"Let me show you something," Washington tells me.

カール・ワシントンは 「お前が何者かを世界に見せてやれ」と、テレンス・クロフォードにささやいた。
そのための方法は一つしかない。
オハイオ州オマハのダウンタウンにボクシングジムを抱えるワシントンは、いまの米国ボクシング界で注目されるためにはカネロ・アルバレスに勝つしかないという現実をよく理解していた。
ボクシングがマイナースポーツに転落した現在でも、このスポーツの経済構造がビッグファイトに依存していることに変わりはない。
そんなビッグファイトを、私たちは1週間前に目撃した。
スーパースターのカネロをクロフォードがちょっとした番狂せで下したのだ。普通なら政権交代が起きるはずだが、37歳と言う年齢を抜きにしてもクロフォードがボクシング界の顔になれると思っている人は1人もいない。
有力なスター候補たちが王者の周囲に群がり、王者に勝ったものがその座を継承するのが格闘技スポーツの習わしだったが、35歳になったカネロに群がるのはレベルの低い挑戦者と、プロモーター、カネの使い道に迷っているネット配信会社だけだった。
カネロが引退すると、米国ボクシングの灯が消えると言われてきたが、クロフォードは消灯時間の前にスイッチを切ってしまったのだ。
The "Boxing is dead"
ボクシングは死んだ。
アメリカでボクシングファンだとカミングアウトすると、必ず笑われてこう言われる。
ボクシングは死んだ。
しかし、そんなやつらには「あんたはカネロ・アルバレスを知らないんだね」と憐憫してあげよう。
そう、カネロを知っていたらboxing is dead なんて口にできるわけがないのだから。
カネロとクロフォードの試合は、Netflix が世界中の加入者3億人に課金なしで配信された。
ユニバーサルアクセス権の話は一旦忘れよう。ボクシングはさておき、2025年9月14日のカネロとクロフォードは間違いなくメジャースポーツだった。
The "Boxing is dead" ?
Must Win
カネロにとってマスト・ウィンの大勝負だった。自分より年長で軽いクラスのクロフォードを迎えて、有利と見られていたからだけではない。
偉大なキャリアの着地点を考える段階で迎える、おそらく最後のメガファイトになるからだ。
しかし、カネロがハングリーな戦士であり続けるには、あまりにも多くのものを手に入れ過ぎた。
実質3階級も下のクロフォードとの試合を「最も重要な試合」と口にするほど、リングの中で証明するものを見失っていた。
「何もかも手に入れて絹のパジャマで寝入ったのに、毎日夜明けに起きてロードワークに出かけるんだ」と笑い、チャンピオンの苦悩を遠回しに語っていたのは、マーベラス・マービン・ハグラーだ。

THE BIGGEST CONTRACTS IN SPORTS HISTORY ーー2017年、カネロはのちの大谷翔平らと同じ「スポーツ史上最高額」の契約を結んだ。
カネロも戦う理由を見つけるのに悩んでいた。フォーブス誌のアスリート世界一長者に何度選ばれたのか、本人もよくわかっていない。
高級ファッションブランドやビールメーカーなど巨大企業とスポンサー契約を結び、自身も独自ブランドでメキシコ料理から紳士服までさまざまな事業を展開している。
趣味のゴルフはプロ顔負けの腕前だ。それだけ熱中している。
「スポーツって面白いもんだな」。
カネロの言葉は深い、というよりも悲しく聞こえてしまう。
The One

おそらく、カネロが命の炎を燃やせるメガファイトはフロイド・メイウェザーとの再戦だった。
AサイドとBサイドが反転して再び対決していたら、とんでもない大興業になっていただろう。
もし、それが実現していたらHBOとSHOWTIMEのボクシングからの撤退は何年か先送りされたかもしれない。
ハグラーからレナード、フリオ・セサール・チャベスからオスカー・デラホーヤ、デラホーヤからメイウェザーとパッキャオに継承されたスーパースターのトーチだが、カネロはいつもまにかそれを手にしていただけでなく、それを渡すべき相手もいない、孤独なスーパースターだ。
スターにしか見えないトーチは、クロフォードには見えないし、見えてもクロフォードには重すぎて掲げることはもちろん、持ち上げることも出来ない。
Super Fight, That's All
スーパーファイトこそがボクシングの全て。
そして、究極のスーパーファイトにはドラマティックな王位継承が不可欠のエッセンス。
クロフォードの勝利はドラマティックだったかもしれないが、王位継承は施行されることはなかった。
…ちょっと待て?
あの試合には、スーパーファイトのエッセンスが無かった…確かに、そうだ。
ちょっと待て…。
もしかすると、カネロ・アルバレスはそもそも王ではなかったのではないか?

カール・ワシントンは 「お前が何者かを世界に見せてやれ」と、テレンス・クロフォードにささやいた。
そのための方法は一つしかない。
オハイオ州オマハのダウンタウンにボクシングジムを抱えるワシントンは、いまの米国ボクシング界で注目されるためにはカネロ・アルバレスに勝つしかないという現実をよく理解していた。
ボクシングがマイナースポーツに転落した現在でも、このスポーツの経済構造がビッグファイトに依存していることに変わりはない。
そんなビッグファイトを、私たちは1週間前に目撃した。
スーパースターのカネロをクロフォードがちょっとした番狂せで下したのだ。普通なら政権交代が起きるはずだが、37歳と言う年齢を抜きにしてもクロフォードがボクシング界の顔になれると思っている人は1人もいない。
有力なスター候補たちが王者の周囲に群がり、王者に勝ったものがその座を継承するのが格闘技スポーツの習わしだったが、35歳になったカネロに群がるのはレベルの低い挑戦者と、プロモーター、カネの使い道に迷っているネット配信会社だけだった。
カネロが引退すると、米国ボクシングの灯が消えると言われてきたが、クロフォードは消灯時間の前にスイッチを切ってしまったのだ。
The "Boxing is dead"
ボクシングは死んだ。
アメリカでボクシングファンだとカミングアウトすると、必ず笑われてこう言われる。
ボクシングは死んだ。
しかし、そんなやつらには「あんたはカネロ・アルバレスを知らないんだね」と憐憫してあげよう。
そう、カネロを知っていたらboxing is dead なんて口にできるわけがないのだから。
カネロとクロフォードの試合は、Netflix が世界中の加入者3億人に課金なしで配信された。
ユニバーサルアクセス権の話は一旦忘れよう。ボクシングはさておき、2025年9月14日のカネロとクロフォードは間違いなくメジャースポーツだった。
The "Boxing is dead" ?
Must Win
カネロにとってマスト・ウィンの大勝負だった。自分より年長で軽いクラスのクロフォードを迎えて、有利と見られていたからだけではない。
偉大なキャリアの着地点を考える段階で迎える、おそらく最後のメガファイトになるからだ。
しかし、カネロがハングリーな戦士であり続けるには、あまりにも多くのものを手に入れ過ぎた。
実質3階級も下のクロフォードとの試合を「最も重要な試合」と口にするほど、リングの中で証明するものを見失っていた。
「何もかも手に入れて絹のパジャマで寝入ったのに、毎日夜明けに起きてロードワークに出かけるんだ」と笑い、チャンピオンの苦悩を遠回しに語っていたのは、マーベラス・マービン・ハグラーだ。

THE BIGGEST CONTRACTS IN SPORTS HISTORY ーー2017年、カネロはのちの大谷翔平らと同じ「スポーツ史上最高額」の契約を結んだ。
カネロも戦う理由を見つけるのに悩んでいた。フォーブス誌のアスリート世界一長者に何度選ばれたのか、本人もよくわかっていない。
高級ファッションブランドやビールメーカーなど巨大企業とスポンサー契約を結び、自身も独自ブランドでメキシコ料理から紳士服までさまざまな事業を展開している。
趣味のゴルフはプロ顔負けの腕前だ。それだけ熱中している。
「スポーツって面白いもんだな」。
カネロの言葉は深い、というよりも悲しく聞こえてしまう。
The One

おそらく、カネロが命の炎を燃やせるメガファイトはフロイド・メイウェザーとの再戦だった。
AサイドとBサイドが反転して再び対決していたら、とんでもない大興業になっていただろう。
もし、それが実現していたらHBOとSHOWTIMEのボクシングからの撤退は何年か先送りされたかもしれない。
ハグラーからレナード、フリオ・セサール・チャベスからオスカー・デラホーヤ、デラホーヤからメイウェザーとパッキャオに継承されたスーパースターのトーチだが、カネロはいつもまにかそれを手にしていただけでなく、それを渡すべき相手もいない、孤独なスーパースターだ。
スターにしか見えないトーチは、クロフォードには見えないし、見えてもクロフォードには重すぎて掲げることはもちろん、持ち上げることも出来ない。
Super Fight, That's All
スーパーファイトこそがボクシングの全て。
そして、究極のスーパーファイトにはドラマティックな王位継承が不可欠のエッセンス。
クロフォードの勝利はドラマティックだったかもしれないが、王位継承は施行されることはなかった。
…ちょっと待て?
あの試合には、スーパーファイトのエッセンスが無かった…確かに、そうだ。
ちょっと待て…。
もしかすると、カネロ・アルバレスはそもそも王ではなかったのではないか?
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