同時代の評価と、後世の評価、
前者が熱狂の渦に巻き込まれた過大評価で持ち上げられ、時間を置いて冷静に見つめることの出来る後者では評価が下落するというのが世の常、デフォルトです。
これは「誰に勝ったのか?」が問われるプロボクシングの世界で特に顕著になります。
しかし…森羅万象には必ず例外があります。
この例外の中でも、特殊極まる例外が、ファイティング原田です。

今年8月5日に発行・発売された「昭和100年シリーズ ボクシング 1926〜2025」から。「日本歴代最強は誰か。これは原田か井上に尽きるだろう」…辰吉丈一郎、長谷川穂積、西岡利晃についても「原田に並んだか」と報道されてきましたが…井上もそんな泡沫の一つになってしまうのでしょうか?それとも…?
日本歴代最強は誰か?
井上尚弥を礼賛する日本の専門メディアですら、答えを保留させざるを得ないのがファイティング原田というファイターの実績なのです。
「長年のボクシングファン」と自称するような多くの日本のボクシングファンがPFPランキングを作成すると…1位:井上尚弥、2位:中谷潤人、3位以下は具志堅用高や長谷川穂積、西岡利晃、井岡一翔らが占めるのではないでしょうか?
それなのに…母国日本では〝過去の遺物〟扱いの原田が、なぜ圧倒的な世界評価に浴しているのでしょうか?
60年以上も前の古臭いファイティング原田ごときが、日本以外の世界から特別すぎるリスペクトを集めているのは何故なのか?
彼は一体何をやってのけたというのでしょうか?
▶︎世界史上初のフライ級とバンタム級の2階級制覇。いずれもUndisputed title。
複数の団体が存在しない時代でしたから、基本的に「団体統一戦」などという言葉も存在していませんでした。
この意味で「テレンス・クロフォードは〝史上初の4団体統一の3階級制覇〟」という表現は正確ではありません。「(WBOが主要団体に数えられるようになった1990年代後半から)約30年の歴史で初めて」としなければ誤解を招くことになります。
しかも、団体統一戦が容易になったのはこの10年。「この10年史で初めて」というのが、最も正確な表現でしょう。
また、複数階級制覇の価値も4団体17階級でデタラメランキングが横行している現代と、1団体8階級時代では全く違います。
マニー・パッキャオがミゲール・コットをストップして7階級制覇に成功したとき、米国メディアやジョー小泉は「(1団体8階級時代に3階級制覇した)ヘンリー・アームストロングに並んだ」と表現しましたが、いまそんな戯言を口にする人は1人もいません。

▶︎当時、定期的に発表されるPFPランキングなど存在しませんでしたが、21世紀になってリング誌がまとめた1960年代PFPで、エデル・ジョフレがモハメド・アリを抑えて1位。
ジョフレを2度撃破した原田が5位。
ちょっと信じられませんが、ルーベン・オリバレスやビセンテ・サルディバルよりも上!なんです!
さて、残念ながら井上尚弥は現代ですらTOP評価は得ていません。2020年区切りで見ても、井上がオレクサンデル・ウシクとテレンス・クロフォード、カネロ・アルバレスの実績に届かないのは、井上信者でも認めるしかありません。
現時点で、まだ半分近くを残す2020年代での4位。中谷との大勝負に勝って、それを上回る大勝利を重ねなければディケイドで5位以内は非常に苦しいと思われます。
井上が後世、2020年代のPFPで5位以内の評価を受けているかどうか…現時点では悲観的になるしかありません。
▶︎海外の専門メディアでも注目された「日本ボクシングがバンタム級の4つのタイトルを独占」。
彼らが日本を語るとき、必ず名前を出すのが「ファイティング原田」です。
日本のミュージックシーンが語られるときに「上を向いて歩こう」がいまだに粘着してくるように。
ボクシングファンは「なぜ長谷川や西岡、辰吉、具志堅ではないんだ?」と訝しがるかもしれません。
どうしてなのでしょうか?

様々な意味で「ファイティング原田」は現代に問題を投げかけてくれています。
フライ級からフェザー級への3階級で世界のトップで戦った原田の時代、身長160㎝の原田はけして貧相なフレームではありませんでした。
プロ野球を見ても王貞治から大谷翔平へと、体格は見違えるほど向上しています。
それなのに、プロボクサーは戦後の栄養失調状態のまま。
かつて、欧米の人気階級、つまり中重量級で活躍できる才能を優遇する募集をかけていたジムが複数ありましたが、現在は大っぴらに展開しているジムはほとんどありません。
「PFPはすごい、ラスベガスもすごい。それが軽量級の西岡でも実現できるのに、世界で人気があるのは中重量級とわざわざ宣伝するのはいかがなものか?」と同業の超大手から嫌悪感を抱かれることもあったと聞いています。
日本人の平均体格は当時から飛躍的に向上しているというのに、いまだに「フェザー級が重い」ままなのは、単純にボクシングがマイナースポーツへと転落して、体格や良い少年がプロボクサーを目指さなくなったーーーそれだけが原因なのでしょうか?
日本が好き勝手できて、低コストでタイトルホルダーになりやすい軽量級に傾倒するばかりで、欧米の人気階級、本物のラスベガスへの真剣な挑戦が疎かになっているのではないでしょうか?
こういうことを、私がある超大手ジムの関係者にぽろっと言ったとします(架空の話ですよ…)。
そしたら、そのバカが激昂するんです。
「日本人がレベルの高い人気階級で井上尚弥や中谷潤人みたいに活躍できるわけがない、そこで惨敗する日本人を見せたらボクシング人気が冷めてしまうじゃないか!それが、本当に日本ボクシングの発展につながるのか?!」と。
渡辺ジムの会長も「(タイトルがいくつもあって個々の価値が下がっても、これだけ王者がいたら)全部合わせせると、原田さんのファイトマネーや注目度も超えるでしょ。世界王者が1人もいないよりも、何人もいる方が私たちには良いのです」と公言しています。
均さんが悪いわけではありません。
ここまでボクシングが衰退してしまうと、原田の時代のような多くのスポーツファンが日本タイトルマッチに興味を持つことはありません。
「世界王者を育てないとジムは赤字。才能のあるボクサーを(借金してでも)育てて、王者にしてから投資を回収する。欧米の人気階級には何度も挑戦できないし、そんなことしてたらジムが潰れてしまう。だから軽量級で何度も王者を目指す」のは当然かもしれません。
微妙なポジションのワタナベジムは、内山高志が井上にも井岡にも不可能な「ガチのビッグネーム」に挑戦させることができませんでした。
「内山にはWBAが用意した(安全牌な)相手に防衛戦を重ねてほしい。その先で大きなテレビ局やスポンサーがつけば名前のある本物の強豪と米国でやりたい」ーーーそんな均さんの本音の中で、内山のモチベーションは減退し、雑魚挑戦者に足元をすくわれてしまいます。
〝ファイティング原田〟は「後世に語り継がれるような超強豪に勝つことの意味」を教えてくれています。
さらに、当時の標準体型で戦った原田の姿から、ボクシングファンは「栄養失調状態ではない時代に即した体型の日本人の活躍を見たい」と渇望するべきなのです。
井上尚弥を馬鹿みたいに絶賛するのではなく、122ポンド(ジュニアフェザー級)でプロテストを受けた彼を108ポンド(ジュニアフライ級)という〝纒足〟に無理やり嵌め込んだ日本のボクシング界に「NO」を突きつけるのが本当のボクシングファンです。
さて…このあとは具志堅用高、そして〝令和の怪物〟井上尚弥へ。
もし、具志堅と井上と同じように語るべきだと思われるファイターがいたら、教えてくださいませ。
前者が熱狂の渦に巻き込まれた過大評価で持ち上げられ、時間を置いて冷静に見つめることの出来る後者では評価が下落するというのが世の常、デフォルトです。
これは「誰に勝ったのか?」が問われるプロボクシングの世界で特に顕著になります。
しかし…森羅万象には必ず例外があります。
この例外の中でも、特殊極まる例外が、ファイティング原田です。

今年8月5日に発行・発売された「昭和100年シリーズ ボクシング 1926〜2025」から。「日本歴代最強は誰か。これは原田か井上に尽きるだろう」…辰吉丈一郎、長谷川穂積、西岡利晃についても「原田に並んだか」と報道されてきましたが…井上もそんな泡沫の一つになってしまうのでしょうか?それとも…?
日本歴代最強は誰か?
井上尚弥を礼賛する日本の専門メディアですら、答えを保留させざるを得ないのがファイティング原田というファイターの実績なのです。
「長年のボクシングファン」と自称するような多くの日本のボクシングファンがPFPランキングを作成すると…1位:井上尚弥、2位:中谷潤人、3位以下は具志堅用高や長谷川穂積、西岡利晃、井岡一翔らが占めるのではないでしょうか?
それなのに…母国日本では〝過去の遺物〟扱いの原田が、なぜ圧倒的な世界評価に浴しているのでしょうか?
60年以上も前の古臭いファイティング原田ごときが、日本以外の世界から特別すぎるリスペクトを集めているのは何故なのか?
彼は一体何をやってのけたというのでしょうか?
▶︎世界史上初のフライ級とバンタム級の2階級制覇。いずれもUndisputed title。
複数の団体が存在しない時代でしたから、基本的に「団体統一戦」などという言葉も存在していませんでした。
この意味で「テレンス・クロフォードは〝史上初の4団体統一の3階級制覇〟」という表現は正確ではありません。「(WBOが主要団体に数えられるようになった1990年代後半から)約30年の歴史で初めて」としなければ誤解を招くことになります。
しかも、団体統一戦が容易になったのはこの10年。「この10年史で初めて」というのが、最も正確な表現でしょう。
また、複数階級制覇の価値も4団体17階級でデタラメランキングが横行している現代と、1団体8階級時代では全く違います。
マニー・パッキャオがミゲール・コットをストップして7階級制覇に成功したとき、米国メディアやジョー小泉は「(1団体8階級時代に3階級制覇した)ヘンリー・アームストロングに並んだ」と表現しましたが、いまそんな戯言を口にする人は1人もいません。

▶︎当時、定期的に発表されるPFPランキングなど存在しませんでしたが、21世紀になってリング誌がまとめた1960年代PFPで、エデル・ジョフレがモハメド・アリを抑えて1位。
ジョフレを2度撃破した原田が5位。
ちょっと信じられませんが、ルーベン・オリバレスやビセンテ・サルディバルよりも上!なんです!
さて、残念ながら井上尚弥は現代ですらTOP評価は得ていません。2020年区切りで見ても、井上がオレクサンデル・ウシクとテレンス・クロフォード、カネロ・アルバレスの実績に届かないのは、井上信者でも認めるしかありません。
現時点で、まだ半分近くを残す2020年代での4位。中谷との大勝負に勝って、それを上回る大勝利を重ねなければディケイドで5位以内は非常に苦しいと思われます。
井上が後世、2020年代のPFPで5位以内の評価を受けているかどうか…現時点では悲観的になるしかありません。
▶︎海外の専門メディアでも注目された「日本ボクシングがバンタム級の4つのタイトルを独占」。
彼らが日本を語るとき、必ず名前を出すのが「ファイティング原田」です。
日本のミュージックシーンが語られるときに「上を向いて歩こう」がいまだに粘着してくるように。
ボクシングファンは「なぜ長谷川や西岡、辰吉、具志堅ではないんだ?」と訝しがるかもしれません。
どうしてなのでしょうか?

様々な意味で「ファイティング原田」は現代に問題を投げかけてくれています。
フライ級からフェザー級への3階級で世界のトップで戦った原田の時代、身長160㎝の原田はけして貧相なフレームではありませんでした。
プロ野球を見ても王貞治から大谷翔平へと、体格は見違えるほど向上しています。
それなのに、プロボクサーは戦後の栄養失調状態のまま。
かつて、欧米の人気階級、つまり中重量級で活躍できる才能を優遇する募集をかけていたジムが複数ありましたが、現在は大っぴらに展開しているジムはほとんどありません。
「PFPはすごい、ラスベガスもすごい。それが軽量級の西岡でも実現できるのに、世界で人気があるのは中重量級とわざわざ宣伝するのはいかがなものか?」と同業の超大手から嫌悪感を抱かれることもあったと聞いています。
日本人の平均体格は当時から飛躍的に向上しているというのに、いまだに「フェザー級が重い」ままなのは、単純にボクシングがマイナースポーツへと転落して、体格や良い少年がプロボクサーを目指さなくなったーーーそれだけが原因なのでしょうか?
日本が好き勝手できて、低コストでタイトルホルダーになりやすい軽量級に傾倒するばかりで、欧米の人気階級、本物のラスベガスへの真剣な挑戦が疎かになっているのではないでしょうか?
こういうことを、私がある超大手ジムの関係者にぽろっと言ったとします(架空の話ですよ…)。
そしたら、そのバカが激昂するんです。
「日本人がレベルの高い人気階級で井上尚弥や中谷潤人みたいに活躍できるわけがない、そこで惨敗する日本人を見せたらボクシング人気が冷めてしまうじゃないか!それが、本当に日本ボクシングの発展につながるのか?!」と。
渡辺ジムの会長も「(タイトルがいくつもあって個々の価値が下がっても、これだけ王者がいたら)全部合わせせると、原田さんのファイトマネーや注目度も超えるでしょ。世界王者が1人もいないよりも、何人もいる方が私たちには良いのです」と公言しています。
均さんが悪いわけではありません。
ここまでボクシングが衰退してしまうと、原田の時代のような多くのスポーツファンが日本タイトルマッチに興味を持つことはありません。
「世界王者を育てないとジムは赤字。才能のあるボクサーを(借金してでも)育てて、王者にしてから投資を回収する。欧米の人気階級には何度も挑戦できないし、そんなことしてたらジムが潰れてしまう。だから軽量級で何度も王者を目指す」のは当然かもしれません。
微妙なポジションのワタナベジムは、内山高志が井上にも井岡にも不可能な「ガチのビッグネーム」に挑戦させることができませんでした。
「内山にはWBAが用意した(安全牌な)相手に防衛戦を重ねてほしい。その先で大きなテレビ局やスポンサーがつけば名前のある本物の強豪と米国でやりたい」ーーーそんな均さんの本音の中で、内山のモチベーションは減退し、雑魚挑戦者に足元をすくわれてしまいます。
〝ファイティング原田〟は「後世に語り継がれるような超強豪に勝つことの意味」を教えてくれています。
さらに、当時の標準体型で戦った原田の姿から、ボクシングファンは「栄養失調状態ではない時代に即した体型の日本人の活躍を見たい」と渇望するべきなのです。
井上尚弥を馬鹿みたいに絶賛するのではなく、122ポンド(ジュニアフェザー級)でプロテストを受けた彼を108ポンド(ジュニアフライ級)という〝纒足〟に無理やり嵌め込んだ日本のボクシング界に「NO」を突きつけるのが本当のボクシングファンです。
さて…このあとは具志堅用高、そして〝令和の怪物〟井上尚弥へ。
もし、具志堅と井上と同じように語るべきだと思われるファイターがいたら、教えてくださいませ。
コメント
コメント一覧 (2)
話題としては閑話になるかもしれませんが、こういう話が出ていたので、最近始まったボクシング漫画の『げにかすり』を紹介してみたり。まだ2巻でどう言う方向に進んでいくのかわからないのですが、プロモーターが主人公の漫画になります。お時間があればいかがでしょうか。
フシ穴の眼
が
しました
語るべきかはわかりませんが、日本人ボクサーと綴る以上村田は避けて通れないのではと思います。後はガッツ?
フシ穴の眼
が
しました