史上最強軍団が史上最悪の結果で敗退してしまったワールド・ベースボール・クラシック(WBC)。

今大会では、ベネズエラが1月に大統領が生捕りにする無法行為はたらいた米国を撃破して優勝したこと、そして〝国技〟レベルの強力なリーグのないイタリアの躍進に〝最もドメスティックなメジャースポーツ〟野球が欧州に広がる可能性を示したという2点が最大のトピックスでした。

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しかし、日本にフォーカスすると、今回のWBCで最も話題になったのはNetflix独占中継の是非が多くのメディアとファンの間で議論されたことでしょう。

「国民的行事をお金がなければみられないなんて間違っている」というユニバーサル・スタンダードに根差した主張が優勢でしたが、そもそもWBCをFIFAやIOCといった世界的な統括団体が主催する公共性の高い五輪やサッカーW杯と一緒にしてはいけません。

WBCはMLBとその選手会によるイベントです。「野球を世界に広める」のではなく「MLBを世界に宣伝する」のが目的で、MLBと選手会が利益を享受するビジネスで、そこに公共性を感じてしまうのが間違いなのです。「開催時期がおかしい」(広岡達朗)なんて意見こそがおかしいのです。

MLBのオーナーたちがレギュラーシーズンとポストシーズン以外で利益を上げようと考えて作った大会です。2006年の初開催から現在まで、その収入の大半を支えているのは日本であり続けています。

NPBも主催に関わることを何度も打診していますが、米国側は一切応じていません。「日本がボイコットしたら、現在の規模での大会継続は不可能」と知っていながら、米国側が強い気に出るのは「WBCは日本では国民的行事」であることを知っているからです。

今大会の賞金総額は、過去最高となる日本円で約21億〜22億円規模と報じられています。この原資となる収入は300億〜450億円ですから、150億円とされるNetflixの独占中継権だけで半分近くが占められます。

ここに日本のテレビ局などの各種メディアの画像・動画の使用料やグッズ販売などなどを加算すると、日本は〝奴隷状態〟。

「WBCにNPBも共催させろ。少なくとも日本向けの放映権はNPBに譲歩しろ。でないと次回からボイコットする」。そう啖呵を切りたいところですが、それが出来ないのは、日本国内でWBCが国民的行事になっているからだけではありません。

MLBにとって、WBCなどチンケな商売に過ぎないからです。大会収入は過去最高の今回でも〝300〜450億円〟。大谷翔平との契約すらままならない金額です。

MLBの総収入は2024年で約1兆9200億円。昨年は2兆円を大きく上回ったはずです。NPBが「大会運営に参加させなければボイコットする」と迫っても、MLBが「じゃあ次回からやめましょう」となるのは明らかです。

過去最悪の準々決勝敗退という結果に終わったサムライ・ジャパン。各国代表が力をつけてきた背景があるものの、優勝していても不思議ではないレベルのチームです。

しかし、フィールドではどこの国とも互角以上に戦えても、フィールドの外、NPB対MLBの経済対決では全く勝負にならない現実が横たわっています。

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 …え?ハンク・アーロンは20万ドル???長島や王よりも年俸が低かった????為替はあるものの、どっちが上かが議論されるレベルでした(実際には長島、王の方が明白に上)。今では考えられません。


まだMLBが遥かに遠かった時代。長嶋茂雄や王貞治にとって、MLBは為替相場を考慮しても経済的にはけして圧倒的な魅力のある舞台ではありませんでした。

いまは、名実共にMLBは世界最高峰。サッカーなど他のメジャースポーツでも、21世紀に入って選手報酬は爆上がりし続けています。

競技レベルはもちろん、経済的にも、メジャースポーツの多くで海外の最高峰が圧倒的な魅力を放つようになった現代は、トップアスリートにとっては進路がハッキリわかりやすくなったという点で悪くない時代です。

もちろん、私たちファンにとっても。