女子スポーツは男子と比較して「スピードがない」「パワーがない」「迫力に欠ける」と見られ、プロスポーツとしては同じ種目でも人気も報酬も男子よりも遥かに下であるのが現実です。

例外的に「女子テニス」や「女子ゴルフ」などは〝遥かに下〟ではなく男子に準じる地位を確保しています。また、米国限定ですが「女子サッカー」は男子よりも遥かに上の注目度と報酬、尊敬を集めていますが、「女子ボクシング」となると〝遥かに下〟というだけでなく「女子が殴り合って血を流しているのなんて見るに耐えない」という拒絶感まで入り込んできます。

亀田和毅ら非力な男子ファイターを解説者が「まるで女子の試合を見ているよう」と笑うのは、女子ボクシングは面白くないという偏見の発露です。

専門家やコアなマニアがチェックするPFPでは非常に高い評価を集めたリカルド・ロペスは日本でも人気のあるレジェンドですが、米国のカジュアルなボクシングファンの間では全く無名、女子ボクサーの前座をつとめるなど人気と報酬面では不遇のままでキャリアを終えました。

とはいえ、それは男子とはいえ全く関心の払われない軽量級だから。「女子がメインで人気階級の男子を従えた」わけではありません。




それでも、少しずつ時代は動いています。

2022年4月30日「ケイティ・テイラーvsアマンド・セラノ」のUndisputed Jr.Welterweight championshipがマディソン・スクエア・ガーデン(MSG)140年の歴史で初めて女子の試合がメインで起用されました。

もちろん、シアターではなくキャパ2万人のアリーナ。チケットは早い段階でソールドアウト。当日は1万9187人が詰めかけました。

このメガイベントをジェイク・ポールと共同プロモートしたエディ・ハーンの「今夜の問題は男子がどうとか女子がどうとかではない。素晴らしいファイターが素晴らしい試合を見せてくれた」という通りの内容。

アイルランドのテイラー、プエルトリコのセラノというニューヨークにファンベースを持つトップファイターの激突とはいえ、女子がMSGのアリーナをフルハウスにしたのです。

女子ボクサーが、ワシル・ロマチェンコやゲンナジー・ゴロフキンを人気で凌駕したのです。





そして、7月11日にこの2人の第3戦目がやはりMSGでセット。このイベントも歴史的な意味を持ちます。

メインからアンダーカードが全て女子の試合という非常に珍しい、画期的で野心的なイベントです。





プロモートは、ジェイク・ポールが立ち上げたMost Valuable Promotions(MVP)。ジェイクはこのイベントに先立つ6月28日にフリオ・セサール・チャベスJr.とのビッグファイトに登場、そのアンダーには契約初戦のホリー・ホルムもリングに上がります。

カネロ・アルバレスの後を継ぐスーパースターを完全に見失った米国ボクシングに、女子ボクシングという一筋の光が射し込んでいます。