「日本でも馴染み深い拳闘家達の生き様」。このシリーズのレギュラー選手になりつつあるスティーブン・バトラーが日本時間の明日、地元モントリオールのリングに上がります。

横浜アリーナに乗り込み、村田諒太のWBAミドル級タイトルに挑戦したのは2019年12月23日。もう7年近くも前になります。あのとき〝BANG BANG〟はまだ24歳でした。

村田に5ラウンドでストップされたあと、12戦9勝7KO4敗と浮き沈みのあるキャリアを辿りながら30歳になったバトラーが対戦するのは、ラマダン・ヒセニ。29歳のスイス人で戦績は22勝8KO2敗2分。

この試合にはWBAコンチネンタル・アメリカという謎の地域タイトルがステイクされます。



現在、バトラーが主戦場にしているスーパーミドル級はカネロ・アルバレスが長らくタイトルを独占、ファイトマネーが桁外れ、つまり高額の認定料が期待できるカネロは承認団体にとって指名試合の期限をちらつかせて王座を剥奪するのはもったいない存在でした。

そのカネロを人気のないテレンス・クロフォードが破ってしまい、そのクロフォードが勝ち逃げとばかりに引退、タイトルは四散しました。

現在、アルマンド・レセンディス(WBA)、クリスチャン・エムビリ(WBC)が王座に就き、IBFとWBOが空位。

バトラーがターゲットにしているのはWBAのレセンディス。「ケイレブ・プラントに大番狂せで勝利したのは驚いたが、特別なファイターではない」と自信を見せています。

トレーナーのジョン〝ザ・アイスマン〟スカリーも「レセンディストは噛み合う、十分にチャンスがある。168ポンドに上げたスティーブンは減量から解放されて、さらに強いファイターになった」。


“I'm a veteran, I travel all over the world to fight, so I will not be nervous, no excuses. No matter what he brings to me, I'm gonna break him down. I'm confident about the matchup, and it’s an important fight for me,” 

明日の試合に向けてバトラーは「私もベテランの域に差し掛かっている。これまで世界中を飛び回って戦ってきたから、多少のことじゃ動じないし、言い訳もしない。ヒセニがどんな攻撃を仕掛けてきても、勝つのは私だ。世界タイトルを獲る、その夢に向かって重要な試合になる」。

世界中を飛び回ってきたとはいえ、43戦のキャリアでカナダを出て戦ったのはわずか4試合。すぐお隣の米国が2試合、日本とメキシコが1試合ずつ。残りの39試合は全てカナダ。

「アウエー上等」のマニー・パッキャオやオレクサンデル・ウシクが聞いたら大笑いするでしょう。

バトラーの5つの黒星は全てKO負け。強打と打たれ弱さが同居するボクシングは見ていて面白いものの、トップレベルでバトラーのシールドが破られないことはありえません。

階級最強と目されるエムビリはカメルーン生まれでフランス国籍ながら、モントリーオールを拠点として戦い続けています。

エムビリの対抗馬でカネロもクロフォードも対戦を回避したオスレイス・イグレシアスもここ5試合をモントリオールで戦い、来月のIBF /IBO王者決定戦(vsパベル・シギャリン)もモントリオールでセットされています。

スーパーミドル級の〝本場〟はカネロのラスベガスから、モントリオールに遷都したといっても良い状況です。

生まれも育ちも現住所もモントリオールの白人、バトラーがチャンピオンになるのが理想ですが、その道は非常に険しいように見えます。


ウィリアム・ヒルの見立てはバトラー2/7(1.29倍)、ヒセニ13/5(3.6倍)。