ワシル・ロマチェンコが引退を発表しました。

As an amateur, the Ukrainian amassed a 396-1 record and won two Olympic gold medals, at Beijing 2008 and London 2012, before becoming a pound-for-pound star in the paid ranks.

ワシル・ロマチェンコはプロでPFPのスターになる前に、ウクライナ代表としてアマチュアで北京とロンドンの五輪で2連覇、396勝1敗の驚異的な成績を残してきました。〜リング誌

2度の五輪で見せたパフォーマンスは驚愕のレベルでしたが、プロに入ってから見せた「ノマスチェンコ」には胸が躍りました。



Vasiliy Lomachenko's Insane Highlight Reel〜ワシル・ロマチェンコの変態すぎるパフォーマンス。


1発で相手を失神させ氷づけにするのがKO勝ちの最上級だと思いましたが、圧倒的な技術さを見せつけて相手を絶望の谷底に突き落とし、試合を放棄させる、それが最上級かもしれないと考え直させられました。

まだ出来るのに試合を放棄する、勝負を捨てるのは最も軽蔑される行為です。たった一度でも犯してしまうと、キャリアを通じて「Quitter(ヘタレ)」の烙印を捺されてしまいます。

日本でお馴染みのボクサーなら、ウーゴ・ルイスやオマール・ナルバエスなどはその典型。

唯一の例外は、ロベルト・デュランだけ。デュランは試合を投げても、プロレスラーとエキシビジョンを戦っても「デュランだもの」で誰からも許されます。その石の拳の「ノーマス」が「ノマスチェンコ」の語源です。

そして、ノマスチェンコの被害者たちも「さすがにあそこまで実力差を見せつけられたら諦めても仕方がない」と免罪符を交付されてきました。

ニコラス・ウォータースやミゲール・マリアガら、強烈なハートを持つ戦士たちが次々とノマスチェンコの軍門に降ってしまったのですから。

ノマスチェンコは、日本のボクシングファンの間でも「ロマチェンコ勝ち」として定着しました。

2017年に全米ボクシング記者協会とリング誌のFighter Of The Yearをダブル受賞。PFPにも1年以上にわたってNo.1に君臨。同時代のボクサーでロマに迫ることができるのはカネロ・アルバレスくらいでしょう。

プロ戦績はわずか21試合(18勝12KO3敗)。それでも、3年後の殿堂入りは間違いありません。


「引退したら故郷で釣りでもしながら悠々自適に過ごしたい」。

常々そう語っていた37歳のロマ。

そんな故郷は、戦火の中。

ロマが穏やかな黒海に釣り糸を垂れて、静かで幸せな時間を過ごす。早くそんなときが来ると良いのですが…。