ジュニアウエルター級で最高のファイターは?

多くの人は「アーロン・プライアー」と答えるかもしれませんが、この問いには正解が二つあります。

もう一つの正解がリッキー・ハットン」です。

英国ボクシングファンが本能的に愛するのはどんなに強い相手でも怯まず立ち向かう無骨なファイター、そして彼らが親しむストーン単位の階級で活躍するファイター、さらに彼らと共にビールと冗談を好んでいつも大笑いしている男です。

早くからブルーカラー・ヒーローと熱狂されたハットンは、狡猾なフェイントを使うフロイド・メイウェザーとマニー・パッキャオにも真っ正直に攻め込みました。

ジュニアウエルター級(140ポンド)、つまりちょうど10ストーンの階級を主戦場にするウォリアー、さらに試合の間はビールを飲んで、太鼓腹をさすりながら「ハットンじゃない、ファットン(デブちん)だ!」と冗談を言って仲間たちと笑い合う、リングとパブの英雄。

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ラスベガスを根城とするメイウェザーとパッキャオに挑んだ2試合、MGMグランドガーデンには大西洋を渡って「我らがヒーロー」の応援しようと熱狂的なサポーター3000人以上が駆けつけました。

ハットンのテーマソングを高らかに歌うサポーターたちの、なんと誇らしげだったことか。

井上尚弥の〝なんちゃってT-モバイル・アリーナ〟に際して、ボブ・アラムは「日本にはハットンのように熱狂的な井上ファンがいる」と期待するポーズを見せましたが、ハットン以外にハットンのように愛されたボクサーは、どこの国にもいないことを一番よく知っているのは、この北半球最悪の男(つまり地球最悪の男)です。

日本のボクシングファンは、強引な突貫を「ファットン相撲」と揶揄していましたが、その不器用なスタイルこそが英国サポーターたちを熱狂させる強烈な媚薬でした。

圧倒的不利と見られたコンスタン・チューとの決戦、PFPファイターをブルーカラー戦法で攻め落とし、マンチェスター・アリーナを沸騰させた嵐のような歓喜。

リッキー・ハットンがいる英国リングが、たまらなく羨ましく思えました。




それにしても、46歳って…まだまだ飲み足りないだろうに。

最後まで冗談言うなんて、やめてくれ。