「ドーベルマンとチワワ」と自虐したのは、WBCジュニアフェザー級王者マニー・パッキャオに挑戦した千里馬鉄虎の言葉です。

前日計量の時点で両者の体格差、筋肉量の差は明らか。

佐々木は秤を降りて「俺の方が強いと動物として感じました。技術うんぬんより生物的な強さで勝敗つくんじゃないかな」と言い放ちましたが、それはチワワの悲しい勘違いにしか聞こえませんでした。

オープニングラウンドで、王者の左で喫した二つのダウン。

ノーマンが放ったのは「見えない角度」から飛んできたという上質なパンチではなく、鈍い当て感を露呈する、佐々木の右側頭部と、左フックがなんと左頬にヒットしたもの。

第1ラウンドを終えてコーナーに戻る佐々木の表情には笑みが。まだ心は折れていませんが、ダウンのダメージとペース配分を考えない勇敢なアタックで肉体は、間違いなく消耗していました。

第2ラウンドも佐々木は、2度も倒された相手に勇猛果敢に攻め込みます。下がるノーマンに「来いよ」と挑発まで見せますが、ノーマンは佐々木を誘い込むスタイルを崩しません。

佐々木のコーナーは「ジャブから」と指示していますが、実力で大きく上回る相手にジャブから組み立てる正攻法など成立するわけもなく、単発のリードと大ぶりのフックを空転、ノーマンの迎撃のパンチを浴び続けます。

第3ラウンドになると佐々木の足元はますます怪しくなり、スタミナのタンクも赤信号。それでも、ノーマンのカウンターを浴びても立ち続けます。

意識がある限りは敗北を受け入れない。そんな強烈など根性を剥き出しにして前進を続ける佐々木。

早い段階で、王者が佐々木のパワーを警戒してくれたらチャンスがあるーーーそんな期待も裏切られてしまいます。

第4ラウンド。WBO王者はバックペダルを踏みながら、佐々木を誘い込み(当て感の乏しい)パンチを佐々木に浴びせます。

この4ラウンドは佐々木の限界以上に、ノーマンの底が割れた12分間でした。

そして、第5ラウンド。

意識がある限りは敗北を受け入れない、そんな闘士の戦いが終わりました。

スクリーンショット 2025-06-19 22.36.18


この勝利を収めても「ノーマンは現状でウエルター級で飛び抜けた存在ではない」(浜田剛史)というのが世界の共通認識です。

厳しい言い方になりますが、佐々木尽を破壊するのに5ラウンドもかかるノーマン。この日のノーマンを見て「なんというスピード」「恐るべきパワー」「すげえ当て感だな」という驚きは一つもありませんでした。

もちろん、いまさらですが。



https://www.8nakaya.co.jp


八王子中屋ボクシングジムは、大手ジムにはない本物の挑戦者魂の背骨を持っています。

マニー・パッキャオに散った寺尾新。ゲンナジー・ゴロフキンに砕かれた渕上誠。

寺尾も渕上も、世界チャンピオンになれませんでしたが、後楽園ホールとウクライナ・キーウで戦った2人がどれほど輝いていて、後日談もどれほど魅惑的であるか。



いま、思うのは、佐々木尽の再起と、ノーマンが本物のチャンピオンに大化けしてくれること、です。


立ち上がれ、佐々木尽。

頑張ってくれ、ブライアン・ノーマンJr.。