When Goliath Loses

大番狂せが起きるとき。


Saturday 21, September 1985
  
Riviera Hotel & Casino, Outdoor Arena, Las Vegas, Nevada
commission:Nevada Athletic Commission
promoter:Don King, Butch Lewis

inspector:Harold Buck

Lineal/リング誌/IBFヘビー級15回戦




ドン・キングとブッチ・ルイス…寓話に登場するような怪人2人がプロモートした歴史的な大勝負です。

「階級を超えたメガファイト」から滲み出しているのは、Mission Impossible のロマン。そして、この類のメガファイトで特徴的なのは、Mission Impossibleに挑戦する下の階級の選手がベビーフェイス、受けて立つ上の階級の王者がヒールになるケースが多いこと。

ゴリアテとダビデ、ゴリアテは常にヒールのレッテルを貼られがちなのです。

この試合でもライトヘビー級のUndisputed championマイケル・スピンクスが、ヘビー級の絶対王者ラリー・ホームズに勝てば史上初のヘビー級を制したライトヘビー級王者。

そして、大方の予想通りにホームズが勝利するとロッキー・マルシアノの連勝記録「49」に並ぶ大きな節目。

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29歳のスピンクスが27戦全勝19KO、35歳のホームズが48戦全勝34KOという無敗対決。そして、PFPファイター同士の対決でもありました。

当時、米国では五輪ボクシングに出場する自国選手の試合は地上波生中継されていた時代、スピンクスは1976年のモントリオール五輪ミドル級の金メダリスト。

一方のホームズは叩き上げ。もおもとが「アリのコピー」「試合が面白くない」と非難される憎まれ役。

計量は王者が221.5ポンド(100.5kg)、挑戦者は現在のクルーザー級リミットも割り込む199.25ポンド(90.4kg)。

このとき、スピンクスの増量を指導したのは女優リンダ・ハミルトンや、MLBのオジー・スミス、NFLのペイトン・マニング、テニスのセリーナ・ウィリアムズらスーパースターの肉体改造を手がけたマッキー・シルストーン

のちにワシル・ロマチェンコの栄養管理もサポートするシルストーンは、スピンクスのライトヘビー級(175ポンド)の肉体に約25ポンド(11.3kg)の筋肉を、柔軟性と反射、スピードはそのままキープさせて上乗せしました。

惨敗の予想もあったスピンクスは大健闘。ユナニマスデジションで、史上初めてヘビー級を制したライトヘビー級王者になります。

スピンクスとは反対に反射はもちろん、スピードや柔軟性で劣化を晒したホームズは「歴史を作られたヘビー級王者」という屈辱を受けなければなりませんでした。

7ヶ月後の再戦ではホームズの勝利と思えましたが、オフィシャルは1−2のSDで惜敗。

ホームズはモハメド・アリにもなれず、スピンクスに2連敗して2年のブランク明けにWBC/IBF王者マイク・タイソンに復帰・即挑戦しますが4ラウンドで葬り去られてしまいます。

「(調整試合を挟みたかったのに)ドン・キングに騙された」という、ホームズの泣き言に耳を貸す者は誰もいませんでした。