのにジョシュアとフューリーをPFPに数えるメディアは少数派。彼らがウシクに圧勝しても、PFPトップに評価したかどうかは疑問です。

ウシクの高評価には「クルーザー級から上がって、最強ヘビー級で接戦ながらも王者をキープしている」という〝甲子園の21世紀枠〟にも似た感情が潜んでいるのは明らか。

さらに「階級を無視して、すべての階級を平等に見る」のはPFPの大前提のはずですが、ウシクは〝たかだか〟2階級制覇で、その〝わずか〟2階級目ですら、接戦が目立っています。フライ級飛ばしの4階級制覇で「ジュニアフライ級上がりでジュニアフェザー級でも圧倒的な強さを見せている」井上尚弥の方がはるかに評価されるべきなのに、現実はそうではありません。

実は、PFPは「階級を無視して、すべての階級を平等に見る」という大前提すらグラグラなのです。

そして、いま。少なくない専門家やファンが「PFPキングはウシクでも井上でもなくシャクール・スティーブンソンだ」と主張しています。

ティモシー・ブラッドリーは「スティーブンソンはウシクのようなヘビー級のUndisputed champion でも井上のように軽量級で豪快なKOパフォーマンスを見せているわけではないが、この2人よりもはるかに被弾率が少なく、着弾率も高い」と、この競技の本質である「打たせずに打つ」ことで卓越していると主張しています。

“He the best fighter in the world. Period.”
〜シャクールこそが世界最高のファイターだ、以上。


プラスマイナス 2026-04-23

CompuBoxで見直しても、シャクールの「打たせずに打つ」は頭抜けた数値を叩き出しています。

TOTAL CONNECT PERCENTAGE(着弾率)からOPPONENTS TOTAL CONNECT PERCENTAGE LOWEST(被弾率)を引いたPLUS MINUSの指標で、着弾率39.8%ー被弾率18.3%=21.5は、2位のドミトリー・ビボルの16.9を大きく引き離しています。

ちなみに、バム・ロドリゲスは15.8、井上は12.5、井岡一翔が11.2。

もちろん、シャクールPFPキングの主張も妄想に過ぎません。

CompuBoxの数値は手動の集計データに過ぎず、チキン・シャクールのボクシングを「打たせずに打つ」と感じている人は少数派です。あれは「打たせずに打たせずに打たせずに打たせずに打たせずに、軽く打つ」です。

シャクールのPFPはありえません…もちろん、これも妄想です。