Thursday 19, June 2025
  

Ota-City General Gymnasium, Tokyo, Japan
commission:Japan Boxing Commission
promoter:Hideyuki Ohashi (Ohashi Promotions)

view on JAPAN Lemino/USA ESPN+ 

WBOウエルター級12回戦


©︎ブライアン・ノーマンJr. vs 佐々木尽


両者同じ66.6kgで秤を降りた前日計量。

ウエイトは全く同じでしたが、ノーマンの方が大きく見えてしまいます。

佐々木尽は本来ならライト級かジュニアウエルター級がベスト(相対的に最も強い)かもしれませんが、ウエルター級バージョンが絶対的に強いのは明らかです。

それを言い出すと、減量階級の選手のほとんど全てが絶対ではなく相対の檻に自らを閉じ込めていることになります。

絶対的な強さで挑んで勝てる、ウエルター級がそんな世界ではないことは、ボクシングファンの誰もがわかっていること。

一方で、そのウエルター級への畏怖の礎になっているのは、JBC発足から70年以上の歴史でたったの6試合のサンプルからです。

私たち日本のボクシングファンが「ウエルター級はレベルが高い」と畏怖するとき、そこに渦巻いているのは過剰な怯懦です。

たった6度の失敗。

数で言えばフライ級やバンタム級など日本人が好き勝手している階級の方が、失敗の数は多いのです。

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遥か太古の昔、大きく筋肉質の肉体と鋭利な牙、頑強なアゴを持ち、とてつもなく早く走る脚力まで見せる怪物を、私たちの祖先は恐れ慄いていたはずです。

そして、怪物をつぶさに観察し、炎を極端に恐れること、俊敏な動きは瞬間的で持久力に欠けることを知った祖先は怪物を恐れなくなりました。

そして、最も決定的だったのはその怪物に「ライオン」と名前を付けたことでした。





あす、佐々木尽がウエルター級を恐れる私たちに「たくさんある階級の一つに過ぎない」と教えてくれるのか?

それとも、私たちはまたしてもウエルター級に〝名前〟を付けられないまま、長い歳月を耐え忍んでいくのでしょうか。

もちろん、そんな屁理屈をこねてもウエルター級は特別です。

ウエルター級よりも重いジュニアミドル級やミドル級で日本人が活躍した経験があることには理由があります。

ジュニアミドル級は、かつて欧米から格下と見られていました。現在、ジュニアミドル級の強豪王者の壁はウエルター級と同じかそれ以上です。

ミドル級では2人のアルファベット王者が生まれていますが、竹原慎二はビール腹で来日した油断にまみれたホルヘ・カストロが相手。

東洋太平洋レベルでも無双とは言い難かった竹原は、現在の地域王者に勝つのも厳しかったでしょう。

地域王者レベルには当たり前に勝利していた村田諒太も強豪王者を倒すまでには至りませんでした。そもそも、村田は五輪ミドル級金メダリスト、強豪王者も倒すかもしれないと大きな期待を集めた不世出の日本人です。

そう考えると、特別な事情が絡み合って初めて日本人が戦えるクラスがウエルター級から上ということかもしれません。

佐々木尽に勝機がないとは思いません。

ノーマンとの相性やノーマンの調子、複数の要素がノーマンにマイナスに佐々木にプラスに働けば、チャンスは十分にあるはずです。

そう期待して応援しているのは私だけではありません。

しかし、そんな私たちですら、ノーマンに勝った佐々木尽がウエルター級に君臨するか?と聞かれたら答えに詰まってしまいます。

そんなウエルター級に対する煮え切らない思い。

佐々木には、そんな外野の思いを沸騰させて蒸発させていただきたいと願っています。

「待たせたな、世界!」。

今夜、そんな勝利者インタビューを聞けますように。