ボクシングはスポーツではありません。

もし、ボクシングがスポーツなら「カネロ・アルバレスvsテレンス・クロフォード」なんて試合よりも「カネロvsデビッド・ベナビデス」「クロフォードvsジャロン・エニス」を優先しているはずです。

ボクシングはスポーツではありません。


1960年代以前となると地球上に世界王者は8人しかいない、1団体8階級時代。ボクシングはメジャースポーツの一つで、世界王者はあらゆるスポーツの中でも最も尊敬されるチャンピオンの1人でした。そんな時代があったなんて、いまでは絶対に信じられないでしょう。
1970年代でも複数階級制覇は「3」が最多。世界タイトルの価値がまだまだ高かった時代です。

そして…1980年代。団体と階級が増殖、タイトルの価値の暴落に歯止めはかからず、「階級を超えたメガファイト」が注目を浴びるようになりました。

安易な複数階級制覇に、階級を超えたメガファイト…そんなものがありがたがられるのは、タイトルの価値暴落が大前提でした。

そして、80年代以降のメガファイトには必ずAサイドとBサイドの色分けがなされていることも忘れてはいけません。スポーツじゃないから当然、といえばそれまでですが。

先日の井上尚弥の〝ラスベガス公演〟も、その典型です。複数の日本メディアがラスベガスを「井上にとってアウエー」と表現していましたが、正気の沙汰ではありません。

そして、あれはT−モバイル史上で飛び抜けて最悪の閑古鳥イベントでしたが、「チケット販売絶好調」という報道やそれを信じる馬鹿信者たちの声は試合が近づくと全く聞こえなくなってしまいました。どうしちゃったんでしょうか?あんなに威勢が良かったのに、いつものパターンです。

それにしても摩訶不思議な興行でした。運営側は超高額に設定した一時価格をメディアが報道してくれるだけで良かったのでしょうが、正確な情報が簡単に手に入る現代ではそうはいきません。どんどん下がる価格、上階席の完全封鎖はこのブログでも早い段階で指摘していたように確定事項でした。

そもそもPPVにもならないイベントだったのですから。

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パックマンだ!

先日、マニー・パッキャオの復帰即タイトルマッチが発表されましたが、あれも人気のあるAサイドは何をしても良いというとんでもない茶番です。

「井上のTモバ」は「人気のない日本限定のAサイドをラスベガスでも大人気に見せかける必死の努力」という複雑怪奇な興行でしたが、本質はAサイドの好き勝手放題です。



それでも、それでも…80年代からボクシングの魅力にとり憑かれた私にとって「階級を超えたメガファイト」には、いまでも特別な思いが込み上げてきてしまうのです。

「階級を超えたメガファイト」から滲み出しているのは、Mission Impossible のロマンです。

ーーーライトヘビー級のマイケル・スピンクスがヘビー級王者になれるわけがない。ましてや相手は史上最強とも言われるラリー・ホームズ。不可能だ。

ーーー実質5年のブランクからいきなりマービン・ハグラーに挑戦なんて、シュガー・レイ・レナードは気が狂ったのか?全盛期でもレナードはハグラーに勝てっこない。不可能だ。

ーーーフライ級上がりのマニー・パッキャオが、ミドル級王者にまでなったオスカー・デラホーヤと戦う?大事故が起きたらネバダ州アスレティック・コミッションは責任を取れるのか?不可能だ。

彼らが、モハメド・アリのように Impossible is Nothing. を証明した背後にはロマンとは真逆のカラクリが存在しました。

まずは、レコード・メーカーのジンクス、スピンクスからです。