「中立の米国で戦うのが公平だが、井上尚弥と私は米国での需要がない。開催地が日本になるのは仕方がない」(ノニト・ドネア)。

人気階級のスター選手、代表的なのはカネロ・アルバレスですが、あのレベルで興行を打てる軽量級選手は歴史上でも1人もいません。

人気階級をメジャーリーグとすると、軽量級はマイナーリーグといっても全く言い過ぎではありません。

そして、軽量級の中でもジュニアフェザー級以下はマイナー中のマイナー、欧米ではコアなマニアしか関心を払わない暗黒階級です。

それでも、欧米の人気階級への挑戦に本腰を入れられず、心がへし折られ続けている日本では、軽量級がメインステージ。

海外の小さな実力者たちにとって「軽量級としては破格の報酬」と、栄光や名誉への欲求をみたしてくれる「大会場でメイン」という二つの夢が同時に実現できる日本のリングは憧れの場所です。

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その事実を踏まえると、野球やサッカーのように米国や欧州に厳然として存在する華やかで高額の報酬が約束される世界最高峰の舞台はボクシングの軽量級には存在しません。かつて、存在したことすらありません。

人気や注目度という点で完全マイナーリーグなのですから、当たり前の理屈です。

それでも、日本に引っ張り込むのが困難なほどの人気を持つ軽量級のスターが、長い周期で現れる彗星のようにリングに登場してきました。

残念ながら、井上尚弥や中谷潤人の前にはまだ一人も現れてくれない軽量級のスターたち。

ジュニアフェザー級でとんでもない人気を博したエリック・モラレスやマルコ・アントニオ・バレラは例外中の例外、軽量級であんなのが現れることは後にも先にも、もう2度とないでしょう。

モラレス、バレラとまではいかないまでも人気と実力を兼ね備えたスターを、この15年スパンで切り取って振り返ってみます。

このシリーズを始める刺激になったのは、もちろんジェシー〝バム〟ロドリゲス。

寺地拳四朗とのビッグファイトが待望されるバムは、PFP中位を徘徊する実力は文句なしですが、人気面は今ひとつ。

単体での集客力はもちろん、ファン・フランシスコ・エストラーダ戦も「軽量級」とう十字架を考慮しても、けして高い関心を集めたとは言えません。

エストラーダも、人気という観点からは「不人気階級の不人気選手」という枠から脱出できませんでした。

「不人気階級の不人気選手」という檻を破壊した、軽量級のスターを総覧します。


※ここではPFPなど実力評価が高かったドネアやギレルモ・リゴンドー、アンセルモ・モレノ、ローマン・ゴンサレスらは人気面で全く物足りなかったのでカウントしません。